法人の印鑑証明書を取るのに要るもの

前田 壮一
前田 壮一
法人の印鑑証明書を取るのに要るもの

この記事のポイント

  • ✓法人の印鑑証明書を取るのに必要なものを
  • ✓窓口・郵送・オンラインの3つの取り方別に整理しました
  • ✓代理人に頼むときの持ち物まで

まず、安心してください。法人の印鑑証明書を受け取るのに必要なものは、窓口で取るなら3つだけです。印鑑カード、申請書、そして手数料ぶんの収入印紙。この3つがそろっていれば、会社の実印を持っていく必要も、身分証明書を用意する必要もありません。

つまずくのは、この3つのうち1つでも欠けたときです。特に印鑑カードは代わりのきかないもので、忘れると窓口でどうにもなりません。ここでは窓口・郵送・オンラインの3つの取り方それぞれで何が要るのかを、法務省と法務局が公表している資料で確かめた内容だけを並べます。あわせて、印鑑カードをまだ持っていない場合に何から始めるか、代理の人に頼むときは何が要るのかまで書きます。

窓口で取るときに必要なものは3つだけ

登記所、つまり法務局や地方法務局の窓口で請求する場合、持っていくものは次の3つです。

1つめが印鑑カードです。会社の実印を登記所に届け出たあと、交付の申請をすると渡される、名刺より少し小さいカードです。法人の印鑑証明書は、このカードを提出しないと出してもらえません。会社の実印そのものを持って行っても、代表者の運転免許証を見せても、カードの代わりにはなりません。

2つめが印鑑証明書交付申請書です。窓口に用紙が備え付けてありますし、法務局のサイトからも様式と記載例が手に入ります。家で書いてから持って行くと、窓口での時間が数分短くなります。

3つめが手数料です。窓口では収入印紙で納めます。申請書に収入印紙を貼る欄があり、そこに貼り付けて提出します。登記所の中か近くに印紙を売っている窓口があるので、持っていなくても現地で買えます。

法務局は、この提出方法を次のように説明しています。

申請書を作成して、下記の提出先に提出してください。印鑑証明書の交付の申請には印鑑カードをも提出してください。 出典: houmukyoku.moj.go.jp

短い一文ですが、印鑑カードが条件であることがはっきり書かれています。会社の実印が必要だと書かれていない点にも注目してください。実印を押す欄は、印鑑証明書の申請書には用意されていません。

窓口の時間にも触れておきます。法務局が案内している受付時間は、祝日と年末年始を除く月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時15分までです。ただしこれとは別に、法務省が次の運用を案内しています。

令和6年1月4日から、登記所の窓口における対応時間を9時から17時までとする窓口対応時間の運用を開始しておりますので、御理解と御協力をいただきますよう、お願いいたします。 出典: moj.go.jp

つまり、制度上の受付時間は8時30分からでも、窓口が開くのは午前9時からという扱いです。出社前の8時40分に寄ろうと思っても対応してもらえない可能性が高いので、午前9時以降に行く前提で予定を組んでください。夕方も同じで、17時を過ぎてから駆け込むのは避けてください。

印鑑カードがまだ手元にないなら、そこから始める

会社を作ったばかりで、印鑑カードを受け取った記憶がない、という場合があります。設立の登記を司法書士に頼んだときは、司法書士が代わりに受け取って引き渡していることが多いので、まず設立時の書類一式を探してみてください。

本当に交付を受けていない場合は、印鑑証明書より先に印鑑カードを手に入れることになります。必要なのは印鑑カード交付申請書で、法務局のサイトからPDFとExcelの両方の様式が手に入ります。

この申請書には、会社の実印を押す欄があります。印鑑証明書の申請書には押印欄がないのに、カードの申請書にはある。ここが混同されやすい点です。カードを作るときは実印が要り、カードができたあとは実印が要らない、と覚えてください。

書く内容は、登記所の名前、会社の商号、本店の住所、印鑑を届け出た人の資格と氏名と生年月日、会社法人等番号、申請する人の住所と氏名と連絡先です。生年月日を書く欄があるのは、同姓同名の代表者を区別するためです。

提出先は本店を管轄する登記所に限られます。印鑑証明書そのものは全国どこの登記所でも請求できますが、印鑑に関する届出と印鑑カードの交付申請は本店の管轄でしか受け付けていません。ここを間違えると、遠くまで行ったのに手ぶらで帰ることになります。

印鑑カードの交付に手数料はかかりません。法務局が公開している印鑑カード交付申請書の様式には、印鑑証明書の申請書と違って収入印紙を貼る欄そのものが作られていません。法務局が示している標準処理期間も「申請書の提出から即日」なので、窓口に出せばその場でカードが交付されます。カードを受け取ったその足で印鑑証明書も請求できるため、設立直後の外出は1回で済ませられます。

さらに手前の段階、つまり会社の実印をまだ作っていない場合は、印鑑そのものに決まりがあることも押さえておいてください。法務省は、提出する印鑑は辺の長さが1センチメートルの正方形に収まるものであってはならず、また辺の長さが3センチメートルの正方形に収まらないものであってはならない、と説明しています(商業登記規則第9条第3項)。加えて、印鑑は照合に適するものでなければならないとされています(同条第4項)。要するに、小さすぎても大きすぎてもだめで、輪郭がつぶれていたり文字が読み取れなかったりするものもだめ、ということです。

はんこ屋で「会社設立セット」として売られているものは、たいていこの範囲に収まるように作られています。ただしネット通販で安く買ったものや、デザインを凝らしすぎたものは、輪郭が欠けていて照合に向かないと判断されることがあります。届出が通らなければ印鑑カードも作れず、印鑑証明書も取れません。最初の1本は、法人の実印として売られている標準的なものを選ぶのが安全です。

申請書に書く項目を、迷わない順に

印鑑証明書交付申請書に書くのは、次の項目です。法務局が公開している記載例に沿って並べます。

最初に、提出する登記所の名前と申請する日付を書きます。支局や出張所に出す場合はその名前まで書きます。

次に商号と本店の住所です。登記されているとおりに書くのが原則で、契約書で使っている略称ではありません。株式会社を前に置くのか後ろに置くのかも、登記されている形に合わせます。

続いて印鑑を提出した人の情報です。資格の欄には代表取締役、取締役、代表社員、代表理事、理事、支配人のいずれかを選び、氏名と生年月日を書きます。合同会社なら代表社員、一般社団法人なら代表理事というように、法人の種類で呼び方が変わります。

そして印鑑カード番号です。カードの表面に印字されている番号をそのまま書き写します。この番号は、印鑑カードを持っていないと書けません。裏を返せば、番号を書けるということはカードが手元にあるということなので、忘れ物の確認にもなります。

最後に請求する通数を書き、窓口に来た人が本人なのか代理人なのかをチェックします。代理人の場合は住所と氏名も書きます。ここで大事なのは、記載例にはっきり書かれているとおり、代理人の場合でも委任状は必要ないということです。印鑑カードを預かって持参していること自体が、代表者から任されている証拠として扱われます。

通数の欄は、多めに書いておくことをおすすめします。あとから1通足りないと分かっても、その場に戻れるとは限りません。提出先が決まっている手続きが2件あるなら3通、というくらいの余裕を持たせても、手数料の差は数百円です。

手数料はいくらで、どう納めるのか

手数料は2025年4月1日に改定されています。古い解説記事に書かれている金額のままだと印紙が足りず、窓口で買い足すことになるので、現在の額で用意してください。

取り方 印鑑証明書1通 納め方
窓口や郵送で紙の申請書を出す 500円 収入印紙
オンラインで請求して郵送で受け取る 450円 電子納付
オンラインで請求して窓口で受け取る 420円 電子納付

紙の申請書を出す書面請求は1通500円です。改定前は450円でしたので、50円上がっています。法務省は手数料について次のように案内しています。

印鑑証明書 1通につき500円 出典: moj.go.jp

窓口では収入印紙で納めますが、過去に使われていた登記印紙も使えます。会社の金庫に古い登記印紙が眠っているなら、捨てずに使ってください。

オンラインで請求する場合は、収入印紙が使えません。インターネットバンキング、モバイルバンキング、電子納付に対応したATMのいずれかで電子納付します。窓口で受け取る方式を選んだ場合でも、印紙で払うことはできない決まりです。法人口座のインターネットバンキングが使えるかどうかを、請求を始める前に確かめておいてください。

あわせて、会社の登記事項証明書もよく一緒に求められます。こちらは書面請求が1通600円、オンライン請求の郵送受取が520円、オンライン請求の窓口受取が490円です。印鑑証明書と登記事項証明書を1通ずつ窓口で取るなら、収入印紙は合計1,100円ぶん必要になります。

代理の人に頼むときに要るもの

社長が出張中で総務の担当者が取りに行く、という場面は珍しくありません。このときに要るものは、本人が行く場合とほとんど変わりません。

必要なのは印鑑カードと申請書と収入印紙です。委任状は要りません。申請書の「窓口に来られた人」の欄で代理人にチェックを入れ、代理人の住所とフリガナと氏名を書けば足ります。

法務省は、印鑑証明書は会社代表者本人しか請求できず、ただし代理人による請求は可能である、と説明しています。一見すると矛盾しているように読めますが、意味するところは「代表者の権限にもとづく請求であること」で、その証拠が印鑑カードだ、ということです。

裏を返すと、印鑑カードは誰の手に渡っても使えてしまいます。カードを持っている人は、その会社の印鑑証明書を何通でも取れます。社内での保管場所と持ち出しの記録は、実印と同じ重さで管理してください。総務の引き出しに入れっぱなしにしている会社は少なくありませんが、実印を引き出しに入れっぱなしにするのと同じことです。

なお、印鑑カードの交付申請を代理人が行う場合は、こちらは委任状が必要です。申請書の下半分に委任状の欄が作られていて、そこに委任する人の住所と氏名を書き、登記所に届け出た印鑑を押します。証明書の請求は委任状が要らず、カードの申請は委任状が要る。この違いを取り違えると、窓口でもう1往復することになります。

郵送で請求するときに要るもの

窓口に行く時間が取れないときは、郵送でも請求できます。封筒に入れるものは次のとおりです。

印鑑証明書交付申請書に必要事項を書き、手数料ぶんの収入印紙を貼ります。そこに印鑑カードを同封し、返信用の封筒に切手を貼って入れます。返信用封筒には会社の住所と宛名を書いておきます。

法務局は、登記簿謄本や登記事項証明書、印鑑証明書は送付用の郵便切手を納付して送付を請求できると案内していますが、印鑑証明書については送付を請求する場合であっても印鑑カードの提出が必要だと明記しています。カードを送らずに申請書だけ送っても、証明書は返ってきません。

ここが郵送請求の一番の弱点です。印鑑カードが数日から1週間ほど会社を離れることになり、その間は窓口で取ることもできません。往復のどちらかで郵便事故が起きれば、廃止の届出と再交付の申請をやり直すことになります。書留や特定記録で追跡できるようにしておくのが最低限の備えです。

時間に余裕がなく、かつ窓口にも行けない、という状況では、次に説明するオンライン請求のほうが安全です。オンラインなら印鑑カードを送る必要がありません。

オンラインで請求するときに要るもの

オンライン請求で必要になるのは、物ではなく準備です。順番に並べます。

最初に、登記・供託オンライン申請システムへの申請者情報登録が要ります。氏名や連絡先を登録してIDを作る手続きで、費用はかかりません。

次に電子証明書です。ここがオンライン請求の入口であり、同時に一番の関門です。法務省は次のように説明しています。

オンラインによる印鑑証明書の交付を請求する場合には、インターネットが利用できるパソコンのほかに、請求書情報及び添付書面情報に電子署名を付すための電子証明書をあらかじめ取得しておく必要があります。 特に、申請人による請求、代理人による請求のいずれの場合にも、申請人の電子証明書が必要となることに留意してください。 出典: moj.go.jp

電子証明書とは、紙に押す実印にあたるものをデータで持つ仕組みのことです。使えるのは、法務局が発行する商業登記電子証明書、マイナンバーカードに入っている公的個人認証サービスの電子証明書、それに法務省が個別に認めている民間の認証サービスの電子証明書です。マイナンバーカードで済ませるなら追加の費用はかかりませんが、カードの中の署名用電子証明書には有効期間があり、期限が切れていると署名できません。暗証番号も忘れていると使えないため、請求を始める前に確かめておいてください。

ここで注意したいのが、同じオンライン請求でも、印鑑証明書と登記事項証明書で扱いがまったく違うことです。登記事項証明書は誰でも請求できる書類なので、電子署名が不要で、委任状の仕組みも用意されていません。代理人として請求するときは備考欄に書き添えるだけで通ります。ところが印鑑証明書は代表者本人しか請求できない書類なので、電子署名が必須になります。登記事項証明書のオンライン請求を一度やってみて「簡単だった」と思った人が、印鑑証明書でつまずくのはこの差があるからです。

そしてパソコンの環境です。ブラウザだけで使えるかんたん登記・供託申請を選ぶなら追加のソフトは不要ですが、申請用総合ソフトを使う場合は専用のソフトを入れます。マイナンバーカードで署名するならICカードリーダーか、カードを読めるスマートフォンが要ります。

最後に電子納付の手段です。インターネットバンキングかモバイルバンキング、または電子納付に対応したATMを使います。

郵送で受け取る方式を選んだ場合、印鑑カードを送る必要はありません。これがオンライン請求の実務上いちばん大きな利点です。一方、窓口で受け取る方式を選んだ場合は、納付の画面を印刷した書面に加えて印鑑カードを窓口で提示する必要があります。オンラインだから手ぶらでよい、とはならない点に注意してください。

利用できる時間は、平日の8時30分から23時まで、休日は8時30分から18時まで(12月29日から1月3日までの年末年始を除く)です。ただし平日の17時15分を過ぎてから送ったデータと、休日に送ったデータは、送った日の翌業務日に登記所で受け付けられます。金曜日の夜に送っても、受付は月曜日になるということです。急ぎのときは、この1日を計算に入れておいてください。

オンライン請求のもう1つの利点は、印鑑カードを送らなくてよいことです。法務省も「印鑑証明書の交付請求をする場合、印鑑カードの送付は必要ありません」と明記しています。郵送請求ではカードが会社を離れますが、オンラインならカードは手元に置いたままです。

代理の人にオンラインで頼むときは、逆に委任状が要る

窓口と郵送では委任状が不要なのに、オンラインでは代理人の請求に委任状が必要になります。ここが取り違えやすい点です。

代理人がオンラインで印鑑証明書を請求する場合、請求書のデータには代理人が電子署名を付け、それとは別に委任状のデータを作って代表者が電子署名を付けます。つまり代表者と代理人の両方が電子証明書を持っていなければ成立しません。委任状のデータとして添付できるのは、電子署名を付けたPDFファイルです。紙の委任状を写真に撮って貼っても受け付けられません。

実務で考えると、これは社長の電子証明書を用意する手間と変わりません。社長が電子証明書を持っているなら、社長本人の名義で請求してしまうほうが早いことが多いです。代理人の仕組みが役に立つのは、司法書士や行政書士に継続して依頼している場合や、代表者が海外にいて紙のやり取りができない場合です。総務の担当者が代わりに取りに行くだけなら、窓口に印鑑カードを持って行く従来の方法のほうが圧倒的に軽い手続きになります。

どこの登記所で取れて、どこでは取れないのか

「本店の管轄でないと取れない」と思い込んでいる人が多いのですが、印鑑証明書に限ってはそうではありません。法務局は次のように案内しています。

商業・法人登記情報交換システムにより、登記所であればどこでも他の登記所管轄の会社・法人の登記事項証明書及び印鑑証明書を取得できます。 ※登記簿謄本は、会社・法人が登記されている登記所で取得できます。 ※印鑑に関する届出は、会社・法人が登記されている登記所に提出してください。 出典: houmukyoku.moj.go.jp

3行に、3つの違うルールが書かれています。整理すると次のようになります。

何をするか どこへ行くか
印鑑証明書をもらう 全国どこの登記所でもよい
登記事項証明書をもらう 全国どこの登記所でもよい
印鑑カードを作る、なくしたと届ける 本店を管轄する登記所だけ
会社の実印を届け出る、届け出し直す 本店を管轄する登記所だけ

本店が地方にあって代表者が東京で働いている、という会社は少なくありません。この場合、印鑑証明書は都内の登記所で取れます。一方で印鑑カードを作り直す場面になったら、本店の管轄まで行くか郵送で出すかを選ぶことになります。

窓口が混んでいて待ち時間が長い登記所では、証明書発行請求機が置かれていることがあります。これは申請書を手で書かずに、機械を操作して請求内容を入力できる仕組みです。法務局が公開している記載例にも、発行請求機がある登記所では交付申請書を書く必要がないと注記されています。ただし印鑑カードの提示は変わらず必要です。

もう1つ、法務局証明サービスセンターという窓口があります。こちらはオンラインで請求した証明書を受け取る場所として使えます。登記所の本体より駅に近い場所に置かれていることがあるので、オンライン請求と組み合わせると移動が短くなります。

登記の手続きが終わるまでは発行してもらえない

設立した直後や、本店を移したばかりのときに一番多いつまずきがこれです。法務局は次のように書いています。

会社・法人の登記申請を行って、登記所において登記手続が完了するまでの間、原則、当該会社・法人の登記事項証明書・印鑑証明書は発行されません。再び発行できるようになるのは、登記所における登記手続が完了したときです。 出典: houmukyoku.moj.go.jp

つまり、設立の登記を出した翌日に銀行へ行って「印鑑証明書を持ってきてください」と言われても、まだ手に入りません。いつ手に入るようになるかの目安は登記完了予定日で、申請した登記所を管轄する法務局のサイトに掲載されています。混み具合によって変わるので、必ずその登記所の予定日を見てください。

この待ち時間は、役員の変更や本店の移転でも同じように発生します。契約の締結日を先に決めてしまうと、印鑑証明書が間に合わないという事故が起きます。登記の申請と前後して印鑑証明書を求められる予定があるなら、登記を出す前に必要な通数を取っておくのが確実です。登記が済んだあとの内容で証明が必要なのか、それ以前の内容でよいのかは提出先に確かめてください。

会社法人等番号と印鑑カード番号の調べ方

申請書を書き始めてから止まりやすいのが、この2つの番号です。

印鑑カード番号は、印鑑カードの表面に印字されています。カードを見れば分かるので、探す必要はありません。逆に言えば、カードがなければこの欄は埋まりません。

会社法人等番号は、会社の登記事項証明書に記載されています。手元に証明書がなければ、窓口で会社名と本店の住所を伝えれば調べてもらえることもあります。国税庁が公表している法人番号(13桁)とは別の番号なので、混ぜないでください。法人番号は法人番号公表サイトで誰でも検索できますが、それを書いても申請書としては正しくありません。

登記事項証明書は誰でも手数料を払えば取れる書類なので、会社法人等番号を確かめるためだけに1通取る、という方法もあります。ただし1通600円かかるので、まずは設立時の書類を探すほうが早いはずです。

忘れ物をしたときに、実際どうなるか

現場でよくある3つの場面を挙げておきます。

印鑑カードを忘れた場合、その日は印鑑証明書を受け取れません。出直すしかありません。会社の実印を持っていても、代表者本人が行っても結果は同じです。

印鑑カードを紛失していた場合は、話がもう1段階大きくなります。印鑑カード廃止届書を出して、新しい印鑑カードの交付申請をすることになります。どちらも登記所に届け出た印鑑(会社の実印)を押して、本店を管轄する登記所に出します。実印そのものも失くしている場合は、改印の届出も必要になり、代表者個人の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)まで求められます。

収入印紙が足りなかった場合は、その場で買い足せば済みます。登記所の中か近くに販売窓口があるので、これがいちばん軽い失敗です。ただし改定前の金額で用意してきた場合、1通あたり50円ずつ足りないことになるため、通数が多いと買い足す額も増えます。

設立してから印鑑証明書が取れるようになるまでの順番

これから会社を作る人のために、順番を整理しておきます。

会社の実印を作り、設立の登記を申請するときに印鑑届書を一緒に出します。これで会社の実印が登記所に登録されます。設立と同時に出すのが基本ですが、あとから出すこともできます。

登記が完了したら、印鑑カード交付申請書を本店の管轄する登記所に出します。この申請書には会社の実印を押します。窓口に出せばその場でカードが交付されます。

カードを受け取ったら、その場で印鑑証明書交付申請書を書き、収入印紙を貼って提出します。ここから先は、印鑑カードさえあれば全国どこの登記所でも請求できます。

設立の直後は、法人口座の開設、事務所の賃貸借契約、社用車の登録、補助金の申請などで印鑑証明書を求められる場面が重なります。多くの提出先が発行から3か月以内のものを求めるので、最初の外出で3通から5通まとめて取っておくと、そのたびに半日を使わずに済みます。

準備の手間を減らすことが、働き方の選択肢を広げる

ここからは、業務委託や在宅で働く人の視点で考えます。

40代で会社を辞めてフリーランスになる人は珍しくなくなりましたが、独立してすぐに法人を作る人と、しばらく個人事業でやってから法人にする人に分かれます。どちらを選んでも、法人にした瞬間からこうした書類のやり取りが仕事の一部になります。印鑑証明書を取りに行く半日は、売上を生まない時間です。だからこそ、必要なものを一度覚えて、回数を減らすことに意味があります。

フリーランス・在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、長く続く人ほど、こうした事務を後回しにしません。依頼を受けてから書類を集め始めるのではなく、受ける前提で印鑑カードの置き場所を決め、通数を確保し、電子証明書を取っておく。その結果、発注する側から見れば「この人に任せると止まらない」という評価になり、次の依頼が来ます。腕は良いのに着手が毎回1週間遅れる人は、理由が事務の段取りだと気づかれないまま、声がかからなくなっていきます。

もうひとつ、運営者として見てきた限りでは、手取りの厚さを決めるのは単価そのものより、間に何社入っているかです。仲介手数料が0%の直接取引なら、発注する側は同じ予算でより多くを頼めて、受ける側は同じ仕事でも手取りが厚くなります。両方が得をする形なので、契約書や印鑑証明書のやり取りも直接発生します。事務を自分で回せることが、そのまま受けられる仕事の幅になるわけです。

どんな分野で法人としての取引が動いているかは、仕事の種類ごとの解説が手がかりになります。企業の生成AI導入や業務の見直しを支援するAIコンサル・業務活用支援のお仕事は契約の単位が大きく、法人同士の取引になりやすい分野です。広告運用から情報セキュリティまでを含むAI・マーケティング・セキュリティのお仕事も継続契約が中心で、書類のやり取りが定期的に発生します。受託開発の進め方を知りたいなら、企画から実装までを説明したアプリケーション開発のお仕事が参考になります。

法人にするかどうかを迷っているなら、報酬の水準から逆算するのが現実的です。地域ごとの差まで含めたソフトウェア作成者の年収・単価相場や、文章まわりの仕事をまとめた著述家,記者,編集者の年収・単価相場を見ると、どのくらいの売上から法人化の手間に見合うかの目安が立ちます。

書類の不備を減らしたいなら、資格の勉強が近道になることもあります。申請書や契約書の書き方を体系立てて学べるビジネス文書検定は、登記所や銀行に出す書類の差し戻しを減らすのに直結します。技術側で法人として案件を受けるなら、ネットワークの基礎を示せるCCNA(シスコ技術者認定)のような資格が、初めての取引先に対する安心材料になります。

必要なものは、窓口なら印鑑カードと申請書と収入印紙の3つ。郵送ならそこに返信用封筒が加わり、オンラインなら電子証明書と電子納付の手段に置き換わります。印鑑カードの置き場所だけは、今日のうちに確かめておいてください。

よくある質問

Q. 法人の印鑑証明書を取るとき、会社の実印は必要ですか?

印鑑証明書を請求するときに会社の実印は不要です。申請書に押印欄そのものがなく、印鑑カードの提出が本人確認の代わりになります。実印が必要なのは印鑑カードの交付を申請するときや、印鑑を届け出し直すときで、こちらの申請書には押印欄があります。

Q. 印鑑カードを持たずに窓口へ行ってしまったら取れますか?

取れません。会社の実印や代表者の運転免許証を持っていても、印鑑カードの代わりにはならず、出直すことになります。カードそのものを紛失している場合は、印鑑カード廃止届書と新しい印鑑カード交付申請書を本店の管轄する登記所に出すところからやり直しになります。

Q. 代理人が取りに行くとき、委任状は要りますか?

印鑑証明書の交付申請については、代理人が窓口に行く場合でも委任状は不要です。申請書の欄に代理人の住所と氏名を書き、印鑑カードを提示すれば請求できます。ただし印鑑カードの交付申請を代理人が行う場合は委任状が必要で、申請書の下半分にその欄が用意されています。

Q. 手数料はいくら用意しておけばよいですか?

窓口や郵送で紙の申請書を出す場合、印鑑証明書は1通500円で、収入印紙で納めます。オンラインで請求すると郵送受取が450円、窓口受取が420円になり、こちらは収入印紙が使えず電子納付になります。登記事項証明書も一緒に取るなら書面請求で1通600円が加わります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月15日最終更新:2026年9月19日
前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一@SOHO編集部

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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