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スクラムマスターの役割|チームを支える仕事とPMとの違い

@SOHO編集部
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スクラムマスターの役割|チームを支える仕事とPMとの違い

この記事のポイント

  • ✓スクラムマスターの役割を
  • ✓チーム・プロダクトオーナー・組織への支援
  • ✓プロジェクトマネージャーとの違い

スクラムマスターを任されたものの、何をすればよいのかがはっきりしない。プロジェクトマネージャーとどう違うのか、チームに指示を出してよいのか分からない。スクラムマスターの役割を調べている人の多くは、こうした迷いを抱えています。

スクラムマスターは、チームに指示を出して管理する人ではなく、チームがスクラムをうまく使えるように支える人です。この記事では、スクラムの考え方をまとめた「スクラムガイド」の定義をもとに、スクラムマスターの役割、日々の具体的な動き方、プロジェクトマネージャーとの違い、必要なスキルの順に整理します。チームの作業の進み具合を共有する道具として、Pinatecaのようなボード型の管理ツールを使う方法も紹介します。

スクラムとは何か

スクラムマスターの役割を理解するには、まずスクラムそのものを知っておく必要があります。スクラムとは、複雑な問題に取り組むチームが、短い期間ごとに成果を出し、結果を確かめながら進め方を調整していくための枠組みのことです。もともとはソフトウェアの開発で広まりましたが、今では研究、マーケティング、行政の仕事など、さまざまな分野で使われています。

スクラムの考え方は、ケン・シュエイバー氏とジェフ・サザーランド氏がまとめた「スクラムガイド」に書かれています。スクラムガイドによると、2人は1990年代の初めにスクラムを開発し、2010年にガイドの最初の版を書きました。現在の版は2020年11月に公開されたもので、日本語訳もスクラムガイドの公式サイトから読めます。

スクラムでは、スクラムチームという小さなチームで仕事を進めます。スクラムチームは、スクラムマスター1人、プロダクトオーナー1人、複数の開発者で構成され、通常は10人以下とされています。チームの中に上下関係やサブチームはなく、誰が何をいつどのように行うかを、チームの中で自分たちで決めるのが特徴です。

仕事はスプリントと呼ばれる1か月以内の決まった期間で区切って進めます。スプリントの中には、計画を立てるスプリントプランニング、毎日の短い打ち合わせのデイリースクラム、成果を確かめるスプリントレビュー、進め方を振り返るスプリントレトロスペクティブの4つのイベントがあります。

スクラムガイドが定めるスクラムマスターの役割

スクラムガイドでは、スクラムマスターの責任を次のように定めています。

スクラムマスターは、スクラムガイドで定義されたスクラムを確立させることの結果に責任を持つ。スクラムマスターは、スクラムチームと組織において、スクラムの理論とプラクティスを全員に理解してもらえるよう支援することで、その責任を果たす。 出典: scrumguides.org

ここで大切なのは、スクラムマスターの責任が「スクラムを確立させること」と「スクラムチームの有効性」にあるという点です。有効性とは、チームが成果を出せる状態にあることを指します。スクラムガイドは、スクラムマスターを「スクラムチームと、より大きな組織に奉仕する真のリーダー」とも表現しています。命令するリーダーではなく、チームと組織を支えることで成果を引き出すリーダーだという意味です。

スクラムガイドでは、スクラムマスターが支援する相手を、スクラムチーム、プロダクトオーナー、組織の3つに分けて書いています。それぞれを順に見ていきます。

スクラムチームへの支援

スクラムガイドには、スクラムマスターがスクラムチームを支援する方法として、次の4つが挙げられています。

  • 自己管理型で機能横断型のチームメンバーをコーチする
  • スクラムチームが完成の定義を満たす価値の高いインクリメントの作成に集中できるよう支援する
  • スクラムチームの進捗を妨げる障害物を排除するように働きかける
  • すべてのスクラムイベントが開催され、ポジティブで生産的であり、タイムボックスの制限が守られるようにする

言葉が少し硬いので、言い換えておきます。自己管理型とは、誰かに指示されなくても、チームが自分たちで作業を決めて進められる状態のことです。機能横断型とは、設計、開発、テストなど、成果を出すのに必要な技能がチームの中にそろっていることです。インクリメントとは、スプリントの中で作られた、実際に使える成果物のことで、完成の定義とは、成果物が「完成した」と言える基準をチームで決めたものです。タイムボックスとは、イベントや作業にあらかじめ決めた時間の上限のことです。

つまり、スクラムマスターは、チームが自分たちで考えて動けるように問いかけ、成果を作ることに集中できるように邪魔なものを取り除き、イベントが時間どおりに意味のある場になるように整える役割を担います。

障害物を取り除くとはどういうことか

障害物とは、チームの作業が進まなくなる原因のことです。たとえば次のようなものがあります。

  • ほかの部署からの急な依頼で、チームの作業が中断される
  • 必要なテスト用の環境やアカウントがそろっておらず、作業が止まっている
  • 外部の担当者の返事が遅く、決めるべきことが決まらない
  • 会議が多すぎて、作業の時間が取れない

スクラムマスターは、こうした障害物を自分ですべて解決するわけではありません。チームが自分たちで解決できるものは、チームに解決を促します。チームの力だけでは解決できないもの、たとえば部署をまたぐ調整や、組織の決まりに関わるものは、スクラムマスターが関係者に働きかけて取り除きます。

プロダクトオーナーへの支援

スクラムガイドでは、スクラムマスターがプロダクトオーナーを支援する方法として、次の4つを挙げています。

  • 効果的なプロダクトゴールの定義とプロダクトバックログ管理の方法を探すことを支援する
  • 明確で簡潔なプロダクトバックログアイテムの必要性についてスクラムチームに理解してもらう
  • 複雑な環境での経験的なプロダクト計画の策定を支援する
  • 必要に応じてステークホルダーとのコラボレーションを促進する

プロダクトオーナーとは、作っている製品やサービス(プロダクト)の価値を最大にすることに責任を持つ人のことです。プロダクトバックログとは、プロダクトをよくするために必要な作業を、優先する順に並べた一覧のことです。ステークホルダーとは、プロダクトに関わる利害関係者で、利用者、発注者、経営者、ほかの部署の人などが含まれます。

スクラムマスターは、プロダクトバックログの中身を決める人ではありません。何をどの順で作るかを決めるのはプロダクトオーナーです。スクラムマスターは、プロダクトオーナーがその判断をしやすくなるように、一覧の書き方や並べ方の工夫を一緒に考えたり、ステークホルダーとの話し合いの場を整えたりします。

経験的な計画とは、最初にすべてを決めてしまうのではなく、実際に作って確かめた結果をもとに、計画を見直していく進め方のことです。スクラムマスターは、計画どおりに進まないことを失敗と考えず、学びとして次の計画に生かせるように支えます。

組織への支援

スクラムガイドでは、スクラムマスターが組織を支援する方法として、次の4つを挙げています。

  • 組織へのスクラムの導入を指導、トレーニング、コーチする
  • 組織においてスクラムの実施方法を計画、助言する
  • 複雑な作業に対する経験的アプローチを社員やステークホルダーに理解、実施してもらう
  • ステークホルダーとスクラムチームの間の障壁を取り除く

スクラムを導入したばかりの組織では、従来のやり方との違いに戸惑う人が多くいます。たとえば、上司が細かな作業の指示を出したがる、決まった期日までにすべての機能をそろえることを求める、といった場面です。スクラムマスターは、スクラムの考え方を組織の人に説明し、チームが自分たちで作業を決められる環境を整えるために働きかけます。

組織への支援は、スクラムマスターの役割の中でも見落とされがちな部分です。チームの中だけでスクラムがうまくいっていても、組織の決まりや評価の仕組みが従来のままだと、チームはいずれ動きにくくなります。チームの外に働きかけることも、スクラムマスターの大切な仕事です。

イベントごとの具体的な動き方

スクラムマスターは、スクラムの4つのイベントが意味のある場になるように整えます。スクラムガイドでは、スプリントが1か月の場合のタイムボックスが次のように決められています。スプリントが短ければ、イベントの時間も短くするのが普通です。

イベント 目的 タイムボックス(スプリントが1か月の場合)
スプリントプランニング スプリントで行う作業の計画を立てる 最大8時間
デイリースクラム スプリントゴールに向けた進み具合を確かめ、計画を調整する 15分
スプリントレビュー 成果を確かめ、ステークホルダーと今後を話し合う 最大4時間
スプリントレトロスペクティブ 進め方を振り返り、改善を決める 最大3時間

スプリントプランニングでの動き方

スプリントプランニングでは、このスプリントで何を目指すか(スプリントゴール)、どの作業を選ぶか、どう進めるかをチームで決めます。スクラムマスターは、話し合いが時間内に終わるように進め方を整え、プロダクトオーナーと開発者が互いの考えを伝え合えるように支えます。作業の量を決めるのは開発者なので、スクラムマスターが「これだけやってください」と押しつけることはしません。

デイリースクラムでの動き方

デイリースクラムは、開発者のための15分のイベントです。スクラムガイドでは、開発者が出席し、スプリントゴールに向けた進み具合を確かめる場と位置づけられています。スクラムマスターの役割は、デイリースクラムが開かれ、15分の時間が守られるようにすることです。進み具合の報告会にならないように、チームが自分たちで計画を調整する場として使えるよう促します。

スプリントレビューでの動き方

スプリントレビューでは、スプリントの成果をステークホルダーに見せ、意見をもらいます。スクラムマスターは、ステークホルダーが参加しやすいように日程を調整し、成果の説明だけで終わらず、次に何をすべきかを話し合う場になるように整えます。

スプリントレトロスペクティブでの動き方

スプリントレトロスペクティブは、スプリントの最後のイベントで、チームの進め方を振り返り、次のスプリントで何を改善するかを決める場です。スクラムマスターは、チームの誰もが率直に意見を言える雰囲気をつくることに力を注ぎます。誰かを責める場ではなく、仕組みや進め方を良くする場であることを、参加者全員が分かっている状態にすることが大切です。

スクラムマスターがしないこと

スクラムマスターの役割を理解するには、何をしないかを知っておくことも大切です。スクラムの研修を行う会社も、この点を次のように説明しています。

スクラムマスターは、計画を「決める人」ではありません。 チームが自分たちで計画を立てられる状態をつくることが役割です。 出典: abi-agile.com

スクラムマスターがしないことの例を挙げます。

  • チームの作業の割り当てを決めること。誰が何をするかは、開発者が自分たちで決めます
  • プロダクトバックログの優先する順番を決めること。これはプロダクトオーナーの責任です
  • 進み具合を管理して、遅れている人を注意すること。進み具合はチーム全体で確かめ、チームで計画を調整します
  • チームの代わりに問題をすべて解決すること。チームが自分で解決できる問題は、チームに任せます

チームのために何でも引き受けてしまうと、チームはいつまでも自分たちで動けるようになりません。スクラムマスターの最終的な目標は、チームが自分たちで考え、問題を解決し、進め方を改善できる状態をつくることです。

プロジェクトマネージャーとの違い

スクラムマスターとよく比べられるのが、プロジェクトマネージャー(PM)です。プロジェクトマネージャーとは、プロジェクトの計画を立て、予算や期限、品質、人員を管理して、プロジェクトを成功させる責任を持つ人のことです。両者の違いを整理すると次のようになります。

比べる点 スクラムマスター プロジェクトマネージャー
責任を持つもの スクラムの確立と、チームの有効性 プロジェクトの計画、予算、期限、品質
作業の決め方 チームが自分たちで決められるように支える 計画を立て、作業を割り当てることが多い
進み具合の管理 チームが自分たちで確かめるように促す 進み具合を管理し、遅れに対応する
立場 チームに奉仕する支援者 プロジェクトをまとめる管理者

大きな違いは、作業を決める主体です。プロジェクトマネージャーは、計画を立て、誰が何をするかを決めることが多い立場です。スクラムマスターは、チームが自分たちで決められるように支える立場で、作業の割り当ては行いません。

ただし、実際の職場では、プロジェクトマネージャーとスクラムマスターの役割が混ざっていることもよくあります。会社によっては、プロジェクトマネージャーがスクラムマスターを兼ねていたり、スクラムマスターが予算の管理まで任されていたりします。自分に任された役割が何なのかを、上司やチームと話し合って確かめておくことが大切です。

プロダクトオーナー、開発者との違い

スクラムチームの3つの役割の違いも整理しておきます。

役割 主な責任
プロダクトオーナー プロダクトの価値を最大にする。プロダクトゴールを決め、プロダクトバックログを管理する
開発者 スプリントで使える成果物を作る。スプリントの計画を作り、品質を作り込む
スクラムマスター スクラムを確立させ、チームの有効性を高める。チーム、プロダクトオーナー、組織を支援する

プロダクトオーナーは「何を作るか」、開発者は「どう作るか」、スクラムマスターは「スクラムがうまく機能しているか」に責任を持つと考えると分かりやすいでしょう。

スクラムマスターがプロダクトオーナーを兼ねることは、避けた方がよいとされています。何を作るかを決める人と、チームの進め方を客観的に見る人が同じだと、チームの意見が通りにくくなったり、進め方の問題に気づきにくくなったりするからです。開発者がスクラムマスターを兼ねる場合も、自分の作業とスクラムマスターの役割の時間の配分に注意が必要です。

新しくスクラムマスターになった人が最初にすること

スクラムマスターを任されたばかりの人が、最初の数か月で取り組むとよいことを順に紹介します。

  1. スクラムガイドを読み直します。日本語訳でも20ページに満たない短い文書なので、まずは全体を通して読み、役割、イベント、作成物の関係をつかみます
  2. チームの今の状態を観察します。イベントが開かれているか、時間は守られているか、誰が話して誰が黙っているかを、しばらくは口を挟まずに見ます
  3. チームのメンバーと1人ずつ話します。今の進め方で困っていること、やりにくいと感じていることを聞き、障害物の候補を集めます
  4. 小さな改善から始めます。デイリースクラムの時間を守る、振り返りで決めた改善を1つだけ次のスプリントで試す、といった、すぐに効果が見える改善を積み重ねます
  5. 関係者にスクラムの考え方を伝えます。上司やほかの部署の人に、スプリントの区切りや、チームが自分たちで作業を決める理由を説明し、協力をお願いします

最初から大きな変化を起こそうとすると、チームも組織も戸惑います。観察し、話を聞き、小さく試す。この流れを繰り返すうちに、チームの信頼を得て、より大きな改善にも取り組めるようになります。

よくある悩みと対処の仕方

スクラムマスターが現場でぶつかりやすい悩みと、その対処の仕方をいくつか挙げます。

デイリースクラムが報告会になってしまう

デイリースクラムで、メンバーが1人ずつスクラムマスターや上司に向かって作業の報告をする形になってしまうことはよくあります。スクラムガイドでは、デイリースクラムは開発者がスプリントゴールに向けた進み具合を確かめ、計画を調整する場とされています。報告会になっていると感じたら、スクラムマスターは前に立たずに一歩下がり、メンバー同士で話すように促します。「ゴールに向けて、今日いちばん気になっていることは何ですか」のように、チーム全体に向けた問いを投げかけるのも1つの方法です。

振り返りで意見が出ない

振り返りで誰も意見を言わない場合は、意見を言いにくい雰囲気があるか、振り返りの進め方が合っていない可能性があります。付箋に書いてから発表する、良かったことから先に話す、話題を1つに絞る、といった工夫で、意見を出しやすくなります。決めた改善が次のスプリントで実際に試されているかを確かめることも大切です。改善が試されないままだと、メンバーは振り返りに意味を感じなくなります。

上司や他部署が作業に割り込んでくる

スプリントの途中で、上司やほかの部署から急な依頼が入り、チームの作業が中断されることもあります。スクラムガイドでは、スプリント中はスプリントゴールの達成を危険にさらすような変更はしないとされています。スクラムマスターは、依頼をすぐに断るのではなく、プロダクトオーナーにつなぎ、プロダクトバックログに加えて優先する順番を決めてもらう流れを、関係者に理解してもらうよう働きかけます。

スクラムマスターの仕事が評価されにくい

スクラムマスターの仕事は、成果物として形に残りにくいため、周りから評価されにくいと感じる人もいます。そうした場合は、チームの変化を記録しておくと説明しやすくなります。スプリントごとに完成した作業の数、デイリースクラムの時間、振り返りで決めて実際に試した改善の数などを残しておけば、チームがどう変わったかを具体的に示せます。

スクラムマスターに必要なスキル

スクラムマスターに求められるスキルは、技術の知識よりも、人とチームに関わる力が中心です。

  • スクラムの理解。スクラムガイドの内容を正しく理解し、チームや組織に説明できる力
  • 問いかける力。答えを教えるのではなく、チームが自分で答えに気づけるような質問をする力
  • ファシリテーションの力。会議や話し合いを、時間内に、全員が意見を言える形で進める力
  • 観察する力。チームの雰囲気や、作業の流れの滞りに気づく力
  • 調整する力。ほかの部署や外部の関係者と話し合い、障害物を取り除く力

ファシリテーションとは、会議の場で参加者の意見を引き出し、話し合いを目的に向けて進めることです。スクラムマスターは、スクラムの4つのイベントのすべてで、この力を使います。

技術の知識は必須ではありませんが、ソフトウェアの開発のチームを支える場合は、開発の流れを理解していると、チームの困りごとに気づきやすくなります。これらのスキルは、最初からすべてがそろっている必要はありません。イベントを重ねるごとに、うまくいった問いかけや、話し合いが止まった場面を振り返り、自分自身の進め方も改善していくことで、少しずつ身についていきます。スクラムマスター自身が振り返りを続ける姿は、チームにとってもよい手本になります。

スクラムマスターの働き方の種類

スクラムマスターの働き方には、いくつかの形があります。自分がどの形で関わるのかによって、時間の使い方や求められることが変わります。

1つ目は、開発者やほかの役割と兼任する形です。小さなチームや、スクラムを始めたばかりの組織でよく見られます。兼任の場合は、自分の作業に追われてスクラムマスターとしての支援が後回しになりやすいので、週のうちどれくらいの時間をスクラムマスターの役割に使うかを、チームと話し合って決めておくと役割がぶれにくくなります。

2つ目は、1つのチームの専任のスクラムマスターとして働く形です。チームの観察や、関係者との調整に十分な時間を使えるため、チームの変化を起こしやすくなります。

3つ目は、複数のチームを支援する形や、組織全体のスクラムの導入を支える形です。チームの外での調整や、組織の決まりを変える働きかけが中心になり、経営層や管理職と話す機会が増えます。

スクラムの経験を積んだ人の中には、社外からチームや組織を支援するアジャイルコーチとして働く人もいます。アジャイルとは、変化に合わせて計画を見直しながら、短い期間で成果を出していく開発の考え方の総称で、スクラムはその代表的な枠組みの1つです。どの形で働く場合も、スクラムガイドの考え方に立ち返りながら、相手のチームや組織の状況に合わせた支援をすることが求められます。

スクラムマスターの資格

スクラムマスターとして働くのに、法律で決められた資格はありません。ただし、スクラムの理解を示す民間の認定資格はあります。代表的なものは次の2つです。

  • 認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster)。スクラムアライアンスという団体が認定する資格で、決められた研修を受けたうえで試験に合格する形です
  • プロフェッショナル・スクラムマスター(Professional Scrum Master)。スクラムガイドの著者の1人が設立したScrum.orgという団体が認定する資格で、オンラインの試験に合格して取得します

どちらも、研修や試験の費用、受験の条件、更新の決まりが団体ごとに違います。費用は改定されることがあるため、受ける前に各団体の公式サイトで最新の情報を確かめてください。資格を取ることで、スクラムの考え方を体系的に学べるうえ、チームや組織に説明するときの裏付けにもなります。

小さなチームでスクラムを始めるときの道具

スクラムを始めるときに、最初から専用の道具をそろえる必要はありません。小さなチームなら、紙の付箋とホワイトボードで十分に始められます。ホワイトボードを「これから」「作業中」「完了」の列に分け、作業を書いた付箋を動かしていけば、チームの作業の進み具合が一目で分かります。表計算ソフトで作業の一覧を作り、担当と状態の列を設けるだけでも、プロダクトバックログとして使えます。

道具が必要になるのは、チームのメンバーが別々の場所で働いている場合や、作業の数が増えて紙や表では追いきれなくなった場合です。在宅で働くメンバーがいると、ホワイトボードの付箋は全員で見られません。こうした場面では、オンラインで作業の一覧と進み具合を共有できる道具が役に立ちます。

進み具合をボードで共有する選択肢

複数人で、作業の担当と期限と進み具合を共有したい場合の選択肢の1つが、Pinatecaです。Pinatecaは、カンバンやガントチャート、カレンダーなど8種類のボードとチャットを使えるプロジェクト管理のツールです。公式サイトによると、カンバンボードでは列にカードを並べて進み具合を動かせて、カードには担当者、期限、ラベル、チェックリスト、コメントを付けられます。見積工数や優先度のような独自の項目をカードに加えるカスタムフィールドもあります。

スクラムで使うなら、カンバンボードの列を「プロダクトバックログ」「今回のスプリント」「作業中」「レビュー待ち」「完了」のように分けて、作業のカードを動かしていく使い方ができます。カードごとのコメントやチャットで、デイリースクラムで出た話題をその場で残しておけば、在宅のメンバーとも話の流れを共有できます。

料金は、5人までのチームならフリープランで、期限なしで使えます。フリープランのボードは10個までです。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランになり、1人あたり月額500円(税抜、年払いなら1人あたり月額400円)です。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

ただし、道具はあくまでチームの話し合いを支えるものです。道具を入れれば自然にスクラムがうまくいくわけではありません。スクラムマスターは、道具の使い方そのものより、チームが道具を使って自分たちの状態を正しく見られているか、その情報をもとに話し合えているかに目を向けることが大切です。

在宅や副業でスクラムに関わるとき

スクラムは、在宅で働くメンバーがいるチームでも使えます。むしろ、毎日の短いデイリースクラムや、スプリントごとの振り返りがあるため、離れた場所で働くメンバー同士の状況を共有しやすい進め方だといえます。テレワークの環境を整えるために国の助成金を使える場合もあり、その仕組みはテレワーク 助成金 2026で紹介しています。

スクラムの知識は、アプリやシステムの開発の仕事でも求められます。開発の案件の中には、スクラムで進めることを前提にしているものもあり、スプリントやデイリースクラムの経験がある人は、チームに入りやすくなります。どのような仕事があるかはアプリケーション開発のお仕事で紹介しています。開発の組織づくりに関わる立場としては、外部から技術の責任者として関わる働き方もあり、外部CTOの費用相場と役割|スタートアップを加速させる技術顧問の活用術で役割と費用の考え方を紹介しています。

在宅ワークとフリーランスの仲介を20年以上続けてきた運営者として見てきた限りでは、チームで長く仕事を任される人は、自分の作業の成果だけでなく、チームの進め方をよくすることにも目を向けています。作業の状態をこまめに共有する、困っていることを早めに言う、振り返りで改善の案を出す。こうした姿勢は、スクラムマスターでなくても、チームの一員として評価されます。仲介の手数料がかからない直接のやり取りであれば、同じ予算で発注する側はより多くを頼め、受ける側の手取りも厚くなります。

スクラムマスターの役割は、チームを管理することではなく、チームが自分たちで成果を出せる状態をつくることです。スクラムガイドの定義に立ち返りながら、チーム、プロダクトオーナー、組織の3つへの支援を少しずつ広げていってください。

よくある質問

Q. スクラムマスターはチームに指示を出してもよいですか?

スクラムガイドでは、スクラムチームは自己管理型で、誰が何をいつどのように行うかをチームの中で決めるとされています。そのため、スクラムマスターが作業の割り当てを指示することはしません。チームが自分たちで決められるように問いかけたり、話し合いの場を整えたりして支えるのが役割です。

Q. スクラムマスターとプロジェクトマネージャーは何が違いますか?

プロジェクトマネージャーは、計画や予算、期限、品質を管理し、作業を割り当てることが多い立場です。スクラムマスターは、スクラムを確立させ、チームが自分たちで成果を出せるように支える立場で、作業の割り当ては行いません。職場によっては役割が混ざっていることもあるため、任された範囲を確かめておきましょう。

Q. スクラムマスターになるのに資格は必要ですか?

法律で決められた資格はなく、資格がなくてもスクラムマスターとして働けます。スクラムの理解を示す民間の認定資格として、スクラムアライアンスの認定スクラムマスターや、Scrum.orgのプロフェッショナル・スクラムマスターがあります。費用や受験の条件は団体ごとに違うため、公式サイトで確かめてください。

Q. スクラムマスターとプロダクトオーナーは兼任できますか?

兼任は避けた方がよいとされています。何を作るかを決めるプロダクトオーナーと、チームの進め方を客観的に見るスクラムマスターが同じ人だと、チームの意見が通りにくくなったり、進め方の問題に気づきにくくなったりするからです。小さなチームで兼任する場合は、役割ごとに時間を分けて意識しましょう。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年10月20日最終更新:2026年10月23日
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@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。

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