パーツモデルはどんな仕事か|手や足の手入れと事務所への応募のしかた

藤本 拓也
藤本 拓也
パーツモデルはどんな仕事か|手や足の手入れと事務所への応募のしかた

この記事のポイント

  • ✓パーツモデルの仕事内容を
  • ✓手・足・髪・目元など部位ごとに整理し
  • ✓撮影の現場で求められる手入れ

パーツモデルとは、広告や商品の写真、映像の中で、手や足、髪、目元といった体の一部分だけを見せて、商品の魅力を伝えるモデルのことです。顔や全身を出さないため、「人前に出るのは苦手だけれど、手の形には自信がある」という人が興味を持つことも多い仕事です。

ただ、正直なところ、パーツモデルは応募すればすぐに仕事が来る世界ではありません。求められる部位の状態を保つための日々の手入れ、撮影の現場での細かな指示への対応、事務所選びの見極めと、知っておくべきことが意外に多くあります。この記事では、パーツモデルの仕事の中身、部位ごとに求められること、事務所への応募のしかた、契約やお金の受け取りで確かめたいことを順に整理します。

パーツモデルとはどんな仕事か

パーツモデルは、体の特定の部分に特化して撮影に参加するモデルです。広告制作の会社が運営する解説記事では、次のように説明されています。

パーツモデルとは、広告などにおいて体の特定部位に特化して商品の魅力を表現するモデルを指します。代表的なものはハンドモデル(通称:手タレ)ですが、ほかにも目元や髪、足などさまざまな部位に特化したパーツモデルが存在します。 出典: skettt.com

つまり、パーツモデルの仕事は「その部位がきれいに写ること」だけではなく、「その部位を通して商品をよく見せること」にあります。ハンドクリームの広告なら、クリームを伸ばす指の動きで、しっとりした使い心地を伝えます。腕時計の広告なら、手首の角度ひとつで高級感を出します。主役はあくまで商品で、パーツモデルはその商品を引き立てる役割を担います。

ファッションモデルとの違いも整理しておきます。ファッションモデルは、服の着こなしや全身のバランス、表情を含めた総合的な表現力が求められます。パーツモデルは、特定の部位の美しさと、その部位を思いどおりに動かして止められる技術が求められます。必要な力の種類がまったく違うのです。

パーツモデルの仕事が生まれる場面

パーツモデルの仕事がどこから生まれるのかを知っておくと、どんな準備をすればよいかが見えてきます。

一番分かりやすいのは、テレビのCMや雑誌、駅や電車の広告です。化粧品や食品、家電の広告では、商品を持つ手や、使っている場面の手元が大きく写ります。この手元の部分だけを、顔が写るタレントとは別のパーツモデルが担当することは珍しくありません。タレントが商品を持つ場面でも、手のアップだけは別の人が撮影している、ということがあるのです。

最近増えているのが、通販サイトの商品写真や、SNS向けの短い動画です。通販サイトでは、指輪やネイル用品、スマホのケースなど、手に持ったときの大きさや雰囲気を伝える写真が欠かせません。SNSの動画では、商品の開け方や使い方を手元だけで見せる形がよく使われます。こうした撮影は、大きな広告に比べて規模が小さく、撮影の回数が多いのが特徴です。

商品のパッケージや説明書、取扱説明の動画にも、手元の写真がよく使われます。ボタンの押し方や部品の取り付け方を見せるためには、手の動きを正確に止めて撮る必要があるため、パーツモデルの技術が生きる場面です。

マーケティングの仕事をしていると、商品の写真の差し替えだけで、通販サイトでの反応が変わる場面を何度も目にします。商品を持つ手がきれいで、持ち方が自然だと、見る人は自分が使っている姿を思い浮かべやすくなるんですよね。発注する側から見ると、パーツモデルは「売れる写真」を作るための大切な要素の1つです。

部位ごとに求められること

パーツモデルの仕事は、部位によって求められることが大きく変わります。代表的な部位ごとに整理します。

手(ハンドモデル)

パーツモデルの中で最も仕事が多いのが手です。化粧品、食品、家電、スマホ、アクセサリー、飲料など、手が写る広告は数え切れないほどあります。

求められるのは、指が長くまっすぐであること、関節が目立たないこと、肌の色むらや傷、ささくれがないこと、爪の形が整っていることなどです。それ以上に大切なのが、手を思いどおりに動かし、決められた形で長い時間止めていられることです。商品を持つ角度を数ミリ単位で直されたり、同じ動きを何十回も繰り返したりすることも珍しくありません。

足(フットモデル)

靴や靴下、ストッキング、フットケア用品、ペディキュアなどの撮影で求められます。足の指の形がそろっていること、かかとや指の付け根に角質がたまっていないこと、くるぶしやすねのラインがきれいなことなどが見られます。

靴の撮影では、決められたサイズの靴を履く必要があるため、靴のサイズが仕事の条件になることもあります。

髪(ヘアモデル)

シャンプーやヘアケア用品、ヘアカラーの広告などで、髪の質感やつやを見せる仕事です。顔が写らないこともあれば、後ろ姿や横顔が写ることもあります。髪の長さや色を、撮影のために指定どおりに変えるよう求められることもあるので、普段の髪型をどこまで変えられるかも考えておく必要があります。

目元、口元、肌

まつげ美容液やアイメイク、口紅、スキンケア用品の広告では、目元や口元、肌のアップの撮影があります。大きく拡大して写すため、肌のきめや毛穴まで細かく見られます。

体のライン、背中、脚

下着や水着、ボディケア用品などの撮影で求められます。部位というより、体の一部分のラインを見せる仕事です。

パーツモデルの仕事の流れ

実際の仕事がどのように進むのか、一般的な流れを紹介します。

1. 事務所から案件の連絡が来る

パーツモデルの多くは、モデル事務所に登録して仕事を紹介してもらいます。広告の制作会社や撮影の会社から事務所に依頼が入り、条件に合うモデルに連絡が来ます。

2. オーディションや書類選考を受ける

案件によっては、何人かの候補の中から選ばれる形になります。宣材写真(自分を売り込むための写真)で書類選考が行われることもあれば、実際に会場で手を見せたり、商品を持ってみたりするオーディションが行われることもあります。

3. 撮影の準備をする

決まったら、撮影の日までに部位の状態を整えます。爪の長さや形、ネイルの有無、肌の状態など、撮影ごとに細かな指定があることもあります。

4. 撮影に参加する

撮影の現場では、カメラマンやディレクター、スタイリストなどの指示を受けながら、商品を持ったり、動きを繰り返したりします。拘束時間は案件によって大きく違い、数時間で終わることもあれば、丸1日かかることもあります。

5. 報酬を受け取る

報酬は、事務所を通して受け取るのが一般的です。事務所の取り分(手数料)を引いた額が支払われます。支払いの時期や方法は、事務所との契約で決まります。

撮影の日の過ごし方と持ち物

初めての撮影では、何を持って行けばよいのか、当日はどう過ごせばよいのかで不安になるものです。一般的な流れと、準備しておきたい物を紹介します。

前日まで

事務所から届いた撮影の案内を読み、集合の時間と場所、撮影する商品、部位の状態についての指定を確かめます。爪の長さやネイルの有無、肌の状態などに指定があれば、前日までに整えておきます。前日の夜は、手や足に負担がかかる作業をできるだけ避け、よく眠っておくことが大切です。むくみや肌の調子は、睡眠の影響を受けやすいからです。

持ち物

撮影の現場によって違いますが、次のような物を持って行く人が多いようです。

  1. 手袋や靴下など、移動中に部位を守るもの
  2. いつも使っている保湿の用品
  3. 爪やすりなど、爪を整える道具
  4. 撮影の合間に手を温めたり冷やしたりするためのもの
  5. 長い待ち時間に備えた飲み物や軽食

冬の撮影では、手が冷えて赤くなったり、血管が浮いて見えたりすることがあります。撮影の直前まで手を温めておく工夫をしている人が多くいます。

撮影の当日

現場に着いたら、担当者にあいさつをし、部位の状態を見てもらいます。スタイリストやメイクの担当者が、爪や肌の状態を整えてから撮影に入ることもあります。

撮影が始まると、カメラマンやディレクターから「指をもう少し開いて」「手首を2センチ下げて」といった細かな指示が続きます。指示どおりに動き、止まり、また動く。この繰り返しです。商品の角度や光の当たり方を確かめるために、同じ形のまま数分間止まっていることもあります。

撮影と撮影の間には、待ち時間が長く入ることもあります。その間も、部位をぶつけたり汚したりしないよう、気を配って過ごします。

事務所への所属の形の違い

パーツモデルが事務所と結ぶ関係には、いくつかの形があります。違いを知っておくと、応募先を選ぶときに迷いません。

専属で所属する

1つの事務所にだけ所属し、その事務所を通してだけ仕事を受ける形です。事務所が売り込みに力を入れてくれる一方で、ほかの事務所から仕事を受けることはできません。契約の期間や、やめるときの手続きも確かめておく必要があります。

登録だけをする

事務所に登録しておき、条件に合う案件があれば紹介してもらう形です。複数の事務所に登録できる場合もあり、仕事の機会を広げやすいのが利点です。ただ、事務所の側も多くの登録者を抱えているため、自分から積極的に売り込まないと、声がかかりにくいこともあります。

事務所を通さずに受ける

SNSなどで自分の手の写真を発信し、直接依頼を受ける人もいます。事務所の取り分がない分、手元に残る額は増えますが、条件の交渉や契約、報酬の請求まで、すべて自分で行う必要があります。トラブルが起きたときに間に入ってくれる人もいません。まずは事務所を通して現場の経験を積み、相場や進め方を覚えてから考えるのが無難です。

撮影の現場で求められる手入れ

パーツモデルにとって、部位の手入れは仕事の一部です。撮影の現場で「すぐに使える状態」を保つために、普段から気をつけたいことを挙げます。

傷と日焼けを避ける

小さな切り傷やあざでも、拡大して撮影すると目立ちます。料理や掃除のときは手袋を使う、重い荷物を持つときは手を守る、といった日々の気配りが欠かせません。日焼けによる色むらも、撮影では修正が難しいことがあります。外に出るときは、手袋や日傘で日差しを避ける人が多くいます。

乾燥を防ぐ

手や足の乾燥は、肌のきめが粗く見えたり、ささくれやひび割れの原因になったりします。保湿は基本中の基本です。

爪を整える

手や足の撮影では、爪の形と長さがよく見られます。撮影の指定に合わせて整えられるよう、普段から爪を短めに、形をそろえておく人が多いようです。ネイルをしていると、撮影の前に落とす必要があることもあります。

体の不調は早めに専門家へ

肌荒れや湿疹、爪の変形などが続く場合は、自己流で何とかしようとせず、皮膚科などの医療機関に相談してください。手入れの方法は人によって合う合わないがあり、ここで紹介したのは一般的な心がけです。

正直なところ、手入れそのものより大変なのは、それを毎日続けることです。マーケティングの仕事で広告撮影の現場に立ち会ったとき、ハンドモデルの方が撮影の合間もずっと手袋をしていて、休憩中に飲み物を持つときでさえ手の向きに気を配っていたのが印象に残っています。撮影の本番の数分のために、日常の全部を合わせている。それがパーツモデルという仕事なんですよね。

パーツモデルに向いている人

ここまでの内容から、パーツモデルに向いている人の特徴をまとめると、次のようになります。

  1. 特定の部位に、生まれつきの形の良さがある
  2. 日々の手入れを、面倒がらずに続けられる
  3. 細かな指示に合わせて、体の一部分を正確に動かせる
  4. 同じ動きを何度繰り返しても、集中が切れない
  5. 自分ではなく商品が主役だと割り切れる

特に3と4は、撮影の現場で大きな差になります。どれだけ形のきれいな手でも、指示どおりに止められなければ、撮影に時間がかかり、次の仕事につながりにくくなります。

一方で、パーツモデルだけで生活を支えるのは簡単ではありません。案件の数は限られていて、仕事の入り方も不定期です。多くの人は、本業や別の仕事と組み合わせながら、パーツモデルの仕事を受けています。最初から本業にしようとせず、まずは副業として始めてみるのが現実的です。

反対に、向いていないかもしれないのは、手や足を使う作業が多い本業や趣味を持っている人です。料理人、介護職、楽器の演奏、スポーツなど、部位に傷や負担がかかりやすい活動を続けながら、撮影に向けた状態を保つのは簡単ではありません。どちらを優先するのかを、始める前に一度考えておくと、あとで迷わずに済みます。

オーディションに向けた練習のしかた

部位の形は生まれつきの部分が大きいものの、動かし方や止め方は練習で身につけられます。オーディションの前にできる練習を紹介します。

スマホで自分の手を撮ってみる

一番手軽なのは、スマホで自分の手元を撮影してみることです。ペットボトルやマグカップ、スマホなど、身近な物を持ち、いろいろな角度から写真や動画を撮ります。撮ったものを見返すと、指が開きすぎている、関節が目立つ、手首の角度が不自然、といった癖に気づけます。

広告の手元をまねてみる

雑誌やWebの広告で、手元が大きく写っているものを集め、同じ形を自分の手で作ってみます。プロのハンドモデルが、どんな角度で、どの指に力を入れて商品を持っているのかが、まねてみると分かってきます。

同じ形で止まる練習をする

商品を持った形のまま、30秒、1分と止まっていられるかを試します。最初は指先が震えたり、形が崩れたりしますが、繰り返すうちに長く保てるようになります。撮影の現場では、この「止まれる力」が大きな差になります。

指示に合わせて少しずつ動かす練習をする

家族や友人に「指を1本分だけ右へ」「手首を少しだけ上へ」と声をかけてもらい、その指示どおりに動かす練習も役に立ちます。撮影の現場の指示は、こうした細かなものの連続です。

事務所への応募のしかた

パーツモデルとして仕事を得るには、モデル事務所に所属するか、登録するのが一般的です。応募の流れと準備を説明します。

応募先を調べる

パーツモデルを扱っている事務所を探し、公式サイトで募集の要項を確かめます。年齢や部位、住んでいる地域の条件、所属の形(専属か、登録だけか)などが書かれています。

事務所によって、得意とする分野が違います。広告が中心の事務所もあれば、テレビや映像が中心の事務所もあります。所属しているモデルや、過去の仕事の実績が公開されていれば、目を通しておくと、自分に合うかどうかの判断材料になります。

宣材写真を用意する

応募の際には、応募したい部位の写真を求められます。スマホで撮る場合は、次の点に気をつけると、部位の状態が伝わりやすくなります。

  1. 自然光が入る明るい場所で撮る
  2. 背景は白や無地にする
  3. 加工やフィルターは使わない
  4. 部位の全体が分かる写真と、アップの写真の両方を用意する
  5. 手なら、手のひら側と甲側の両方を撮る

加工した写真で書類選考に通っても、オーディションで実物を見られた時点で分かってしまいます。ありのままの状態を伝えるほうが、結果的に信頼されます。

面接やオーディションに臨む

書類選考を通ると、面接やオーディションに呼ばれます。部位の状態を直接見られるほか、これまでの経験、撮影に参加できる曜日や時間、仕事に対する考え方などを聞かれます。撮影は平日の日中に行われることが多いので、本業がある人は、どのくらい融通がきくかを正直に伝えておくと、あとで行き違いが起きません。

登録料やレッスン料を求める勧誘に注意する

モデルの仕事を目指す人が、特に気をつけたいのが、お金を先に払わせる勧誘です。「登録すれば仕事を紹介する」と言いながら、高額な登録料やレッスン料、宣材写真の撮影料を求め、実際にはほとんど仕事を紹介しないというトラブルが、以前から問題になっています。

すべての事務所がこうした勧誘をしているわけではありません。レッスンや写真撮影に費用がかかる事務所でも、内容が説明どおりなら問題はありません。大切なのは、お金を払う前に、何にいくら払うのか、それで何が約束されるのかを、書面で確かめることです。

仕事を紹介することを理由に、有料の商品やサービスを買わせる取引は、条件によっては、特定商取引法の「業務提供誘引販売取引」に当たります。国民生活センターのクーリング・オフの案内では、業務提供誘引販売取引(内職商法、モニター商法など)のクーリング・オフの期間は20日間とされています。ただし、同じ案内には、条件によってはクーリング・オフできない場合があるとも書かれています。

契約してから「おかしい」と感じたら、一人で悩まずに、消費者ホットライン「188」に電話してください。最寄りの消費生活センターなどの相談窓口につながります。消費者庁のページでも、困ったときは188に相談するよう案内されています。

勧誘を受けたときに確かめたいことを、チェックリストにしておきます。

  1. 登録の時点で、費用がかかるか
  2. かかる場合、何にいくら払うのか、書面に書かれているか
  3. 仕事の紹介の実績や、所属モデルの実例が公開されているか
  4. その場ですぐに契約や支払いを求められていないか
  5. 断ったときに、強い言葉で引き止められないか

4と5に当てはまる場合は、いったん持ち帰り、家族や相談窓口に話してから決めてください。

報酬はどのように決まるのか

パーツモデルの報酬は、決まった相場で一律に決まるものではありません。案件ごとに、いくつかの条件を組み合わせて決まるのが一般的です。金額そのものは事務所や案件によって大きく違うため、ここでは考え方を整理します。

まず影響するのが、写真や映像がどこで使われるかです。全国で流れるテレビのCMと、通販サイトの商品写真では、同じ手元の撮影でも扱いが変わります。使われる場所が広く、多くの人の目に触れるものほど、報酬は高くなる傾向があります。

次に、使われる期間です。広告は、決められた期間だけ使う約束で作られることが多く、期間が長いほど、報酬に反映されることがあります。期間が終わったあとにもう一度使う場合は、改めて使用料が支払われる契約になっていることもあります。

撮影にかかる時間も条件の1つです。数時間で終わる撮影と、丸1日かかる撮影では、拘束される時間が違います。

これらの条件は、事務所とクライアントの間で決められ、モデル本人には決まった金額だけが伝えられることも少なくありません。気になる場合は、自分の写真がどこで、いつまで使われるのかを、事務所に確かめておくと安心です。自分が写った広告を、思わぬ場所で見かけて驚く、ということも防げます。

契約とお金の受け取りで確かめたいこと

事務所に所属して仕事を始める前に、契約の中身を確かめておきます。パーツモデルの多くは、事務所に雇われる会社員ではなく、個人として仕事を受ける形になります。

取り分と支払いの時期

報酬から事務所がどれだけを取り分として引くのか、報酬はいつ、どのように支払われるのかを確かめます。撮影から支払いまでに数か月かかることもあるので、時期を知っておくと家計の見通しが立てやすくなります。

発注する側に課された決まり

2024年11月に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法)は、個人で働くフリーランスに仕事を頼む事業者に、いくつかの決まりを課しています。厚生労働省の説明では、発注事業者に対し、業務委託をした際の取引条件の明示、給付を受け取った日から原則60日以内での報酬の支払い、ハラスメント対策のための体制整備などが義務付けられるとされています。

事務所やクライアントとの関係がこの法律の対象になるかどうかは、契約の形や相手の規模によって変わります。報酬の支払いが大幅に遅れる、条件が口頭でしか示されない、といった場合は、厚生労働省のフリーランスに関する案内を確かめ、必要に応じて相談窓口を利用してください。

税金の扱い

国税庁の「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」では、源泉徴収の対象となる報酬・料金の例として、モデルに支払う報酬・料金が挙げられています。源泉徴収とは、報酬を支払う側が、所得税をあらかじめ差し引いて国に納める仕組みのことです。

パーツモデルの報酬は、一般に事業所得や雑所得として扱われることが多く、源泉徴収された分は、確定申告で精算することになります。本業がある人の場合、副業の所得が一定額を超えると確定申告が必要になります。ただし、どの所得に当たるか、申告が必要かどうかは、収入の額や働き方によって変わります。迷ったときは、税務署や税理士に相談してください。

会社員が副業で始めるときに確かめること

会社に勤めながらパーツモデルを始める場合は、勤務先の決まりも確かめておく必要があります。

厚生労働省の副業・兼業のページで案内されているとおり、厚生労働省が公開しているモデル就業規則(令和7年12月版)では、副業・兼業について第70条で定めています。労働者は勤務時間外に他の会社等の業務に従事できることを原則としつつ、会社が禁止や制限をできる場合として、労務の提供に支障がある場合、企業秘密が漏れる場合、会社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を壊す行為がある場合、競業により会社の利益を害する場合の4つが挙げられています。

実際の勤務先の就業規則が、このモデル就業規則と同じとは限りません。届け出が必要な会社もあれば、許可が必要な会社もあります。始める前に、勤務先の就業規則を読み、必要な手続きを確かめてください。就業規則がどこにあるか分からない場合は、人事や総務の担当者に聞けば教えてもらえます。副業の内容を説明するときは、「顔の写らない広告の撮影に、平日の休みの日に参加する」のように、勤務に支障が出ないことが伝わる言い方をすると、話がまとまりやすくなります。

パーツモデルの場合、気をつけたいのが、勤務先の取引先や競合の会社の広告に出る可能性です。顔が写らないとはいえ、勤務先と競合する商品の広告に関わることは、会社によっては問題になることがあります。気になる場合は、事務所に相談して、受ける案件を選んでもらう方法もあります。

撮影は平日の日中に入ることが多いため、有給休暇の使い方や、勤務の時間の融通がどこまできくかも、現実的な問題になります。急な撮影の依頼に応えられないことが続くと、事務所からの紹介が減ることもあるので、自分がどのくらいの頻度で撮影に参加できるかを、最初に事務所へ伝えておくと行き違いが起きません。

年齢を重ねても続けるために

パーツモデルは、若い人だけの仕事ではありません。広告で求められる手や足は、商品によって年代がさまざまです。若い世代向けの商品なら若い手が、落ち着いた世代向けの商品なら、その世代らしい手が求められます。

一方で、部位の状態は年齢とともに少しずつ変わっていきます。長く続けている人ほど、日々の手入れを習慣にし、自分の部位がいまどんな商品の広告に合うのかを、冷静に見極めています。事務所の担当者と定期的に話し、宣材写真をいまの状態に合わせて撮り直しておくことも大切です。古い写真のまま売り込むと、実際の撮影で「写真と違う」と言われ、信頼を失うことになりかねません。

パーツモデルの経験を、ほかの仕事に生かす

パーツモデルの仕事を続けていると、広告や撮影の現場の仕組みが少しずつ見えてきます。この経験は、ほかの仕事にも生かせます。

たとえば、撮影の現場で求められる「商品をどう見せるか」という感覚は、ECサイトの商品写真の撮影や、SNSでの商品の見せ方を考える仕事に通じます。マーケティングの仕事をしていると、商品の写真ひとつで売れ行きが変わる場面をよく目にします。どんな角度で、どんな光で、どんな手の動きで撮ると商品が魅力的に見えるのか。パーツモデルとして現場で学んだことは、そのまま見せ方の引き出しになるんです。

広告やマーケティングの仕事に関心がある人は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、在宅で受けられるマーケティングの案件の種類が紹介されています。撮影した写真を整える仕事や、広告のデザインに関わる仕事の報酬の水準は、デザイナーの年収・単価相場で公的統計をもとに確かめられます。

長く続けるために、本業や別の仕事と組み合わせる

最後に少し視点を広げます。パーツモデルの仕事は、案件の数が限られ、入り方も不定期です。しかも、部位の状態は年齢や体調で変わっていきます。だからこそ、パーツモデルの仕事だけに頼らず、ほかの収入の柱と組み合わせて考えることが大切です。

20年にわたって在宅ワークと業務委託の市場を見てきた運営者の立場から言えば、不定期な仕事を長く続けている人ほど、在宅でできる別の仕事を持ち、撮影の予定が入ったときに柔軟に合わせられる働き方を選んでいます。文章を書く仕事、デザインの仕事、事務の仕事など、時間の融通がきく仕事は、撮影の仕事との相性がよいものです。仲介手数料のかからない直接の取引なら、同じ時間で受け取れる手取りが厚くなり、撮影の予定に合わせて仕事量を調整する余裕も生まれます。

在宅で文章を書く仕事に関心がある人は、Webライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップで、単価の上げ方の段階が紹介されています。ビジネスの文章の書き方を体系的に学びたい人は、ビジネス文書検定の資格ガイドも参考になります。

よくある質問

Q. パーツモデルになるには、どこに応募すればよいですか?

パーツモデルを扱っているモデル事務所に応募するのが一般的です。事務所の公式サイトで、募集している部位、年齢や住んでいる地域の条件、所属の形を確かめてから応募します。応募の際は、加工していない部位の写真を、全体とアップの両方で用意しておくと、状態が伝わりやすくなります。

Q. 登録料やレッスン料を払わないと所属できないと言われました。払ってもよいですか?

その場で払わず、何にいくら払うのか、それで何が約束されるのかを書面で確かめてください。仕事の紹介を理由に有料の商品やサービスを買わせる取引は、条件によっては業務提供誘引販売取引に当たり、20日間のクーリング・オフの対象になる場合があります。迷ったら消費者ホットライン188に相談してください。

Q. パーツモデルの報酬に税金はかかりますか?

国税庁の案内では、モデルに支払う報酬・料金は源泉徴収の対象に含まれています。パーツモデルの報酬は事業所得や雑所得として扱われることが多く、源泉徴収された分は確定申告で精算します。どの所得に当たるか、申告が必要かは収入や働き方で変わるので、税務署や税理士に確かめてください。

Q. 本業がある人でもパーツモデルはできますか?

できますが、撮影は平日の日中に行われることが多く、拘束時間も案件によって数時間から丸1日までさまざまです。本業の勤務先の副業の決まりを確かめたうえで、撮影に参加できる曜日や時間を事務所に正直に伝えておくと、行き違いを防げます。時間の融通がきく仕事と組み合わせる人が多くいます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年9月20日最終更新:2026年10月11日
藤本 拓也

この記事を書いた人

藤本 拓也@SOHO編集部

フリーランスWebマーケター

大手広告代理店でWebマーケティングを10年間担当した後、フリーランスに転身。SEO・SNS・広告運用を得意とし、大阪から東京の案件もリモートで対応。マーケティング・営業系の記事を執筆しています。

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