ナレーション台本の書き方|読みやすい原稿の作り方


この記事のポイント
- ✓ナレーション台本の書き方を
- ✓耳で聞いて分かる文の作り方
- ✓15秒・30秒・60秒の例文
ナレーション台本は、目で読む文章と同じ感覚で書くと、声に出したときに途端に分かりにくくなります。耳で聞く人は文章を読み返せないため、一文の長さ、言葉の選び方、数字の言い方まで、聞いてすぐ分かる形に整えておく必要があります。ナレーション台本を書く人の多くは、動画制作の担当者、ナレーターとしてボイスサンプルを作りたい人、あるいは在宅で台本の作成を受けたいライターです。
この記事では、尺から文字数を決める方法、耳で聞いて分かる文の作り方、台本の書式、用途ごとの書き分けを順に解説し、15秒・30秒・60秒の例文も紹介します。後半では、ナレーターや台本ライターとして仕事を受けるときに確かめておきたいことも整理します。
ナレーション台本とはどんな原稿か
ナレーション台本は、映像や音声に合わせてナレーターが読み上げる文章を、読む順番どおりに書いた原稿です。企業の紹介動画、商品の広告、YouTubeの解説動画、eラーニングの教材、施設の音声ガイド、テレビのドキュメンタリーなど、使われる場面は幅広くあります。
ナレーション台本が一般の文章と違うのは、次の3点です。
- 聞く人は読み返せない:一度聞き逃すと、前に戻って確かめることができない
- 時間が決まっている:映像の長さや放送の枠に合わせて、読み終える時間が決まっている
- 読む人と書く人が違う:ナレーターが初めて見ても迷わずに読める形にする必要がある
この3つの条件があるため、ナレーション台本では、内容の正しさに加えて、聞いて分かるか、時間内に収まるか、読み間違えないか、の3つを確かめながら書きます。
ナレーション台本を書く人は、動画の制作会社のディレクター、広告の文章を書くコピーライター、企業の広報担当者、そしてナレーター本人などさまざまです。立場は違っても、聞く人に伝わる文章を、決まった時間の中に収めるという目的は共通しています。
ナレーション台本と似たものに「セリフ台本」があります。セリフ台本は、ドラマやアニメ、ボイスドラマで登場人物が話す言葉を書いたもので、話し手の感情や関係が中心になります。ナレーションは、映像の外から状況や情報を伝える語りで、聞く人に内容を正確に届けることが中心です。この記事では、情報を伝えるナレーションの台本を扱います。
尺と文字数の目安を決める
ナレーション台本を書き始める前に、まず「尺」を確かめます。尺とは、映像や音声の長さのことです。15秒の広告なら15秒、3分の紹介動画なら3分の中に、ナレーションを収めなければなりません。
尺から文字数を決めるときによく使われる目安が、1分間に300字前後という数字です。これはニュースや企業の紹介動画のように、落ち着いて情報を伝える読み方を想定した目安で、実際の速さは内容と読み手で変わります。元気な商品の広告ならもう少し速く、高齢の方向けの説明や、専門用語の多い教材ならもっとゆっくり読むことになります。
| 尺 | 文字数の目安 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 15秒 | 60字から70字 | 広告、SNSの短い動画 |
| 30秒 | 120字から140字 | 広告、商品紹介 |
| 60秒 | 250字から300字 | 商品紹介、イベント告知 |
| 3分 | 750字から900字 | 企業紹介、サービス紹介 |
| 5分 | 1,250字から1,500字 | 教材、施設の案内 |
表の数字は、尺いっぱいに読み続けた場合の上限に近い目安です。実際の映像では、冒頭のロゴや音楽だけの部分、場面が切り替わる間があるため、ナレーションを入れられる時間は尺より短くなります。15秒の広告なら、最初の1秒と最後の2秒ほどはナレーションを入れない構成も多く、その分だけ文字数を減らします。
文字数を数えるときは、句読点や記号を除いた、実際に声に出す文字で数えます。数字やアルファベットは、読み上げたときの音の数で考えるのが確実です。「2026年」は4文字に見えますが、「にせんにじゅうろくねん」と読むと11音になります。数字や英語の多い台本は、文字数の目安より時間がかかると考えておきましょう。
文字数は、書き終えたあとに必ず声に出して計ってください。スマートフォンのストップウォッチで、本番と同じ速さで読み上げると、目安の表よりも実際の時間がずれていることがよく分かります。尺に収まらないときは、読む速さを上げるのではなく、文を削って調整するのが原則です。速く読めば収まる台本は、聞く人にとっては聞き取りにくい台本だからです。
耳で聞いて分かる文の作り方
ナレーション台本で一番大切なのは、耳で聞いてすぐ分かる文を書くことです。文化庁の「公用文作成の考え方」は、行政の文書の書き方を示した資料ですが、聞いて分かる言葉選びについても触れています。
同音の言葉(同音異義語。干渉/勧奨、信条/身上、服する/復する/伏する 等)については、誤りなく仮名漢字変換する。また、これらは正確に書かれていたとしても、文脈によっては、耳で聞いた場合に区別が付かない場合がある。口頭で伝えたり、音声サービスに用いたりする場面も想定し、意味の分かる言葉で言い換えるなどの工夫に努める。 出典: bunka.go.jp
この考え方をナレーション台本に当てはめると、次のような書き方の決まりになります。
一文を短くする
一文が長いと、聞く人は文の最初を覚えたまま最後まで聞かなければならず、途中で内容を見失います。同じ資料では、一文が50字から60字ほどになってきたら読みにくくなっていないか意識するとよい、とされています。ナレーションでは、それよりさらに短く、30字から40字くらいで区切ると聞きやすくなります。
長い文は、句点で区切って2つの文に分けます。
- 書き直す前:当社は創業以来、地域のお客様の暮らしに寄り添い、住まいのリフォームから新築まで幅広いご要望にお応えしてきました。
- 書き直した後:創業以来、地域のお客様の暮らしに寄り添ってきました。リフォームから新築まで、住まいのご要望に幅広くお応えしています。
同じ音の言葉を言い換える
文字で読めば区別できる言葉でも、音だけでは区別できないものがあります。「科学」と「化学」、「講演」と「公演」、「保証」と「保障」は、その代表です。台本では、意味が取り違えられないように言い換えます。
| 聞き間違えやすい言葉 | 言い換えの例 |
|---|---|
| 市立(しりつ) | 市が運営する、いちりつ |
| 講演・公演 | 話を聞く会、舞台の上演 |
| 化学(かがく) | 化学(ばけがく)、物質の性質を調べる学問 |
| 移動・異動 | 場所の移動、部署の異動 |
| 減少・現象 | 数が減ること、起きている出来事 |
漢語を和語に開く
漢語とは、音読みの言葉のことです。「実施する」「推進する」「配慮する」のような漢語は、文字で読むと簡潔ですが、耳で聞くと硬く、意味が伝わりにくくなります。公用文作成の考え方でも、漢語は耳で聞いたときに分かりにくいものが多いと書かれています。
- 実施します → 行います
- 推進します → 進めます
- 迅速に対応します → すぐに対応します
- 来場者 → お越しになった方
主語と述語を近づける
日本語は述語が文の最後に来るため、主語と述語の間が長いと、聞く人は「誰が何をしたのか」をなかなか確定できません。主語のすぐ後に述語が来るように、文の順番を組み替えます。
- 書き直す前:このサービスは、忙しい毎日の中で家事に時間を取られている方のために開発されました。
- 書き直した後:忙しい毎日、家事に時間を取られていませんか。このサービスは、そんな方のために生まれました。
指示語を減らす
「これ」「それ」「その」のような指示語は、文字なら前の文を見返せますが、耳では何を指すのか分かりにくくなります。指示語を使う代わりに、指している言葉をもう一度言うほうが、聞く人には親切です。
ナレーション台本の書式
ナレーション台本の書式は、制作会社や現場によって違いますが、多くの台本に共通する形があります。ナレーターが迷わずに読めて、映像の編集者が合わせやすい書式にするのが基本です。
2列の形で書く
映像のある台本では、左に映像の内容、右にナレーションを書く2列の形がよく使われます。どの映像のときにどの言葉を読むかが一目で分かるため、収録と編集の両方で役立ちます。
| 時間 | 映像 | ナレーション |
|---|---|---|
| 0:00 | ロゴ表示 | (ナレーションなし) |
| 0:02 | 朝の台所の様子 | 朝の15分、少しだけ楽にしませんか。 |
| 0:06 | 商品のアップ | 下ごしらえ済みの食材が、毎週届きます。 |
| 0:10 | 家族の食卓 | 夕食の準備は、温めて盛りつけるだけ。 |
| 0:13 | ロゴと連絡先 | まずは、お試しセットから。 |
時間の欄には、その言葉を読み始める目安の時刻を書きます。映像が先にできている場合は、編集済みの映像を見ながら時刻を書き込むと、尺に合わせやすくなります。
読み方を示す記号
ナレーターに読み方を伝えるために、台本には記号を書き込むことがあります。よく使われるのは次のような記号です。
- 読み仮名:読み間違えやすい漢字や固有名詞に、カッコでふりがなを付ける
- 間(ま):少し間を空けてほしい場所に「/」や「(間)」を書く
- 強調:特に印象づけたい言葉に傍点や下線を付ける
- 区切り:映像の場面が変わる場所に空行を入れる
記号の使い方は現場ごとに違うため、台本の最初に「/は短い間、(間)は1秒ほどの間」のように凡例を書いておくと、ナレーターとの行き違いが減ります。
1行に詰め込まない
ナレーション台本は、目で追いやすいことも大切です。1行に長い文を詰め込まず、句点ごとに改行すると、ナレーターが息継ぎの位置をつかみやすくなります。印刷して使う場合は、文字を大きめにして、行間を広く取ります。
用途ごとの台本の書き分け
ナレーション台本は、用途によって書き方の重点が変わります。
商品やサービスの広告
広告のナレーションは、短い時間で興味を引き、何をしてほしいかを伝えることが目的です。最初の数秒で聞く人の関心をつかみ、最後に「お問い合わせは」「詳しくは」と行動を促す言葉で締めます。15秒や30秒の短い尺が多く、1つの広告で伝えることは1つに絞ります。
広告の台本では、表現が事実に合っているかにも気をつける必要があります。「業界で一番」「必ず効果が出る」のように、根拠のない最上級の言い方や、効果を約束する言い方は、景品表示法で問題になることがあります。消費者庁の景品表示法のページでは、不当な表示の考え方や、2023年10月から規制されたステルスマーケティングについて説明しています。台本を書く側は、表現の根拠を依頼者に確かめ、根拠がない言い方は避けるように提案するのが安全です。
企業やサービスの紹介動画
企業の紹介動画は、2分から5分程度の長さが多く、会社の考え方や事業の内容を順序立てて伝えます。最初に全体像を示し、次に具体的な事業や取り組み、最後に会社の目指す姿という流れが基本です。社内の人だけが知っている言葉や略語を使わず、初めて聞く人に伝わる言葉で書きます。
解説動画や教材
YouTubeの解説動画やeラーニングの教材では、内容を正確に理解してもらうことが目的です。画面に表示される文字や図とナレーションが食い違わないように、映像の担当者とすり合わせながら書きます。専門用語は、初めて出てきたときに必ず1文で説明します。1つの段落で伝える内容は1つにし、段落の終わりに要点を短く言い直すと、聞く人の理解が深まります。
施設の音声ガイド
美術館や観光地の音声ガイドでは、聞く人がその場で実物を見ていることが前提になります。「右手に見えるのが」「足元の石畳は」のように、目の前のものに視線を向けさせる言葉を使います。1か所あたりの説明は短めにし、立ち止まって聞いていられる時間に収めます。
尺別のナレーション台本の例
ここでは、架空の商品を題材にした台本の例を紹介します。どれも実際に声に出して時間を計り、尺に収まる文字数に整えています。
15秒の例(料理キットの広告)
朝の15分、少しだけ楽にしませんか。
下ごしらえ済みの食材が、毎週届きます。
夕食の準備は、温めて盛りつけるだけ。
まずは、お試しセットから。
この例は約60字です。最初の1文で聞く人の生活の場面を思い浮かべてもらい、次の2文で商品の特徴を伝え、最後の1文で行動を促しています。
30秒の例(地域の歯科医院の紹介)
歯医者さんは、少し苦手。
そんな方にこそ、来ていただきたい場所があります。
駅から歩いて3分。
治療の前には、必ず説明の時間をとります。
痛みが心配な方には、麻酔の方法もご相談いただけます。
平日は夜7時まで、土曜日も診療しています。
ご予約は、お電話かホームページから。
この例は約130字です。30秒の尺でも、文は1つずつ短く区切っています。診療時間のような数字は、聞き取りやすいように「夜7時」と言葉で補っています。
60秒の例(オンライン教室の紹介)
仕事が終わってから、もう一度学び直したい。
そう思っても、教室に通う時間をつくるのは大変です。
このオンライン教室なら、好きな時間に、自宅で学べます。
授業は1回20分。
通勤の電車の中でも、寝る前の少しの時間でも、続けられる長さです。
わからないところは、講師に質問できます。
返事は、翌日までに届きます。
最初の1週間は、無料で体験できます。
学ぶ時間は、あとからいくらでもつくれます。
まずは1回、のぞいてみてください。
この例は約250字です。前半で聞く人の悩みに共感し、中盤で解決の方法を具体的に示し、最後に無料体験という行動のきっかけを伝えています。
数字・固有名詞・英語の書き方
ナレーション台本で読み間違いが起きやすいのが、数字、固有名詞、英語です。ナレーターが迷わないように、書き方をそろえておきます。
数字
数字は、読み方が何通りもあるものに注意します。「1日」は「ついたち」とも「いちにち」とも読めますし、「10分」は「じゅっぷん」と「じっぷん」の両方の読み方があります。読み方を決めたい数字には、ふりがなを付けます。
桁の大きい数字は、聞いてすぐ分かる形に丸めるのも1つの方法です。「1万2,483人」は、正確さが必要な場面でなければ「およそ1万2千人」と言い換えたほうが伝わります。電話番号やURLのように、正確に伝える必要がある情報は、ナレーションだけに頼らず画面の文字でも示すように映像の担当者と相談します。
固有名詞
会社名、商品名、人名、地名は、読み方を必ず依頼者に確かめます。同じ漢字でも地域や会社によって読み方が違うことがあり、間違えると取り返しがつきません。台本では、固有名詞が最初に出てくるところに必ずふりがなを付けます。
英語とカタカナ語
英語の商品名や略語は、カタカナで読み方を書き添えます。「AI」は「エーアイ」、「SaaS」は「サース」のように、アルファベットを1文字ずつ読むのか、単語として読むのかを明示します。カタカナ語は、聞く人が知らない可能性があれば、日本語で言い換えるか、すぐ後に説明を加えます。
書き終えた台本を直す手順
台本を書き終えたら、次の順番で確かめます。
- 声に出して読み、時間を計る
- 息継ぎが苦しくなる文がないかを確かめる
- 同じ音の言葉や、聞き間違えやすい言葉がないかを確かめる
- 指示語が何を指すか分かるかを確かめる
- 固有名詞と数字に読み仮名が付いているかを確かめる
- 映像の内容とナレーションが食い違っていないかを確かめる
- 依頼者に表現の根拠を確かめる必要がある箇所に印を付ける
声に出して読むときは、録音して聞き直すとさらに効果があります。できれば、台本を書いた本人ではない人に読んでもらい、初めて読む人がつまずく箇所を探すと、ナレーターが本番で迷う場所を前もって直せます。自分で読んだ声を聞くと、文字で読んでいたときには気づかなかった言いにくさや、意味の取りにくさが分かります。
収録の前にナレーターと確かめること
台本を書く人とナレーターが別の場合、収録の前に打ち合わせをしておくと、収録が滑らかに進みます。確かめておきたい点は次のとおりです。
- 動画の目的と、見る人の年齢や立場
- 読み方の雰囲気(明るく、落ち着いて、親しみやすく、など)
- 固有名詞と数字の読み方
- 強調したい言葉
- 尺と、映像に合わせる必要がある箇所
- 収録後の修正(リテイク)の範囲と回数
リテイクとは、収録した音声を録り直すことです。台本の誤りによるリテイクと、読み方の好みによるリテイクでは、扱いが変わることが多いため、どこまでを無料で直すかを事前に決めておくと、後でもめることがありません。
台本を書く前に構成表を作る
いきなり台本の文章を書き始めると、途中で話の順番が入れ替わったり、伝えたいことが抜けたりします。書き始める前に、構成表を作っておくと、台本の全体が見通せます。構成表とは、動画をいくつかの場面に分け、場面ごとに「何を見せて、何を伝えるか」を一言で書いた表のことです。
3分の企業紹介動画なら、次のような構成表になります。
| 場面 | 時間の目安 | 伝えること |
|---|---|---|
| 1. 導入 | 20秒 | 見る人の困りごとに触れる |
| 2. 会社の紹介 | 30秒 | 何をしている会社かを一言で伝える |
| 3. 事業の中身 | 60秒 | 主な事業を2つから3つ、具体例とともに伝える |
| 4. お客様の声や実績 | 40秒 | 事実にもとづく取り組みを伝える |
| 5. 締め | 30秒 | 会社の目指す姿と、連絡先を伝える |
構成表ができたら、場面ごとの時間から文字数を割り出します。60秒の場面なら250字から300字が目安です。場面ごとに文字数の上限を決めておくと、書いている途中で尺に収まるかどうかを確かめながら進められます。
構成表は、依頼者との認識を合わせる道具にもなります。台本を書く前に構成表を見せて「この順番で進めてよいか」を確かめておくと、書き終えてから大きく直す手間を防げます。
よくある失敗と直し方
ナレーション台本で起きやすい失敗と、その直し方を整理します。
情報を詰め込みすぎる
伝えたいことが多いほど、台本は長くなり、尺に収めるために早口で読むことになります。聞く人は、1つの動画で覚えられることに限りがあります。台本を書き終えたら、「この動画を見た人に、1つだけ覚えて帰ってもらうなら何か」を考え、それ以外の情報は削るか、画面の文字に任せます。
画面と同じことを言う
画面に「創業50年」と大きく表示されているときに、ナレーションでも「創業50年です」と読むと、情報が重なって時間がもったいなくなります。画面の文字とナレーションは役割を分け、画面で見せる情報には、ナレーションで背景や意味を補います。たとえば画面に「創業50年」と出ているなら、ナレーションでは「地域の皆さまに支えられて、半世紀」と言い換えると、画面と耳の情報が補い合います。
文末が単調になる
「〜です。〜です。〜です。」と同じ文末が続くと、聞いていて眠くなります。「〜です」「〜ます」に加えて、問いかけ(〜しませんか)、体言止め(〜の毎日)、呼びかけ(〜してみてください)を織り交ぜると、語りに変化が生まれます。ただし、体言止めを使いすぎると落ち着かない印象になるので、1つの段落で1回程度にとどめます。
読みにくい言葉の並び
「新春特別企画」「東京特許許可局」のように、同じ音が続いたり、口が回りにくかったりする言葉の並びは、ナレーターが噛む原因になります。声に出して読んでみて、自分でも言いにくいと感じた箇所は、言葉を入れ替えるか、間に助詞を入れて読みやすくします。
ボイスサンプル用の台本の作り方
ナレーターとして仕事を受けたい人は、自分の声を聞いてもらうためのボイスサンプルを用意します。ボイスサンプルとは、依頼者がナレーターを選ぶときに聞く、短い見本の音声のことです。
ボイスサンプル用の台本は、次の点を意識して作ると効果的です。
- 1本を15秒から30秒程度の短い台本に分ける
- 広告、企業紹介、教材、ドキュメンタリーなど、雰囲気の違う台本を何本か用意する
- 受けたい仕事の分野に合わせた題材を選ぶ
- 実在の会社名や商品名を勝手に使わず、架空の題材にする
ほかの人が作った台本をボイスサンプルに使う場合は、使ってよい範囲が決められていることがあります。配布している人が示している条件を必ず確かめ、商用の目的で使ってよいか、出典を書く必要があるかを確認してから使ってください。自分で台本を書けば、こうした心配はなく、台本を書く力そのものも依頼者に示せます。
音楽・効果音・テロップも台本に書く
ナレーション台本には、ナレーターが読む言葉だけでなく、音楽や効果音、画面に出る文字(テロップ)の情報も書いておくと、制作に関わる全員が同じ完成形を思い描けます。
たとえば、2列の台本の映像の欄に「明るい音楽が始まる」「チャイムの効果音」「テロップ:初回限定」のように書き込みます。ナレーションと音楽が重なる場所では、音楽の音量を下げるのか、ナレーションを少し待つのかを編集の担当者が判断しやすくなります。テロップとナレーションで同じ言葉を繰り返していないかも、台本の段階で確かめられます。
テロップは、ナレーションを聞き取りにくい環境で見る人にとって大切な情報源です。SNSの動画は音を出さずに見られることも多く、ナレーションの要点をテロップでも伝える構成が増えています。台本を書くときは、音を消して見たときにも内容が伝わるかを一度考えておくと、動画全体の分かりやすさが上がります。
広告やSNSの動画では、どんな言葉が見る人の行動につながるかを考える力も求められます。マーケティングの視点を身に付けたい人は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で紹介している仕事の種類も参考になります。
修正の依頼を受けたときの進め方
台本を納品すると、依頼者から修正の依頼が来ることがよくあります。修正を滑らかに進めるには、次の手順が役立ちます。
- 修正の指示を、箇所ごとに一覧にする
- 指示の意図が分からないものは、直す前に確かめる
- 修正によって尺が変わる場合は、読み直して時間を計る
- 直した箇所が分かるように、色を変えるか一覧で伝える
- 修正後の台本を、もう一度通して声に出して読む
修正の指示どおりに直したら、前後の文とのつながりが崩れることがあります。直した部分だけでなく、前後を含めて読み直すことが大切です。また、修正で文字数が増えて尺に収まらなくなった場合は、そのまま納品せず、どこを削るかを依頼者に相談してください。
ナレーターや台本ライターとして仕事を受けるとき
ナレーション台本に関わる仕事は、在宅で受けられる仕事としても広がっています。動画の制作が企業でも個人でも身近になり、ナレーションの台本や読み上げを外部に頼む機会が増えているためです。
仕事の形は、大きく3つあります。
- 台本の作成だけを受ける:動画の構成や素材を受け取り、ナレーションの文章を書く
- ナレーションの収録だけを受ける:渡された台本を自宅で録音して納品する
- 台本の作成と収録の両方を受ける:書いた台本を自分で読んで納品する
台本の作成を受ける場合、報酬は文字数や尺、1本あたりの固定額で決まることが多く、内容の難しさや修正の回数で変わります。ライティングの仕事と共通する部分が多いので、文章の仕事で報酬がどう決まるかを知っておくと、見積もりを出すときの参考になります。Webライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップでは、文字単価の決まり方と単価を上げていく順番を紹介しています。
自宅で収録する場合は、静かな場所と、ある程度の録音機材が必要になります。周りの音が入らないように、布の多い部屋やクローゼットの中で録音する人もいます。納品の形式(音声ファイルの種類、音量の基準、ファイルの分け方)は依頼ごとに指定されるので、受ける前に確かめてください。
契約の前に確かめておきたいこと
業務委託で仕事を受ける場合は、次の点を書面かメッセージで残しておきます。
- 報酬の額と、支払いの時期
- 修正やリテイクの回数と、追加の費用がかかる条件
- 台本や音声の権利がどちらに残るか
- 完成した動画をどこで、どのくらいの期間使うか
- 自分の作品として実績に載せてよいか
権利の扱いは、とくに大切です。書いた台本は、一般に著作物として扱われ、音声を読んだナレーターにも、録音された実演についての権利が生じることがあります。依頼者がどこまで使ってよいかを契約で決めておかないと、後から別の用途に使われたときに話がこじれます。具体的な権利の扱いは、契約の内容や事情で変わるため、迷うときは依頼者とよく話し合い、必要に応じて専門家に相談してください。
仲介の現場から見た、台本の仕事が続く人
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、ナレーションや台本の仕事で依頼が続く人には共通点があります。文章や声の上手さだけでなく、依頼者の目的を最初に確かめる人が、繰り返し声をかけられています。
ナレーションの台本は、同じ内容でも、見る人が誰か、動画をどこで流すかで書き方が大きく変わります。最初の打ち合わせで「誰に見てもらう動画ですか」「見た人にどうしてほしいですか」と聞ける人は、修正の回数が少なく、依頼者の負担を減らします。依頼者にとっては、それが一番の価値になります。
もう1つの傾向は、納品の丁寧さです。台本と一緒に、読み方の注意点や、尺の計り方を書いたメモを添える人は、依頼者からの信頼が厚くなります。仲介の手数料が乗らない直接のやり取りであれば、依頼者は同じ予算でより丁寧な仕事を頼めて、受ける側の手取りも厚くなります。そうした関係を長く続けるために、最初の数本で誠実な仕事を積み重ねることが、次の依頼につながります。
台本の仕事は、文章を書く力の延長にある仕事です。耳で聞く文章を書く練習は、ふだんの文章を分かりやすくすることにも役立ちます。文書の組み立てや言葉の選び方を基礎から固めたい人は、ビジネス文書検定で問われる内容を学ぶと、台本の構成を考えるときの土台になります。
よくある質問
Q. ナレーション台本は1分で何文字が目安ですか?
落ち着いて情報を伝える読み方なら、1分間に300字前後がよく使われる目安です。ただし、広告のように速めに読む場合や、高齢の方向けにゆっくり読む場合で変わります。映像の冒頭や場面転換の間にはナレーションを入れないことも多いので、目安より少なめに書き、最後に声に出して時間を計って調整してください。
Q. 読みやすいナレーション台本にするコツは何ですか?
一文を短くし、主語と述語を近づけ、同じ音の言葉や硬い漢語を言い換えることです。聞く人は読み返せないので、指示語を減らし、指している言葉をもう一度言うほうが伝わります。書き終えたら必ず声に出して読み、録音して聞き直すと、文字では気づかなかった言いにくさが分かります。
Q. ナレーション台本の書式に決まりはありますか?
全国共通の決まりはなく、制作会社や現場ごとに違います。映像のある台本では、左に映像の内容、右にナレーションを書く2列の形がよく使われます。読み仮名、間の記号、強調の印などは、台本の最初に凡例を書いておくとナレーターとの行き違いが減ります。依頼者に指定の書式があれば、それに従ってください。
Q. 在宅でナレーション台本の仕事を受けるときの注意点は?
報酬、支払いの時期、修正の回数、台本や音声の権利の扱い、完成した動画の使い道を、受ける前に書面やメッセージで確かめてください。権利の扱いは契約の内容で変わるため、どこまで使ってよいかを決めておかないと後でもめる原因になります。登録料や教材費を先に払わせる募集は避けてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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