UI/UXデザインの単価を上げる相談|切り出し方と根拠


この記事のポイント
- ✓UI/UXデザインの単価交渉を
- ✓値上げのお願いではなく契約範囲の再定義として進める方法
- ✓断られたときの選択肢を整理しました
UI/UXデザインの単価交渉でつまずく人には、はっきりした共通点があります。金額の話から入ってしまうことです。うまく通る相談はどれも「上げてほしい」ではなく「いま何をどこまでやっているかを、いちど揃えさせてください」という形で始まっています。この記事では、UI/UXデザインの単価を上げる相談を、切り出し方と根拠の組み立て方に絞って手順として整理します。感情や気合いの話ではなく、準備と順番の話です。
金額から入る相談が通らない理由
「単価を上げてほしい」という言葉を受け取った担当者は、その瞬間から支出を増やす判断を求められる立場になります。判断するには社内で説明が要り、説明には根拠が要ります。根拠がこちらから提供されていなければ、担当者は自分で作らなければなりません。
多くの場合、担当者はそこまでやりません。だから「今期は難しいです」という返答になります。これは拒否というより、判断材料がないので動けないという状態です。
つまり、単価交渉で最初にやるべきは説得ではなく、相手が社内で使える材料を渡すことです。相手を口説くのではなく、相手が上長を口説くための資料を作る。この視点に切り替えると、通り方が変わります。
発注側は金額をどう組み立てているか
そもそも相手は、デザインの費用をどんな要素で見ているのでしょうか。発注者向けに書かれた解説には、費用が単一の基準では決まらないことが率直に示されています。
デザインの値段って、ラーメン一杯のように「大体このくらい」と言い切れないことが多いですよね。特にUI/UXデザインとなると、さらに複雑に感じるかもしれません。実は、デザイン費用は主に以下の5つの要素がパズルのように組み合わさって決まります。 出典: note.com
複数の要素が組み合わさって決まるということは、動かせる変数が複数あるということです。金額という1つの数字だけを議論の対象にすると、上げるか下げるかの綱引きになります。要素に分解すれば、どの要素が増えたから金額が変わる、という説明ができます。
相手が価値を認めている部分を知る
同じ解説では、専門性がある人に依頼する場合の考え方も示されています。
UI/UXデザインの場合: UIデザイナー、UXデザイナー、UXリサーチャーといった、それぞれの分野を深く知っている専門家の力が必要です。たくさんの経験を積んだ人気の専門家やチームにお願いする場合は、そのスキルやノウハウに見合う価格になります。 出典: note.com
発注側の理解として、専門性に応じて価格が変わることは織り込まれています。問題は、こちらの専門性が相手に見えているかどうかです。毎回言われた通りに納品しているだけだと、専門性は伝わりません。どんな判断をしたか、なぜその形にしたかを日頃から伝えている人は、交渉の場で改めて説明する必要がありません。
単価交渉は、その日の会話ではなく、それまでの数か月の見せ方で半分が決まっています。
相談の前に集める4つの材料
準備なしで切り出すと、その場の印象論になります。集めるのは次の4つです。
実際にやっている作業の棚卸し
直近の数か月で、自分が実際に何をやったかを一覧にします。契約に書かれた業務と、実際にやったことを並べて比較します。
ほぼ必ず、書かれていない作業が出てきます。実装側の質問への対応、他部署への説明、素材の探索、文言の調整、会議への同席。これらは単体では小さいので意識されませんが、積み上げると相当な量になります。
一覧は、相手を責めるために作るのではありません。「気づいたら範囲がこれだけ広がっていました」という事実の共有として使います。事実の共有であれば、相手も防御的になりません。
契約開始時との差分
始めたときの条件と、現在の実態を比べます。画面数が増えた、対応するデバイスが増えた、レビューする人が増えた、納期が短くなった。
差分は、金額の話をせずに提示できます。差分だけを示して「この状態で続けるために、条件を整理させてください」と言えば、金額の議論は相手のほうから始まります。こちらから金額を切り出さずに済むと、交渉の構図が「お願いする側」ではなくなります。
相手が得た結果
改修の後に何が起きたかを把握しておきます。数値が共有されていない場合でも、担当者が言っていた変化を覚えておきます。問い合わせが減った、社内の評判が良い、他部署から相談が来るようになった。
こうした変化は、担当者が上長に説明するときに使える材料です。支出を増やす説明は、成果とセットでなければ通りません。成果を思い出させるのは、こちらの役目です。
自分の立ち位置の確認
同じ職種の人がどういう条件で働いているかを、大まかに把握しておきます。具体的な数字を相手にぶつけるためではなく、自分の判断の土台にするためです。
外の相場を交渉の場で持ち出すと、多くの場合逆効果になります。「よそはよそ」という話になり、こちらの提供している価値の話から離れてしまうからです。相場は自分が判断するために使い、交渉では自分の仕事の中身で語ります。分野ごとの働き方の違いを把握するにはUI/UXデザインのフリーランスになるには?必要スキルと案件相場のような整理が役立ちます。
いつ切り出すか
タイミングは、内容と同じくらい結果を左右します。
契約の更新時期
最も自然なタイミングです。更新の協議は契約上の手続きなので、条件の話をするのに理由が要りません。
更新の1か月から2か月前に、条件の確認をしたい旨を伝えます。この時期であれば、相手も次年度の予算を組む前なので、調整の余地があります。更新の直前に切り出すと、予算が固まった後になり、動かせません。
業務の範囲が変わるとき
新しい種類の作業を頼まれたときは、条件を見直す自然な機会です。「この内容ですと、これまでの範囲とは性質が違うので、条件を整理させてください」と伝えます。
このタイミングの利点は、相手にとっても納得しやすいことです。新しいことを頼んでいる自覚があるからです。逆に、新しい作業を無償で引き受けた後で条件の話をすると、根拠が弱くなります。範囲が変わる瞬間を逃さないことです。
成果が見えた直後
改修の効果が出て、相手が満足しているときは、話を持ちかけやすい時期です。ただし、成果を理由に金額を要求する形にはしないほうがよいでしょう。取引めいた印象を与えます。
使うのは、成果そのものではなく、成果を出すために必要だった関与の深さです。「今回の結果につながったのは、設計だけでなく運用側の確認まで入ったからです。この関与を続ける前提で、条件を整理させてください」という言い方になります。
避けたほうがよい時期
案件が炎上しているとき、相手の組織が期末で余裕がないとき、担当者が異動した直後。この3つは避けます。
炎上中の相談は、足元を見た要求と受け取られます。期末は予算が動かせません。異動直後は、後任がこれまでの経緯を把握していないので、判断ができません。急ぐ気持ちがあっても、時期を外すと通るものも通らなくなります。
伝える順番
実際の相談は、次の順番で組み立てます。順番を変えると、同じ内容でも受け取られ方が変わります。
第一に、関係を続けたい意思を伝えます。「今後も継続してお手伝いしたいと考えています」という前置きです。これがないと、条件が合わなければ離れるという通告に聞こえます。
第二に、現状の共有をします。棚卸しした作業の一覧と、開始時からの差分です。ここでは評価も要求もせず、事実だけを並べます。
第三に、このまま続けた場合の懸念を述べます。範囲が広がった状態を維持すると、対応の速度や質を保てなくなる可能性がある、という形です。相手にとっての不利益として語ります。
第四に、提案を出します。ここで初めて条件の話をします。単一の案ではなく、複数の形を示すのが有効です。範囲を現状のまま維持する案、範囲を絞って条件を据え置く案、といった選択肢です。
第五に、相手が社内で説明するための材料を渡す旨を伝えます。「必要でしたら、社内でご説明いただける形の資料をお出しします」と添えます。ここまで来ると、担当者はこちらを敵ではなく協力者として扱います。
根拠をどう組み立てるか
作業量の増加を構造で示す
「忙しくなった」では根拠になりません。何がどう増えたのかを、種類で示します。
画面の追加、対応環境の追加、確認する人の増加、会議の回数、修正の往復。この分類で並べると、増えた理由が構造として見えます。相手も「そういえば増えている」と気づきます。増えていることに気づいていない担当者は非常に多く、指摘されて初めて認識するケースがほとんどです。
責任の範囲が広がったことを示す
作業量とは別に、責任の重さが変わっていることがあります。以前は指示された画面を作るだけだったのが、設計方針そのものを任されるようになった、といった変化です。
判断を任されるということは、失敗したときの責任も負うということです。この変化は作業時間には現れませんが、価値としては大きい。言語化しておかないと、誰も気づかないまま据え置かれます。
相手が別の手段を取った場合を想像させる
これは直接口に出す種類のものではありませんが、相手の頭の中で働く材料です。同じ役割を別の方法で埋める場合、探す手間、引き継ぎの手間、立ち上がりまでの時間がかかります。
こちらが言うべきなのは、その手間の大きさではなく、いま蓄積されているものの中身です。「この半年で、社内の判断基準や過去の経緯まで把握した状態になっています」と述べれば、置き換えのコストは相手が自分で計算します。自分で計算した数字のほうが、人は納得します。
社内で通る言葉に翻訳する
担当者が上長に説明するとき、「デザイナーのスキルが高いから」では通りません。通るのは、業務量の増加、責任範囲の拡大、他の手段と比べた妥当性です。
この翻訳を、こちらでやってしまいます。担当者にそのまま使ってもらえる文章を用意しておくと、驚くほど話が早く進みます。発注側の見積もりの取り方を扱った解説でも、依頼側が納得できる形で情報を得ることが重視されています。
さあ、予算の考え方がわかったら、いよいよ実際にデザイナーやデザイン会社に見積もりを依頼してみましょう! ここでは、あなたが損をせず、納得のいくパートナーを見つけるための「見積もり依頼のコツ」を5つ、UI/UXデザインならではのポイントも交えてご紹介します。 出典: note.com
相手は納得したうえで決めたいと考えています。納得の材料を先に渡す側が、条件の主導権を持ちます。
断られたときの選択肢
条件が通らないことは普通にあります。そこで終わらせないための手が4つあります。
金額以外の条件を動かす
支出を増やせない事情がある場合でも、他の条件は動かせることがあります。納期の余裕、修正回数の上限、会議の削減、支払期日の前倒し、実績としての公開許可。
これらは相手にとって支出を伴わないので、承認が要りません。担当者の裁量で決められます。実質的な負担が減れば、同じ金額でも状況は改善します。特に実績の公開許可は、次の受注につながるため価値が高い項目です。
範囲を減らして条件を据え置く
金額を上げられないなら、やることを減らします。「現在の条件を維持する場合、対応範囲をこの部分までとさせてください」という提案です。
これは強気に見えますが、相手にとっては合理的な選択肢です。予算が動かせない状況で、範囲だけが膨らみ続けるほうが不健全だからです。どこを外すかを一緒に決める形にすると、対立にならずに済みます。
段階を分けて引き上げる
一度に変えるのが難しい場合、時期を分けます。次の更新までは現状のまま、更新時に見直すという約束を取り付けます。
口約束で終わらせず、いつ何を協議するかをメールに残します。書面に残っていれば、その時期が来たときに切り出すのは約束の履行になり、新たな交渉になりません。
離れる判断をする
すべての取引を続けなければならないわけではありません。条件が実態に合わないまま長く続けると、他の仕事を受ける余力がなくなり、結果として全体の収入が下がります。
離れる場合も、終わり方は丁寧にします。引き継ぎ資料を整え、後任が困らない状態にして去ります。条件が合わずに離れた相手から、状況が変わって再度声がかかることは珍しくありません。単価交渉の手順を体系的に押さえておきたい場合はフリーランスの単価交渉術|値上げを成功させる方法【2026年版】が参考になります。
相談を持ちかける前に整えておく資料
口頭だけで進めると、話した内容が担当者の記憶にしか残りません。担当者は上長に説明する段階で、記憶を頼りに再構成することになり、こちらの意図が薄まります。資料を作るのは、この劣化を防ぐためです。
1枚に収める
長い資料は読まれません。A4で1枚、多くても2枚に収めます。中身は4つで足ります。現在の業務範囲、開始時からの変化、続けるうえでの提案、そして提案ごとの条件です。
書き方は淡々とします。感情を込めた文章や、強調の多い文書は、社内で回覧されるときに浮きます。担当者がそのまま添付できる温度で書くのが正解です。
提案は3つ用意する
1つだけ出すと、受けるか断るかの二択になります。3つあると、相手は「どれにするか」を考えます。この違いは大きい。
3つの内訳は、現状の範囲を維持する案、範囲を絞って条件を据え置く案、その中間の案です。真ん中を選ばせる意図で作るのではなく、どれを選んでも実態と条件が合う状態にしておきます。相手がどれを選んでも困らない設計にしておけば、こちらは落ち着いて待てます。
数字ではなく分類で見せる
作業の増加を示すとき、細かい時間の集計を並べても伝わりません。種類で分類して見せるほうが理解されます。
設計に関する作業、確認と説明に関する作業、調整と事務に関する作業。この3分類で並べると、当初は1つ目だけだったものが、いまは3つに広がっているという構造が一目で分かります。構造で示すと、相手は反論ではなく理解の姿勢になります。
相談の場で起きやすい展開への備え
実際に話を持ちかけると、いくつか決まったパターンの反応が返ってきます。それぞれに準備しておきます。
「持ち帰って検討します」で止まる
最も多い反応です。ここで待つだけだと、そのまま数か月が過ぎます。
その場で確認するのは2点です。いつ頃に返答をもらえるか、そして社内で説明するために足りない情報はないか。この2つを聞いておけば、期日が決まり、追加の材料も渡せます。返答の期日を決めずに終える相談は、ほぼ流れます。
「今の予算では難しい」と言われる
予算の制約は本当のことが多いので、そこを押しても進みません。切り替えるのは、予算の期間です。
「今期が難しいのは承知しました。次の期であれば検討の余地はありますか」と聞きます。あれば、その時期に再度協議する約束を取り付けます。ないと言われた場合は、金額以外の条件に話を移します。予算という壁は、時期をずらすか、支出を伴わない条件に切り替えるかのどちらかで越えます。
「他の人にも同じ条件でお願いしている」と言われる
社内の公平性を理由にした返答です。これは事実であることも多く、正面から崩すのは難しい。
有効なのは、同じ枠の中で扱われることの妥当性を問い直すことです。「同じ枠で比較される前提であれば、業務の範囲もそろえていただく必要があります」と伝えます。条件が同じなら範囲も同じにしてほしい、という主張は、公平性を根拠にしているので反論しにくいものです。
その場で結論を求められる
まれに、すぐに決めてほしいと言われることがあります。焦って承諾すると、後で条件を戻せません。
「持ち帰って整理してからお返事します」と答えて構いません。相手が急いでいるのは相手の事情であり、こちらが即答する義務はありません。1日置くだけで判断の質は変わります。
相談の場で言わないほうがよいこと
生活の事情を理由にする
物価が上がった、生活が厳しい、という理由は、相手の社内で使えません。担当者が上長に「先方の生活が苦しいそうです」とは言えないからです。
理由は、提供している価値と業務の実態に置きます。個人の事情は、こちらが判断する動機であって、相手に示す根拠ではありません。
他社の条件を持ち出す
「別のところではもっと良い条件です」という言い方は、比較の話にすり替わります。そして相手は「ではそちらへどうぞ」と答えることができます。
比較を出すなら、金額ではなく役割の話にします。「この規模の設計を任される場合、通常はこういう関与の仕方になります」という形であれば、相場の話をせずに水準を示せます。
感情を混ぜる
不満が溜まった状態で切り出すと、口調に出ます。相手は内容ではなく態度に反応し、話が本題から逸れます。
不満が溜まる前に相談するのが理想ですが、既に溜まっている場合は、文章にしてから話します。書いて、一晩置いて、感情の混じった部分を削る。この一手間で、通る確率が変わります。
曖昧にぼかす
遠回しに伝えると、相手は気づきません。「最近ちょっと大変で」という言い方は、単なる雑談として処理されます。
丁寧さと曖昧さは別のものです。丁寧な言葉で、内容ははっきり伝えます。「条件の見直しについてご相談させてください」と最初に言い切ってから、中身の説明に入ります。
相談しなくても条件が上がる状態を作る
そもそも、毎回交渉しなくてよい状態を先に作っておくのが理想です。仕組みは3つあります。
契約に協議の機会を書き込んでおく
契約書に「契約期間の満了時に、業務量および経済情勢を勘案して条件を協議する」という一文を入れておきます。これがあると、条件の相談は契約に基づく手続きになり、切り出す理由を考える必要がなくなります。
この一文を入れる交渉は、契約を結ぶ最初のタイミングであれば通りやすいものです。まだ関係が始まっていないので、双方が対等に条件を詰められます。関係が続いてから入れようとすると、それ自体が交渉になります。
範囲の変更を毎回言葉にしておく
範囲外の作業を引き受けるとき、その都度「今回は範囲外ですが対応します」と伝えておきます。1回ごとは小さな一言ですが、積み重なると記録になります。
半年後に条件を相談するとき、この記録があれば説明が一瞬で終わります。何も言わずに引き受けてきた場合、その作業は最初から範囲内だったことになり、増えたという主張が成り立ちません。無言で引き受けることは、範囲の拡大に同意しているのと同じです。
判断を任される役割へ移っていく
作業の量で測られる関係にいる限り、条件は時間の量でしか上がりません。判断を任される役割に移ると、測られる基準が変わります。
移り方は、聞かれる前に意見を出すことです。「この画面についてはこうすべきだと考えます。理由は」と、判断とその根拠を日常的に伝えます。これを続けていると、相手はいつのまにか意見を求めるようになります。求められる立場になった時点で、条件の議論は別の土俵に移っています。
依存されすぎない距離を保つ
条件を上げるうえで意外に効くのが、こちらの余力の有無です。すべての時間を1社に使っている状態では、条件が合わなくても離れられません。離れられない立場は、相手にも伝わります。
複数の取引を持ち、常に少しの余白を残しておく。この状態を保っている人は、条件の相談を落ち着いて進められます。焦りが消えると、伝え方が変わり、結果も変わります。余白を作ることは、交渉の技術そのものより効く準備です。
条件が上がっていく人の共通点
フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から言えば、条件が上がっていく人は、交渉が上手いのではありません。日常の中で、自分がやっていることを相手に見せ続けているだけです。
運営者として見てきた限り、長く続く人ほど、単発の作業をこなすことより「この人に任せると楽だ」という状態を作ることに時間を使っています。任せると楽だと思われている相手に対して、発注側は条件の相談を無下にしません。逆に、言われたものを言われた通りに納めるだけの関係では、条件は作業の量でしか測られず、上がる余地が生まれません。
中間業者が入らない直接取引では、条件の相談も自分で行うことになります。代わりに交渉してくれる人はいませんが、その分だけ手数料が抜かれず、同じ予算でも依頼側はより多くを頼め、受ける側の手取りは厚くなります。手数料0%の構造で効いてくるのは、金額の大小より、条件を自分の実態に合わせて組み直せるという点です。組み直す作業を自分でやる覚悟がある人にとっては、直接取引のほうが伸びしろがあります。
自分の専門性を形で示したい場合は人間中心設計(HCD)専門家資格でUXデザインのフリーランス案件を獲得のような裏づけが交渉の材料になります。実装側と組む形で役割を広げるなら、ソフトウェア作成者の年収・単価相場のような職種別の整理を見ておくと、チームの中での自分の位置づけを説明しやすくなります。どういう関わり方が発注されているかの全体像はUI/UX・アプリデザインのお仕事に整理されています。
条件の相談は、関係を壊す行為ではありません。実態に合わない条件を放置するほうが、静かに関係を壊します。
よくある質問
Q. 単価の相談は、どのくらいの期間続けた相手に切り出すべきですか?
期間より、状況の変化があったかどうかで判断します。作業の範囲が広がった、責任の重さが変わった、対応する環境が増えたといった変化があれば、期間が短くても切り出す理由になります。逆に、何も変わっていない状態で期間だけを理由にすると、根拠が弱くなり通りにくくなります。
Q. 相談を切り出したら関係が悪くなりませんか?
伝え方によります。関係を続けたい意思を先に述べ、事実の共有から入り、複数の選択肢を示す形にすれば、対立にはなりません。多くの担当者は範囲が広がっていることに気づいておらず、指摘されて初めて認識します。実態に合わない条件を黙って続けるほうが、質の低下という形で関係を損ないます。
Q. 外部の相場を根拠として持ち出すのは有効ですか?
交渉の場では逆効果になりやすいです。他社との比較の話にすり替わり、こちらが提供している価値から議論が離れます。相場は自分が判断するための土台として使い、相手には自分の業務の実態と責任範囲の変化で説明してください。水準を示したい場合は、金額ではなく役割の話に置き換えます。
Q. 断られた場合、金額以外に何を交渉できますか?
納期の余裕、修正回数の上限、会議の削減、支払期日の前倒し、実績としての公開許可などです。いずれも相手の支出を伴わないため、担当者の裁量で決められることが多く、承認が早く出ます。特に実績の公開許可は次の受注につながるため、金額に代わる価値として交渉する意味があります。
Q. 相談のタイミングとして避けるべき時期はありますか?
案件が炎上しているとき、相手の組織が期末で予算を動かせないとき、担当者が異動した直後の3つです。炎上中は足元を見た要求と受け取られ、期末は予算が固まっており、異動直後は後任が経緯を把握していないため判断できません。急ぐ場合でも、時期を外すと通るものも通らなくなります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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