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経理の資格|簿記と経理の検定の違い

@SOHO編集部
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経理の資格|簿記と経理の検定の違い

この記事のポイント

  • ✓経理士資格を調べる人向けに
  • ✓経理士という1つの国家資格はなく
  • ✓日商簿記・全経簿記・建設業経理検定・経理実務士などに分かれていることを整理しました

経理士資格を取りたいと思って調べ始めると、簿記、経理実務士、建設業経理士など、似た名前の資格がいくつも出てきて戸惑う人が多いはずです。結論から書くと、「経理士」という名前の国家資格が1つあるわけではありません。経理の仕事に役立つ資格は、簿記の検定を中心に、業界ごとの検定や、複数の検定を組み合わせて認定される資格に分かれています。

この記事では、まず経理の資格がどう分かれているかを整理し、そのうえで日本商工会議所の簿記検定、全国経理教育協会の簿記能力検定、建設業経理検定、経理実務士の違いを、それぞれの公式の案内をもとに書きます。後半では、経理の仕事のどの段階でどの資格が役立つか、税理士試験とのつながり、勉強の進め方、履歴書での書き方までを順に整理します。受験料や合格率は、2026年10月時点で各団体の公式ページに載っている数字だけを使っています。

「経理士」という1つの国家資格はない

経理の仕事そのものには、資格がなければできないという決まりはありません。会社の帳簿を付ける、請求書を発行する、経費を精算する、決算の準備をするといった仕事は、資格を持っていなくても任されます。この点が、医師や看護師のように資格がないとできない仕事とは違うところです。

それでも経理の資格が求人の条件や歓迎条件によく出てくるのは、経理の知識を持っていることを、外から見て分かる形で示せるからです。経理の仕事は、ミスがあると会社の決算や税金の申告に響くため、採用する側は「最低限の知識があるか」を資格で確かめようとします。

経理の仕事に役立つ資格は、大きく4つの種類に分けると整理しやすくなります。

  • 簿記の検定:日本商工会議所の簿記検定、全国経理教育協会の簿記能力検定
  • 業界向けの経理の検定:建設業経理検定
  • 複数の検定を組み合わせて認定される資格:経理実務士、経理実務士補
  • 経理の上にある専門職の国家資格:税理士、公認会計士

「経理士」と呼ばれることがあるのは、主に2つ目の建設業経理士と、3つ目の経理実務士です。どちらも、経理の仕事全般を独占する国家資格ではありません。自分が何を目的に資格を取りたいのかを先に決めると、どの種類から始めればよいかが見えてきます。

経理の資格の土台は簿記の検定

経理の資格を考えるとき、ほとんどの人が最初に取るのが簿記の検定です。簿記とは、会社のお金やものの出入りを、決まったルールで帳簿に記録する方法のことです。経理の仕事は、この簿記の考え方がすべての土台になっています。

簿記の検定のうち、経理の求人で最もよく名前が出てくるのが、日本商工会議所と各地の商工会議所が行う簿記検定です。一般に日商簿記と呼ばれます。日本商工会議所のページによると、この検定は1954年から行われていて、2026年6月14日の試験で173回目を迎え、これまでに2,900万人以上が受験しています。

日商簿記には、1級、2級、3級、初級などの級があります。日本商工会議所のページでは、3級について次のように説明しています。

業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき「必須の基本知識」として、多くの企業から評価される資格。 基本的な商業簿記を修得し、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理を行うために求められるレベル。 出典: 日本商工会議所 簿記3級

2級は、商業簿記に加えて、工場などで製品を作るときの原価を計算する工業簿記も範囲に入り、財務諸表の数字から経営の内容を読み取れるレベルとされています。財務諸表とは、会社の1年間の成績や財産の状態をまとめた書類のことで、損益計算書や貸借対照表がその代表です。1級は、会計の基準や会社法なども踏まえて、経営の管理や分析を行うレベルとされています。

経理の求人では、未経験からの応募なら3級、経理の実務の担当者なら2級が目安として書かれていることが多く見られます。まず3級で簿記の考え方を身につけ、2級で会社全体のお金の流れを理解する、という順番で進める人が一般的です。

日商簿記の受験方法と受験料、合格率

日商簿記の2級と3級には、受験の方法が2つあります。年3回の統一試験と、会場のパソコンで受けるネット試験です。統一試験は紙で受ける試験で、決められた日に全国で一斉に行われます。2026年は11月15日に第174回の統一試験が行われる予定で、申し込みの受付はすでに終わっています。

ネット試験は、全国の会場が決めた日に、会場のパソコンで受ける試験です。日本商工会議所のページでは、毎週や毎月など定期的に実施している会場と、受験する人の希望に応じて随時実施している会場があると案内されています。統一試験の前後には、ネット試験を休止する期間があります。

ネット試験の受験料は、2級が5,500円、3級が3,300円(いずれも税込)です。インターネットで申し込む場合は、このほかに事務手数料550円(税込)がかかります。

合格率は、日本商工会議所が受験者データとして公開しています。ネット試験の2025年4月から2026年3月までの1年間では、2級は受験者141,072名に対して合格者46,351名で、合格率は32.9%でした。3級のネット試験は、2026年4月から6月の3か月で受験者64,183名、合格者28,546名、合格率は44.5%です。1級は統一試験のみで、2026年6月14日の第173回の合格率は21.2%でした。

数字を見ると、3級は半分近くの人が合格する一方で、2級になると3人に1人ほどに下がります。2級は範囲に工業簿記が加わり、問題の量も増えるため、3級の延長のつもりで準備すると時間が足りなくなりがちです。3級に合格したあと、2級に向けては改めて勉強の計画を立て直すのが確実です。

全経簿記は、税理士試験とのつながりがはっきりしている

簿記の検定には、日商簿記のほかに、公益社団法人全国経理教育協会が行う簿記能力検定もあります。一般に全経簿記と呼ばれ、経理の専門学校などで学ぶ人が多く受けています。

全経簿記の級は、上級、1級、2級、3級、基礎簿記会計に分かれています。全国経理教育協会のページでは、上級について、上場企業の財務の責任者や公認会計士、税理士などの会計の専門職とその候補者として必要な簿記と財務会計の知識を理解できる水準と説明されています。2級と3級、基礎簿記会計はネット試験でも随時申し込めます。3級と基礎簿記会計の試験問題には、ふりがなが付いています。

全経簿記の大きな特徴は、上級に合格すると税理士試験の受験資格が得られることです。この点は、国税庁の税理士試験の受験資格のページでも確かめられます。受験資格の一覧に、日本商工会議所の簿記検定1級の合格者と並んで、全国経理教育協会の簿記能力検定の上級の合格者(昭和58年度以降の合格者に限る)が挙げられています。

日商簿記と全経簿記のどちらを選ぶかは、目的で決めます。会社の経理の求人に応募するなら、名前が広く知られている日商簿記のほうが伝わりやすい場面が多くあります。税理士を目指していて、受験資格を得るための道を探しているなら、全経簿記の上級も選択肢になります。

建設業経理検定は、建設業の会社の経理に特化している

「経理士」という言葉が付く資格としてよく知られているのが、建設業経理士です。建設業経理士は、一般財団法人建設業振興基金が行う建設業経理検定に合格した人の呼び名で、1級と2級が建設業経理士、それより下の級は建設業経理事務士と呼ばれます。

建設業の会計には、ほかの業種と違う特徴があります。工事が何か月、何年にわたって続くため、工事の途中でかかったお金をどう記録するか、完成する前の売上をどう扱うかといった、建設業ならではの処理が必要になります。建設業経理検定は、こうした処理の知識を問う検定です。

建設業経理士は、建設業の会社にとって意味の大きい資格です。公共工事を受注しようとする建設業の会社は、経営の状態などについて国や都道府県の審査を受けます。その審査で、会社に建設業経理士がいるかどうかが評価の対象の1つになっているため、建設業の会社では社員に取得を勧めることがあります。

建設業振興基金の検定のページは、2026年10月21日から緊急メンテナンスのため一部の内容が見られない状態になっています。試験の日程や受験料を確かめるときは、ページの再開を待つか、建設業振興基金の経理試験・講習課に電話で問い合わせてください。建設業の会社で経理を担当している人や、これから担当する予定の人は、日商簿記と並んで検討する価値があります。

経理実務士は、複数の検定の組み合わせで認定される

もう1つ、「経理士」と似た名前で出てくるのが経理実務士です。経理実務士は、全国経理教育協会が行う複数の検定に合格した人を認定する資格で、経理実務士と、その手前の経理実務士補の2つがあります。

全国経理教育協会のページによると、認定の基準は次のとおりです。

認定 必須の科目 選択の科目
経理実務士 簿記1級以上と、税法の検定(所得税法・法人税法・消費税法・相続税法)のうち2科目の3級以上 珠算・計算実務・電卓計算・コンピュータ会計のうち1科目の2級以上
経理実務士補 簿記2級以上と、税法の検定のうち1科目の3級以上 上と同じ科目のうち1科目の3級以上

経理実務士の特徴は、簿記だけでなく、税金の知識と、計算やパソコンの会計ソフトを扱う力まで含めて評価されることです。経理の仕事では、帳簿を付けるだけでなく、源泉徴収や消費税の計算、年末調整など、税金に関わる作業がたくさんあります。経理実務士は、そうした実務の幅を示したい人に向いています。

認定を受けるには、検定に合格したあとに、全国経理教育協会の決めた方法で登録の申し込みをします。登録の方法と費用は、協会のページで確かめてください。全経の検定を専門学校などで続けて受けてきた人にとっては、それまでの合格をまとめて形にできる資格です。

経理の仕事の段階ごとに、役立つ資格は変わる

経理の資格は、経理の仕事のどの段階にいるかで、役立つものが変わります。段階ごとに整理すると、次のようになります。

1つ目は、経理の仕事を始める段階です。未経験から経理の仕事を目指す人や、事務の仕事の中で経理の作業を任され始めた人は、日商簿記3級が出発点になります。仕訳と呼ばれる、取引を帳簿に記録するための基本の書き方を身につけることが、この段階の目標です。あわせて、表計算ソフトの基本の操作ができると、実務にすぐ入れます。

2つ目は、日々の経理を一通り任される段階です。月ごとの締めの作業や、決算の準備を手伝うようになったら、日商簿記2級が目安になります。製造業の会社で働くなら、2級の工業簿記の知識が原価の管理に直接役立ちます。建設業の会社なら、建設業経理士の2級も視野に入ります。

3つ目は、税金の実務を担う段階です。年末調整や消費税の申告の準備など、税金の作業を任されるようになったら、全経の税法の検定で知識を整理する方法があります。経理実務士の認定を目指せば、学んだ範囲を形にできます。

4つ目は、経理の責任者や専門職を目指す段階です。経理の部門をまとめる立場や、会計の専門家として独立する道を考えるなら、日商簿記1級や全経簿記の上級、その先の税理士や公認会計士が目標になります。

どの段階にいても、資格と実務の経験の両方があると評価が高まります。資格だけを先に積み上げるより、今の仕事で使う範囲の資格を取って、学んだことをすぐに実務で試すほうが、理解が深まり、次の資格の勉強にもつながります。

税理士を目指すなら、受験資格の緩和を知っておく

経理の仕事を続けるうちに、税理士を目指したいと考える人もいます。税理士とは、税金の申告書を作ったり、税金の相談に乗ったりすることを仕事にできる国家資格で、これは税理士でないとできない仕事です。

税理士試験は、会計の科目と税法の科目を合わせて5科目に合格する必要がある試験で、1科目ずつ受けて合格を積み重ねることができます。以前は、試験を受けるために、大学で決められた科目を学んだことなどの受験資格が必要でしたが、この条件は緩和されています。国税庁のページには、次の記載があります。

会計学に属する科目(簿記論・財務諸表論)については、受験資格の制限がなくなり、どなたでも受験が可能となりました。 出典: 国税庁 税理士試験の受験資格

この緩和は令和5年度の試験から行われています。簿記論と財務諸表論は、日商簿記や全経簿記で学んだ内容とつながりが深い科目です。経理の仕事をしながら簿記の検定に合格した人が、そのまま簿記論と財務諸表論に挑戦する道が開かれたことになります。

税法の科目を受けるには、今も受験資格が必要です。日商簿記1級や全経簿記の上級の合格は、その受験資格の1つになります。税理士を目指すなら、どの資格を取ると税法の科目まで進めるかを、国税庁の受験資格のページで確かめてから計画を立てます。

経理の資格にかかる費用と、費用を抑える制度

簿記の検定は、ほかの資格と比べて受験料が手ごろな部類に入ります。日商簿記のネット試験なら、3級は3,300円、2級は5,500円(いずれも税込)で受けられます。独学で進めるなら、受験料のほかにかかるのは、テキストと問題集の代金くらいです。

一方で、通信講座や通学の講座を使うと、数万円の費用がかかることがあります。講座を選ぶ場合に知っておきたいのが、雇用保険の教育訓練給付金です。教育訓練給付金とは、雇用保険に一定期間入っていた人が、厚生労働大臣の指定する講座を受けて修了したときに、受講料の一部が戻ってくる制度のことです。ハローワークインターネットサービスの案内では、一般教育訓練給付金は受講料の20%(上限10万円)が支給され、受け取るための雇用保険の加入期間は原則3年以上、初めて受け取る人は1年以上とされています。

簿記の講座の中には、この給付金の対象になっているものがあります。対象かどうかは、厚生労働省の教育訓練講座検索システムで講座の名前を入れて確かめられます。支給の条件は個人の加入記録で変わるため、申し込む前にハローワークで確かめておくと安心です。

勤め先の会社が、受験料や講座の費用を補助していることもあります。経理の部門に配属された社員に簿記の取得を勧めている会社では、合格したら受験料を払い戻す、資格手当を付けるといった制度を設けていることがあります。資格を取る前に、勤め先の人事の担当者に制度があるかを聞いてみてください。

経理の知識にITの基礎を重ねる

経理の仕事でクラウドの会計ソフトや業務のシステムを使う場面が増えるなかで、簿記の知識とあわせてITの基礎を身につけておくと、仕事の幅が広がります。ITの基礎知識を確かめる国家試験として、情報処理推進機構(IPA)のITパスポート試験があります。

ITパスポート試験は、会社の経営や財務、法務の知識から、情報セキュリティやネットワークの基礎まで、幅広い分野を問う試験です。経理の仕事で関わる財務の考え方や、取引のデータを安全に扱うための知識も範囲に含まれています。IPAのページでは、試験は会場のパソコンで受けるCBT方式で年間を通じて随時行われ、試験時間は120分、受験手数料は7,500円と案内されています。

IPAが公表している令和8年4月度から9月度までの累計では、応募者のうち社会人が76.4%で、社会人の応募者の8割はIT系以外の会社に勤める人でした。経理や事務のように、ITを本業にしない仕事をしている人が、ITの基礎を証明するために受けている試験だということが分かります。

簿記とITパスポートの両方を持っていると、会計ソフトの導入や、紙の書類をデータでの保存に切り替える作業など、経理の仕事の仕組みづくりにも関わりやすくなります。

経理の資格の勉強を続けるための進め方

簿記の検定は、独学で合格を目指す人が多い試験です。公式の出題区分表が公開されていて、市販のテキストも多く出ているため、自分のペースで進められます。続けるために、次の順番で進めると効果があります。

  1. 受ける級と受験の方法(統一試験かネット試験か)を決める
  2. テキストを1冊決めて、最初は理解を急がず一通り読む
  3. 2周目からは、問題を解きながら仕訳の書き方を手で覚える
  4. 本番と同じ時間で、模擬の問題を何回か解く
  5. 間違えた問題だけを集めて、試験の直前に解き直す

簿記の勉強で大切なのは、読むだけでなく、実際に手を動かして仕訳を書くことです。デザインの練習で、本を読むより実際にバナーを何枚も作るほうが早く上達するのと同じで、簿記も問題を解いた数だけ考え方が身につきます。最初はルールを覚えるのに苦労しても、同じ形の取引を何度も記録しているうちに、迷わず書けるようになります。

ネット試験を選ぶと、準備ができた時点で受験日を決められるため、仕事や家庭の予定と合わせやすくなります。統一試験は日程が決まっているので、締め切りがあるほうが勉強を続けやすい人に向いています。

日本商工会議所は、2027年度から適用する出題区分表や、2027年度以降の3級の試験問題の配点についても案内しています。2027年度に受験する予定の人は、使うテキストが新しい出題区分表に対応しているかを確かめておきます。

全経の税法の検定で、税金の実務の知識を整理する

経理の仕事では、帳簿を付ける力と同じくらい、税金の知識が必要になります。社員の給与から差し引く源泉所得税、商品やサービスの売り買いにかかる消費税、会社の利益にかかる法人税など、経理の担当者が関わる税金は多くあります。こうした税金の知識を検定で確かめられるのが、全国経理教育協会の税法の検定です。

全国経理教育協会のページによると、税法の検定は昭和43年に始まった税務会計能力検定試験がもとになっていて、現在は所得税法、法人税法、消費税法、相続税法の能力検定に分かれています。実施の回数は、令和7年度から年2回になりました。令和8年度の第119回は、令和8年2月1日に行われています。

税法の検定が役立つのは、たとえば次のような場面です。

  • 年末調整で、社員から集めた書類の内容を確かめる
  • 請求書に書かれた消費税の金額や税率が正しいかを確かめる
  • 決算の前に、税金の計算に必要な資料をそろえる
  • 個人の事業者から、確定申告の準備を手伝うよう頼まれる

税法の検定は、経理実務士の認定の必須の科目にもなっています。簿記の検定に合格したあと、仕事で関わる税金の検定を1つずつ受けていくと、学んだ範囲がそのまま経理実務士の認定につながります。税金の仕組みは毎年のように改正があるので、検定に合格したあとも、国税庁のページで新しい情報を確かめる習慣を持つことが大切です。

インボイス制度と電子帳簿保存法で、経理の仕事は変わった

経理の資格を選ぶうえで知っておきたいのが、ここ数年で経理の仕事の中身が大きく変わったことです。とくに影響が大きいのが、消費税のインボイス制度と、電子帳簿保存法です。

インボイス制度とは、消費税の計算で、仕入れにかかった消費税を差し引くために、登録を受けた事業者が発行する決まった形の請求書などを保存することが条件になった仕組みのことです。経理の担当者は、受け取った請求書に登録番号などの必要な記載があるかを確かめ、取引先が登録を受けた事業者かどうかによって処理を分ける必要があります。制度の詳しい内容は、国税庁のインボイス制度特設サイトで確かめられます。

電子帳簿保存法とは、帳簿や請求書などをデータで保存することを認め、そのルールを定めた法律のことです。国税庁の電子帳簿等保存制度特設サイトでは、この法律にもとづく制度を使うことで経理のデジタル化が図れると説明したうえで、所得税法や法人税法で書類の保存が必要な人は、とくに電子取引について確かめるよう案内しています。電子取引とは、請求書や領収書などをメールやWebサイトでデータのままやり取りする取引のことです。

こうした変化によって、経理の担当者には、簿記の知識に加えて、制度の決まりを理解し、会計ソフトやクラウドのシステムを使いこなす力が求められるようになりました。簿記の検定でも、日本商工会議所が出題区分表を見直して新しい内容を取り入れています。資格の勉強で使うテキストは、最新の出題区分表に対応した版を選ぶことが大切です。

経理の求人票で確かめたいこと

経理の資格を取ったら、次は求人に応募する段階です。経理の求人票を読むときは、資格の欄だけでなく、次の点も確かめると、入ったあとの食い違いを防げます。

  • 応募の条件と歓迎の条件に書かれている資格の名前と級
  • 求められている実務の経験の年数と、その中身(日々の記帳か、決算までか)
  • 使っている会計ソフトや業務のシステムの名前
  • 経理の部門の人数(1人で担当するのか、チームの一員なのか)
  • 月末や決算の時期の残業の目安

経理の求人では、同じ「経理」でも、仕事の範囲が会社によって大きく違います。日々の伝票の入力と経費の精算が中心の仕事もあれば、月ごとの締めから決算、税理士とのやり取りまで任される仕事もあります。資格の級と、求められている仕事の範囲が合っているかを確かめることが大切です。

経理の部門が1人だけの会社では、幅広い仕事を任される分、早く経験を積めます。一方で、分からないことを相談できる相手が社内にいないこともあるので、顧問の税理士がいるかどうかも確かめておきます。未経験から経理の仕事を始める人は、教えてくれる先輩がいるチームの一員として入るほうが、仕事を覚えやすくなります。

面接では、資格を取るために勉強したことを、実際の仕事のどの場面で使えるかに結びつけて話せると、採用する側に伝わりやすくなります。たとえば「3級で学んだ仕訳の考え方を使って、日々の取引の入力を正確に進められます」のように、具体的に話します。

履歴書で経理の資格を書くときの正式な名前

経理の資格を履歴書に書くときは、正式な名前で書くことが大切です。略した呼び名のままだと、採用する側がどの資格か分からなかったり、正確さを大切にする経理の仕事への姿勢を疑われたりすることがあります。

一般的な書き方の例は次のとおりです。

  • 日本商工会議所簿記検定試験2級 合格
  • 全国経理教育協会主催 簿記能力検定試験1級 合格
  • 建設業経理士2級 合格(建設業経理検定)
  • 経理実務士 認定

日商簿記の場合は、主催する団体の名前を入れて「日本商工会議所簿記検定試験」と書くのが正式です。級は算用数字で書いて構いません。合格した年月は、合格証書に書かれている日付で書きます。

勉強中の資格がある場合は、「日本商工会議所簿記検定試験2級 取得に向けて勉強中(2027年2月受験予定)」のように、受ける時期まで書き添えると、意欲と計画性が伝わります。経理の仕事では、資格の名前とあわせて、使ったことのある会計ソフトや表計算ソフトの操作も職務経歴書に書いておくと、実務の力が伝わりやすくなります。

経理の知識は、在宅の仕事や文書の仕事にも広がる

経理の知識は、会社の中だけでなく、在宅の仕事にもつながります。小さな会社や個人の事業者から、帳簿の入力や請求書の作成、経費の整理を頼まれる仕事は、在宅で受けられるものの代表です。簿記の知識があると、頼まれた作業の意味が分かるので、依頼主とのやり取りもスムーズになります。

経理の仕事では、数字を正しく扱う力と同じくらい、文書で正確に伝える力が求められます。月ごとの報告書や、社内への経費精算の案内、取引先への請求に関する連絡など、文書を書く場面は少なくありません。文書の書き方の基本を学びたい人には、ビジネス文書検定の資格ガイドが参考になります。検定の級ごとに学ぶ内容を紹介しています。

会計のソフトや業務のシステムは、年々クラウドで使うものが増えています。会社の経理の仕組みをシステムで整える仕事や、AIを使って経理の作業を効率よくする手伝いをする仕事も出てきています。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、企業の業務にAIを取り入れる仕事の内容を紹介しています。経理の実務を知っている人がITの知識を身につけると、こうした仕事の担い手にもなれます。

経理や税金の知識は、文章を書く仕事にも活かせます。会計ソフトの使い方や、個人の事業者向けの経費の考え方、確定申告の準備の進め方など、経理の知識が求められる記事は少なくありません。専門の知識を持つ書き手は、一般的な記事を書く書き手より依頼の単価が上がりやすい傾向があります。単価の上げ方の考え方は、Webライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】で整理しています。税金の記事を書くときは、断定を避け、国税庁のページなどの一次資料で確かめてから書くことが、読む人の信頼につながります。

運営者として見てきた、経理の仕事で頼まれ続ける人

在宅ワークとフリーランスの仲介を長く続けてきた運営者として見てきた限りでは、経理の仕事で長く頼まれ続ける人には共通点があります。資格の級の高さより、依頼主の事業に合わせて、どの書類をいつまでに、どんな形で返すかを最初にはっきり決めていることです。経理の仕事は締め切りが毎月やってくるので、決めた約束を守り続けることが、そのまま信頼になります。

もう1つは、分からないことをそのままにせず、確かめてから処理していることです。税金の扱いや勘定科目の選び方で迷ったときに、自己判断で進めずに依頼主や税理士に確かめる人ほど、結果として大きな手戻りが少なくなります。経理士資格という1つの資格はなくても、簿記の検定を土台に、仕事の段階に合わせて資格を重ねていけば、経理の知識は会社の中でも在宅の仕事でも長く使える力になります。

よくある質問

Q. 経理の仕事に就くのに、資格は必須ですか?

経理の仕事には、資格がないとできないという決まりはありません。ただ、求人では日本商工会議所の簿記検定の3級や2級が応募の条件や歓迎の条件として書かれていることが多くあります。未経験から応募する場合は、3級に合格しておくと、経理の基本の知識があることを示しやすくなります。

Q. 日商簿記と全経簿記はどちらを受ければよいですか?

会社の経理の求人に応募するなら、名前が広く知られている日本商工会議所の簿記検定のほうが伝わりやすい場面が多くあります。税理士を目指していて受験資格を得たい人は、日商簿記1級と並んで全経簿記の上級も受験資格になるため、選択肢になります。どちらも2級と3級はネット試験で受けられます。

Q. 日商簿記のネット試験の受験料はいくらですか?

日本商工会議所の案内では、ネット試験の受験料は2級が5,500円、3級が3,300円、初級と原価計算初級が2,200円(いずれも税込)です。インターネットで申し込む場合は、別に事務手数料550円(税込)がかかります。会場に問い合わせて申し込む場合の手数料は会場ごとに違うので、申し込む会場に確かめてください。

Q. 建設業経理士は建設業以外の会社でも役に立ちますか?

建設業経理士は、工事が長く続く建設業ならではの会計の処理を学ぶ資格で、主に建設業の会社で評価されます。建設業以外の会社では、日本商工会議所の簿記検定のほうが伝わりやすいことが多くあります。ただ、建設業経理検定で学ぶ簿記の基本はほかの業種とも共通しているので、知識そのものは経理の仕事全般で使えます。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年10月13日最終更新:2026年10月26日
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