登記事項証明書とは|登記簿謄本と呼び名が違うだけか


この記事のポイント
- ✓登記簿謄本で役員を確認したい人向けに
- ✓登記事項証明書の4つの種類と役員欄の読み方を整理しました
- ✓過去の役員まで載るのはどれか
登記簿謄本で役員を確認したい。そう思って法務局のサイトを開くと、「登記事項証明書」という名前しか出てきません。呼び名が違うだけなのか、別のものなのか。結論から書くと、同じものです。昔は紙の帳簿を写して渡していたので謄本と呼び、いまはコンピュータの記録を出力して渡すので証明書と呼ぶ。中身は同じで、会社の登記の内容が書かれた書面です。
ただし、1つだけ気をつけることがあります。登記事項証明書には4つの種類があり、どれを頼むかで役員の情報が変わります。いまの役員だけが載るもの、辞めた役員も載るもの、代表者だけが載るもの。役員の入れ替わりを追いたいのに、いまの役員しか載らない種類を頼んでしまうと、取り直しになります。手数料が1通600円なので、無駄になる金額は小さいのですが、郵送で取っていると日数のロスが痛いところです。
この記事では、4つの種類の使い分け、役員欄に何がどう書かれているか、どうやって取るのかを順に整理します。あわせて、代表取締役の住所が市区町村までしか出ていないケースがある理由と、役員を変えたときにいつまでに登記するのかも押さえておきます。
呼び名の変化は、記録の形が変わったことによるもの
かつて会社の登記は、紙の帳簿(登記簿)に記録されていました。その内容を写して証明したものが登記簿謄本です。一部だけを写したものは抄本と呼びました。
いまは記録がコンピュータ化されていて、登記簿という紙の帳簿は残っていません。そこで、記録されている事項を証明した書面という意味で登記事項証明書という名前になりました。商業登記法は、何人も手数料を納付して、登記簿に記録されている事項を証明した書面の交付を請求することができると定めていて、この書面を登記事項証明書と呼んでいます。
日常の会話では、いまでも登記簿謄本という言い方が通っています。取引先から「謄本を送ってください」と言われたら、登記事項証明書を取って送れば問題ありません。金融機関の書類に「登記簿謄本」と書かれていても同じです。
ここで押さえておきたいのが、誰でも取れるという点です。自分の会社のものだけでなく、取引先の会社のものも取れます。商業登記法の同じ条文は「何人も」と書いていて、請求する理由を説明する必要もありません。しかも、他の登記所の登記官に対しても請求できるとされているので、相手の本店が遠方にあっても最寄りの法務局で取れます。
会社の登記が公開されているのは、取引の相手方がその会社の実体を確かめられるようにするためです。だから役員の氏名も載っていて、誰でも見られます。
4つの種類と、役員を見るときの選び方
商業登記規則は、登記事項証明書の種類と記載事項を定めています。種類は4つです。
現在事項証明書には、現に効力を有する登記事項が載ります。これに加えて、会社成立の年月日、取締役や監査役、代表取締役などの就任の年月日、そして会社の商号と本店の登記の変更に係る事項で現に効力を有するものの直前のものが記載されます。つまり、いまの役員と、その人がいつ就任したかは分かります。しかし辞めた役員は載りません。
履歴事項証明書には、現在事項証明書の内容に加えて、請求日の3年前の日の属する年の1月1日(これを基準日といいます)から請求日までの間に抹消された登記事項と、その間に登記された事項で現に効力を有しないものが載ります。言い換えると、直近3年分ほどの変更の履歴が読めます。役員の入れ替わりを追いたいなら、これを頼みます。
閉鎖事項証明書には、閉鎖した登記記録に記録されている事項が載ります。本店を他の法務局の管轄に移した、合併して消滅した、解散して清算が終わったといった場合に、古い記録がこちらに移ります。3年より前の役員を追いたいときや、すでにない会社を調べたいときに使います。
代表者事項証明書には、会社の代表者の代表権に関する登記事項で現に効力を有するものだけが載ります。誰が代表取締役か、その人に代表権があるかだけを示す証明書です。契約の相手が代表権を持っているかを確かめる目的なら、これで足ります。枚数が少ないので、内容がすぐ読めるという利点もあります。
役員の目的別に整理すると、こうなります。
| 知りたいこと | 頼む種類 |
|---|---|
| いまの役員は誰か | 現在事項証明書 |
| ここ数年で役員がどう入れ替わったか | 履歴事項証明書 |
| 3年以上前の役員、すでにない会社の役員 | 閉鎖事項証明書 |
| 契約相手に代表権があるか | 代表者事項証明書 |
迷ったら履歴事項証明書を頼むのが実務での定番です。現在の内容も履歴も両方載るので、取り直しになりません。手数料は種類によって変わらないので、多く載るほうを選んで損はありません。
条文を確かめたい場合は、e-Gov法令検索の商業登記規則で第30条を読むと、4種類の記載事項がそのまま書かれています。
役員欄には何が書かれているか
登記事項証明書は、区(く)という単位に分かれています。商号区、会社状態区、目的区、株式・資本区、役員区、といった具合です。役員の情報は役員区に入っています。
役員区に載るのは、次のような項目です。
取締役の氏名が並びます。住所は載りません。氏名だけです。
代表取締役の氏名と住所が載ります。代表取締役だけは住所も登記事項になっています。会社を代表する人が誰で、どこに住んでいるかを外から確かめられるようにするためです。
監査役の氏名が載ります。監査役を置いている会社の場合です。
就任の年月日が、それぞれの役員について記載されます。現在事項証明書にもこの日付は載ります。
退任や辞任、重任の記録は、履歴事項証明書に載ります。重任とは、任期が満了して同じ人がまた選ばれることです。退任した役員の氏名には下線が引かれ、その横に「令和○年○月○日退任」といった記録が並びます。
登記事項の範囲そのものは会社法が定めています。会社法第911条第3項は、株式会社の設立の登記で登記すべき事項として、取締役の氏名、代表取締役の氏名および住所、監査役の氏名、会計監査人の氏名または名称などを挙げています。ここに書かれているものが、登記事項証明書に出てくる項目です。
読むときのコツを1つ挙げると、就任の年月日を見ることです。役員が全員同じ日に就任しているなら、設立時のまま変わっていない会社です。日付がばらついていれば、途中で人が入れ替わっています。代表取締役が最近になって変わっている会社は、体制が変わった直後かもしれません。数字だけでなく、日付の並びから会社の状態が読めます。
代表取締役の住所が市区町村までしか出ていない場合
登記事項証明書を取ったのに、代表取締役の住所が「東京都渋谷区」で終わっている。そういうケースが2024年10月以降に出てきています。これは記載漏れではなく、制度によるものです。
法務省は、この制度を次のように説明しています。
代表取締役等住所非表示措置は、一定の要件の下、株式会社の代表取締役、代表執行役又は代表清算人(以下「代表取締役等」といいます。)の住所の一部を登記事項証明書や登記事項要約書、登記情報提供サービス(以下「登記事項証明書等」といいます。)に表示しないこととする措置です。 出典: moj.go.jp
同じページによると、この制度は商業登記規則等の一部を改正する省令によって創設され、令和6年10月1日から施行されています。措置が講じられた場合、登記事項証明書等において代表取締役等の住所は最小行政区画までしか記載されません。東京都なら特別区まで、指定都市なら区までです。
申し出るには要件があります。登記の申請と同時に申し出ることが必要で、設立の登記や代表取締役等の就任の登記、住所移転による変更の登記など、住所が登記されることになる登記の申請と同時にする場合に限られます。上場会社以外の株式会社では、本店の所在場所に配達証明郵便が届いたことを証する書面、代表取締役等の氏名と住所が記載された市町村長等による証明書、実質的支配者の本人特定事項を証する書面の3点が必要です。
注意点も明記されています。法務省は、措置が講じられた場合には登記事項証明書等によって会社代表者の住所を証明することができなくなるため、金融機関から融資を受けるにあたって不都合が生じたり、不動産取引等にあたって必要な書類が増えたりするなど、一定の影響が生じることが想定されるとしています。そのうえで、申し出をする前に慎重かつ十分な検討をお願いするとも書かれています。
それから、住所を隠せても登記義務は消えません。同じページは、措置が講じられた場合であっても会社法に規定する登記義務が免除されるわけではないため、代表取締役等の住所に変更が生じた場合にはその旨の登記の申請をする必要がある、としています。申請書には住所を書くので、登記されている住所を忘れないように、という注意まで添えられています。
取引先の住所が市区町村までしか出ていなかったら、この措置が使われていると考えてください。会社が実在しないわけではありません。どうしても住所の証明が必要な場面では、会社の印鑑証明書など別の書類で代替することになります。制度の詳細は法務省の代表取締役等住所非表示措置のページにまとまっています。
どうやって取るか、いくらかかるか
取り方は3つあります。
法務局の窓口で取る。 交付申請書に会社の商号と本店を書いて出します。手数料は収入印紙で納めます。商業登記法は、手数料の納付は収入印紙をもってしなければならないと定めています。窓口の業務取扱時間は平日の午前8時30分から午後5時15分までです。
オンラインで請求する。 登記・供託オンライン申請システムから請求し、郵送または窓口で受け取ります。手数料が窓口より安く、受付時間も長いという利点があります。法務局は次のように案内しています。
例えば⇒ 登記所の窓口で登記事項証明書の交付を請求する場合の手数料は 600円 のところ,オンライン請求をご利用いただくと、 証明書を郵送で受け取る場合の手数料は 520円 、 最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取る場合の手数料は 490円 となります。 出典: houmukyoku.moj.go.jp
窓口請求が1通600円、オンライン請求で郵送受け取りが1通520円、オンライン請求で窓口受け取りが1通490円です。同じページによると、オンラインの受付時間は平日の午前8時30分から午後9時までで、窓口の午後5時15分までより3時間以上長く使えます。手数料はインターネットバンキングで電子納付できるので、収入印紙を用意する必要もありません。
登記情報提供サービスで中身だけ見る。 証明書としての効力は要らず、内容を確認したいだけなら、インターネットで登記情報を見られるサービスがあります。法務局が公表している手数料一覧では、全部事項(登記記録の全部の情報の提供)が1件330円です。この額には指定法人手数料10円が含まれています。詳しくは登記情報提供サービスのサイトで確認できます。
使い分けの目安はこうです。取引先の役員をちょっと確かめたいだけなら登記情報提供サービス。契約書に添付する、金融機関に出すといった、証明書としての効力が必要な場面では登記事項証明書。この2つを混同して、提出先に「これでは受け付けられません」と言われるケースがあります。提出用かどうかを先に確認してください。
なお、登記事項証明書は枚数が多くなると加算があります。法務局の手数料一覧では、50枚を超える場合は50枚までごとに100円が加算されるとされています。設立から長く、役員の入れ替わりが多い会社の履歴事項証明書は、枚数が増えることがあります。
会社の印鑑証明書とは別のもの
登記事項証明書とよく混同されるのが、会社の印鑑証明書です。契約や不動産の取引で「登記事項証明書と印鑑証明書を」と両方求められることがあり、同じものだと思って片方しか取らない人がいます。
登記事項証明書は、会社の登記の内容を証明する書面です。商号、本店、目的、資本金、役員などが載ります。
会社の印鑑証明書は、その会社が法務局に届け出た印鑑(いわゆる会社の実印)が本物であることを証明する書面です。印影と、届け出た代表者の資格・氏名・住所が載ります。契約書に押した印が会社の実印かどうかを相手が確かめるために使います。
手数料も別です。法務局が公表している主な手数料一覧では、印鑑証明書は書面請求が1件500円、オンライン請求で郵送受け取りが1件450円、オンライン請求で窓口受け取りが1件420円です。登記事項証明書とは金額が違います。
もう1つ違う点があります。印鑑証明書は誰でも取れるわけではありません。印鑑カードが必要で、実質的にはその会社の関係者しか取れない仕組みになっています。登記事項証明書は誰でも取れるのに対し、印鑑証明書は取れる人が限られる。この差が、書類としての意味の違いを表しています。
取引先の実体を調べたいだけなら登記事項証明書で足ります。印鑑証明書が要るのは、相手が押した印が実印かどうかを確かめる必要がある場面です。
登記事項要約書という、もっと安い選択肢
証明書ではなく、内容を確認するだけの書面として登記事項要約書があります。商業登記法は、何人も手数料を納付して、登記簿に記録されている事項の概要を記載した書面の交付を請求することができると定めています。
商業登記規則によると、会社についての登記事項要約書は、商号区、会社状態区、および請求に係る区に記録されている事項のうち現に効力を有する登記事項を記載して作られます。役員区については、取締役、代表取締役、監査役などの就任の年月日も記載されます。
手数料は、法務局の一覧で登記事項要約書の交付・登記簿等の閲覧が1通500円とされています。登記事項証明書の書面請求より100円安いという程度の差です。
では、なぜあまり使われないのか。理由は2つあります。1つは、認証文が付いていないので証明書として使えないこと。提出先に出す書類には使えません。もう1つは、請求できるのが登記簿を管理している登記所だけであること。登記事項証明書は他の登記所でも取れますが、要約書はそうではありません。
100円の差で使い勝手が大きく落ちるので、実務では登記事項証明書を取るほうが素直です。内容の確認だけなら、窓口に行かずに済む登記情報提供サービスのほうが合理的でしょう。
役員の任期を知らないと、登記の時期が読めない
役員を変えたときに登記が必要なのは分かりやすいのですが、実務でつまずくのは「変えていないのに登記が必要になる」場面です。任期満了のときです。
株式会社の取締役の任期は、原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです。監査役は4年です。ただし、株式の譲渡に会社の承認を要する定めを置いた会社(公開会社でない株式会社)であれば、定款でそれぞれ最長10年まで伸ばせます。
創業期の1人会社は、この10年を選ぶことが多いです。手続きが10年に1度になるので合理的な選択です。ただし副作用があります。10年に1度しか来ない作業は、確実に忘れられます。
任期が満了すると、同じ人が続けるとしても、いったん退任して再び就任した扱いになります。これを重任といい、登記が必要です。定時株主総会で選び直し、その議事録と就任承諾書を添えて申請します。登録免許税は資本金1億円以下の会社で1万円です。
任期の満了日は、事業年度の終わりから逆算して決まります。だから事業年度を変更すると、任期の満了日も動きます。決算月を変えたときに役員の任期を確認しておく必要があるのは、このためです。
自分の会社の役員の任期がいつ満了するかは、定款の役員に関する条文と、登記事項証明書に載っている就任年月日の組み合わせで計算できます。就任年月日から任期の年数を足し、その年の定時株主総会の日が満了日です。この日付をカレンダーに入れておけば、10年後に忘れるということが起きません。
取引先の登記を見るときに確かめる項目
最後に、取引を始める前に相手の登記事項証明書を見るとき、どこを読むかを整理しておきます。
商号と本店が、相手が名乗っているものと一致しているか。 名刺やサイトに書かれている住所と、登記の本店が違う会社があります。事務所を移したのに登記を直していない、という場合が多いのですが、まったく別の場所というケースもあります。
会社成立の年月日。 設立から何年経っているかが分かります。ただし、古い会社が必ず信用できるわけではありません。長く休眠していた会社を買って使っている例もあります。1つの情報として見る程度にしてください。
目的欄に、依頼しようとしている事業が含まれているか。 含まれていなくても取引が無効になるわけではありませんが、本業と離れた依頼をしているなら、念のため確認する材料になります。許認可が必要な事業では、目的欄に書かれていることと許認可を持っていることは別なので、許認可そのものを確かめる必要があります。
資本金の額。 規模の目安にはなりますが、資本金がそのまま現金として残っているわけではないので、財務の健全性は分かりません。
代表取締役が誰か、代表権があるか。 契約を交わす相手が代表取締役でない場合、その人に契約の権限があるかを別途確かめる必要があります。
最後の登記がいつか。 履歴事項証明書を見て、直近の登記から何年経っているかを見ます。10年以上動いていない会社は、休眠会社として整理される対象に近づいている可能性があります。
これらを1通の証明書で確かめられるのが、登記が公開されていることの利点です。相手が個人か法人かを問わず、法人であれば必ず登記があります。取引の金額が大きいときは、1通600円でこれだけの情報が取れるのは安いものです。
役員を変えたら2週間以内に登記する
自分の会社の役員が変わったときの話に移ります。
会社法第915条第1項は、会社において第911条第3項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、2週間以内に、その本店の所在地において変更の登記をしなければならないとしています。役員の氏名は第911条第3項に挙げられている事項なので、役員が就任・退任・辞任した場合は2週間以内です。
期限を過ぎても申請は受け付けてもらえます。ただし会社法第976条第1号により、登記をすることを怠ったときは、登記の申請を怠った代表者等が裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があります。過料は会社ではなく代表者個人にかかる点が特徴です。
登録免許税は、登録免許税法の別表第一が定める商業登記の区分によります。取締役、代表取締役、監査役などに関する事項の変更の登記は申請1件につき3万円ですが、資本金の額が1億円以下の会社については1万円です。中小企業のほとんどは1万円の区分に入ります。
見落とされやすいのが、任期満了による重任の登記です。同じ人が続けて役員をやる場合でも、任期が満了すればいったん退任して再び就任した扱いになるので、登記が必要です。「人が変わっていないから何もしなくてよい」と考えていると、登記を怠った状態が続きます。役員の任期を10年にしている会社は、10年に1度この作業が来ることを忘れがちです。
12年登記していない会社は、解散させられることがある
登記を放置することの一番重いリスクがこれです。
会社法第472条は、休眠会社について定めています。休眠会社とは、株式会社であって、その株式会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過したもののことです。法務大臣が、2か月以内に本店の所在地を管轄する登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨を官報に公告した場合において、その届出をしないときは、その2か月の期間の満了の時に解散したものとみなされます。ただし、その期間内にその会社に関する登記がされたときは、この限りではありません。
12年という期間が出てくるのは、役員の任期を最長10年まで伸ばせることと関係しています。任期を10年にしていても、10年ごとに重任の登記をしていれば12年は空きません。逆に、10年の任期のまま重任の登記を1回忘れると、12年に届いてしまうことがあります。
登記所は公告があったときに会社へ通知を発しなければならないとされているので、本店に届いた郵便を開けていれば気づけます。ところが、本店の住所を実際には使っていない会社、郵便を転送していない会社では、この通知を見ないまま2か月が過ぎます。そして会社が解散した状態になります。
自分の会社が最後にいつ登記をしたかは、登記事項証明書を1通取れば分かります。役員の就任年月日がいちばん新しい日付です。そこから何年経っているかを数えてみてください。
会社の記録を管理する仕事は、誰が持つか
20年この市場を見てきた立場から言えば、登記の期限を落とす会社は、怠けているわけではありません。年に1回も走らない作業だから、担当者が決まっていないだけです。役員の任期が10年なら、その手続きは10年に1度。前回やった人がもういない、というのが実際に起きていることです。
長く続いている会社ほど、この種の「間隔の長い作業」を仕組みに載せています。手順を文書にして、いつ何をするかをカレンダーに入れる。この作業自体は法律の知識をあまり必要としないので、経営者が抱え込む理由がありません。判断が要る部分、たとえば誰を役員にするかは経営者が決める。書類を整える部分、期限を管理する部分は、慣れた人に任せる。この切り分けが早い会社は、手続きで事業が止まりません。
そのときに効いてくるのが、間に入る手数料の大きさです。同じ予算でも、仲介の取り分が大きければ実際に手を動かす人に届く額は減り、受ける側の手取りも薄くなります。手数料0%で直接やり取りできる形は、依頼する側が同じ予算でより多く頼め、受ける側の手取りが厚くなるという意味で、両方に効きます。運営者として見てきた限りでは、この形で続いている関係ほど、単発の作業依頼ではなく「この時期はこの人に頼む」という定着した関係に育っています。
社内の記録や手続きを人に任せることを考え始めたら、どんな仕事が外に出せるかを一覧で見ておくと具体化します。定型業務を洗い出して仕組みに乗せるAIコンサル・業務活用支援のお仕事や、情報管理まで含めて見るAI・マーケティング・セキュリティのお仕事は、この領域と重なります。手続きそのものをアプリに置き換えるならアプリケーション開発のお仕事という発注の仕方もあります。
予算を組むときは相場を先に見ておくと交渉が早く終わります。開発を頼む場合はソフトウェア作成者の年収・単価相場、文書を作る仕事を頼む場合は著述家,記者,編集者の年収・単価相場に、職業分類ごとの水準がまとまっています。任せる相手を選ぶ手がかりとしては、議事録や規程を扱う業務ならビジネス文書検定、技術面の業務なら扱える範囲がはっきり分かるCCNA(シスコ技術者認定)のような資格が目安になります。
外注を始める前に整えておきたいのが、発注の型です。フリーランスに仕事を出す会社には下請法(取適法)の規制がかかる場面があり、発注書に書くべき項目が決まっています。この点はフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストに整理されています。取引先の登記を確認するのは、支払いのトラブルを避けるためでもあります。もし回収の段階まで行ってしまった場合の手順と費用は未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】にまとまっており、契約書に何を入れておくべきかを逆算できます。会計まわりを誰に見てもらうかで迷っているなら、会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】に、専門職がどこまで受けられるかが整理されています。
登記簿謄本で役員を確かめる作業は、慣れれば10分で終わります。履歴まで見たいなら履歴事項証明書を1通、内容だけ見たいなら登記情報提供サービスで1件。この2つを覚えておけば、取引の前に相手を確かめるという習慣が、手間なく回るようになります。
よくある質問
Q. 登記簿謄本と登記事項証明書は違うものですか?
同じものです。かつて紙の帳簿を写して交付していたので謄本と呼び、記録がコンピュータ化された現在は、記録された事項を証明した書面という意味で登記事項証明書と呼んでいます。取引先から「謄本を送ってください」と言われたら、登記事項証明書を取って送れば問題ありません。
Q. 過去の役員まで確認したい場合はどれを取りますか?
履歴事項証明書です。商業登記規則によると、請求日の3年前の日の属する年の1月1日から請求日までの間に抹消された登記事項と、その間に登記されて現に効力を有しない事項が記載されます。3年より前の役員や、すでに存在しない会社の役員を追いたい場合は、閉鎖事項証明書を請求します。
Q. 取引先の登記事項証明書を勝手に取ってもよいのですか?
問題ありません。商業登記法は、何人も手数料を納付して登記事項証明書の交付を請求することができると定めており、請求の理由を説明する必要もありません。他の登記所の登記官に対しても請求できるので、相手の本店が遠方でも最寄りの法務局で取れます。
Q. 代表取締役の住所が市区町村までしか載っていないのはなぜですか?
2024年10月1日から始まった代表取締役等住所非表示措置が使われている可能性があります。一定の要件のもとで代表取締役等の住所の一部を表示しない制度で、措置が講じられると住所は最小行政区画までしか記載されません。会社が実在しないわけではなく、住所の証明が必要な場面では会社の印鑑証明書など別の書類で代替します。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
丸山 桃子@SOHO編集部
アパレルEC運営支援・SNSコンサル
アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。
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