作業の標準化とは|手順をそろえて品質を保つ方法


この記事のポイント
- ✓作業の標準化とは何かを
- ✓マニュアル化や効率化との違いから解説します
- ✓作業手順書の書き方と記入例
同じ作業なのに、担当する人によって仕上がりが違う。ベテランが休むと仕事が止まる。新しく入った人に教えるたびに、教える人ごとに言うことが違う。こうした悩みを解決する方法としてよく挙がるのが、作業の標準化です。言葉は聞いたことがあっても、作業の標準化とは具体的に何をすることなのか、マニュアルを作ることと何が違うのかは、意外とはっきりしないものです。
作業の標準化とは、ある作業について「今いちばん良いと分かっているやり方」を決め、誰がやっても同じ品質と時間で仕上がるように、手順と基準をそろえることです。マニュアルを作るのはその手段の1つで、標準化の本体は「やり方を決めて、そろえて、見直し続ける」仕組みのほうにあります。この記事では、標準化の意味、似た言葉との違い、得られることと注意点、進め方の手順、作業手順書の書き方と記入例、職場ごとの例、定着させるコツまでを順に説明します。標準化した作業の担当と期限をチームで共有する方法として、Pinatecaのようなボード型の管理サービスを使う方法も紹介します。
作業の標準化とは
標準化という言葉は、もともと製品や部品の規格をそろえる意味で広く使われてきました。経済産業省は、一般向けの説明で標準化を次のように定義しています。
標準化とは、「もの」や「事柄」の単純化、秩序化、試験・評価方法の統一により、製品やサービスの互換性・品質・性能・安全性の確保、利便性を向上するものです。 出典: 経済産業省「標準化・認証 一般の方へ」
ねじの大きさや乾電池の形がそろっているから、どの店で買っても同じように使える。これが製品の標準化です。作業の標準化は、同じ考え方を職場の仕事に当てはめたものです。作業の手順や判断の基準をそろえることで、誰がやっても同じ品質で仕上がり、仕事の受け渡しもしやすくなります。
標準作業と作業標準
作業の標準化を調べると、「標準作業」と「作業標準」という似た言葉が出てきます。使い分けは職場によって違いますが、一般的には次のように使われています。
- 作業標準:作業の手順、使う道具、品質の基準、注意点などを決めたもの。それを書いた文書を作業標準書や作業手順書と呼ぶ
- 標準作業:決められた手順と時間で、決められた量を仕上げる作業そのもの。主に工場などで、作業の順番と時間を細かく決めたものを指す
事務やサービスの仕事では、この2つを厳密に分けず、「手順と基準を決めて、そのとおりにやること」をまとめて標準化と呼ぶことがほとんどです。
標準は「いちばん良いやり方」の今の版
大事なのは、標準は一度決めたら変えないものではないという点です。今の時点でいちばん良いと分かっているやり方を標準にし、もっと良いやり方が見つかったら標準を書き換えます。標準があるからこそ、「今のやり方と比べて、新しいやり方のほうが良いか」を確かめられます。標準化は改善の出発点です。
マニュアル化・効率化・自動化との違い
作業の標準化と似た言葉はいくつもあります。混同すると、何をすればよいのかがぼやけてしまうので、違いを整理します。
| 言葉 | 意味 | 標準化との関係 |
|---|---|---|
| 標準化 | やり方を決めてそろえ、見直し続けること | 本体 |
| マニュアル化 | 決めたやり方を文書にすること | 標準化の手段の1つ |
| 効率化 | 同じ成果を少ない時間や費用で出すこと | 標準化の後で取り組みやすくなる |
| 自動化 | 人がしていた作業を機械やソフトに任せること | 手順が決まっていないと自動化できない |
| 属人化の解消 | 特定の人しかできない状態をなくすこと | 標準化の目的の1つ |
マニュアルを作っても、人によってやり方が違うままなら標準化はできていません。逆に、文書がなくても、全員が同じやり方で作業し、変えるときは全員で変えているなら、標準化はできていると言えます。また、手順が人によってばらばらな作業は、ソフトに任せようとしても、どの手順を任せればよいか決まりません。自動化やシステムの導入を考えている職場ほど、先に標準化が必要です。
標準化で得られること
作業を標準化すると、職場にはいくつもの良い変化が起きます。
品質がそろう
手順と基準がそろうので、担当する人によって仕上がりが変わることが減ります。お客様から見れば、誰が対応しても同じ品質のサービスを受けられるようになります。
新しい人が早く仕事を覚えられる
教える内容が決まっているので、教える人によって言うことが変わりません。新しく入った人は、手順書を見ながら1人で作業を進められる時間が早く来ます。会計ソフトを提供するマネーフォワードの解説でも、次のように書かれています。
また、業務標準化に取り組めば「やるべきこと」が明確となるため、メンバーの業務経験に関係なく安定したアウトプットを残せるようになります。その結果、人件費などのコスト削減をすすめることができるでしょう。 出典: biz.moneyforward.com
休みや異動に強くなる
特定の人しかできない作業がなくなるので、担当者が休んだり異動したりしても仕事が止まりません。急な体調不良や家族の事情で休むときも、周りが手順書を見て代わりに進められます。
問題に気づきやすくなる
決まったやり方があると、そこから外れたことが起きたときにすぐ気づけます。仕上がりが悪かったときも、手順のどこで何が起きたのかをたどりやすくなります。
改善の土台になる
先に書いたとおり、標準があるから改善ができます。「この手順を変えたら、時間がどれくらい短くなったか」を比べるには、比べる元になるやり方が決まっていなければなりません。
標準化の注意点とデメリット
良いことばかりではありません。進め方を誤ると、かえって職場の雰囲気や品質を損なうことがあります。
作業が単調になりやすい
手順が細かく決まりすぎると、考える余地がなくなり、作業が単調になります。前出の解説でも、この点が注意として挙げられています。
マニュアル化された業務は単調な作業になることが多く、マンネリ化しやすいものです。 単調な作業を繰り返し行う状態が続けば、社員が不満を感じ、モチベーションが低下する可能性が高くなるでしょう。 出典: マネーフォワード クラウド「業務標準化とは?」
これを防ぐには、標準を作るときに現場の人に参加してもらい、改善の提案を受け付ける仕組みを用意することです。決められたことをこなすだけでなく、より良いやり方を考えて標準を書き換える役割を持てれば、作業に張り合いが出ます。
慣れた人ほど反発しやすい
長く同じ仕事をしてきた人にとって、自分のやり方を変えることは不安です。いきなり「今日からこのやり方で」と決めると、反発を招きます。最初は、現場で最もうまくいっている人のやり方を聞き取って、それを標準の下書きにするのが効果的です。自分のやり方が認められたと感じれば、協力も得やすくなります。
標準にしすぎると例外に弱くなる
すべての作業を細かく決めようとすると、手順書が分厚くなり、誰も読まなくなります。また、想定していない例外が起きたときに、手順書に書いていないからと動けなくなることもあります。標準にするのは、繰り返し発生して、品質や時間のばらつきが問題になっている作業から始めます。例外の扱いは「こういうときは誰に相談する」と書いておくだけでも十分です。
作って終わりになる
手順書を作った時点で満足してしまい、現場の実際のやり方と手順書がずれていくのは、とてもよくある失敗です。後で書く見直しの仕組みを最初から決めておきます。
作業の標準化の進め方
作業の標準化は、次の6つの手順で進めると、現場の負担を抑えながら定着させやすくなります。
- 対象の作業を選ぶ。繰り返し発生する、品質や時間のばらつきが大きい、特定の人しかできない、のどれかに当てはまる作業から選びます。最初は1つか2つに絞ります
- 今のやり方を調べる。担当している人に実際にやってもらい、手順と時間を記録します。複数の人が担当しているなら、人ごとのやり方の違いも書き出します
- いちばん良いやり方を決める。人ごとのやり方を比べ、品質が良く、時間が短く、間違いが起きにくいやり方を選びます。良いところを組み合わせることもあります
- 手順書にする。決めたやり方を、誰が読んでも同じように作業できる形で書きます。書き方は次の節で説明します
- 試してから広げる。何人かに手順書のとおりにやってもらい、分かりにくい部分や抜けている部分を直します。それから全員に広げます
- 見直しの時期を決める。半年に1回など、手順書を見直す時期と担当者を決めておきます
2番目の「今のやり方を調べる」では、作業している様子を動画で撮っておくと便利です。担当者が無意識にやっている小さな動作や確認が、後から見返すと見つかります。
3番目では、時間の短さだけで選ばないことが大切です。速くても間違いが多いやり方は、やり直しの時間を含めると結局遅くなります。品質、時間、安全、間違いの起きにくさの順に比べるのが基本です。
上手な人のやり方を聞き取るときの質問
進め方の2番目と3番目で、いちばん時間がかかるのが、上手な人のやり方を言葉にする作業です。長く同じ仕事をしてきた人ほど、自分が何を気にして作業しているかを意識していません。「どうやっていますか」と聞くだけでは、「普通にやっているだけです」という答えが返ってきがちです。聞き取りでは、質問の形を工夫すると、隠れている手順や判断が出てきます。
順番を聞く質問
- 作業を始める前に、最初に何を確かめますか
- その次に何をしますか。そこで迷うことはありますか
- 作業が終わったと判断するのは、何を見たときですか
順番を1つずつ聞くと、本人が当たり前だと思って省いている確認が見つかります。最後の「終わったと判断するのは何を見たときか」は、そのまま品質の基準になります。
失敗を聞く質問
- この作業で、過去にどんな間違いが起きましたか
- 新しい人がよく間違えるのはどこですか
- 間違いに気づくのは、どの時点ですか
失敗の話からは、手順書の「急所」が見つかります。過去に起きた間違いと、その後に付け加えた確認は、上手な人のやり方の中でも特に価値のある部分です。
例外を聞く質問
- いつもと違うことが起きるのは、どんなときですか
- そのとき、誰に相談しますか。自分で判断することはありますか
例外の扱いは、手順書に書くかどうかを決める材料になります。年に1回しか起きない例外まで細かく書く必要はありませんが、相談先だけは書いておきます。
聞き取りは、作業をしている横で見ながら行うのがいちばん確実です。話を聞くだけだと、言葉にならない動作が抜け落ちます。翻訳の仕事でも、経験の長い人ほど訳文を読み返す回数や順番に独自の決まりを持っていて、横で見ていて初めて分かることが多くあります。聞き取った内容はその日のうちに下書きにし、本人に読んでもらって「この順番で合っているか」を確かめます。
作業手順書の書き方
標準化した作業は、作業手順書にまとめます。誰が読んでも同じように作業できることが目標です。
手順書に入れる項目
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 作業名 | 何の作業か。他の作業と区別できる名前 |
| 目的 | その作業が何のためにあるのか |
| 担当と頻度 | 誰が、いつ、どれくらいの頻度でやるか |
| 準備するもの | 道具、資料、システム、権限 |
| 手順 | 作業の順番。1つの手順に1つの動作 |
| 急所 | 品質や安全を左右する大事な点と、その理由 |
| 品質の基準 | 仕上がりが合格かどうかを判断する基準 |
| 例外の扱い | いつもと違うことが起きたときの対応と相談先 |
| 改訂の記録 | いつ、誰が、何を変えたか |
「急所」とは、その手順の中で、間違えると品質や安全に大きく響く点のことです。製造の現場で人に仕事を教える手法の中で使われてきた言葉で、事務の仕事にもそのまま使えます。手順を並べるだけでなく、「なぜそうするのか」という理由を急所として添えると、作業する人が意味を分かったうえで手順を守れます。
記入例:受注の入力
- 作業名:通販の注文を受注の管理表に入力する
- 目的:注文の内容を正しく倉庫に伝え、間違った商品を送らないようにするため
- 担当と頻度:受注担当。毎日、午前10時と午後3時の2回
- 準備するもの:受注の管理表、通販サイトの管理画面のアカウント
- 手順:1. 管理画面で新しい注文を開く 2. 注文番号、商品、数量、届け先を管理表に写す 3. 入力した行の数と、管理画面の新しい注文の数が同じか確かめる 4. 倉庫の担当に、入力が済んだことをチャットで知らせる
- 急所:手順3の数の確かめ。過去に、1件の写し漏れで発送が1日遅れたことがある
- 品質の基準:管理表と管理画面の注文の数が一致し、届け先の郵便番号に誤りがない
- 例外の扱い:届け先の住所が不完全な注文は入力せず、受注の責任者に相談する
記入例:商品の梱包
- 作業名:小さな商品の梱包
- 目的:商品を傷つけずに、決められた大きさの箱で送るため
- 手順:1. 商品を緩衝材で1周包む 2. 箱の底に緩衝材を敷く 3. 商品を入れ、すき間に緩衝材を詰める 4. 納品書を上に載せて封をする
- 急所:手順3で箱を軽く振って、中で商品が動かないことを確かめる。動くと配送中に傷が付く
- 品質の基準:箱を振っても音がしない。封のテープが箱の端から端まで貼られている
分かりやすく書くコツ
- 1つの手順には1つの動作だけを書く
- 「適宜」「なるべく」「きちんと」のような、人によって受け取り方が違う言葉を使わない
- 数字で書ける基準は数字で書く(「少し」ではなく「1cm」)
- 画面の写真や完成品の写真を付ける
- 文字が多くなる作業は、短い動画を付ける
職場ごとの標準化の例
標準化は製造の現場だけのものではありません。職場ごとの例を挙げます。
事務の仕事
請求書の発行、経費の精算、データの入力など、毎月決まった時期に発生する作業が標準化に向いています。作業の締め切りと、誰の確認を受けるかを手順の中に書くのがポイントです。表計算のファイルを使う作業は、入力する欄の形式(日付の書き方、全角と半角など)まで決めておくと、後でデータを集めるときの手間が減ります。
製造や倉庫の現場
部品の組み立て、検品、ピッキング(倉庫の棚から注文の商品を取り出す作業)などが代表的です。作業の順番と時間に加えて、安全のための注意点を急所として必ず書きます。道具や部品の保管場所を決め、使った後に元の場所に戻すことも標準の一部です。
飲食や店舗
料理の盛り付け、開店と閉店の準備、レジの締め、お客様への声かけなどが対象になります。完成した料理の写真を手順書に付けると、盛り付けの量や見た目がそろいます。接客の言葉は、一字一句決めるより、「最初に何を伝え、最後に何を確かめるか」の流れを決めるほうが、自然な対応になります。
病院や診療所の受付と会計
病院や診療所の受付では、初めて来た患者の受付、保険証やマイナ保険証の確認、会計、次の予約の取り方など、毎日同じ流れの作業が続きます。担当者によって確認の順番が違うと、確認の漏れが起きたり、患者を待たせる時間が人によって変わったりします。受付から会計までの流れを1枚の表にし、各段階で確かめることを決めておくと、混み合う時間帯でも対応がそろいます。患者の個人情報を扱うので、書類の受け渡しや画面の扱いで守ることも手順の中に書きます。医療事務の仕事の基礎を体系的に学びたい人には、医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)という資格もあり、受付や会計の実務の知識を確かめられます。
在宅で働くチーム
在宅で働くチームでは、作業している様子が互いに見えないので、標準化がなおさら大事です。ファイルの名前の付け方、保存する場所、作業が終わったときの報告の仕方、締め切りの前に途中の状態を共有する時期などを決めておくと、確認のやりとりが減ります。
たとえばファイルの名前なら「日付_案件名_版」の順にそろえると決めておけば、共有のフォルダを開いたときに、どれが最新の版かがすぐに分かります。報告も「終わったこと、まだのこと、困っていること」の3つを書く形に決めておくと、受け取る側は読み落としが減り、チャットで聞き返す回数も少なくなります。
翻訳や文章の仕事
翻訳や記事の執筆のように、一見すると標準化しにくい仕事にも、そろえられる部分はあります。用語の訳し方をまとめた用語集、表記のルール(数字や記号の書き方、送り仮名の付け方)、納品前の確認の手順などです。複数の人が同じ案件を分担するときは、こうした標準がないと、文書の中で表記がばらばらになります。
標準を定着させるコツ
手順書を作っても、現場で使われなければ意味がありません。定着させるためのコツを挙げます。
- 作る段階から現場の人に参加してもらう。自分たちで作った標準は守られやすい
- 手順書は作業する場所のすぐ近くで見られるようにする。紙なら作業台の横、画面なら共有のフォルダのすぐ開ける場所
- 最初の数週間は、上司や指導役が作業を見て、手順書とのずれを確かめる
- 手順書のとおりにやってうまくいかなかったときは、作業する人を責めるのではなく、手順書を直す
- 改善の提案を気軽に出せる仕組みを作る。提案が採用されたら、提案した人の名前を改訂の記録に残す
特に大事なのは4番目です。手順書のとおりにやって失敗したのに作業する人が責められると、誰も手順書を信用しなくなり、自分のやり方に戻ってしまいます。
見直しの仕組みを最初に決める
標準化は、決めたら終わりではなく、見直し続けることで価値が出ます。見直しの仕組みを最初に決めておきます。
見直しの時期と担当
半年に1回、または年に1回など、定期的に見直す時期を決めます。担当者も決めておきます。担当が決まっていないと、誰も見直さないまま時間がたちます。
臨時に見直すきっかけ
定期の見直しに加えて、次のようなことが起きたら臨時に見直します。
- 使っているシステムや道具が変わった
- 同じ種類のミスが続けて起きた
- 現場から改善の提案が出た
- 作業の量が大きく変わった
改訂の記録を残す
手順書を直したら、いつ、誰が、何を、なぜ変えたのかを記録に残します。記録があると、後で「前のやり方に戻したほうがよいのでは」という話になったときに、なぜ変えたのかを確かめられます。古い版の手順書は、新しい版と混ざらないように、別の場所に分けて保存します。
標準化の効果を確かめる方法
標準化に取り組んだら、本当に良くなったのかを数字で確かめます。確かめないまま続けると、「手順書を作る手間が増えただけ」という声が出たときに、続ける理由を説明できません。難しい計算は必要なく、始める前と始めた後で同じものを数えるだけで十分です。
数えるもの
| 見るもの | 数え方の例 | 分かること |
|---|---|---|
| 作業の時間 | 1件あたりにかかった時間を、担当者ごとに記録する | 時間のばらつきが減ったか |
| 間違いの数 | やり直しや差し戻しになった件数を、月ごとに数える | 品質がそろったか |
| 問い合わせの数 | 作業中に先輩や上司へ質問した回数を数える | 手順書だけで作業できているか |
| 覚えるまでの日数 | 新しい人が1人で作業できるようになるまでの日数 | 教える負担が減ったか |
全部を数える必要はありません。標準化の目的に合うものを1つか2つ選びます。品質のばらつきが悩みなら間違いの数を、新しい人の教育が悩みなら覚えるまでの日数を見ます。
比べる期間をそろえる
始める前の数字は、標準化に取りかかる前の1か月から3か月の記録を使います。記録が無い場合は、取りかかる前に1か月だけ数えてから始めます。比べるときは、繁忙期と閑散期を比べないように、同じくらいの作業量の時期どうしで比べます。
数字が良くならなかったとき
数字が良くならなかったときは、手順書が守られていないのか、手順書そのものに問題があるのかを分けて考えます。現場で作業を見て、手順書どおりにやっているのに間違いが減らないなら、手順書を直します。手順書どおりにやっていないなら、なぜ守れないのかを作業する人に聞きます。読みにくい、作業の場所から見えない、手順が実際の作業と合っていない、といった理由が出てくれば、それが次の改訂の材料になります。数字は人を評価するためではなく、手順書を良くするために使うものだと、最初に全員に伝えておくことが大切です。
標準化がうまくいかない職場に共通すること
作業の標準化に取り組んでも、思うように進まない職場があります。進まない理由には、いくつかの共通する形があります。始める前に知っておくと、同じつまずきを避けられます。
目的が伝わっていない
「手順書を作るように」とだけ指示されると、現場は何のために作るのかが分からず、形だけの文書ができあがります。品質をそろえたいのか、新しい人の教育を楽にしたいのか、休みを取りやすくしたいのか。目的によって、手順書に書くべき細かさも変わります。始める前に、目的を1つの文で全員に伝えます。
作る人の時間が確保されていない
手順書づくりを、ふだんの仕事の合間にやるように頼むと、忙しい時期には必ず後回しになります。1つの作業の手順書を作るには、聞き取りと下書きと試しを合わせて、少なくとも数時間はかかります。作る人と期限を決め、その時間はふだんの仕事を減らすように調整します。
一度に全部やろうとする
職場のすべての作業を一度に標準化しようとすると、途中で息切れします。最初の1つか2つで成果が出ると、他の作業に広げるときに協力を得やすくなります。小さく始めて、うまくいったやり方を次の作業にも使う順番が確実です。
管理する人だけが手順書を持っている
手順書が管理する人のパソコンにだけ保存されていて、作業する人がすぐに開けない職場もあります。作業する人が開けない手順書は、無いのと同じです。保存する場所を決め、全員がすぐに開けるようにします。共有のフォルダに保存するなら、フォルダの名前とファイルの名前の付け方もそろえておくと、探す時間がかかりません。
例外が来るたびに手順書が膨らむ
例外が起きるたびに手順書へ書き加えていくと、本来の手順が埋もれて読みにくくなります。例外の扱いは手順書の最後に別の欄を設けて分け、本文の手順は短いまま保ちます。同じ例外が何度も起きるようになったら、それはもう例外ではありません。見直しの時期に、本文の手順へ組み込むかどうかを話し合います。
標準化を進めるときの道具
紙、Word、Excel、動画で始められる
作業の標準化に、特別なソフトは必要ありません。手順書はWordやGoogleドキュメントで、作業の一覧や見直しの予定はExcelやGoogleスプレッドシートで十分に作れます。スマートフォンで作業の様子を撮った短い動画も、手順書を補う材料になります。
標準化の取り組みそのものを管理するとき
対象の作業が10個、20個と増えてくると、「どの作業の手順書を誰が作っていて、いつまでに仕上げるのか」「どの手順書がいつ見直しの時期を迎えるのか」を追うのが大変になります。表1枚で管理していると、担当者が多くなるほど更新が追いつかなくなります。
こうした場面では、1つの作業の手順書づくりを1枚のカードにして、担当と期限と進み具合を共有できる道具を使うと見通しがよくなります。選択肢の1つが、Pinatecaです。Pinatecaはボードで仕事を進めるプロジェクト管理のサービスで、公式の使い方ガイドによると、カードには担当者、開始日と終了日、チェックリスト、説明、画像やPDFや動画などの添付、コメントを付けられます。終了日を過ぎたカードは赤く表示され、チェックリストの進み具合がカードの表に出ます。また、ボードには文字・数値・日付・選択肢などの項目を自分で追加でき、決まった情報を毎回同じ場所に記録できると説明されています。
たとえば「下書き」「試行中」「運用中」「見直し待ち」の列を作り、作業ごとのカードを進み具合に合わせて動かしていく使い方ができます。カードに「次の見直し日」の項目を追加しておけば、見直しの時期も同じ画面で確かめられます。
料金は、5人までのフリープランが0円で、ボードは10個まで使えます。6人目または11個目のボードからはスタンダードプランで、1人あたり月額500円(税抜)です。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
標準化は外部の人と働くときにも効く
最後に、フリーランスと在宅ワークの市場を20年以上見てきた運営者の視点から、作業の標準化について感じていることを書きます。
運営者として見てきた限りでは、外部の人に仕事を頼んでうまくいく会社ほど、頼む前に作業の手順と品質の基準を言葉にしています。手順書や表記のルール、合格の基準が最初に渡されると、受ける側は迷う時間が減り、最初の納品から質がそろいます。反対に、基準が依頼する側の頭の中にしかないと、何度もやり直しが発生し、双方が疲れてしまいます。標準化は社内のためだけでなく、社外の人と働くための共通の言葉にもなります。
仲介の手数料が乗らない直接のやりとりなら、依頼する側は同じ予算で頼める範囲が広がり、受ける側は手取りが厚くなります。その余裕が、手順や基準をすり合わせる時間に回り、仕事の質を上げていきます。手数料0%で直接取引できる仕組みは、こうした関係を支える土台になります。
標準化した手順をもとに、作業そのものをAIやシステムに任せたいという会社も増えています。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、業務の見直しやAIの導入を支援する仕事の内容と始め方をまとめています。業務の手順をアプリにしたい場合は、アプリケーション開発のお仕事で、業務アプリの開発を請け負う仕事の種類を確かめられます。経営の視点から業務の改善を学びたい人には、中小企業診断士という国家資格もあり、企業の業務や組織の改善を支援する道につながります。
作業の標準化は、まず1つの作業から始められます。いちばんばらつきが気になっている作業を選び、上手な人のやり方を聞き取るところから始めてみてください。
よくある質問
Q. 作業の標準化とマニュアル化は何が違いますか?
作業の標準化は、いちばん良いやり方を決めて全員でそろえ、見直し続ける取り組み全体のことです。マニュアル化は、決めたやり方を文書にすることで、標準化の手段の1つにあたります。マニュアルを作っても人によってやり方が違うままなら標準化はできていません。逆に、全員が同じやり方で作業し、変えるときは全員で変えているなら、標準化は進んでいると言えます。
Q. 標準化はどの作業から始めればいいですか?
繰り返し発生する作業、担当する人によって品質や時間のばらつきが大きい作業、特定の人しかできない作業のどれかに当てはまるものから始めます。最初は1つか2つに絞り、現場で最もうまくいっている人のやり方を聞き取って下書きにすると、反発を抑えながら進められます。すべての作業を一度に標準化しようとすると、手順書が分厚くなり使われなくなります。
Q. 作業手順書にはどんな項目を書けばいいですか?
作業名、目的、担当と頻度、準備するもの、手順、急所、品質の基準、例外の扱い、改訂の記録が基本です。急所とは、間違えると品質や安全に大きく響く点のことで、理由と一緒に書くと手順が守られやすくなります。手順は1つにつき1つの動作だけを書き、「適宜」「なるべく」のような人によって受け取り方が違う言葉は使わないようにします。
Q. 標準化すると仕事がつまらなくなりませんか?
手順が細かく決まりすぎると、作業が単調になりやすいのは確かです。これを防ぐには、標準を作る段階から現場の人に参加してもらい、より良いやり方の提案を受け付けて手順書を書き換える仕組みを用意します。標準は一度決めたら変えないものではなく、今の時点でいちばん良いやり方です。改善に関われる仕組みがあれば、作業に張り合いが生まれます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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