書類スキャンの外注を受ける仕事の中身と、個人で案件を取る方法

@SOHO編集部
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書類スキャンの外注を受ける仕事の中身と、個人で案件を取る方法

この記事のポイント

  • ✓書類スキャンの外注を受ける側に向けて
  • ✓電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件
  • ✓個人情報とマイナンバーの扱い

紙の請求書、契約書、図面、社員の書類。会社の書庫やキャビネットには、まだ大量の紙が眠っています。保管の場所が足りない、テレワークで紙を見られない、探すのに時間がかかる。こうした悩みから、書類のスキャンを外注する会社は少なくありません。その仕事を受ける側として、在宅や副業で書類スキャンの外注を請け負えないかと考えている人もいるはずです。

書類スキャンの仕事は、スキャナーを動かすだけの単純作業に見えます。しかし実際には、税金の書類の保存のルール、個人情報の扱い、預かった書類の管理といった、依頼主が気にしている点に応えられるかどうかで、任せてもらえるかが決まる仕事です。ここを知らずに「安く早くスキャンします」とだけ打ち出しても、法人の依頼にはなかなか結びつきません。

この記事では、国税庁の電子帳簿保存法のパンフレット、個人情報保護法と番号法の条文(いずれも2026年10月3日に確認)をもとに、書類スキャンの外注を受ける仕事の中身と、個人で案件を取る方法を整理します。

書類スキャンの外注を受ける仕事とは

書類スキャンの外注を受ける仕事は、依頼主の紙の書類を読み取り、PDFなどの電子ファイルにして納めることです。書籍の電子化と違い、扱うのは会社や事務所が自分で作ったり、取引先から受け取ったりした書類です。依頼主自身が保管している業務の書類なので、市販の本のスキャンで問題になる著作権の心配は、多くの場合ありません。その代わりに重要になるのが、書類の中身に含まれる情報の扱いです。

受ける仕事の形は、大きく分けて3つあります。

仕事の形 内容 向いている人
持ち帰り型 書類を預かり、自分の作業場でスキャンして返却や廃棄まで行う 機材と保管の場所を用意できる個人の事業者
出張型 依頼主の事務所に出向き、その場でスキャンする 書類を外に出せない依頼に応えたい人
作業員として働く スキャンの専門業者や企業で、作業を担当する まず経験を積みたい人

持ち帰り型は、自分の作業場で効率よく作業できる一方、書類を預かる責任が重くなります。出張型は、書類を社外に持ち出したくない依頼主に喜ばれますが、移動の時間と、依頼主の事務所の環境に合わせる手間がかかります。作業員として働く形は、雇用や派遣の仕事として募集されることが多く、業務の流れや品質の基準を現場で学べるのが利点です。

どの形でも、仕事の中身は「準備」「読み取り」「確認」「整理」「原本の処理」の5つの工程に分かれます。準備はホチキスやクリップを外し、折れやしわを伸ばし、書類の順番を整える作業です。読み取りの時間より、この準備の時間のほうが長くなることがほとんどです。

市場の価格と、個人の立ち位置

書類スキャンの外注には、大手の事務機器の販売会社から、地域の小さな業者まで、多くの事業者が参入しています。たとえば大塚商会は、法人向けのスキャニングサービスについて、公式サイトで次のように案内しています。

大塚商会の法人向け スキャニングサービス(電子化サービス)は、お客様の書庫やキャビネット、倉庫に保管されている書類(図面、契約書、マニュアルなど)をスキャンして、電子データへ変換します。価格は1枚5円からと、お求めやすい価格設定とさせていただいております。(注2) 出典: 大塚商会 スキャニングサービス

1枚5円からという価格は、大量の書類を専用の設備と人員で処理する事業者のものです。注記があるとおり、条件によって価格は変わります。個人が同じ価格で同じ量の仕事を受けても、採算は合いません。

個人で書類スキャンの外注を受けるなら、大手が得意とする「大量の書類を安く」ではなく、次のような依頼を狙うのが現実的です。

・量はそれほど多くないが、急ぎで対応してほしい依頼
・書類の整理やファイル名の付け方まで細かく相談したい依頼
・地域の小さな事務所で、継続的に毎月の書類を電子化したい依頼
・スキャンのあとの、データの整理や入力まで一緒に頼みたい依頼

大手の業者に頼むほどの量ではない、でも自分たちでやる時間はない。そうした小さな事務所の需要を受け止めるのが、個人の書類スキャン外注の立ち位置です。

書類の種類ごとに違う扱い方

書類スキャンの外注で扱う書類は、種類によって注意する点が違います。受ける前に、どの書類が含まれているかを確認しておくと、見積もりと作業の段取りが正確になります。

書類の種類 主な例 注意する点
経理の書類 請求書、領収書、納品書 スキャナ保存に使うかどうかで読み取りの条件と納期が変わる。小さな領収書は台紙に貼られていることが多い
契約の書類 契約書、覚書、申込書 製本や袋とじ、割印がある。ホチキスを外してよいかを確認する
図面 建築や設備の図面 A3より大きいものが多く、一般的なドキュメントスキャナーでは読み取れない
人事の書類 履歴書、雇用契約書、扶養の申告書 個人情報が多く、マイナンバーを含むこともある。取扱いの取り決めが特に重要
社内の資料 会議の資料、手順書、社内報 量が多い代わりに条件は比較的ゆるやか。ファイルの分け方を決めておく

図面のような大きな書類は、A3を超える大きさを読み取れる機材が必要になります。自分の機材で対応できない大きさの書類が含まれている場合は、その部分を受けない、または対応できる業者を紹介するなど、無理に引き受けない判断も大切です。

人事の書類は、社員の住所、家族の情報、健康に関する情報など、特に慎重な扱いが求められる情報を含みます。依頼主によっては、人事の書類だけは社外に出さず、出張型での作業を求めることもあります。書類の種類ごとに扱いを変えられる柔軟さがあると、依頼主の要望に合わせやすくなります。

持ち帰り型の作業の流れの例

持ち帰り型で書類スキャンの外注を受けたときの、作業の流れの例を示します。段ボール2箱、約2,000枚の社内の書類を預かった場合を想定します。

1日目は、受け取りと準備です。箱を開けたら、書類の束ごとに番号を付け、枚数を数えて台帳に記録します。ホチキスやクリップを外し、折れやしわを伸ばし、大きさの違う紙を分けておきます。この準備に最も時間がかかり、書類の状態によっては1日の大半を使います。

2日目は、読み取りと確認です。束ごとに読み取り、ファイルのページ数と台帳の枚数を照らし合わせます。縮小画像で全ページを確認し、問題のあったページは読み取り直します。

3日目は、整理と納品の準備です。依頼主と決めたルールに沿ってファイル名を付け、フォルダに分けます。読み取りの漏れがないかを最後にもう一度確かめ、納品のデータを用意します。原本は、取り決めに従って元の順番に戻すか、廃棄の準備をします。

この例のように、読み取りそのものは全体の一部にすぎません。見積もりのときには、準備と確認と整理の時間をしっかり見込んでおくことが、無理のない納期と料金につながります。

依頼主が気にしている電子帳簿保存法のルール

書類スキャンの外注を受けるときに、知っておかなければならないのが電子帳簿保存法のスキャナ保存です。電子帳簿保存法とは、税金に関係する帳簿や書類を、紙ではなく電子データで保存するためのルールを定めた法律です。その中のスキャナ保存は、紙で受け取った領収書や請求書などを、スキャナーで読み取ったデータで保存するための仕組みです。

国税庁のパンフレットでは、スキャナ保存の利点を次のように説明しています。

読み取った後の紙の書類を廃棄できるので、紙の書類のファイリング作業や保存スペースが不要になります。 出典: 国税庁 はじめませんか、書類のスキャナ保存

ただし、紙を廃棄できるのは、決められたルールを満たして保存した場合です。同じパンフレットには、スキャナ保存のルールが書類の区分ごとに示されています。受ける側として特に関わるのは、読み取りの設定と、入力の期間です。

ルール 内容
入力期間 作成や受領から、速やか(おおむね7営業日以内)に保存する。または、業務の処理サイクルの期間(最長2か月以内)を経過した後、速やか(おおむね7営業日以内)に保存する
解像度 200dpi相当以上で読み取る
カラー 赤、緑、青の階調がそれぞれ256階調以上(24ビットカラー)で読み取る
一般書類の例外 見積書、注文書、検収書などの一般書類は、白黒の階調(グレースケール)での読み取りも可

ここで分かるのは、スキャナ保存に使う書類は、ただPDFにすればよいわけではないということです。解像度を下げすぎたり、契約書や請求書などの重要書類を白黒で読み取ったりすると、依頼主がスキャナ保存のルールを満たせなくなります。また、入力期間があるため、「預かってから1か月後に納品」という進め方では、依頼主の運用に合わないことがあります。

スキャナ保存の要件を満たすかどうかの最終的な責任は、書類を保存する依頼主の側にあります。タイムスタンプの付与、訂正や削除の履歴が残るシステムの使用、帳簿との関連づけ、検索の機能といった要件は、依頼主が使うソフトや仕組みで満たすものです。受ける側としては、「スキャナ保存に使う書類かどうか」を最初に確かめ、そうであれば、読み取りの設定と納期を依頼主の運用に合わせることが求められます。

個人情報とマイナンバーの扱い

書類スキャンの外注で、依頼主が最も気にしているのは情報の扱いです。会社の書類には、顧客の氏名や住所、社員の情報、取引の金額など、外に出してはいけない情報が多く含まれています。

個人情報保護法第25条では、個人データの取扱いを委託する事業者に、委託先に対する必要かつ適切な監督を行うことを求めています。書類スキャンの外注は、依頼主から見れば、個人データの取扱いの委託にあたることがあります。そのため、依頼主から次のようなことを求められるのは自然なことです。

・秘密保持や個人情報の取扱いについての契約や誓約書
・作業の場所、保管の方法、データの消去の方法の説明
・作業に関わる人の範囲の確認
・作業後のデータの削除と、その報告

さらに注意が必要なのが、マイナンバー(個人番号)が書かれた書類です。社員の扶養控除の申告書や、源泉徴収に関係する書類などには、マイナンバーが含まれていることがあります。番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)の第10条では、マイナンバーを扱う事務の委託を受けた人は、委託した人の許諾を得た場合に限り、再委託ができると定められています。つまり、依頼主の許諾なく、受けた仕事をほかの人に回すことはできません。

個人番号利用事務又は個人番号関係事務(以下「個人番号利用事務等」という。)の全部又は一部の委託を受けた者は、当該個人番号利用事務等の委託をした者の許諾を得た場合に限り、その全部又は一部の再委託をすることができる。 出典: e-Gov法令検索 番号法

個人で書類スキャンの外注を受ける場合、忙しい時期に知り合いに作業を手伝ってもらうことを考えるかもしれません。しかし、マイナンバーを含む書類では、依頼主の許諾がなければ再委託はできません。マイナンバーを含まない書類でも、依頼主は誰が書類を見るのかを気にしています。作業を手伝ってもらう可能性があるなら、受ける前に依頼主に伝え、了承を得ておくのが誠実な進め方です。

作業時間と料金の考え方

書類スキャンの料金は、1枚あたりの単価で示されることが多いですが、受ける側は作業時間から逆算して決める必要があります。

たとえば、ホチキス留めの請求書が混ざった1,000枚の書類を例に考えます。ドキュメントスキャナーの読み取り速度が毎分45枚なら、1,000枚の読み取りは約22分です。しかし実際には、次の作業が加わります。

  1. ホチキスやクリップを外し、折れやしわを伸ばす
  2. 紙の大きさや厚さごとに分ける(大きさの違う紙は詰まりやすい)
  3. 書類の区切りに合わせて、ファイルを分ける準備をする
  4. 読み取ったあと、枚数の照合と画像の確認をする
  5. ファイル名を付け、フォルダに整理する
  6. 書類を元の順番に戻してホチキスを留め直す(返却の場合)

このうち1つ目と6つ目は、書類の状態によって時間が大きく変わります。ホチキスが多い書類、付箋や小さな領収書が貼り付けられた書類は、準備だけで読み取りの何倍もの時間がかかります。見積もりの前に、書類の見本や写真を見せてもらい、状態を確認しておくことが欠かせません。

料金の示し方としては、「基本の読み取り(1枚あたり)」に、「ホチキスやクリップの除去」「大きさの違う紙の仕分け」「ファイル名の指定」「元の状態に戻しての返却」「原本の廃棄」などを分けて設定する形が分かりやすいです。依頼主が必要なものだけを選べるので、「思っていたより高い」という行き違いを防げます。

継続の依頼では、毎月の枚数が変わることが多いため、「1か月あたりの基本の枚数までは定額、超えた分は1枚ごと」といった料金の形も考えられます。依頼主にとっては毎月の支出が読みやすくなり、受ける側にとっては作業の予定が立てやすくなります。ただし、基本の枚数を大きく下回る月が続くと、依頼主に割高な印象を与えます。半年ごとなど、決まった時期に枚数の実績を見て、料金の形を一緒に見直す約束をしておくと、長い取引につながりやすくなります。

品質を保つための確認の手順

書類スキャンの外注で、依頼主からの信頼を最も大きく損ねるのは、読み取りの漏れです。ドキュメントスキャナーでは、2枚以上の紙が重なって送られる重送や、紙詰まりによる読み飛ばしが起こります。請求書の1枚が抜けていたことに依頼主が気づくのは、税務調査や取引先との確認のときかもしれません。そうなってからでは取り返しがつきません。

漏れを防ぐには、人の注意力だけに頼らない確認の仕組みを作ります。

  1. 受け取った時点で、書類の束ごとに枚数を数えて台帳に記録する
  2. 読み取ったあと、ファイルのページ数と台帳の枚数を照らし合わせる
  3. 両面読み取りで白紙の裏面を自動で除く設定にしている場合は、裏面に小さな書き込みがある書類が消えていないかを確認する
  4. 全ページの縮小画像を並べ、傾き、黒い筋、折れたままの読み取り、指の写り込みを確認する
  5. 問題のあったページは読み取り直し、正しい位置に差し替える

3つ目は見落とされやすい点です。白紙の裏面を除く機能は便利ですが、裏面に受領の印や手書きのメモがある書類では、その面まで除かれてしまうことがあります。スキャナ保存に使う書類では、裏面の情報も含めて保存する必要がある場合があるので、設定を使うかどうかは依頼主と相談して決めます。

確認の結果は、納品のときに報告します。「全◯枚を受け取り、全◯枚を読み取りました。重送のため◯枚を読み取り直しています」と伝えられれば、依頼主は作業の中身を確かめられ、安心して次の仕事を任せられます。

出張型で受けるときの注意

依頼主の中には、書類を社外に持ち出したくないという会社もあります。こうした依頼には、依頼主の事務所に出向いて作業する出張型で応えることになります。

出張型で受けるときに確認しておきたいのは、次の点です。

・作業する場所と机、電源、インターネットの環境
・スキャナーとパソコンを持ち込むか、依頼主の機材を使うか
・データの保存先(依頼主のパソコンや共有フォルダに直接保存するか)
・作業の時間帯と、入館の手続き
・作業中に席を外すときの書類とパソコンの扱い

データを依頼主のパソコンや共有フォルダに直接保存する形にすると、受ける側の機材にデータが残らないため、情報の扱いの面では安心です。一方で、依頼主のパソコンの性能や、使えるソフトによって作業の効率が変わります。事前に依頼主の環境を見せてもらい、どの形が一番よいかを相談しておきます。

出張型は、移動の時間と交通費がかかるため、料金の考え方も変わります。作業時間に加えて、移動の時間や交通費、機材の運搬の手間を見込んだ料金にするか、「1日あたり」の料金で示す形がよく使われます。作業が1日で終わらない量なら、依頼主の事務所で書類を保管してもらう場所や、翌日までの書類とデータの扱いも決めておきます。作業の途中の書類を机の上に出したまま帰ることは避け、終業時には鍵のかかる場所に戻してもらうなど、依頼主の社内の決まりに合わせて動くことが、出張型で信頼を得るための基本です。

副業で受けるときに気をつけること

会社員が副業として書類スキャンの外注を受ける場合は、作業の時間と、本業との関係に気をつける必要があります。

まず、勤め先の就業規則で副業が認められているかを確認します。そのうえで、本業の取引先や同業の会社から書類スキャンの仕事を受けるのは避けたほうが安全です。書類の中身には取引の情報が含まれるため、本業との利益の相反や、情報の持ち出しを疑われるおそれがあります。

次に、納期です。スキャナ保存に使う書類には入力期間の決まりがあるため、「時間ができたらまとめて作業する」という進め方は合わないことがあります。副業で受けるなら、入力期間の制限がない一般書類や、過去の書類の電子化など、納期に余裕のある仕事を中心にするのが現実的です。

最後に、報酬を受け取ったあとの税金の手続きです。会社員の副業の所得は、給与以外の所得の合計が年20万円以下なら所得税の確定申告が不要になる場合がありますが、住民税には同じ扱いがありません。住民税の申告が必要かどうかは、住んでいる市区町村に確認してください。

依頼主に渡す説明資料を用意しておく

法人から書類スキャンの外注を受けるとき、多くの依頼主は社内で「この人に頼んで大丈夫か」を確認する手続きを踏みます。担当者が上司や情報管理の部署に説明するための材料を、受ける側から先に渡せると、話が早く進みます。

説明資料には、次のような内容を1枚から2枚にまとめておきます。

・事業者の名前、所在地(市区町村まで)、連絡先
・作業の場所と、書類の保管の方法
・作業に関わる人の範囲(1人で作業するか、手伝う人がいるか)
・データの保存先、受け渡しの方法、作業後の削除の方法と時期
・原本の返却または廃棄の方法
・秘密保持の契約に応じられること
・スキャナ保存に使う書類の場合の読み取りの設定

この資料があると、依頼主の担当者は社内の確認を通しやすくなり、受ける側は毎回同じ説明を繰り返す手間が省けます。内容は、実際の作業のやり方と食い違わないように、作業の方法を変えたら必ず更新します。説明したことと実際の作業が違っていると、それだけで信頼を失うからです。

個人で書類スキャンの外注案件を取る方法

個人で書類スキャンの外注案件を取る方法は、大きく分けて4つあります。

1つ目は、地域の小さな事務所への営業です。税理士や社会保険労務士の事務所、不動産の管理会社、地域の工務店などは、紙の書類を多く抱えています。特に、顧客から預かる領収書や書類が多い事務所は、毎月の継続的な電子化の需要を持っています。知り合いの紹介や、地域の商工会の集まりから声をかけてもらえることもあります。

2つ目は、クラウドソーシングや業務委託の募集です。書類の電子化とデータ入力を組み合わせた依頼などが見つかることがあります。ただし、オンラインの募集では、書類を郵送で受け渡す形になることが多く、情報の扱いについて依頼主の確認が厳しくなります。

3つ目は、スキャンの専門業者や事務代行の会社の作業員として働くことです。雇用や派遣の形で募集されることが多く、業務の流れや品質の基準、情報の管理の方法を現場で学べます。将来、自分で書類スキャンの外注を受けるための経験を積む場としても役立ちます。

4つ目は、すでに取引のある依頼主への提案です。たとえば、データ入力や事務の代行を受けている依頼主に、「紙の書類の電子化もお手伝いできます」と提案すると、新しい仕事につながることがあります。信頼関係のある相手のほうが、情報を預ける仕事を任せてもらいやすいからです。最初の1件は小さな量から試してもらい、仕上がりと情報の扱いに納得してもらってから量を広げていく進め方も、依頼主の不安を減らす方法です。

たとえばファッションの小さなブランドでは、発注書、納品書、請求書といった紙の書類が事務所の棚にあふれていることがよくあります。デザインや販売の仕事に追われ、書類の整理は後回しになりがちです。こうした事業者は、書類の電子化をきっかけに、在庫や取引の記録の管理を見直したいと考えていることも多く、スキャンの仕事が事務の整理全体の相談に広がることがあります。どの業界でも、相手の本業の忙しさを想像し、その手間を減らす提案ができるかが、仕事を取れるかどうかの分かれ目です。

契約の前に確認しておくこと

書類スキャンの外注を受けるときは、作業の条件を書面やメールで確認してから始めます。2024年11月1日に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法の第3条では、個人に業務を委託する事業者に、給付の内容、報酬の額、支払期日などを書面または電磁的方法で明示することを求めています。発注する側にとっての義務ですが、受ける側も、条件が示されていなければ文面で確認するよう頼むことができます。

確認しておきたい項目は、次のとおりです。

・対象の書類の種類と枚数の目安
・スキャナ保存に使う書類か(使うなら解像度、カラー、入力期間の条件)
・ファイルの形式、ファイル名の付け方、フォルダの分け方
・書類の受け渡しの方法(持ち込み、郵送、出張)
・作業後の原本の扱い(返却か、廃棄か)
・データの受け渡しの方法と、作業後のデータの削除
・秘密保持や個人情報の取扱いの取り決め
・再委託の可否
・料金、支払期日、追加の作業が出たときの扱い

特に、原本の扱いは大切です。依頼主がスキャナ保存のルールを満たして原本を廃棄する場合でも、いつ廃棄するかは依頼主が決めることです。受ける側が独断で廃棄することは絶対に避け、廃棄を任される場合は、方法と時期を書面で取り決め、溶解処理など中身が読めなくなる方法で処分し、その記録を報告します。

作業場と機材の整え方

書類スキャンの外注を持ち帰り型で受ける場合は、作業場と機材の準備が必要です。

機材の中心は、両面を自動で読み取るドキュメントスキャナーです。たとえばPFUのScanSnap iX2500は、公式の仕様で読み取り速度が毎分45枚(A4縦、カラーやグレーで300dpi相当まで)、原稿は最大100枚まで載せられるとされています。スキャナ保存の要件である200dpi相当以上、24ビットカラーでの読み取りにも対応できる設定があります。製本された資料や、のり付けされた書類を扱う場合は、本を開いたまま読み取れるスキャナーがあると対応の幅が広がります。

作業場で大切なのは、預かった書類の管理です。次の点を守ると、取り違えや紛失を防げます。

・依頼主ごとに番号を付けた箱やケースに分け、机の上には1件分の書類だけを出す
・作業場は家族と共有しない部屋にし、来客の目に触れない場所で保管する
・作業用のパソコンにはパスワードをかけ、データは依頼主ごとのフォルダに分ける
・受け取り、作業、返却や廃棄の日付を台帳に記録する

情報を扱う仕事では、こうした管理の方法を依頼主に説明できること自体が、信頼の材料になります。「どこで、誰が、どうやって作業し、データをいつ消すか」を、聞かれる前に説明できるよう準備しておきます。

書類スキャンの経験を次の仕事につなげる

書類スキャンの外注は、単価の低い作業として扱われがちな仕事です。続けていくには、スキャンの先にある仕事へと幅を広げることが大切です。

1つ目は、データ入力や整理の仕事です。スキャンした請求書の内容を表に入力する、取引先ごとにファイルを分類するといった作業は、スキャンと組み合わせることで依頼主の手間を大きく減らせます。

2つ目は、書類の流れそのものを見直す提案です。毎月同じ書類を紙で受け取り、スキャンしているなら、そもそも取引先から電子データで受け取る形に変えられないか、という提案ができます。業務の流れの見直しやAIを使った効率化を支援する仕事については、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で、どんな依頼があるかを紹介しています。

3つ目は、文書を正確に扱う力を生かした仕事です。書類の分類や、ファイル名のルールづくりは、文書を体系的に整理する力が問われます。ビジネス文書の基本を身につけておくと、依頼主の社内文書の整理や、手順書の作成といった仕事にもつなげやすくなります。文書の書き方を体系的に学ぶなら、ビジネス文書検定の学習範囲が参考になります。

運営者の視点から見た、この仕事で信頼される人

フリーランスや在宅ワークの市場を長く見てきた立場から言えば、書類スキャンのような情報を預かる仕事で長く続く人ほど、作業の速さより「この人なら預けても大丈夫」という信頼づくりに時間を使っています。情報の扱いを先に説明し、再委託の有無をはっきり伝え、作業後のデータの削除まで報告する。こうした手間を惜しまない人が、税理士事務所や地域の会社から、毎月の継続の仕事を任されています。

また、仲介の手数料が乗らない直接の取引では、同じ予算でも依頼主はより多くの枚数を頼め、受け手の手取りは厚くなります。手数料0%で依頼主と直接やり取りできる場では、情報の管理の方法や作業の条件を、自分の言葉で丁寧に伝えられます。

書類スキャンの外注を受けるなら、スキャナーの性能より先に、電子帳簿保存法のルールと情報の扱いを理解し、依頼主が安心して任せられる段取りを整えることが出発点です。業務の電子化から、仕組みづくりやシステム化の仕事に関心が広がったら、アプリケーション開発のお仕事で、どんな開発の仕事があるかを確かめてみてください。

よくある質問

Q. 書類スキャンの外注を受けるのに資格は必要ですか?

書類をスキャンする仕事そのものに必要な資格はありません。ただし、法人の依頼では、個人情報の扱いや秘密保持について説明や契約を求められることが多く、作業場所や保管の方法、作業後のデータの削除方法を説明できることが、仕事を任せてもらう条件になります。まずは専門業者の作業員として経験を積む方法もあります。

Q. スキャナ保存に使う書類は、どんな設定で読み取ればよいですか?

国税庁のパンフレットでは、解像度は200dpi相当以上、カラーは赤、緑、青がそれぞれ256階調以上(24ビットカラー)で読み取ることとされています。見積書や注文書などの一般書類はグレースケールでも可とされています。入力期間の決まりもあるため、受ける前にスキャナ保存に使う書類かどうかを依頼主に確認してください。

Q. 忙しいときに知り合いに作業を手伝ってもらってもよいですか?

マイナンバーを含む書類の場合、番号法第10条により、委託した依頼主の許諾を得た場合に限り再委託ができます。マイナンバーを含まない書類でも、依頼主は誰が書類を見るのかを気にしています。手伝ってもらう可能性があるなら、受ける前に依頼主に伝え、了承を得ておくのが安全です。

Q. スキャンが終わった原本は捨ててもよいですか?

原本を廃棄するかどうか、いつ廃棄するかは依頼主が決めることです。受ける側が独断で廃棄することは避けてください。廃棄を任される場合は、方法と時期を書面で取り決め、溶解処理など中身が読めなくなる方法で処分し、処分した日付と方法を依頼主に報告します。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年9月5日最終更新:2026年10月5日
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