法人の印鑑証明書はコンビニで取れるのか


この記事のポイント
- ✓印鑑証明のコンビニ交付は法人には使えません
- ✓法人の印鑑証明書が発行される場所
- ✓窓口・郵送・オンラインの4つの取り方と手数料
契約の締結日が迫っていて、法人の印鑑証明書が1通足りない。そんなときに真っ先に浮かぶのが「コンビニのコピー機で出せないか」という発想です。住民票や個人の印鑑登録証明書はマイナンバーカードがあれば近所のコンビニで出せるので、同じ感覚で法人のぶんも出せそうに思えます。
結論から書くと、法人の印鑑証明書はコンビニでは取れません。取れないのは手続きが遅れているからではなく、そもそも発行している役所が違うからです。この記事では、なぜ取れないのかという線引きをはっきりさせたうえで、法人の印鑑証明書を実際に手に入れる4つの道と、それぞれの手数料・所要時間・必要なものを並べます。締切が今日なのか来週なのかで選ぶべき道が変わるので、時間の余裕別の段取りまで書きます。
コンビニで出せる証明書は「市区町村が出すもの」に限られる
コンビニのマルチコピー機で証明書が出せる仕組みは、コンビニ交付と呼ばれます。運営しているのは地方公共団体情報システム機構で、全国の市区町村が発行する証明書をキオスク端末から受け取れるようにしたサービスです。
コンビニ交付は、マイナンバーカード又はスマホ用電子証明書を搭載済みのスマートフォンを利用して市区町村が発行する証明書(住民票の写し、印鑑登録証明書等)が全国のコンビニエンスストア等のキオスク端末(マルチコピー機)から取得できるサービスです。 出典: lg-waps.go.jp
ここに書かれている「市区町村が発行する証明書」という一言が、法人が締め出されている理由のすべてです。コンビニ交付で出せる書類は、住民票の写し、住民票記載事項証明書、印鑑登録証明書、各種税証明書、戸籍証明書、戸籍の附票の写しの6種類に整理されています。どれも市区町村役場の窓口で出しているものばかりで、法務局が扱う書類は1つも入っていません。
使える店舗は広がっていて、コンビニ交付に対応している店舗は全国で約56,000店舗(2025年3月末現在)にのぼります。内訳はセブン-イレブンが21,426店舗、ファミリーマートが16,012店舗、ローソンが13,622店舗、ミニストップが1,773店舗、セイコーマートが1,175店舗、イオンリテールが385店舗です。利用できる時間も毎日6時30分から23時までと長く、役所が閉まっている夜間や休日でも使えます。
これだけ整っているのに法人が使えないのは、ネットワークの端が市区町村につながっているだけで、法務局にはつながっていないからです。市区町村は会社の実印を登録する役所ではないため、そもそも証明する材料を持っていません。端末の性能や店舗の対応の問題ではないので、店員に頼んでも、別のチェーンに行っても結果は変わりません。
個人の印鑑登録証明書と法人の印鑑証明書は、名前が似ているだけの別物
「印鑑証明」という同じ呼び方で語られるせいで混同されやすいのですが、個人と法人では登録する役所から証明書の見た目まで、ほとんどすべてが違います。違いを一度整理しておくと、コンビニで取れないことも、印鑑カードが必要な理由も腑に落ちます。
個人の印鑑登録証明書は、住んでいる市区町村に自分の実印を登録したうえで交付を受けるものです。登録が済むと印鑑登録証(自治体によっては印鑑登録カードやマイナンバーカードが兼ねる場合もあります)が渡され、それを持って窓口に行くか、マイナンバーカードでコンビニ交付を使うかで証明書が出ます。
法人の印鑑証明書は、会社の本店を管轄する登記所、つまり法務局や地方法務局に会社の実印を届け出たうえで交付を受けるものです。届け出た印鑑と代表者の資格を法務局が証明する書類なので、発行するのは法務局だけです。会社を作ったときに提出する印鑑届書がこの登録にあたり、そのあとに印鑑カードの交付を受けて初めて印鑑証明書が請求できる状態になります。
請求できる人の範囲も違います。法人の印鑑証明書について、法務省は次のように説明しています。
印鑑証明書については、会社代表者本人しか請求することができません(ただし、代理人による請求は可能です。)。 出典: moj.go.jp
会社の登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)は誰でも手数料を払えば取れるのに対し、印鑑証明書は代表者本人のものです。ここが大きな違いで、だからこそ印鑑カードという物理的な鍵が要ります。逆に言えば、印鑑カードさえ持っていれば代理の人が窓口に行っても取れて、委任状は要りません。カードを預けるという行為そのものが委任の代わりになっている、と考えると分かりやすいはずです。
| 比べる点 | 個人の印鑑登録証明書 | 法人の印鑑証明書 |
|---|---|---|
| 登録する先 | 住んでいる市区町村 | 本店を管轄する登記所(法務局) |
| 発行する場所 | 市区町村の窓口、コンビニ交付 | 全国の登記所の窓口、郵送、オンライン請求 |
| 必要な持ち物 | 印鑑登録証またはマイナンバーカード | 印鑑カード |
| 請求できる人 | 本人、代理人 | 会社の代表者本人、代理人 |
| 委任状 | 代理人が窓口に行くときは必要な自治体が多い | 不要(印鑑カードの提示で足りる) |
| コンビニ交付 | 対応する市区町村なら可能 | 対応していない |
法人の印鑑証明書を手に入れる4つの道と手数料
コンビニが使えないぶん、法人には別の道が4つ用意されています。手数料は2025年4月1日に改定されており、古い記事に書かれている金額のままだと足りません。現在の金額は法務省が公表している登記手数料の一覧に載っています。
| 取り方 | 1通あたりの手数料 | 受け取るまで | 印鑑カード |
|---|---|---|---|
| 登記所の窓口で請求する | 500円 | その場(即日) | 窓口に提出する |
| 登記所へ郵送で請求する | 500円+郵送料 | 数日から1週間程度 | 同封して往復させる |
| オンラインで請求して郵送で受け取る | 450円 | 数日 | 送る必要なし |
| オンラインで請求して窓口で受け取る | 420円 | 翌業務日以降 | 窓口で提示する |
窓口で紙の申請書を出す方式は書面請求と呼ばれ、印鑑証明書は1通500円です。オンラインで請求して郵送してもらうと1通450円、オンラインで請求して窓口で受け取ると1通420円になります。オンラインのほうが安いのは、登記所の窓口の手間が減るぶんを手数料に反映しているからです。
2025年3月31日までは書面請求が450円、オンライン請求の郵送受取が410円、オンライン請求の窓口受取が390円でした。1通あたり30円から50円の値上がりです。10通まとめて取ると500円近い差になるので、経理に事前申請する金額を出すときは新しいほうで計算してください。
なお、会社の登記事項証明書は書面請求が1通600円、オンライン請求の郵送受取が520円、オンライン請求の窓口受取が490円です。印鑑証明書と一緒に求められることが多い書類なので、あわせて覚えておくと見積もりがずれません。
今日中に必要なら、登記所の窓口が唯一の答え
締切が今日や明日なら、選択肢は実質1つしかありません。登記所の窓口で請求する方法です。申請書を出してから証明書が出てくるまでは基本的に即日で、法務局は標準処理期間を「申請書の提出から即日」と公表しています。
持っていくものは印鑑カードと、手数料ぶんの収入印紙です。印鑑証明書交付申請書という用紙は窓口に備え付けてあり、法務局のサイトからも様式と記載例がダウンロードできます。書く内容は会社の商号、本店の住所、代表者の資格と氏名、生年月日、印鑑カード番号、請求する通数だけです。会社の実印を押す欄はありません。印鑑カードを出すことが本人確認になっているので、実印を持ち歩く必要はないということです。
見落としやすいのが受付の時間です。登記所の受付時間は、祝日と年末年始を除く月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時15分までと定められています。ただし2024年1月4日から、窓口の対応時間を午前9時から午後5時までとする運用が始まっているため、実際に対応してもらえる時間は少し短くなっています。始業前に立ち寄って済ませるつもりで8時40分に着いても開いていない、という事態が起こり得ます。
もうひとつ、知っておくと移動時間を節約できる仕組みがあります。商業・法人登記情報交換システムにより、どこの登記所でも他の登記所が管轄する会社の登記事項証明書と印鑑証明書が取得できます。本店が地方にあって、担当者は東京にいる、という会社でも、東京の登記所で本店ぶんの印鑑証明書が受け取れるということです。ただし印鑑の届出や印鑑カードの交付申請は本店を管轄する登記所でしか扱わないので、証明書の請求だけが全国対応だと覚えてください。
混雑する時期にはもうひと工夫あります。登記所によっては証明書発行請求機が置かれていて、画面に会社の情報を入力すると申請書を書かずに請求できます。3月や9月の月末、連休の前日は窓口が混みやすいので、発行請求機があるかどうかを電話で確かめてから向かうと待ち時間が読めます。
オンライン請求は手数料が安く、印鑑カードを手放さずに済む
締切まで数日あるなら、オンライン請求のほうが手数料も交通費も抑えられます。使うのは登記・供託オンライン申請システムで、ブラウザだけで完結するかんたん登記・供託申請と、パソコンに入れて使う申請用総合ソフトの2つの入口があります。
事前に用意が要るのは電子証明書です。印鑑証明書のオンライン請求では請求書のデータに電子署名を付ける必要があり、そのための電子証明書をあらかじめ取得しておかなければなりません。法務局が発行する商業登記電子証明書のほか、マイナンバーカードに入っている公的個人認証サービスの電子証明書でも請求できます。マイナンバーカードで済むなら新たな出費はほぼありません。
印鑑提出者本人が会社・法人の印鑑証明書を取得する場合、以下の方法により、オンラインで交付請求をすることができます(電子証明書が必要です。マイナンバーカードでも請求可能です。)。 出典: houmukyoku.moj.go.jp
オンライン請求の大きな利点は、郵送で受け取る場合には印鑑カードを送らなくてよいことです。紙の申請書を郵送する方式だと印鑑カードを封筒に入れて往復させることになり、その間は会社に印鑑証明書を取る手段がなくなります。郵便事故で紛失すれば、廃止の届出と再交付の申請をやり直すことになります。オンライン請求ならカードは金庫に入れたままで済みます。
利用時間は、平日の8時30分から23時まで、休日は8時30分から18時まで(12月29日から1月3日までの年末年始を除く)です。夜に請求できるのは便利ですが、平日の17時15分を過ぎてから送ったデータは翌業務日の受付になります。金曜の夜に送ると受付は月曜日になるので、週末をはさむときは金曜の夕方までに送信を済ませてください。
手数料の払い方も窓口とは違います。オンライン請求では収入印紙が使えず、インターネットバンキング、モバイルバンキング、電子納付に対応したATMのいずれかで電子納付します。窓口で受け取る場合でも印紙では払えません。法人口座のインターネットバンキングが使える状態かどうかを、請求する前に確かめておくと止まりません。
窓口で受け取る方式を選んだときは、納付の画面を印刷して通数と受取人の氏名・住所を書き、登記所の窓口に出します。このとき印鑑カードの提示も必要です。オンラインだから手ぶらでよい、とはならないので注意してください。
郵送で請求するという選択肢と、その落とし穴
電子証明書を持っていなくて、かつ登記所まで行く時間もない場合は、紙の申請書を郵送する方法があります。印鑑証明書交付申請書に必要事項を書き、手数料ぶんの収入印紙を貼り、印鑑カードと返信用の封筒を同封して、登記所に送ります。返信用の封筒には切手を貼っておきます。
落とし穴は2つあります。1つは前の章でも触れた印鑑カードの往復です。郵便の行きと帰りで数日ずつかかり、その間は窓口で取ることもできません。書留にすれば追跡はできますが、失くしたときに戻ってくるわけではありません。
もう1つは日数の読みにくさです。登記所に届いてからの処理は早くても、郵便の日数はこちらで制御できません。ゆうパックやレターパックを使うなどして日数を縮める工夫はできますが、それでも窓口の即日にはかないません。郵送請求は、急ぎではないが窓口にも行きにくい、という限られた場面の選択肢だと考えてください。
設立直後に印鑑証明書が要る場面を先に並べておく
会社を作った直後は、印鑑証明書を求められる場面が短い期間に集中します。どの場面で何通要るのかを先に並べておくと、登記所に行く回数をまとめられます。
法人口座の開設では、多くの金融機関が発行から3か月以内の印鑑証明書と登記事項証明書の提出を求めます。支店で申し込む場合と、インターネット専業の銀行に申し込む場合で必要な書類が違うことがあるので、窓口に行く前に一覧をもらってください。
事務所を借りるときの賃貸借契約でも、法人名義であれば印鑑証明書が要ります。保証会社が入る契約では、貸主向けと保証会社向けで2通求められることがあります。社用車をリースする場合や、車庫証明を取る場合も同様です。
補助金や助成金の申請では、提出先が国か自治体かで様式が分かれますが、法人の実在を確かめる書類として印鑑証明書か登記事項証明書のどちらか、あるいは両方が指定されます。公募の締切が決まっている手続きなので、募集要項が出た時点で必要通数を確かめておくのが安全です。
取引先との業務委託契約でも、初回の取引に限って印鑑証明書の写しを求める会社があります。特に建設、運送、人材の各業界では慣習として残っています。契約金額が大きい案件ほど求められやすいので、商談が進み始めた段階で確かめておくと、締結の直前に慌てません。
こうして数えると、設立から半年のあいだに4通から6通ほど使うのが珍しくないことが分かります。1回の窓口訪問でまとめて取っておけば、そのつど半日を使うことはなくなります。
オンライン請求を初めて使うときは、準備の順番を間違えない
オンライン請求は慣れれば速いのですが、初回だけは準備の手順があります。順番を間違えると途中で止まるので、上から順に進めてください。
最初にやるのは、登記・供託オンライン申請システムへの申請者情報登録です。利用者の氏名や連絡先を登録して、ログインに使うIDを作ります。ここは無料で、審査もありません。
次にパソコンの環境を整えます。ブラウザだけで使えるかんたん登記・供託申請を選ぶなら追加のソフトは要りませんが、申請用総合ソフトを使う場合は専用のソフトをダウンロードして入れます。マイナンバーカードで電子署名をするなら、ICカードリーダーか、カードを読めるスマートフォンも要ります。
そのうえで電子証明書を用意します。マイナンバーカードの電子証明書を使うなら新たな取得は要りませんが、暗証番号を忘れていると使えないので、先に確かめておいてください。署名用の電子証明書は5年で期限が切れるため、更新していないカードでは署名できません。会社の電子証明書として商業登記電子証明書を取る場合は、登記所への申請から発行まで日数がかかるので、締切が近いときの選択肢にはなりません。
最後に請求書のデータを作って送信し、電子納付で手数料を払います。納付が確認されてから証明書が作られるので、送信しただけで放置していると進みません。処理状況の画面に納付のボタンが出たら、その日のうちに払ってください。
この準備は初回だけで、2回目からは請求書を作って送るだけになります。設立の直後など時間に余裕のある時期に一度通しておくと、あとが楽になります。
個人の印鑑登録証明書なら、コンビニのこの流れで取れる
法人のぶんは取れませんが、代表者個人の印鑑登録証明書が必要になる場面もあります。会社の実印を紛失して印鑑を届け出し直すときには、代表者個人の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)が求められます。この場合はコンビニ交付が使えるので、流れを覚えておくと役に立ちます。
マルチコピー機の画面で行政サービスを選び、同意事項に同意すると、証明書の交付に進みます。マイナンバーカードまたはスマホ用電子証明書を載せたスマートフォンを所定の場所に置いて読み取らせ、カードを受け取るときに設定した暗証番号を入力します。本人確認が済んだらカードを取り外し、証明書の種類として印鑑登録証明書を選び、部数を指定して、コインベンダーに手数料を入れると印刷されます。
手数料は市区町村ごとに決まっていて、窓口より安く設定している自治体もあります。住んでいる市区町村がコンビニ交付に対応しているかどうかは、地方公共団体情報システム機構のサイトで都道府県から絞り込んで確かめられます。対応していない市区町村もまだ残っているので、当日に行く前に一度見ておいてください。
「コンビニで取れない」で毎回慌てないための備え
コンビニで取れないという事実は変わらないので、慌てないための備えを仕込んでおくほうが現実的です。手を打てるところは3つあります。
1つめは、必要な通数を多めに見積もって取っておくことです。印鑑証明書そのものに法律上の有効期限はありませんが、提出先が「発行から3か月以内のもの」と条件を付けるのが一般的です。逆に言えば3か月は使える前提で在庫を持てます。銀行口座の開設、事務所の賃貸借契約、自動車の登録、補助金の申請などが重なる時期は、窓口に行くたびに2通か3通まとめて取っておくと、足りなくなって走る回数が減ります。
2つめは、電子証明書への切り替えを検討することです。商業登記電子証明書を取得しておくと、紙の印鑑証明書を添えていた手続きの一部が電子署名で済むようになります。発行手数料も2025年4月1日に見直され、証明期間1か月が500円で新設されたほか、3か月が1,100円、12か月が3,800円、24か月が7,400円と、それまでより安くなっています。オンラインで印鑑証明書を請求するときの電子証明書としても使えるので、一度取れば二重に効きます。
3つめは、提出先に本当に紙が必要かを確かめることです。取引先の様式が何年も更新されておらず、慣習で印鑑証明書を求めているだけ、という場面は実際にあります。電子契約に対応している相手なら、電子署名で代替できないかを聞くだけで1往復ぶんの手間が消えます。
受け取った印鑑証明書のどこを見るか
窓口で受け取ったら、その場で3か所だけ確かめてください。あとから間違いに気づくと、また取り直しになります。
1か所めは商号と本店の表示です。提出先の契約書に書いた会社名や住所と、1文字でも違っていないかを見ます。丁目や番地の書き方、株式会社を前に置くか後ろに置くかまで一致しているのが望ましい形です。設立後に本店を移したのに登記を変えていないと、ここがずれます。
2か所めは代表者の資格と氏名です。代表取締役なのか取締役なのか、代表社員なのかが印刷されています。契約書の記名と食い違っていると、提出先で差し戻されます。旧姓で活動している場合も、証明書に出るのは登記した氏名です。
3か所めは印影と証明日です。印影がかすれていないか、日付が提出先の求める期間に収まるかを見ます。発行から3か月以内という条件が付く手続きが多いため、まとめて取った証明書を使い回すときは日付から数えてください。
なお、押されている印影は会社の実印そのものです。取り扱いは実印と同じ重さで考え、不要になった控えは裁断してから捨ててください。
時間の余裕から逆算する、現実的な段取り
締切までの残り時間ごとに、選ぶべき道をまとめておきます。
今日中に要るなら、印鑑カードを持って最寄りの登記所へ行くのが唯一の答えです。窓口の対応時間は午前9時から午後5時までを前提に動いてください。本店が遠方でも、証明書の請求はどこの登記所でもできます。
明日から3日以内なら、前日の夜のうちにオンラインで請求して窓口受取を選ぶ手があります。平日の17時15分を過ぎた送信は翌業務日の受付になるという点さえ押さえておけば、翌日に窓口へ寄って受け取れます。手数料も1通420円と最も安くなります。
1週間ほど余裕があるなら、オンライン請求の郵送受取が最も手間がかかりません。印鑑カードを動かさずに済み、登記所へ行く必要もありません。
こうして並べると、コンビニで取れないこと自体は実務上それほど痛手ではないと分かります。困るのは、取れると思い込んだまま当日の朝にコンビニへ向かって、そこで初めて取れないと知る場合だけです。
窓口でつまずきやすいところ
現場でよく詰まる点を先回りして挙げておきます。
印鑑カードを忘れた場合、窓口では印鑑証明書は出ません。会社の実印を持っていても、免許証を持っていても代わりにはなりません。カードが見当たらないなら、印鑑カード廃止届書を出して新しいカードの交付申請をすることになります。この申請は本店を管轄する登記所で行い、登記所に届け出た印鑑(会社の実印)を押す必要があります。
代表取締役が2人いる会社では、印鑑カードは印鑑を届け出た人ごとに交付されます。Aさんの印鑑証明書が要るのにBさんのカードしか手元にない、という取り違えが起きがちなので、誰の名前で請求するのかを先に確かめてください。
会社法人等番号が分からないという相談も多いのですが、これは会社の登記事項証明書に載っています。国税庁が公表している法人番号(13桁)とは別の番号なので、混ぜないように気をつけてください。窓口では会社名と本店の住所から調べてもらえることもあります。
支店で取れるのかという質問もありますが、支店という概念は登記所側にはありません。あるのは管轄する登記所かどうかだけで、証明書の請求についてはどこの登記所でも扱えます。ただし印鑑カードの交付申請と印鑑の届出は本店の管轄でしか受け付けません。
書類を待つ時間を減らすことが、フリーランスの実入りに効いてくる
ここからは、在宅ワークや業務委託で働く人の視点で考えます。法人成りしたフリーランスが印鑑証明書を求められる場面は、思ったより多くあります。法人口座の開設、事務所の賃貸借契約、リース契約、補助金の申請、そして取引先によっては業務委託契約の締結時です。1回あたりは半日の外出で済む話ですが、年に何度も重なると無視できない時間になります。
フリーランス・在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、長く仕事が続く人ほど、こうした事務の段取りを先に組んでいます。契約が決まってから書類を取りに走るのではなく、案件を受ける前提で在庫を持ち、電子証明書を取り、提出先の様式を確かめておく。その結果、発注する側から見ると「この人に任せると話が早い」という評価になり、次の依頼につながっていきます。逆に、書類の遅れで着手が1週間ずれることが何度か続くと、腕の良し悪しとは関係なく声がかからなくなります。
もうひとつ、運営者として見てきた限りでは、手取りの厚さを決めるのは単価そのものより、間に何社入っているかです。仲介手数料が0%の直接取引なら、発注する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は同じ仕事でも手取りが厚くなります。両方が得をする構造になっているので、契約書や印鑑証明書のやり取りが直接発生します。事務を自分で回せることが、そのまま取引の選択肢の広さになるわけです。
どの分野で直接取引が動いているかは、仕事の種類ごとの解説が手がかりになります。企業の生成AI導入や業務効率化を支援する仕事をまとめたAIコンサル・業務活用支援のお仕事は、契約単位が大きく法人としての取引になりやすい分野です。広告運用や情報セキュリティまで含めた守備範囲を整理したAI・マーケティング・セキュリティのお仕事も、継続契約になりやすいため書類のやり取りが増えます。受託開発の形を知りたいなら、企画から実装までの流れを説明したアプリケーション開発のお仕事が参考になります。
報酬の水準を把握しておくことも、法人化して事務コストを負担するかどうかの判断材料になります。全国平均や地域ごとの差を集めたソフトウェア作成者の年収・単価相場や、文章まわりの仕事の相場をまとめた著述家,記者,編集者の年収・単価相場を見ると、どのくらいの売上規模から法人にする意味が出てくるかの目安が立ちます。
事務そのものの精度を上げたいなら、資格が手っ取り早い足がかりになります。契約書や申請書の書き方を体系的に学べるビジネス文書検定は、法務局や銀行に出す書類の不備を減らすのに直結します。技術側で法人として案件を受けるなら、ネットワークの基礎を証明できるCCNA(シスコ技術者認定)のような資格が、発注側の安心材料になります。
法人の印鑑証明書がコンビニで取れないのは、発行している役所が市区町村ではなく法務局だからです。この一点さえ押さえておけば、当日の朝に慌てることはなくなります。窓口なら即日で1通500円、オンラインなら1通420円から450円。この2つの数字と、印鑑カードの置き場所だけ覚えておいてください。
よくある質問
Q. 法人の印鑑証明書はどうしてコンビニで取れないのですか?
コンビニ交付は市区町村が発行する証明書を受け取る仕組みで、住民票や個人の印鑑登録証明書などが対象です。法人の印鑑証明書は市区町村ではなく法務局(登記所)が発行するため、コンビニ交付の対象に入っていません。端末や店舗の問題ではないので、どのチェーンに行っても取得できません。
Q. 法人の印鑑証明書は1通いくらかかりますか?
2025年4月1日の改定後は、登記所の窓口に紙の申請書を出す書面請求が1通500円、オンラインで請求して郵送で受け取ると450円、オンラインで請求して窓口で受け取ると420円です。改定前の450円や410円という金額を載せている情報が残っているので、経費を見積もるときは新しい額で計算してください。
Q. 代理人に頼むとき委任状は必要ですか?
法人の印鑑証明書の交付申請については、代理人が窓口に行く場合でも委任状は不要です。印鑑カードを持参して提示することが本人確認の代わりになります。ただし印鑑カードの交付申請を代理人が行う場合は委任状が必要で、申請書の様式に委任状の欄が用意されています。
Q. 本店が遠方にありますが、近くの登記所で取れますか?
取れます。商業・法人登記情報交換システムにより、どこの登記所でも他の登記所が管轄する会社の登記事項証明書と印鑑証明書を請求できます。ただし印鑑の届出や印鑑カードの交付申請は本店を管轄する登記所でしか受け付けていないため、カードを作り直す場合は本店の管轄へ行く必要があります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
丸山 桃子@SOHO編集部
アパレルEC運営支援・SNSコンサル
アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。
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