系統図の書き方|目的と手段を枝分かれで整理する手順


この記事のポイント
- ✓目的を1文で決めるところから
- ✓手段を枝分かれで具体化し
- ✓評価して実行に移すまでの6つの手順で解説します
系統図を調べている人の多くは、職場の改善活動で「系統図で対策を整理して」と言われた、あるいは大きな目標をどう具体的な行動に落とせばよいか分からずに困っています。系統図とは、達成したい目的を左端に書き、それを実現する手段を右へ枝分かれさせながら、すぐに実行できる行動まで具体化していく図のことです。この記事では、系統図の種類、書く前の準備、書き方の手順、記入例、手段の評価のしかた、崩れやすい点の直し方までを順に説明します。系統図で決めた行動をチームで分担して進めるときは、担当と期限を共有できるPinatecaのような道具を使う方法もあり、後半で触れます。
系統図とは何か
系統図は、目的と手段の関係を、木の枝のように分かれていく形で表した図です。品質管理の分野では、言葉で表された情報を整理する手法をまとめた「新QC七つ道具」の1つとして紹介されることが多く、系統図を使って考えを進めることを系統図法と呼びます。
系統図法とは、物事を多段階で展開しながら枝分かれさせる系統図を描くことで、問題全体を見渡しながら目的達成のアクションや課題克服のためのタスクなどを検討する手法です。 出典: engineering-technology.brexa.com
系統図の基本の形は、次のとおりです。
- 左端:目的(達成したいこと)
- 1段目の手段:目的を実現するための大きな手段
- 2段目の手段:1段目の手段を実現するための、より具体的な手段
- 3段目以降:すぐに実行できる行動になるまで、同じように具体化を続ける
ここで大切なのは、ある段の「手段」が、右隣の段から見ると「目的」になることです。たとえば「調剤の取り違えを減らす」という目的に対して、「確認の手順を増やす」が1段目の手段になります。次の段では「確認の手順を増やす」が目的になり、その手段として「薬を棚から取る前に処方箋と照らし合わせる」「袋に入れる前に別の人が確かめる」が並びます。このように、目的と手段の関係を右へ右へと繰り返していくと、大きな目標が、明日から実行できる行動に分解されていきます。
右へ進むときの問いは「そのためには、どうすればよいか」です。反対に、右から左へ戻るときは「それは何のためか」と問います。この2つの問いで行き来して、どちらの方向にも答えが通っていれば、系統図の筋は通っています。
系統図が役立つ場面
系統図は、目標ははっきりしているのに、何から手を付ければよいかが分からないときに力を発揮します。
ある課題が明らかになったけれども、どうやって克服していけばよいのか、または問題の原因が分かった後にどういう対策をしていけばよいか、と考えたい時に、思いついたものからやみくもにやっていくのは非効率であり、思うように効果が出せなかったりもします。 出典: engineering-technology.brexa.com
具体的には、次のような場面で使われます。
1つ目は、職場の改善活動です。ミスを減らす、待ち時間を短くする、残業を減らすといった目標に対して、どんな対策があるかを漏れなく洗い出すのに使います。
2つ目は、新しい取り組みの計画です。新しいサービスを始める、業務を電子化するといった取り組みで、必要な作業を洗い出すのに使います。
3つ目は、原因が分かった後の対策づくりです。別の手法で問題の原因が分かったら、その原因をなくすための手段を系統図で考えます。原因を探す段階と、対策を考える段階で道具を分けると、考えが混ざりにくくなります。
4つ目は、個人の目標の分解です。資格を取る、収入の柱を増やすといった個人の目標も、系統図で分解すると、今週やることが見えてきます。
どの場面でも共通するのは、「思いついた対策から手を付ける」のではなく、「目的から順に分解して、全体を見渡してから選ぶ」という考え方です。思いついた対策から始めると、効果の大きい対策を見落としたり、同じような対策ばかりに偏ったりしがちです。
系統図の2つの種類
系統図には、大きく分けて2つの描き方があります。目的に合わせて選びます。
方策展開型
目的を達成するための手段(方策)を枝分かれさせていく描き方です。「どうすれば達成できるか」を繰り返し問い、具体的な行動まで落とし込みます。改善活動や計画づくりで最もよく使われる形で、この記事で中心に説明するのもこの型です。
構成要素展開型
ある対象を、それを構成している要素に分けていく描き方です。たとえば「顧客の満足」を「価格への満足」「品質への満足」「対応への満足」に分け、さらに「対応への満足」を「待ち時間」「説明の分かりやすさ」「言葉づかい」に分ける、という具合です。目的と手段の関係ではなく、全体と部分の関係で分けていきます。何が満足や不満を左右しているかを整理したいときに向いています。
2つの型の違いは、右へ進むときの問いにあります。
| 型 | 右へ進むときの問い | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 方策展開型 | そのためには、どうすればよいか | 対策や行動を決める |
| 構成要素展開型 | それは、何から成り立っているか | 対象の中身を整理する |
1つの図の中で2つの問いを混ぜると、枝の意味がばらばらになります。書き始める前に、どちらの型で書くかを決めておきます。
ほかの図との違いと使い分け
系統図と似た図はいくつかあります。それぞれの得意な場面を知っておくと、使い分けで迷いません。
| 図 | 何を整理するか | 主な使いどころ |
|---|---|---|
| 系統図 | 目的と手段の関係 | 対策や行動を具体化する |
| 親和図 | ばらばらの意見や事実の似たものどうし | 問題そのものを見つける |
| 連関図 | 原因と結果が複雑に絡み合う関係 | 原因を探る |
| 特性要因図 | 結果と、それに影響する要因 | 原因の候補を洗い出す |
| マトリックス図 | 2つの項目の組み合わせ | 手段の評価、担当の割り振り |
流れとしては、親和図で問題を見つけ、連関図や特性要因図で原因を探り、系統図で対策を具体化し、マトリックス図で対策を評価して担当を決める、という順番で使われることがあります。すべてを使う必要はありませんが、系統図は「原因が分かった後」「目標が決まった後」に使う図だと覚えておくと、出番を間違えません。
ビジネスの分野で使われるロジックツリーも、系統図とよく似た図です。ロジックツリーのうち、目標を手段に分けていく形は、方策展開型の系統図とほぼ同じ考え方と言えます。呼び名にこだわらず、「目的から手段へ、全体から部分へ分けていく図」として使えば問題ありません。
系統図を書く前の準備
系統図を書く前に、次の3つを準備しておくと、途中で手が止まりにくくなります。
目的を1文で書く
最初に、達成したいことを1文で書きます。「ミスを減らす」のような短い言葉ではなく、「調剤の取り違えを、半年で今の半分にする」のように、何を、いつまでに、どのくらい、を入れます。目的があいまいだと、手段もあいまいになり、枝の先が具体的な行動になりません。
制約を書き出す
使える予算、人数、期間、守るべき決まりなどを書き出します。制約を書いておかないと、「人を増やす」「新しい機械を買う」といった、実際には選べない手段ばかりが並ぶことがあります。制約の外にある手段も、書き出すこと自体は構いませんが、評価の段階で外すことになります。
参加する人を決める
系統図は、1人で書くより、現場を知る人を含めた数人で書くほうが、手段の漏れが少なくなります。人数は3人から6人ほどが話し合いやすい規模です。実際に作業する人が加わると、机の上の空論ではない、実行できる手段が出やすくなります。
道具は、模造紙と付箋、ホワイトボード、表計算のソフトのどれでも構いません。付箋を使うと、枝の付け替えが簡単にできるので、話し合いながら書くのに向いています。
系統図の書き方6つの手順
ここからは、方策展開型の系統図を書く手順を、6つのステップで説明します。
ステップ1:目的を左端に書く
準備で書いた目的の1文を、紙の左端に書きます。縦に書く場合は一番上に書き、下へ枝分かれさせても構いません。
ステップ2:1段目の手段を書き出す
目的を見ながら「そのためには、どうすればよいか」を考え、大きな手段を3つから5つほど書き出します。この段階では、細かい行動ではなく、方向性を示す言葉にします。「確認の手順を増やす」「間違えにくい環境をつくる」「間違いに早く気づく仕組みをつくる」といった具合です。
ステップ3:2段目、3段目と具体化する
1段目の手段の1つずつについて、同じように「そのためには、どうすればよいか」を考え、より具体的な手段を書き出します。これを、枝の先が「誰が、何を、いつ行うか」まで分かる行動になるまで続けます。多くの場合、3段から4段で具体的な行動にたどり着きます。
ステップ4:右から左へ読み返す
枝の先から目的へ向かって、「それは何のためか」と問いながら読み返します。答えが左隣の手段とつながらないときは、間に1段が抜けているか、枝の付け先が間違っています。付箋を付け替えて直します。
ステップ5:漏れと重なりを確かめる
同じ段に並んだ手段どうしが重なっていないか、大事な手段が抜けていないかを確かめます。参加者に「ほかに方法はないか」をもう一度聞くと、新しい手段が出てくることがあります。
ステップ6:枝の先の行動を評価して選ぶ
最後に、枝の先に並んだ具体的な行動を、効果、実行しやすさ、費用などの観点で評価し、実際に取り組む行動を選びます。評価のしかたは、後の節で詳しく説明します。
記入例1:薬局で薬の取り違えを減らす
ここでは、薬局で薬の取り違えを減らすことを目的にした系統図を、言葉で示します。薬局で起きた、事故には至らなかったものの危うかった出来事は「ヒヤリ・ハット」と呼ばれ、公益財団法人日本医療機能評価機構の薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業が、薬局から報告された事例を分析して公表しています。自分の職場だけでなく、こうした公表された事例を参考にすると、手段の候補が広がります。
目的:薬の取り違えを、半年で今の半分にする
1段目の手段と、その先の具体化は次のとおりです。
- 間違えにくい環境をつくる
- 名前や見た目が似た薬を、棚の離れた位置に移す
- 似た薬の棚に、注意をうながす目印を付ける
- 確認の手順を増やす
- 棚から取る前に、処方箋の薬の名前と規格を声に出して確かめる
- 袋に入れる前に、取りそろえた人とは別の人が確かめる
- 間違いに早く気づく仕組みをつくる
- 危うかった出来事を、その日のうちに記録する
- 記録を毎週の打ち合わせで共有し、対策を見直す
- 人の負担を減らす
- 混み合う時間帯の人の配置を見直す
- 急かされやすい場面での声かけの決まりを作る
このように書き出すと、「確認の手順を増やす」だけでなく、環境や人の負担といった別の方向の手段も並びます。思いついた対策だけで動くと、確認の手順ばかりが増えて現場の負担が重くなりがちです。系統図で全体を見渡すと、負担を減らす手段と組み合わせる発想が生まれます。
この例で1段目に4つの手段を並べたのは、「環境」「手順」「気づく仕組み」「人の負担」という、性質の違う切り口をそろえるためです。1段目の切り口が偏っていると、右へ伸ばしても同じ方向の手段しか出てきません。1段目を書き終えた時点で、切り口の違う手段が3つ以上あるかを確かめると、図全体の偏りを早めに直せます。
なお、この例は系統図の書き方を示すためのもので、実際の対策は、それぞれの薬局の業務の流れや決まりに合わせて検討する必要があります。
記入例2:問い合わせへの返信を早くする
次は、事務の仕事の例です。小さな会社で、問い合わせへの返信に時間がかかっている状況を考えます。
目的:問い合わせへの返信を、受け付けてから1営業日以内にする
- 受付を1か所にまとめる
- 電話、メール、ウェブのフォームの受付先を1つの一覧に集める
- 誰が受け付けたかを一覧に記録する
- 担当をすぐに決める
- 問い合わせの種類ごとに、担当する人を決めておく
- 担当が不在のときの代わりの人を決めておく
- 返信の手間を減らす
- よくある質問への返信のひな形を作る
- ひな形を月に1回見直す
- 遅れに気づく
- 受け付けてから半日たっても返信していない問い合わせを、毎日の昼に確かめる
- 遅れの理由を記録し、月に1回振り返る
この例でも、1段目の手段を「受付」「担当」「返信」「遅れの発見」と、問い合わせが処理される流れに沿って並べています。流れに沿って手段を並べると、どの段階が手薄かが見えやすくなります。
記入例3:個人の目標を分解する
系統図は、職場の改善だけでなく、個人の目標にも使えます。ここでは、働きながら資格を取りたい人の例を考えます。
目的:来年の秋の試験で、目指す資格に合格する
- 勉強の時間をつくる
- 平日の朝に30分、通勤の時間に20分を勉強に充てる
- 週末のうち半日を、まとまった勉強の時間として予定に入れる
- 勉強の中身を決める
- 試験の範囲と配点を、主催団体の公式の案内で確かめる
- 配点の高い分野から、テキストを1冊決めて読み始める
- 理解できているかを確かめる
- 1つの章を読み終えるごとに、問題集を解く
- 間違えた問題を一覧にして、週末に解き直す
- 続けられる仕組みをつくる
- 勉強した時間を、毎日手帳に記録する
- 同じ資格を目指す人と、月に1回進み具合を報告し合う
個人の系統図でも、1段目に「時間」「中身」「確認」「継続」と、性質の違う手段を並べるのがこつです。勉強の中身ばかりを考えて、時間の確保や続ける仕組みを後回しにすると、計画は立派でも途中で止まってしまいます。
枝の先の行動は、手帳やカレンダーにそのまま書き写せる形にしておきます。「平日の朝に30分」と書いておけば、翌日から実行できます。
系統図を使った話し合いの進め方
職場で系統図を書くときは、話し合いの進め方を決めておくと、短い時間で質の高い図ができます。ここでは、60分の話し合いを想定した進め方を紹介します。
最初の5分で、進行役が目的と制約を読み上げ、全員で確かめます。目的の言葉に納得していない人がいると、その後の話し合いがかみ合いません。
次の15分で、1段目の手段を出し合います。最初の5分は各自が黙って付箋に書き、残りの10分で1枚ずつ読み上げながら模造紙に貼ります。黙って書く時間を取ると、声の大きい人の意見に引っぱられにくくなります。似た付箋は重ねて1つにします。
続く25分で、2段目以降を具体化します。1段目の手段ごとに担当を分け、2人1組で枝を伸ばしてから全員に説明する、という進め方にすると、時間内に全体を書き終えやすくなります。
最後の15分で、右から左への読み返しと、漏れの確認、評価の点数づけを行います。時間が足りなければ、評価は次回に回しても構いません。
進行役は、出てきた手段を否定しないことが大切です。「それは無理」と言われると、参加者は意見を出しにくくなります。実行できるかどうかは、評価の段階で判断すれば十分です。
話し合いの後は、付箋を貼った模造紙を写真に撮って全員に共有し、清書は担当者が後で行います。
手段の評価のしかた
系統図を書き終えると、枝の先に多くの行動が並びます。すべてを一度に実行するのは難しいので、評価して取り組む順番を決めます。
よく使われるのが、点数をつける表です。枝の先の行動を縦に並べ、横に評価の観点を並べて、それぞれに点数をつけます。
| 行動 | 効果 | 実行しやすさ | 費用の小ささ | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 似た薬を棚の離れた位置に移す | 3 | 3 | 3 | 9 |
| 別の人が袋に入れる前に確かめる | 3 | 2 | 2 | 7 |
| 危うかった出来事をその日のうちに記録する | 2 | 3 | 3 | 8 |
| 混み合う時間帯の人の配置を見直す | 2 | 1 | 1 | 4 |
点数は、3が高い、1が低いの3段階にすると、迷わずにつけられます。合計点の高い行動から取り組みます。合計点が同じなら、効果の点数が高いほうを優先します。
評価の観点は、目的や職場の事情に合わせて選びます。よく使われるのは、効果、実行しやすさ、費用、すぐに始められるか、の4つです。観点の数は3つから4つにすると、評価の時間が長くなりすぎません。
このように、行と列の組み合わせで評価する表は、マトリックス図と呼ばれる手法の考え方と同じです。系統図で手段を広げ、マトリックスの表で絞り込む、という組み合わせは、改善活動でよく使われます。
点数は話し合いの材料であって、答えそのものではありません。点数が低くても、安全に関わる行動や、決まりで求められている行動は、優先して取り組む必要があります。
系統図を書くときのこつ
系統図をうまく書くためのこつを紹介します。
1つ目は、手段を「動詞」で終わる言葉にすることです。「確認」「環境」のような名詞だけでは、何をするのかが分かりません。「確認の手順を増やす」「似た薬を離れた棚に移す」のように、行動が見える言葉で書きます。
2つ目は、1つの付箋に1つの手段を書くことです。1枚に2つの手段を書くと、枝分かれさせるときに困ります。
3つ目は、段ごとの具体性をそろえることです。同じ段に「仕組みをつくる」と「毎朝9時に一覧を確かめる」が並んでいると、具体性の差が大きすぎます。後者は、さらに右の段に移します。
4つ目は、枝の数を欲張らないことです。1つの手段から分かれる枝は、2つから4つほどが目安です。枝が多すぎると、図が広がりすぎて全体を見渡せなくなります。
5つ目は、目的から離れていないかを時々確かめることです。具体化を続けるうちに、目的とは関係の薄い手段に枝が伸びていくことがあります。数段進むごとに、左端の目的に戻って読み返します。
6つ目は、すでに取り組んでいることも書き入れることです。系統図というと新しい対策ばかりを考えがちですが、今続けている取り組みも枝に入れておくと、どの方向の手段が手薄なのかが分かります。すでにある取り組みの付箋は色を変えておくと、新しく加える手段との区別がつきます。
7つ目は、数字で確かめられる行動にすることです。「確認を丁寧にする」ではなく「1日の終わりに、危うかった出来事の件数を数える」のように、実行したかどうかを後から確かめられる形にすると、見直しのときに効果を判断しやすくなります。
よくある失敗と直し方
系統図でよく見かける失敗と、その直し方を紹介します。
枝の先が行動になっていない
「意識を高める」「注意を徹底する」で枝が止まっている系統図は、実行できません。「意識を高めるためには、どうすればよいか」をもう一度問い、「月に1回、危うかった出来事を共有する時間を15分取る」のように、誰が何をするのかが分かるまで具体化します。
原因と手段が混ざっている
系統図の途中に「人手が足りない」のような原因が入っていることがあります。原因は手段ではありません。原因を見つけたら、それをなくす手段(「混み合う時間帯の配置を見直す」など)に言い直します。
1人で書いて終わっている
1人で書いた系統図は、書いた人の経験の範囲から出にくくなります。現場の人に見せて、「ほかに方法はないか」「この行動は本当にできるか」を聞きます。
書いて満足している
系統図は、行動を選んで実行するための道具です。書き終えたら、選んだ行動に担当と期限を付け、実行の計画に移します。書いた系統図を壁に貼っておき、実行の進み具合に合わせて見直すと、改善が続きやすくなります。
系統図を見直すタイミング
系統図は、一度書いたら終わりではありません。実行してみると、思ったより効果が出ない行動や、やってみて初めて分かる問題が出てきます。次のようなときに見直します。
1つ目は、選んだ行動を実行して1か月から3か月たったときです。目的にどれだけ近づいたかを数字で確かめ、効果が出ていない枝があれば、その枝の別の行動に切り替えます。
2つ目は、目的や制約が変わったときです。人の異動や予算の変更があったら、制約の書き出しから見直し、選べなくなった行動を外します。
3つ目は、新しい問題が起きたときです。たとえば、確認の手順を増やした結果、待ち時間が長くなったという新しい問題が出たら、それを解決する手段を系統図に追加します。
見直すときは、最初の系統図を残したまま、変更した部分に日付を書き添えておくと、後から経緯を振り返りやすくなります。
ExcelやPowerPointで系統図を描く方法
話し合いで付箋を使って書いた系統図は、清書して共有すると、後から見返しやすくなります。
PowerPointやWordでは、SmartArtの機能が使えます。MicrosoftのSmartArtの案内によると、組織図や意思決定ツリーを表すには「階層構造」の種類が向いているとされています。階層構造の中から横に枝分かれするレイアウトを選び、テキストの入力欄で字下げを使って段を表すと、系統図の形になります。
Excelで描く場合は、A列に目的、B列に1段目の手段、C列に2段目の手段、という具合に列で段を表し、右へ進むほど具体的になる表にする方法が手軽です。図としての見栄えは落ちますが、行の追加や並べ替えが簡単で、そのまま評価の表に発展させることもできます。
清書に時間をかけすぎないことも大切です。社内の改善活動なら、付箋の写真を共有するだけでも十分に役立ちます。清書するのは、社外に見せる資料や、長く使い続ける計画に限ると、手間と効果のつり合いが取れます。
系統図を報告や提案に使うとき
系統図は、考えるための道具であると同時に、上司や関係者に説明するための資料にもなります。ただし、話し合いで書いた系統図をそのまま見せると、枝が多すぎて伝わりにくいことがあります。報告や提案に使うときは、次の3点を整えます。
1つ目は、選んだ行動の枝を目立たせることです。全体の系統図は残しつつ、実際に取り組む行動の枝だけ色を変えたり太い線にしたりすると、「全体の中から、なぜこの行動を選んだのか」が一目で伝わります。
2つ目は、選ばなかった行動の理由を添えることです。「人の配置の見直しは効果があるが、今の人数では難しいため、来年度の課題とする」のように、外した理由を1行ずつ書いておくと、「ほかの方法は考えなかったのか」という質問に先回りできます。
3つ目は、目的の数字と期限を図の上に大きく書くことです。説明を聞く人にとって一番大事なのは、何を目指しているかです。目的の1文が図の隅に小さく書かれていると、手段の細かい話ばかりが印象に残ります。
説明の順番は、目的、選んだ行動と理由、選ばなかった行動と理由、実行の予定、の順にすると、聞き手が判断しやすくなります。系統図の全体は、質問に答えるための補足の資料として添える程度で十分です。
選んだ行動を実行に移すとき
系統図で選んだ行動は、担当と期限を決めて実行に移します。行動が数個なら、表計算のシートに「行動」「担当」「期限」「状況」の列を作るだけでも管理できます。毎週の打ち合わせでシートを開き、状況を更新すれば、進み具合を確かめられます。
行動の数が多い、複数の部署にまたがる、といった場面では、担当と期限と進み具合を1か所で見られる道具があると便利です。候補の1つがPinatecaです。公式サイトによると、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットが無料プランから使え、5人までのチームなら期限なしで無料、ボードは10個まで作れます。たとえば、系統図の1段目の手段をカンバンの列にして、枝の先の行動をカードにし、担当と期限を付ければ、どの方向の手段が進んでいて、どこが止まっているかを1画面で確かめられます。縦横2つの軸で自由にカードを並べられるグリッドボードもあるとされています。なお、Pinatecaは系統図そのものを描く道具ではなく、決めた行動の分担と進み具合を共有するための道具です。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
6人目のメンバー、または11個目のボードからは有料のスタンダードプランになり、料金は1人あたり月額500円(年払いなら1人あたり月額400円、税抜)です。
系統図の考え方が活きる仕事
目的を手段に分解する考え方は、改善や計画に関わる仕事で広く求められます。
業務改善やデジタル化の支援では、顧客の目標を具体的な施策に分解して提案する場面が多くあります。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、こうした案件の中身が紹介されています。経営の改善を助言する国家資格の中小企業診断士も、課題を整理して打ち手を示す力が問われる資格です。
医療の現場の事務でも、ミスを減らす改善活動に関わる機会があります。医療事務の知識を証明する資格には医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)があり、資格ガイドで試験の概要を確かめられます。
調査や分析の結果から対策を考える仕事に関心があるなら、研究者の年収・単価相場も参考になります。
業務委託の現場で見えること
在宅ワークとフリーランスの仲介を長く続けてきた運営者として見てきた限りでは、依頼の目的が大きく、何をどこまで頼めばよいか分からないまま発注されると、途中で範囲が広がり、双方の負担が重くなりやすい傾向があります。「売上を伸ばしたい」という目的のまま頼むのではなく、目的を手段に分解して、「今回頼むのはこの枝のこの行動」と範囲を区切ってから依頼すると、成果の確かめ方もはっきりします。
受ける側にとっても、依頼者の目的を系統図のように分解して示せると、提案の説得力が増します。「この目的なら、この3つの手段があり、今回はこの手段の中のこの作業をお引き受けします」と説明できる人は、範囲を巡る誤解が起きにくく、次の依頼にもつながりやすくなります。
仲介の手数料がかからない直接の取引では、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。その分、仕事の範囲を自分たちで決める場面が増えます。目的と手段を分けて話す習慣は、範囲をはっきりさせ、双方が納得して続けられる取引の土台になります。
よくある質問
Q. 系統図は何段まで書けばよいですか?
枝の先が、誰が何をいつ行うかが分かる具体的な行動になるまで書きます。多くの場合、3段から4段で行動にたどり着きます。5段以上になるときは、1段目の手段が大きすぎるか、同じ内容を言い換えて段を重ねている可能性があります。右から左へ「それは何のためか」と読み返して、段の重なりがないかを確かめます。
Q. 系統図と特性要因図はどう違いますか?
特性要因図は、起きている結果に対して、どんな要因が影響しているかを洗い出す図で、原因を探る段階で使います。系統図は、目的を達成するための手段を具体化する図で、原因が分かった後や目標が決まった後の対策づくりで使います。先に特性要因図などで原因を見つけ、その原因をなくす手段を系統図で考える、という順番で使うと分かりやすくなります。
Q. 系統図は1人で書いても意味がありますか?
個人の目標を分解するなら、1人で書いても十分に役立ちます。職場の改善活動では、現場を知る人を含めた3人から6人ほどで書くほうが、手段の漏れが少なくなります。1人で下書きを作り、それを数人に見せて「ほかに方法はないか」「本当に実行できるか」を聞く進め方でも構いません。
Q. 系統図で出した手段はどうやって絞り込めばよいですか?
枝の先の行動を縦に、効果、実行しやすさ、費用などの観点を横に並べた表を作り、3段階で点数をつける方法が使いやすいでしょう。合計点の高い行動から取り組みます。ただし点数は話し合いの材料で、安全に関わる行動や決まりで求められている行動は、点数にかかわらず優先して扱います。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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