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有給管理表の作り方|付与と取得を記録する

@SOHO編集部
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有給管理表の作り方|付与と取得を記録する

この記事のポイント

  • ✓法律で作成が求められる年次有給休暇管理簿の3項目
  • ✓保存期間とあわせて説明します
  • ✓Excelやスプレッドシートで作る列の構成と計算式

有給管理表を作ることになったものの、どんな項目を並べればよいのか、法律で何が求められているのか分からず困っている人は多いものです。結論から書くと、法律で記録が求められているのは「基準日」「日数」「時季(取得した日)」の3つで、これを従業員ごとに記録し、5年間(当分の間は3年間)保存すれば要件を満たせます。そのうえで、付与した日数、繰り越した日数、取得した日数、残りの日数を並べると、実務で使いやすい有給管理表になります。

この記事では、有給管理表と年次有給休暇管理簿の関係、付与日数の決まり、年5日の取得義務、表の列の構成、Excelやスプレッドシートで使える計算式、パートやアルバイトの比例付与、繰り越しと時効、よくある間違いまで順に説明します。

有給管理表と、法律で作成が求められる年次有給休暇管理簿

有給管理表とは、従業員ごとに、有給休暇を何日与え、何日取り、何日残っているかを記録する表のことです。呼び方は会社によって「有給休暇管理表」「有休管理台帳」などさまざまですが、中身はほぼ同じです。

2019年4月の労働基準法の改正で、会社には「年次有給休暇管理簿」を作って保存することが義務づけられました。年次有給休暇管理簿とは、法律が作成を求めている有給休暇の記録の書類のことです。労働基準法施行規則の第24条の7は、その中身と保存期間を次のように定めています。

使用者は、法第三十九条第五項から第七項までの規定により有給休暇を与えたときは、時季、日数及び基準日(第一基準日及び第二基準日を含む。)を労働者ごとに明らかにした書類(第五十五条の二及び第五十六条第三項において「年次有給休暇管理簿」という。)を作成し、当該有給休暇を与えた期間中及び当該期間の満了後五年間保存しなければならない。 出典: e-Gov法令検索(労働基準法施行規則)

つまり、法律で必ず記録しなければならないのは次の3つです。

  • 基準日:有給休暇を与えた日(付与日)
  • 日数:取得した日数
  • 時季:実際に有給休暇を取った日

保存期間は条文では5年間ですが、同じ施行規則の第71条で、当分の間は3年間とすると読み替えられています。保存期間は、有給休暇を与えた期間(基準日から1年間)が終わってから数えます。

管理簿はほかの帳簿とあわせて作れる

施行規則の第55条の2は、年次有給休暇管理簿を、労働者名簿や賃金台帳とあわせて作ってもよいと定めています。給与計算のソフトや勤怠管理のシステムで、賃金台帳の中に有給休暇の欄がある場合は、それを管理簿として使えます。紙やExcelの表で作ってもかまいません。必要なときにすぐに出せる形で保存しておくことが大切です。

有給管理表を作る目的

法律の要件を満たすことのほかに、有給管理表には次のような目的があります。

  • 従業員が自分の残りの日数を確かめられるようにする
  • 年5日の取得義務を守れているかを、期限の前に確かめる
  • 繰り越しや時効で消える日数を正しく計算する
  • 退職するときの残りの日数を、すぐに答えられるようにする

有給休暇が付与される条件と日数

有給管理表を作る前に、有給休暇がいつ、何日与えられるかを確かめておきます。ここを間違えると、表の数字がすべてずれてしまいます。

付与の2つの条件

労働基準法の第39条は、次の2つの条件を満たした労働者に、10日の有給休暇を与えなければならないと定めています。

  1. 雇い入れの日から6か月間、続けて勤務していること
  2. その期間の全労働日の8割以上出勤していること

業務上のけがや病気で休んだ期間、育児休業や介護休業をした期間、産前産後の休業の期間は、出勤したものとして扱います。

勤続年数ごとの付与日数

その後は、1年ごとに付与日数が増えていきます。フルタイムの労働者の付与日数は次のとおりです。

勤続年数 付与日数
6か月 10日
1年6か月 11日
2年6か月 12日
3年6か月 14日
4年6か月 16日
5年6か月 18日
6年6か月以上 20日

最初の付与から1年ごとに、その前の1年間の出勤率が8割以上であれば、表の日数が与えられます。出勤率が8割に届かなかった年は、その次の1年間は付与されません。

条文は、e-Gov法令検索の労働基準法の第39条で確かめられます。

基準日をそろえる方法

従業員ごとに入社日が違うと、基準日も人によってばらばらになり、管理が大変になります。そこで、会社によっては、全員の基準日を4月1日などの同じ日にそろえる方法をとっています。この方法をとる場合も、法律で決まっている日数より不利にならないようにする必要があります。たとえば、入社した日に一部の日数を前倒しで与える、といった形です。基準日をそろえるかどうかは、就業規則で決めておきます。

年5日の取得義務と、有給管理表で確かめること

2019年4月から、年10日以上の有給休暇が与えられる労働者には、基準日から1年以内に5日を取らせることが会社の義務になりました。労働基準法の第39条第7項に定めがあり、この義務に違反すると、第120条により30万円以下の罰金の対象になります。

対象になる人

対象は、その年に与えられる有給休暇が10日以上の労働者です。正社員だけでなく、比例付与で10日以上が与えられるパートやアルバイトの人、管理監督者も対象になります。

5日に数えられるもの

本人が自分から申し出て取った日と、労使協定による計画的付与(会社が前もって日を決めて一斉に取らせる仕組み)で取った日は、5日に数えられます。本人が5日に届かない場合は、会社が時季を指定して取らせます。会社が時季を指定するときは、前もって本人の意見を聞き、その意見を尊重するように努めることが、施行規則の第24条の6で定められています。

時季を変えたときの記録

会社が時季を指定したあとで、本人と話し合って取る日を変えることもあります。その場合の扱いについて、勤怠管理の解説記事は次のように書いています。

年5日の取得義務に基づいて企業が時季指定した年次有給休暇について、従業員との話し合いの結果、取得日を変更した場合は、年次有給休暇管理簿の記載内容も実際の取得日に合わせて更新する必要があります。 出典: hcm-jinjer.com

有給管理表で確かめる時期

年5日の義務は、基準日から1年の期限が来てから気づいても間に合いません。有給管理表には、その年の取得日数の合計と、期限の日を並べておき、期限の3か月前と1か月前に、5日に届いていない人がいないかを確かめます。届いていない人がいれば、本人と相談して取る日を決めます。

有給管理表に並べる列の構成

ここからは、実際に有給管理表を作る手順を説明します。まず、どの列を並べるかを決めます。法律で必要な3項目に、実務で役に立つ項目を加えると、次のような構成になります。

列 入れる内容 法律で必要か
社員番号・氏名 従業員を特定する情報 必要(労働者ごと)
入社日 雇い入れの日 計算に使う
基準日 その年に有給休暇を与えた日 必要
付与日数 その年に与えた日数 実務で使う
前年からの繰越日数 前の年に使い切らなかった日数 実務で使う
取得日 実際に取った日 必要(時季)
取得日数 1日、0.5日、時間単位など 必要(日数)
取得日数の合計 その年に取った日数の合計 年5日の確認に使う
残りの日数 繰越と付与の合計から取得を引いた日数 実務で使う
年5日の期限 基準日から1年後の日 年5日の確認に使う
備考 時季指定、計画的付与、時間単位など 実務で使う

1人1枚か、全員を1枚か

有給管理表の形は、大きく2つに分かれます。

1つ目は、従業員1人ごとにシートを分け、取得した日を1行ずつ記録する形です。誰がいつ取ったかが一目で分かり、法律で必要な「時季」をそのまま記録できます。従業員が少ない職場に向いています。

2つ目は、全員を1枚のシートに並べ、取得した日を別のシートに記録して、集計の欄で合計する形です。全員の残りの日数や年5日の達成状況を一覧で見られます。従業員が多い職場に向いています。

どちらの形でも、取った日を1日ずつ記録しておくことが大切です。合計の日数だけを記録していると、法律で必要な「時季」が分からなくなります。

Excelやスプレッドシートで作る手順と計算式

ここでは、全員を1枚のシートに並べ、取得の記録を別のシートに付ける形で、Excelやスプレッドシートで有給管理表を作る手順を紹介します。ここで使う関数は、ExcelとGoogleスプレッドシートのどちらでも使えます。

手順1:取得記録のシートを作る

まず「取得記録」という名前のシートを作り、次の列を並べます。

  • A列:社員番号
  • B列:氏名
  • C列:取得日
  • D列:取得日数(1日なら1、半日なら0.5)
  • E列:備考(時季指定、計画的付与など)

有給休暇を取るたびに、このシートに1行ずつ記録していきます。このシートがそのまま、法律で必要な「時季」と「日数」の記録になります。

手順2:一覧のシートを作る

次に「一覧」という名前のシートを作り、従業員を1行ずつ並べます。列の構成は前の節の表を参考にします。ここでは、A列に社員番号、B列に氏名、C列に入社日、D列に基準日、E列に付与日数、F列に繰越日数、G列に取得日数の合計、H列に残りの日数、I列に年5日の期限を並べるとします。

手順3:最初の基準日を計算する

入社日から6か月後の日は、月を足し引きする関数の EDATE で求められます。入社日がC2にあるとき、D2に次のように入れます。

=EDATE(C2,6)

手順4:勤続年数から付与日数を求める

付与日数は、勤続年数に応じて決まります。別のシートに、勤続年数と付与日数の対応表を作っておくと、関数で自動的に求められます。「付与表」というシートのA列に勤続年数(0.5、1.5、2.5、3.5、4.5、5.5、6.5)、B列に付与日数(10、11、12、14、16、18、20)を、小さい順に並べます。

勤続年数は、入社日から基準日までの月数を12で割って求めます。2つの日付の間の月数は、DATEDIF 関数で求められます。使い方は Microsoft のDATEDIF 関数と、Google のDATEDIF のヘルプで確かめられます。

=DATEDIF(C2,D2,"M")/12

この結果をもとに、VLOOKUP 関数の近似一致を使って付与日数を求めます。

=VLOOKUP(DATEDIF(C2,D2,"M")/12,付与表!A:B,2,TRUE)

近似一致(4つ目の引数をTRUEにする)では、探す値以下で最も大きい値の行が選ばれます。そのため、付与表は勤続年数の小さい順に並べておく必要があります。

手順5:その年の取得日数の合計を求める

その年の取得日数の合計は、条件に合う値を合計する SUMIFS 関数で求めます。取得記録のシートから、社員番号が一致し、取得日が基準日以降のものを合計し、そこから次の基準日以降のものを差し引きます。

=SUMIFS(取得記録!D:D,取得記録!A:A,A2,取得記録!C:C,">="&D2)-SUMIFS(取得記録!D:D,取得記録!A:A,A2,取得記録!C:C,">="&EDATE(D2,12))

こう書くと、基準日から1年間に取った日数だけを合計できます。

手順6:残りの日数と年5日の期限

残りの日数は、繰越日数と付与日数の合計から、取得日数の合計を引いて求めます。

=E2+F2-G2

年5日の期限は、基準日から12か月後の前日です。

=EDATE(D2,12)-1

手順7:5日に届いていない人に色を付ける

条件付き書式を使うと、年5日に届いていない人の行に色を付けられます。G列の取得日数の合計が5以上でない行に色を付けるには、条件付き書式の数式に次のように入れます。

=NOT($G2>=5)

期限が近い人だけに色を付けたい場合は、期限の日から今日の日付を引いた日数が一定以下かどうかを、別の列で計算して条件に使います。

パートやアルバイトの比例付与

パートやアルバイトの人にも、条件を満たせば有給休暇が与えられます。ただし、週の所定労働日数が少ない人は、日数が少なくなります。これを比例付与といいます。

比例付与の対象

比例付与の対象になるのは、週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下(週以外の期間で日数が決まっている人は、年間の所定労働日数が216日以下)の人です。週の所定労働時間が30時間以上の人は、週の日数が少なくても、フルタイムの人と同じ日数が与えられます。

比例付与の日数

労働基準法施行規則の第24条の3に定められた日数は次のとおりです。

週の所定労働日数 年間の所定労働日数 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月以上
4日 169日から216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日から168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日から120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日から72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

週4日の人は3年6か月で10日、週3日の人は5年6か月で10日になります。この時点から、年5日の取得義務の対象にもなるので、有給管理表で確かめておきます。

有給管理表での扱い

パートやアルバイトの人がいる職場では、一覧のシートに「週の所定労働日数」の列を加え、付与表も比例付与の日数に合わせて分けておきます。所定労働日数が途中で変わった場合は、基準日の時点の所定労働日数で付与日数を決めるのが一般的です。扱いに迷う場合は、労働基準監督署に確かめます。

繰り越しと時効、半日単位と時間単位の扱い

有給管理表で間違いが起きやすいのが、繰り越しと時効、半日や時間の単位で取った分の扱いです。

繰り越しと時効

使い切らなかった有給休暇は、次の年に繰り越せます。ただし、有給休暇を請求する権利は、労働基準法の第115条により2年で時効になります。つまり、ある年に与えられた有給休暇は、その年と次の年の2年間で使わなければ消えてしまいます。

たとえば、勤続6年6か月以上の人には毎年20日が与えられるので、繰り越しを含めると手元の日数は最大で40日になります。有給管理表では、繰越日数の列に前の年の残りを入れ、2年を過ぎた分は差し引きます。

どちらの分から使うか

繰り越した分と新しく与えられた分のどちらから使うかは、法律では決まっていません。一般には、時効が先に来る繰り越した分から使うものとして扱う会社が多くなっています。どちらから使うかは就業規則で決めておき、有給管理表の計算もその決まりに合わせます。

半日単位と時間単位

半日単位の有給休暇は、会社の決まりで認めている場合に使えます。有給管理表では、取得日数を0.5として記録します。

時間単位の有給休暇は、労使協定を結んだ場合に、年5日分までを時間単位で取れる仕組みです。労働基準法の第39条第4項に定めがあります。時間単位で取った分は、年5日の取得義務の5日には数えられないので注意が必要です。有給管理表では、時間単位の取得を別の列に記録し、年5日の確認の計算から外します。

有給休暇を取った日の賃金と、給与計算とのつなぎ方

有給管理表は、休みの日数を記録するだけの表ではありません。有給休暇を取った日にいくら支払うかを決める、給与計算の元の資料にもなります。日数の記録と賃金の計算が別々に動いていると、休んだ日の分の賃金が抜けたり、二重に払ったりする間違いが起きます。

支払う賃金の3つの決め方

労働基準法の第39条第9項は、有給休暇を取った日の賃金を、次の3つのどれかで支払うと定めています。

  1. 平均賃金:直近3か月の賃金の合計を、その期間の暦の日数で割った額
  2. 所定労働時間働いた場合に支払われる通常の賃金:いつもどおり働いたときと同じ額
  3. 健康保険の標準報酬月額の30分の1に相当する額:労使協定を結んだ場合だけ選べる

1と2のどちらにするかは、就業規則などで決めておきます。多くの職場では、計算が分かりやすい2の通常の賃金を選んでいます。時給で働く人の場合、通常の賃金は「時給×その日の所定労働時間」で求めます。施行規則の第25条に、時給、日給、月給ごとの計算の仕方が定められています。

時給の人は、その日の所定労働時間を記録する

パートやアルバイトのように日によって働く時間が違う人は、有給休暇を取った日の所定労働時間で賃金が変わります。たとえば、ある日は4時間、別の日は6時間のシフトになっている人なら、どちらの日に休んだかで支払う額が変わります。そのため、取得記録のシートに「その日の所定労働時間」の列を加えておくと、給与計算の担当者が迷わずに済みます。

月末に給与計算の担当へ渡す流れ

給与計算と連動させるには、月末に次の手順で記録を締めると間違いが減ります。

  1. 取得記録のシートに、その月に取った日がすべて記録されているかを、勤怠の記録や申請の書類と突き合わせる
  2. 一覧のシートで、残りの日数がマイナスになっている人がいないかを確かめる
  3. その月の取得日と日数を、従業員ごとに給与計算の担当へ渡す
  4. 給与明細に、その月の取得日数と残りの日数を載せる

残りの日数がマイナスになっている場合は、記録の付け忘れか、付与日数の計算の間違いのどちらかです。月末のうちに原因を確かめておくと、年5日の確認や退職のときにあわてずに済みます。

計画的付与を使うときの記録の付け方

年5日の取得を確実に進める方法として、計画的付与を使う職場が増えています。計画的付与とは、労使協定を結んで、有給休暇を取る日を会社が前もって決める仕組みのことです。夏季休暇や年末年始の前後に、全員で一斉に休む形がよく使われます。

計画的付与にできる日数

労働基準法の第39条第6項により、計画的付与にできるのは、与えられた日数のうち5日を超える部分だけです。たとえば、付与日数が10日の人なら、計画的付与にできるのは5日までで、残りの5日は本人が自由に取れる日として残しておく必要があります。前の年から繰り越した日数も、この計算に含めてよいとされています。

有給管理表に記録すること

計画的付与で休んだ日も、取得記録のシートに1日ずつ記録します。備考の欄に「計画的付与」と書いておくと、年5日の確認のときに区分が分かります。計画的付与で取った日数は、年5日に数えられます(第39条第8項)。

注意したいのは、計画的付与の日より前に、残りの日数が足りなくなる人です。入社したばかりで付与日数が少ない人や、すでに多くの日数を使った人は、計画的付与の日に充てる日数が残っていないことがあります。そうした人を一斉に休ませる場合は、特別の休暇を与える、休業手当を支払うなどの扱いが必要になると一般に説明されています。扱いに迷うときは労働基準監督署に確かめます。計画的付与の日を決めたら、その日の時点で全員の残りの日数が足りているかを有給管理表で先に確かめておきます。

労使協定の控えも一緒に保存する

計画的付与は、労使協定を結ばないと使えません。協定書は労働基準監督署に届け出る必要はありませんが、会社で保存しておきます。有給管理表と同じ場所に協定書の控えを保存しておくと、どの日が計画的付与だったかを説明するときにすぐに出せます。

紙で作る場合の様式と、1人1枚の記入例

Excelやスプレッドシートを使わず、紙で有給管理表を作る職場もあります。従業員が数人で、パソコンでの管理に慣れた人がいない場合は、紙の方が続けやすいこともあります。法律は様式を決めていないので、必要な3項目が分かれば紙でもかまいません。

1人1枚の様式の例

紙で作るときは、従業員1人につき1枚、1年に1枚の様式にすると記録しやすくなります。用紙の上の欄に氏名、入社日、基準日、付与日数、前の年からの繰越日数を書き、その下に取得した日を1行ずつ記録していきます。記入の例は次のとおりです。

取得日 取得日数 残りの日数 区分 本人の確認
5月2日 1日 20日 本人の申し出 印
6月14日 0.5日 19.5日 本人の申し出(午後) 印
8月13日 1日 18.5日 計画的付与 印
8月14日 1日 17.5日 計画的付与 印
11月20日 1日 16.5日 会社の時季指定 印

この例は、基準日が4月1日で、付与日数11日と前の年からの繰越10日の、あわせて21日を持っている人を想定しています。取得日数の合計は4.5日なので、年5日の義務にはあと0.5日足りません。期限の翌年3月31日までに、残りの0.5日以上を取ってもらう必要があります。このように、1行ごとに残りの日数を書いておくと、合計を計算し直さなくても状況が分かります。

紙で管理するときの注意

紙の有給管理表は、なくしたり、書き間違えたところを消して書き直したりすると、記録が信用できなくなります。書き間違えたときは二重線で消して書き直し、修正液を使わないようにします。保管は鍵のかかる棚にまとめ、保存期間が過ぎるまでは捨てないようにします。従業員が増えてきたら、Excelやスプレッドシートへの切り替えを考える時期です。

入社、休職、退職のときの扱い

有給管理表で判断に迷いやすいのが、入社したばかりの人、長く休んでいる人、退職する人の扱いです。それぞれの場面で、表に何を記録するかを整理しておきます。

入社した人

入社した人の行を一覧のシートに加えるときは、入社日と、最初の基準日(入社から6か月後の日)を入れておきます。最初の基準日までは付与日数が0日なので、有給休暇はありません。会社の決まりで入社した日に前倒しで与える場合は、その日を基準日として記録し、そこから1年以内に年5日を取らせる必要があります。前倒しで与えた場合の年5日の扱いは、労働基準法の第39条第7項のただし書きと施行規則に定めがあるので、迷ったときは労働基準監督署に確かめます。

育児休業や病気で休んでいる人

育児休業、介護休業、産前産後の休業、仕事中のけがや病気で休んだ期間は、出勤率を計算するときに出勤したものとして扱います。そのため、長く休んでいた人でも、復帰したときに有給休暇が与えられることがあります。有給管理表の出勤率の欄には、休業の期間を出勤として数えた結果を記録します。休業の種類と期間を備考の欄に書いておくと、あとから計算を確かめるときに役立ちます。

退職する人

退職する人の有給休暇は、退職日を過ぎると使えなくなります。退職が決まった人から残りの日数をまとめて取りたいと申し出があった場合、退職日までの間で時季を変えてもらうことは難しくなります。退職の申し出があったら、有給管理表ですぐに残りの日数を確かめ、引き継ぎの日程と一緒に相談します。

残った日数を会社がお金で買い取ることは、在職中は休みを取らせるという制度の目的に合わないため、一般には認められていません。退職のときに残った分を精算する会社もありますが、法律で決まった義務ではないので、扱いは就業規則で決めておきます。退職した人の分の有給管理表も、保存期間が過ぎるまでは残しておきます。

よくある間違いと防ぎ方

最後に、有給管理表でよくある間違いと、その防ぎ方を並べます。

よくある間違い 防ぎ方
合計の日数だけを記録し、取った日が分からない 取った日を1日ずつ取得記録のシートに記録する
出勤率の確認をせずに付与している 基準日の前の1年間の出勤率を確かめる欄を設ける
時効で消えた分を残りの日数に含めている 2年を過ぎた繰越分を差し引く計算を入れる
時間単位の取得を年5日に数えている 時間単位の取得は別の列に記録する
パートの付与日数をフルタイムと同じにしている 週の所定労働日数の列を設け、比例付与の表を使う
年5日の期限を過ぎてから気づく 期限の3か月前と1か月前に確かめる日を決める
管理簿を退職者の分まで捨ててしまう 保存期間が過ぎるまで、退職者の分も残しておく

計算式を守る工夫

Excelやスプレッドシートで作った有給管理表は、誰かが計算式の入ったセルに数字を直接入れてしまうと、計算が狂います。計算式の入ったセルには色を付け、シートの保護の機能で編集できないようにしておくと、こうした事故を防げます。また、月に1回は、取得記録のシートの合計と一覧のシートの合計が合っているかを確かめます。

ファイルそのものが壊れたり、誤って上書きしたりしたときに備えて、控えを残しておくことも大切です。月末の締めのあとに、日付を付けた別のファイル名で控えを保存しておけば、計算が狂ったときに前の月の状態と見比べて原因を探せます。Googleスプレッドシートなら、「ファイル」メニューの「変更履歴」から以前の版に戻せます。年度が替わったら、前の年度のファイルは編集できない形で保存し、新しい年度のファイルを作って繰越日数を移します。

従業員への知らせ方

従業員が自分の残りの日数を確かめられるようにしておくと、問い合わせが減り、計画的に休みを取ってもらいやすくなります。給与明細に残りの日数を載せる、月に1回、一覧から本人の分だけを知らせる、などの方法があります。ほかの人の取得の状況が見えないように、知らせ方には気を付けます。

運営者の視点:小さな職場ほど、記録の仕組みが働く人を守る

2004年から在宅ワークとフリーランスの仲介を続けてきた運営者として見てきた限りでは、小さな職場ほど、休みの記録があいまいなまま運用されていることが少なくありません。経営者と従業員の距離が近く、口約束で休みを取っていると、退職のときに残りの日数をめぐって行き違いが起きやすくなります。有給管理表は、会社が法律を守るための書類であると同時に、働く人が安心して休むための記録でもあります。

クリニックや介護の事業所のように、少ない人数で交代しながら働く職場では、休みの管理がとくに大切です。医療機関の事務の仕事に役立つ資格は医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)で紹介しています。介護の事業所で記録をデジタルにする取り組みと、その支援制度は介護・福祉事業所のDX化2026|IT導入補助金で介護記録を完全デジタル化で整理しています。在宅勤務の人の勤怠の管理を整える費用への国の支援は、テレワーク 助成金 2026で紹介しています。

Excelやスプレッドシートでの管理から一歩進めて、生成AIや業務の仕組みを取り入れたい会社を支援する仕事もあります。その仕事の内容はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で、中小企業の経営や労務の仕組みづくりを助ける国家資格は中小企業診断士で紹介しています。

有給管理表は、一度作れば毎年使い回せます。法律で必要な3項目を押さえ、取った日を1日ずつ記録し、年5日の期限を前もって確かめる。この3つを守れば、小さな職場でも十分に正しい管理ができます。個別の扱いに迷うときは、労働基準監督署や社会保険労務士に確かめてください。

よくある質問

Q. 有給管理表は、法律で作らなければならないのですか?

はい。2019年4月から、会社には年次有給休暇管理簿を作って保存することが義務づけられています。従業員ごとに、基準日、取得した日数、取得した日の3つを記録する必要があります。様式は決まっていないので、Excelやスプレッドシート、勤怠管理のシステム、賃金台帳とあわせた形など、会社に合った方法で作れます。

Q. 年次有給休暇管理簿は、何年保存すればよいですか?

労働基準法施行規則では5年間と定められていますが、当分の間は3年間とする読み替えの規定があります。保存期間は、有給休暇を与えた期間(基準日から1年間)が終わったときから数えます。退職した人の分も、保存期間が過ぎるまでは残しておく必要があります。

Q. パートやアルバイトにも、有給管理表は必要ですか?

必要です。パートやアルバイトの人にも、6か月続けて勤務し出勤率が8割以上であれば有給休暇が与えられ、記録の対象になります。週の所定労働日数が少ない人は比例付与で日数が少なくなりますが、与えられる日数が10日以上になれば、年5日の取得義務の対象にもなります。

Q. 半日や時間単位で取った有給休暇は、どう記録すればよいですか?

半日単位は、会社の決まりで認めている場合に取得日数を0.5として記録します。時間単位は、労使協定を結んだ場合に年5日分まで取れる仕組みで、年5日の取得義務の5日には数えられません。有給管理表では時間単位の取得を別の列に記録し、年5日の確認の計算から外しておくと間違いを防げます。

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監修:@SOHO編集部

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公開:2026年10月18日最終更新:2026年10月28日
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