法人の印鑑証明書をオンラインで取る手順

丸山 桃子
丸山 桃子
法人の印鑑証明書をオンラインで取る手順

この記事のポイント

  • ✓法人印鑑証明オンラインの請求手順を
  • ✓法務局と登記・供託オンライン申請システムの現在の案内にもとづいて整理します
  • ✓窓口受取でも収入印紙が使えない点までを順に解説します

法人印鑑証明オンラインで検索する人の目的は、たいてい2つに分かれる。手数料を安くしたい人と、登記所まで行く時間を省きたい人だ。結論を先に書くと、オンライン請求は手数料が窓口より安く、平日の夜まで手続できるが、証明書そのものはPDFで届かない。しかも電子証明書がないと始められない。この記事では法務局と登記・供託オンライン申請システムが現在案内している内容にもとづいて、用意するものから受け取りまでを順に追う。

まず、オンライン請求で何が要るのかを確かめる

法務局は、会社・法人の印鑑証明書のオンライン請求について、こう案内している。

印鑑提出者本人が会社・法人の印鑑証明書を取得する場合、以下の方法により、オンラインで交付請求をすることができます(電子証明書が必要です。マイナンバーカードでも請求可能です。)。 印鑑証明書は、指定した住所に郵送します(お急ぎの場合は、指定した登記所等での窓口受取も可能です。印鑑カードをご持参ください。)。 出典: houmukyoku.moj.go.jp

短い案内文の中に、必要なものが全部入っている。順に分解する。

必要なものの1つ目が電子証明書だ。会社が取得する商業登記電子証明書でもよいし、代表者個人のマイナンバーカードでも請求できる。マイナンバーカードで請求できる点は重要で、会社の電子証明書をまだ取っていない段階でもオンライン請求を始められる。ただしカードを読み取る環境、つまりICカードリーダーかカード読み取りに対応したスマートフォンが必要になる。

2つ目が申請者情報の登録だ。登記・供託オンライン申請システムを使うには、事前に申請者情報を登録しておく。

3つ目が印鑑カードだ。郵送で受け取る場合はカードを送る必要がないが、窓口で受け取る場合は必ず持参する。オンラインにしたのにカードが要るのか、と感じるかもしれないが、受け取りの本人確認がカードで行われる仕組みになっている。

そして、請求できるのは印鑑提出者本人が取得する場合として案内されている。請求に当たっては印鑑提出者による電子署名が必要になるので、代表者以外の担当者が自分の名義だけで完結させることはできない。代理人が関わる形をとりたい場合は、手続ごとに扱いが違うので管轄の法務局に確認するのが確実だ。

「かんたん証明書請求」という名前は、もう使われていない

オンライン請求のやり方を調べると、「かんたん証明書請求」という名前が出てくる解説記事が多い。この名前は現在使われていない。

登記・供託オンライン申請システムのFAQでは、かんたん証明書請求および供託かんたん申請は2026年2月2日から「かんたん登記・供託申請」としてリニューアルされたと説明されている。以降はかんたん登記・供託申請を使うことになる。なお、かんたん証明書請求で使っていた申請者IDは、継続してかんたん登記・供託申請でも使える。

リニューアルの内容として、より入力しやすいレイアウトにするなどの変更が行われたとされている。つまり画面の見た目が変わっているので、古い解説記事のスクリーンショットと手元の画面が一致しない。手順を追うなら、公式の操作ガイドを見るのが早い。

この手のリニューアルは、検索結果の上位が追いつくまで時間がかかる。手数料の金額も同じで、古い数字を書いたページが残り続ける。オンライン手続の情報は、年単位で古くなると使えなくなると考えておきたい。

ステップ1 申請者情報を登録する

最初にやるのが申請者情報の登録だ。登記・供託オンライン申請システムのサイトから登録する。

ここに1つ、事故の元になる仕様がある。申請者情報は1年間利用がない場合、自動的に削除される。年に1回も使わない会社では、次に使おうとしたときにログインできない状態になっている。登録し直せば済む話だが、急ぎの日にこれが起きると面倒だ。

だから、印鑑証明書が必要になる予定が見えた時点で、一度ログインだけ試しておくと安全になる。締切の前日にパスワード再設定から始めるのは避けたい。

登録が済んだら、自分の手続がどの方法で請求できるかを確認する。手続によってはWebブラウザからは申請できず、申請用総合ソフトのインストールが必要な場合がある。

ステップ2 かんたん登記・供託申請か、申請用総合ソフトを選ぶ

印鑑証明書のオンライン請求では、かんたん登記・供託申請または申請用総合ソフトのどちらかを使う。違いはこうなっている。

申請用総合ソフトは、オンライン申請システムで取り扱う手続のすべてを行えるが、事前にパソコンへインストールする必要がある。一方、かんたん登記・供託申請は対応する手続が限定される代わりに、Webブラウザ上で使える。

会社・法人代表者の印鑑証明書の交付請求は、かんたん登記・供託申請の対象に入っている。だから印鑑証明書を取るだけなら、ソフトをインストールせずブラウザだけで完結する。商業登記電子証明書の発行請求のように対応していない手続だけ、申請用総合ソフトが必要になる。

届く証明書に差はない。FAQでも、申請用総合ソフトとかんたん登記・供託申請で同じ手続を請求した場合、届く証明書の内容や届くまでの時間に違いはないと明記されている。初めて使うならブラウザのほうを選べばいい。

ステップ3 請求内容を入力して、電子署名を付ける

ログインしたら、請求内容を入力する。入力する内容は、窓口の申請書に書くのと同じだ。会社の商号と本店、印鑑提出者の資格と氏名と生年月日、印鑑カード番号、請求する通数を入れる。

商号と本店は登記されている表記で入れる。日常で使っている住所表記と登記簿の表記が違う会社は珍しくない。登記事項証明書を手元に置いて、1文字ずつ照らし合わせるのが確実だ。

受け取り方法も、この段階で選ぶ。郵送にするなら送付先の住所を指定し、窓口受取にするなら受け取る登記所を指定する。

入力が終わったら、印鑑提出者による電子署名を付けて送信する。ここで電子証明書を使う。商業登記電子証明書ならファイルを指定し、マイナンバーカードなら読み取りを行う。署名で止まる場合は、証明書の有効期限が切れていないか、読み取り環境が整っているかを確認する。

ステップ4 手数料を電子納付する

送信しただけでは終わらない。手数料の納付が次にくる。

手数料は、オンライン請求で郵送の場合が1件450円、オンライン請求で窓口交付の場合が1件420円。書面請求の1件500円より安い。

納め方は電子納付で、インターネットバンキング、モバイルバンキング、ATMのいずれかを使う。インターネットバンキングやモバイルバンキングを使う場合は、事前に各金融機関で手続をしておく必要がある。使える金融機関はe-Gov電子納付から確認できる。ATMを使う場合は、そのATMが手数料の電子納付に対応している必要がある。

納付に必要な情報は、請求を送信すると発行される。収納機関番号、納付番号、確認番号、納付期限といった納付情報が出るので、これを控えておく。納付情報は、かんたん登記・供託申請の「処理状況の確認」画面か、申請用総合ソフトの「処理状況表示」画面から確認できる。

納付の実務で気をつける点が3つある。

電子納付後、確認が行われるまでに時間がかかる場合があります。この間に再度納付処理を行うと、二重に納付される可能性がありますのでご注意ください。 出典: touki-kyoutaku-online.moj.go.jp

1つ目がこれだ。納付が反映されるまでに間があるので、画面が変わらないからといって操作を繰り返すと二重に払うことになる。納付状況は処理状況の画面で確認する。

2つ目が時間の制限だ。「電子納付」ボタンや「納付」ボタンをクリックしてインターネットバンキングにアクセスする方法では、クリック後30分以内にログインを完了させる必要がある。30分を過ぎた場合や処理を中断した場合は、電子納付情報の画面からボタンをもう一度クリックすればやり直せる。また、電子納付が使える時間は各金融機関のシステムの利用時間になるので、オンライン申請システムが動いていても銀行側が閉じていれば納付できない。

3つ目が金額の上限で、手数料の合計金額が11桁を超える場合は電子納付を行えない。個人や小さい会社の印鑑証明書では届かない金額だが、まとめて大量に請求する場合には頭に置いておく。

窓口受取を選んでも、収入印紙では納められない

ここが誤解されやすいところだ。窓口で受け取るなら、その場で収入印紙を貼って払えばいいと考える人がいる。印鑑証明書のオンライン請求では、それができない。

法務局は、印鑑証明書のオンライン請求の留意事項として、窓口受取を選択した場合でも収入印紙などによって手数料を納付することはできないと明記している。オンライン請求を選んだ時点で、納め方は電子納付に決まる。

窓口受取を選んだ場合の段取りも決まっている。かんたん登記・供託申請では、納付ボタンをクリックした際に表示される納付情報に通数を入力したうえで印刷し、請求先の登記所の窓口に提出する。申請用総合ソフトでは、納付ボタンをクリックした際に表示される「電子納付情報」の画面を印刷し、記載欄に通数と受取人の氏名・住所を書いて、請求先の登記所の窓口に提出する。

そして受け取りのときに必ず必要になるのが印鑑カードだ。法務局は、印鑑証明書を受け取る際には必ず印鑑カードを窓口で提示するようにと案内している。オンラインで請求したからカードは要らない、という理解で出かけると受け取れない。

つまり、窓口受取の当日に持っていくものは、印刷した納付情報と印鑑カードの2つになる。収入印紙は要らない。

いつ届くのか

日程を読むうえでいちばん大事な仕組みがこれだ。証明書は、納付が確認されてから発行される。

登記事項証明書等は、法務局において納付が確認されてから発行されますので、納付のタイミングにより異なります。 証明書の作成は、請求先の法務局で行われるため、お手数ですが、詳細な処理状況は請求先の法務局にご確認ください。 出典: touki-kyoutaku-online.moj.go.jp

請求を送信した時点では、まだ何も動いていない。納付を済ませて初めて作成に入る。夜に請求して納付を翌朝にすると、作成が始まるのは翌朝からになる。

郵送を選んだ場合は、ここに発送と郵便の日数が加わる。何日で届くかは請求先の法務局と配送の状況によるので、一律には決まらない。急ぐなら窓口受取を選ぶのが確実で、しかも手数料も3つの選択肢の中でいちばん安い420円になる。

締切が決まっている書類では、逆算の順番をこう組む。提出日から1日前を受け取り日にする。受け取り日の前日までに納付を済ませる。納付の前に請求を送信する。請求の前に申請者情報のログインを確認する。この4段を1日ずつ取れば、たいてい間に合う。

送信したあとの状況は、処理状況照会で追う

オンライン請求は、送信したあとが見えにくい。窓口なら目の前で受け取って終わるが、オンラインでは自分から状況を見にいくことになる。

登記・供託オンライン申請システムには処理状況照会というメニューがある。かんたん登記・供託申請なら「処理状況の確認」画面、申請用総合ソフトなら「処理状況表示」画面で、請求がどこまで進んだかを確認する。納付情報もこの画面から見られるので、控えを紛失しても取り直せる。

手数料の納付状況も、同じ画面で確認する。手数料に不足があった場合には補正のお知らせが表示される仕組みになっているので、送信して終わりにせず、納付が反映されたかどうかまで見ておく。

郵送を選んだ場合、送付先の住所は請求のときに指定する。会社の本店ではなく自宅に送る、といった指定もできるが、入力を間違えると戻ってくるまで気づけない。住所は登記の表記に合わせる必要はなく、実際に届く住所を入れる。マンションの部屋番号や建物名が抜けていないかだけ、送信前に見直したい。

証明書の作成そのものは、請求先の法務局で行われる。状況が知りたいときの問い合わせ先も請求先の法務局になるので、どの登記所に請求したかを控えておく。会社の本店の管轄とは別の登記所に請求することもできるので、あとで自分でも分からなくなりやすい部分だ。

システムが使える時間

登記・供託オンライン申請システムの利用可能時間は、平日が8時30分から23時00分まで、休日が8時30分から18時00分まで。12月29日から1月3日までの年末年始は除かれる。

24時間使えると書いている解説記事もあるが、実際にはこの時間になる。平日の夜23時まで動いているので、日中に登記所へ行けない人には十分に実用的だ。休日も午前8時30分から午後6時まで使える。

ただし、利用時間内であってもシステムのメンテナンスなどにより予告なく停止することがあると案内されている。加えて、電子納付が使える時間は金融機関のシステムの利用時間に左右される。オンライン申請システムが開いている深夜に請求まで進めても、納付は翌日になる場合がある。

手数料を書面請求と並べて比べる

金額の比較をまとめておく。法務局が公表している主な手数料一覧(2026年4月1日から適用)にもとづく。

印鑑証明書は、書面請求が1件500円、オンライン請求で郵送が1件450円、オンライン請求で窓口交付が1件420円。

会社の登記事項証明書は、書面請求が1通600円、オンライン請求で郵送が1通520円、オンライン請求で窓口交付が1通490円。

1件あたりの差は最大で80円だ。正直なところ、この金額差だけを理由にオンラインへ切り替える意味は薄い。オンラインの価値は金額ではなく、登記所の窓口が開いている時間に動けなくても手続が進む点にある。往復の交通費と移動時間を入れて考えると、差はもっと大きくなる。

年に何度も取る会社なら、商業登記電子証明書に切り替えて紙の証明書そのものを減らす選択肢もある。証明期間で手数料が決まり、1か月が500円、3か月が1,100円、12か月が3,800円、最長の27か月が8,300円だ。電子契約や行政手続のオンライン申請で使えるので、印鑑証明書を取る場面そのものが減る。

なお、商業登記電子証明書の発行請求はかんたん登記・供託申請に対応していないので、申請用総合ソフトを使うことになる。印鑑証明書を取るだけならブラウザで足りるが、電子証明書に手を出すならソフトの準備が要る、という段差がある。

同じ入口から、ほかの証明書もまとめて取れる

オンライン請求の入口は、印鑑証明書専用ではない。法務局は、登記事項証明書や印鑑証明書などの請求をインターネットで行えると案内していて、かんたん登記・供託申請に対応している手続として次のものを挙げている。土地・建物の登記事項証明書と地図・図面証明書の交付請求、会社・法人の登記事項証明書の交付請求、そして会社・法人代表者の印鑑証明書の交付請求だ。

一度に複数を請求できるので、同じ時期に必要になる書類はまとめて片づけるほうが手間が少ない。法人口座の開設、事務所の賃貸借契約、リース契約が同じ月に重なるような場面では、印鑑証明書と登記事項証明書を同時に請求しておく。

手数料も並べておく。会社の登記事項証明書は、書面請求が1通600円、オンライン請求で郵送が1通520円、オンライン請求で窓口交付が1通490円。不動産の地図等証明書や土地所在図等証明書は、書面請求が500円、オンライン請求で郵送が470円、オンライン請求で窓口交付が440円になっている。

事務所を借りる、社宅を法人名義で契約する、といった不動産が絡む手続では、会社の書類と不動産の書類の両方が必要になる。窓口を1つにまとめられる点は、慣れてくるとかなり効く。

なお、登記事項要約書という書類は証明書とは別のもので、管轄の登記所の窓口にしか請求できない。オンラインや郵送では請求できないので、要約書が必要だと言われた場合だけは窓口に行くことになる。

中身を見るだけなら、証明書を取る必要はない

オンライン請求の話をすると混同されやすいのが、登記情報提供サービスだ。こちらはインターネットで登記情報を確認できる仕組みで、画面で内容を見たり印刷したりできる。

手数料は証明書よりずっと安い。不動産や会社の全部事項、つまり登記記録の全部の情報の提供が1件330円。不動産の所有権の登記名義人だけの情報を見る所有者事項が1件140円。地図や土地所在図等の情報の提供が1件360円だ。これらの金額には指定法人手数料の10円が含まれている。

ただし、ここが肝心なところで、登記情報提供サービスで取得したものは証明書ではない。提出先に出す書類としては使えない。使い分けはこうなる。自分で中身を確かめたいだけなら登記情報提供サービス、どこかに提出する必要があるなら登記事項証明書や印鑑証明書を請求する。

取引相手の会社を確かめたいだけなら、330円で全部事項を見れば足りる。会社が実在しているか、いつ設立されたか、代表者が誰かは、これで分かる。証明書として出す必要が出てきた段階で、あらためて登記事項証明書を請求すればいい。この順番を知らずに、確認したいだけの段階で600円の証明書を取ってしまう例は多い。

印鑑証明書以外に、オンラインでできる商業登記の手続

同じシステムから、会社まわりの手続がどこまでできるのかを整理しておく。

登記そのものの申請はオンラインでできる。2021年2月15日からは、オンラインで登記を申請する場合、登記所への印鑑の提出が任意になった。書面で申請する場合は申請書に登記所へ提出している印鑑を押す必要があるため、従来どおり印鑑の提出が必要になる。

印鑑の提出および廃止の届出も、同じ日からオンラインでできるようになった。ただし条件が付いている。オンラインによる印鑑の提出および廃止の届出は、オンラインによる登記の申請と同時に行う場合にのみ可能で、届出だけを単独で行うことはできない。印鑑を出し直したいだけ、廃止したいだけという場面では、窓口か郵送になる。

商業登記電子証明書の発行請求もオンラインでできるが、こちらはかんたん登記・供託申請に対応していないので、申請用総合ソフトを使う。ソフトをインストールする手間が加わるので、印鑑証明書を取るのとは難易度が一段違う。

使える電子証明書の種類も広がっている。2021年2月15日から、登記の申請や印鑑証明書の請求を行う際に、商業登記電子証明書だけでなく、マイナンバーカードに入っている公的個人認証サービスの電子証明書なども使えるようになった。

このあたりの制度は数年おきに動いている。2025年4月21日には、本店を他の登記所の管轄区域内へ移転する登記が申請された場合に、旧所在地の登記所が印鑑記録を新所在地の登記所へ移送する取り扱いが始まった。印鑑が引き継がれて提出があったものとみなされるので、印鑑届書の提出が不要になっている。ただし印鑑カードは引き継がれないので、移転後に印鑑証明書が必要なら、登記が終わってから新しい管轄の登記所にカードを請求し直すことになる。

担当者が引き継ぐときに、何を残しておくか

会社が少し大きくなると、印鑑証明書を取る仕事は代表者から担当者へ移る。ところがオンライン請求は印鑑提出者本人による電子署名が前提なので、そのまま丸ごと引き継げるわけではない。

残しておくと役に立つ情報を挙げておく。

登記・供託オンライン申請システムの申請者ID。1年間利用がないと申請者情報が自動的に削除される点もあわせて書き添えておく。次の担当者が「IDが通らない」と悩む時間が消える。

印鑑カードの保管場所とカード番号。窓口受取では必ずカードの提示が必要になるので、場所が分からないと受け取りに行けない。

登記されている商号、本店、代表者の資格と氏名、生年月日を控えた1枚。入力で弾かれる原因のほとんどがここの表記違いなので、登記事項証明書の写しを一緒に置いておくのがいちばん確実だ。

電子納付に使う金融機関と、インターネットバンキングの利用手続が済んでいるかどうか。電子納付はインターネットバンキング、モバイルバンキング、ATMを使う仕組みで、事前に金融機関で手続をしておく必要がある。ここが済んでいないと、請求まで進んでから止まる。

電子証明書の種類と有効期限。商業登記電子証明書を使っているなら証明期間の終わりを、マイナンバーカードを使っているならカードの電子証明書の期限を書いておく。商号や本店、代表者の資格や氏名の変更登記がされると、証明期間内でも電子証明書が失効する場合がある点も添えておきたい。

この5つを1枚にまとめて、会社の重要書類と一緒に置く。手続そのものより、この引き継ぎがある会社とない会社で、急ぎの依頼が来たときの動きがまったく変わる。

つまずきやすいところと、その場での直し方

実際に詰まる箇所は限られている。先に並べておく。

ログインできない。申請者情報は1年間利用がないと自動的に削除される。登録した記憶があっても、間が空いていれば消えている。登録し直す。

電子署名が付けられない。電子証明書の有効期限、読み取り機器、ブラウザの環境を順に確認する。商業登記電子証明書は、商号や本店、代表者の資格や氏名の変更登記がされると、証明期間内でも失効する場合がある。役員変更や本店移転の直後は、ここが原因になりやすい。

商号や本店の入力を弾かれる。登記されている表記と一致していない。登記事項証明書を見ながら入れ直す。

納付できない。金融機関側で事前の手続が済んでいないか、その時間が金融機関のシステムの利用時間外になっている。使える金融機関はe-Gov電子納付から確認する。

納付したのに反映されない。確認までに時間がかかる場合がある。ここで操作を繰り返すと二重に払うことになるので、処理状況の画面で確認しながら待つ。

窓口で受け取れない。印鑑カードを持っていない場合がこれにあたる。受け取りには必ずカードの提示が必要だ。印刷した納付情報とカードの2点を揃えて出かける。

受注する側から見た、法人の書類の使いどころ

ここからは、法人を作った人ではなく、法人と取引する側の話をしておきたい。運営者として20年この市場を見てきた限りでは、フリーランスが巻き込まれるトラブルの多くは、契約の条文よりも「相手が誰なのか確かめないまま始めた」ことに原因がある。屋号だけのやりとりで進み、支払いが止まってから相手の法人格がよく分からないと気づく。この順番はいまでも珍しくない。

金額が大きい契約や長期で拘束される契約を結ぶ前に、相手の登記事項証明書を1通取ってみる価値はある。誰でも請求でき、相手に断る必要もない。会社が実在しているか、いつ設立されたか、代表者が誰かが分かる。オンライン請求なら520円で、この記事で説明した手順がそのまま使える。支払いが止まってから回収に動くときの費用と比べれば、桁がいくつも違う。回収の段階でかかる費用の相場は未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】にまとめてある。

契約書や発注書の作り方そのものに不安があるなら、何を書いておくべきかを整理したフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストが手がかりになる。取引の重さが上がるほど、書面の作法を知っているかどうかで結果が変わる。

もうひとつ、長く続く人に共通しているのは、単価の高い1件を取りにいくより、「この人に任せると楽だ」と思われる関係づくりに時間を使っている点だ。ここには手取りの構造も効いてくる。仲介の手数料が乗らない直接取引なら、依頼する側は同じ予算でより多く頼めるし、受ける側は同じ仕事で手取りが厚くなる。手数料0%という条件が意味を持つのは、金額そのものより、この「双方が得をする」構造が続けられることのほうだ。

自分の単価が相場のどこにいるかを確かめたいなら、職種別のデータが参考になる。開発系ならソフトウェア作成者の年収・単価相場、書く仕事なら著述家,記者,編集者の年収・単価相場に、職種ごとの収入の分布がまとまっている。法人化を検討する段階に入れば、税や会計の相談先も必要になる。専門家の働き方の実際は会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】から感覚をつかんでおくといい。

書類のやりとりが増えるほど、文書の型を知っているかどうかで手戻りの量が変わる。見積書や報告書を扱うことが多い人にはビジネス文書検定、インフラ寄りの案件を増やしたい人にはCCNA(シスコ技術者認定)が、話の前提をそろえる材料になる。仕事の幅を広げる方向を探しているなら、生成AIの導入支援を扱うAIコンサル・業務活用支援のお仕事、AI活用とマーケティング、セキュリティをまたぐAI・マーケティング・セキュリティのお仕事、受託開発を軸にするアプリケーション開発のお仕事を見ておくと、案件の形と求められる技術の範囲が分かる。

オンライン請求は、一度通しでやってしまえば2回目からは10分で終わる。最初の1回だけが重い。電子証明書と申請者情報の登録という2つの入口を、必要になる前に済ませておくかどうかで、次に急ぎの依頼が来たときの動きがまったく変わる。

よくある質問

Q. オンラインで請求すると印鑑証明書はPDFで届きますか?

届きません。法務局は、オンラインで請求できるものの交付方法は郵送または窓口受取であり、電磁的な証明書がオンラインで交付されるわけではないと案内しています。受け取りは紙になります。急ぐなら窓口受取を選ぶのが確実で、手数料も1件420円でいちばん安くなります。

Q. 電子証明書は会社のものが必要ですか?

商業登記電子証明書だけでなく、代表者個人のマイナンバーカードでも請求できます。会社の電子証明書をまだ取っていない段階でもオンライン請求を始められます。ただしカードを読み取る環境が必要で、請求には印鑑提出者による電子署名が必要です。

Q. 窓口で受け取るとき、収入印紙で払えますか?

払えません。法務局は、印鑑証明書のオンライン請求では窓口受取を選択した場合でも収入印紙などで手数料を納付することはできないと明記しています。納め方は電子納付になります。窓口には、印刷した納付情報と印鑑カードを持参してください。

Q. オンライン申請システムは何時まで使えますか?

利用可能時間は、平日が8時30分から23時00分まで、休日が8時30分から18時00分までです。12月29日から1月3日までの年末年始は使えません。利用時間内でもメンテナンスで停止することがあり、電子納付は金融機関のシステムの利用時間に左右されるため、締切当日に初めて操作するのは避けてください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年2月21日最終更新:2026年9月19日
丸山 桃子

この記事を書いた人

丸山 桃子@SOHO編集部

アパレルEC運営支援・SNSコンサル

アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。

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