進捗管理表をエクセルで作る|遅れに早く気づく列の決め方

この記事のポイント
- ✓進捗管理表をエクセルで作る手順を
- ✓遅れを色で知らせる条件付き書式
- ✓TODAY関数やNETWORKDAYS関数を使った残り日数の計算まで具体的に解説
進捗管理表をエクセルで作ろうとすると、列をいくつ並べればよいのか、状況をどう書けば遅れが分かるのかで手が止まりがちです。作るだけなら30分で終わりますが、使い続けられる表と、2週間で誰も更新しなくなる表の差は、最初の列の決め方でほぼ決まります。
この記事では、エクセルで進捗管理表を作る手順を、列の選び方から、状況の選択肢の作り方、遅れを色で知らせる条件付き書式、残り日数を自動で計算する関数まで、順に説明します。遅れに早く気づくための考え方を中心に、更新が止まる原因と運用の決まり、エクセルでは足りなくなる場面も取り上げます。複数人で担当と期限と進み具合を共有したくなったときの選択肢として、ボードで進めるプロジェクト管理のPinatecaにも後半で触れます。
進捗管理表でエクセルが選ばれる理由
進捗管理の専用の道具は数多くありますが、いまもエクセルで進捗管理表を作る職場は少なくありません。理由は単純で、ほとんどの人がすでに使い方を知っているからです。プロジェクト管理の道具を提供する会社のコラムでも、次のように書かれています。
プロジェクトメンバーにもExcelの使用経験がある人はたくさんいると予想できます。そのため、Excelで作った管理表ならすぐ使いこなしてくれると期待できます。 出典: lychee-redmine.jp
新しい道具を入れるときは、使い方を覚えてもらう時間と、アカウントを用意する手間がかかります。エクセルなら、ファイルを1つ共有するだけで始められます。列の名前も、並べ方も、自分たちの仕事に合わせて自由に変えられます。社外の取引先とやり取りするときも、エクセルのファイルなら相手の環境を選びません。
一方で、エクセルには苦手なこともあります。同じコラムでは、次のようにも指摘しています。
Excelは作業予定を視覚化するのが精一杯で、さらなる機能を求めるのはなかなか厳しいと言えます。例えば、作業予定と実際の稼働スケジュールのズレを視覚化するのは難しいですし、作業進捗のグラフ化も簡単にはできません。 出典: lychee-redmine.jp
この苦手な部分は、列の決め方と、条件付き書式や関数の使い方で、かなりの部分を補えます。特に、予定と実際のずれ、つまり遅れに気づくことは、表の作り方次第で、エクセルでも十分にできます。逆に、表の作り方を誤ると、どれほど丁寧に入力しても、遅れは表の上に現れません。この記事では、遅れに早く気づくことを目的に、表の作り方を組み立てます。
遅れに気づけない進捗管理表の共通点
先に、うまくいかない進捗管理表の例を見ておきます。よくあるのは、次のような表です。
- 状況の列に「作業中」としか書かれておらず、予定どおりなのか遅れているのかが分からない
- 進み具合を「60%」のような割合で書くが、何をもって60%なのかが人によって違う
- 期限の列はあるが、実際に終わった日の列がなく、遅れて終わったのか期限どおりに終わったのかが残らない
- 担当の列に複数の名前が書かれていて、誰が責任を持つのかがはっきりしない
- 作業の単位が大きすぎて、何週間も「作業中」のまま変わらない
どれも、表に書かれている情報から、遅れを読み取れないという点で共通しています。進捗管理表の目的は、作業の一覧を作ることではなく、予定と実際のずれに、取り返しがつくうちに気づくことです。そのためには、表のどこかに、予定の日付と、今日の日付と、実際の状況を比べる仕組みが必要です。
特に、割合で進み具合を書く方法には注意が要ります。人は、作業の終わりが近づくほど、残りの量を小さく見積もりがちです。「90%まで終わった」と報告された作業が、そこから何日も終わらないのはよくあることです。進み具合は、割合より、「終わった」「終わっていない」がはっきり分かる小さな作業に分けて管理したほうが、遅れに早く気づけます。
表を作る前に作業を洗い出す
列を決める前に、管理する作業を洗い出します。表の出来は、どの列を並べるかより、どのような作業の行を並べるかで決まるからです。
洗い出しは、仕事の最後の成果から逆にたどると漏れが少なくなります。たとえば、会社のWebサイトを新しくする仕事なら、最後の成果は「新しいサイトが公開されている」状態です。そこから、公開の前には何が終わっていなければならないかを考えます。公開の前には、表示の確認が終わっている必要があり、その前にはページの制作が、その前にはデザインの確定が、その前には原稿の用意が、と順にさかのぼります。
大きな段階が見えたら、それぞれを、1日から5日で終わる作業に分けます。「原稿の用意」なら、「会社案内のページの原稿を書く」「サービスのページの原稿を書く」「原稿を部長に確認してもらう」「確認を受けて原稿を直す」のように分けます。確認してもらう作業と、直す作業を、別の行に分けておくのがこつです。確認は、自分ではなく相手の都合で進むので、そこが止まったときに表の上で見えるようにしておきます。
洗い出しの段階では、付せんや紙に書き出してから並べ替えるのも効果的です。最初からエクセルに入力すると、行の順番を入れ替えるのが面倒になり、思いついた順に並んだままになりがちです。全体の流れが決まってから表に入力すると、作業の順番と、前の作業が終わらないと始められない作業の関係が、はっきりします。
洗い出した作業には、それぞれ、どのくらいの日数がかかるかの見込みを付けます。見込みは、担当する人に聞いて決めます。まとめ役が一人で決めると、担当者が無理だと感じる日数が並び、最初から遅れる表になります。担当者が出した見込みに、確認や手戻りのための余裕の日数を少し加えて、予定の日付を決めます。
進捗管理表に入れる列の決め方
遅れに気づける進捗管理表にするために、次の列を基本にします。
| 列 | 書く内容 | 遅れに気づくための役割 |
|---|---|---|
| 番号 | 1から順の番号 | 打ち合わせで「〇番の作業」と呼べる |
| 作業名 | 何をするかを動詞で終わる形で書く | 終わったかどうかを判断しやすくする |
| 担当 | 責任を持つ人を1人だけ書く | 遅れたときに誰に聞けばよいかが分かる |
| 開始予定日 | 作業を始める予定の日 | 始まっていない作業に気づける |
| 終了予定日 | 作業を終える予定の日 | 期限を過ぎた作業に気づける |
| 状況 | 未着手、作業中、確認待ち、完了、保留から選ぶ | 選択肢を決めて、書き方をそろえる |
| 実際の終了日 | 実際に終わった日 | 予定とのずれを後から振り返れる |
| 残り日数 | 終了予定日までの日数を関数で計算する | 期限が近い作業に気づける |
| 判定 | 遅れ、注意、順調などを関数で表示する | 一目で遅れが分かる |
| メモ | 止まっている理由や、次にすること | 遅れの原因を共有できる |
最初の7列は、人が入力する列です。残り日数と判定の2列は、関数で自動に表示する列で、人は触りません。入力する列と、計算する列を分けることが、表を壊さずに使い続ける大切な点です。計算の列には、背景に薄い色を付けたり、シートの保護で入力できないようにしたりして、誤って上書きされないようにします。
作業名は、「デザイン」のような名詞だけで書かず、「トップページのデザイン案を3つ作る」のように、動詞で終わる形で書きます。名詞だけだと、どこまでやれば終わりなのかが人によって違い、「作業中」が長く続く原因になります。終わりの状態がはっきりしていれば、終わったかどうかの判断で迷いません。
作業の大きさも決めておきます。目安は、1つの作業が1日から5日で終わる大きさです。2週間以上かかる作業は、途中の段階に分けます。小さく分けておけば、1つの作業の遅れが、全体の遅れになる前に気づけます。
担当は必ず1人にします。2人で進める作業でも、表に書くのは、終わらせる責任を持つ1人の名前です。複数の名前を書くと、お互いに相手が進めていると思い込み、誰も手をつけないということが起きます。
エクセルで進捗管理表を作る手順
ここからは、実際にエクセルで表を作る手順を説明します。
見出しの行を作り、テーブルにする
1行目に、前の節で決めた列の名前を並べます。並べたら、見出しの行と、その下の何行かを選び、「挿入」のタブから「テーブル」を選んでテーブルに変換します。テーブルにすると、行を追加したときに、書式や関数が自動で下の行に引き継がれます。見出しの行に絞り込みのボタンが付くので、担当ごとや状況ごとに表示を絞り込むのも簡単になります。
見出しの行は、画面を下に送っても見えるように固定します。「表示」のタブの「ウィンドウ枠の固定」から「先頭行の固定」を選びます。作業が50行、100行と増えても、どの列が何かを見失いません。
状況の列に選択肢を作る
状況の列は、人によって書き方がばらつきやすい列です。「作業中」「対応中」「進行中」が混ざると、絞り込みも、関数での判定もできなくなります。そこで、入力できる値を決めて、選択肢から選ぶ形にします。
Microsoftのドロップダウンリストを作成するの案内のとおり、状況の列を選んで、「データ」のタブの「データの入力規則」を開き、入力値の種類で「リスト」を選びます。元の値に「未着手,作業中,確認待ち,完了,保留」のように、カンマで区切って入力すれば、セルを選んだときに選択肢が表示されます。
選択肢は、5つ前後に絞ります。多すぎると選ぶ人が迷い、少なすぎると状況の違いを表せません。「確認待ち」を入れておくのがおすすめです。自分の作業は終わったのに、上司や取引先の確認を待っているために止まっている作業は、遅れの原因になりやすく、別に見えるようにしておく価値があります。「保留」は、事情があって一時的に止めている作業に使い、判定の対象から外します。
担当の列も、同じように選択肢にしておくと、名前の書き方がそろいます。「田中」「田中さん」「たなか」が混ざると、担当ごとの絞り込みができなくなるからです。
残り日数を関数で計算する
残り日数の列には、終了予定日から今日の日付を引いた日数を表示します。今日の日付は、TODAY関数で取り出せます。MicrosoftのTODAY関数の説明によると、TODAY関数は引数を取らず、ファイルを開いたときなどに再計算されて、その日の日付を返します。
終了予定日がE列にあるとすると、残り日数のセルには =E2-TODAY() と入力します。結果が日付の形で表示されたら、セルの表示形式を「標準」または「数値」に変えます。値がマイナスなら、期限を過ぎていることを表します。
ただし、完了した作業にも残り日数が表示され続けると、表が見にくくなります。そこで、状況が完了か保留なら空欄にし、それ以外のときだけ日数を表示するようにします。状況がF列なら、=IF(OR(F2="完了",F2="保留"),"",E2-TODAY()) のように書きます。
土日や祝日を除いた、実際に働ける日数で数えたい場合は、NETWORKDAYS関数を使います。MicrosoftのNETWORKDAYS関数の説明のとおり、開始日と終了日の間の稼働日の数を返す関数で、3つ目の引数に祝日の一覧の範囲を指定すれば、祝日も除いて数えられます。祝日の一覧は、別のシートに日付を並べておきます。NETWORKDAYS関数は、開始日と終了日の両方を数に含めるので、今日を含めた残りの稼働日になります。
判定の列で遅れを言葉にする
残り日数の数字だけでは、どの作業に注意すべきかを読み取るのに時間がかかります。そこで、判定の列で、遅れの状態を言葉で表示します。
判定の考え方は、次のとおりです。
- 完了か保留なら、空欄
- 終了予定日を過ぎているのに完了していないなら、「遅れ」
- 開始予定日を過ぎているのに未着手なら、「着手遅れ」
- 終了予定日まで3日以内なら、「注意」
- それ以外は、「順調」
開始予定日がD列、終了予定日がE列、状況がF列にあるとすると、判定のセルには次のような式を入れます。
=IF(OR(F2="完了",F2="保留"),"",IF(TODAY()>E2,"遅れ",IF(AND(F2="未着手",TODAY()>D2),"着手遅れ",IF(3>=E2-TODAY(),"注意","順調"))))
「着手遅れ」を入れておくのが、遅れに早く気づくための工夫です。期限を過ぎてから気づく遅れは、もう取り返しにくい遅れです。始める予定の日を過ぎても手がついていない作業は、期限より前に見つけられる、遅れの兆しです。この判定があるだけで、打ち合わせのたびに「着手遅れの作業はありますか」と確かめられるようになります。
「注意」とする日数は、仕事の性質に合わせて決めます。1つの作業が1日から2日で終わる仕事なら1日前、1週間かかる作業が多い仕事なら5日前のように、作業の長さに合わせると、注意の表示が多すぎず少なすぎずになります。
条件付き書式で色を付ける
判定の列ができたら、条件付き書式で行に色を付けます。Microsoftの条件付き書式の案内にあるとおり、条件付き書式を使うと、セルの値や数式の結果に応じて、色や書式を自動で変えられます。
行全体に色を付けるには、表のデータの範囲を選び、「ホーム」のタブの「条件付き書式」から「新しいルール」を選び、「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選びます。判定がI列なら、数式に =$I2="遅れ" と入力し、薄い赤の塗りつぶしを設定します。同じように、=$I2="着手遅れ" には薄い橙、=$I2="注意" には薄い黄を設定します。列の記号の前にだけ「$」を付けるのは、どの列のセルでもI列の値を見て判断させるためです。
完了した行は、文字を薄い灰色にすると、残っている作業が目立ちます。=$F2="完了" に灰色の文字を設定します。色は3色から4色に抑えます。色が多すぎると、どの色が何を意味するのかを覚えられず、かえって遅れを見落とします。
進捗管理表を使い続けるための運用の決まり
表がよくできていても、更新されなければ意味がありません。進捗管理表が使われなくなる原因の多くは、表の作りではなく、更新の決まりがないことです。次のことを、表を作るのと同じタイミングで決めます。
- 誰が更新するのか。担当者が自分の作業の行を更新するのか、まとめ役が聞き取って更新するのかを決めます。担当者が自分で更新するほうが、情報が早く正確になります
- いつ更新するのか。毎日の終業前、週の初めの朝、など、時刻まで決めます。「気づいたときに」では、誰も更新しません
- どこを更新するのか。状況と実際の終了日とメモの3つだけを更新すればよいように、表を作っておきます。更新する場所が多いほど、更新は続きません
- いつ表を見るのか。週に1回の打ち合わせで、判定が遅れ、着手遅れ、注意の行だけを確かめる、と決めます。順調な行の報告は省きます
打ち合わせでは、遅れの行について、責める言葉ではなく、何が止めているのかを聞きます。遅れを報告すると責められる職場では、担当者は遅れを隠すようになり、表はいつも「順調」で埋まります。遅れを早く書いた人ほど助かる、という使い方をすることで、表は本当の状況を映すようになります。
メモの列には、止まっている理由と、次にすることを書きます。「〇〇社の返事待ち。〇月〇日に再度問い合わせる」のように書いておくと、担当者が休んでも、ほかの人が状況を引き継げます。
ファイルの置き場所も、運用の決まりの1つです。表のファイルは、チームの全員が開ける共有の場所に1つだけ保存し、メールに添付して送り合わないと決めます。表を見てほしいときは、ファイルではなく保存の場所を伝えます。ファイル名には日付や「最新版」を付けず、同じ名前のファイルを更新し続けます。ファイル名に日付を付けると、毎回新しいファイルが増え、どれが正しい表なのかが分からなくなるからです。
Googleスプレッドシートで同じ表を作る場合
エクセルの代わりに、Googleスプレッドシートで進捗管理表を作る職場もあります。ブラウザで開けて、複数の人が同時に編集でき、変更の履歴も残るため、離れた場所で働くチームでは使いやすい選択肢です。
この記事で紹介した表の作り方は、Googleスプレッドシートでもほぼそのまま使えます。TODAY関数、NETWORKDAYS関数、IF関数、COUNTIF関数とCOUNTIFS関数は、同じ名前と同じ書き方で使えます。状況の選択肢は、セルを選んで「データの入力規則」からプルダウンを設定します。遅れの色付けは、「表示形式」の「条件付き書式」で「カスタム数式」を選び、エクセルと同じように =$I2="遅れ" のような式を入れます。
違いが出やすいのは、テーブルの機能と、シートの保護です。エクセルのテーブルのように、行を追加したときに式が自動で引き継がれる動きは、Googleスプレッドシートでは同じ形にならないことがあります。式の列は、あらかじめ下の行まで式を入れておくか、ARRAYFORMULA関数で列全体に式を広げる方法があります。計算の列を守るには、「データ」の「シートと範囲を保護」で、編集できる人を限ります。
エクセルとGoogleスプレッドシートのどちらを選ぶかは、取引先や社内で使っている道具に合わせるのが基本です。社外の人とファイルをやり取りすることが多いならエクセル、チームの中で同時に更新することが多いならGoogleスプレッドシート、と考えると決めやすくなります。どちらを選んでも、遅れに気づくための列と判定の考え方は変わりません。
集計の欄で全体の進み具合を確かめる
1行ずつの判定とは別に、表の上のほうに、全体の進み具合を確かめる集計の欄を作っておくと、打ち合わせの最初に全体の状況をつかめます。
集計には、COUNTIF関数を使います。状況がF列にあるなら、完了した作業の数は =COUNTIF(F:F,"完了") で数えられます。判定がI列なら、遅れている作業の数は =COUNTIF(I:I,"遅れ")、着手遅れの数は =COUNTIF(I:I,"着手遅れ") で数えます。全体の作業の数で完了の数を割れば、作業の数で見た進み具合の割合になります。この割合は、人の感覚ではなく、終わった作業の数から出した数字なので、担当者によるばらつきがありません。
担当者ごとの状況を見たいときは、COUNTIFS関数で、担当と判定の2つの条件を組み合わせます。担当がC列なら、=COUNTIFS(C:C,"田中",I:I,"遅れ") のように書けば、田中さんの担当で遅れている作業の数が分かります。担当者の名前を縦に並べ、横に遅れ、着手遅れ、注意の数を並べた小さな表を作っておくと、誰に作業が集中しているのか、誰の手が止まっているのかが見えてきます。
集計の数字は、週に1回、別のシートに書き写して残しておくと、週ごとの変化が分かります。遅れの数が週を追うごとに増えているなら、個々の作業の問題ではなく、予定の立て方そのものに無理がある兆しです。そのときは、残りの作業の予定を担当者と見直します。
予定と実際のずれを振り返る
作業が終わったら、実際の終了日の列に日付を入れます。この列があると、作業が終わった後に、予定と実際のずれを振り返れます。
ずれを数字で見たいときは、実際の終了日から終了予定日を引いた日数を、別の列に表示します。実際の終了日がG列、終了予定日がE列なら、=IF(G2="","",G2-E2) と入力します。プラスなら予定より遅れて終わり、マイナスなら予定より早く終わったことを表します。
仕事がひと区切りついたら、この列を見て、遅れが大きかった作業を並べます。遅れの大きかった作業に共通点がないかを確かめると、次の予定を立てるときの手がかりになります。たとえば、取引先の確認を待つ作業がいつも遅れているなら、確認に必要な日数を多めに見込む、確認の依頼を早めに出す、といった手が打てます。特定の担当者の作業ばかりが遅れているなら、その人に作業が集中していないかを確かめます。
振り返りは、遅れた人を責めるためのものではありません。予定の立て方を良くするためのものです。振り返りの結果を次の仕事の予定に生かせば、進捗管理表は、回を重ねるごとに、現実に近い予定を立てる道具になっていきます。
進捗管理表でよくある失敗と直し方
最後に、エクセルの進捗管理表でよくある失敗と、その直し方を整理します。
- 行が増えすぎて見る気が起きない。完了した行は、月に1回、別のシートに移すか、絞り込みで表示しないようにします。いま動いている作業だけが見える状態にしておきます
- 判定の式が壊れている。誰かが計算の列に直接文字を打ち込むと、式が消えます。計算の列は、シートの保護で入力できないようにし、式を入れ直す手順をメモに残しておきます
- 予定の日付を後から書き換えてしまう。遅れたときに終了予定日を書き換えると、遅れの記録が消えます。予定を変えるときは、最初の予定日の列を残し、変更後の予定日を別の列に書くか、メモの列に変更の理由と元の日付を書きます
- 誰も見ていない。表を見る場を決めていないと、更新されていても使われません。週に1回の打ち合わせで、表を画面に映して確かめる時間を、5分でも取ります
エクセルの進捗管理表で困りやすい場面
エクセルの進捗管理表は、少人数で、1つのファイルを順番に更新する使い方には向いています。一方で、次のような場面では、運用が難しくなってきます。
- 複数の人が同時に編集する。ファイルを共有のフォルダに置いて使うと、誰かが開いている間は、ほかの人が編集できないことがあります。保存の行き違いで、更新した内容が上書きされることもあります
- 版が増える。メールでファイルを送り合うと、「最新版」「最新版2」のように複数の版ができ、どれが正しいのかが分からなくなります
- 作業ごとのやり取りが残らない。表のメモの列に書ける量には限りがあり、作業ごとの相談や決定の経緯は、別のメールやチャットに散らばります
- 期間の重なりが見えにくい。作業の一覧の表では、どの作業とどの作業が同じ時期に重なっているのか、誰に作業が集中しているのかが、読み取りにくくなります
このうち、同時編集の問題は、Microsoft 365のOneDriveやSharePointにファイルを保存して、ブラウザ版やデスクトップ版のエクセルで共同で編集する方法で、ある程度は解決できます。期間の重なりは、セルに色を付けてガントチャートのように表す方法もあります。ただ、行と列が増えるほど、色付けの式の管理は複雑になります。
こうした弱点は、作業をする担当者より、表をまとめる立場の人の負担として表れます。担当者からの報告を集めて表に書き写す、版の違うファイルを見比べて正しい内容に直す、メールやチャットに散らばったやり取りを探して経緯を確かめる。表をまとめる人の時間が、本来の判断や調整ではなく、こうした作業に取られるようになったら、表の運用を見直す時期です。
複数人で担当と期限と進み具合を共有したいとき
5人、10人と関わる人が増え、作業ごとのやり取りも1か所に残したくなったら、プロジェクト管理の道具を使う方法があります。エクセルで決めた列の考え方は、そのまま道具の項目に置き換えられます。担当は担当者、終了予定日は期限、状況はボードの列や項目、メモはコメントに当たります。表で列を決めておいたことは、道具に移るときにも無駄になりません。
その選択肢の1つがPinatecaです。公式サイトによると、Pinatecaは、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットを使えるプロジェクト管理の道具で、ガントチャートのボードでは、カードの期間が横棒で並び、今日の線で遅れている作業を一目で確かめられると案内されています。担当者ごと、ラベルごとの絞り込みや、見積もりの工数や優先度などの項目を自分たちで追加できるカスタムフィールドもあります。カードごとにコメントを残せるので、エクセルのメモの列に入りきらなかったやり取りを、作業のすぐ隣に残せます。
料金は、公式の料金ページによると、5人までのチームならフリープランで0円、ボードは10個まで、8種類のボードとチャット、カスタムフィールドが使えます。6人目、または11個目のボードからは、スタンダードプランが1人あたり月額500円(年払いなら1人あたり月額400円、税抜)と案内されています。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
道具に移すかどうかは、エクセルの表で困っていることが、道具で解決できるかで判断します。1人で、または2人から3人で、決まった時間に更新できているなら、エクセルの表で足りています。同時に編集したい、作業ごとのやり取りを残したい、期間の重なりを見たい、という困りごとが出てきたら、無料の範囲で試してから決めると、移行の失敗を防げます。
進捗を管理する力が生きる仕事
フリーランスと在宅ワークの仲介を2004年から続けてきた運営者の立場から見ると、離れた場所で働く人ほど、進捗の見せ方で仕事の評価が変わります。同じ部屋にいれば、作業をしている姿で安心してもらえますが、在宅で業務委託の仕事を受けていると、依頼主に見えるのは、報告と成果物だけです。期限の前に「着手しました」「確認待ちです」と状況を伝えられる人は、依頼主から見て任せやすく、次の仕事にもつながりやすくなります。
運営者として見てきた限りでは、長く続く受け手ほど、依頼主と最初に、どの表で、どの頻度で状況を共有するかを決めています。表の形は、エクセルでも、共有のスプレッドシートでも、プロジェクト管理の道具でも構いません。大切なのは、遅れを早く伝え、相談する仕組みを最初に作っておくことです。中間のマージンが乗らない直接の取引では、こうした信頼の積み重ねが、そのまま次の依頼と手取りの厚さにつながります。
進捗管理表を作り、チームの仕事の流れを整える力は、業務の改善を支援する仕事でも求められます。AIや道具を職場に取り入れる支援の仕事については、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で、どのような依頼があるかを紹介しています。仕事の進め方や管理の仕組みを、経営の視点から整理したい人は、中小企業診断士の試験の内容も参考になります。まずは手元の作業を、終わりの状態がはっきりした小さな作業に分けて、表の1行目から書き始めてみてください。
よくある質問
Q. 進捗管理表の状況は何種類に分ければよいですか?
5つ前後が使いやすい数です。未着手、作業中、確認待ち、完了、保留の5つにしておくと、多くの仕事に合います。確認待ちを分けておくと、自分の作業は終わったのに相手の返事で止まっている作業が見えるようになります。選択肢はデータの入力規則で作り、書き方がばらつかないようにします。
Q. 進み具合を割合で書く方法はおすすめできますか?
割合は人によって基準が違い、終わりに近づくほど残りを小さく見積もりがちなので、遅れに気づくのが遅くなります。作業を1日から5日で終わる大きさに分け、終わったか終わっていないかで管理するほうが確実です。全体の進み具合を知りたいときは、完了した作業の数を全体の数で割って求めます。
Q. エクセルの進捗管理表を複数人で同時に編集できますか?
Microsoft 365のOneDriveやSharePointにファイルを保存すれば、ブラウザ版やデスクトップ版のエクセルで、複数の人が同時に編集できます。共有のフォルダにファイルを保存して使う方法や、メールでファイルを送り合う方法では、上書きや版の混在が起きやすいので、保存の場所を1か所に決めることが大切です。
Q. 進捗管理表とガントチャートはどう使い分ければよいですか?
進捗管理表は、作業ごとの担当、期限、状況を一覧で確かめるのに向いています。ガントチャートは、作業の期間を横棒で並べ、作業の重なりや順番を見るのに向いています。作業の数が少ないうちは進捗管理表だけで足り、作業の重なりや前後の関係が増えてきたら、ガントチャートを併せて使うと全体を見渡しやすくなります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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