高年齢再就職給付金は65歳以上でも受け取れるか|要件と手続き 2026

@SOHO編集部
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高年齢再就職給付金は65歳以上でも受け取れるか|要件と手続き 2026

この記事のポイント

  • ✓高年齢再就職給付金は65歳以上でも受け取れるのかを
  • ✓厚生労働省とハローワークの一次資料で確かめて整理しました
  • ✓支給残日数100日の要件

高年齢再就職給付金と65歳以上という2つの言葉を並べて検索する人が知りたいことは、たいてい1つに絞られます。「自分の年齢でこの給付金は出るのか」です。60歳を過ぎて働き方を変えた人、あるいは65歳を目の前にして次の勤め先を探している人が、制度の名前だけを見て自分に当てはまるか判断できず止まっています。

先に答えを書きます。高年齢再就職給付金は、60歳以上65歳未満の人を対象とした制度です。65歳に達した時点で支給は終わり、65歳以上になってから離職した人は、この給付金ではなく高年齢求職者給付金という別の制度に進みます。名前が似ているせいで混同が起きやすく、受け取れるはずの給付を取り逃がす原因になっています。

この記事では、高年齢再就職給付金の4つの要件を一次資料で1つずつ確かめ、支給される期間と金額の決まり方を計算式まで見て、そのうえで65歳以上の人が実際に手続きする制度へ橋を渡します。年金との調整、再就職手当との選択、複数の勤め先で働く場合の扱いまで通しで整理します。

高年齢再就職給付金の対象年齢は60歳以上65歳未満

最初に制度の枠を確定させます。厚生労働省のハローワークインターネットサービスは、高年齢雇用継続給付の対象をこう説明しています。

高年齢雇用継続給付は、「高年齢雇用継続基本給付金」と基本手当を受給し、60歳以後再就職した場合に支払われる「高年齢再就職給付金」とに分かれますが、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が、原則として60歳以降の賃金が60歳時点に比べて、75%未満に低下した状態で働き続ける場合に支給されます。 出典: 雇用継続給付|ハローワークインターネットサービス

ここに書かれている「60歳以上65歳未満の一般被保険者」という条件が、年齢の線引きです。高年齢再就職給付金は高年齢雇用継続給付という大きな枠の中にある2つの給付金の一方で、枠そのものが65歳未満に限られています。

一般被保険者という言葉も押さえてください。雇用保険の加入者は年齢で呼び名が変わります。65歳になる前から働き続けている人は一般被保険者、65歳以上で新しく雇われた人や65歳を越えて働き続ける人は高年齢被保険者です。高年齢再就職給付金が使えるのは一般被保険者の期間だけなので、65歳の誕生日を境に制度の入口が切り替わります。

しかも、この給付金は支給の途中で65歳を迎えた場合も打ち切られます。同じ資料には、支給期間について「ただし65歳に達する月が限度」と明記されています。つまり、64歳で再就職して2年間の支給が決まっていても、65歳に達した月で終わります。残りの期間が繰り越されることはありません。

ではなぜ65歳以上という検索が発生するのか。理由は2つあります。1つは、定年が65歳に引き上げられた会社が増え、65歳前後で再就職する人の絶対数が増えたことです。もう1つは、65歳以上の人が受け取れる雇用保険の給付が別に存在することが、あまり知られていないためです。後半でその制度を扱います。

支給を受けるための4つの要件を1つずつ確かめる

高年齢再就職給付金の要件は、厚生労働省のパンフレットに4つ並んでいます。順に見ていきます。

第1に、60歳以上65歳未満の一般被保険者であることです。ここは前の節で見たとおりです。

第2に、被保険者であった期間が5年以上あることです。この期間は、雇用保険に加入して働いていた期間の全部を指します。転職で間が空いていても、資格を失ってから次に加入するまでが1年以内で、その間に失業給付や就業促進手当を受け取っていなければ、過去の期間として通算されます。逆に、間に基本手当を受け取っていた場合は、その受給より前の期間は数に入りません。

第3に、再就職後の各月の賃金が、基本手当の計算の基礎になった賃金日額を30倍した額の75%未満に低下していることです。比べる相手が「60歳時点の賃金」ではなく「基本手当の基礎になった賃金日額の30倍」である点に注意してください。離職前の給与水準が、この給付金の基準線になります。

第4に、再就職した日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上あることです。ここが実務でいちばん引っかかります。失業給付を使い切ってから次の勤め先を決めた人は、この要件を満たせません。厚生労働省の資料にはこう書かれています。

ロ 再就職した日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上あること。 ハ 安定した職業に就くことにより被保険者となったこと。 出典: 高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について(厚生労働省)

同じ資料には、支給を受けられない例も図で示されています。59歳で離職して59歳のうちに再就職した場合は、60歳以後の再就職ではないため対象になりません。5年以上の加入期間があり、支給残日数が100日以上あり、賃金が75%未満に落ちていても、再就職した時期が60歳前なら受給資格は認められません。

「安定した職業に就くことにより被保険者となったこと」という4番目の条件も見落とされがちです。雇用保険に加入しない短時間の働き方に移った場合、要件を満たしません。週の所定労働時間が20時間を下回る形で再就職すると、そもそも被保険者にならないため対象から外れます。

支給される期間は残日数で1年と2年に分かれる

高年齢再就職給付金の支給期間は、再就職した日の前日に基本手当の支給残日数がどれだけ残っていたかで2つに分かれます。

  • 支給残日数が200日以上 … 再就職日の翌日から2年を経過する日の属する月まで
  • 支給残日数が100日以上200日未満 … 同じ数え方で1年を経過する日の属する月まで

いずれの場合も、被保険者が65歳に達したときはその月までで終わります。期間の長さより65歳の線が優先されるので、64歳で200日以上を残して再就職しても、2年分が満額で出ることはありません。

もう1つ、月の数え方に条件があります。給付の対象になるのは「各暦月の初日から末日まで被保険者である月」だけです。この月を支給対象月と呼びます。月の途中で就職した場合、その月は初日から被保険者ではないため対象外になり、翌月から数え始めます。月の途中で退職した月も同じ理由で外れます。

この仕組みが意味するのは、就職日を月初にそろえると支給対象月が1か月多くなる可能性があるということです。入社日を会社と相談できる状況なら、月の途中より月の初日に合わせたほうが有利になる場面があります。ただし賃金の締め日や社会保険の資格取得日とも絡むので、ハローワークの窓口で自分の場合を確かめてから決めてください。

支給残日数は、離職理由と年齢、加入していた期間で決まる所定給付日数から、すでに受け取った日数を引いた残りです。60歳以上65歳未満で加入期間が20年以上ある人の所定給付日数は150日です。ここから200日以上を残すことは不可能なので、この層は自動的に1年の枠になります。200日以上の枠に届くのは、倒産や解雇など会社側の事情で離職した人や、就職が困難と認められて所定給付日数が長く設定された人に限られます。

言い換えると、自己都合で辞めて再就職した60代前半の人にとって、現実的な選択肢は1年間の支給です。この前提を知らずに2年分を見込んで生活設計を組むと、途中で計算が崩れます。

支給額は低下率から支給率を出して計算する

金額の決まり方を見ます。計算の順序は3段です。

まず低下率を出します。低下率は、支給対象月に支払われた賃金額を賃金月額で割って100を掛けた数字です。賃金月額は、原則として60歳に到達する前6か月間の平均賃金です。高年齢再就職給付金の場合は、基本手当の計算に使われた賃金日額を30倍した額がこれに当たります。

次に支給率を出します。低下率が64%以下なら支給率は10%で固定です。低下率が64%を超えて75%未満のときは、低下率が高いほど支給率が下がる形で逓減します。厚生労働省の早見表では、低下率70.00%で支給率4.16%、低下率72.00%で2.42%、低下率74.50%で0.39%となっています。低下率が75.00%以上なら支給率は0%で、給付はありません。

最後に支給額を出します。支給対象月に実際に支払われた賃金額に支給率を掛けた額が支給額です。

具体例で追います。賃金月額が30万円の人が、再就職後に月額18万円で働いた場合、低下率は60.00%で64%以下なので支給率は10%です。支給額は18万円の10%で18,000円になります。同じ人が月額20万円で働いた場合は低下率が66.67%になり、逓減の計算に入って支給額は14,545円です。月額26万円なら低下率が86.67%で75%を超えるため、支給はありません。

ここで押さえておきたいのは、賃金が下がるほど給付額が増えるわけではないという点です。支給率は10%が上限で、その10%を掛ける相手は下がった後の賃金です。月額18万円で18,000円、月額12万円なら12,000円になります。賃金と給付の合計で見れば、賃金を下げれば下げるほど手取りは減ります。給付金は賃金の目減りを一部埋める仕組みで、賃金の代わりにはなりません。

支給限度額と最低限度額で給付が消える場合がある

計算式どおりに出した額が、そのまま振り込まれないことがあります。2つの限度額が働くためです。

1つは支給限度額です。厚生労働省の資料にはこう書かれています。

イ 支給対象月に支払われた賃金が397,369円以上の場合は給付金は支給されません。 ロ 支給対象月に支払われた賃金額と算定された支給額の合計が397,369円を超える場合は、397,369円からその賃金を差し引いた額が支給されます。 出典: 高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について(厚生労働省)

再就職後の月給が397,369円以上あるなら、賃金が75%未満に下がっていても給付はありません。賃金と給付の合計が397,369円を超える場合は、超えた部分が削られます。

もう1つは最低限度額です。計算した支給額が2,562円を超えない場合、給付は支給されません。極端に短い勤務で賃金が少ない月は、この線に届かず不支給になります。

賃金月額そのものにも上限と下限があります。算定した賃金月額が522,000円を超える場合は522,000円、96,090円を下回る場合は96,090円として扱われます。これらの金額は「毎月勤労統計」の平均定期給与額をもとに毎年8月1日に改定されます。いま挙げた数字は令和9年7月31日までのものです。

限度額が毎年動くということは、去年の記事や去年もらった案内に書かれた額が、今年はもう違うという意味です。申請前にはハローワークの最新の資料で確かめてください。

令和7年4月からの支給率の変更で、世代によって額が違う

高年齢雇用継続給付の支給率は、令和7年4月1日に変わりました。厚生労働省の案内はこう整理しています。

60歳に達した日(その日時点で被保険者であった期間が5年以上ない方はその期間が5年を満たすこととなった日)が 令和7年3月31日以前の方 ・・・ 各月に支払われた賃金の15%(従来の支給率)を限度として支給されます。 令和7年4月1日以降の方 ・・・ 各月に支払われた賃金の10%(変更後の支給率)を限度として支給されます。 出典: 令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します|厚生労働省

基準は「いま何歳か」ではなく「60歳に達した日がいつか」です。令和7年3月31日までに60歳になった人は、令和7年4月以降も15%の枠が続きます。令和7年4月1日以降に60歳になった人は10%です。逓減が始まる低下率も、15%の世代は61%、10%の世代は64%と異なります。

この制度は過去にも段を下げてきました。平成7年4月に創設されたときは賃金の原則25%、平成15年の改正で15%、令和2年の改正で10%です。3回とも、賃金と給付の合計が一定の割合を超えると逓減する仕組みが付いています。

同年代でも受け取る額が違うという状況が生まれているため、知り合いから聞いた金額をそのまま自分に当てはめると合いません。自分が60歳に達した日がどちらの区分に入るかを確かめるのが先です。

再就職手当と高年齢再就職給付金は一方しか選べない

60歳以後に基本手当を残して再就職した人は、2つの給付金の候補を同時に手にします。再就職手当と高年齢再就職給付金です。ただし、この2つは併給できません。雇用保険法第61条の2第4項によって、一方の支給を受けると他方は支給されなくなります。

性質が大きく違うので、選ぶ前に並べて見ておいてください。

項目 再就職手当 高年齢再就職給付金
残日数の要件 所定給付日数の3分の1以上 100日以上
支給額 支給残日数分×基本手当日額×60%または70% 支給対象月の賃金の最大10%
支給方法 一括 原則2か月ごと
申請期限 就職日の翌日から起算して1か月以内 最初の支給対象月の初日から起算して4か月以内

再就職手当は一括で入る代わりに、残日数と基本手当日額で額が決まります。支給残日数が所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%です。再就職手当の計算に使う基本手当日額には上限があり、60歳以上65歳未満は5,454円です。

高年齢再就職給付金は月々の賃金に応じて2か月ごとに入り、期間が長い代わりに1回あたりの額は小さくなります。賃金が大きく下がる再就職なら給付率10%が効き、賃金があまり下がらない再就職なら支給率が逓減して額が伸びません。

どちらが有利かは、残日数、基本手当日額、再就職後の賃金、そして65歳までの残り月数の4つで変わります。残日数が多くて再就職後の賃金があまり下がらない人は再就職手当が大きくなりやすく、賃金が大きく下がって65歳まで期間がたっぷりある人は高年齢再就職給付金が積み上がりやすい、という傾向はあります。ただし個別の金額で逆転するので、両方の見込み額をハローワークで試算してもらってから決めてください。申請期限が別に定められているため、迷っているうちに片方の期限が過ぎることがあります。

なお、再就職手当を申請して審査の結果が不支給だった場合でも、高年齢再就職給付金の要件を満たしていれば申請できます。この点は資料に明記されています。

65歳以上で離職した人が受け取るのは高年齢求職者給付金

ここから、検索の本題である65歳以上の話に入ります。65歳以上で雇用保険に加入して働いていた人が離職した場合、進む先は高年齢求職者給付金です。

この給付金は、高年齢被保険者であった人が失業したときに支給される一時金です。要件は2つです。

(1)離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あること。 (2)失業の状態にあること。 出典: 離職されたみなさまへ(高年齢求職者給付金)|厚生労働省

被保険者期間の数え方は、離職日から1か月ごとに区切った期間のうち、賃金の支払いの基礎になった日数が11日以上ある月を1か月と数えます。11日以上の月が6か月そろわない場合は、賃金の基礎になった時間数が80時間以上の月を1か月として数えます。

失業の状態というのは、就職したい意思と、いつでも就職できる健康状態や家庭環境があり、実際に求職活動をしているのに就職できていない状態を指します。家事に専念する人、自分の名義で事業を営んでいる人、会社の役員に就いている人、次の就職が決まっている人は、原則として対象になりません。名義だけの役員も含まれる点は覚えておいてください。

65歳未満の基本手当と違い、これは一時金です。4週間ごとに認定を受けて振り込みが続く形ではなく、失業の認定を受けた時点でまとめて支給されます。年金を受け取りながら働いていた人でも、この給付金は年金と調整されません。65歳未満の基本手当は老齢年金との併給に制限がかかりますが、高年齢求職者給付金にはその制限がありません。

高年齢求職者給付金の額は30日分か50日分

支給される額は、被保険者であった期間に応じて2段階です。

  • 被保険者であった期間が1年未満 … 基本手当日額の30日分
  • 被保険者であった期間が1年以上 … 基本手当日額の50日分

ここでいう基本手当日額は、離職前6か月の賃金から出した賃金日額に給付率を掛けた額です。厚生労働省のリーフレットには、65歳以上の人が高年齢求職者給付金を受け取る場合は、離職時の年齢が29歳以下の表を使うと書かれています。令和8年8月1日以降の数字は次のとおりです。

  • 賃金日額の上限 14,900円、基本手当日額の上限 7,450円
  • 賃金日額の下限 3,203円、基本手当日額の下限 2,562円(全年齢共通)

基本手当日額の上限で50日分を受け取ると、372,500円になります。前年の上限は7,255円だったので、上限に当たる人の受取額は9,750円増えた計算です。下限額も2,411円から2,562円に上がりました。

給付率は賃金日額の水準で変わります。賃金日額が3,203円以上5,480円未満なら80%、5,480円以上13,490円以下なら80%から50%へ段階的に下がり、13,490円を超えて14,900円以下なら50%です。在職中の賃金が低かった人ほど給付率が高くなる設計で、収入の少なかった人を厚く保護する仕組みになっています。

この数字は「毎月勤労統計」の平均定期給与額の動きに合わせて毎年8月1日に見直されます。8月をまたぐ時期に離職した人は、認定日がどちらの年度に入るかで額が変わる可能性があるため、受給資格者証に印字された基本手当日額を確認してください。

受給期限は1年。手続きが遅れると日数が削られる

高年齢求職者給付金でいちばん注意すべきなのは期限です。受給期限は離職日の翌日から1年しかありません。この1年を過ぎた分は支給されません。

支給までの流れには待期と給付制限があります。ハローワークに離職票を出して求職の申し込みをした日から、失業の状態にあった日が7日間経過するまでは支給されません。これが待期です。

自己都合で退職した場合は、待期が終わったあとにさらに給付制限がかかります。厚生労働省のリーフレットには、自己都合で退職した場合は待期の経過後さらに1か月、令和7年3月31日以前に自己都合で退職した場合は2か月、自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇された場合は3か月と書かれています。令和7年4月1日以降の自己都合離職なら原則1か月です。ただし、5年間で3回以上の自己都合離職があると3か月になります。

期限が1年しかないのに、待期と給付制限で最初の1か月から3か月が使えないという構造が問題になります。リーフレットの図では、求職の申し込みが遅れたために15日分だけが支給され、残りの35日分は受給期限を過ぎて支給されない例が示されています。50日分の資格があっても、手続きが遅れれば3割しか受け取れない形になります。

離職票が届いたら、内容を確認してすぐに住所を管轄するハローワークへ行ってください。必要なものは離職票1と離職票2、マイナンバーカード、本人名義の預金通帳またはキャッシュカードです。マイナンバーカードがない場合は、個人番号を確認できる書類と、運転免許証など身元を確認できる書類を用意します。写真1枚も必要ですが、手続きと認定日にマイナンバーカードを示すなら省略できます。

離職期間中や離職日前1年以内に、雇用の安定と就職の促進に役立つ教育訓練を自ら受けた場合は、給付制限が解除される扱いがあります。資格の学習を考えているなら、この扱いに当たるかをハローワークで確かめる価値があります。学習の対象を選ぶときは、需要の動きも見ておいてください。書類の作り方を体系で学ぶならビジネス文書検定、社内の通信環境を扱う仕事に近づくならCCNA(シスコ技術者認定)のように、求人で名前が挙がる資格から選ぶと、訓練の終わりと仕事がつながります。

65歳以上で2つの勤め先で働くならマルチジョブホルダー制度

65歳以上の働き方でもう1つ知っておきたい制度があります。雇用保険マルチジョブホルダー制度です。令和4年1月1日に始まりました。

従来の雇用保険は、1つの勤め先での所定労働時間が週20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあることを前提にしています。短時間の仕事を2つ掛け持ちしている人は、合計すれば週20時間を超えていても、どちらの勤め先でも加入できませんでした。マルチジョブホルダー制度は、この状態を救うための特例です。

・複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
・2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
・2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること 出典: 雇用保険マルチジョブホルダー制度について|厚生労働省

この制度は本人がハローワークに申し出る形で始まります。会社が手続きをするのを待つ仕組みではありません。申し出た日から被保険者になるので、遡って加入することはできません。加入できるのは2つの勤め先までで、3つ目以降の労働時間は合計に入りません。

加入するとマルチ高年齢被保険者になり、離職したときに高年齢求職者給付金の対象になります。掛け持ちで働いている65歳以上の人にとっては、失業したときの備えを作れるかどうかを決める分かれ目です。

ただし加入すれば雇用保険料が給与から引かれます。令和8年度の一般の事業の料率は労働者負担が1000分の5です。手取りが少し減る代わりに、離職時の給付と教育訓練給付の対象になる、という交換になります。どちらを選ぶかは働く年数の見通しで変わるので、ハローワークの雇用保険窓口で試算を聞いてから決めてください。

老齢厚生年金との調整は制度ごとに扱いが違う

年金を受け取りながら働く人にとって、給付金と年金の関係は避けて通れません。制度ごとに扱いが違うので分けて整理します。

高年齢雇用継続給付を受け取っている期間は、特別支給の老齢厚生年金の一部が止まる場合があります。標準報酬月額が60歳到達時の賃金月額の64%以下なら、老齢厚生年金について標準報酬月額の4%相当額が支給停止されます。64%を超えて75%未満なら、4%から徐々に下がる停止率を掛けた額が止まります。75%以上の場合、または高年齢雇用継続給付の支給限度額以上の場合は、調整は行われません。

高年齢求職者給付金には、この調整がありません。65歳以上の一時金なので、年金と併せて受け取れます。

これとは別に、在職老齢年金の仕組みそのものによる支給停止があります。日本年金機構の説明では、基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円を超えると、超えた額の半分が止まります。合計が65万円以下なら全額支給です。この65万円は令和8年度の支給停止調整額で、令和8年4月の改正で引き上げられました。

基本月額は、加給年金額を除いた老齢厚生年金の月額です。総報酬月額相当額は、その月の標準報酬月額に、その月以前1年間の標準賞与額の合計を12で割った額を加えたものです。老齢基礎年金と経過的加算額は在職老齢年金の対象外で、全額が支給されます。

3つの調整が重なる可能性があるので、60代前半で働き続ける人は、給与、老齢厚生年金、高年齢雇用継続給付の3つを1つの表に並べて手取りを見ることをおすすめします。給与を上げたら年金と給付金が同時に減って、手取りがほとんど動かないという結果になることがあります。年金事務所とハローワークは別の窓口なので、両方で確かめる必要があります。

64歳で辞めるか65歳以降に辞めるかで受け取る額が変わる

60代前半で退職時期を選べる人からよく出る問いが、64歳のうちに辞めたほうが得か、65歳を越えてから辞めたほうが得かです。制度の側から見た違いを並べます。

64歳で離職すると、基本手当の対象になります。60歳以上65歳未満で加入期間が20年以上ある人の所定給付日数は150日です。基本手当日額の上限は7,830円なので、上限に当たる人は最大で1,174,500円を受け取る計算になります。給付率は45%から80%の範囲で、賃金日額が低い人ほど高くなります。

65歳以上で離職すると高年齢求職者給付金になり、50日分の一時金です。上限で計算しても372,500円です。日数だけを見れば64歳のうちに辞めるほうが大きくなります。

ただし、比べるべき項目は日数だけではありません。65歳まで働けば、その分の給与と厚生年金の加入期間が増えます。基本手当は年金との併給に制限があり、65歳未満で特別支給の老齢厚生年金を受け取れる人は、基本手当を受けている間その年金が止まります。高年齢求職者給付金には制限がないので、年金を受け取りながら一時金を受け取れます。

さらに、64歳で離職して基本手当を受け取るには、失業の状態にあることの認定を4週間ごとに受け続ける必要があります。150日分を全部受け取るには、その間ずっと求職活動を続ける前提です。再就職が早く決まれば残日数は消え、代わりに再就職手当か高年齢再就職給付金の話になります。

結局のところ、次に働くつもりがあるかどうかで結論が変わります。働き続けるつもりなら65歳を越えたほうが年金と収入の面で有利になりやすく、完全に仕事を離れるつもりなら64歳のうちに離職して基本手当を使うほうが受取額が大きくなりやすい、という整理になります。金額は個別の賃金日額と加入期間で変わるので、退職日を決める前にハローワークで両方の見込みを聞いてください。

手続きは会社が出すのか、自分が出すのか

制度ごとに手続きの主体が違います。ここを間違えると、待っているだけで期限が過ぎます。

高年齢再就職給付金は、原則として事業主が手続きをします。再就職した先の会社が、雇用保険被保険者資格取得届を出すときに合わせて「高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書」を提出する流れです。提出先は事業所の所在地を管轄するハローワークで、電子申請もできます。本人が自分で申請したい場合は、本人が行うことも認められています。

支給申請は原則として2か月に1度です。初回の申請は、最初に支給を受けようとする支給対象月の初日から起算して4か月以内に行う必要があります。2回目以降は、ハローワークから交付される「高年齢雇用継続給付次回支給申請日指定通知書」に印字された支給申請月の支給申請日に提出します。

ここで実務上の落とし穴があります。会社が制度を知らない、あるいは60歳以上の再雇用の実例がない会社だと、手続きが始まりません。厚生労働省の資料にも、賃金証明書や受給資格確認票の提出がなかったり遅れたりすると支給を受けられなくなることがあると注記されています。再就職の面接や入社手続きの段階で、高年齢再就職給付金の申請を会社が出せるかを確かめておくのが安全です。

高年齢求職者給付金は逆で、本人がハローワークへ行って求職の申し込みをします。会社がしてくれるのは離職票を出すところまでです。離職票が届かないまま待ってしまうと受給期限の1年が減っていくので、退職から2週間ほど経っても届かないなら会社に催促し、それでも届かないならハローワークに相談してください。

なお、雇用保険の給付金は2年の時効の範囲内であれば支給申請ができる扱いがあります。ただし高年齢求職者給付金の受給期限1年は別の制限なので、2年の時効があるから大丈夫とは考えないでください。

掲載データから見た60代の収入の組み立て方

在宅ワークや業務委託の案件を扱う側から60代の働き方を見ると、給付金だけでは埋まらない部分がはっきり見えます。

高年齢再就職給付金の支給率は最大10%です。賃金月額30万円だった人が月額18万円の再就職をすると、給付金は18,000円で、目減りした12万円のうち埋まるのは15%程度です。高年齢求職者給付金も50日分の一時金で、上限でも372,500円です。どちらも生活の土台を作る額ではなく、移行期間の緩衝材として設計されています。

だから60代前半で働き方を変える人は、雇用の給与と給付金の2本に加えて、時間の使い方に合う仕事を1本組み込むかどうかを検討することになります。雇用保険の加入要件である週20時間を下回る短時間の雇用を選ぶと、次の離職のときに給付の対象から外れます。一方、業務委託で請け負う仕事は雇用保険の対象外なので、週20時間以上の雇用を1本確保したうえで上乗せする形にすると、給付の資格を保ったまま収入を伸ばせます。

どの分野に需要があるかは、職種ごとの相場を見ると判断しやすくなります。文章を扱う仕事の水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場、開発を伴う仕事の水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場で確かめられます。60代で新しく入りやすいのは、長く務めた業界の知識をそのまま使える領域です。社内の業務にAIを組み込む支援のようなAIコンサル・業務活用支援のお仕事は、技術そのものより現場の手順を知っている人が強い領域で、経験年数が不利にならない分野の1つです。

20年この市場を見てきた運営者の立場から言えば、60代で長く続いている人には共通点があります。作業を1件ずつ受けるのではなく、依頼元の担当者から「この人に任せると楽だ」と思われる関係を先に作っていることです。若い担当者に対して指導する姿勢で入ると続かず、段取りと期限を守る姿勢で入ると続きます。この差は年齢とは関係なく、扱いの丁寧さの差として現れます。

もう1つ、手取りの構造の話をしておきます。仲介が何段階も入る取引では、依頼元が出した予算の相当な部分が途中で差し引かれます。手数料0%の直接取引なら、同じ予算で依頼元はより多くを頼めて、受け手の手取りは厚くなります。60代で働く時間を絞る人ほど、単価の額面より1時間あたりの手取りが効いてきます。額面の交渉より、間に挟まる取引の段数を減らすほうが結果が大きく動く、というのが運営者として見てきた実感です。

この記事を読んだ人が最初に取る行動を1つに絞ります。自分が60歳に達した日が令和7年3月31日以前か4月1日以降かを確かめてください。それが支給率15%と10%の分かれ目で、受け取れる額の前提になります。そのうえで、65歳未満なら高年齢再就職給付金と再就職手当の見込み額を、65歳以上なら高年齢求職者給付金の日数をハローワークで試算してもらってください。並行して、雇用の枠を週20時間以上で確保したうえで上乗せできる仕事をAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で見ておくと、給付が終わったあとの収入の形が先に見えます。

よくある質問

Q. 高年齢再就職給付金は65歳以上でも受け取れますか?

受け取れません。この給付金の対象は60歳以上65歳未満の一般被保険者で、支給期間も65歳に達する月が限度と定められています。64歳で再就職して2年間の支給が決まっていても、65歳に達した月で打ち切られ、残りは繰り越されません。65歳以上で離職した場合は高年齢求職者給付金という別の制度に進みます。

Q. 高年齢求職者給付金はいくら受け取れますか?

被保険者であった期間が1年未満なら基本手当日額の30日分、1年以上なら50日分の一時金です。65歳以上の人には離職時の年齢が29歳以下の表が適用され、令和8年8月1日以降の基本手当日額の上限は7,450円、下限は2,562円です。上限で50日分なら372,500円になります。受給期限は離職日の翌日から1年しかありません。

Q. 高年齢再就職給付金と再就職手当は両方もらえますか?

同一の就職について両方を受け取ることはできません。一方の支給を受けると他方は支給されなくなります。再就職手当は残日数に応じた一括支給、高年齢再就職給付金は賃金の最大10%を原則2か月ごとに受け取る形です。申請期限も別に定められているため、ハローワークで両方の見込み額を試算してもらってから選んでください。

Q. 65歳以上で2か所の短時間勤務をしています。雇用保険に入れますか?

雇用保険マルチジョブホルダー制度で加入できる場合があります。2つの勤め先でそれぞれ週の所定労働時間が5時間以上20時間未満、合計で20時間以上、それぞれの雇用見込みが31日以上という3つの要件を満たすと対象です。本人がハローワークに申し出る形で、申し出た日から被保険者になります。遡って加入することはできません。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年2月6日最終更新:2026年9月29日
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