PDPC法とは|起こりうる問題を先回りして対策を考える方法


この記事のポイント
- ✓強制連結型と逐次展開型の違い
- ✓外注でWebサイトを公開するまでを題材にした具体例で解説します
- ✓系統図やリスク管理表との使い分け
PDPC法は、計画を進める途中で起こりそうな問題を先に洗い出し、それぞれの対策をあらかじめ決めておくための方法です。「計画は立てたが、途中で想定外のことが起きて止まってしまった」という失敗を減らすのに役立ちます。この記事では、PDPC法とは何かという基本から、2つの型の違い、図の描き方、書き方の手順、具体例、書いた後の見直し方までを順に説明します。
PDPC法で決めた対策を、担当と期限を付けてチームで進めたい場合は、プロジェクト管理ツールのPinateca(ピナテカ)のような道具も選択肢になります。まずはPDPC法そのものの考え方から見ていきます。
PDPC法とは何か
PDPC法とは、目標に向かう計画の道筋を図にし、その途中で起こりうる不測の事態と、それを乗り越える方策を書き込んでいく手法です。PDPCは英語の「Process Decision Program Chart」の頭文字で、日本語では「過程決定計画図」と訳されます。
計画の途中のつまずきを先に考える
ふつうの計画表は、物事が予定どおりに進む前提で、作業の順番と期限を並べます。ところが実際の仕事では、取引先の返事が遅れる、担当者が体調を崩す、予算が削られる、といった想定外のことが起こります。そのたびに慌てて対策を考えていると、計画全体が遅れたり、目標そのものをあきらめたりすることになりかねません。
PDPC法では、計画の段階で「ここで何が起きたら困るか」「そのときはどうするか」を先に考え、図に書き込みます。起きてから考えるのではなく、起きる前に分かれ道を用意しておくのが、この手法の特長です。
新QC七つ道具の1つ
PDPC法は、品質管理の分野で使われる「新QC七つ道具」の1つです。新QC七つ道具とは、数字にしにくい言葉の情報を整理するための7つの手法のことで、親和図法、連関図法、系統図法、マトリックス図法、アローダイアグラム法、PDPC法、マトリックス・データ解析法が含まれます。この中でPDPC法は、未来に起こりうることを扱う手法として位置づけられています。
品質管理の分野では、問題を解決する進め方を「QCストーリー」と呼び、手順が決まっています。
「QCストーリー」とは、品質管理における問題を解決するための進め方のことです。一般的には、「テーマ」「現状把握」「目標設定」「活動計画」「原因解析」「対策立案」「対策実施」「効果確認」「歯止め」「反省と今後の方針」という流れで問題点を明らかにし、問題を解決したり、課題を達成していきます。 出典: 日本科学技術連盟 QCストーリー・QC手法
PDPC法は、この流れの中では主に「活動計画」と「対策実施」の段階で使われます。対策を実行に移す前に、実行の途中で起こりうる問題を洗い出しておくためです。
PDPC法の2つの型
PDPC法には、大きく分けて「強制連結型」と「逐次展開型」の2つの型があります。どちらを使うかは、ゴールがはっきり決まっているかどうかで選びます。
強制連結型
強制連結型は、1つのゴールを決め、そこに必ずたどり着くための道筋を考える型です。途中で起こりうる不測の事態を書き出し、それを乗り越える方策をつないで、どの道を通ってもゴールに着くように図を組み立てます。「期日までに新しいシステムを稼働させる」「展示会の当日までに展示物をそろえる」のように、ゴールが動かせない計画に向いています。
逐次展開型
逐次展開型は、今の状況から先の変化を予測し、事態が動くたびに打開策を考えていく型です。ゴールを1つに決めず、いくつかの着地点を描きながら進めます。
逐次展開型PDPCは「計画を固定的なものではなく、状況に応じて常に最適化していく」という考え方に基づいています。そのため必ずしも最初に設定したゴールにたどり着くわけではありません。「次善策だけど関係者が納得するゴール」にたどり着く道を設定し、実際、そちらに決着することもあり得ます。 出典: cct-inc.co.jp
取引先との交渉や、新しい事業の立ち上げのように、相手の出方や市場の反応で結果が大きく変わる場面に向いています。
2つの型の違い
| 比べる点 | 強制連結型 | 逐次展開型 |
|---|---|---|
| ゴール | 1つに決まっている | いくつかの着地点を描く |
| 図を描く時期 | 計画の初めにまとめて描く | 状況が動くたびに描き足す |
| 向いている場面 | 期日や成果が動かせない計画 | 交渉や新規事業など先が読みにくい計画 |
| 最終的な結果 | 決めたゴールに着く | 次善のゴールに落ち着くこともある |
初めてPDPC法を使うなら、ゴールがはっきりしている強制連結型から始めると、図のまとまりがよく、手順もつかみやすくなります。
PDPC法が向いている場面と、ほかの手法との違い
PDPC法は、どんな計画にも使えるわけではありません。向いている場面と、似た手法との違いを整理しておきます。
向いている場面
- 新しいシステムや仕組みを期日までに導入する
- 展示会や式典など、当日が動かせない催しを準備する
- 外部の会社に仕事を依頼し、納品まで進める
- 取引先との価格や条件の交渉に臨む
- 製造の現場で、設備が止まったときの対応を決めておく
どれも、途中で何かが起きる可能性が高く、起きたときに慌てると損が大きい計画です。逆に、毎日同じ手順で進むような定型の作業には、PDPC法を使う必要はあまりありません。
ほかの手法との違い
| 手法 | 主な役割 | PDPC法との違い |
|---|---|---|
| 系統図法 | 目的を達成する手段を、枝分かれで具体化する | 手段を洗い出すが、途中の不測の事態までは扱わない |
| アローダイアグラム法 | 作業の順番と日程を矢印で表す | 予定どおりに進む前提で日程を組む |
| リスク管理表 | 起こりうるリスクを一覧にし、影響と対策を書く | 一覧の形で、計画の流れの中の位置は表しにくい |
| PDPC法 | 計画の流れの中で、分かれ道と対策を図にする | どこで何が起きたら、どの道に進むかが一目で分かる |
PDPC法の強みは、不測の事態が「計画のどの段階で起きるか」と「起きたらどの道に切り替えるか」を、流れの図として見せられることです。リスク管理表のように一覧にするだけでは、対策同士のつながりや、切り替えたあとの進み方が見えにくくなります。系統図法で目的の手段を洗い出し、アローダイアグラム法で日程を組み、PDPC法で途中の分かれ道を用意する、という組み合わせ方もできます。
PDPC法の図の描き方の約束
PDPC法の図には、厳格な決まりがあるわけではありません。大切なのは、どこがスタートでどこがゴールか、どれが方策でどれが起きた結果なのかが、見る人に分かることです。ここでは、一般的によく使われる描き方の例を紹介します。
よく使われる記号の例
| 書くもの | 描き方の例 |
|---|---|
| スタート(今の状態) | 二重の枠で囲む |
| ゴール(目指す状態) | 二重の枠で囲み、図の下や右端に描く |
| 方策や行動 | 四角の枠で囲む |
| 不測の事態や起きた結果 | 角の丸い枠や、色を変えた枠で囲む |
| 進む順番 | 実線の矢印でつなぐ |
| 時間をおいて起きること、別の道への切り替え | 点線の矢印でつなぐ |
自分たちのチームで記号の意味を決めたら、図の隅に凡例として書いておきます。図を初めて見る人でも、凡例があれば読み方が分かります。
図の向きを決める
図は、スタートを上、ゴールを下に置いて上から下へ流す描き方と、スタートを左、ゴールを右に置いて左から右へ流す描き方があります。どちらでも構いませんが、1枚の図の中で向きを混ぜないようにします。予定どおりに進む主な道筋を中央に描き、不測の事態が起きたときの別の道を左右や上下にずらして描くと、主な道と予備の道の区別がつきやすくなります。
PDPC法の書き方の手順
ここからは、強制連結型を例に、PDPC法の図を書く手順を順番に説明します。
手順1:スタートとゴールを決める
最初に、今の状態をスタート、目指す状態をゴールとして、それぞれ1文で書きます。ゴールは「いつまでに、何がどうなっているか」が分かるように具体的に書きます。「新しい受発注の仕組みを整える」ではなく、「2027年3月末までに、新しい受発注のシステムで全取引先の注文を受け付けている」のように書くと、到達したかどうかを判断できます。
手順2:予定どおりに進む主な道筋を描く
スタートからゴールまで、予定どおりに進んだ場合の方策を順番に並べ、矢印でつなぎます。これが図の背骨になります。方策は「〜する」の形で、行動として書きます。
手順3:各段階で起こりうる不測の事態を書き出す
主な道筋の方策それぞれについて、「ここで何が起きたら先に進めなくなるか」を考え、不測の事態として書き出します。チームで書く場合は、過去に似た計画で実際に起きたことを持ち寄ると、現実味のある事態が集まります。
手順4:不測の事態ごとに方策を考える
書き出した不測の事態のそれぞれについて、「そうなったらどうするか」という方策を考え、その事態から矢印でつなぎます。方策がさらに別の問題を生みそうなら、その先の事態と方策も描き足します。
手順5:別の道をゴールへつなぐ
強制連結型では、どの別の道も最終的にゴールへつながるように図を組み立てます。途中で行き止まりになっている道があれば、そこにもう一段の方策が必要だということです。
手順6:起きやすさと影響で絞る
すべての不測の事態に、同じだけ手間をかけて備える必要はありません。起きやすさと、起きたときの影響の大きさで見直し、影響が大きい事態から先に、対策の準備を具体的にします。
手順7:判断する時期と担当を書き込む
不測の事態が起きたかどうかを、いつ、誰が判断するのかを図に書き込みます。「1月末の時点でテストが終わっていなければ、課長が別の道に切り替えるかを決める」のように、判断の時期と担当がはっきりしていると、いざというときに迷わず動けます。
手順8:日付と参加者を残す
最後に、図を作った日付、参加者、前提とした条件を書き残します。前提が変わったときに図を見直すための手がかりになります。
具体例:外部に依頼したWebサイトを期日までに公開する
手順を具体的にイメージできるよう、「外部の制作会社に依頼したWebサイトを、2027年4月1日に公開する」というゴールで、強制連結型のPDPC法を描いた例を、文章で表します。
主な道筋
- 依頼先を決めて契約する
- サイトの構成と原稿を確定する
- 制作会社がデザインと制作を進める
- 社内で確認し、修正を依頼する
- 公開の手続きをして、4月1日に公開する
不測の事態と方策
- 「依頼先を決めて契約する」の段階で、候補の会社の見積もりが予算を超える事態が考えられます。方策として、ページの数を減らして最初の公開を小さくし、残りのページは公開後に追加する道を用意します
- 「構成と原稿を確定する」の段階で、社内の原稿が期日までにそろわない事態が考えられます。方策として、原稿の締め切りを制作の開始より2週間早めに設定し、遅れた部署のページは仮の文章で公開して後から差し替える道を用意します
- 「社内で確認し、修正を依頼する」の段階で、確認する役員の意見が割れて修正が繰り返される事態が考えられます。方策として、確認の担当者と、最終判断をする人を最初に決めておき、修正の依頼は2回までと契約で決めておきます
- 「公開の手続き」の段階で、ドメインやサーバーの設定に時間がかかる事態が考えられます。方策として、公開の2週間前までに設定を終え、テスト用の画面で表示を確かめる段取りにします
図にすると見えること
このように描くと、どの段階で何が起きても、ゴールの4月1日に公開するための別の道があることが分かります。また、「原稿の締め切りを早める」「最終判断する人を決める」のように、不測の事態が起きる前に打っておける手も見つかります。PDPC法の効果は、起きたときの備えだけでなく、こうした予防の手を計画に組み込めることにもあります。
予測しすぎないことも大切
PDPC法に取り組むと、「あれも起きるかもしれない」「これも心配だ」と不測の事態がどんどん増え、図が収拾のつかない大きさになることがあります。
とはいえ、実際の場面でも不測の事態や対応策について神経質に考えすぎてしまうと、収集がつかなくなります(参考文献でもそう述べられています)。「見通しをたてるための資料」と割り切って、ここでは適度なところまでとする方がよさそうです。 出典: engineering-technology.brexa.com
どこで止めるかの目安
- 主な道筋の各段階について、不測の事態は2つか3つまでにする
- 起きる見込みがほとんどない事態は、図に描かずにメモに残す
- 自分たちで手を打てない事態は、起きたときの連絡先だけを決めておく
- 図が1枚の紙に収まらなくなったら、段階ごとに図を分ける
PDPC法は、未来を完全に予測するための道具ではありません。計画の見通しをよくし、いざというときに慌てないための資料だと割り切ると、ちょうどよい細かさで図を描けます。
不測の事態を見つけるための問いかけ
PDPC法でいちばん難しいのは、不測の事態を思いつくことです。漠然と「何が起きそうか」と考えても、なかなか出てきません。主な道筋の方策ごとに、次のような問いかけを順に当てていくと、見落としが減ります。
人についての問いかけ
- この方策を担う人が、急に休んだり辞めたりしたらどうなるか
- 担当者が1人しかいない作業はどこか
- 判断する人が不在のとき、誰が代わりに決めるか
もの・お金についての問いかけ
- 必要な機材や材料が届かなかったらどうなるか
- 予算が削られたり、見積もりが予算を超えたりしたらどうなるか
- 使う予定のシステムや設備が止まったらどうなるか
相手についての問いかけ
- 取引先や依頼先の返事が遅れたらどうなるか
- 相手の担当者が交代したらどうなるか
- 相手が条件の変更を求めてきたらどうなるか
時間についての問いかけ
- この作業が予定より1週間遅れたら、後の作業にどう響くか
- 繁忙期や長期の休みと重なっていないか
- 同じ時期に、ほかの大きな計画と人を取り合わないか
すべての問いに答える必要はありません。問いかけを当ててみて、「これは起きそうだ」「起きたら困る」と感じたものだけを、不測の事態として図に描きます。
業種や職種ごとのPDPC法の使い方
PDPC法は製造業の品質管理から生まれた手法ですが、営業や事務、広報など、さまざまな職種の計画に使えます。代表的な使い方の例を挙げます。
製造の現場
製造の現場では、新しい製品の量産を始めるときや、設備を入れ替えるときに使われます。「試作の段階で不良が多かったら」「部品の調達が遅れたら」「設備が止まったら」といった事態を先に考え、予備の部品の確保や、手作業に切り替える手順を決めておきます。
営業の現場
営業では、大きな商談や価格の交渉に臨むときに、逐次展開型がよく合います。「相手が値下げを求めてきたら」「競合が先に提案していたら」「決裁者が交代したら」といった展開を予想し、それぞれの場面で出せる条件と、譲れない線を事前に決めておきます。交渉の場で慌てて譲歩してしまうことを防げます。
事務・管理の部門
事務や管理の部門では、制度の変更や新しいシステムの導入に使われます。「社員への説明会に人が集まらなかったら」「入力のミスが続いたら」「古い仕組みからの移し替えが終わらなかったら」といった事態を考え、説明の資料を動画にする、入力の手引きを用意する、古い仕組みとしばらく並行して使う、といった方策を準備します。
広報・催しの準備
展示会や式典、地域の催しの準備では、当日が動かせないので強制連結型が向いています。「出演者が来られなくなったら」「雨が降ったら」「参加の申し込みが予定より少なかったら」といった事態を考え、代わりの出演者の候補、屋内の会場、追加の告知の方法を決めておきます。
PDPC法を会議で進めるときの段取り
チームでPDPC法の図を作るときは、会議の段取りを決めておくと、時間内に図がまとまります。
事前に主な道筋を用意する
会議の前に、取りまとめ役が主な道筋の下書きを作っておきます。会議の場でスタートからゴールまでの道筋を一から考えると、それだけで時間が尽きてしまいます。下書きは、参加者に前日までに配り、目を通してもらいます。
会議は90分を目安に3つに区切る
- 最初の20分で、主な道筋の下書きを全員で確かめ、足りない方策を追加する
- 次の40分で、方策ごとに不測の事態を出し合い、方策を考える
- 最後の30分で、起きやすさと影響で絞り込み、判断の時期と担当を決める
不測の事態を出し合う時間には、批判をせずにまず数を出すことを優先します。絞り込みは最後にまとめて行います。
会議の後にすること
会議が終わったら、取りまとめ役が図を清書し、参加者に共有します。決まった予防の手には担当と期限を付け、次の進み具合の確認の会議で、実行されたかを確かめます。
小さな計画で練習する
PDPC法に慣れるには、仕事の大きな計画で使う前に、身近な小さな計画で一度描いてみるのが近道です。たとえば「来月の土曜日に、家族で日帰り旅行に行く」をゴールにして、「天気が悪かったら」「子どもが熱を出したら」「電車が止まったら」といった事態と、それぞれの方策を描いてみます。
10分ほどで描ける題材でも、スタートとゴールの決め方、主な道筋と別の道の描き分け、方策をゴールへつなぐ感覚がつかめます。描いた図を家族に見せて「ほかに心配なことは」と聞いてみると、自分では思いつかなかった事態が出てくることもあり、チームで描くときの進め方の練習にもなります。
書いたあとの見直しと運用
PDPC法の図は、計画の初めに描いて終わりではありません。とくに逐次展開型では、状況が動くたびに描き足していくことが前提です。強制連結型でも、計画を進めながら定期的に見直すことで、図の価値が保たれます。
定期的に図と実際を見比べる
週に1回や月に1回など、計画の進み具合を確かめる会議で、図と実際の状況を見比べます。予定どおりに進んでいる段階には印を付け、不測の事態が起きた段階では、用意しておいた方策のどれを選んだかを書き込みます。
新しく分かった事態を描き足す
計画を進めるうちに、最初は考えていなかった事態が見えてくることがあります。そのときは図に描き足し、方策を考えます。図を更新したら、日付を書き添えておきます。
終わったあとに振り返る
計画が終わったら、図を見ながら振り返ります。実際に起きた事態、用意した方策が役に立ったかどうか、予想していなかった事態は何だったかを整理すると、次に似た計画を立てるときの貴重な資料になります。この振り返りの図を残しておく会社ほど、同じつまずきを繰り返さなくなります。
決めた方策を契約や依頼の文面に組み込む
外部の会社や個人に仕事を依頼する計画では、PDPC法で考えた方策の一部を、契約や依頼の文面にあらかじめ書いておくと効果が高まります。起きてから相談するより、起きる前に約束しておくほうが、双方にとって話がこじれにくいからです。
文面に入れておきたい項目の例
- 原稿や素材を渡す期限と、遅れた場合に納期をどう扱うか
- 修正を依頼できる回数と、それを超えた場合の扱い
- 双方の担当者と、担当者が不在のときの連絡先
- 途中で仕様を変えたいときの相談のしかたと、費用の考え方
- 確認の結果を返す期限
こうした項目は、受け手を縛るためのものではなく、つまずいたときにどの道へ進むかを先に決めておくためのものです。PDPC法の図を見ながら、「この分かれ道は契約で決めておけるか」と考えると、入れておくべき項目が自然に見えてきます。金額や契約の扱いに関わる部分は、事情によって適切な書き方が変わるので、必要に応じて専門家に確認します。
PDPC法の図を報告の資料に生かす
PDPC法の図は、上司や経営層に計画を説明するときの資料としても役立ちます。計画の中身だけでなく、つまずいたときの備えまで考えてあることを示せるので、計画が承認されやすくなります。
1枚目に主な道筋だけを描く
報告の資料では、最初のページに主な道筋だけを描いた簡単な図を載せ、スタートからゴールまでの流れを先に伝えます。いきなり分かれ道まで描いた図を見せると、どこが本筋か分からなくなります。
2枚目以降で、影響の大きい分かれ道を説明する
続くページで、影響の大きい不測の事態を2つか3つ選び、その事態が起きたときの方策と、判断する時期と担当を説明します。すべての分かれ道を説明する必要はなく、聞き手が気にしそうな事態に絞るのがこつです。
判断を仰ぎたい点をはっきり書く
方策の中に、予算の追加や人の応援など、上の立場の人の判断が必要なものがあれば、資料の最後にまとめて書きます。「この事態が起きたら、この判断をお願いしたい」と先に伝えておくと、いざというときの決定が早くなります。
図の更新を報告の場で共有する
計画の途中で図を見直したら、定例の報告の場で、どの分かれ道に進んだか、新しく描き足した事態は何かを短く伝えます。報告を受ける側は、計画が予定どおりかどうかだけでなく、備えがどう変わったかも知ることができ、追加の支援が必要かどうかを早めに判断できます。報告のたびに同じ図の新しい版を見せると、計画の変化を時系列でたどれる記録にもなります。
PDPC法でよくある失敗と防ぎ方
最後に、PDPC法でよく起きる失敗と、その防ぎ方をまとめます。
ゴールがあいまいなまま描き始める
「業務を改善する」のようなあいまいなゴールでは、どこに向かって道筋を描けばよいかが決まりません。ゴールは期日と状態がはっきり分かる1文で書きます。
不測の事態が抽象的すぎる
「トラブルが起きる」「うまくいかない」のような書き方では、方策を考えられません。「制作会社の担当者が交代する」「原稿の提出が1週間遅れる」のように、具体的な出来事として書きます。
方策が「頑張る」で終わる
「全員で頑張って取り戻す」「残業で対応する」のような方策は、実際には別の道になっていません。手順や担当、使う資源を変える方策を考えます。
予備の道に人や時間の余裕がない
別の道を描いても、その道を進むための人や時間がまったく確保されていなければ、実際には選べません。たとえば「遅れたら応援を頼む」という方策なら、誰に頼むのかを事前に相談しておきます。方策を書いたら、それを実行する資源があるかを1つずつ確かめます。
図を描いて満足し、共有しない
図を描いた人だけが中身を知っていると、いざ不測の事態が起きたとき、ほかの人が方策を知らずに動けません。図は関係者全員に共有し、どこで誰が判断するのかを伝えておきます。
決めた方策をチームで共有し、実行する
PDPC法で決めた予防の手や、不測の事態が起きたときの方策は、担当と期限を決めて実行に移す必要があります。人数が少なければ、図と一緒に「方策」「担当」「期限」「状況」の4列の表をExcelで作り、会議のたびに見直すだけでも十分に回ります。
複数人で進み具合を共有したい場合
関わる人が増え、部署や社外の人もまたがるようになると、表のファイルを何人もが書き換えて、どれが最新か分からなくなりがちです。そうした場面の選択肢の1つが、国産のプロジェクト管理ツールのPinateca(ピナテカ)です。公式サイトによると、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットが、無料プランから使えます。主な道筋の方策や予防の手をカードにして、担当と期限を付ければ、ガントチャートのボードで期間の重なりを、カンバンのボードで進み具合を、関係者が同じ画面で確かめられます。不測の事態についての議論は、論点ごとに立てて話せるディスカッションのボードや、カードごとのコメントに残せます。社外のメンバーを招待する権限の設定にも対応していると案内されています。料金は、5人までのチームならボード10個まで無料で、6人目、または11個目のボードからはスタンダードプラン(1人あたり月額500円・税抜、年払いなら1人あたり月額400円)になります。PDPC法の図そのものは、紙やホワイトボード、図形の描ける道具で描きます。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
外部に仕事を任せるときこそPDPC法が生きる
PDPC法が最も力を発揮するのは、自分たちだけでは進み方を決めきれない計画、たとえば外部の人に仕事を依頼する場面です。在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、外注がうまくいく発注者ほど、依頼の前に「原稿が遅れたら」「担当が交代したら」「修正が長引いたら」を考え、契約や進め方の中に先に手を打っています。受け手の側から見ても、途中のつまずきへの備えを一緒に考えてくれる発注者は、安心して長く付き合える相手です。また、仲介の手数料が乗らない直接取引では、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなり、予備の日程や確認の時間を含めた依頼にしやすくなります。手数料0%で直接取引できる仕組みは、こうした余裕を持った依頼を組む選択肢の1つです。
外部の専門家に頼める仕事の中身は、ガイドで整理しています。業務にAIを取り入れる相談や仕組みづくりの支援はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で、データの活用や情報の守り方に関わる仕事はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、業務の仕組みをシステムとして作る仕事はアプリケーション開発のお仕事で紹介しています。
依頼の予算を考えるときは、職種ごとの報酬の水準も参考になります。Webサイトや資料の見た目を整える仕事はデザイナーの年収・単価相場で、調査や分析の仕事は研究者の年収・単価相場で相場を確かめられます。計画づくりと経営の課題の整理を学びたい人には、中小企業診断士のガイドもあります。
よくある質問
Q. PDPC法の強制連結型と逐次展開型はどう使い分ければよいですか?
ゴールと期日が動かせない計画には強制連結型、交渉や新しい事業のように相手の出方で結果が変わる計画には逐次展開型が向いています。強制連結型は計画の初めにまとめて図を描き、どの道を通ってもゴールに着くように組み立てます。逐次展開型は状況が動くたびに図を描き足し、次善のゴールに落ち着くことも想定して進めます。
Q. PDPC法とリスク管理表は何が違いますか?
リスク管理表は、起こりうるリスクを一覧にして、影響の大きさと対策を書く形です。PDPC法は、計画の流れを図にして、どの段階で何が起きたら、どの道に切り替えるかを示します。対策同士のつながりや、切り替えたあとの進み方まで見せられるのがPDPC法の強みです。両方を作り、一覧と図で補い合う使い方もできます。
Q. PDPC法の図はどこまで細かく描けばよいですか?
主な道筋の各段階について、不測の事態は2つか3つまでを目安にします。起きる見込みがほとんどない事態はメモに残すだけにし、自分たちで手を打てない事態は連絡先だけを決めておきます。図が1枚に収まらなくなったら、段階ごとに分けて描きます。見通しをよくするための資料と割り切ると、ちょうどよい細かさになります。
Q. PDPC法の図は誰が作ればよいですか?
計画の責任者が取りまとめ役になり、実際に作業を担う担当者や、関係する部署の人と一緒に作るのが効果的です。過去に似た計画で実際に起きたことを持ち寄ると、現実味のある不測の事態が集まります。外部に仕事を依頼する計画なら、依頼先の担当者にも意見を聞くと、受け手の側から見たつまずきにも備えられます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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