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安否確認の方法|災害時に社員の無事を確かめる仕組み

@SOHO編集部
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安否確認の方法|災害時に社員の無事を確かめる仕組み

この記事のポイント

  • ✓災害のときに社員と家族の無事や出社できるかを確かめることです
  • ✓電話・メール・チャット・災害用伝言ダイヤル・専用サービスの特徴と選び方
  • ✓テレワークの社員への対応までを説明します

大きな地震や台風のニュースを見て、「うちの会社は、社員の無事をどうやって確かめるのだろう」と不安になった総務の担当者や、防災の担当を任されて何から手を付ければよいか迷っている人は多いはずです。安否確認とは、災害や大きな事故が起きたときに、社員とその家族が無事かどうか、そして出社や業務の再開ができるかどうかを確かめることです。結論から言うと、安否確認は「何が起きたら」「誰が」「どの手段で」「何を聞き」「どう集計するか」の5つを、平常時に決めて訓練しておけば、どの手段を使っても大きく外れることはありません。この記事では、安否確認が必要な理由、使える手段ごとの特徴と選び方、送る文面の例、集計と次の判断の進め方、訓練のしかた、テレワークや出張中の社員への対応までを順に説明します。災害の後に社外から届く多くの問い合わせを、担当と状況を付けて返信まで回す方法として、フォームのサービスのHalictにも後半で触れます。

安否確認とは何か、なぜ必要なのか

安否確認は、災害が起きた直後に会社が最初に取り組む仕事の1つです。確かめる中身は、大きく分けて次の3つです。

  • 社員本人が無事か、けがをしていないか
  • 家族が無事か、家に被害はないか
  • 出社できるか、自宅で仕事ができるか

1つ目と2つ目は、人の命と生活を守るための確認です。けがをしている社員がいれば、救助や医療につなぐ手配が必要になります。家族が被災していれば、本人は仕事より家族を優先すべき状況かもしれません。会社がそれを把握していないと、無理に出社を求めるような判断をしてしまうおそれがあります。

3つ目は、事業を続けるための確認です。災害の後、何人が出社できるのか、どの部署に人がいないのかが分からなければ、どの業務から再開するかを決められません。取引先や顧客への連絡、商品の出荷、窓口の再開といった判断は、すべて「今、動ける人が何人いるか」から始まります。

災害が起きたときに事業をどう続けるかをあらかじめ決めておく計画を、事業継続計画(BCP)と呼びます。内閣府は、企業がBCPを作るときの手引きとして「事業継続ガイドライン」を公開しており、最新版は令和5年3月に改定されています。手引きの全文や、企業の取り組みの事例は、内閣府の企業防災のページから読むことができます。安否確認は、このBCPの最初の一歩にあたる仕事です。中小企業向けには、中小企業庁がBCPの作り方の案内を用意しているので、あわせて確かめておくとよいでしょう。

安否確認でよく起きる困りごと

安否確認の仕組みを考える前に、実際の災害のときに何が起きやすいかを知っておくと、準備の優先順位がつけやすくなります。

1つ目は、電話がつながりにくくなることです。大きな災害の直後は、家族や知人の無事を確かめようとする人が一斉に電話をかけるため、回線が混み合い、つながりにくくなります。通信会社が、被災地への電話を制限することもあります。「全員に電話をかけて確かめる」という計画は、災害の直後には動かないことが多いと考えておく必要があります。

2つ目は、連絡先が古いことです。社員の携帯電話の番号や個人のメールアドレスが変わっているのに、会社の名簿が更新されていない、というのはよくある話です。入社のときに登録したきりで、何年も見直していない名簿では、いざというときに連絡が届きません。

3つ目は、誰が確認するのかが決まっていないことです。災害の直後は、総務の担当者自身も被災しているかもしれません。担当者が1人しかいないと、その人が動けない時点で安否確認が止まってしまいます。

4つ目は、返事が集まっても集計できないことです。メールやチャットで「無事です」「けがはありません」という返事が何十通も届くと、誰から返事が来て、誰から来ていないのかを数えるだけで時間がかかります。返事の書き方がばらばらだと、出社できるかどうかを読み取るのにも手間がかかります。

5つ目は、平常時に一度も試していないことです。仕組みを作っただけで訓練をしていないと、社員は手順を覚えておらず、返事の仕方が分からないまま時間が過ぎます。

安否確認の手段と、それぞれの特徴

安否確認に使える手段は、いくつかあります。それぞれに得意な場面と苦手な場面があるので、1つに頼らず、2つか3つを組み合わせるのが基本です。

手段 向いている場面 弱い点
電話(連絡網) 社員が少ない会社、詳しい事情を聞きたいとき 災害直後はつながりにくい。順番に回すと時間がかかる
メール 全員に同じ内容を一度に送りたいとき 返事の集計に手間がかかる。迷惑メールに振り分けられることがある
チャット・社内SNS ふだんから業務で使っている会社 個人のスマートフォンに入れていない社員には届かない
災害用伝言ダイヤル・伝言板 電話がつながりにくいとき、家族との確認 会社がまとめて集計する仕組みではない
安否確認の専用サービス 社員が多い会社、自動で送って集計したいとき 費用がかかる。社員の登録と更新の手間がある

社員が10人程度の会社なら、チャットのグループと電話の組み合わせで十分に回ることが多いでしょう。社員が数十人を超えると、返事を集めて集計する手間が大きくなるため、専用サービスを検討する価値が出てきます。どの手段を選ぶにしても、「最初の手段が使えなかったときに、次に何を使うか」を決めておくことが大切です。

電話・メール・チャットで安否確認をするときのこつ

専用のサービスを使わずに、ふだんの道具で安否確認をする場合のこつを、手段ごとに説明します。

電話の連絡網を使う場合は、1人が全員にかけるのではなく、部署ごとの責任者が自分の部署の社員にかける形にすると、時間を短くできます。責任者が連絡のつかない場合に誰が代わるかも決めておきます。電話がつながらなかった社員の名前は必ず記録し、別の手段で確かめ直します。

メールで送る場合は、件名を見ただけで安否確認だと分かるようにします。「【安否確認】至急返信してください」のように、件名の先頭に目印を付けておくと、たくさんのメールの中に埋もれにくくなります。返事の書き方も指定しておくと、集計が楽になります。たとえば「本文の1行目に、無事なら1、けががあれば2、と数字だけ書いて返信してください」のように、選ぶ形にします。

チャットで確かめる場合は、安否確認のためだけのグループや部屋を、平常時から作っておきます。ふだんの業務の連絡と混ざると、返事が流れてしまうからです。投稿された安否確認のメッセージに、決めた絵文字やスタンプで反応してもらう方法にすれば、誰が反応したかを一覧で確かめられます。ただし、チャットのアプリを業務用のパソコンにしか入れていない社員には、休日や夜間の災害では届きません。個人のスマートフォンからも見られるかどうかを、平常時に確かめておきましょう。

どの手段でも、「返事がない社員」を早く見つけることが一番大事です。返事が来た人より、来ていない人の名前を一覧にして、別の手段で確かめていく流れを作っておきます。

災害用伝言ダイヤルと伝言板の使い方

電話がつながりにくいときに役立つのが、通信会社が提供する災害用の伝言のサービスです。代表的なのが、NTT東日本とNTT西日本が提供する災害用伝言ダイヤル(171)です。

地震、噴火などの災害の発生により、被災地への通信が増加し、つながりにくい状況になった場合に提供が開始される声の伝言板です。 出典: NTT東日本

使い方は、171に電話をかけ、音声の案内に従って、被災地の人の電話番号を入力し、伝言を録音したり再生したりする形です。NTT東日本の案内では、1つの伝言の録音時間は30秒以内とされています。登録できる電話番号は被災地の人などの固定電話や携帯電話の番号で、提供の開始や運用の条件は、災害の状況に応じて決められ、テレビやラジオ、公式ホームページで知らされます。

インターネットで文字の伝言を残せる災害用伝言板(web171)もあります。携帯電話の各社も、それぞれ災害用の伝言板を用意しています。

これらのサービスは、会社がまとめて社員の安否を集計する仕組みではありません。主な使い道は、社員とその家族の間の確認です。会社としては、「家族との連絡には171や伝言板を使うこと」を社員に伝え、使い方を一度体験しておくよう勧めておくとよいでしょう。災害が起きていない時期にも、使い方を練習できる体験利用の日が設けられています。日程は公式ページで確かめてください。

安否確認の専用サービスの特徴と選び方

社員が多い会社や、拠点が複数ある会社では、安否確認の専用サービスを使う方法があります。専用サービスの多くは、気象庁が発表する地震の情報などと連動して、決めた条件の災害が起きたときに自動で社員に連絡を送り、返事を集計する仕組みを持っています。

「セコム安否確認サービス」は、気象庁の地震情報などと連動し、自動で安否確認通知を送信できるサービスです。 出典: secomtrust.net

専用サービスを選ぶときは、次の点を比べます。

  • 自動で送る条件:震度いくつ以上で送るか、どの地域の災害で送るかを細かく決められるか
  • 連絡の手段:メール、専用アプリ、チャットなど、複数の手段で同時に送れるか
  • 返事のしやすさ:スマートフォンで数回押すだけで答えられるか。家族の安否も一緒に答えられるか
  • 集計の見やすさ:部署ごと、拠点ごとに、返事のあった人と無かった人が一目で分かるか
  • 返事がない人への再送:返事がない人だけに、自動でもう一度送れるか
  • 平常時の使い道:訓練の送信や、災害以外の緊急の連絡にも使えるか
  • 社員の情報の更新:社員が自分で連絡先を更新できるか、人事の名簿と連携できるか
  • 費用:社員の人数による料金か、初期の費用があるか

料金や機能はサービスごとに違い、改定されることもあるため、導入を検討するときは各社の公式ページで今日時点の記載を確かめ、試用ができるなら実際に社員の一部で試してから決めましょう。

安否確認で聞くことと、送る文面の例

安否確認で聞く項目は、少ないほど返事が集まりやすくなります。災害の直後は、社員も落ち着いて長い文章を書ける状況ではありません。項目は多くても5つまでに絞り、選ぶ形で答えられるようにします。

基本の項目は次のとおりです。

  1. 本人の状態:無事/軽いけが/重いけが
  2. 家族の状態:全員無事/けが人がいる/確認できていない
  3. 家の状態:被害なし/一部に被害/住めない
  4. 出社できるか:できる/できない/自宅で仕事ができる
  5. 自由に書く欄:困っていること、会社に伝えたいこと

メールで送る場合の文面の例を挙げます。

件名:【安否確認】至急ご返信ください(10月23日 本日の地震)

株式会社〇〇 総務部の△△です。 本日、関東地方で強い地震がありました。 皆さんとご家族の安全を確かめるため、次の項目について、このメールにそのまま返信してください。 番号を選んで書くだけで構いません。

1.ご自身の状態(1:無事 2:軽いけが 3:重いけが) 2.ご家族の状態(1:全員無事 2:けが人がいる 3:確認できていない) 3.出社できるか(1:できる 2:できない 3:自宅で仕事ができる) 4.困っていることがあれば、ひと言お書きください

身の安全を最優先にしてください。 返信は、安全な場所に移ってからで構いません。 今後の業務の連絡は、このメールに続けてお送りします。

文面のこつは、「安全を最優先にしてよい」と一言添えることです。会社から連絡が来ると、無理をしてでも返事をしなければと考える社員もいます。返事より身の安全が先だと伝えておくことで、社員が危ない場所で携帯電話を操作するようなことを防げます。

集まった返事をどう集計し、次に何を判断するか

返事が集まり始めたら、次の順番で整理していきます。

  1. 返事が無い社員の一覧を作る:まず返事が来ていない人を把握し、別の手段で連絡を試みる
  2. けがをしている社員を確かめる:重いけがの社員がいれば、家族や近くに住む社員と連絡を取り、必要な支援を考える
  3. 出社できる人数を部署ごとに数える:どの部署で人が足りないかを把握する
  4. 業務の再開の判断をする:出社できる人数と、事務所や設備の被害の状況をもとに、どの業務から再開するかを決める
  5. 社員に方針を伝える:出社の要否、自宅待機、連絡の時間などを、全員に同じ内容で伝える

ここで大事なのは、安否確認の結果を、経営の判断をする人にすぐ届けることです。安否確認の担当者が集計を抱え込んでいると、社長や役員が状況を知らないまま時間が過ぎてしまいます。「1時間ごとに、返事のあった人数、無かった人数、けが人の人数、出社できる人数を報告する」のように、報告の形と間隔を決めておきましょう。

返事が無い社員については、すぐに最悪の事態を想定する必要はありません。携帯電話の電池が切れている、電波が届かない場所にいる、家族の世話で手が離せない、といった理由で返事ができないことも多いからです。ただし、時間がたっても連絡がつかない場合は、緊急連絡先に登録された家族に連絡するなど、次の手を順に打っていきます。

平常時の準備と、訓練の進め方

安否確認の仕組みは、平常時の準備で8割が決まります。準備しておくことを挙げます。

  • 連絡先の名簿を作り、年に1回以上見直す:社員本人の携帯電話の番号、個人のメールアドレス、家族の緊急連絡先
  • 安否確認を始める条件を決める:たとえば「会社のある地域や社員の住む地域で、強い揺れの地震が起きたとき」「大きな台風で公共交通が止まったとき」
  • 担当者と代わりの担当者を決める:本社の総務が動けない場合に、別の拠点の誰が代わるかまで決めておく
  • 使う手段の順番を決める:最初にどの手段を使い、使えなかったら次に何を使うか
  • 社員に手順を伝える:入社のときの研修と、年に1回の防災の研修で説明する

連絡先の名簿には、社員の個人の携帯電話の番号や家族の連絡先といった個人情報が含まれます。名簿を保存する場所と、見られる人を限っておくことも忘れないようにしましょう。

訓練は、年に1回から2回、実際の手段を使って行います。訓練のときは、次の数字を記録しておくと、仕組みの弱いところが見えてきます。

  • 送ってから、全員の何割が返事をするまでにどれくらいの時間がかかったか
  • 返事が無かった社員は誰か、その理由は何か
  • 連絡先が間違っていた社員は何人いたか

初回の訓練では、返事が半分も集まらないことも珍しくありません。それで構いません。返事が来なかった理由を1人ずつ確かめて、連絡先を直し、手順を分かりやすくしていけば、回を重ねるごとに返事の割合は上がっていきます。訓練を、抜き打ちではなく、日時を前もって知らせる形から始めるのも、社員の負担を減らすうえで有効です。

勤務時間中に起きたときの帰宅の判断

勤務時間中に大きな災害が起きると、安否確認と同時に「社員を帰らせるか、事務所にとどまらせるか」の判断が必要になります。大きな地震の直後は、公共交通が止まり、道路も混み合います。多くの人が一斉に歩いて帰ろうとすると、駅や道路に人があふれ、余震や火災に巻き込まれる危険が高まります。

そのため、揺れが収まっても、事務所の建物に大きな被害がなければ、すぐには帰らせず、安全が確かめられるまで事務所にとどまってもらう考え方が広まっています。自治体によっては、事業者に社員を一斉に帰らせないよう求め、そのための飲料水や食料の備えを促しているところもあります。会社のある自治体の防災の案内で、求められていることを確かめておきましょう。

事務所にとどまる場合に備えて、平常時に準備しておくことは次のとおりです。

  • 飲料水と食料、毛布、簡易トイレなどの備え
  • 停電に備えた懐中電灯と、携帯電話の充電の手段
  • 家族の安否を確かめられるよう、171や伝言板の使い方の案内
  • 帰宅を始めてよい条件と、帰る方向が同じ社員どうしでまとまって帰る手順

社員にとって一番の心配は家族のことです。家族の無事が確かめられれば、落ち着いて事務所で待つことができます。安否確認の仕組みは、社員の無事を会社が知るためだけでなく、社員が家族の無事を知るための支えにもなることを意識して、手順を組み立てましょう。

テレワーク・出張中・取引先の人への対応

働き方が多様になった今、安否確認の対象は事務所にいる社員だけではありません。

テレワークで働く社員は、事務所から離れた場所に住んでいることが多く、会社のある地域では何も起きていないのに、社員の住む地域で災害が起きる場合があります。安否確認を始める条件は、会社の所在地だけでなく、社員が住んでいる地域でも判断できるようにしておく必要があります。名簿には、社員がふだん働いている場所の地域も記録しておきましょう。テレワークの環境を整えるときに使える国の支援については、テレワーク 助成金 2026の記事で紹介しています。

出張中の社員は、どこにいるのかを会社が把握していないと、災害が起きた地域に社員がいるかどうかが分かりません。出張の予定を共有する仕組みを作り、災害が起きたら、その地域に出張中の社員がいないかをすぐに確かめられるようにします。

業務委託で働く人や、派遣で来ている人、常駐している取引先の社員についても、誰が連絡するのかを決めておきます。派遣の人の安否は派遣元の会社が確かめるのが一般的ですが、事務所で一緒に働いている以上、現場の状況を派遣元に伝える役割は受け入れている会社にもあります。

災害の種類と時間帯で変わる確認のしかた

安否確認の手順は、どんな災害でも同じというわけではありません。災害の種類と、起きた時間帯によって、確かめる順番や伝える中身が変わります。

地震は、前触れなく突然起きるのが特徴です。揺れが収まった直後に安否確認を始めることになるため、手順は自動で動くか、担当者が迷わず送れる形にしておく必要があります。余震が続く間は、社員に建物の外へ出るよう急がせるより、まず身の安全を確保するよう伝えることが先です。

台風や大雨は、ある程度前もって進路や雨の量の予報が出ます。安否確認の前に、「明日は出社せず自宅待機とする」「公共交通が止まる見込みなら、今日は早めに帰宅する」といった事前の連絡ができるのが地震との違いです。被害が出た後の安否確認に加えて、前日の時点で出社の方針を決めて伝える手順を入れておくと、社員が危ない中を移動せずに済みます。

感染症の流行のように、長い期間にわたって影響が続く場合は、1回の安否確認で終わりません。体調を崩している社員の人数、家族の看病で休んでいる社員の人数を、毎日あるいは週ごとに確かめることになります。この場合は、即時の返事の速さより、毎回同じ形で続けて記録できることが大事になります。

時間帯も大きく関係します。勤務時間中の災害なら、社員の多くは事務所にいるので、まずは事務所の中での点呼が先です。夜間や休日の災害では、社員はそれぞれの自宅や外出先にいて、会社の担当者も自宅にいます。夜間や休日にも動く手順になっているか、担当者が自宅から送れる形になっているかを、訓練の中で確かめておきましょう。

安否確認のルールを社内で決めて伝える

安否確認の手順は、担当者の頭の中にあるだけでは、担当者が動けないときに止まってしまいます。手順を文書にして社内の決まりとし、全員がいつでも確かめられる形にしておくことが大切です。

文書に書いておく項目は、次のとおりです。

  • 安否確認を始める条件(どの地域で、どの程度の災害が起きたら始めるか)
  • 送る担当者と、その代わりの担当者
  • 使う手段とその順番
  • 聞く項目と、答え方
  • 返事がない社員への対応の順番
  • 集計の結果を誰に、どの間隔で報告するか
  • 社員が自分の判断で取るべき行動(返事より安全を優先する、出社を無理にしない)

文書は長くしすぎないことがこつです。社員が災害のときに読むのは、せいぜい1枚の紙か、スマートフォンの1画面に収まる分量です。詳しい手順は担当者向けの資料に分け、社員向けには「災害が起きたら、このメールに番号で返事をする」「家族との連絡は171を使う」といった、自分がすることだけを短くまとめた1枚を配っておくとよいでしょう。この1枚は、社員証の裏や手帳に挟めるくらいの大きさにしておくと、いざというときに見つけやすくなります。

作った決まりは、新しく入った社員にも必ず伝えます。入社の手続きの中に、連絡先の登録と、安否確認の手順の説明を組み込んでおけば、名簿の漏れも防げます。

災害の後に増える問い合わせを窓口で回す方法

社員の安否確認が一段落すると、次に押し寄せてくるのが社外からの問い合わせです。取引先からの「納品は予定どおりか」、顧客からの「注文した商品はいつ届くか」、施設を利用している人の家族からの「本人は無事か」といった問い合わせが、電話、メール、ウェブのフォームから一度に届きます。

問い合わせが少ないうちは、共有のメールの受信箱と表計算ソフトのシートで、「受付日」「相手」「内容」「担当」「状況」の列を作って管理すれば十分に回ります。難しくなるのは、件数が増え、複数人で分担して返信するようになったときです。誰がどの問い合わせを受け持ったのか、どこまで返信したのかが分からなくなり、同じ相手に2人が返信したり、誰も返信しないまま日がたったりします。

社外の多くの人からの問い合わせを、担当と状況を付けて返信まで回したい場面では、受付から対応までを扱うフォームのサービスを使う方法があります。選択肢の1つが、Halict(ハリクト)です。公式サイトによると、Halictで作ったフォームから届いた1件ごとに担当と状況が残り、返信も同じ画面から送れて、開封まで記録されます。ステージ(対応の状況)は「問い合わせ対応」などのひな形から選んで自由に増減でき、担当者やタグで絞り込めます。災害の後に「被災の影響についてのお問い合わせ」のフォームを用意し、URLを案内のページに載せておけば、届いた問い合わせに「受付」「確認中」「回答済み」の状況を付けて、返信の漏れを防ぎやすくなります。チームプラン以上では、一覧から選んでまとめてメールを送る機能や、Teams・Slack・Chatworkへの新着の通知も使えると案内されています。

料金は、公式の料金ページによると、フォームの数と回答の数はどのプランでも無制限で、メンバー1人までのフリープランが0円、メンバー3人までのスタータープランが月額2,980円、10人までのチームプランが月額7,800円(いずれも税抜)です。Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

なお、Halictは安否確認の専用サービスではありません。地震の情報と連動して自動で連絡を送る機能は案内されていないため、社員の安否確認は、この記事で説明した専用サービスや連絡網で行い、その後に社外から届く問い合わせの管理に使う、という分担で考えると無理がありません。

安否確認の仕組みづくりにかかわる仕事

安否確認やBCPの仕組みづくりは、会社の総務や人事の担当者だけでなく、外部の専門家が支援することも多い分野です。

会社の業務の流れを見直し、災害のときに何から再開するかを一緒に考える仕事は、業務改善の支援にあたります。最近は、安否確認の連絡や集計にクラウドの道具やAIを取り入れたいという相談も増えています。どんな仕事があるかはAIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。災害のときの情報の扱いや、社員の個人情報の守り方は、情報セキュリティの分野とも重なります。こうした分野の仕事はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事にまとめています。

安否確認の仕組みを自社で作る場合は、アプリやシステムの開発の知識も役に立ちます。社員の名簿と連絡の仕組みを連携させるといった開発の仕事の種類はアプリケーション開発のお仕事で確かめられます。経営の立場から事業の継続を考える力を身につけたい人には、国家資格の中小企業診断士があり、企業の経営課題を分析して助言する力が問われます。

運営者として見てきた「災害に強い小さなチーム」

在宅ワークとフリーランスの仲介を20年あまり続けてきた運営者として見てきた限りでは、災害のときに仕事が止まりにくいのは、規模の大きな会社より、連絡の手順がはっきりしている小さなチームです。

止まりにくいチームに共通しているのは、「誰が、どの手段で、いつまでに連絡するか」が、ふだんの仕事の中で決まっていることです。災害のときにだけ使う特別な仕組みではなく、日ごろの連絡と同じ道具、同じ手順で安否を確かめられるので、慌てずに動けます。在宅で働く人どうしのチームでも、毎朝の連絡の場があり、そこに「無事です」と一言書くだけで安否確認が終わる、という形で回っている例があります。

もう1つ見えてくるのは、取引先との関係が直接で近いほど、災害のときの調整が早いという点です。間に入る手数料が小さい直接の取引では、同じ予算でも依頼する側はより多くの仕事を頼め、受ける側の手取りは厚くなります。手数料0%で直接取引している相手どうしは、ふだんから連絡を取り合っているため、災害の後も「納期を1週間延ばしましょう」といった相談がすぐにまとまります。

安否確認の仕組みは、作ったら終わりではありません。年に1回の訓練で返事の割合と時間を記録し、連絡先を直し、手順を分かりやすくしていく。その積み重ねが、いざというときに社員と家族を守り、仕事を早く再開する力になります。仕組みづくりを支援する仕事の相場を知りたいときは、研究者の年収・単価相場のような調査や分析の分野の相場も参考に、自分の得意分野でどう関われるかを確かめてみてください。

よくある質問

Q. 安否確認では何を聞けばよいですか?

本人の状態、家族の状態、家の被害、出社できるかの4つが基本で、困っていることを書ける欄を1つ加えると十分です。災害の直後は長い文章を書く余裕がないため、項目は多くても5つまでに絞り、番号を選んで答えられる形にすると、返事が集まりやすく集計も楽になります。

Q. 社員が少ない会社でも安否確認の専用サービスは必要ですか?

社員が10人程度なら、チャットのグループと電話の連絡網を組み合わせ、使う順番と担当者を決めておけば回ることが多いです。社員が数十人を超えて返事の集計に時間がかかるようになったら、自動で送って集計できる専用サービスを検討する価値が出てきます。

Q. 災害用伝言ダイヤル171は会社の安否確認に使えますか?

171は、被災地の人の電話番号ごとに声の伝言を残す仕組みで、会社がまとめて社員の返事を集計するものではありません。主な使い道は社員と家族の間の確認です。会社としては、家族との連絡に使うよう社員に伝え、体験利用の日に一度試しておくよう勧めておくとよいでしょう。

Q. 安否確認の訓練はどのくらいの頻度で行えばよいですか?

年に1回から2回、実際に使う手段で行うのが目安です。送ってから返事が集まるまでの時間、返事が無かった社員とその理由、連絡先の誤りの数を記録し、次の訓練までに名簿と手順を直します。最初は日時を前もって知らせる形から始めると、社員の負担を減らせます。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年7月31日最終更新:2026年10月29日
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