業務の見える化の事例|進め方と続けるコツ


この記事のポイント
- ✓業務の見える化の事例を
- ✓厚生労働省の「生産性向上のヒント集」に載っている中小企業の取り組みから紹介します
- ✓Excelや紙から始める方法
業務の見える化の事例を探しているのは、「見える化が大事だと言われても、実際に何をすればよいのか分からない」「他の会社はどこから手を付けて、どんな成果が出たのか知りたい」という人が多いはずです。結論から言うと、業務の見える化は、困りごとが一番大きい業務を1つ選び、その業務の「誰が、何に、どれだけ時間を使っているか」を記録するところから始めると成果につながりやすくなります。この記事では、厚生労働省の資料に載っている中小企業の実際の取り組みを紹介したうえで、見える化の対象、進め方の手順、道具の選び方、よくある失敗、続けるコツを順に説明します。作業の担当と進み具合をチームで共有する道具としては、Excelやスプレッドシートのほかに、Pinatecaのようなプロジェクト管理の道具を使う方法もあり、後半で使い方に触れます。
業務の見える化とは何か
業務の見える化とは、職場で行われている仕事の中身や流れ、担当、かかっている時間を、誰が見ても分かる形にして共有することです。グループウェアを提供している会社のコラムでは、次のように説明しています。
業務の見える化(可視化)とは、「いつ」「どこで」「誰が」「どのように」「何をしているのか」を業務の流れ、業務分担、工数を明らかにして、誰でも理解可能な状態で共有する取り組みのことです。 出典: desknets.com
工数とは、ある仕事を終えるのに必要な人数と時間を掛け合わせた量のことで、「2人で3時間かかる作業」なら6時間分の工数と数えます。見える化の対象は、この工数のほかに、仕事の手順、担当者、進み具合、物や書類の保管場所まで幅広くあります。
「見える化」と似た言葉に「可視化」があります。可視化は、データをグラフや図にして見えるようにすることを指す場合が多く、見える化はそれを職場で共有し、改善に使うところまでを含めて使われることが多い言葉です。言葉の違いにこだわる必要はありませんが、見える化の目的は「見えるようにすること」ではなく「見えたことをもとに仕事を変えること」だと押さえておくと、取り組みが空回りしにくくなります。
見える化が求められている背景
業務の見える化が改めて注目されている理由は、人手不足と働き方の変化にあります。少ない人数で同じ量の仕事をこなすには、どこに無駄があるのか、誰に負担が偏っているのかを知る必要があります。テレワークや時短勤務が広がり、同じ場所で同じ時間に働かない人が増えたことで、隣の席の様子を見て仕事の状況を察することもできなくなりました。
中小企業では、特定のベテランだけが手順を知っている「属人化」が深刻になりがちです。属人化とは、仕事のやり方や判断の基準が特定の人の頭の中にしかなく、その人がいないと仕事が止まってしまう状態のことです。その人が休んだり辞めたりすると、仕事の引き継ぎに長い時間がかかります。見える化は、こうした状態を少しずつほどくための第一歩になります。
中小企業の業務の見える化の事例
厚生労働省は、働き方改革推進支援助成金や業務改善助成金を使って労働時間の削減や賃金の引き上げに取り組んだ中小企業の事例を、「生産性向上のヒント集」(令和6年3月作成)にまとめています。その中から、仕事の実態や情報を見える形にしたことで成果が出た例を紹介します。
事例1:労働時間の記録で残業の偏りを見つけた金属製品製造業
長野県の金属製品製造業の会社(従業員39人)は、管理職による夜20時以降の残業を減らしたいと考えていました。ところが、労働時間の記録が仕事の分担の見直しに使える形になっていなかったと、ヒント集は背景を説明しています。
誰がどれくらい働いているのかを把握できるよう労働時間の記録を活用することができていなかった。 出典: 厚生労働省「生産性向上のヒント集(令和6年3月作成)」
この会社は、労務管理用のソフトウェアとタイムレコーダーを入れ、設定した残業時間に達すると知らせる機能で、20時以降に残業をした管理職とその理由を洗い出しました。そのうえで従業員と仕事を分け合ったことで、年間平均で月40時間から50時間ほどあった管理職の残業は、月20時間から30時間に減ったと書かれています。20時以降に残業が生じた日数は90%以上削減できたとされています。
この事例のポイントは、道具を入れたこと自体ではなく、記録によって「誰が、なぜ遅くまで残っているのか」が分かり、仕事の分け方を変えられたことにあります。
事例2:保管の仕方を変えて探す時間をなくした機械器具小売業
宮城県の機械器具小売業の会社(従業員16人)は、お客さまから預かったオフシーズンの自動車タイヤを箱に入れて積み上げて保管していました。下の箱のタイヤを出すには上の箱を動かさなければならず、時間も体の負担もかかっていました。
タイヤ専用のラックを入れて保管の仕方を変えたことで、作業時間が3割以上減り、繁忙期に翌日の作業のために行っていた整理の残業がなくなったとされています。ヒント集には、どのタイヤがどこに保管されているのかが分かりやすくなり、整理整頓が進んだ点も従業員に好評だったと書かれています。物の置き場所が一目で分かるようになることも、立派な見える化です。
事例3:手書きの書類をやめて集計の時間をなくした農業の会社
鳥取県の農業の会社(従業員7人)は、納品書・請求書・領収書を手書きで作っていました。配達員が訪問先で注文を受けて書類を書き、事務員が月末にまとめて精算していたため、どちらにも時間がかかっていました。
書類の発行と管理のシステムを入れたことで、事務員が月末から月初にかけて8時間ほどかけていた集計と発行の作業はほぼゼロになり、配達員の手書きの作業も1日1時間ほど減ったとされています。社内全体では週6時間程度の労働時間が短くなりました。紙に分かれていた情報が1か所に集まり、誰でも見られるようになったことが効いています。
事例4:聞き取りの項目をそろえて見積りを早くした広告業
愛媛県の広告業の会社(従業員4人)は、お客さまの要望を一人ひとり個別に聞き取っていたため、対応や受注の管理に時間がかかっていました。営業管理と自動見積りの仕組みを入れ、お客さまに決まった聞き取りの項目に沿って要望を答えてもらう形にしたところ、作業時間が約44%、見積書の発行の作業時間が約42%減ったとされています。
聞き取りの項目をそろえることは、仕事の中身を言葉にして見える形にすることでもあります。担当者ごとに聞き方が違うと、抜けや確認のやり取りが増えます。項目が決まっていれば、誰が受けても同じ情報が集まります。
事例5:連絡事項を1か所に集めた飲食店と、進み具合を共有したコンサルティング会社
大阪府の飲食店(従業員10人)は、調理機器の導入とあわせて、従業員の間の連絡事項や議事録を一括して管理・共有できる仕組みを入れました。情報の共有と管理にかかる時間が1日1時間減ったとされています。
また、ヒント集の業種別の活用例には、コンサルティング業でクライアントの情報や進捗状況などを共有する仕組みを入れ、情報のすり合わせに使っていた月5時間の作業時間が減った例も載っています。進み具合を口頭やメールで何度も確かめ合っていた時間が、共有の場所を見るだけで済むようになったということです。
事例から分かる、見える化する対象
紹介した事例を並べると、見える化した対象は大きく次の5つに分けられます。
| 対象 | 事例で見えるようにしたもの | 分かるようになったこと |
|---|---|---|
| 時間 | 労働時間の記録 | 誰が、いつ、なぜ遅くまで働いているか |
| 物の場所 | タイヤの保管の仕方 | どこに何があるか |
| 書類と数字 | 納品書・請求書の発行と集計 | 注文と請求の状況 |
| 仕事の中身 | お客さまへの聞き取りの項目 | 何を確かめれば見積りが出せるか |
| 情報と進み具合 | 連絡事項、議事録、案件の進捗 | 今どうなっているか、何が決まったか |
自分の職場で見える化を始めるときも、この5つのどれに困りごとがあるかを考えると、手を付ける場所が決まります。「残業が多い」なら時間、「探し物が多い」なら物の場所、「月末に事務が詰まる」なら書類と数字、「担当によって品質がばらつく」なら仕事の中身、「同じ確認を何度もしている」なら情報と進み具合です。
見える化のメリット
事例から読み取れるメリットを整理すると、次のようになります。
- 無駄が見つかる:探す、待つ、書き直す、確かめ直すといった時間が目に見える
- 負担の偏りが分かる:特定の人に仕事が集中していることが数字で示せる
- 属人化がほどける:手順や判断の基準が共有され、休みや異動に強くなる
- 問題に早く気づける:遅れや抜けが、期限の直前ではなく途中で分かる
- 改善の効果が測れる:取り組みの前後で時間や件数を比べられる
最後の点は見落とされがちですが、大切です。見える化をしておけば、改善の取り組みが本当に効いたのかを、感覚ではなく数字で確かめられます。事例の会社が「何時間減った」と書けるのも、取り組みの前の状態を記録していたからです。
業務の見える化の進め方
業務の見える化は、次の5つの手順で進めます。
手順1:目的を決め、対象の業務を1つ選ぶ
最初に、何のために見える化をするのかを決めます。「残業を減らす」「引き継ぎをしやすくする」「月末の事務の詰まりをなくす」のように、困りごとから目的を決めると、現場の協力も得やすくなります。対象は、困りごとが一番大きい業務を1つだけ選びます。最初から会社のすべての業務を見える化しようとすると、記録の負担ばかりが大きくなり、途中で止まります。
手順2:業務を書き出す
対象の業務を、作業の単位に分けて書き出します。「請求書を作る」なら、「注文の記録を集める」「金額を計算する」「請求書の様式に入力する」「上司が確認する」「送る」のように、1つずつの作業に分けます。担当している人に話を聞きながら書き出すと、手順書にない作業や、人によって違うやり方が見つかります。
手順3:時間と担当を記録する
書き出した作業ごとに、誰が担当し、どれくらいの時間がかかっているかを記録します。1週間から2週間ほど記録すると、日によるばらつきも含めた実態が見えてきます。記録は細かすぎると続かないため、15分か30分単位で十分です。
記録を頼むときは、なぜ記録するのか、記録した数字を何に使うのかを最初に説明します。「請求書の作業のどこに時間がかかっているかを知り、月末の残業を減らすため」と伝えれば、記録する人も意味を感じながら続けられます。記録の様式は、日付、作業の名前、始めた時刻と終えた時刻、気づいたことの4つ程度の欄にとどめ、気づいたことの欄には「資料を探すのに時間がかかった」「確認の返事を待っていた」のような一言を書いてもらいます。この一言が、後で課題を見つけるときの大きな手がかりになります。
手順4:流れを図にし、課題を見つける
作業の順番と担当を、業務の流れの図にします。四角で作業、ひし形で判断、矢印で流れを表し、担当者や部署ごとに列を分けると、どこで仕事が止まっているか、どこで同じ作業を繰り返しているかが見えてきます。記録した時間と合わせて見ると、時間がかかっている作業、待ち時間が長い作業、1人に集中している作業が分かります。
手順5:改善し、効果を確かめる
見つかった課題の中から、すぐに手を付けられるものを選んで改善します。改善の後も同じ方法で記録を続け、手順3の時間と比べます。効果が出ていれば次の課題へ、出ていなければやり方を変えます。この繰り返しが、見える化を一度きりの取り組みで終わらせないための仕組みになります。
業務の流れの図の書き方の例
手順4の流れの図は、具体的な業務に当てはめると書き方がつかみやすくなります。例えば、営業担当が受けた注文から請求書を送るまでの流れを図にする場合、まず横に「営業」「事務」「上司」の3つの列を作ります。営業の列に「注文を受ける」「注文の内容を事務に伝える」、事務の列に「請求書を作る」、上司の列に「金額を確認する」というひし形の判断、そこから「差し戻す」と「承認する」の2本の矢印を書き、最後に事務の列に「請求書を送る」を書きます。
この図に、記録した時間を書き込みます。「注文の内容を事務に伝える」に平均1日、「金額を確認する」に平均2日かかっていると分かれば、作業そのものより待ち時間のほうが長いことが見えてきます。さらに、差し戻しの矢印が月に何回通っているかを数えると、伝え方や様式に原因があるのかどうかの手がかりになります。図は最初から整えて描く必要はなく、ホワイトボードや紙に手で描いたものを写真に撮って共有するだけでも十分に役立ちます。
部署や仕事の種類ごとの見える化の例
事例では業種ごとの取り組みを紹介しましたが、同じ会社の中でも、部署や仕事の種類によって見える化したほうがよい対象は変わります。ここでは、よくある部署ごとに、何を見える化すると効果が出やすいかを紹介します。
営業
営業では、お客さまごとの商談の進み具合を見える化すると効果が出やすくなります。「初回の連絡」「提案」「見積り」「契約」のように商談の段階を決め、どの案件がどの段階にあるかを一覧にすると、止まっている案件や、次に連絡すべき相手が分かります。担当者が休んだときにも、他の人が案件の状況を把握してお客さまに対応できます。
経理と総務
経理や総務では、月末や年度末に仕事が集中しがちです。毎月の作業を「いつ、誰が、何をするか」の一覧にし、締め日から逆算した予定を見える化すると、どこで作業が詰まっているかが分かります。事例3のように、紙の書類を電子化して集計の手間をなくすことも効果が大きい取り組みです。
お客さま対応の窓口
問い合わせや苦情の対応をする窓口では、受けた件数と、対応にかかった時間、解決までの日数を記録すると、同じ種類の問い合わせが多いことや、特定の担当者に難しい対応が集中していることが見えてきます。多い問い合わせへの答えをまとめて共有すれば、誰が受けても同じ答えを返せるようになります。
制作や企画のチーム
デザインや文章、映像の制作、企画のチームでは、1つの仕事に複数の人が関わり、確認と修正を何度も繰り返します。作業ごとに「担当」「期限」「確認待ちかどうか」を見える化すると、誰の確認で止まっているのかがはっきりし、期限の直前に慌てることが減ります。
テレワークのチームで見える化を進めるとき
テレワークやフレックスの勤務が中心のチームでは、隣の席の様子から仕事の状況を察することができないため、見える化の大切さがいっそう増します。一方で、見える化の取り組みが「さぼっていないかの確認」と受け取られやすい面もあります。
テレワークのチームで見える化を進めるときは、記録の対象を「働いている時間」より「仕事の進み具合」に寄せるのがコツです。何時から何時までパソコンの前にいたかを細かく記録するより、今日終わらせた作業と、明日取りかかる作業、困っていることを共有するほうが、チームの役に立ちます。朝と夕方に1行ずつ書き込むだけの簡単な共有から始めると、負担も小さく続けやすくなります。
また、テレワークでは、チャットでの小さな確認が増えがちです。決まったことや確認の結果をチャットの流れの中だけに残すと、後から探すのに時間がかかります。作業ごとに情報をまとめる場所を決め、決まったことはそこに書き残すルールにすると、事例5のように確認に使う時間を減らせます。
Excelや紙から始める見える化の方法
業務の見える化は、高価なシステムを入れなくても始められます。むしろ、最初は手元の道具で始め、何を記録すれば役立つのかが分かってから道具を選ぶほうが失敗が少なくなります。
紙とホワイトボード
同じ場所で働くチームなら、ホワイトボードに「やること」「やっている」「終わった」の3つの列を書き、付箋に作業を1つずつ書いて貼る方法が手軽です。付箋を列の間で動かすだけで、誰が何をしているか、どこに仕事がたまっているかがひと目で分かります。この「カンバン方式」と呼ばれるやり方は、製造の現場で生まれ、事務の仕事にも広く使われています。
Excelやスプレッドシート
作業の記録を残したいときは、Excelやスプレッドシートで表を作ります。列は「日付・担当・作業・かかった時間・備考」の5つ程度で十分です。1週間分の記録がたまったら、ピボットテーブルという集計の機能で担当別や作業別の時間を合計すると、どこに時間がかかっているかが分かります。ピボットテーブルとは、表のデータを項目ごとに自動で集計し直す機能のことです。
スプレッドシートは、複数の人が同じ表に同時に書き込めるため、離れた場所で働くチームでも使えます。ただし、書き込む人が増えると、誰がどこを直したか分からなくなったり、列の使い方が人によってずれたりします。入力のルールを1枚にまとめて共有しておくと、表が崩れにくくなります。
手元の道具で始めるときの注意
紙やExcelで始める場合も、「誰が記録を更新するのか」を決めておくことが大切です。担当が決まっていないと、最初の1週間は全員が書き込んでも、2週間目から更新が止まります。週に1回、10分ほどの時間を取って表をみんなで見る場を作ると、記録が続きやすくなります。
業務の見える化に役立つツールの選び方
手元の道具で限界を感じたら、見える化のためのツールを検討します。ツールは、見える化したい対象によって選びます。
| 見える化したい対象 | 向いているツールの種類 |
|---|---|
| 労働時間 | 勤怠管理のシステム、タイムレコーダー |
| 作業の進み具合と担当 | タスク管理・プロジェクト管理のツール |
| 手順や知識 | マニュアル作成のツール、社内の情報共有の仕組み |
| 書類と数字 | 販売管理・会計のシステム |
| 連絡と決定事項 | ビジネスチャット、グループウェア |
選ぶときに確かめること
- 現場の人が毎日使えるか:入力の手間が大きいツールは使われなくなる
- スマートフォンからも使えるか:外回りや現場の人がいる職場では欠かせない
- 無料で試せる期間や範囲があるか:実際に使ってから決められる
- 今使っている道具から移しやすいか:表や付箋の内容をそのまま移せるか
- 費用が人数に応じてどう変わるか:人数が増えたときの負担を見ておく
作業の進み具合と担当を見える化する道具
紹介した事例のうち、連絡事項や進み具合の共有で時間が減った例のように、チームの作業の進み具合と担当を見える化したい場合は、作業をカードにして列の間で動かすタスク管理の道具が向いています。ホワイトボードと付箋のやり方を、離れた場所からでも見られる形にしたものだと考えると分かりやすいでしょう。
無料から試せる候補の1つがPinatecaです。公式サイトによると、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストなど8種類のボードが無料プランから使え、その中には人やチームごとに仕事の負荷の偏りを見るリソースボードも含まれます。カードには見積工数や優先度のような項目をカスタムフィールドとして追加でき、ボードごとのチャットやカードへのコメントで、決まったことを作業のすぐ隣に残せます。5人までのチームなら期限なしで無料で、ボードは10個まで作れます。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランで、料金は1人あたり月額500円(年払いなら1人あたり月額400円、税抜)です。業務委託の人の稼働を記録する機能は、1人あたり月額980円(税抜)の追加のオプションになっています。勤怠の打刻や給与の計算をする道具ではないため、労働時間の見える化には勤怠管理のシステムを別に使います。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
業務の見える化のデメリットと、よくある失敗
業務の見える化には、注意しておきたいデメリットもあります。
デメリット
- 記録の手間が増える:本来の仕事の時間が削られる
- 監視されていると感じる人が出る:記録の目的が伝わっていないと反発を招く
- 数字だけが一人歩きする:時間がかかっている理由を見ずに、人を評価する材料にされる
特に2つ目と3つ目は、見える化の取り組みそのものを止めてしまうことがあります。見える化は、人を責めるためではなく、仕事の仕組みを直すためのものだと、始める前に現場に伝えておくことが大切です。
よくある失敗
| 失敗 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 最初から全業務を対象にする | 記録が多すぎて続かない | 困りごとの大きい業務1つから始める |
| 見える化そのものが目的になる | 表や図はできたが何も変わらない | 改善の目標を先に決める |
| ツールを先に入れる | 現場に合わず使われない | 紙や表で試してから選ぶ |
| 現場に相談せずに始める | 正しい記録が集まらない | 担当者と一緒に業務を書き出す |
| 一度作って更新しない | 情報が古くなり信用されなくなる | 更新する人と日を決める |
失敗の多くは、見える化を「導入すれば終わり」の取り組みとして扱うことから起きます。見える化は、見えたことをもとに仕事を変え、その結果をまた見るという繰り返しの中で効果が出るものです。
業務の見える化を続けるコツ
見える化は、始めることより続けることのほうが難しい取り組みです。続けるためのコツを紹介します。
小さな成果を早く見せる
最初の1か月で、「探す時間が減った」「月末の残業が1日短くなった」のような小さな成果を出し、チームに共有します。成果が見えると、記録の手間を負担と感じにくくなります。事例の会社が書いているような時間の削減も、最初は小さな改善の積み重ねから始まっています。
記録の手間を減らし続ける
記録の項目は、使っていないものから減らします。「この列は誰も見ていない」と分かったら、思い切って外します。入力を選択式にする、スマートフォンから入力できるようにする、といった工夫も効きます。
定期的に見る場を作る
週に1回の朝会や月に1回の会議で、見える化した表やボードを一緒に見る時間を作ります。見る場がないと、記録はたまるだけで使われません。見る場では、遅れている作業の担当者を責めず、「どうすれば進められるか」を一緒に考える姿勢を保ちます。
現場の声を拾う
事例の会社の多くは、従業員からの要望や指摘がきっかけで取り組みを始めています。タイヤの出し入れの負担や、残業の多さについての声が、改善の出発点になりました。見える化を続けるうえでも、記録をしている現場の人の意見を定期的に聞き、やり方を見直します。
見えた課題を改善につなげる考え方
見える化で課題が見つかっても、どう直せばよいか迷うことがあります。そのときに役立つのが、改善の案を「なくす」「まとめる」「順番を入れ替える」「簡単にする」の4つの順番で考える方法です。製造の現場で使われてきた考え方で、頭文字を取ってECRSと呼ばれることもあります。
最初に考えるのは、その作業をなくせないかです。誰も見ていない報告書や、二重に入力している記録は、やめても困らないことがあります。なくすのが一番効果が大きく、費用もかかりません。
次に、まとめられないかを考えます。別々の人が別々の表に同じ情報を書いているなら、1つの表にまとめます。何度にも分けて行っている確認を、1回にまとめられることもあります。
その次に、順番を入れ替えられないかを考えます。上司の確認を最後にまとめて受けるより、途中で一度受けたほうが、差し戻しによる手戻りが減ることがあります。
最後に、簡単にできないかを考えます。入力を選択式にする、様式を統一する、道具や機械を入れるといった方法です。事例の会社の多くは、この段階で機器やシステムを入れていますが、その前に「なくす」「まとめる」を考えておくと、余計な費用をかけずに済みます。
この順番で考えると、いきなりツールを入れるより先に、手元でできる改善が見つかることが多くあります。改善の案が決まったら、誰がいつまでに何をするかを決め、効果を確かめる日もあらかじめ決めておきます。
外部の専門家と進める業務の見える化
業務の見える化は、社内だけで進めることもできますが、業務の流れの整理やツールの選定に慣れた外部の専門家の力を借りる会社も増えています。在宅ワークやフリーランスの仲介を20年以上続けてきた運営者として見てきた限りでは、業務の整理や仕組みづくりの相談は、規模の小さな会社ほど外部に頼むことが多い仕事です。社内に専任の担当者を置く余裕がないからです。
外部に頼むときは、最初から大きな仕組みを作ってもらうのではなく、「対象の業務1つの流れを図にしてもらう」「記録の表の様式を作ってもらう」のように小さく区切って頼むと、費用と成果の見通しが立てやすくなります。業務の改善やAIの活用を支援する仕事については、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で、どんな相談が受けられているかを紹介しています。見える化した業務の一部を仕組みにしたい場合は、アプリケーション開発のお仕事のように、小さな業務アプリを作る人に頼む方法もあります。
経営全体の課題から業務の見直しを考えたいときは、中小企業の経営の診断と助言を専門とする中小企業診断士に相談する方法があります。製造業で見える化からAIの活用まで進めたい場合は、製造業のAI活用ガイド2026|人手不足を解消する5つの導入事例で導入の例を紹介しています。
運営者として見てきた傾向として、外部の専門家との仕事がうまくいく会社は、頼む前に自社の業務を少しでも書き出しています。何に困っているのかが言葉になっていれば、専門家は短い時間で的確な提案を返せます。仲介の手数料がかからない手数料0%の直接のやり取りであれば、同じ予算でも頼める範囲が広がり、受ける側の手取りも厚くなるため、継続して相談できる関係を作りやすくなります。
よくある質問
Q. 業務の見える化は何から始めればよいですか?
困りごとが一番大きい業務を1つ選び、その業務を作業の単位に分けて書き出すところから始めます。次に、作業ごとの担当とかかった時間を1週間から2週間ほど記録すると、どこに時間がかかっているか、誰に負担が偏っているかが見えてきます。最初から全業務を対象にすると記録が続かないため、小さく始めるのがコツです。
Q. 業務の見える化にツールは必要ですか?
必ずしも必要ではありません。同じ場所で働くチームならホワイトボードと付箋、記録を残したいならExcelやスプレッドシートで十分に始められます。手元の道具で何を記録すれば役立つかが分かってから、労働時間なら勤怠管理のシステム、作業の進み具合ならタスク管理の道具というように、対象に合ったツールを選ぶと失敗が少なくなります。
Q. 見える化で「監視されている」と感じる人がいたらどうすればよいですか?
始める前に、見える化は人を評価したり責めたりするためではなく、仕事の仕組みを直すためのものだと伝えます。記録した数字を個人の評価に使わないこと、改善の案は現場の意見をもとに決めることを約束し、実際にそのとおり運用します。小さな改善の成果を早めに共有すると、取り組みへの理解も得やすくなります。
Q. 業務の見える化の効果はどうやって測ればよいですか?
取り組みの前の状態を記録しておき、改善の後も同じ方法で記録を続けて比べます。作業にかかった時間、残業の時間、探し物や確認のやり取りの回数など、目的に合った数字を1つか2つ決めておくと比べやすくなります。前の状態を記録していないと効果が測れないため、改善より先に記録を始めることが大切です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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