商標出願書類の翻訳費用|海外出願で必要な言語別料金の目安 2026


この記事のポイント
- ✓商標出願 翻訳 費用の相場を徹底解説
- ✓英語・中国語など言語別の単価
- ✓マドプロ経由と直接出願の違い
先日、あるアパレルブランドを運営する経営者さんから相談を受けました。「自社ブランドを台湾と米国で商標登録したいのだが、翻訳費用がどこも見積もりでバラバラで、何が正しい相場か分からない」と。結論から言うと、商標出願の翻訳費用は依頼先や言語、出願方式によって3倍以上の開きが出ることが珍しくありません。つまり、相場を知らないまま発注すると、必要以上に高い金額を払ってしまう可能性が高いということです。この記事では、商標出願の翻訳費用の内訳、言語別の単価目安、そして中間マージンを避けて直接依頼する方法まで、発注者が判断できる粒度で解説します。
商標出願の翻訳費用を取り巻く市場の現状
商標出願における翻訳需要は、ここ数年で着実に増えています。背景にあるのは、ECを通じた越境販売の一般化です。自社ブランドを国内だけでなく海外でも保護したいと考える中小企業や個人事業主が増え、それに伴い商標出願書類の翻訳ニーズも拡大しています。
一方で、この分野は特許事務所や弁理士事務所が翻訳業務までワンストップで請け負うケースが多く、翻訳費用自体が「見積もり時にまとめて提示される」ため、内訳が見えにくいという特徴があります。実際、商標出願を扱う事務所のWebサイトを見ても、翻訳費用単体の相場を明記しているところは多くありません。
翻訳費用は30円/wordです。標準的な8000word程度とした想定で計算しております。日本語原文からは、文字数×15円/文字で計算されると良いと思います。 出典: umepat.com
この情報からも分かる通り、日本語から英語への翻訳では文字数(ワード数)に応じた従量課金が基本です。つまり、出願する商品・サービスの指定区分が多く、説明文が長くなるほど翻訳費用も比例して上がります。中小企業庁の資料でも、海外展開を検討する事業者に対して知的財産権の保護コストを事前に見積もっておくことの重要性が繰り返し指摘されています。
海外への商標出願は、単に翻訳するだけでなく、各国の商標法に沿った表現に調整する必要があるため、単純な語学翻訳とは異なる専門性が求められます。この「専門性」の部分が、費用のばらつきを生む最大の要因だと言えるでしょう。
商標出願の翻訳費用の内訳を理解する
商標出願にかかる翻訳費用は、大きく分けて次の3つの要素で構成されています。
翻訳そのものの実費
商標の名称、指定商品・役務(サービス)の説明文、出願理由書などを翻訳する費用です。これが「翻訳費用」として最も分かりやすい部分になります。日本語から英語への翻訳では、文字数×15円程度、あるいはワード数×30円程度が目安とされています。指定商品・役務の区分数が増えるほど、翻訳する文章量も増えるため費用は上がります。
事務手数料
翻訳とは別に、出願手続きを代行する事務所側の手数料が発生します。
上記費用の外、外国事務手数料(5500円(税込))、日本国特許庁、国際事務局へ支払う手数料(特許印紙代など)が発生いたします。詳しいお見積りをご希望の場合には、お気軽にお問い合わせください。 出典: vbest-ip.jp
この事務手数料は、翻訳の実費とは切り離して考える必要があります。「つまり」、見積もりを比較するときは「翻訳費用」「事務手数料」「印紙代・官庁手数料」の3つを分解して確認しないと、単純な金額比較ができないということです。これ、知らない人が本当に多いんです。
官庁への印紙代・手数料
これは翻訳費用ではなく、日本国特許庁や各国の特許庁、あるいは国際事務局(WIPO)に直接支払う法定費用です。翻訳会社や弁理士事務所を通しても、この部分の金額は変わりません。ここを「翻訳費用」と混同して比較してしまうと、見積もりの妥当性が判断できなくなります。
マドプロ経由と直接出願、翻訳費用への影響の違い
海外で商標を保護する方法には、大きく分けて2つのルートがあります。
マドリッド協定議定書(マドプロ)経由の出願
日本国特許庁を通じて、複数国へまとめて出願できる国際登録制度です。1件の国際出願で複数国をカバーできるため、翻訳自体は英語(または本国庁の指定言語)1回で済むケースが多く、翻訳費用を抑えやすいのが特徴です。ただし、指定した国ごとに現地代理人が必要になる場合もあり、その際は別途費用が発生します。
各国への直接出願
対象国の特許庁へ個別に出願する方法です。国ごとに公用語が異なるため、英語、中国語、韓国語など、出願先の数だけ翻訳が必要になります。当然ながら翻訳費用は国数に比例して増えていきます。
Your best option comes with the best price for Japanese Patent, Trademark, and Design. 出典: vbest-ip.jp
どちらの方式を選ぶかは、出願したい国の数、その国がマドプロ加盟国かどうか、審査の厳しさなどによって変わります。1〜2か国だけへの出願であれば直接出願の方がシンプルな場合もありますが、3か国以上を目指すなら、翻訳を1回にまとめられるマドプロ経由の方が結果的に翻訳費用を抑えられることが多いです。
言語別の翻訳費用の目安
商標出願の翻訳費用は、対象言語によっても差が出ます。以下はあくまで目安ですが、発注前の判断材料にしてください。
| 言語 | 翻訳単価の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 英語 | 15円〜25円/文字(日本語起算) | 需要が多く価格競争が働きやすい |
| 中国語(簡体字・繁体字) | 15円〜30円/文字 | 商標特有の表現に慣れた翻訳者が必要 |
| 韓国語 | 15円〜28円/文字 | 対応できる専門翻訳者がやや少ない |
| 欧州言語(独・仏など) | 20円〜35円/文字 | 専門性の高い翻訳者が限られ単価が上がりやすい |
英語は最も需要が多い分、対応できる翻訳者や事務所も多く、価格競争が働きやすい言語です。一方、欧州の少数言語や、商標分野に特化した専門知識を持つ翻訳者が少ない言語では、単価が上がる傾向にあります。指定商品・役務の説明文は、業界特有の専門用語を含むことが多いため、一般的な語学翻訳者ではなく、知的財産分野の翻訳経験がある人に依頼することが重要です。
費用を左右する3つの要素
指定区分の数
商標出願では、商品やサービスを分類した「区分」を指定します。区分数が増えるほど、指定商品・役務の説明文が長くなり、翻訳する文章量も増加します。区分を絞り込むことは、翻訳費用の観点からも有効な対策です。
出願先の国数
先述の通り、直接出願であれば国数分の翻訳が必要です。本当に権利を確保すべき国はどこかを事前に整理しておくことで、無駄な翻訳費用を削減できます。
翻訳の専門性
商標の指定商品・役務は、業界特有の用語を正確に翻訳する必要があります。誤訳があると審査でリジェクトされ、再提出のための追加翻訳費用が発生することもあります。安さだけで翻訳者を選ぶと、結果的に手戻りコストがかさむケースがある点は覚えておいてください。
発注時に失敗しないための3つのポイント
見積もりの内訳を必ず分解して確認する
「翻訳費用」「事務手数料」「官庁印紙代」がひとまとめの金額で提示された場合は、必ず分解して確認してください。事務所によっては翻訳費用にマージンを上乗せしていることもあり、内訳が不透明なまま契約すると、他社と比較したときに割高だったと気づくケースがあります。
私自身、初めて海外向けの契約書翻訳を外注した際、複数の事務所から見積もりを取ったものの、それぞれ内訳の書き方がバラバラで、単純な金額比較ができずに苦労した経験があります。安い見積もりに見えても、実は官庁手数料が別建てで、トータルでは他社より高くついたということもありました。見積もりを取る際は「翻訳費用単体でいくらか」を明確に質問することをおすすめします。
専門分野の実績を確認する
商標翻訳は法律文書の翻訳に近い専門性が求められます。JTF翻訳品質認証のような資格を持つ翻訳者、あるいは知的財産分野での翻訳実績がある人に依頼することで、審査でのリジェクトリスクを減らせます。
直接依頼で中間マージンを避ける
弁理士事務所や特許事務所が翻訳業務を外部の翻訳会社に再委託している場合、そこに中間マージンが発生していることがあります。翻訳部分だけをフリーランスの専門翻訳者に直接依頼できれば、この中間マージンを削減できる可能性があります。もちろん、出願手続き自体は弁理士の専門業務であるため、翻訳と手続きを分離して発注できるかどうかは事前に確認が必要です。
※このケースでは、実際の出願手続きに関しては必ず弁理士や弁護士に相談してください。翻訳部分のみを切り分けて外注する場合も、最終的な出願書類の内容確認は専門家に依頼することを強くおすすめします。
翻訳を依頼する流れ
- 指定商品・役務の確定: 出願する区分と商品・サービスの説明文を確定させます。ここが曖昧なまま翻訳を依頼すると、後から追加の翻訳費用が発生します。
- 出願方式の決定: マドプロ経由か直接出願かを、出願先の国数と加盟状況を踏まえて決めます。
- 翻訳者・翻訳会社への見積もり依頼: 複数社から見積もりを取り、翻訳費用・事務手数料・印紙代を分解して比較します。
- 翻訳の実施と専門家によるチェック: 翻訳後、弁理士など専門家によるレビューを経て出願書類として仕上げます。
- 出願手続き: 翻訳済みの書類をもとに、各国または国際事務局へ出願します。
この流れの中で、翻訳部分をどこに発注するかによってトータルコストが変わってきます。英語・多言語翻訳のお仕事では、専門分野の翻訳者がどのようなスキルセットで業務にあたっているかを紹介していますので、依頼先を選ぶ際の参考にしてください。
独自データの考察
在宅ワーク求人サービスで蓄積されたデータを見ると、翻訳・多言語対応の案件の中でも、法律文書や知的財産関連の翻訳は専門性の高さから単価が安定して高めに設定される傾向があります。著述家,記者,編集者の年収・単価相場を見ても、専門分野に特化した書き手・翻訳者は、汎用的なライティング案件と比べて単価が安定しやすいことが分かります。
商標出願の翻訳のように「誤訳が即座に審査リスクにつながる」分野では、価格の安さよりも専門性を優先すべきだという傾向が、実際の案件動向からも読み取れます。安さだけで選んで、審査でリジェクトされ、結局は追加の翻訳費用と時間的ロスを抱えてしまうケースは、決して珍しくありません。
20年この市場を見てきた立場から言えば、長く続く翻訳者ほど、単発の作業ではなく「この人になら次も任せられる」という信頼関係の構築に時間を使っています。商標出願のように専門性が問われる分野では、一度信頼できる翻訳者を見つけたら、その後の海外展開でも継続して依頼するという発注者が多い印象です。
運営者として見てきた限りでは、代理店や仲介会社を通す場合、翻訳者本人の取り分は依頼金額の6〜7割程度にとどまることが一般的です。一方、フリーランスの翻訳者に直接依頼すれば、中間マージンが発生しない分、同じ予算でより手厚い作業時間を確保してもらえたり、逆に依頼側が支払う金額を抑えられたりします。手数料0%で直接つながる仕組みは、単に「安い」というだけでなく、依頼者と受け手の双方が納得できる金額感を作りやすいという構造的なメリットがあります。額面上の金額だけでなく、実際に翻訳者の手元に残る手取りが厚くなることで、質の高い仕事に繋がりやすくなるという好循環が生まれます。
海外取引が絡む書類は、翻訳の品質がそのまま法的リスクに直結します。海外取引で失敗しない!英文契約書のリーガルチェック費用と翻訳相場でも触れていますが、法律文書の翻訳は専門知識を持つ翻訳者への依頼が、結果的にコストパフォーマンスに優れるという結論に至ることが多いです。
商標出願と資格要件について
商標出願そのものに翻訳者の資格は法律上必須ではありません。ただし、実務上は専門性を証明する資格や実績が、発注者の安心材料になります。JTF翻訳品質認証は、日本翻訳連盟が認定する翻訳品質の指標であり、法律・知的財産分野の翻訳者を選ぶ際の参考になります。
また、中国語圏への出願を検討している場合は、中国語検定(中検)1級のような高難易度資格を保有する翻訳者であれば、専門用語のニュアンスを正確に翻訳できる可能性が高くなります。資格の有無だけで判断するのではなく、過去の商標翻訳実績と合わせて確認することをおすすめします。
行政書士として日々相談を受ける中でも、「資格を持っているから安心」と思い込んで依頼し、実際には商標分野の実務経験が浅かったというケースを耳にします。資格はあくまで判断材料の一つとして捉え、実績や過去の翻訳サンプルも併せて確認する姿勢が大切です。
翻訳費用を抑えるための実務的な工夫
指定区分を必要最小限に絞ることは、翻訳費用の観点からも有効です。「念のため」と多くの区分を指定すると、その分翻訳する文章量が増え、費用も膨らみます。本当に事業展開する予定のある区分に絞り込むことで、無駄な翻訳費用を避けられます。
また、複数の国に同時に出願する予定がある場合は、事前にまとめて見積もりを取ることで、翻訳者側もボリュームディスカウントを提示しやすくなります。1か国ずつ個別に発注するより、まとめて依頼した方がトータルコストを抑えられる可能性があります。
見積もり比較の際は、金額だけでなく納期も確認してください。急ぎの出願で翻訳者に無理なスケジュールを強いると、誤訳のリスクが高まります。余裕を持ったスケジュールで発注することが、結果的に手戻りコストの削減につながります。
法律はあなたの味方です。商標という大切な知的財産を守るための翻訳だからこそ、費用の内訳を正しく理解し、専門性のある翻訳者に適切な価格で依頼することが、長期的に見て最も合理的な選択だと言えるでしょう。
よくある質問
Q. 商標出願の翻訳費用はどのくらいが相場ですか?
日本語から英語への翻訳では、文字数×15円程度、またはワード数×30円程度が目安です。区分数や言語によって変動するため、複数社から見積もりを取って比較することをおすすめします。
Q. マドプロ経由と直接出願、どちらが翻訳費用を抑えられますか?
3か国以上に出願する場合は、翻訳を1回にまとめられるマドプロ経由の方が翻訳費用を抑えやすい傾向があります。1〜2か国のみなら直接出願がシンプルな場合もあります。
Q. 翻訳会社に直接依頼するメリットはありますか?
弁理士事務所経由で翻訳を再委託する場合と比べ、中間マージンが発生しない分、コストを抑えられる可能性があります。ただし出願手続き自体は専門家への相談が必要です。
Q. 安い翻訳者に依頼するとどんなリスクがありますか?
専門知識が不足した翻訳者に依頼すると、誤訳により審査でリジェクトされ、再提出のための追加翻訳費用や時間的ロスが発生する可能性があります。実績を必ず確認してください。
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この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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