国民年金の一部免除で納める額の考え方と申請の窓口 2026


この記事のポイント
- ✓年金の一部免除(4分の3・半額・4分の1)を受けたときに納める額は令和8年度で4,480円・8,960円・13,440円
- ✓減額後の保険料を納めないと未納になる落とし穴
- ✓申請の窓口と毎年の手続きまで日本年金機構の資料で整理します
国民年金の保険料が重く感じるけれど、全額免除に届くほど所得が低いわけでもない。そんなときに候補になるのが「年金の一部免除」です。一部免除とは、国民年金の保険料の一部だけを免除してもらい、残りを納める仕組みのことです。つまり「全部払う」か「全部免除」かの二択ではなく、その中間の選択肢があるということです。この記事では、令和8年度に一部免除を受けたときに実際に納める額、所得の基準の読み方、将来の年金がどれだけ残るか、そして見落とすと一部免除が無駄になる落とし穴と申請の窓口を、日本年金機構の公式ページをもとに順に整理します。
年金の一部免除とは何か
国民年金の保険料免除制度は、所得が少ない、失業した、といった理由で保険料を納めるのが難しい人のための制度です。日本年金機構の説明では、免除される額は全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。このうち全額免除以外の3つをまとめて「一部免除」と呼びます。
日本年金機構の「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」のページは、制度の中身を次のように説明しています。
本人・配偶者・世帯主の前年所得が一定額以下の場合や失業した場合など、保険料を納付することが経済的に困難な場合は、ご本人が申請書を提出し、承認されると保険料の納付が免除されます。 免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。 出典: nenkin.go.jp
ここで大事なのは、審査の対象が本人だけではない点です。本人、配偶者、世帯主の3人の前年所得がそれぞれ基準を満たしている必要があります。つまり、本人の所得が低くても、同じ世帯の親が世帯主で所得が多ければ、免除が通らないことがあります。これ、知らない人が本当に多いんです。実家暮らしの20代や、配偶者に安定した収入がある自営業の人は、申請前にこの点を確かめておくと空振りを防げます。
免除と納付猶予と未納の違い
似た制度に「納付猶予」があります。納付猶予とは、20歳以上50歳未満の人を対象に、保険料の支払いを後回しにできる制度のことです。免除との違いは、将来の老齢基礎年金の額に反映されるかどうかです。日本年金機構の表を整理すると次のようになります。
| 状態 | 受給資格期間に数えるか | 老齢基礎年金の額に反映するか | 障害・遺族基礎年金の資格期間に数えるか |
|---|---|---|---|
| 納付 | 数える | 反映する | 数える |
| 全額免除 | 数える | 一部を反映する | 数える |
| 一部免除 | 数える | 一部を反映する | 数える |
| 納付猶予 | 数える | 反映しない | 数える |
| 未納 | 数えない | 反映しない | 数えない |
受給資格期間とは、老齢基礎年金を受け取るために必要な加入期間のことで、合計10年以上が必要です。一部免除の期間は、この10年にも数えられ、年金額にも一部が反映されます。未納だけが、どちらにも数えられません。この差が、後で触れる障害基礎年金や遺族基礎年金の受け取りに直結します。
一部免除が向いている人
一部免除が候補になるのは、所得が全額免除の基準は超えるものの、保険料を全部納めると生活が苦しい人です。たとえば、フリーランスとして独立して1年目で売上が安定しない人、パートや業務委託を組み合わせて働いている人、育児や介護で働く時間を減らした人などです。全額免除の基準は単身なら所得67万円とかなり低いため、少しでも収入がある人は一部免除の区分に入ることが多くなります。
令和8年度に一部免除で納める額
一部免除を受けたときに実際にいくら納めるのかは、最初に知りたいところです。令和8年度の国民年金保険料は1か月あたり17,920円です。日本年金機構の免除制度のページには、一部免除ごとの納める額が令和8年度の数字で書かれています。
| 区分 | 1か月あたりに納める額(令和8年度) | 1年間(12か月)で納める額 | 老齢基礎年金への反映 |
|---|---|---|---|
| 納付(免除なし) | 17,920円 | 215,040円 | 全部 |
| 4分の1免除 | 13,440円 | 161,280円 | 8分の7 |
| 半額免除 | 8,960円 | 107,520円 | 8分の6 |
| 4分の3免除 | 4,480円 | 53,760円 | 8分の5 |
| 全額免除 | 0円 | 0円 | 2分の1 |
1年間の額は、1か月あたりの額に12を掛けて計算したものです。半額免除なら、1年で約10万円の負担が軽くなる計算になります。
ここで混乱しやすいのが「4分の3免除」と「4分の1免除」の呼び方です。4分の3免除は、保険料の4分の3が免除されて4分の1を納める区分です。つまり一番負担が軽い一部免除で、納める額は4,480円です。逆に4分の1免除は、4分の1だけ免除されて4分の3を納める区分です。名前の分数は「免除される割合」を指すと覚えておくと、取り違えを防げます。
年度の区切りは7月から翌年6月
免除の世界の「年度」は、4月始まりではなく7月から翌年6月までです。日本年金機構の申請可能期間のページでは、令和8年度分は令和8年7月から令和9年6月までで、審査の対象は令和7年中の所得と書かれています。つまり、令和8年7月に申請する人は、令和7年の1月から12月の所得で判定されます。
この区切りのため、前年に収入が大きく落ちた人は、7月を待って申請すると新しい年度の審査で通りやすくなる場合があります。反対に、前年に収入が多かった人は、今の収入が低くても所得基準では通らないことがあります。その場合に使えるのが、後で触れる失業等による特例免除です。
付加保険料は一部免除中は納められない
付加保険料とは、国民年金の保険料に月額400円を上乗せして納め、将来の年金を少し増やす仕組みのことです。日本年金機構の付加保険料の納付のページは、法定免除、全額免除、一部免除、納付猶予、学生納付特例を受けている人は付加保険料を納められないと明記しています。つまり、一部免除が承認されると、それまで続けていた付加保険料は止まります。
一方で、産前産後免除の期間と、令和8年10月に始まった育児免除の期間は、付加保険料を納められると説明されています。付加保険料を続けたい人は、自分がどの免除に当たるのかを確かめてから手続きを進めると安心です。
一部免除の所得基準をどう読むか
一部免除が通るかどうかは、前年の所得で決まります。日本年金機構の承認基準は次の計算式です。
| 区分 | 前年所得の基準 |
|---|---|
| 全額免除 | (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 |
| 4分の3免除 | 88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
| 半額免除 | 128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
| 4分の1免除 | 168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
| 納付猶予 | (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 |
日本年金機構は、地方税法に定める障害者、寡婦、ひとり親に当たる人は基準額が変わるとしています。該当する人は、申請時に窓口で確かめてください。
「収入」ではなく「所得」で比べる
ここで一番の落とし穴は、「所得」と「収入」の違いです。収入は入ってきたお金の合計、所得は収入から必要な経費や控除を差し引いた額のことです。
会社員やパートで給与をもらっている人なら、給与の額から給与所得控除を差し引いた「給与所得」が所得になります。給与所得控除とは、会社員の経費の代わりとして給与から自動的に差し引かれる額のことです。フリーランスや個人事業の人なら、売上から経費を差し引き、青色申告をしている場合はさらに青色申告特別控除を差し引いた額が所得になります。
つまり、年収や売上の数字を基準と見比べても判定はできません。確定申告書の「所得金額等」の欄や、住民税の課税証明書に書かれた所得の数字で比べるのが正しい見方です。
単身の人で計算してみる
具体例で計算してみます。扶養している家族がいない単身のフリーランスで、前年に国民健康保険料と国民年金保険料を合わせて30万円納めて確定申告で社会保険料控除に入れた人を考えます。扶養親族等控除額は0円です。
| 区分 | 計算 | 前年所得の基準 |
|---|---|---|
| 全額免除 | (0+1)×35万円+32万円 | 67万円以下 |
| 4分の3免除 | 88万円+0円+30万円 | 118万円以下 |
| 半額免除 | 128万円+0円+30万円 | 158万円以下 |
| 4分の1免除 | 168万円+0円+30万円 | 198万円以下 |
この人の前年所得が150万円なら、半額免除の基準に収まります。所得が180万円なら、4分の1免除の基準に収まります。所得が200万円なら、どの区分にも入りません。
この計算から分かるのは、前年に払った社会保険料が多い人ほど、一部免除の基準が上がることです。国民健康保険料や前年に納めた国民年金保険料を確定申告で漏れなく申告しておくことが、そのまま免除の通りやすさにつながります。社会保険料控除額等の「等」に何が入るかは細かな決まりがあるため、境目に近い人は窓口で計算を確かめてもらうのが確実です。
世帯主と配偶者も審査される
先ほど触れたとおり、審査されるのは本人だけではありません。本人、配偶者、世帯主のそれぞれが基準を満たす必要があります。たとえば、本人の所得が100万円で半額免除の基準に入っていても、配偶者の所得が基準を大きく超えていれば、一部免除は承認されません。
よくある相談の型として、実家で親と同居している20代のフリーランスが、親が世帯主になっているために免除が通らなかった、というものがあります。住民票の世帯を分けると判定が変わる場合もありますが、実際に生計を共にしているかどうかなど事情によって扱いが変わります。世帯を分ける判断は、市区町村の住民票の担当窓口と国民年金の担当窓口の両方で確かめてから行ってください。
一部免除を受けると将来の年金はどう変わるか
一部免除を検討する人が次に気にするのは、「将来の年金がどれだけ減るのか」です。日本年金機構の数字で計算してみます。
令和8年4月分からの老齢基礎年金の満額は、昭和31年4月2日以後生まれの人で年847,300円です。これは40年間(480か月)すべて保険料を納めた場合の額です。1か月納めるごとに、年金は年に約1,765円ずつ積み上がる計算になります。
ここから、1年間(12か月)それぞれの状態で過ごしたときに、将来の年金が年にいくら積み上がるかを概算すると次のようになります。
| 1年間の状態 | 年金への反映 | 将来の年金の年額への上乗せ(概算) |
|---|---|---|
| 全部納付 | 全部 | 約21,180円 |
| 4分の1免除 | 8分の7 | 約18,530円 |
| 半額免除 | 8分の6 | 約15,890円 |
| 4分の3免除 | 8分の5 | 約13,240円 |
| 全額免除 | 2分の1 | 約10,590円 |
| 納付猶予 | なし | 0円(追納すれば反映) |
| 未納 | なし | 0円 |
全額免除の1年が約1万円、納付猶予が追納すれば約2万円という数字は、日本年金機構の追納制度のページにある「1年間分追納すると、全額免除の期間であれば年間で約1万円、納付猶予や学生納付特例の期間であれば年間で約2万円増える」という説明とも合います。
免除でも年金の半分が残る理由
全額免除でも年金の2分の1が残るのは、老齢基礎年金の財源の半分が税金でまかなわれているためです。日本年金機構は、全額免除の期間は年金額の2分の1(税金分)を受け取れ、手続きをせず未納になった場合はこの2分の1を受け取れないと説明しています。
つまり、払えないからといって何もしないのが一番損な選択です。一部免除や全額免除の手続きをしておけば、税金で支えられた分は自分の年金として残ります。免除の申請は、年金を減らす手続きではなく、未納で失うはずだった分を守る手続きと考えると分かりやすくなります。
障害基礎年金と遺族基礎年金を守る意味
もう1つ大きいのが、障害基礎年金と遺族基礎年金です。障害基礎年金とは、病気やけがで一定の障害が残ったときに受け取れる年金、遺族基礎年金とは、加入者が亡くなったときに子のいる配偶者などが受け取れる年金のことです。令和8年度の額は、障害基礎年金の2級で年847,300円、1級で年1,059,125円、子が1人いる配偶者の遺族基礎年金で年1,091,100円です。
日本年金機構は、未納のままにしておくと、障害や死亡といった事態が起きたときにこれらの年金を受け取れない場合があると説明しています。具体的には、初診日や死亡日のある月の前々月までの加入期間のうち、保険料を納めた期間と免除期間を合わせて3分の2未満の場合や、前々月までの1年間に未納がある場合です。そして、事故や病気が起きてから過去にさかのぼって免除を申請しても、この要件の計算には入らないとされています。
一部免除の期間は、減額された保険料を納めていれば、この要件の計算で納めた期間と同じく数えられます。フリーランスは会社員のように厚生年金の障害年金がありません。障害基礎年金の受給資格を守ることは、仕事が止まったときの生活の土台を守ることでもあります。
一部免除の最大の落とし穴は減額後の保険料の未払い
一部免除で最も多い失敗が、ここで説明する落とし穴です。一部免除は「承認されたら終わり」ではありません。減額された保険料を納めて、はじめて免除の期間として扱われます。
日本年金機構の免除制度のページには、表の注記として次のように書かれています。
一部免除の承認を受けている期間は、減額された保険料を納付している必要があります。 出典: nenkin.go.jp
つまり、半額免除が承認されても、毎月の8,960円を納めなければ、その月は半額免除ではなく未納として扱われます。未納になると、年金額に反映されないだけでなく、障害基礎年金や遺族基礎年金の要件の計算でも数えられません。半分の保険料を払わなかっただけで、全額免除よりも不利な状態になってしまうのです。
実際によくあるつまずき方
ありがちな流れはこうです。一部免除の承認通知が届いて「免除された」と安心し、届いた納付書を開かずにしまい込む。数か月後、未納の通知が届いて初めて、減額後の保険料を払う必要があったと気づく。承認通知と納付書は別の封筒で届くこともあり、ここで見落としが起きやすくなります。
一部免除の承認を受けたら、次の3つを確かめてください。
- 減額後の保険料の納付書が手元に届いているか
- 口座振替を使っていた場合、減額後の額で引き落とされる設定になっているか
- 承認された期間の始まりの月と終わりの月はいつか
口座振替やクレジットカード払いで前納していた人は、承認後に引き落としの扱いが変わることがあります。気になるときは、近くの年金事務所に問い合わせて確かめるのが確実です。
追納も減額後の保険料を納めていないとできない
もう1つ押さえておきたいのが、後から追納するときの条件です。追納とは、免除や猶予を受けた期間の保険料を10年以内に後から納め、将来の年金を満額に近づける仕組みのことです。日本年金機構の追納制度のページには、一部免除を受けた期間は、納めるべき一部の保険料が納められていなければ追納できないと書かれています。
つまり、減額後の保険料を払わずに未納にしてしまった月は、10年以内に追納で取り戻すという道も閉ざされます。減額後の保険料は、時効の2年を過ぎると納められなくなります。払い忘れに気づいたら、できるだけ早く納付書で納めるか、年金事務所に相談してください。
申請の窓口と必要なもの
ここからは、実際に申請する手順です。日本年金機構は、申請の方法として電子申請と紙の申請の2つを案内しています。
電子申請はマイナポータルから
電子申請とは、マイナポータルを通じて自宅からオンラインで申請する方法のことです。日本年金機構は、手続きが簡単で早いとして電子申請の利用をすすめています。マイナンバーカードと、カードを読み取れるスマートフォンやパソコンがあれば、窓口に行かずに申請できます。
紙で申請する場合の提出先
紙で申請する場合の提出先は、次のどちらかです。
- 住所地の市区役所・町村役場の国民年金の担当窓口
- 近くの年金事務所
申請書は郵送で提出することもできます。申請書の用紙は、日本年金機構のサイトの「ケース11:国民年金保険料の免除を受けるとき」からダウンロードできます。「ねんきんネット」の画面上で申請書を作ることもできますが、その場合はねんきんネットのIDが必要です。
添付する書類
必要な添付書類は、基礎年金番号で手続きするか、マイナンバーで手続きするかで変わります。
| 手続きの方法 | 必要なもの |
|---|---|
| 基礎年金番号で手続き | 基礎年金番号通知書、または年金手帳など基礎年金番号が分かる書類 |
| マイナンバーで手続き | マイナンバーカード。持っていない場合は、マイナンバーが分かる書類と、運転免許証やパスポートなどの本人確認書類 |
| 失業等による特例免除 | 上の書類に加えて、雇用保険被保険者離職票のコピーなど失業等の事実が分かる書類 |
所得を証明する書類の添付は、原則として不要です。年金事務所が市区町村に所得の状況を照会するためです。申請書を出すと、この照会に同意したことになります。
ただし、本人、配偶者、世帯主のうち、前年の所得について確定申告も年末調整もしていない人がいる場合は、先に市区町村の税務担当の窓口で住民税の申告を済ませてから申請書を出す必要があります。所得が0円の人でも、申告がないと「所得が分からない」扱いになって審査が進みません。無職だった家族がいる場合は、この点を最初に確かめてください。
申請書を書くときのつまずき
申請書には、本人だけでなく配偶者と世帯主の情報を書く欄があり、ここの記入漏れで手続きが止まることがよくあります。申請の時点で住んでいる住所と、申請する年度の直前の1月1日時点で海外に住んでいた場合は、特記事項の欄に国名と転入日を書く決まりもあります。日本年金機構は、提出前に記入内容を確かめるための「セルフチェックシート(国民年金保険料 免除・納付猶予申請用)」を用意しているので、書き終えたら一度照らし合わせてください。どの区分を希望するかの書き方で迷ったら、窓口で記入の仕方を確かめるのが確実です。
さかのぼって申請できる期間と毎年の手続き
一部免除は、過去の期間についてもさかのぼって申請できます。日本年金機構の説明では、保険料の納付期限から2年を過ぎていない期間、つまり申請した時点から2年1か月前までの期間が対象です。
たとえば、日本年金機構の表では、令和6年9月分の保険料は納付期限が令和6年10月31日で、免除を申請できる期限は令和8年10月30日です。令和6年10月分は令和8年12月2日が期限です。過去の未納がある人は、期限が来る前に申請すれば、その期間を免除の期間に切り替えられる可能性があります。
ただし、先ほど触れたとおり、病気やけがが起きてからさかのぼって申請しても、障害基礎年金の要件の計算には入りません。さかのぼれるからといって後回しにせず、払えないと分かった時点で申請するのが原則です。
一部免除は毎年申請が必要
ここも見落とされがちな点です。日本年金機構は、申請は原則として毎年度必要だとしています。全額免除と納付猶予には、翌年度以降も自動で審査してもらえる「継続審査」の仕組みがありますが、一部免除には継続審査がありません。
つまり、一部免除を受けている人は、毎年7月になったら新しい年度の申請を出す必要があります。出し忘れると、7月分から通常の保険料の納付書が届き、払わなければ未納になります。スマートフォンのカレンダーに「7月 年金の免除申請」と登録しておくと、出し忘れを防げます。
失業等による特例免除
会社を辞めた、事業をやめた、といった事情がある人は、失業等による特例免除を使える場合があります。これは、失業等をした人の前年所得に関係なく、免除や猶予を受けられる特例です。前年に会社員として十分な給与があった人でも、離職票のコピーなどを付けて申請すれば、本人の所得を除いて審査してもらえます。
日本年金機構は、失業等の事実が分かる書類として、雇用保険被保険者離職票のコピー、雇用保険受給資格者証のコピー、事業を廃止した人の場合は税務署への個人事業の開廃業等届出書の写しなどを挙げています。なお、配偶者や世帯主の所得は通常どおり審査されるため、家族の所得が多い場合は特例でも承認されないことがあります。
一部免除と組み合わせて考えたい制度
一部免除だけでなく、状況によっては別の制度のほうが有利な場合があります。代表的なものを整理します。
育児免除(令和8年10月から)
令和8年10月から、国民年金の育児免除が新しく始まりました。日本年金機構の説明では、1歳になるまでの子を育てる国民年金第1号被保険者(自営業者、フリーランス、無職の人など)の実父母・養父母が対象で、所得要件はありません。そして、育児免除の期間は保険料を納めたものとして老齢基礎年金の額に反映されます。
つまり、子が1歳になるまでの期間は、一部免除を受けるよりも育児免除のほうが年金の面で有利です。すでに一部免除が承認されている期間でも、届出をすれば育児免除の期間として扱われると日本年金機構は説明しています。対象になる人は、早めに届け出てください。
産前産後免除と法定免除
出産を控えた第1号被保険者には、産前産後期間の免除制度があります。また、障害基礎年金を受けている人や生活保護の生活扶助を受けている人は、届け出れば保険料が免除される法定免除の対象になります。これらに当たる人は、一部免除ではなく、それぞれの制度の手続きを行います。
社会保険料控除との関係
一部免除で納めた保険料も、全額納めた保険料と同じく、その年の社会保険料控除の対象になります。社会保険料控除とは、払った社会保険料の額をその年の所得から差し引ける仕組みのことです。後から追納した保険料も、追納した年の社会保険料控除の対象になると日本年金機構は説明しています。
収入が回復した年にまとめて追納すると、その年の所得税と住民税を抑えながら年金を満額に近づけられます。ただし、免除を受けた年度の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、当時の保険料に加算額が上乗せされます。どの年度の分をいつ追納するのが有利かは、年金事務所で試算してもらうのが確実です。
一部免除を申請する前に確かめる順番
ここまでの内容を、申請前に確かめる順番として並べ直します。
| 順番 | 確かめること | どこで確かめるか |
|---|---|---|
| 1 | 自分は国民年金第1号被保険者か(任意加入でないか) | ねんきんネット、年金事務所 |
| 2 | 育児免除・産前産後免除・法定免除に当たらないか | 日本年金機構のサイト、年金事務所 |
| 3 | 本人・配偶者・世帯主の前年所得はいくらか | 確定申告書、住民税の課税証明書 |
| 4 | 前年に申告していない家族はいないか | 市区町村の税務担当窓口 |
| 5 | 所得の計算式に当てはめて、どの区分に入りそうか | この記事の計算例、窓口 |
| 6 | 失業や廃業をしていないか(特例免除の対象か) | 離職票、開廃業等届出書 |
| 7 | 電子申請か紙の申請か | マイナポータル、市区町村の国民年金窓口 |
日本年金機構は、任意加入をしている人は免除や納付猶予を申請できないとしています。60歳以降に年金額を増やすために任意加入している人は対象外です。
承認されたあとにやること
承認通知が届いたら、それで終わりにしないことが大切です。承認された区分と期間を確かめ、減額後の保険料の納付書がそろっているか、口座振替の設定が変わっているかを見ます。納付書の期限は月ごとに違うため、まとめて払う場合も期限を過ぎないようにしてください。そして翌年7月に、また申請を出します。この流れを1年の決まりごととして回すことで、一部免除の効果を無駄にせずに済みます。
フリーランスと副業の人が一部免除と向き合うときの視点
フリーランスや業務委託で働く人は、会社員と違って保険料を自分で納める立場にあります。収入の波が大きい働き方では、前年の所得と今年の手元のお金が食い違いやすく、免除の判定と生活の実感がずれることもよくあります。
フリーランスとして働く人の収入は、職種によって大きく違います。たとえば文章を書く仕事なら、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で市場の相場感をつかめます。開発の仕事なら、ソフトウェア作成者の年収・単価相場が参考になります。こうした相場と自分の売上を見比べると、今の収入の落ち込みが一時的なものか、単価や働き方を見直すべきものかを考えやすくなります。
運営者として見てきたこと
在宅ワークやフリーランスの市場を長く運営してきた立場から見ると、免除の手続きを後回しにして未納を重ねる人と、早めに一部免除を申請して減額後の保険料をきちんと払い続ける人とでは、数年後の安心感がまるで違います。仕事が途切れた時期に、障害基礎年金の要件を満たしているかどうかは、本人が思っている以上に大きな差になります。
もう1つ見えてくるのは、手取りの厚さが保険料の払いやすさを左右するという点です。同じ報酬額の仕事でも、間に入る仲介の手数料が大きければ手元に残るお金は減ります。手数料0%で依頼主と直接やり取りできる仕組みは、受け手の手取りを厚くし、毎月の保険料を払い続ける余力につながります。依頼する側にとっても、同じ予算でより多くの仕事を頼めるため、双方にとって無理のない関係が続きやすくなります。
報酬の未払いがあるときは先に手を打つ
フリーランスで保険料が払えなくなる原因には、取引先からの報酬の未払いもあります。報酬が払われないまま放置すると、保険料だけでなく生活全体が苦しくなります。回収の手段については、未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】で、弁護士に頼む場合の費用と、自分でできる支払督促の流れを解説しています。また、契約の段階で報酬の支払期日をはっきりさせておくことも大切です。フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストでは、発注書や契約書に入れておくべき項目を確認できます。
※報酬の未払いが大きな額になっている場合や、相手が支払いを拒んでいる場合は、弁護士や各地の相談窓口に相談してください。
収入を立て直す道も並行して考える
一部免除は、収入が少ない時期を乗り切るための仕組みです。収入が回復したら、追納で将来の年金を取り戻すことができます。その意味で、免除の申請と同時に、収入をどう立て直すかを考えておくことが大切です。
たとえばアプリやシステムの開発に関わる人なら、アプリケーション開発のお仕事で、どのような案件があり、どんな力が求められるのかを確かめられます。文章の仕事を広げたい人なら、ビジネス文書検定のように、文書の書き方を体系的に学べる資格も選択肢になります。
※ここで紹介した数字は、令和8年度の日本年金機構の公表内容にもとづいています。所得の基準や特例の扱いは家族構成や事情によって変わるため、実際の判定は市区町村の国民年金の担当窓口か年金事務所で確かめてください。
制度は、知っている人の味方をしてくれます。払えないと分かったときこそ、何もしないのではなく、一部免除の申請という形で自分の年金と万一の備えを守ってください。
よくある質問
Q. 年金の一部免除を受けると毎月いくら納めますか?
令和8年度は、4分の3免除で1か月あたり4,480円、半額免除で8,960円、4分の1免除で13,440円を納めます。通常の保険料は17,920円です。名前の分数は免除される割合を指すため、4分の3免除が最も負担の軽い一部免除です。金額は年度ごとに変わるため、届いた納付書の額を確かめてください。
Q. 一部免除の承認後に保険料を払わないとどうなりますか?
減額された保険料を納めない月は、一部免除ではなく未納として扱われます。未納の月は将来の老齢基礎年金に反映されず、障害基礎年金や遺族基礎年金の要件の計算にも数えられません。追納もできなくなるため、承認通知とは別に届く納付書を必ず確かめ、期限内に納めてください。
Q. 一部免除は毎年申請し直す必要がありますか?
必要です。全額免除と納付猶予には翌年度も自動で審査する継続審査の仕組みがありますが、一部免除にはありません。免除の年度は7月から翌年6月までなので、毎年7月以降に新しい年度の申請を出します。出し忘れると7月分から通常の保険料の納付書が届くため、予定表に登録しておくと安心です。
Q. 一部免除の申請はどこでできますか?
マイナポータルからの電子申請のほか、住所地の市区役所・町村役場の国民年金の担当窓口、または近くの年金事務所で申請できます。申請書は郵送でも提出できます。前年の所得を申告していない家族がいる場合は、先に市区町村の税務担当窓口で住民税の申告を済ませてから申請してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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