中小企業診断士の最初の1件の取り方


この記事のポイント
- ✓中小企業診断士 副業 案件 取り方を
- ✓資格を取った直後の人向けに整理しました
- ✓最初の1件になりやすい仕事の型
中小企業診断士に合格して登録まで終わったのに、依頼が一件も来ない。この状態で「中小企業診断士 副業 案件 取り方」と検索している方は、決して少数派ではありません。合格発表のあとに実務補習を終え、名刺に資格名を刷ったところで止まってしまう。ここで多くの人がつまずきます。
結論から書きます。最初の1件は、資格の強さではなく「相手が抱えている作業を、こちらが具体的に引き受けられる形にして見せられるか」で決まります。診断士という肩書きだけでは依頼は動きません。動くのは、相手が今週片付けたい書類や、来月までに出さなければいけない申請がある場面です。この記事では、その具体的な接点をどこに作るか、提案文に何を書くか、実績がゼロのときに何を実績の代わりに出すかを、順番に書いていきます。
なお、資格の取り方や試験対策はこの記事では扱いません。すでに合格した方が、次の一歩をどこに置くかだけに絞ります。
資格を取った直後に何が起きているか
登録が済んだ直後の状態を、正確に把握しておく必要があります。多くの人が「資格があるのだから、そのうち声がかかるはず」と考えますが、市場の側から見た景色は違います。
まず、依頼する側は「中小企業診断士」という資格名を検索していません。彼らが検索しているのは「事業計画書 書き方 代行」「補助金 申請 サポート」「ものづくり補助金 事業計画」といった、目の前の作業に紐づいた言葉です。つまり、資格名で待っている限り、検索の入口が噛み合いません。
次に、依頼側が想定している相手も違います。中小企業の経営者にとって、経営コンサルタントは「顧問料を毎月払う相手」という重い存在です。いきなりそこに来てもらうのは、心理的にも予算的にも高いハードルがあります。一方で「この申請書の下書きを手伝ってほしい」「この事業計画の数字の筋が通っているか見てほしい」という単発の困りごとは、常に発生しています。
最初の1件は、この単発の困りごとの側から入るのが最短です。顧問契約という完成形をいきなり狙うと、時間だけが過ぎます。
診断士の仕事は、必ずしも重い契約から始まるわけではありません。
実際、顧問先の事業計画の策定や予算と実績の確認、計画の遂行状況のヒアリングなどを副業で行っている中小企業診断士もいます。 出典: agaroot.jp
事業計画の策定、予算と実績の突き合わせ、進捗のヒアリング。これらは分解すれば、それぞれ数時間から数日で終わる作業です。分解した単位で受けられることを相手に伝えられるかどうかが、最初の分かれ目になります。
最初の1件だけが極端に難しい理由
2件目以降は驚くほど楽になります。難しいのは1件目だけです。理由は3つあります。
1つ目は、判断材料がないことです。依頼する側は、あなたが納期を守る人かどうか、途中で連絡が取れなくなる人ではないか、指摘に対して直せる人かどうかを知りません。資格はこの3点を何も証明してくれません。診断士試験に受かっていることと、締切を守ることは別の能力だからです。
2つ目は、見せられる成果物がないことです。実務補習で作った報告書は、守秘義務があるので基本的に外には出せません。手元にあるのに使えない、という状態が起きます。
3つ目は、価格の根拠を自分で説明できないことです。相場を知らないまま見積もりを出すと、高すぎて断られるか、安すぎて自分が消耗するかのどちらかに寄ります。
この3つは、いずれも「最初の1件を終えた瞬間」に一気に解消します。1件納品すれば、納期を守った事実が残り、見せられる成果物の型ができ、その仕事に何時間かかったかという実測値が手に入ります。だから最初の1件は、報酬よりも「この3つを手に入れること」を目的に設計したほうが結果的に早く回り始めます。
ここで気をつけたいのは、無料で受けるという選択です。無料の仕事は、相手の本気度を確認できないうえ、次に有料へ切り替えるときに必ずもめます。金額は下げてよいのですが、ゼロにはしないでください。有償である以上、相手は真剣にフィードバックをくれます。それが最も価値のある部分です。
最初の1件になりやすい仕事の型
診断士の資格が効きやすく、かつ単発で入りやすい仕事には、はっきりした型があります。順に見ていきます。
補助金や事業計画の書類づくりの下支え
最も入口が広いのがここです。ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、事業再構築系の制度など、中小企業が使う支援制度には必ず事業計画書の提出が伴います。経営者は本業で手一杯なので、この書類づくりが後回しになりがちです。
ただし、注意すべき線引きがあります。補助金の申請書類そのものを報酬を得て代理作成する行為については、行政書士法第1条の2が定める「官公署に提出する書類の作成」との関係を確認する必要があります。中小企業診断士の資格は、この業務独占を当然に外すものではありません。実務では、計画の内容面の助言、数値計画の組み立て支援、事業者本人が書いた文章の添削といった形で関わるのが一般的です。どこまでを自分がやり、どこからを事業者本人または行政書士に任せるかは、案件ごとに確認してから受けてください。この確認を最初にやっておくと、後で契約を巻き戻す事故が起きません。
中小企業向けの記事や資料の執筆
診断士の知識をそのまま文章にする仕事です。金融機関のオウンドメディア、会計ソフト会社のコラム、商工会議所の会報など、書き手を探している場所は広くあります。文字単価の相場は執筆分野と専門性で大きく変わりますが、有資格者による経営分野の解説記事は、一般的なWeb記事より高めの水準で取引されることが多い領域です。書く仕事の相場感は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で職種全体の水準を確認できます。
この型の良いところは、成果物が公開されることです。守秘義務で外に出せない実務補習の報告書と違い、署名記事は次の営業でそのまま使えます。最初の1件としての費用対効果は高いと言えます。
資格スクールの添削や採点
自分が通った受験校が、答案添削者や採点者を募集していることがあります。合格直後は試験の記憶が最も鮮明なので、この時期が最も採用されやすいタイミングです。単価は1答案あたりで決まることが多く、時給に換算すると高くはありませんが、在宅で完結し、締切が明確で、実績として職歴に書ける点が利点です。
公的支援機関の相談窓口
商工会議所、よろず支援拠点、自治体の中小企業支援センターなどが、相談員や専門家派遣の登録者を募集しています。報酬は1回あたりの謝金形式で、民間案件より低めに設定されていることが一般的です。ただし、扱う相談の幅が広いため、短期間で経験の密度が上がります。また、ここで作った人脈から民間案件が回ってくる流れは実際に多く見られます。
診断士どうしのチーム案件に部分参加する
先に独立している診断士が、案件の一部を切り出して外注することがあります。データ集計、業界の調査、資料のたたき台作成など、作業単位で入る形です。責任範囲が限定されているので、最初の1件としては受けやすい部類に入ります。研究会や支部の活動に顔を出しておくと、この種の声はかかりやすくなります。
提案文に何を書くか
案件に応募する提案文は、最初の1件を取れるかどうかを直接左右します。ここを流用のテンプレートで済ませている人が本当に多いのですが、読む側からするとすぐ分かります。
読まれる提案文には共通の構造があります。
冒頭2行で「何ができるか」を書く
自己紹介から入らないでください。相手が最初に知りたいのは、あなたが誰かではなく、この募集の作業を引き受けられるかどうかです。「今回の事業計画書について、数値計画の作成と、審査項目に沿った構成の組み立てをお手伝いできます」のように、募集内容の言葉をそのまま使って書き出します。
相手の業種や状況に1文触れる
募集文に書かれている業種や課題に、具体的に触れます。「製造業の設備投資計画とのことですので、投資回収の年数と資金繰りの見通しを一緒に整理する形がよいかと思います」といった1文があるだけで、テンプレートではないことが伝わります。この1文の有無で、返信率は明確に変わります。
進め方と納期を先に出す
「まず現状のヒアリングを1時間、その後たたき台を3営業日でお出しし、修正を2往復まで含めます」というように、手順と期間を数字で書きます。依頼側が最も恐れているのは、いつ終わるか分からない状態です。ここが明確なら、実績がなくても発注の判断ができます。
実績の代わりに出せるもの
実績欄が書けないときは、次のものが代わりになります。
本業での経験を、業務内容の粒度で書く。「メーカーの生産管理部門で8年、在庫回転率の改善と原価計算を担当」のように書けば、それは立派な実務経験です。診断士としての実績はなくても、事業の中身を知っている人だということは伝わります。
自主的に作った成果物を添える。公開情報だけを使って、架空ではない実在企業の簡易分析レポートを作り、それをサンプルとして見せる方法があります。守秘義務に触れず、文章の質と分析の視点を同時に示せます。ここに時間を使うのは、無料で仕事を受けるより投資効率が高いやり方です。
資格の登録番号や登録年を書く。中小企業支援法第11条に基づく経済産業大臣の登録を受けている旨を、事実として簡潔に書きます。誇張ではなく、確認可能な事実として置くだけで十分です。
金額の書き方
初回は「今回は初回のご依頼ということで、この金額でお受けします」と理由を添えて提示します。理由なく安い金額を出すと、その金額があなたの基準値だと思われます。理由を添えておけば、2件目から上げる余地が残ります。
送ってはいけない提案文
やる気だけを書いたもの、資格名を並べただけのもの、「何でもやります」と範囲を示さないもの。この3つは通りません。特に「何でもやります」は、相手に作業の切り分けを丸投げしていることになるので、忙しい発注者ほど避けます。
実績ゼロから「実績に見えるもの」を作る
最初の1件を待つ間、手を止める必要はありません。実績の代替物は自分で作れます。
公開情報を使った企業分析のサンプルは、最も効きます。上場していない中小企業でも、自治体の企業紹介ページ、業界団体の資料、公開されている決算公告などから材料は集まります。それを使って、事業の構造、収益の源、想定される課題、打ち手の候補を数ページにまとめます。分量は3ページから5ページで十分です。長いほど良いわけではありません。
制度解説の記事を自分の名前で公開するのも有効です。補助金制度、経営力向上計画、事業承継の税制など、中小企業の経営者が知りたい制度は毎年変わります。それを正確にまとめた記事が数本あれば、提案文に添えるURLになります。書く仕事の依頼にも直結します。
業務フローのテンプレートを作っておく方法もあります。ヒアリングシート、財務分析の集計フォーマット、事業計画書の章立て。これらを自分用に整備しておくと、提案文で「この手順で進めます」と書いたときの説得力が上がりますし、実際に受注してからの作業時間が短くなります。
もう1つ、意外と見落とされているのが、本業の資料です。勤務先で作った資料をそのまま出すことはできませんが、機密情報を全て置き換えたうえで「こういう構成の資料を作ってきました」と骨組みだけを見せることはできます。ここは勤務先の規程を確認したうえで、慎重に判断してください。
業務範囲で確認が要る法令
中小企業診断士は名称独占の資格です。診断士を名乗ること自体には登録が要りますが、経営コンサルティングという行為そのものに業務独占はありません。ここを誤解すると、逆方向の事故が起きます。つまり「診断士だから何でもできる」と考えてしまう事故です。
確認すべき線引きは主に3つあります。
税務書類の作成、税務代理、税務相談については、税理士法第52条が税理士以外による業務を制限しています。決算書の数字を読んで経営上の助言をすることと、税額の計算や申告の相談に応じることは別の行為です。この境界は実務では曖昧になりやすいので、税に関する具体的な質問が出たら税理士につなぐ、という運用にしておくのが安全です。
官公署に提出する書類の作成については、先に触れたとおり行政書士法第1条の2があります。補助金の申請書類は、制度や運用によって扱いが分かれる領域です。受ける前に確認してください。
登記に関する書類、法律相談、紛争性のある案件については、司法書士法や弁護士法の範囲に入ります。会社分割や事業承継の相談を受けているうちに、法的な争いの相談に流れ込むことがあります。その兆しが見えたら、その場で「ここから先は弁護士に相談してください」と伝えてください。
いずれも、この記事で「ここまでは大丈夫」と断定することはできません。案件ごとに内容が違うからです。判断に迷ったときは、各士業の会や、所属する支部の相談窓口で確認するのが確実です。
勤務先の規程と届出をどう扱うか
会社員として働きながら受ける場合、就業規則の副業規定を必ず確認してください。確認すべきは、許可制か届出制か、競業の扱いはどうなっているか、勤務時間中の連絡をどう扱うか、の3点です。
特に競業の規定は注意が要ります。診断士の仕事は業種を問わないため、勤務先と同じ業界の企業を支援する場面が出てきます。ここは規程の文言だけでなく、人事に一度確認しておくほうが安全です。
企業に勤めながら資格を持っている人の副業事情については、次のような調査結果も出ています。
実際に、企業に勤めている中小企業診断士を対象にしたアンケートでも、約半数の企業で副業が認められているという結果が出ました。 出典: studying.jp
半数が認められているということは、裏を返せば半数は認められていない、あるいは条件付きということです。確認せずに始めて、後から発覚するほうがはるかに面倒です。
もう1つ、公的支援機関の専門家登録では、所属先の証明や承諾が求められることがあります。応募の段階で確認しておくと、選考が進んでから慌てずに済みます。
単価と時間の考え方
最初の1件を取ったあと、すぐに次の問題が来ます。この仕事に何時間かけてよいのか、という問題です。
副業として受ける以上、投入できる時間は限られています。平日夜と週末を合わせて週10時間から15時間というのが、本業がある人の現実的な上限でしょう。この枠の中で成立する案件だけを受ける、という判断が必要になります。
判断の基準は単純です。案件の報酬を、想定作業時間で割ってください。その時給が自分の本業の時間単価を大きく下回るなら、その案件は「学ぶために受ける」ものであって、収入源にはなりません。最初の1件や2件はそれでよいのですが、3件目以降も同じ水準なら、受ける案件の型を変える必要があります。
作業時間が読めない典型は、修正回数が無制限の案件です。契約時に「修正は2回まで、それ以降は別途」と決めておくだけで、時間の暴走はかなり防げます。フリーランスとして業務委託で受ける場合、取引条件の明示については2024年11月に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法が、業務内容や報酬額、支払期日などを書面や電磁的方法で明示するよう発注事業者に義務づけています。条件が口頭のまま進んでいる案件は、こちらから書面化を求めてよい場面です。
診断士の周辺で単価が上がりやすいのは、IT分野と組み合わせたときです。DX支援、業務システムの導入検討、データ活用の相談などは、経営の視点とITの理解を両方持つ人が少ないため、単価が高く出ます。この方向の案件はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事にまとまっており、どういう依頼が出ているかを見ておくと、自分の売り方の参考になります。IT分野の単価水準そのものはソフトウェア作成者の年収・単価相場で確認できます。
キャリア相談や人材育成の領域に寄せる選択肢もあります。診断士の組織論と人事制度の知識は、この分野と相性が良く、キャリア・副業・人生相談のお仕事には個人向け相談から企業の人事支援まで幅のある依頼が並びます。資格の位置づけや周辺制度は中小企業診断士にまとめてあります。
案件を探す場所と、当たる順番
探す場所は複数ありますが、最初の1件を取るという目的に限れば、当たる順番があります。
最初に当たるべきは、所属している支部や研究会です。診断士の世界は、案件が人づてに流れる比率が高い領域です。特に、独立して数年の診断士は手が足りていないことが多く、切り出せる作業を常に抱えています。ここは競争相手が少なく、かつ相手があなたの資格を正しく理解しているので、説明のコストがかかりません。ただし、顔を出さない人には回ってきません。研究会に月1回参加するだけでも、半年で状況は変わります。
次が、公的支援機関の登録です。よろず支援拠点、商工会議所のエキスパート登録、自治体の専門家派遣制度。これらは募集要項が公開されており、応募の手順も明確です。実務経験が浅いと通らない制度もありますが、要件を読めば応募可能かどうかがすぐ分かるので、無駄打ちが少なく済みます。
三番目が、業務委託のマッチングサービスです。ここは案件の数が多く、募集内容も具体的なので、提案文の練習の場としても機能します。経営コンサルティングの募集は数がそこまで多くありませんが、事業計画書の作成支援、市場調査、資料作成、経営分野の記事執筆といった周辺の依頼は継続的に出ています。診断士の資格を前面に出すより、「この作業ができます」という切り口で応募したほうが決まりやすい傾向があります。
四番目が、自分で発信して待つ形です。制度解説の記事やSNSでの発信から問い合わせが来る流れは実際にありますが、立ち上がりに時間がかかります。最初の1件を急ぐ段階では、主軸にしないほうがよいでしょう。ただし、上の3つと並行して進めておくと、半年後、1年後に効いてきます。
避けたほうがよいのは、いきなり飛び込み営業をかけることです。中小企業の経営者は、コンサルタントを名乗る人からの営業に慣れており、警戒も強い。実績がない状態で電話やメールを送っても、時間の消耗になります。
最初の3か月をどう組むか
副業で始める場合、時間の使い方を先に決めておかないと、忙しい週に全部止まります。3か月を1つの単位として組むと管理しやすくなります。
最初の1か月は、材料を作る期間に充てます。公開情報を使った分析サンプルを2本、制度解説の記事を2本、ヒアリングシートと事業計画書のフォーマットを各1つ。週10時間の枠なら、1か月で十分作れる分量です。同時に、支部や研究会の活動日程を確認し、参加の予定を入れます。
2か月目は、応募に時間を配分します。目安として、週3件から5件。1件あたり30分かけて、募集内容に合わせて提案文を書きます。テンプレートの使い回しはしません。この時期は返信が来ないことのほうが多いので、返信率を気にせず、出した数だけを記録します。並行して、公的支援機関の募集要項を確認し、応募できるものには出しておきます。
3か月目は、初回の依頼が入り始める時期です。ここで大事なのは、受けた案件の作業時間を必ず記録することです。ヒアリングに何時間、資料作成に何時間、修正対応に何時間。この実測値が、次の見積もりの根拠になります。記録がないと、いつまでも勘で値付けすることになります。
3か月を回してみて1件も決まらない場合は、応募数が足りないか、応募している案件の種類が合っていないかのどちらかです。提案文の中身より先に、この2つを疑ってください。応募先を書く仕事の側に寄せるだけで動き出す例は、実際によくあります。
市場側から見た受注データの考察
在宅ワークと業務委託の市場を20年見てきた立場から、いくつか観察を書いておきます。
最初の1件を取るまでの期間には、はっきりした差が出ます。差を生んでいるのは資格の有無でも、経歴の華やかさでもありません。応募数と、応募1件あたりに使う時間の掛け算です。1件に30分かけて丁寧に書いた提案文を週に3件出す人と、5分のテンプレートを20件出す人では、前者のほうが早く決まります。テンプレートは読まれずに終わるからです。
もう1つ、長く続いている人に共通するのは、単発の作業を受けたあとの動き方です。納品して終わりにせず、「今回作った計画の進捗を、3か月後に一度見ましょうか」と次の接点を自分から置いています。この一手があるかどうかで、単発が継続に変わる確率が変わります。継続案件は営業コストがかからないので、時間の限られた副業では特に効きます。
手取りの話も書いておきます。同じ報酬額でも、仲介手数料が何割か引かれる経路と、発注者から直接受け取る経路では、手元に残る金額が変わります。手数料0%で直接取引ができる経路を1つ持っておくと、依頼者の側も同じ予算でより多く頼めるようになり、結果として両者にとって条件が良くなります。額面の数字だけを比べていると、この差は見えません。
最後に、実績ゼロの期間について。この期間を「何もない期間」と捉えるか、「材料を作る期間」と捉えるかで、その後の速度が変わります。分析サンプル、制度解説の記事、ヒアリングシート。これらは1件目を取る前に作れるものであり、作った分だけ提案文が具体的になります。手が空いているときにこそ、次の1件の準備が進みます。
よくある質問
Q. 中小企業診断士に合格してから最初の1件を取るまで、どれくらいかかりますか?
準備の内容によって大きく変わります。分析サンプルや制度解説記事などの見せられる材料を先に用意し、募集内容に合わせた提案文を週数件のペースで出している人は、数週間から数か月で決まる例が多く見られます。逆に資格名だけで待っていると、半年経っても動かないことがあります。
Q. 実績がまったくない状態で、提案文には何を書けばよいですか?
本業の実務経験を業務内容の粒度で書き、公開情報だけで作った分析サンプルを添えるのが有効です。あわせて進め方と納期を数字で明示してください。依頼側が最も知りたいのは、いつ終わるかと、途中で連絡が取れなくなる人ではないかという点です。
Q. 補助金の申請書類を報酬をもらって作成してもよいですか?
官公署に提出する書類の作成については行政書士法第1条の2の定めがあり、診断士の登録がこれを当然に外すものではありません。実務では計画内容の助言や数値計画の組み立て支援、事業者本人が書いた文章の添削という形で関わるのが一般的です。案件ごとに範囲を確認してから受けてください。
Q. 会社に勤めたまま副業として受けても問題ありませんか?
就業規則の副業規定を先に確認してください。許可制か届出制か、競業の扱い、勤務時間中の連絡の可否の3点が要点です。診断士の仕事は業種を問わないため勤務先と同業の支援に当たる場面があり、規程の文言だけでなく人事に確認しておくほうが安全です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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