法人の印鑑証明書とは|どこで取れて何に使うか

丸山 桃子
丸山 桃子
法人の印鑑証明書とは|どこで取れて何に使うか

この記事のポイント

  • 法人印鑑証明は市区町村ではなく法務局が出す書類です
  • 取得に必要な印鑑カード
  • 2026年4月時点の手数料

会社を作ったあと、取引先や銀行から「法人の印鑑証明書を出してください」と言われて戸惑う人は多い。個人の印鑑証明書は市区町村の窓口で取るが、法人の印鑑証明書は取る場所がまったく違う。しかも、事前に持っていないと絶対に取れないカードがある。この記事では法務省と法務局が現在案内している内容にもとづいて、法人印鑑証明がどこで取れて、いくらかかり、何に使う書類なのかを順に整理する。

法人の印鑑証明書を出すのは、市役所ではなく法務局

まず場所の話から始めたい。個人の印鑑証明書は、住んでいる市区町村に印鑑登録をして、市役所や区役所の窓口、あるいはコンビニの端末で取る。法人はこの仕組みの外にある。会社や法人の印鑑証明書は、法務局(登記所)が出す書類だ。

理由は、会社の情報がどこで管理されているかにある。会社の商号、本店、代表者の氏名といった情報は登記簿に記録されていて、これを管理しているのは法務局である。代表者が使う印鑑も、この登記の仕組みの中で法務局に届け出る。だから、その印鑑が会社の正式なものだと証明する書類も、法務局が出すことになる。

法務省は、印鑑を登記所に提出している人、つまり会社の代表者などが、所定の手数料を納めて印鑑証明書の交付を請求できると案内している。裏を返すと、印鑑を提出していない法人は印鑑証明書を取れない。ここは後で詳しく触れるが、現在は印鑑の提出が常に必須ではなくなっているので、「うちの会社は印鑑証明書を出せる状態なのか」という確認が最初の一歩になる。

市区町村の印鑑登録との違いは、対象になる印鑑にも表れる。個人の印鑑登録は1人につき1本だが、会社の場合は代表者の資格ごとに印鑑を提出する形になる。代表取締役が2人いる会社なら、それぞれが自分の印鑑を提出でき、印鑑証明書もそれぞれの分が発行される。契約書に押した印鑑が誰のものかによって、添える印鑑証明書も変わる、という関係になる。

取得には印鑑カードが要る。これが最大の落とし穴

法人の印鑑証明書を取るうえで、いちばん多いつまずきがこれだ。印鑑カードがなければ、代表者本人が身分証明書を持って窓口に行っても、印鑑証明書は発行されない。

法務省の案内では、印鑑証明書の交付を請求するには事前に印鑑カードの交付を受ける必要があるとされている。印鑑カードの交付請求は、所定の申請書に必要事項を記載し、登記所に提出している印鑑を押印して、登記所の窓口に提出する。代理人が申請するときは委任状の添付が必要になる。

そして印鑑証明書を請求するときは、申請書に次の内容を書くことになる。会社の商号と本店(法人の場合は名称と事務所)、印鑑提出者の資格と氏名と出生年月日、そして印鑑カード番号だ。ここで出生年月日が出てくるのを意外に思う人が多いが、同姓同名の代表者を区別するために必要な項目になっている。設立のときに印鑑届書へ書いた生年月日と一致していないと、その場で止まる。

郵便で請求することもできるが、その場合でも印鑑カードの提出が必要になる。つまりカードを郵送で送ることになるので、往復の日数を見込む必要がある。代理人に頼む場合も同じで、印鑑証明書の請求そのものには委任状が要らない代わりに、印鑑カードは必ず要る。

実務でいちばん困るのは、会社設立を司法書士に依頼して、印鑑カードの交付申請まで代行してもらったあと、カードがどこにあるか分からなくなっているケースだ。カードは紛失しても再交付を受けられるが、その手続の分だけ日数が延びる。急ぎで印鑑証明書が要ると言われてから探し始めると、まず間に合わない。会社の重要書類をしまう場所を決めて、登記事項証明書の控えと一緒に保管しておくのが確実だ。

会社を作るときの、印鑑まわりの順番

設立の場面で混乱しやすいのは、印鑑に関する手続が3段階に分かれていることだ。順番を整理しておく。

1段目が、印鑑そのものを作ること。会社の名前が決まった時点で発注できる。ここで作った印鑑を代表者印として使う。

2段目が、印鑑届書を出して登記所に印鑑を提出すること。書面で登記を申請する場合は、申請書に登記所へ提出している印鑑を押す必要があるので、この提出が前提になる。オンラインで登記を申請する場合は提出が任意なので、この段を飛ばすこともできる。

3段目が、印鑑カードの交付を受けること。印鑑を提出していても、カードがなければ印鑑証明書は取れない。カードの交付請求は、申請書に必要事項を書き、登記所に提出している印鑑を押して窓口に出す。代理人が申請するなら委任状が要る。

申請書の様式は登記所の窓口でもらえるほか、法務局のホームページからも取得できる。印鑑届書と印鑑カード交付申請書の様式は同じページにまとまっているので、設立の登記を自分で進めるなら、2枚を一緒に印刷しておくと往復が減る。

この3段のうち、忘れられやすいのが3段目だ。登記が完了した通知が来ると手続が全部終わった気分になるが、印鑑カードの請求は自分で別に行う必要がある。設立してすぐ法人口座の開設や事務所の賃貸借契約に進む予定なら、登記の完了と同じタイミングでカードを請求しておきたい。

印鑑を提出している状態をやめたい場合は、印鑑の廃止の届出という手続がある。印鑑の提出と廃止の届出は、オンラインによる登記の申請と同時に行う場合に限りオンラインでできる。単独での手続はできないので、廃止だけを思い立って進めようとすると窓口に行くことになる。

手数料は請求の仕方で3通りある

手数料は、どうやって請求するかで変わる。法務局が公表している主な手数料一覧(2026年4月1日から適用)では、印鑑証明書は次のように区分されている。

書面請求が1件500円。オンライン請求で郵送してもらう場合が1件450円。オンライン請求で窓口交付を受ける場合が1件420円だ。

ここで注意したいのは、ネット上に古い金額が大量に残っていることである。以前の窓口請求は450円だった時期があり、その数字を書いたページが今も検索で上位に出てくる。経理の担当者が古い金額で収入印紙を用意すると、窓口で不足を指摘されて買い足すことになる。

ちなみに会社の登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)は、書面請求が1通600円、オンライン請求で郵送が1通520円、オンライン請求で窓口交付が1通490円になっている。印鑑証明書と登記事項証明書はセットで求められることが多いので、両方の金額を覚えておくと予算が立てやすい。

窓口で書面請求をする場合、手数料は所定の金額に相当する収入印紙を申請書に貼って納める。現金を窓口で払う形ではない点が、市区町村の印鑑証明書と違うところだ。登記所の中や近くの郵便局で収入印紙を買うことになるので、その分の時間も見ておきたい。

窓口、郵送、オンラインの3通りの取り方

取り方は3つある。順に見ていく。

1つ目が登記所の窓口だ。申請書に必要事項を書き、収入印紙を貼り、印鑑カードを添えて提出する。登記所によっては証明書発行請求機が置かれていて、これを操作すれば申請書を手書きする必要がない。待ち時間を含めても当日中に受け取れるのが、窓口の最大の利点になる。

2つ目が郵送だ。返信用の封筒と郵便切手を同封して送る。印鑑カードも一緒に送ることになるので、カードが手元にない期間が発生する。

3つ目がオンライン請求で、法務局はこの方法を勧めている。

登記事項証明書、印鑑証明書等の請求は、インターネットを利用して行うことができます(交付方法は、郵送又は窓口受取であり、電磁的な登記事項証明書等がオンラインで交付されるものではありません。)。 出典: houmukyoku.moj.go.jp

ここは誤解されやすいので、括弧の中をよく読んでおきたい。オンラインで請求はできるが、証明書そのものがPDFで送られてくるわけではない。受け取り方は郵送か窓口受取のどちらかで、紙の証明書が出てくる点は変わらない。オンラインで完結すると思って手続を始めると、想定していた日程がずれる。

オンライン請求は「かんたん登記・供託申請」に対応していて、会社・法人代表者の印鑑証明書の交付請求はこの対象に入っている。Webブラウザ上で必要事項を入力するだけで請求でき、手数料も窓口より安い。会社の所在地から遠い登記所が管轄になっている場合や、複数通をまとめて取りたい場合には、この方法がいちばん手間が少ない。

なお、請求できるのは管轄の登記所だけ、という制約はない。印鑑カードがあれば、全国どこの登記所でも印鑑証明書の交付を請求できる取り扱いになっている。出張先の近くの登記所で受け取るという使い方もできる。

何に使う書類なのか

法人印鑑証明が求められる場面は、だいたい決まっている。

不動産の売買や賃貸借で、法人が当事者になるとき。金融機関から融資を受けるとき。官公庁の入札に参加するとき。自動車を法人名義で登録するとき。法人名義の銀行口座を開くとき。会社の登記を申請するとき。補助金や助成金を申請するとき。こういった場面で、契約書や申請書に押された印鑑が本当にその会社の代表者のものかを確かめるために、印鑑証明書の添付を求められる。

共通しているのは、金額が大きい、権利が移る、公的な審査がある、のいずれかに当たる場面だという点だ。日常の発注書や請求書のやりとりで印鑑証明書を求められることはまずない。だから、法人を作ったばかりの人が「印鑑証明書を用意してください」と言われたときは、その取引が普段より重い性質のものだという合図として受け取っていい。

逆に、フリーランスの立場で法人と取引するときに、相手から印鑑証明書を出してもらう場面もある。継続的な業務委託で金額が大きい契約を結ぶとき、相手の実在と代表者の権限を確かめる材料として使える。登記事項証明書とあわせて取り寄せれば、会社が本当に存在しているか、契約書にサインした人が代表権を持っているかが確認できる。契約や報酬回収のトラブルを避ける観点はフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストでも整理している。

有効期限は書類そのものにはない

印鑑証明書には「この日まで有効」という記載がない。法務局が有効期間を定めているわけではないからだ。

では「発行から3か月以内のもの」と言われるのは何なのか。あれは提出先が決めている条件だ。不動産登記の申請、金融機関の審査、入札の参加資格審査など、提出先ごとにルールが決まっていて、3か月以内としている場面が多い。長めに6か月以内としている提出先もあれば、より短い期間を求める場面もある。

この構造を知らないと、まとめて何通も取っておいたのに、使う段階で古くなっていて取り直しになる。実務としては、提出先が決まってから、その提出先が求める期間を確認してから取りにいくほうが無駄がない。登記事項証明書も同じで、申請の直前に取るのが基本になる。

もうひとつ、代表者が変わったときの扱いにも注意がいる。代表者の交代を登記すると、前の代表者が提出していた印鑑の効力は失われる。新しい代表者が印鑑を提出し直さない限り、その会社の印鑑証明書は出せなくなる。役員変更の登記をしたあと、印鑑証明書が必要になってから気づく、という順番になりやすい。

2021年から、印鑑の提出は常に必須ではなくなった

ここ数年でいちばん大きく変わったのが、この点だ。2021年2月15日に商業登記規則等の一部を改正する省令が施行され、登記の申請をオンラインで行う場合には、登記所への印鑑の提出が任意になった。

令和3年2月15日から,登記の申請をオンラインで行う場合は,登記所への印鑑の提出が任意になります。 なお,登記の申請を書面で行う場合は,申請書に登記所に提出している印鑑を押印する必要があるため,従来どおり印鑑を提出していただく必要があります。 出典: moj.go.jp

つまり、オンラインで登記を申請するなら印鑑を出さなくてもよく、書面で申請するなら今までどおり印鑑を提出する必要がある、という整理になる。

ここから導かれる実務上の注意はひとつだ。印鑑を提出していない法人は、印鑑証明書を取れない。設立をすべてオンラインで済ませて印鑑を提出しなかった会社が、あとから取引先に印鑑証明書を求められて、そこで初めて印鑑届書を出すことになる、という流れが起こりうる。印鑑の提出および廃止の届出はオンラインでもできるが、オンラインによる登記の申請と同時に行う場合に限られていて、届出だけを単独でオンラインで行うことはできない。

同じ改正で、印鑑届書の提出と商業登記電子証明書の請求がオンラインでできるようになり、登記の申請や印鑑証明書の請求に使える電子証明書の種類も広がった。商業登記電子証明書だけでなく、マイナンバーカードに入っている公的個人認証サービスの電子証明書なども使えるようになっている。

オンライン請求を始めるまでに、何を用意するか

オンライン請求が安いのは分かっても、最初の登録で止まってしまう人が多い。何が要るのかを先に並べておく。

法務局は、登記事項証明書や印鑑証明書の請求について「かんたん登記・供託申請」という入口を案内していて、会社・法人代表者の印鑑証明書の交付請求はその対象に入っている。ここに対応している手続なら、Webブラウザ上で必要な事項を入力するだけで請求できる。専用ソフトを入れる必要はない。

一方、商業登記電子証明書の発行請求のように「かんたん登記・供託申請」に対応していない手続もある。その場合は「申請用総合ソフト」を使うことになる。つまり、印鑑証明書を取るだけならブラウザで足りるが、電子証明書まで手を出すならソフトの準備が要る、という段差がある。

使える電子証明書の種類も広がっている。2021年2月15日から、登記の申請や印鑑証明書の請求を行う際に、商業登記電子証明書だけでなく、マイナンバーカードに入っている公的個人認証サービスの電子証明書なども使えるようになった。会社の電子証明書をまだ取っていない段階でも、代表者個人のマイナンバーカードで進められる場面があるということだ。

受け取り方は、繰り返しになるが郵送か窓口受取の2択になる。郵送を選ぶと、請求してから手元に届くまでの日数が読みにくい。期限が迫っている書類なら、オンラインで請求して窓口で受け取る組み合わせがいちばん確実で、しかも手数料も3つの中でいちばん安い。会社の近くに登記所があるなら、この形が基本になる。

窓口で書面請求する場合でも、登記所に証明書発行請求機が置かれていれば、機械を操作して申請書を作れる。申請書の書式に慣れていない人ほど、手書きよりも機械のほうが迷わない。

本店を管轄外へ移したときの扱いが、2025年に変わった

会社の本店を別の登記所の管轄に移したとき、印鑑の扱いがどうなるかは長く分かりにくい論点だった。ここが2025年に整理されている。

2025年4月21日から商業登記規則の一部を改正する省令が施行され、同日以降に本店を他の登記所の管轄区域内へ移転する登記が申請された場合、旧所在地を管轄する登記所が、その会社の印鑑記録を新所在地を管轄する登記所へ移送することになった。印鑑が引き継がれ、その印鑑の提出があったものとみなされるので、本店移転の登記申請と同時に新しい管轄の登記所へ印鑑届書を出す必要がなくなった。

ただし、ここに重要な例外が付いている。

なお、印鑑カードは従来どおり引き継がれませんので、印鑑証明書が必要な場合には、登記が終わった後に改めて新所在地を管轄する登記所宛てに、印鑑カードを請求いただきますようお願いいたします。 出典: moj.go.jp

印鑑は引き継がれるが、印鑑カードは引き継がれない。本店を移したあとに印鑑証明書が要るなら、新しい管轄の登記所へ印鑑カードを請求し直すことになる。登記が終わるのを待ってからの手続になるので、移転の直後に印鑑証明書を求められる予定があるなら、日程に余裕を持たせたい。

改印を希望する場合の段取りも決まっていて、本店移転の登記申請の前か同時に旧所在地の登記所へ改印届書を出すか、移転の登記が終わったあとに新所在地の登記所へ出すことになる。移転のついでに印鑑も作り替えるなら、どちらの順番で進めるかを先に決めておくと二度手間にならない。

代表者の住所を伏せる措置を選ぶと、印鑑証明書の出番が増える

2024年10月1日から、代表取締役等住所非表示措置という制度が始まっている。一定の要件のもとで、株式会社の代表取締役、代表執行役、代表清算人の住所の一部を、登記事項証明書や登記事項要約書、登記情報提供サービスに表示しないようにする措置だ。自宅を本店にしている1人会社の代表者にとっては、住所が誰でも見られる状態でなくなるという意味で関心が高い。

ただし、法務省はこの措置について、選ぶ前によく考えるようにという注意を明記している。

代表取締役等住所非表示措置が講じられた場合には、登記事項証明書等によって会社代表者の住所を証明することができないこととなるため、金融機関から融資を受けるに当たって不都合が生じたり、不動産取引等に当たって必要な書類(会社の印鑑証明書等)が増えたりするなど、一定の影響が生じることが想定されます。 出典: moj.go.jp

登記事項証明書で住所を示せなくなるぶん、別の書類で代表者を特定する必要が出てくる。その「別の書類」として名前が挙がっているのが会社の印鑑証明書だ。住所を伏せると、取引のたびに用意する書類が増える可能性がある、という構図になる。

申出ができるタイミングにも制限がある。この措置の申出は、設立の登記、代表取締役等の就任の登記、住所移転による変更の登記など、代表者の住所が登記されることになる登記の申請と同時にする場合に限られる。思い立ったときに単独で申し出ることはできない。

また、措置が講じられても会社法上の登記義務が免除されるわけではない。代表者の住所が変わったら、変更の登記は従来どおり必要になる。登記の申請書にも住所を書く必要があるので、登記されている住所を忘れないようにという注意も出ている。表示されないのは証明書の上だけで、登記そのものは続いているという整理だ。

印鑑証明書とセットで求められる登記事項証明書には何が書いてあるか

印鑑証明書を求められる場面では、たいてい登記事項証明書も一緒に求められる。この2枚は役割が違う。

印鑑証明書が示すのは「この印影が、この会社のこの代表者が登記所に提出した印鑑のものである」という一点だ。一方、登記事項証明書に載っているのは会社そのものの情報になる。商号、本店の所在地、会社が成立した年月日、目的(何をする会社か)、資本金の額、発行可能株式総数、役員に関する事項、代表者の氏名と住所といった内容が並ぶ。

契約の相手が法人のとき、この2枚を合わせて初めて確認が完結する。会社が実在して登記されていること、契約書にサインした人がその会社の代表権を持っていること、押された印鑑がその代表者のものであること。どれか1つでも欠けると、あとから「その人には契約する権限がなかった」という争いが起きうる。

登記事項証明書には何種類かあり、現在効力のある事項だけを載せたもの、閉鎖された事項まで含めたものなどが選べる。相手の履歴まで見たい場合と、現在の状態だけ確認できればいい場合で、取るべき種類が変わる。窓口の申請書に選択欄があるので、何を確かめたいかを決めてから請求するほうが無駄がない。

紙の印鑑証明書の代わりになる商業登記電子証明書

印鑑証明書を何度も取りに行く手間をなくす方向の仕組みが、商業登記電子証明書だ。法務省は、電子文書を作った人の本人確認や改ざん防止のために使う証明書で、行政手続のオンライン申請や企業間の電子契約に利用できると案内している。

紙の世界で「実印を押して印鑑証明書を添える」という組み合わせが担っていた役割を、電子の世界で担うのがこの証明書だと考えると分かりやすい。電子契約を導入している取引先が増えている以上、押印と郵送の往復をなくせる意味は大きい。

手数料は証明期間によって決まる。法務局の手数料一覧では、1か月が500円、3か月が1,100円、12か月が3,800円、24か月が7,400円、最長の27か月が8,300円とされている。印鑑証明書を1件500円で年に何度も取っている会社なら、金額の比較はしやすい。

注意点として、代表者が交代すると電子証明書も使えなくなる。役員の任期が来るタイミングと証明期間の終わりを合わせておくと、無駄が出にくい。

会社の印鑑は1本ではない

法人印鑑証明を調べていると、会社の印鑑の種類が整理できていないことに気づく人も多い。登記所に提出する印鑑、いわゆる会社の実印や代表者印は、そのうちの1本にすぎない。

実務の慣行としては、登記所に提出する代表者印のほかに、銀行の口座で使う銀行印、請求書や見積書に押す角印(社印)、社名や住所を入れたゴム印を分けて作る会社が多い。分ける理由は単純で、いちばん重い実印を日常の書類に使わないためだ。請求書に実印を押していると、印影が外部に出回る回数が増える。

法人を作ったばかりの1人会社では、印鑑を1本だけ作って全部に使い回している例をよく見かける。日々の運用としては回るが、実印を持ち歩くことになるので、紛失したときの影響が大きい。作るときに数千円の差でしかないので、最初から分けておくほうが後の運用が楽になる。

印鑑を廃止したいとき、紛失したときの手続も登記所側に用意されている。改印の届出や印鑑カードの再交付といった手続になるので、管轄の法務局に確認して進めることになる。

フリーランスが法人と向き合うときに、書類が意味を持つ場面

ここからは、受注する側の視点で書いておきたい。運営者として20年この市場を見てきた限りでは、フリーランスが困るトラブルの多くは、契約の中身よりも「相手が誰なのか確かめないまま始めた」ことに原因がある。屋号だけのやりとりで進み、支払いが止まってから相手の法人格がよく分からないと気づく。この順番は、いまでも珍しくない。

金額が大きい契約や、長期で拘束される契約を結ぶときは、相手の登記事項証明書を1通取ってみる価値がある。1通600円で、会社が存在しているか、いつ設立されたか、代表者が誰かが分かる。オンライン請求なら520円だ。相手に断りを入れる必要はなく、誰でも請求できる。実際に支払いが止まってから回収に動くコストと比べれば、桁がいくつも違う。回収の段階に入ったときにかかる費用の相場は未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】にまとめてある。

もうひとつ、長く続く人に共通しているのは、単価の高い1件を取りにいくより、「この人に任せると楽だ」と思われる関係づくりに時間を使っている点だ。ここには手取りの構造も効いてくる。仲介の手数料が乗らない直接取引なら、依頼する側は同じ予算でより多く頼めるし、受ける側は同じ仕事で手取りが厚くなる。手数料0%という条件が意味を持つのは、金額そのものより、この「双方が得をする」構造が続けられることのほうだ。

自分がいまどの相場で受けているかを確かめたいなら、職種別の単価データが手がかりになる。開発系ならソフトウェア作成者の年収・単価相場、書く仕事なら著述家,記者,編集者の年収・単価相場に、職種ごとの収入の分布がまとまっている。法人化を考える段階に入ると、税や会計の判断も増える。専門家の働き方の実際は会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】から、相談先の感覚をつかんでおくといい。

書類のやりとりが増える人ほど、文書の型を知っているかどうかで手戻りの量が変わる。見積書や報告書のやりとりが多い人にはビジネス文書検定、インフラ寄りの案件を増やしたい人にはCCNA(シスコ技術者認定)が、話の前提をそろえる材料になる。需要の動きが早い領域を見ておくなら、生成AIの導入支援を扱うAIコンサル・業務活用支援のお仕事、AI活用とマーケティング、セキュリティをまたぐAI・マーケティング・セキュリティのお仕事、受託開発を軸にするアプリケーション開発のお仕事を見ておくと、案件の形と求められる技術の範囲が分かる。

法人の印鑑証明書は、手続としては地味な1枚だ。ただ、この1枚が求められる場面は、たいてい取引の重さが1段上がったところにある。求められたときに慌てないよう、印鑑カードの場所と、いまの手数料だけは押さえておきたい。

よくある質問

Q. 法人の印鑑証明書はどこで取れますか?

法務局(登記所)で取ります。個人の印鑑証明書は市区町村の窓口やコンビニで取れますが、法人は会社の登記を管理している法務局が発行します。印鑑カードがあれば管轄に関係なく全国どこの登記所でも請求でき、オンライン請求なら郵送または窓口受取で受け取れます。

Q. 手数料はいくらかかりますか?

法務局が公表している2026年4月1日からの手数料では、書面請求が1件500円、オンライン請求で郵送が1件450円、オンライン請求で窓口交付が1件420円です。以前の窓口請求が450円だった時期の情報がネット上に残っているので、収入印紙を用意する前に現在の金額を確認してください。

Q. 印鑑カードがなくても取得できますか?

できません。印鑑証明書の交付を請求するには、事前に印鑑カードの交付を受けておく必要があります。代表者本人が身分証明書を持参しても、カードがなければ発行されません。カードの交付請求は、申請書に登記所へ提出している印鑑を押印して窓口に提出します。代理人が申請するときは委任状が必要です。

Q. 印鑑証明書に有効期限はありますか?

書類そのものに有効期限の記載はありません。「発行から3か月以内」といった条件は、提出先が決めているものです。不動産登記や金融機関の審査、入札の資格審査など、提出先ごとに求める期間が違います。まとめて取り置くより、提出先が決まってから必要な通数を取るほうが無駄がありません。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年1月6日最終更新:2026年9月19日
丸山 桃子

この記事を書いた人

丸山 桃子@SOHO編集部

アパレルEC運営支援・SNSコンサル

アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。

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