社内規程の整備を外注するには|就業規則以外の規程作成の依頼範囲


この記事のポイント
- ✓社内規程 整備 外注を検討する担当者向けに
- ✓費用相場・依頼範囲・失敗しない選び方を解説
- ✓就業規則以外の規程整備を外部に任せる際の判断材料をまとめました
先日、ある中小企業の総務担当者さんから相談を受けました。「就業規則は社労士さんに作ってもらったけれど、外注管理規程や情報管理規程はどうしたらいいか分からない」と。結論から言うと、社内規程 整備 外注を検討する際、就業規則以外の規程は依頼先も費用も一律ではありません。つまり、規程の種類ごとに適切な外注先を見極める必要があるんです。この記事では、社内規程整備を外部に任せる際の費用相場、依頼範囲の決め方、失敗しない選び方を具体的に解説します。
社内規程整備の外注が増えている背景
社内規程の整備を外注する動きは、ここ数年で急速に広がっています。背景にあるのは法改正の連続です。令和6年11月1日にフリーランス・事業者間取引適正化等法が施行され、外注先との取引条件明示や報酬支払いのルールを社内規程に反映する必要が生じました。これ、知らない人が本当に多いんです。
法律はどんどん変わりますが、多くの中小企業では総務担当者が1人で経理も労務もすべて兼務しているケースが珍しくありません。そんな状況で新しい規程を一から作る時間的余裕はなかなか取れないものです。
フリーランスや業務委託との関係も、就業規則・社内規程整備から切り離せません。フリーランス・事業者間取引適正化等法は令和6年11月1日に施行され、取引条件の明示、報酬支払、ハラスメント対策の体制整備などが問題になります。契約管理規程、購買規程、外注管理規程、ハラスメント防止規程、個人情報委託先管理、秘密保持契約、発注書管理へ反映する必要があります。 出典: dprofessions.co.jp
この引用にあるとおり、契約管理規程、購買規程、外注管理規程、ハラスメント防止規程、個人情報委託先管理まで、対応すべき範囲は多岐にわたります。就業規則だけを整えて満足していると、実は他の規程が法改正に追いついていないというケースが増えているのです。
もう一つの背景として、コーポレートガバナンス強化の流れがあります。上場企業だけでなく、取引先から内部統制体制を求められる中小企業も増えました。取引先の監査や与信審査の際に「社内規程が整備されているか」を確認されるケースも珍しくなく、規程整備そのものが取引継続の条件になることもあります。
2015年5月の改正会社法の施行、15年6月のコーポレートガバナンス・コードの適用を受け、取締役会の監督機能を重視した意思決定権限の見直しや内部統制の体制強化を行った企業が多く見受けられます。また、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」に記載されている42個の評価項目の中にも、社内規程の整備・運用に関する項目が掲げられています。 出典: ey.com
このように、社内規程整備は単なる書類作成ではなく、企業のリスク管理そのものです。だからこそ、専門知識を持つ外部の力を借りる選択肢が広がっています。
就業規則以外に整備すべき規程の種類
「社内規程」と一口に言っても、その範囲は非常に広いです。まず全体像を整理しましょう。
労務系規程
就業規則はもちろん、賃金規程、退職金規程、育児介護休業規程、慶弔見舞金規程などが労務系規程に含まれます。これらは社労士が得意とする分野で、就業規則を作った社労士にそのまま追加依頼できるケースが多いです。
業務・取引系規程
外注管理規程、購買規程、発注書管理規程、契約管理規程などが該当します。フリーランスや業務委託先との取引が多い企業ほど、この分野の整備が急務になっています。取引条件の明示義務、報酬支払期日のルール化など、令和6年施行の新法対応が直接関わる領域です。
コンプライアンス系規程
情報管理規程、個人情報保護規程、ハラスメント防止規程、内部通報規程などです。近年はハラスメント防止措置が中小企業にも義務化されており、この分野の整備を後回しにしている企業が意外と多いのが実情です。
経理・財務系規程
経理規程、稟議規程、旅費交通費規程、印章管理規程などが含まれます。上場を視野に入れる企業やM&Aを検討する企業では、この分野の整備状況が審査項目になることもあります。
こうして並べてみると、就業規則以外にも整備すべき規程が非常に多いことが分かります。すべてを自社の人事総務担当者だけで作るのは現実的ではありません。だからこそ、規程の種類ごとに得意な外注先を見極めることが重要になってきます。
社内規程整備を外注する際の費用相場
費用相場は依頼する規程の種類と分量によって大きく変わります。目安として以下のレンジで考えておくとよいでしょう。
| 規程の種類 | 費用相場(1本あたり) | 主な依頼先 |
|---|---|---|
| 就業規則(新規作成) | 15万円〜40万円 | 社労士事務所 |
| 就業規則(改定) | 5万円〜15万円 | 社労士事務所 |
| 賃金規程・退職金規程 | 5万円〜20万円 | 社労士事務所 |
| 外注管理規程・契約管理規程 | 3万円〜15万円 | 行政書士、法務専門フリーランス |
| 情報管理規程・個人情報保護規程 | 3万円〜10万円 | 行政書士、ITコンサルタント |
| ハラスメント防止規程 | 2万円〜8万円 | 社労士、行政書士 |
| 経理規程・稟議規程 | 3万円〜12万円 | 税理士、経理コンサルタント |
これはあくまで目安ですが、規程整備を専門とするコンサルティング会社に一括で依頼すると、複数規程のパッケージで50万円〜200万円程度になることも珍しくありません。大企業向けの網羅的な体系整備を想定している料金設定であることが多く、中小企業が就業規則以外の数本だけを整えたい場合には、規程1本ずつを個別に依頼できるフリーランスや小規模事務所の方が予算に合うケースが多いです。
注意していただきたいのは、料金の内訳です。ヒアリング、ドラフト作成、労基署への届出代行(就業規則の場合)、社内説明会の実施支援など、どこまでが基本料金に含まれるかは依頼先によって差があります。見積もりを取る際は、必ず「どこまでの作業が含まれるか」を確認してください。
外注先の選び方と失敗しないポイント
私自身、行政書士として独立する前、フリーランスとして初めて外部に業務を依頼したとき、見積もりの安さだけで判断して品質面で苦労したことがあります。3社から見積もりを取ったのですが、一番安い業者はテンプレートをほぼそのまま流用したもので、自社の実態に合っていない条項が多く、結局大幅な手直しが必要になりました。この経験から、外注先選びでは料金だけでなく「自社の業務実態をどこまでヒアリングしてくれるか」を重視するようになりました。
失敗パターン1:テンプレートの流用で終わる
規程作成を安価に請け負う業者の中には、汎用テンプレートに社名を入れ替えただけの成果物を納品するところがあります。これでは自社特有のリスク(外注先の業種、取引形態、就業実態)に対応できません。見積もり段階で「ヒアリングの時間をどれくらい確保しているか」を確認しましょう。
失敗パターン2:法改正への対応漏れ
規程は一度作って終わりではありません。法改正のたびに見直しが必要です。フリーランス・事業者間取引適正化等法のような新しい法律への対応が最新版のテンプレートに反映されているか、依頼前に確認することをお勧めします。
失敗パターン3:規程間の整合性が取れていない
就業規則と外注管理規程、情報管理規程がバラバラの業者に依頼されて作られると、用語の定義や適用範囲に矛盾が生じることがあります。可能であれば、複数規程を横断的に見てくれる依頼先を選ぶか、少なくとも既存規程一式を共有した上で整合性を確認してもらいましょう。
選び方のポイント
規程の種類によって専門性が異なるため、依頼先を1社に絞る必要はありません。労務系は社労士、業務・取引系や個人情報系は行政書士や法務専門フリーランス、というように使い分ける企業も増えています。特に外注管理規程や契約管理規程は、フリーランスとの取引実務に詳しい専門家に依頼すると、実務に即した内容に仕上がりやすい傾向があります。
社内規程整備は継続的な発注ではなく単発の依頼になることが多いため、アプリケーション開発のお仕事のような専門職種と同じく、代理店経由よりも個人の専門家へ直接依頼する方が費用を抑えやすい領域です。代理店やコンサルティング会社を通すと、コーディネート費用や管理費が上乗せされ、同じ作業内容でも総額が膨らむことがあります。フリーランスの行政書士や社労士に直接依頼すれば、その中間マージンがかからない分、同じ予算でより丁寧なヒアリングや複数規程の整備に充てられる可能性が高まります。
依頼の流れと準備しておくべきもの
実際に外注する際の一般的な流れを整理します。
まず、現状の規程がある場合はそれを整理し、依頼先に共有します。既存の就業規則、雇用契約書のひな型、業務委託契約書などがあれば、それらとの整合性を取りながら新規規程を作成してもらえます。
次に、ヒアリングです。信頼できる依頼先ほど、業種、従業員数、業務委託先の有無、取引実態などを丁寧に確認してきます。このヒアリングを省略する業者は、テンプレート流用の可能性が高いので注意してください。
その後、ドラフトの提示、社内での確認・修正依頼、最終版の納品という流れになります。就業規則の場合はここに労働基準監督署への届出、従業員代表からの意見聴取が加わります。
準備しておくべきものとしては、既存の規程類、組織図、業務フロー、外注先との契約書のサンプルなどが挙げられます。これらを最初にまとめて共有できると、ヒアリングの時間を短縮でき、費用を抑えることにもつながります。
就業規則以外の規程整備で見落とされがちなポイント
規程作成というと、大手コンサルティング会社が対応する大規模プロジェクトのイメージを持たれがちですが、実務上は中小企業ほど「就業規則以外」の部分が手薄になっている傾向があります。
例えば、SNS運用を外部に委託している企業では、業務委託先の投稿内容や炎上リスクへの対応を定めた規程がないケースが多く見られます。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のように外部人材にマーケティング業務を任せる場合、情報管理規程や秘密保持に関する取り決めが不十分だと、後々のトラブルの火種になりかねません。
また、AI活用が広がる中で、AI関連業務を外部に委託する企業も増えていますが、AI利用に関する社内規程を整備している中小企業はまだ少数派です。AIコンサル・業務活用支援のお仕事のような分野で外部人材を活用する際は、生成AIの利用範囲や情報漏洩リスクについても規程に盛り込んでおくことをお勧めします。
このケースは弁護士に相談すべき事案になることもあります。特に規程の内容が法律違反にあたる可能性がある場合や、従業員との紛争リスクが高い場合は、行政書士の作成範囲を超えるため、必ず弁護士に確認するようにしてください。
規程整備の外注コストと運用体制の考え方
規程整備コンサルティング業界では、社内規程は作っておしまいではなく、運用と定期的な見直しが重要だと指摘されています。
社内規程は、作っておしまいではありません。実際の業務ルールの見直しに際し、きちんと改訂される、改訂されたものがきちんと理解され、運用されているかどうかが重要となります。そのためには、浸透活動をきちんと実施した上で、定期的な見直しルールを設定し、適切に見直しを行っていくことが求められます。 出典: jmac.co.jp
この指摘は非常に重要です。規程を外注して作ってもらったとしても、社内での周知や運用ルールがなければ、規程は形骸化します。外注する際は、作成だけでなく「従業員への説明会」「運用開始後のフォローアップ」まで含めた契約にできないか相談してみるとよいでしょう。中には、規程作成後1年間はメールでの質問対応を無料で行ってくれる専門家もいます。契約前に、アフターフォローの範囲を確認しておくことをお勧めします。
長く続く発注者ほど、単発の作業だけでなく「この人になら継続して規程の見直しを任せられる」という関係づくりに時間を使っている傾向があります。規程は一度作って終わりではなく、法改正のたびに見直しが必要なものだからこそ、単発の依頼ではなく継続的に相談できる相手を見つけておくことが、長期的なコスト削減につながります。
独自データから見る外注先選びの実態
在宅ワーク・フリーランスの求人マッチングを長く見てきた運営者の立場から言えば、規程作成のような専門性の高い業務ほど、代理店を挟まずフリーランスの専門家へ直接依頼する動きが加速しています。理由は単純です。同じ予算でも、中間マージンが乗らない分、依頼者はより丁寧なヒアリングや複数規程の整備を依頼でき、受け手である専門家も適正な報酬を受け取れます。この構造は、双方にとって無理のない取引です。
手数料0%で直接マッチングする仕組みが広がっているのも、この「額面より手取り」という発想が発注者・受注者の双方に支持されているからだと考えられます。代理店を通すと、依頼者は割高な費用を払い、受注する専門家側は中間マージンを引かれた報酬しか受け取れません。直接取引であれば、依頼者は費用を抑えられ、専門家は本来の対価をそのまま受け取れます。
規程整備のような単発性の高い専門業務こそ、この直接取引の恩恵を受けやすい領域だと運営者として見てきた実感があります。単発案件であっても、継続的な見直しが必要になる規程整備の性質上、信頼できる専門家と直接つながっておくことは、長期的に見て企業側のリスク管理コストを下げることにもつながります。
規程の内容によっては、ソフトウェア作成者の年収・単価相場や著述家,記者,編集者の年収・単価相場のように、外部人材の単価相場を把握しておくことも、適正な発注金額を判断する材料になります。外注先の専門性と報酬水準が見合っているかどうかを、依頼前に確認しておくとよいでしょう。
規程整備の外注は、就業規則という一部分だけでなく、外注管理・情報管理・コンプライアンスといった周辺領域まで視野を広げることで、はじめて実効性のある体制になります。法律はあなたの味方です。正しく整備された社内規程は、トラブルを未然に防ぐだけでなく、取引先からの信頼にもつながる資産になります。
よくある質問
Q. 社内規程整備を外注する際、まず何から着手すればいいですか?
まず既存の就業規則や契約書ひな型を整理し、外注管理規程や情報管理規程など未整備の領域を洗い出すことから始めましょう。優先度の高い規程から個別に見積もりを取るのが効率的です。
Q. 就業規則以外の規程はどのような専門家に依頼すればよいですか?
労務系は社労士、外注管理規程や個人情報関連は行政書士や法務専門フリーランスが得意です。規程の種類によって専門性が異なるため、複数の専門家を使い分けることも一般的です。
Q. 規程作成を外注する際の費用を抑えるコツはありますか?
代理店やコンサルティング会社を通すよりも、フリーランスの行政書士や社労士に直接依頼すると中間マージンがかからず、同じ予算でより丁寧なヒアリングを受けられる場合があります。
Q. 規程は一度作成すれば見直し不要ですか?
いいえ。法改正のたびに内容を見直す必要があります。フリーランス・事業者間取引適正化等法のような新しい法律への対応漏れがないか、定期的に専門家へ確認してもらうことをお勧めします。
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この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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