法人の印鑑証明書の手数料|窓口とオンラインで額が違う


この記事のポイント
- ✓法人の印鑑証明手数料は
- ✓オンラインで請求するかで1通あたりの額が変わります
- ✓2025年4月1日の改定後の金額を法務省の公表資料で確認し
法人の印鑑証明書を取るのにいくらかかるのかを調べると、500円と書いてある記事と、450円と書いてある記事の両方が出てきます。どちらかが間違っているわけではなく、金額が変わった時期と、取り方の違いが混ざっているだけです。現在の額を先に書きます。窓口や郵送で紙の申請書を出すと1通500円、オンラインで請求して郵送で受け取ると450円、オンラインで請求して窓口で受け取ると420円です。
見落とされやすいのは、金額が違うだけでなく、納め方も違うという点です。窓口は収入印紙、オンラインは電子納付で、この2つは入れ替えが効きません。印紙を買ってからオンラインで請求しようとしても使えませんし、逆も同じです。ここでは法務省が公表している手数料表をもとに、1通あたりの額、納め方、通数の決め方、そして印鑑証明書以外にかかる費用まで順に見ていきます。
現在の手数料は3通り
法務省が公表している「主な登記手数料」の表から、印鑑証明書に関係する部分を抜き出すと次のようになります。
| 取り方 | 1通あたり | 納め方 |
|---|---|---|
| 書面請求(窓口・郵送) | 500円 | 収入印紙 |
| オンライン請求・送付 | 450円 | 電子納付 |
| オンライン請求・窓口交付 | 420円 | 電子納付 |
この額は令和7年(2025年)4月1日から適用されているものです。法務省の手数料のページには次のように記載されています。
主な登記手数料 (令和7年4月1日~) 印鑑証明書 書面請求 500円 オンライン請求・送付 450円 オンライン請求・窓口交付 420円 出典: moj.go.jp
書面請求というのは、紙の申請書に必要事項を書いて登記所に出す方法のことです。窓口に持っていく場合も、郵便で送る場合も、どちらも書面請求に当たるので同じ500円です。郵送だからといって高くなることはありません。ただし郵送の場合は、往復の郵便代と返信用封筒の切手代が別にかかります。
オンライン請求は、登記・供託オンライン申請システムを使って請求データを送る方法です。証明書そのものがデータで届くわけではなく、紙の証明書が郵送されてくるか、窓口で渡されるかのどちらかになります。ここを誤解して「オンラインならPDFがすぐ手に入る」と思っている人がいますが、そうはなりません。
4月に上がったので、古い記事の金額に注意する
改定前の額と比べると、次のようになります。
| 取り方 | 改定前 | 改定後 | 差 |
|---|---|---|---|
| 書面請求 | 450円 | 500円 | 50円 |
| オンライン請求・送付 | 410円 | 450円 | 40円 |
| オンライン請求・窓口交付 | 390円 | 420円 | 30円 |
法務局の案内ページにも「令和7年4月1日から、手数料が変わりました」という注記が入っています。インターネット上の解説記事には改定前の金額のまま残っているものが多く、その額で収入印紙を用意すると窓口で足りなくなります。
50円の差は1通なら小さく見えますが、設立直後にまとめて5通取るなら250円の差です。金額そのものより、窓口で印紙を買い足す手間と、列に並び直す時間のほうが痛いという性質の失敗です。郵送で請求している場合はさらに深刻で、印紙が足りなければ書類が返送されるか、不足分の連絡を待つことになり、数日が飛びます。
なお、同じ日に登記事項証明書の手数料も上がっています。印鑑証明書と一緒に請求することが多い書類なので、あわせて確認しておくと印紙の買い足しを避けられます。
窓口と郵送は収入印紙で納める
紙の申請書を出す場合、手数料は収入印紙で納めます。現金を窓口に出して払う方式ではありません。
印鑑証明書交付申請書には、右側に収入印紙を貼る欄が縦長に設けられています。ここに手数料の額に相当する印紙を貼って提出します。印紙に割印を押してはいけない点だけ注意してください。割印を押すと使えなくなります。
印紙は、登記所の中にある印紙売り場か、近くの郵便局で買えます。登記所によっては売店の営業時間が窓口より短いことがあるので、通数が多いときは郵便局で先に買っておくほうが確実です。
過去に使われていた登記印紙を持っている場合、それも使えます。法務省のQ&Aにも「所定の手数料額に相当する収入印紙(登記印紙も使用可能)を貼付した交付申請書」という書き方が出てきます。会社の金庫に古い登記印紙が眠っているなら、捨てずに使ってください。
1通あたりの額が決まっているので、3通なら1,500円分、5通なら2,500円分の印紙を貼ります。1枚の申請書で複数通を請求できるので、通数の欄に数を書いて、合計額の印紙を貼る形になります。
オンラインは収入印紙が使えない
オンライン請求では収入印紙が一切使えません。窓口受け取りを選んだ場合も同じで、印紙で払うことはできません。
納め方は電子納付です。法務省は、手数料の納付方法としてインターネットバンキング、モバイルバンキング、電子納付に対応したATMの3つを挙げています。請求データを送ると電子納付情報が発行され、システムの画面に出てくる納付ボタンから支払う流れになります。
ここで止まる会社が実は多くあります。法人口座のインターネットバンキングを契約していない、契約はあるが振込の権限を持っているのが経理担当者だけで手続きの担当者が使えない、というケースです。オンライン請求を選ぶなら、請求を始める前に「誰がどの口座から払うのか」を決めておいてください。
対応するATMから払う方法もありますが、ATMまで行くなら登記所まで行くのと手間が変わらないことがあります。オンライン請求の利点は移動しないで済むことなので、ネットバンキングが使える前提でないと旨味が薄れます。
手数料には送付にかかる費用も含まれています。つまりオンライン請求で郵送受け取りを選んだ場合、450円のほかに切手代を払う必要はありません。ただし書留、簡易書留、速達での送付を頼んだ場合は、その実費が手数料に加算されます。
郵送で請求するときは、手数料以外の出費を分けて数える
郵送請求は「窓口と同じ500円」と説明されがちですが、実際に財布から出る額はもっと多くなります。内訳を分けてみます。
まず手数料の500円ぶんの収入印紙。これは申請書に貼ります。次に、申請書と印鑑カードを入れて送る往路の封筒と切手。そして、証明書と印鑑カードを返してもらうための返信用封筒と切手です。返信用封筒には会社の住所と宛名を先に書いておきます。
ここで効いてくるのが、印鑑カードを同封しなければならないという条件です。カードは再発行できるとはいえ、他人の手に渡れば印鑑証明書を何通でも取られてしまう性質のものなので、普通郵便で送るのは現実的ではありません。追跡できる方法を選ぶと、往復で数百円が上乗せになります。レターパックや簡易書留を使えば、合計は900円前後になる計算です。
つまり郵送請求は、金額でも時間でも、3つの方法のなかで有利になりにくい選択です。窓口に行けないという理由で郵送を選ぶ場面はありますが、その条件ならオンライン請求で郵送受け取りにしたほうが安く、しかも印鑑カードを手放さずに済みます。
郵送を選ぶ合理的な場面は、電子証明書をまだ持っておらず、かつ本店の管轄が遠くて印鑑カードの再交付を郵送で頼む必要がある、といった組み合わせのときです。その場合でも、証明書そのものは全国どこの登記所でも取れるので、カードさえ手元に戻れば近くの登記所で窓口請求できます。
手数料が無駄になる3つの場面
払った手数料が戻ってこない場面もあります。先に知っておくと避けられます。
1つ目は、登記の手続き中に請求してしまう場合です。法務局は、登記の申請をしてから手続きが完了するまでの間、原則としてその会社の登記事項証明書と印鑑証明書は発行されないと案内しています。役員の変更や本店の移転を申請した直後は、この期間に入ります。窓口では受け付けてもらえないので印紙が無駄になることはありませんが、オンラインで請求してしまうと手続きのやり直しになります。完了の目安は、申請した登記所を管轄する法務局のサイトに出ている登記完了予定日で確認できます。
2つ目は、期限切れです。提出先が「発行後3か月以内」と定めている場合、その期間を過ぎた証明書は受け取ってもらえません。多めに取ったつもりが、使わないまま3か月が過ぎれば、その分は捨てたことになります。1通500円なので、5通余らせれば2,500円です。
3つ目は、そもそも必要な書類が違った場合です。相手が求めているのが会社の実在と代表者の確認だけなら、登記事項証明書や代表者事項証明書で足りることがあります。逆に、印鑑証明書でなければならない場面では登記事項証明書は代わりになりません。どちらが必要かを先に確かめないと、両方取ることになって費用が倍になります。
窓口の発行請求機を使うと申請書を書かなくてよい
手数料そのものは変わりませんが、窓口での時間を減らせる仕組みがあります。証明書発行請求機です。
法務局が公開している印鑑証明書交付申請書の記載例の下部には、発行請求機が設置されている登記所では、それを操作することで交付申請書を作成できると注記されています。その場合、紙の申請書を手書きする必要はありません。
ただし、印鑑カードの提示が不要になるわけではありません。印鑑証明書は代表者本人しか請求できない書類なので、カードによる確認はどの方法でも必ず入ります。機械で申請内容を入力し、カードを出して、印紙で手数料を納める、という流れになります。
発行請求機はすべての登記所にあるわけではありません。設置状況は登記所によって違うので、行く前に管轄の登記所のページを見るか、電話で聞いておくと確実です。大きな法務局の本局にはあることが多く、小さな出張所には無いことが多い、という傾向はあります。
複数の会社ぶんをまとめて取るときの数え方
グループ会社を複数持っている場合や、司法書士が複数社の手続きを代行している場合、まとめて請求できるのかという疑問が出ます。
手数料は1通ごとの計算なので、A社の印鑑証明書1通とB社の印鑑証明書1通なら合計1,000円です。会社が違えば申請書も別になります。1枚の申請書には1社ぶんの商号、本店、印鑑提出者、印鑑カード番号を書くので、会社ごとに用紙を分けてください。
印鑑カードも会社ごとに別のものです。A社のカードでB社の印鑑証明書は取れません。複数社を管理している場合、どのカードがどの会社のものかを取り違えると窓口で止まるので、カードに会社名を書いたシールを貼るなどの工夫をしている事務所もあります。
なお、同じ会社の印鑑証明書と登記事項証明書を同時に請求する場合は、法務局が「印鑑証明書及び登記事項証明書交付申請書」という1枚で両方を請求できる様式を用意しています。書く手間が1回で済むぶん、窓口での時間が短くなります。手数料は印鑑証明書500円と登記事項証明書600円を合算した額の印紙を貼ります。
一緒に取ることが多い登記事項証明書の手数料
印鑑証明書を求められる場面では、登記事項証明書もセットで求められることがほとんどです。こちらの額も押さえておきます。
| 取り方 | 登記事項証明書1通 |
|---|---|
| 書面請求 | 600円 |
| オンライン請求・送付 | 520円 |
| オンライン請求・窓口交付 | 490円 |
印鑑証明書と登記事項証明書を窓口で1通ずつ取るなら、収入印紙は合計1,100円分です。法人口座の開設や事務所の賃貸借契約では、どちらも3か月以内のものを求められることが多いので、この組み合わせで考えておくと用意しやすくなります。
登記事項証明書には1通の枚数が50枚を超える場合の加算があり、超える枚数50枚までごとに100円が足されます。役員の変更が多い会社や、設立から年数の経っている会社で履歴事項証明書を取ると、まれにこの加算がかかります。印鑑証明書のほうには枚数による加算はありません。
費用を抑えたいだけなら、登記事項証明書は代表者事項証明書で足りる場合もあります。これは代表権に関する現に効力を有する事項だけを証明する書類で、手数料は登記事項証明書と同じです。額は変わりませんが、記載される内容が絞られるので、過去の役員の履歴を相手に見せたくない場面では選択肢になります。
印鑑カードを作るのにお金はかからない
印鑑証明書を取るには印鑑カードが要りますが、このカードの交付そのものに手数料はかかりません。
根拠は様式にあります。法務局が公開している印鑑カード交付申請書には、収入印紙を貼る欄が作られていません。印鑑証明書交付申請書には縦長の印紙欄があるのに、カードの申請書には無い。これが無料であることの分かりやすい表れです。
なくして再交付を受ける場合も同じで、印鑑・印鑑カード廃止届書と印鑑カード交付申請書のどちらにも印紙欄はありません。カードを何度なくしても、金銭的な負担は発生しないということです。もちろん、往復にかかる時間という別のコストは毎回発生します。
会社の実印を登記所に提出する印鑑届書も無料です。ただし、この届書には代表者個人の印鑑証明書(作成後3か月以内のもの)を添える必要があり、そちらは市区町村の窓口で手数料がかかります。市区町村の個人の印鑑証明書の手数料は自治体ごとに条例で決まっており、200円から450円程度に設定されていることが多いので、実際の額はお住まいの市区町村のページで確認してください。
オンラインを選ぶなら、電子証明書の費用を足して考える
オンライン請求のほうが1通あたりは安いのですが、印鑑証明書のオンライン請求には電子証明書が必要です。ここを計算に入れないと、比較が成り立ちません。
マイナンバーカードに入っている署名用電子証明書を使う場合、追加の費用は発生しません。すでにカードを持っていて、署名用電子証明書が有効なら、実質ゼロ円で始められます。ICカードリーダーを持っていない場合は読み取り機器の購入費がかかりますが、対応するスマートフォンで読み取れることもあります。
法務局が発行する商業登記電子証明書を使う場合は、証明期間に応じた手数料がかかります。法務省が公表している表は次のとおりです。
証明期間 1か月 3か月 6か月 9か月 12か月 15か月 18か月 21か月 24か月 27か月 手数料 500円 1,100円 2,000円 2,900円 3,800円 4,700円 5,600円 6,500円 7,400円 8,300円 出典: moj.go.jp
この手数料も令和7年4月に引き下げられています。証明期間は1か月、または3か月から27か月までの間で選べます。
印鑑証明書を取るためだけに商業登記電子証明書を買うのは割に合いません。12か月分で3,800円ですから、窓口請求と比べた1通あたりの差額50円を回収するには76通が必要になります。商業登記電子証明書が意味を持つのは、登記の申請そのものをオンラインで行う、電子契約に会社名義で署名する、といった別の用途とあわせて使う場合です。
注意点として、電子証明書に記録された事項(商号、本店、代表者の資格、氏名など)に変更の登記がされると、証明期間内でも失効することがあり、その場合でも手数料は戻ってきません。本店移転や代表者交代を予定しているなら、長い証明期間を先に買わないほうが無難です。
どの取り方がいちばん安く済むのか
1通だけ取る場合の総額を並べてみます。
窓口で取るなら500円と、往復の交通費と時間です。徒歩や自転車で行ける距離に登記所があるなら、これが最安になります。
郵送で請求するなら500円に加えて、往路の郵便代と返信用封筒の切手代がかかります。印鑑カードを同封するため、追跡できる方法にすると往路だけで数百円になり、合計で900円前後になることが多い計算です。しかも印鑑カードが数日間会社を離れます。
オンライン請求で郵送受け取りなら450円だけです。切手代は手数料に含まれているので、これが純粋に一番安くなります。ただしマイナンバーカードと読み取り環境、そして初回の設定作業が前提です。
オンライン請求で窓口受け取りなら420円ですが、結局窓口まで行くことになるので、移動を減らしたい人には向きません。窓口が混んでいて待ち時間が長い登記所で、待たずに受け取りたい場合に選ぶ形になります。
通数が増えると絵が変わります。5通取るなら書面請求で2,500円、オンライン請求の郵送受け取りで2,250円です。差は250円にしかなりません。一度きりの請求で環境を整えるかどうかは、この差だけでは決まらないということです。
窓口へ行く前に確かめておく3つのこと
金額を間違えないことと同じくらい、空振りしないことが費用を左右します。行く前の確認事項は3つです。
1つ目は時間です。法務局が案内している受付時間は、祝日と年末年始を除く月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時15分までです。ただし法務省は、令和6年1月4日から登記所の窓口における対応時間を9時から17時までとする運用を開始していると案内しています。制度上の時間より実際に開いている時間のほうが短いので、午前9時から午後5時の間に行く前提で予定を組んでください。
2つ目は場所です。印鑑証明書そのものは、商業・法人登記情報交換システムによって全国どこの登記所でも取れます。本店が地方にあっても、今いる場所の登記所で請求できます。一方、印鑑カードの交付申請や廃止の届出は、会社が登記されている登記所にしか出せません。証明書を取りに行くのか、カードを作りに行くのかで行き先が変わります。
3つ目は印紙です。通数ぶんの収入印紙を先に買っておくと、窓口での動きが1回で済みます。1通500円なので、3通なら1,500円ぶんです。登記事項証明書も取るなら1通600円を足します。郵便局で買っておけば、登記所内の売店の営業時間を気にせずに済みます。
この3つを押さえておけば、手数料を払い直すことも、印紙を買い足すことも起きません。費用として消えていくのは、ほとんどの場合この「確認していなかった」部分です。
通数はどう決めるか
手数料の話で一番効くのは、実は1通あたりの単価ではなく、何回登記所に行くかです。
印鑑証明書には発行日が入り、提出先から「発行後3か月以内のもの」という条件を付けられることが多くあります。この条件がある以上、大量に取り置いて何年も使い回すことはできません。一方で、1通足りないことに気づいたときに、その日のうちに取り直せるとは限りません。
現実的な決め方は、これから3か月のうちに提出先が決まっている件数に、予備を1通足すというものです。設立直後なら、法人口座の開設、事務所の賃貸借契約、社用車の登録、許認可の申請、補助金の申請あたりが候補になります。3件決まっているなら4通です。
予備の1通にかかるのは500円です。取りに戻る半日と比べれば、はるかに安く付きます。逆に、10通取って3か月で7通が期限切れになるようなら、3,500円を捨てたことになるので、多ければよいという話でもありません。
提出先が原本を返してくれるかどうかも確認してください。返してもらえる手続きでは1通を使い回せます。金融機関や登記に使う場合は原本が保管されるので、その分は必ず新しい1通が必要です。
会計上はどう扱うか
支払った手数料をどの勘定科目で処理するかも、実務では迷いどころです。
登記所に納める手数料は、国や地方公共団体に納める性質のものなので、租税公課として処理している会社もあれば、支払手数料として処理している会社もあります。どちらでも費用として落ちること自体は変わりませんが、継続して同じ扱いにするのが原則です。年によって科目を変えると、比較ができなくなります。
収入印紙で納めているぶんは、購入した時点と使用した時点のどちらで費用にするかという論点もあります。期末にまとまった枚数が未使用で残っている場合は、貯蔵品として資産に振り替える処理をすることがあります。少額であれば重要性の観点から購入時に費用処理する扱いをしている会社も多くあります。
ここは金額の大きさや会社の方針によって適切な扱いが変わる部分なので、断定はできません。設立して最初の決算を迎えるなら、印紙の処理方法を含めて顧問の税理士か所轄の税務署に確認してください。自己判断で決めてしまうと、後から修正するほうが手間になります。
領収書の扱いにも触れておきます。収入印紙で納めた場合、印紙を買ったときのレシートが支払いの証拠になります。オンライン請求の電子納付なら、銀行の取引明細が証拠になります。どちらも証明書そのものには金額が印字されないので、支払いの記録は別に残しておく必要があります。
市区町村で取る個人の印鑑証明書とは別物
検索していると、1通300円という金額を見かけることがあります。これは市区町村が発行する個人の印鑑登録証明書の手数料で、法人のものとは別の制度です。
個人の印鑑登録証明書は、住んでいる市区町村の窓口やコンビニの端末で取ります。手数料は自治体の条例で決まるので、同じ日本国内でも額が違います。コンビニの端末で取ると窓口より安く設定している自治体もあります。
法人の印鑑証明書は登記所が発行するもので、手数料は全国一律です。どこの登記所で取っても500円で、自治体による差はありません。
この2つを混同すると、必要な書類そのものを間違えます。会社の実印を証明したいなら登記所、代表者個人の実印を証明したいなら市区町村です。会社の実印を登記所に届け出るときには、代表者個人の印鑑証明書のほうが添付書類として必要になるので、両方を使う場面もあります。どちらを求められているか分からないときは、提出先に「法人のものか、代表者個人のものか」を確かめてください。
事務にかかる費用は、金額より時間で数える
ここまで手数料の額を細かく並べてきましたが、法人の事務でお金が出ていく本当の穴は、印紙代ではありません。
フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、法人化した直後の人がつまずくのは、金額の大小ではなく段取りです。窓口に3回通って、そのたびに半日を使い、結局手にしたのは1,500円分の証明書だった、という使い方をしている人が珍しくありません。500円を420円に下げる工夫より、3回を1回にする工夫のほうが、桁違いに効きます。
具体的には、行く前に様式をダウンロードして記入しておく、印紙を郵便局で先に買っておく、管轄と窓口の時間を調べておく、この3つで1回に収まります。かかる時間は30分程度です。
運営者として見てきた限りでは、長く仕事が続いている人ほど、こうした事務を「やらなければならない雑用」ではなく「単価の高い時間を守るための投資」として扱っています。逆に、依頼を受けてから書類を集め始める人は、着手が毎回1週間遅れます。発注する側から見れば、腕の良し悪しの前に「この人は止まらない」という印象が残るかどうかで、次の声がかかるかが決まります。
自分の時間がいくらに相当するかを具体的に知りたいなら、職種ごとの水準が手がかりになります。開発を軸にしているならソフトウェア作成者の年収・単価相場、書く仕事を軸にしているなら著述家,記者,編集者の年収・単価相場を見ると、半日の往復が何に相当するのかを数字で比べられます。
もうひとつ、運営者として見てきた実感を書いておきます。手取りの厚さを決めているのは、請求書に書く金額そのものより、間に何社入っているかです。仲介の手数料が0%の直接取引なら、依頼する側は同じ予算でより多くを頼めて、受ける側は同じ仕事でも手元に残る額が厚くなります。両方が得をする形なので、契約も印鑑証明書のやり取りも直接発生します。事務を自分で回せることが、そのまま受けられる仕事の幅になるという意味です。
法人として契約する側に回ると、どんな分野が動いているかも見えてきます。企業の生成AI導入や業務の組み直しを支援するAIコンサル・業務活用支援のお仕事は契約の単位が大きく、法人同士の取引になりやすい領域です。広告運用から情報セキュリティまでを含むAI・マーケティング・セキュリティのお仕事も継続契約が中心で、書類のやり取りが定期的に発生します。受託開発の進め方を知りたいならアプリケーション開発のお仕事が参考になります。
書類の体裁そのものが信用になる段階に入ったなら、社外文書の型を体系的に扱うビジネス文書検定が効いてきます。相手の情報システム部門と話す機会が増えるなら、基礎を証明できるCCNA(シスコ技術者認定)があると初動が変わります。契約後の守りについては、報酬が支払われないときの手順と費用を未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】で確認しておくと、実印を押す前の判断がしやすくなります。
手数料そのものは、窓口500円、オンラインの郵送受け取り450円、オンラインの窓口受け取り420円。覚えることはこれだけです。あとは、何通を、いつまでに、どの方法で取るかを先に決めておけば、印紙の買い足しも往復のやり直しも起きません。金額や個別の扱いで迷う部分は、管轄の登記所に電話で確かめるのが確実です。
よくある質問
Q. 法人の印鑑証明書は1通いくらですか?
窓口や郵送で紙の申請書を出す書面請求なら1通500円です。オンラインで請求して郵送で受け取る場合は450円、オンラインで請求して窓口で受け取る場合は420円になります。この額は2025年4月1日から適用されているもので、それ以前は順に450円、410円、390円でした。古い解説記事の金額で印紙を用意すると不足します。
Q. 手数料は現金で払えますか?
窓口や郵送では現金ではなく収入印紙で納めます。申請書に印紙を貼る欄があり、そこに貼って提出します。過去に使われていた登記印紙も使えます。オンライン請求の場合は収入印紙が使えず、インターネットバンキング、モバイルバンキング、電子納付に対応したATMからの電子納付になります。
Q. 印鑑カードを作るのにお金はかかりますか?
かかりません。印鑑カード交付申請書には収入印紙を貼る欄そのものが作られていません。なくして再交付を受ける場合も、廃止の届出と交付の申請のどちらも無料です。ただし会社の実印を登記所に届け出る印鑑届書には代表者個人の印鑑証明書を添える必要があり、そちらは市区町村の窓口で手数料がかかります。
Q. 何通くらい取っておけばよいですか?
これから3か月のうちに提出先が決まっている件数に、予備を1通足すのが目安です。提出先から「発行後3か月以内のもの」という条件を付けられることが多いため、取り置きが長期の在庫になると無駄になります。予備1通の費用は500円で、取りに戻る半日と比べればはるかに安く付きます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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