手順書の書き方|誰が読んでも同じ作業ができる形


この記事のポイント
- ✓他の人に試してもらう確かめ方
- ✓更新の決めごとまで順に解説します
- ✓Word や Excel で作るときの注意と
手順書の書き方で大切なのは、文章のうまさではなく、初めてその作業をする人が、手順書だけを見て最後までやり終えられるかどうかです。作った本人にとって当たり前のことほど書き漏れやすく、そこで読み手の手が止まります。
この記事では、誰が読んでも同じ作業ができる手順書を作るために、書く前の準備、必ず入れる項目、1つの手順に1つの動作を書く書き方、画面の写真の使い方、他の人に試してもらう確かめ方、更新の決めごとまでを順に説明します。手順書づくりを何人かで分担して進めるときは、担当と期限と進み具合を共有できるプロジェクト管理の道具のPinatecaを使う方法にも触れます。
手順書とは何か、マニュアルとの違い
手順書とは、ある1つの作業を、決まった順番どおりに進めるための説明書です。たとえば「請求書を発行する」「新しく入った人のパソコンを用意する」「店舗の閉店作業をする」のように、始まりと終わりがはっきりした作業ごとに1冊作ります。
よく似た言葉にマニュアルがあります。2つの違いを整理すると、次のようになります。
- 手順書:1つの作業の進め方を、順番どおりに書いたもの。読み手はその作業をしながら読む
- マニュアル:ある仕事全体について、考え方、ルール、複数の手順をまとめたもの。読み手は事前に読んで理解する
つまり、マニュアルの中に、いくつもの手順書が入っているという関係です。経理のマニュアルの中に「請求書の発行の手順書」「経費精算の手順書」「月末の締めの手順書」が並んでいる、と考えると分かりやすいでしょう。
手順書を作る目的は、大きく3つあります。
1つ目は、作業の質をそろえることです。人によってやり方が違うと、結果にもばらつきが出ます。手順書があれば、ベテランでも新人でも同じ順番で作業を進められます。
2つ目は、教える時間を減らすことです。新しく入った人に毎回口で説明していると、教える側の時間が削られます。手順書を渡して、分からないところだけを質問してもらう形にすれば、教える時間は大きく減ります。
3つ目は、担当者がいなくても仕事を止めないことです。休みや退職、異動で担当者がいなくなったとき、手順書があれば他の人が代わりに作業を進められます。ある作業を特定の人しかできない状態を「属人化」と呼びますが、手順書はこの状態をほどく道具になります。
手順書を書く前の準備
手順書は、いきなり書き始めると途中で行き詰まりやすいものです。書く前に、次の準備をしておきます。
誰が読むのかを決める
最初に決めるのは、読み手です。同じ作業でも、その仕事に慣れた人が読むのか、入社したばかりの人が読むのかで、書く内容の細かさが変わります。迷ったときは、「その作業を一度もやったことがない人」を読み手に決めます。いちばん知識の少ない人に合わせて書いておけば、慣れた人が読んでも困ることはありません。
作業の始まりと終わりを決める
次に、手順書が扱う範囲を決めます。「請求書を発行する」なら、始まりは「請求の対象になる案件の一覧を開く」、終わりは「発行した請求書を取引先に送り、送ったことを記録する」のように、どこから始めてどこで終えるのかをはっきりさせます。範囲が広すぎるときは、手順書を2つに分けます。1冊の手順書の手順は、多くても20ほどに収めるのが読みやすさの目安です。
実際に作業をしながら素材を集める
準備でいちばん大切なのは、実際にその作業をやってみることです。記憶だけで書くと、細かな操作が抜け落ちます。作業の手順を解説するコンサルティング会社のコラムでは、次のように説明されています。
実際の手順に沿って作業をしてみて、手順書に載せる素材(写真や画像)を集めておきます。 手順を書きながら作業をすると、手順を誤った時にやり直しが発生するため効率が悪く、作成に行き詰まる原因にもなりやすいので、このステップは重要です。 出典: crest-con.co.jp
作業をしながら、操作ごとに画面の写真を撮り、迷いやすいところや間違えやすいところをメモしておきます。エラーの表示が出たら、その画面も残しておきます。こうして集めた素材が、後で手順書を書くときの材料になります。
入力の例を手順書に載せる場合は、本物のお客様の名前や連絡先を使わないように注意します。「株式会社〇〇」「山田太郎」のように、架空の例であることが分かる名前を使います。
手順書に必ず入れる項目
手順書には、本文の手順の前後に、読み手が迷わないための情報を入れます。次の7つの項目を、すべての手順書にそろえておくと、どの手順書も同じ形で読めるようになります。
- タイトル:何の作業の手順書かが分かる名前(例:請求書を発行する手順)
- 目的:この作業を何のためにするのか(1〜2行)
- 対象者:誰が読む手順書か
- 必要なもの:作業を始める前にそろえておくもの(ソフト、ログインの権限、書類など)
- 所要時間の目安:作業にどれくらいかかるか
- 手順:番号つきで、順番どおりに書いた作業の流れ
- 最終更新日と作成者:いつ誰が書いたか、内容に疑問があったら誰に聞けばよいか
特に見落とされやすいのが「必要なもの」です。作業を始めてから「このソフトにログインする権限がない」と気づくと、そこで作業が止まります。始める前に確かめておくべきことを、最初に並べておきます。
「所要時間の目安」も役に立つ項目です。読み手は、作業を始める前に時間を確保できます。初めての人は慣れた人より時間がかかるため、「慣れた人で15分、初めての人で30分ほど」のように幅を持たせて書くと親切です。
誰が読んでも同じ作業ができる書き方
手順書の本文は、書き方のちょっとした工夫で、読みやすさが大きく変わります。ここでは、手順を書くときに守りたいルールを紹介します。
1つの手順に1つの動作を書く
最も大切なルールは、1つの手順に1つの動作だけを書くことです。「メニューから[請求]を選び、取引先を選んで、金額を入力して保存する」と1文に詰め込むと、読み手はどこまでやったかを見失います。次のように分けます。
- 画面上部のメニューから[請求]を押す
- [取引先]の欄で、請求する相手を選ぶ
- [金額]の欄に、請求する金額を入力する
- 画面右下の[保存]を押す
動作を1つずつに分けておけば、読み手は手順を1つ終えるたびに、次の手順に進めます。途中で作業を中断しても、どこから再開すればよいかがすぐに分かります。
文の最初に動作を書く
手順の文は、何をするのかが最初に分かる形にします。「[保存]を押す」「取引先を選ぶ」のように、短く書きます。理由や補足は、手順の文とは別の行に書きます。理由と動作が1文に混ざると、読み手は何をすればよいかを探しながら読むことになります。
画面に表示されている名前で書く
ボタンやメニューの名前は、画面に表示されている言葉をそのまま使います。画面に[登録]と表示されているのに、手順書に「保存ボタン」と書くと、読み手はボタンを探して迷います。画面の名前は[ ]で囲むなど、決まった書き方でそろえておくと、本文と区別しやすくなります。
曖昧な言葉を使わない
「適宜」「必要に応じて」「しばらく待つ」のような言葉は、読む人によって受け取り方が変わります。「金額が10万円を超える場合は、上長に確認する」「画面が切り替わるまで、10秒ほど待つ」のように、判断の基準や時間を具体的に書きます。
分岐は条件をはっきり書く
作業の途中で、状況によってやり方が変わることがあります。このときは、「〇〇の場合は手順5へ、△△の場合は手順8へ進む」のように、条件と行き先をはっきり書きます。分岐が多い作業は、手順書を分けたほうが読みやすくなることもあります。
注意点は手順の直前に書く
間違えやすいところや、やり直しがきかない操作の注意は、その手順の直前に書きます。手順の後に書くと、読み手は操作をしてから注意に気づくことになります。「次の手順で[送信]を押すと取り消せません。宛先を必ず確かめてから押してください」のように、操作の前に読める場所に入れます。
画面の写真と図の使い方
パソコンの操作を説明する手順書では、画面の写真があると分かりやすくなります。ただし、使い方を間違えると、かえって読みにくくなります。
写真は迷いやすい操作に絞る
すべての手順に写真を入れる必要はありません。写真を入れすぎると、手順書のページ数が増え、読み手は必要な情報を探しにくくなります。さらに、ソフトの画面のデザインが変わったときに、すべての写真を撮り直す手間がかかります。写真は、ボタンの場所が分かりにくい操作や、初めての人がよく迷う操作に絞って入れます。
押す場所に印を付ける
写真を入れるときは、押すボタンや入力する欄を、赤い枠や矢印で囲みます。写真だけでは、読み手は画面のどこを見ればよいかが分かりません。印は1枚の写真に1か所が基本です。複数の場所に印を付けると、どれから操作すればよいかが分からなくなります。
個人情報が写り込まないようにする
画面の写真には、お客様の名前やメールアドレス、社内の秘密の情報が写り込むことがあります。写真を手順書に入れる前に、こうした情報が写っていないかを確かめ、写っている場合は塗りつぶします。手順書は多くの人が見るため、ここは必ず確かめます。
作業の流れは図にする
作業全体の流れや、分岐の多い作業は、文章よりも図のほうが伝わりやすいことがあります。四角の枠に作業を書き、矢印でつなぐだけの簡単な図で十分です。手順書の冒頭に全体の流れの図を入れておくと、読み手は作業の全体像をつかんでから細かな手順に進めます。
作業の種類で変わる書き方のポイント
手順書の基本の書き方は同じでも、扱う作業の種類によって、気をつけるところが少しずつ違います。職場でよく作られる3つの種類について、書き方の要点を紹介します。
パソコンの操作の手順書
パソコンの操作は、画面の名前と押す場所が分かれば、ほとんどの人が迷わずに進められます。手順の文には、どの画面で、どのボタンを押すのかを必ず書きます。「[設定]を押す」だけでは、画面のどこにある[設定]なのかが分かりません。「画面右上の[設定]を押す」のように、場所も添えます。
もう1つ大切なのが、操作した後に何が起きるかを書くことです。「[保存]を押すと、画面の上に『保存しました』と表示される」のように、正しく操作できたときの目印を書いておくと、読み手は自分の操作が合っているかをその場で確かめられます。目印が無いと、読み手は不安になって同じ操作を何度も繰り返し、二重登録のようなミスにつながります。
ソフトの画面は更新で変わることがあるため、手順書の最初に「この手順書は、〇〇の2026年10月時点の画面で作成しています」のように、どの時点の画面を元にしたかを書いておくと、後で直すときの手がかりになります。
現場の作業の手順書
店舗の開店や閉店、倉庫での出荷、機械の点検のように、体を動かす作業の手順書では、安全に関わる手順を目立たせます。やり直しのきかない操作や、けがにつながる操作は、手順の直前に注意として書き、文の頭に「注意」と入れて他の手順と区別します。
現場では、手順書を手に持ったり、壁に貼ったりして読みながら作業することが多くなります。1枚の紙に収まる長さにして、文字は大きめにします。手順の数が多いときは、作業の区切りごとに紙を分けます。写真は、道具をしまう場所や、機械のどのつまみを回すのかといった、言葉では伝えにくいところに使います。
電話や窓口の対応の手順書
電話や窓口での対応は、相手の話によって進め方が変わるため、分岐が多くなります。すべての分岐を文章で書くと読みにくくなるので、よくある問い合わせを3つから5つほど選び、それぞれの受け答えの流れを書きます。
この種類の手順書では、実際に話す言葉の例を入れると役に立ちます。「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇の△△でございます」のように、最初のあいさつ、相手の名前と用件の聞き方、担当者につなぐときの言い方を、そのまま読める形で書いておきます。自分では判断できない問い合わせが来たときに、誰に引き継ぐのかも必ず書いておきます。
手順書を作る5ステップ
ここまでの内容を、手順書を作る流れとして5つのステップで整理します。
ステップ1:作業を書き出す
まず、手順書にしたい作業を一覧にします。よく聞かれる作業、特定の人しかできない作業、ミスが起きやすい作業から優先して選びます。
ステップ2:作業をしながら素材を集める
選んだ作業を実際にやってみて、手順のメモ、画面の写真、間違えやすいところを集めます。
ステップ3:下書きを書く
集めた素材をもとに、必ず入れる7つの項目と手順を書きます。この段階では完璧を目指さず、まず最後まで書き上げます。
ステップ4:他の人に試してもらう
書き上げたら、その作業をしたことがない人に、手順書だけを見て作業をしてもらいます。この点について、先ほどのコラムは次のように勧めています。
実際に手順書に沿って作業ができるかテストしてみます。 作成者本人では手順の抜け漏れや間違いやすいポイントを見落とすことがあるので、手順書の作成者以外の人にテストしてもらうのがおすすめです。 出典: crest-con.co.jp
試してもらうときは、作成者が横で見ていても口を出さないことが大切です。読み手が手を止めたところ、質問したところ、間違えたところが、そのまま直すべき箇所になります。
ステップ5:直して公開する
試した人の指摘をもとに直し、もう一度最後まで作業ができることを確かめたら、手順書の完成です。決まった保存場所に保存し、関係する人に公開したことを伝えます。
そのまま使える手順書のひな形と記入例
ここまでの内容を、実際の手順書の形にすると次のようになります。必ず入れる7つの項目と、1つの手順に1つの動作を書くルールを当てはめた例です。会社や作業に合わせて、項目の名前や中身を書き換えて使ってください。
タイトル:取引先に請求書を発行する手順
目的:月末に、その月に終わった案件の請求書を発行し、取引先に送る
対象者:経理の担当者(初めてこの作業をする人を含む)
必要なもの:会計ソフトのログインの権限、その月の案件の一覧表
所要時間の目安:慣れた人で15分、初めての人で30分ほど
最終更新日:2026年10月23日
作成者:経理担当 〇〇(内容に疑問があれば〇〇に連絡)
手順
1. 会計ソフトにログインする
2. 画面上部のメニューから[請求]を押す
3. 画面右上の[新規作成]を押す
4. [取引先]の欄で、請求する相手を選ぶ
5. 案件の一覧表を見て、[金額]の欄に請求する金額を入力する
注意:金額が10万円を超える場合は、次の手順に進む前に上長に確認する
6. 画面右下の[保存]を押す
画面の上に「保存しました」と表示されれば正しく保存できている
7. [送信]を押して、取引先に請求書を送る
注意:送信すると取り消せない。宛先を必ず確かめてから押す
8. 案件の一覧表の[請求済み]の欄に、送った日付を入力する
ひな形を作るときのコツは、項目の並びをすべての手順書でそろえることです。読み手は、どの手順書を開いても「必要なものはここ」「手順はここから」と同じ場所を見ればよいので、2冊目からは迷わずに読めるようになります。
ひな形はWordやExcelのファイルとして1つ作り、新しい手順書を作るときは、そのファイルを複製して書き始めるように決めておきます。人によって形がばらばらになるのを防げます。最初の1冊を丁寧に作り、それを見本として他の人に見せると、手順書づくりを分担したときも仕上がりがそろいます。
手順書づくりを分担して進めるとき
手順書を何冊も作る必要があるとき、1人で抱えると時間がかかります。部署ごとや作業ごとに担当を分けて進めるのが現実的ですが、分担すると「誰がどの手順書を書いているのか」「どこまで進んでいるのか」が見えにくくなります。
スプレッドシートで管理する
担当が3人ほどで、手順書も20冊以内なら、スプレッドシートで十分に管理できます。列には「手順書の名前」「担当者」「締切」「状態」を作り、状態は「未着手」「下書き中」「試してもらう段階」「公開済み」の4つにそろえます。
担当と期限と進み具合を共有する道具を使う
担当が5人を超える場合や、他の仕事と並行して進める場合は、担当と期限と進み具合を共有する道具を使うと見通しがよくなります。その1つがPinatecaです。公式サイトによると、カードを列に並べて進み具合を動かすカンバンボード、期間を横に並べて締切の重なりを見るガントチャートなど、8種類のボードとチャットを備えています。5人までのチームなら期限なしで無料(ボードは10個まで、ファイル容量1GB)で、クレジットカードの登録も要りません。「未着手」「下書き中」「試してもらう段階」「公開済み」の列を作り、手順書を1冊ずつカードにして担当と締切を付ければ、誰がどこで止まっているかを全員が同じ画面で確かめられます。カードにはコメントや画像、ファイルを添付できるので、集めた画面の写真や、試した人の指摘をその手順書の隣に残せます。Pinatecaは手順書の文章を自動で作る道具ではなく、手順書づくりの担当と進み具合を共有するための道具です。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
WordとExcelで手順書を作るときの注意
手順書は、多くの職場でWordやExcelを使って作られています。どちらを使う場合も、作り方の決まりを最初にそろえておくと、後から直すときに困りません。
Wordで作るとき
Wordは、文章が中心の手順書に向いています。手順には番号つきの箇条書きを使います。Microsoftの公式のヘルプでは、番号つきのリストの始め方を次のように説明しています。
番号付きリストを開始するには、 1、ピリオド (.)、スペース、テキストを 入力します。 Word は自動的に番号付きリストを開始します。 出典: support.microsoft.com
番号を手で打たずに番号つきのリストの機能を使っておくと、途中に手順を追加したり削除したりしても、番号が自動で振り直されます。見出しには見出しのスタイルを使っておくと、目次を自動で作れて、長い手順書でも目的の場所にすぐ移動できます。
Excelで作るとき
Excelは、表の形で手順を並べたいときに向いています。1行に1つの手順を書き、列には「番号」「作業」「注意点」「確認欄」を作ります。確認欄に印を付けながら作業を進められるので、チェックリストとしても使えます。ただし、セルの中に長い文章を書くと読みにくくなるため、1つのセルの文章は2行ほどに収めます。
生成AIで下書きを作るとき
最近は、文章を作るAIのサービスに作業のメモを渡して、手順書の下書きを作らせる職場も増えています。作業をしながら書き留めた短いメモを、番号つきの手順の形に整える作業は、AIに任せると時間を短くできます。
ただし、AIが作った下書きをそのまま手順書にするのは避けます。AIは、実際の画面を見ているわけではないため、存在しないボタンの名前や、実際とは違う順番を書くことがあります。下書きができたら、必ず自分で手順どおりに作業をして、ボタンの名前、順番、表示される言葉が画面と合っているかを1つずつ確かめます。この確かめを省くと、間違った手順書が多くの人に配られてしまいます。
もう1つ気をつけたいのが、AIに渡す情報です。お客様の名前や連絡先、社内の金額、パスワードのような情報は、AIのサービスに入力しないようにします。会社によっては、AIのサービスの使い方に決まりがあるので、使う前に社内の決まりを確かめておきます。AIは下書きの手間を減らす道具として使い、内容が正しいかどうかの判断と、試してもらう作業は人が受け持つ、と役割を分けておくと安心です。
保存場所と版の管理
どちらで作る場合も、手順書の保存場所を1か所に決めます。同じ手順書が複数の場所に保存されていると、どれが最新かが分からなくなります。ファイル名には作業の名前と最終更新日を入れ、「請求書発行の手順_20261023」のようにそろえます。
手順書を最新の状態に保つ
手順書は、作った後の更新がいちばん難しいところです。先ほどのコラムでも、手順書はいったん完成した後も実際に使い続け、使う人から改善の要望が出たとき、業務のルールが変わったとき、システムのバージョンが上がったとき、機器を交換したときなどに手順が変われば、そのつど手直しして常に最新の情報にしていくよう勧めています。作った時点の手順書は、その日の作業を写したものにすぎません。作業が変われば、手順書もそれに合わせて変える必要があります。
更新が止まらないようにするための決めごとを3つ紹介します。
1つ目は、手順書ごとに担当者を決めることです。担当者がいない手順書は、誰も直しません。最終更新日の隣に担当者の名前を書いておき、内容が変わったら担当者が直すと決めておきます。
2つ目は、作業のやり方を変えたら、その日のうちに手順書を直すことです。後でまとめて直そうとすると、変えた内容を忘れてしまいます。ソフトの画面が変わった、使う書類が変わったといった小さな変化も、気づいた人が担当者に知らせます。
3つ目は、定期的に見直す時期を決めることです。半年に1回など時期を決めて、すべての手順書に目を通し、実際の作業と合っているかを確かめます。担当者が異動や退職をするときは、担当している手順書を後任に引き継ぎます。
手順書が使われない原因と防ぎ方
せっかく作った手順書が使われないこともあります。よくある原因と防ぎ方を整理します。
探しても見つからない
手順書の保存場所が分からない、どの名前で保存されているか分からない、という状態です。保存場所を1か所に決め、手順書の一覧を作っておきます。一覧には、手順書の名前と、どんなときに使うかを1行で書いておくと、読み手は目的の手順書にすぐたどり着けます。
内容が実際の作業と合わない
手順書どおりに進めたのに、画面が違う、手順が足りないという経験をすると、読み手は手順書を信用しなくなります。防ぐには、前の節で紹介した更新の決めごとを守ることです。気づいた人がすぐに担当者に知らせられるよう、手順書の最後に連絡先を書いておきます。
長すぎて読む気にならない
1冊に何十もの手順が並んでいると、読み手は読む前から気が重くなります。手順が20を超えるようなら、作業を2つ以上に分けて、手順書も分けます。
長さを抑えるもう1つの方法は、作業のたびに必要な手順と、初回だけ必要な準備を分けることです。ソフトの初期設定やアカウントの作成のように、最初の1回しか行わない手順は、別の手順書にしておきます。毎回読む手順書が短くなり、慣れた人も読み飛ばさずに済みます。
書く時間が取れず、作られないまま終わる
手順書が使われない以前に、忙しくて作られないまま終わることもよくあります。防ぐには、最初から完璧な手順書を目指さないことです。まずは作業をしながら、手順を番号つきで箇条書きにしたメモだけを作り、それを手順書の第1版として公開します。使った人の質問を受けて少しずつ書き足していけば、無理なく形が整っていきます。作業を担当している人が月に1冊ずつ書くと決めておくだけでも、1年でよく使う作業の手順書がそろいます。
社外の人に渡す手順書で気をつけること
業務委託の人や派遣の人、取引先など、社外の人に作業を頼むときにも手順書は役に立ちます。ただし、社内向けの手順書をそのまま渡すと、うまく伝わらないことがあります。社外の人に渡す前に、次の点を見直します。
1つ目は、社内でしか通じない言葉を言い換えることです。部署の略称、社内のシステムの呼び名、取引先の愛称のような言葉は、社外の人には意味が分かりません。初めて出てくるところで、何を指しているのかを1文で説明します。
2つ目は、渡してよい情報だけにすることです。社内向けの手順書には、お客様の情報や社内の金額、パスワードの保存場所などが書かれていることがあります。社外の人に渡す手順書からは、作業に必要のない情報を外します。ログインの情報を手順書に書き込むことは避け、別の安全な方法で伝えます。
3つ目は、質問の窓口と、仕上がりの基準を書くことです。社外の人は、分からないことがあっても、社内の人のように隣の席の人に気軽に聞けません。誰に、どの方法で質問すればよいかを手順書に書いておきます。あわせて、「どの状態になれば作業が完了か」という基準も書いておくと、受け取った後のやり直しが減ります。
作業の手順を説明する力は、社外の人と一緒に働く場面で特に生きてきます。仕事を頼む側にとっても、受ける側にとっても、手順書は「何をどこまでやればよいか」をそろえるための約束ごとになります。
現場を長く見てきた運営者の視点から
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、外部の人に仕事を頼むのが上手な会社ほど、手順書がそろっています。業務委託の人に作業を頼むとき、手順書を渡して「この通りに進めて、迷ったところだけ質問してください」と言える会社は、説明の時間が短く済み、受ける側も最初から迷わずに作業に入れます。
一方で、作業の手順が担当者の頭の中にしか無い会社では、依頼のたびに長い説明が必要になり、担当者が替わると仕上がりも変わります。手順書は、社内の人のためだけでなく、外部の人と一緒に働くための共通の言葉にもなります。最初から全部を作る必要はなく、よく聞かれる作業を1つ選び、実際にやりながら書いてみることから始めると、無理なく続きます。
手順書づくりと業務の見直しを支える仕事
手順書を作る過程では、作業そのものの無駄や、もっと効率のよいやり方に気づくことがよくあります。手順書づくりは、業務を見直す機会でもあります。
製造の現場では、作業の手順を整えたうえで、AIや機械を取り入れる会社も増えています。その進め方と補助金の使い方は、ものづくり補助金×AI導入|製造業のAI活用事例と採択される計画の書き方で整理しています。小さな事業者が業務の改善に取り組むときに使える補助の制度は、小規模事業者持続化補助金2026|採択率を上げる事業計画書の書き方で紹介しています。在宅勤務の環境を整える場合は、テレワーク 助成金 2026もあわせて確かめておくとよいでしょう。どの制度も、対象や上限は年度ごとに変わるため、申請前に最新の公募要領を確かめてください。
業務にITツールやAIを取り入れる支援の仕事については、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で仕事の中身と求められる力を紹介しています。手順書づくりを入口に業務の流れを整える仕事は、外部の専門家に頼まれることも多い分野です。まずは自分の職場で、よく聞かれる作業を1つ選び、実際にやりながら手順書を書いてみてください。
よくある質問
Q. 手順書とマニュアルはどう違いますか?
手順書は、1つの作業の進め方を順番どおりに書いたもので、読み手は作業をしながら読みます。マニュアルは、ある仕事全体について考え方やルール、複数の手順をまとめたもので、事前に読んで理解するためのものです。マニュアルの中に、いくつもの手順書が入っている関係だと考えると分かりやすいです。
Q. 手順書は誰に向けて書けばよいですか?
迷ったときは、その作業を一度もやったことがない人を読み手に決めます。いちばん知識の少ない人に合わせて書いておけば、慣れた人が読んでも困りません。専門用語は言い換え、ボタンやメニューの名前は画面に表示されている言葉をそのまま使うと、初めての人でも迷わずに作業を進められます。
Q. 手順書が完成したかどうかはどう確かめればよいですか?
その作業をしたことがない人に、手順書だけを見て最後まで作業をしてもらいます。作成者は横で見ていても口を出さず、相手が手を止めたところや質問したところを記録します。そこを直して、もう一度最後まで作業ができることを確かめたら完成です。
Q. 手順書はWordとExcelのどちらで作るのがよいですか?
文章が中心の手順書はWord、表の形で手順を並べてチェックリストとしても使いたいときはExcelが向いています。Wordでは番号つきのリストの機能を使うと、手順を追加しても番号が自動で振り直されます。どちらで作る場合も、保存場所を1か所に決め、ファイル名に最終更新日を入れておくと管理しやすくなります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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