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ステークホルダー分析とは|関係者を整理して対応を決める方法

@SOHO編集部
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ステークホルダー分析とは|関係者を整理して対応を決める方法

この記事のポイント

  • ✓ステークホルダー分析とは
  • ✓取り組みに関わる人や組織を洗い出し
  • ✓影響力と関心の強さで整理して

ステークホルダー分析を調べている人の多くは、新しいプロジェクトや社内の仕組みの見直しを任され、「誰に、いつ、何を伝えればよいのか」を整理したいと考えています。結論から言うと、ステークホルダー分析は、取り組みに関わる人や組織を漏れなく書き出し、「どれだけ影響力があるか」と「どれだけ関心があるか」の2つの軸で並べ、それぞれへの関わり方を決める方法です。難しい道具は要らず、紙1枚の表でも始められます。

この記事では、ステークホルダー分析の意味と背景、5つの手順、よく使われる分析の枠組み、社内システムの入れ替えを例にした分析、連絡の計画の作り方、よくある失敗までを順番に整理します。分析で決めた関係者への対応を、担当と期限つきで進める道具として、プロジェクト管理ツールのPinatecaにも後半で触れます。

ステークホルダー分析とは何か

ステークホルダーとは、ある取り組みや組織の活動に関わり、その結果から影響を受けたり、反対に結果に影響を与えたりする人や組織のことです。日本語では「利害関係者」と訳されます。会社で言えば、社員、顧客、取引先、株主、金融機関、地域の住民、行政などが当てはまります。プロジェクトの単位で見ると、発注した部署、作業をする担当者、承認する役員、使うことになる現場の社員、システムを納める会社なども、すべてステークホルダーです。

ステークホルダー分析は、こうした関係者を整理して、それぞれにどう関わるかを決めるための方法です。

ステークホルダー分析とは、組織の取り組みに関わる関係者を把握し、適切な関与や対応を検討するための手法です。チェンジマネジメントやDX推進など、変化を伴うプロジェクトでは、関係者の理解と協力を得ることが欠かせません。 出典: nomura-system.co.jp

ここでいうチェンジマネジメントとは、組織の仕組みや働き方を変えるときに、関わる人たちが変化を受け入れ、新しいやり方に移れるように進める取り組みのことです。DX推進とは、デジタルの技術を使って仕事の進め方や事業のあり方を変えていく取り組みを指します。

どれだけ良い計画でも、関係者の協力が得られなければ進みません。承認する役員が内容を知らないまま会議にかけられる、使う現場の社員が反対して新しい仕組みが使われない、取引先への連絡が遅れて混乱が起きる。こうした失敗の多くは、計画の中身ではなく、関係者への関わり方の失敗から生まれます。ステークホルダー分析は、こうした失敗を始める前に防ぐための準備です。

ステークホルダー分析の考え方は、プロジェクトの管理の分野で広く使われているもので、特別な資格や道具がなくても、誰でも取り入れられます。

分析の対象は、大きなプロジェクトに限りません。部署の業務の手順を変える、店の営業時間を変える、地域のイベントを開くといった小さな取り組みでも、関係者を整理しておくと、根回しや連絡の漏れを防げます。

他の分析の方法との違い

ステークホルダー分析と一緒に名前が挙がる分析の方法には、SWOT分析や3C分析などがあります。それぞれ見る対象が違うので、使い分けを知っておくと、目的に合った方法を選べます。

方法 見るもの 主な目的
ステークホルダー分析 取り組みに関わる人や組織 誰にどう関わるかを決める
SWOT分析 自社の強み・弱みと、外の機会・脅威 戦略の方向を考える
3C分析 顧客、競合、自社 市場の中での立ち位置を考える
顧客の分析 買う人の特徴や行動 商品や売り方を考える

SWOT分析とは、自社の強みと弱み、外の環境にある機会と脅威の4つを整理する方法です。3C分析とは、顧客、競合、自社の3つの観点から事業を見直す方法です。これらは「何をするか」を考えるための方法で、ステークホルダー分析は「決めたことを、誰とどう進めるか」を考えるための方法だと言えます。

実際の仕事では、SWOT分析や3C分析で方向を決め、ステークホルダー分析で進め方を決める、という順番で組み合わせて使うことがよくあります。顧客の分析とステークホルダー分析は重なるところもありますが、ステークホルダー分析では、顧客を「取り組みに影響を受ける関係者の1つ」として扱い、社員や取引先と同じ表の上で、関わり方の優先順位を考えます。

ステークホルダー分析が重視される背景

ステークホルダーとの関係は、会社の経営の土台としても重視されています。東京証券取引所が定めるコーポレートガバナンス・コードは、上場会社が守るべき企業統治の原則をまとめたものです。2026年7月21日の版では、基本原則2として次のように書かれています。

上場会社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出は、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会をはじめとする様々なステークホルダーによるリソースの提供や貢献の結果であることを十分に認識し、これらのステークホルダーとの適切な協働に努めるべきである。 出典: 株式会社東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード」

上場会社に向けた原則ですが、考え方そのものは、どの規模の組織にも当てはまります。会社の成果は、社員や顧客、取引先といった多くの関係者の協力があってはじめて生まれる、という見方です。

プロジェクトの現場でも、関係者の数は増えています。在宅勤務やチームをまたぐ仕事が増え、社外の業務委託の人と一緒に進める場面も珍しくなくなりました。関係者が増えるほど、誰がどこまで知っているのか、誰の了解が必要なのかが見えにくくなります。関係者を一度表にして整理しておくことの価値は、以前より大きくなっています。

ステークホルダー分析の5つの手順

ステークホルダー分析は、次の5つの手順で進めます。

手順1:関係者を洗い出す

最初に、取り組みに関わる人や組織を、思いつく限り書き出します。この段階では、重要かどうかを考えずに、漏れなく書き出すことを優先します。洗い出しの漏れを防ぐには、次のような問いを順番に当ててみると効果的です。

  • 誰がこの取り組みを決め、承認するのか
  • 誰がお金や人を出すのか
  • 誰が実際に作業をするのか
  • 誰がこの取り組みの結果を使うのか、影響を受けるのか
  • 誰が反対しそうか、誰の仕事が増えるのか
  • 社外に、知らせる必要のある相手はいるか

書き出す数の目安は、小さな取り組みでも10を超えることが珍しくありません。1人で考えると、自分がよく関わる相手ばかりが並びがちです。プロジェクトのメンバーや、その分野に詳しい人と一緒に書き出すと、見落としが減ります。

洗い出しに使える関係者の例

関係者を洗い出すときは、次のような一覧を手元に用意しておくと、書き漏らしを防げます。取り組みの内容によって当てはまらないものもあるので、1つずつ「この取り組みに関わるか」を確かめながら使ってください。

区分 関係者の例
決める人 社長、役員、部門の責任者、予算を持つ部署
進める人 プロジェクトの責任者と担当者、社外の協力会社、業務委託のメンバー
使う人・影響を受ける人 現場の社員、他部署、顧客、利用者、その家族
支える人 情報システムの担当、総務、経理、法務、労働組合
社外の関係者 取引先、仕入れ先、金融機関、株主、行政、地域の住民、業界の団体
助言する人 顧問の税理士や社会保険労務士、弁護士、専門のコンサルタント

書き出すときは、「営業部」のように組織の単位で書くだけでなく、その中で実際に窓口になる人の名前も書いておくと、連絡の計画を作るときに迷いません。組織としての立場と、その中の個人の考えが違うこともあるため、必要に応じて分けて書きます。

手順2:それぞれの情報を整理する

書き出した関係者ごとに、取り組みにどう関わるのか、何を期待しているのか、何を心配しているのかを整理します。「経理部:新しい仕組みで締めの作業が早くなることを期待。移行の時期が決算と重なることを心配」のように、短い言葉で書き留めます。分からないところは、推測で埋めず、本人や詳しい人に聞いて確かめます。

手順3:影響力と関心で分類する

次に、それぞれの関係者を、取り組みへの影響力の強さと、関心の強さで分類します。分類の方法は次の節で詳しく説明します。

手順4:関わり方を決める

分類の結果をもとに、関係者ごとの関わり方を決めます。「計画の段階から相談する」「決まったことを定期的に報告する」「必要なときに知らせる」のように、関わりの深さを決め、誰が担当するかも決めます。

手順5:計画にして、見直し続ける

決めた関わり方を、いつ、何を、どの方法で伝えるかの計画にまとめます。プロジェクトが進むと、関係者の関心や態度は変わります。月に1回ほど、表を見直して更新することが大切です。

見直しは、決まった日に行うだけでなく、次のようなことが起きたときにも行います。

  • 担当者や責任者が、異動や退職で替わったとき
  • 予算や納期など、計画の大きな前提が変わったとき
  • 関係者から、予想していなかった意見や反対が出たとき
  • プロジェクトの段階が変わるとき(計画から実行へ、実行から運用へなど)

段階が変わると、重点的に関わるべき相手も変わります。計画の段階では決める人への相談が中心になり、実行の段階では作業をする人との調整が、運用の段階では使う人への支援が中心になります。

関係者に話を聞くときの質問の例

手順2の「それぞれの情報を整理する」では、推測で埋めずに、関係者本人に話を聞くことが大切です。ただ「どう思いますか」と聞いても、本音はなかなか出てきません。次のような質問を用意しておくと、期待と心配を具体的に聞き出せます。

  • この取り組みがうまくいったら、ご自身の仕事はどう変わると思いますか
  • 今のやり方で、いちばん困っていることは何ですか
  • この取り組みで、心配なことや気になることはありますか
  • 進め方について、事前に知っておきたいことはありますか
  • どのくらいの頻度で、どんな方法で報告があると助かりますか
  • この件で、他に話を聞いておくべき人はいますか

最後の質問は、洗い出しの漏れを見つけるのに役立ちます。関係者自身が、自分の周りの関係者を教えてくれることがよくあるからです。

話を聞く場は、30分ほどの短い面談で十分です。忙しい相手には、メールで2つか3つの質問を送る方法もあります。聞いた内容は、手順2の表に書き加え、影響力と関心の点数を付けるときの材料にします。

話を聞くこと自体が、関係者との関係づくりにもなります。計画が固まる前に意見を聞いてもらえたと感じた人は、取り組みに協力的になりやすいからです。

影響力と関心で分ける4つの区分

ステークホルダー分析でいちばんよく使われるのが、影響力と関心の2つの軸で関係者を4つに分ける方法です。影響力とは、取り組みの進め方や結果を左右できる力のことで、決める権限や、お金や人を出す立場がこれに当たります。関心とは、取り組みの結果にどれだけ関わりや興味があるかを表します。

区分 影響力 関心 関わり方
重点的に関わる 強い 強い 計画の段階から相談し、こまめに意見を聞く
満足を保つ 強い 弱い 要点を簡潔に報告し、判断が必要なときに確実に相談する
情報を届ける 弱い 強い 進み具合を定期的に知らせ、意見を受け止める
様子を見守る 弱い 弱い 必要なときに知らせ、関心や態度の変化に気を配る

「重点的に関わる」区分には、取り組みを承認する役員や、プロジェクトの発注元の部署などが入ります。ここに入る人たちの理解と協力がなければ、取り組みは進みません。

「満足を保つ」区分には、影響力は強いものの、取り組みへの関心はそれほど高くない人が入ります。たとえば、別の事業を担当する役員などです。細かい報告はかえって負担になるので、要点だけを短く伝えます。ただし、関心が低いまま放っておくと、最後の承認の場で反対されることがあるため、節目ごとの報告は欠かせません。

「情報を届ける」区分には、決める権限はないものの、結果の影響を強く受ける人が入ります。新しい仕組みを毎日使うことになる現場の社員などが代表です。この人たちが変化を受け入れられるかどうかが、取り組みが根づくかを左右します。進み具合を知らせるだけでなく、困りごとを聞く場を設けることが大切です。

「様子を見守る」区分には、今は影響力も関心も弱い人が入ります。手間をかけすぎる必要はありませんが、取り組みが進むと別の区分に移ることがあるため、見直しのたびに確かめます。

影響力と関心は、「強い」「弱い」の2段階でなく、1から5の点数で付けると、4つの区分の中での順番も見えるようになります。点数は1人で付けず、プロジェクトのメンバーで話し合って決めると、思い込みが入りにくくなります。

関与の度合いを表で確かめる

もう1つ役に立つのが、関係者ごとに「今の関わり方」と「望ましい関わり方」を並べて比べる方法です。プロジェクト管理の分野では、関与の度合いを評価する表として知られています。関与の度合いは、たとえば次の5段階で表します。

段階 状態
知らない 取り組みのことを知らない
反対している 取り組みを知っていて、変化に反対している
中立 知っているが、賛成も反対もしていない
支持している 知っていて、変化を支持している
主導している 自分から取り組みを進めようとしている

関係者ごとに、今の段階と望ましい段階を書き込み、差が大きい人から順に対応を考えます。たとえば、現場の責任者が今は「反対している」で、望ましいのが「支持している」なら、反対の理由を聞き取り、心配を減らす手立てを考えるのが先になります。反対には、仕事が増える、慣れたやり方を変えたくない、説明が足りないといった理由があることが多く、理由が分かれば打てる手も見えてきます。

この表を使うと、「誰に一番力を入れるべきか」がはっきりします。影響力と関心の4つの区分と組み合わせると、「影響力が強く、今は反対している人」が、最初に向き合うべき相手だと分かります。

例で見るステークホルダー分析

ここでは、従業員50人ほどの会社で、紙とExcelで行っている勤怠の管理を、クラウドの勤怠システムに切り替えるプロジェクトを例に、分析の流れを見てみます。

洗い出しと整理

関係者 関わり方 期待 心配
社長 導入を承認する 管理の手間と誤りが減る 費用に見合う効果があるか
総務部長 プロジェクトの責任者 集計の作業時間が減る 移行期の混乱
経理担当 給与の計算に使う 集計の転記がなくなる 給与の締めと移行時期の重なり
各部署の管理職 部下の勤怠を承認する 残業の状況がすぐ分かる 承認の操作が増える
現場の社員 毎日打刻する 紙の提出が要らなくなる 操作を覚えられるか
社会保険労務士 制度の助言をする データで確認しやすくなる 就業規則との整合
システムの提供会社 導入を支援する 円滑な導入 要件の決定の遅れ

分類と関わり方

この表をもとに、影響力と関心で分類すると、社長と総務部長は「重点的に関わる」、各部署の管理職は「満足を保つ」と「重点的に関わる」の間、経理担当と現場の社員は「情報を届ける」に入ります。社会保険労務士は、制度の面で判断に影響する立場なので、就業規則にかかわる節目で確実に相談する相手になります。

関与の度合いで見ると、操作が増える各部署の管理職が「中立」から「反対している」に寄っていることが分かった、という場面はよくあります。この場合、管理職向けに先に説明の場を設け、承認の操作がどれくらいの時間で済むのかを実際の画面で見せることが、最初の打ち手になります。

経理担当の「給与の締めと移行時期の重なり」という心配は、移行の日程を決める段階で反映させます。現場の社員には、切り替えの1か月前に操作の説明会を開き、困ったときの問い合わせ先を決めておきます。

このように、分析の表があると、誰に、いつ、何をすればよいのかが、具体的な行動として見えてきます。

分析をしなかった場合に起きやすいこと

同じプロジェクトを、分析をせずに進めた場合を考えてみると、表の意味がよく分かります。総務部長と担当者だけで仕組みを決め、切り替えの直前に全社に知らせると、管理職からは「承認の操作が増えるとは聞いていない」、経理担当からは「給与の締めと重なって困る」という声が一度に出てきます。現場の社員は操作を覚える時間がなく、最初の月は紙とシステムの両方で打刻する混乱が続くかもしれません。こうした事態の多くは、関係者ごとの心配を前もって聞いていれば、日程や説明の工夫で防げたものです。

関係者への連絡の計画を作る

分析の結果は、関係者への連絡の計画にまとめると、実際の行動に移しやすくなります。

ステークホルダー分析の結果を実際のコミュニケーション戦略に落とし込むためには、個々の特性に応じたきめ細かな対応が必要です。一律のアプローチでは、多様な背景を持つステークホルダーの心を掴むことはできません。 出典: oceanc.jp

連絡の計画は、次のような表で作ります。

相手 伝えること 時期と回数 方法 担当
社長 進み具合、費用、判断が必要な点 月1回、節目ごと 15分の報告 総務部長
各部署の管理職 承認の操作、日程 導入前に2回 説明会と資料 総務の担当者
経理担当 移行の日程、データの形式 隔週 打ち合わせ 総務の担当者
現場の社員 切り替えの日、操作の方法、問い合わせ先 導入1か月前と直前 説明会と社内の掲示 総務の担当者

表を作るときは、相手ごとに「何を知りたいのか」に合わせて伝える内容を変えることが大切です。社長には費用と効果、管理職には自分の作業の変化、現場の社員には操作と問い合わせ先、というように、同じプロジェクトでも、相手によって知りたいことは違います。全員に同じ長い資料を送るより、相手ごとに短く伝える方が伝わります。

連絡の計画には、相手から意見や質問を受け取る方法も書いておきます。説明会のあとの質問の受け付け先、困ったときの問い合わせ先が決まっていれば、関係者は安心して取り組みに協力できます。一方通行の連絡だけでは、関係者の心配が見えないまま進んでしまいます。

伝える方法も、相手に合わせて選びます。判断を求める相手には対面や会議で、知らせるだけの相手にはメールや社内の掲示で、というように使い分けると、関係者の時間も無駄にしません。

反対する関係者への向き合い方

分析の結果、影響力が強く、今は反対している関係者が見つかったら、次の順番で向き合うと、関係をこじらせずに進めやすくなります。

  1. 反対の理由を聞く:説得しようとする前に、何が心配なのかを最後まで聞く
  2. 理由を分ける:誤解によるもの、計画の弱いところを突いたもの、立場上の利害によるものに分ける
  3. 誤解には情報で応える:実際の画面を見せる、数字を示すなど、具体的な材料で説明する
  4. 計画の弱いところは直す:指摘が正しければ、計画に反映させ、反映したことを本人に伝える
  5. 利害の対立は、上の立場の人と相談する:自分だけで解決できない場合は、決める人に判断を仰ぐ

大切なのは、反対している人を「抵抗勢力」と決めつけないことです。現場をよく知る人の反対には、計画を良くするための大事な情報が含まれていることがあります。意見を聞いて計画を直した結果、反対していた人が新しい仕組みの推進役になることも珍しくありません。

どうしても考えが合わない場合でも、連絡を絶たず、決まったことは同じように知らせ続けます。知らされないまま話が進むと、反対はさらに強くなりがちです。

小さな取り組みで使う簡易版

部署の中の小さな見直しや、数週間で終わる取り組みでは、ここまで紹介した表をすべて作る必要はありません。次の3つの欄だけの簡易版で十分です。

関係者 区分(重点・満足・情報・見守り) 次にすること
課長 重点 来週の定例で案を説明し、意見をもらう
隣の課の担当者 情報 決まったらメールで知らせる
取引先の窓口 満足 切り替えの1か月前に電話で伝える

この3つの欄があれば、誰に、何を、いつするかが分かります。取り組みが大きくなってきたら、期待や心配、関与の度合いの欄を加えていけばよいのです。紙1枚、表計算ソフトの1枚のシートで始められる手軽さも、ステークホルダー分析の良いところです。

よくある失敗と注意点

ステークホルダー分析で起きやすい失敗と、その防ぎ方を整理します。

洗い出しが社内だけで終わる

社内の関係者だけを書き出し、取引先や顧客、行政など社外の関係者を見落とすことがあります。取り組みの結果が社外に及ぶ場合は、必ず社外の関係者も書き出します。

1回作って終わる

分析の表を最初に作ったきり、見直さないまま進めると、途中で関係者の態度が変わったことに気づけません。人事異動で担当者が替わる、予算の状況が変わるといった変化は、関係者の影響力や関心を大きく変えます。定期的に見直す日を、最初から予定に入れておきましょう。

分析の表の扱いが雑になる

分析の表には、「〇〇さんは反対している」「〇〇部長は関心が低い」といった、人についての評価が書かれます。この表が本人の目に触れると、関係を損なうおそれがあります。表を見られる人をプロジェクトの中心のメンバーに限り、書き方も、人柄ではなく取り組みへの関わり方についての事実にとどめることが大切です。

反対する人を避けてしまう

反対している人とは話しにくいため、つい連絡を後回しにしがちです。しかし、反対の理由には、計画の弱いところが含まれていることがよくあります。早めに話を聞き、取り入れられる意見は計画に反映させると、反対していた人が強い味方になることもあります。

分析に時間をかけすぎる

表を細かく作り込むことに時間を使いすぎて、肝心の関係者への連絡が遅れては本末転倒です。最初は主な関係者10人ほどで表を作り、進めながら付け加えていく方が、実際の役に立ちます。

分析で決めた対応を実行まで進める

分析と連絡の計画ができたら、あとは計画どおりに実行していく段階です。ここでつまずきやすいのが、「誰に、いつまでに、何を伝えるか」が担当者の頭の中だけにあり、忙しさの中で後回しになってしまうことです。

関係者が少ない取り組みであれば、連絡の計画の表に「済」の欄を設け、終わったものに印を付けていくだけでも十分に管理できます。関係者が多い取り組みや、何人かの担当者で連絡を分担している場合は、どの連絡が済んで、どれが残っているかを、メンバー全員で同じ画面で確かめたくなる場面が出てきます。

その選択肢の1つが、国産のプロジェクト管理ツールのPinateca(ピナテカ)です。公式サイトによると、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットが、無料プランから使えます。関係者への説明や報告を1つずつカードにして担当と締切を付ければ、カンバンで済んだものと残っているものを、カレンダーで説明会や報告の日程を確かめられます。カードに項目を自由に追加できるカスタムフィールドを使えば、相手の区分や関与の度合いを書き添えておくこともできます。また、縦と横の2つの軸で自由に並べられるグリッドボードもあり、公式サイトでは縦横2軸のマトリクスに自由に配置できると案内されています。

公式の料金ページによると、5人までのチームなら期限なしで無料で、ボードは10個まで、クレジットカードの登録は要りません。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランになり、料金は1人あたり月額500円(税抜、年払いなら1人あたり月額400円)です。関係者を自動で分析したり点数を付けたりする機能があるわけではないため、分析そのものはメンバーで話し合って表を作り、決めた対応の実行の管理にPinatecaを使う、という使い分けになります。

Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

分析の表と同じように、関係者についての情報は、見られる範囲を必要なメンバーに限っておくことを忘れないでください。

独自の視点から見た関係者の整理と働き方

在宅ワークとフリーランスの仲介を長く続けてきた運営者として見てきた限りでは、業務委託で大きな仕事を任される人ほど、依頼者の担当者だけでなく、その上司や、成果物を使う部署のことまで考えて動いています。担当者が社内で説明しやすいように資料を整える、使う人の声を聞く機会を自分から提案する。こうした動き方は、ステークホルダー分析の考え方そのものです。外部の立場だからこそ、関係者を整理して動ける人は、作業を頼まれる人から、プロジェクトを任される人へと変わっていきます。

中間の手数料がかからない直接取引では、依頼者は同じ予算でより多くを頼め、受け手は手取りが厚くなります。直接やり取りする分、依頼者の社内の事情や関係者のことも聞きやすくなります。手数料0%で直接取引できる場では、こうした事情を踏まえて提案できる人が、長く依頼を受けている印象があります。

関係者を整理する力が活きる仕事は、いくつもあります。市場や顧客を分析して戦略を立てる仕事はマーケ戦略・分析・レポート作成のお仕事で、Webサイトの改善を依頼者と一緒に進める仕事はWebサイトコンサル・保守・分析のお仕事で紹介しています。SNSの運用では、顧客やフォロワーとの関係づくりが仕事の中心になり、SNS運用代行・SNS広告のお仕事でその内容を確かめられます。

会社の経営の課題を、関係者の立場も踏まえて整理し、改善を支援する国家資格には中小企業診断士があります。介護や福祉の事業所で記録のデジタル化を進める場合も、職員、利用者、家族と関係者が多く、介護・福祉事業所のDX化2026|IT導入補助金で介護記録を完全デジタル化では、その進め方と補助金の使い方を紹介しています。

まずは、今関わっている取り組みについて、関係者を10人書き出してみてください。それぞれの影響力と関心を「強い」「弱い」で分けるだけでも、次に誰と話すべきかが見えてきます。

よくある質問

Q. ステークホルダー分析は何人くらいの関係者を対象にすればよいですか?

決まった人数はありませんが、最初は主な関係者を10人から20人ほど書き出すと、表が作りやすくなります。大きな取り組みでも、いきなり細かく作り込むより、主な関係者から始め、進めながら付け加えていく方が実際の役に立ちます。部署や会社などの組織と、その中の個人を分けて書くと、誰に連絡すればよいかが分かりやすくなります。

Q. 影響力と関心の強さはどうやって決めればよいですか?

影響力は、取り組みを承認する権限があるか、お金や人を出す立場か、結果を大きく左右できるかで判断します。関心は、取り組みの結果で仕事や生活がどれだけ変わるかで考えます。1人で決めると思い込みが入りやすいので、プロジェクトのメンバーで話し合い、1から5の点数で付けると、区分の中の順番も見えます。

Q. 分析の表は関係者に見せてもよいですか?

分析の表には、人についての評価や態度が書かれるため、関係者本人に見せることは一般に避けられます。見られる人をプロジェクトの中心のメンバーに限り、書き方も人柄ではなく取り組みへの関わり方の事実にとどめると安心です。関係者に共有するのは、分析から作った連絡の予定や説明の内容にしましょう。

Q. 小さな店や個人の仕事でもステークホルダー分析は役に立ちますか?

役に立ちます。たとえば店の営業時間を変える場合でも、常連のお客様、アルバイトのスタッフ、仕入れ先、近所のお店など、関係者は意外に多くいます。紙に関係者を書き出し、誰に先に相談し、誰にいつ知らせるかを決めておくだけで、連絡の漏れや思わぬ反発を防げます。大げさな表を作る必要はありません。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月5日最終更新:2026年10月31日
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