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新人教育マニュアルの作り方|教える順番と載せる項目

@SOHO編集部
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新人教育マニュアルの作り方|教える順番と載せる項目

この記事のポイント

  • ✓新人教育マニュアルの作り方を
  • ✓初日から3か月までの教える順番
  • ✓法律で決まっている雇い入れ時の教育

新人教育マニュアルを作るように言われたものの、何から書けばよいのか、どこまで細かく書けばよいのか、作っても読まれないのではないかと迷っている人は多いはずです。結論から言うと、新人教育マニュアルは「3か月後にできるようになってほしいこと」を先に決め、そこから逆算して「初日」「最初の1週間」「1か月」「3か月」の順に教えることを並べると、迷わずに作れます。この記事では、作る前に決めること、載せる項目、教える順番、わかりやすく書くコツ、法律で決まっている雇い入れ時の教育、OJTとの組み合わせ、作ったあとの更新の仕方までを順に説明します。教える担当と期限、新人ごとの進み具合をチームで共有したい場合は、プロジェクト管理ツールのPinatecaを使う方法も後半で紹介します。

新人教育マニュアルとは何か、なぜ作るのか

新人教育マニュアルとは、新しく入った人が仕事を覚えるために、会社のルールや業務の進め方、困ったときの相談先などを1か所にまとめた資料のことです。新卒の社員だけでなく、中途採用の人やパート・アルバイトの人にも使えます。

新人教育マニュアルとは、新卒や第二新卒など社会人経験の少ない社員が入社した際に、社会人・企業人として育成するために使うマニュアルのことです。 出典: knowledgewing.com

マニュアルを作る理由は、大きく3つあります。

1つ目は、教える人によって内容がばらばらになるのを防ぐためです。先輩Aさんに教わった人と、先輩Bさんに教わった人で、伝票の書き方や電話の取り方が違っていると、後で直す手間がかかります。マニュアルがあれば、誰が教えても同じ内容から始められます。

2つ目は、教える人の負担を減らすためです。同じ説明を新人が入るたびに繰り返すのは、教える人にとって大きな負担です。基本的なことはマニュアルを読んでもらい、教える人は実際にやってみせる部分や質問への答えに時間を使えるようになります。

3つ目は、新人が自分で調べられるようにするためです。新人は、同じことを何度も聞くのを遠慮しがちです。マニュアルがあれば、忘れたことを自分で確かめられ、聞きにくさから来るミスを減らせます。

毎年のように新人が入る会社でなくても、マニュアルを作る意味はあります。数年に1度しか採用しない会社ほど、前回どう教えたかの記録が残っておらず、毎回手探りになりがちです。マニュアルは、新人のためだけでなく、会社が教え方を覚えておくための記録でもあります。

マニュアルを作る前に決めておくこと

いきなり書き始めると、思いつくことを並べただけの分厚い資料になり、読まれなくなります。書き始める前に、次の4つを決めます。

1つ目は、誰に向けたマニュアルかです。新卒の社員向けなら、名刺の渡し方や報告のしかたのような社会人としての基本から書く必要があります。中途採用の人向けなら、そうした基本は省き、その会社ならではのルールや業務の流れに絞れます。パート・アルバイトの人向けなら、担当する作業の手順を中心にします。

2つ目は、ゴールです。「3か月後に、一人で受注の入力から出荷の手配までできる」「1か月後に、レジの締めを一人で行える」のように、いつまでに何ができるようになってほしいかを具体的に書きます。ゴールが決まれば、マニュアルに載せることと載せないことの線が引けます。

3つ目は、教える期間と担当です。新人1人につき、誰が主に教えるのか(教育係)、困ったときに誰に聞けばよいのかを決めます。教育係が1人だと、その人が休んだときに教育が止まるので、代わりの人も決めておきます。

4つ目は、マニュアルの形です。紙の冊子にするのか、共有フォルダの文書にするのか、社内の情報共有の仕組みに載せるのかを決めます。業務の手順が頻繁に変わる職場では、紙より電子のほうが更新しやすく、新人も自分のパソコンやスマートフォンで確かめられます。

この4つを1枚の紙に書き出し、上司や現場の先輩と共有してから書き始めると、作っている途中で方向がぶれにくくなります。

マニュアルに載せる項目

新人教育マニュアルに載せる項目は、職種や会社の規模で変わりますが、多くの職場で共通するのは次の7つです。

項目 主な中身
会社の基本 事業の内容、組織の図、主な取引先や顧客、各部署の役割
働くうえでのルール 勤務時間、休憩、休みの取り方、遅刻や欠勤の連絡のしかた、服装
社内の連絡のしかた 報告と相談の相手、メールやチャットの使い分け、会議の進め方
業務の手順 担当する仕事の流れ、使う道具やシステムの操作、よくある間違い
安全と衛生 機械や道具の扱い方、作業前の点検、事故のときの対応
困ったときの相談先 業務、人間関係、体調、ハラスメントの相談窓口
用語の一覧 社内だけで使う略語や言い回しの意味

ここで大切なのは、全部を同じ厚さで書かないことです。会社の基本や働くうえでのルールは、就業規則や会社案内がすでにあるなら、要点だけを書いて「詳しくは就業規則の第何条を見る」と案内すれば足ります。マニュアルに時間をかけて書くべきなのは、業務の手順と、困ったときの相談先です。

業務の手順は、新人が実際に手を動かす順番に沿って書きます。「受注の入力」なら、注文の受け取り、システムへの入力、在庫の確認、出荷の手配、お客様への連絡、という流れを1つずつ分けて書きます。手順ごとに、使う画面や書類、よくある間違いを添えると、新人は手順書を見ながら一人で作業を進められます。

困ったときの相談先は、意外に書かれていないことが多い項目です。業務のことは教育係に、勤怠や給与のことは総務に、体調のことは誰に、というように、相談の内容ごとに相手の名前や部署を書いておきます。ハラスメントの相談窓口は、会社として設けることが法律で求められているので、窓口の連絡先を必ず載せます。

職種ごとに加えたい項目

基本の7つの項目に加えて、職種によっては次のような項目を加えると、現場で役に立つマニュアルになります。

営業の仕事なら、商品やサービスの説明のしかた、よく聞かれる質問と答え、見積もりや契約の手続き、顧客の情報の扱い方を加えます。特に、値引きや納期の約束をどこまで自分の判断で決めてよいのか、誰の承認が必要なのかは、最初に教えておかないと大きなトラブルにつながります。

事務の仕事なら、書類の保存のしかた、電話とメールの取り次ぎ方、社内の申請の流れ、月末や年度末にある決まった作業の一覧を加えます。月に1度や年に1度しかない作業は、教育係もやり方を忘れていることが多いので、手順を書き残しておく価値が特に大きい項目です。

販売や接客の仕事なら、あいさつと言葉づかいの基本、レジの操作、返品や交換の受け付け、クレームを受けたときの対応、閉店の作業を加えます。クレームの対応は、自分で判断せずに責任者を呼ぶ基準を書いておくと、新人は安心して接客に向き合えます。

製造や倉庫の仕事なら、機械の扱い方、保護具の着け方、作業前の点検、品質の検査、事故やけがのときの対応を、写真や図を使って詳しく書きます。後の節で説明する雇い入れ時の教育の中身と重なる部分が多いので、法律で求められている項目が漏れていないかを確かめながら作ります。

在宅で働く人やリモートで勤務する人がいる職場なら、使う道具の設定、連絡のつく時間帯の決め方、情報の持ち出しと保存のルールを加えます。

初日に渡す1枚の案内の例

マニュアル全体を初日に渡しても、新人はすぐには読めません。初日は、次のような1枚の案内を別に用意しておくと、新人は最初の1日を落ち着いて過ごせます。

【〇〇さん、ようこそ】 今日の予定:9時30分 受付で入館証を受け取る/10時 部署のみなさんへのあいさつ/11時 パソコンとシステムの設定/13時 昼休み(教育係の〇〇と一緒に)/14時 職場の案内と安全の説明/16時 1日の振り返り 教育係:〇〇(内線000)、代わり:〇〇(内線000) 困ったときは:業務のことは教育係へ、勤怠や給与のことは総務の〇〇へ 明日までに読んでおくページ:マニュアルの1ページから8ページ 分からないことは、何度聞いても大丈夫です。

この1枚には、その日の予定、相談相手、次に読む範囲の3つだけを書きます。「何度聞いても大丈夫です」という一言は小さなことに見えますが、新人が最初の数日で質問をためらうかどうかを左右します。

初日の振り返りでは、今日分からなかったこと、明日までに気になることを新人に聞き、教育係はその答えを次の日の予定に反映させます。初日から小さな振り返りを繰り返しておくと、その後の毎週の振り返りも自然に続けられます。

初日から3か月までの教える順番

マニュアルの中身がそろったら、それをどの順番で教えるかを決めます。新人が一度に覚えられることには限りがあるので、時期を区切って少しずつ進めます。

時期 教えること ゴールの例
初日 職場の案内、一緒に働く人の紹介、働くうえでのルール、安全と衛生の基本、パソコンやシステムへのログイン 自分の席と道具の場所が分かり、困ったときに誰に聞けばよいか分かる
最初の1週間 担当する仕事の全体の流れ、基本の作業の手順、社内の連絡のしかた 教育係と一緒に、基本の作業を最後までやり通せる
1か月まで 基本の作業を一人で行う、よくある例外への対応、関係する部署とのやり取り 基本の作業を一人でこなし、例外のときに相談できる
3か月まで 担当の範囲を広げる、改善の提案、後から入った人への説明 担当の仕事を一人で回し、自分で工夫を加えられる

初日にいちばん大切なのは、新人の不安を減らすことです。仕事の中身を詰め込むより、職場の人の顔と名前、トイレや休憩の場所、困ったときの相談相手を知ってもらうことを優先します。安全にかかわることは初日に必ず伝えます。

最初の1週間は、仕事の全体の流れを見せることに使います。手順の一つひとつを覚える前に、自分の仕事が誰から受け取り、誰に渡すものなのかが分かると、手順の意味が理解しやすくなります。

1か月までの間に、基本の作業を一人でできるようにします。ここで大事なのは、教育係が見守る段階から、新人が一人でやって後から確かめてもらう段階へ、少しずつ移ることです。いつまでも隣で見ていると、新人は自分で判断する機会を持てません。

3か月の時点では、担当の仕事を一人で回し、自分なりの工夫ができる状態を目指します。新人が気づいた手順の分かりにくさや、マニュアルの間違いを教えてもらうのもこの時期です。

業務の手順のページの書き方の例

業務の手順は、マニュアルの中でいちばん読まれる部分です。1つの業務を1ページにまとめた例を挙げます。

【受注の入力】 この作業の目的:お客様からの注文を販売のシステムに登録し、出荷の担当に渡す 使うもの:販売のシステム、注文書(FAXまたはメール) かかる時間の目安:1件あたり5分

  1. 注文書を受け取ったら、右上の受付印に日付を書く
  2. 販売のシステムで「受注登録」の画面を開く
  3. 注文書の顧客番号を入力する(番号が書かれていない場合は、会社名で検索する)
  4. 商品の番号と数量を入力する
  5. 画面右の「在庫」の欄で、注文の数量が在庫の数を超えていないかを確かめる
  6. 「保存」を押し、表示された受注番号を注文書に書く
  7. 注文書を「出荷待ち」の箱に入れる よくある間違い:手順5を飛ばすと、在庫が足りないまま出荷の手配が進み、お届けが遅れる 困ったとき:在庫が足りない場合は、営業の担当者に連絡する

この例のように、目的、使うもの、かかる時間、手順、よくある間違い、困ったときの連絡先の6つを1ページにそろえると、新人は1枚を見ながら作業を最後まで進められます。どの業務のページも同じ並びにしておくと、新しい業務を覚えるときにも、どこに何が書いてあるかを迷いません。

手順の数は、1ページで10個前後に収めるのが目安です。それより多くなる業務は、途中で区切って2つのページに分けます。たとえば「受注の入力」と「出荷の手配」は、続けて行う作業でも、別のページにしたほうが読みやすくなります。

例外の対応は、手順の中に書き込まず、ページの最後にまとめます。「顧客番号が見つからない場合」「数量が通常より極端に多い場合」のように、よくある例外を3つか4つ挙げ、それぞれの対応を短く書きます。例外を手順の途中に混ぜると、基本の流れが見えにくくなるからです。

わかりやすく書くためのコツ

マニュアルは、書く人にとって当たり前のことほど書き漏らしがちです。新人の立場で読めるように、次のコツを押さえて書きます。

1つ目は、1つの手順を1つの文で書くことです。「受注画面を開いて顧客番号を入れ、商品を選んで数量を確認したら保存する」と1文にまとめると、どこまでやったか分からなくなります。「1. 受注画面を開く」「2. 顧客番号を入力する」と番号を付けて分けます。

2つ目は、画面や道具の写真を入れることです。システムの操作は、文章で説明するより、画面の写真に印を付けたほうが早く伝わります。写真は、システムの画面が変わったら撮り直す必要があるので、撮った日付も添えておきます。

3つ目は、なぜその手順なのかを書くことです。「出荷の前に在庫の数を確かめる」とだけ書くより、「在庫が足りないまま出荷の手配をすると、お客様に届く日が遅れるため」と理由を添えると、新人は例外の場面でも判断できるようになります。

4つ目は、よくある間違いを書くことです。過去の新人がつまずいた点、先輩がよく注意している点を、手順の横に書いておきます。「ここで保存を押し忘れると、入力した内容がすべて消える」のような一言が、ミスを減らします。

5つ目は、社内の言葉を言い換えることです。会社の中で当たり前に使っている略語や言い回しは、新人には意味が分かりません。初めて出てくるところで意味を書き、巻末の用語の一覧にもまとめておきます。

6つ目は、1つの項目を1ページか2ページに収めることです。長い文章が続くと、新人は必要なところを探せません。項目ごとに見出しを付け、目次から目的のページに飛べるようにします。

法律で決まっている雇い入れ時の教育

新人教育の中には、会社の判断で行うものだけでなく、法律で行うことが決まっているものもあります。代表的なのが、労働安全衛生法の雇い入れ時の安全衛生教育です。

事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。 出典: e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第59条

教える中身は、労働安全衛生規則の第35条に並んでいます。機械や原材料の危険性と扱い方、安全装置や保護具の使い方、作業の手順、作業を始めるときの点検、その業務で起こりうる病気の原因と予防、整理整頓と清潔を保つこと、事故のときの応急の手当てと避難、そのほか業務の安全や衛生に必要なこと、の8つです。条文では、これらのうち、その人が担当する業務の安全や衛生に必要なことを、雇い入れたあと遅れずに教えることとされています。

事務の仕事であっても、たとえば長時間のパソコン作業による目や肩の負担、地震や火事のときの避難の経路は、教えておくべき中身です。新人教育マニュアルの「安全と衛生」の項目は、この8つを手がかりに、自分の職場に当てはまるものを書き出して作ると漏れが少なくなります。

作業の内容を変えたときも同じ教育が求められるので、部署の異動があった人にも、マニュアルの該当する部分を使って教えます。どの業務で何を教える必要があるかは、職種や扱う機械によって変わるため、判断に迷うときは労働基準監督署に相談します。

もう一つ、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントの防止のため、会社には相談の窓口を設けることなどが法律で求められています。新人教育マニュアルには、相談の窓口の連絡先と、相談したことで不利な扱いを受けないことを書いておきます。

新人教育マニュアルと混同しやすいものに、労働条件を示す書面があります。労働基準法の第15条は、労働契約を結ぶときに、賃金や労働時間などの労働条件を働く人に示すよう定めています。働く日や時間、給与の決め方は、マニュアルに書いて済ませるものではなく、労働条件通知書や雇用契約書として別に渡すものです。マニュアルの「働くうえでのルール」の項目では、書面で示した労働条件と食い違うことを書かないように気をつけ、細かい条件は「労働条件通知書を見る」と案内するにとどめます。

OJTと組み合わせて使う

マニュアルは、それだけで新人が仕事を覚えられるものではありません。実際の仕事の中で先輩が教えるOJT(オージェーティー)と組み合わせて使います。OJTとは、職場で実際の仕事をしながら教えるやり方のことです。

組み合わせ方の基本は、「読む」「見る」「やる」「振り返る」の4つの流れです。

  1. 新人がマニュアルの該当する手順を読む
  2. 教育係がその手順を実際にやってみせる
  3. 新人が教育係の前で同じ手順をやってみる
  4. 終わったら、うまくできたところとつまずいたところを一緒に振り返る

この流れで進めると、マニュアルは「やり方を覚えるための資料」から「やってみたあとに確かめる資料」に役割が変わります。振り返りのときに出てきた疑問や、新人がつまずいた点は、マニュアルに書き足していきます。

教育係の負担にも気を配ります。教育係は、自分の仕事を抱えたまま新人を教えることがほとんどです。教える時間を業務の予定に組み込み、上司がその分の仕事を調整しないと、教育係は忙しさから説明を省き、結局マニュアルだけ渡して終わりになります。

毎週1回、15分ほどの振り返りの時間を新人と教育係で持つのも効果があります。その週にできるようになったこと、まだ不安なこと、次の週に取り組むことを話し合い、記録に残しておきます。

教育係の側にも、教え方の手引きを用意しておくと、教える人による差が小さくなります。手引きには、各時期に教える項目、やってみせるときの注意、新人がつまずきやすい点、振り返りで聞くことを書いておきます。初めて教育係になる人は、自分が新人だったころの記憶だけを頼りに教えがちです。手引きがあれば、教え漏れを防げるうえ、教育係自身の不安も減らせます。教育係を務めた人には、終わったあとに手引きの分かりにくかった点を聞き、次の教育係のために直しておきます。

リモートで新人を受け入れるときの工夫

在宅勤務やリモートの働き方が広がり、新人が最初から職場に来ない、あるいは週の半分は自宅で働く、という形も増えています。リモートの新人教育では、職場で自然に起きていた「隣の席の先輩にちょっと聞く」ができないため、マニュアルの役割がいっそう大きくなります。

1つ目の工夫は、最初の1週間の予定を、時間単位で決めて渡すことです。「月曜の10時からシステムの説明、14時から教育係と業務の流れの確認」のように予定が見えていれば、新人は画面の前で何をすればよいか迷わずに済みます。

2つ目は、質問してよい時間と方法を決めることです。「チャットで質問したら、教育係は1時間以内に返事をする」「毎日16時から15分は質問の時間にする」と決めておけば、新人は遠慮せずに聞けます。

3つ目は、画面を共有しながら教えることです。システムの操作は、教育係が自分の画面を見せながら説明し、次に新人の画面を見せてもらいながらやってもらうと、職場で隣に座って教えるのに近い形になります。説明の様子を録画しておけば、新人が後から見返せる資料にもなります。

4つ目は、雑談の時間をあえて設けることです。リモートでは仕事の話しかしない日が続き、新人は職場の人との距離を縮めにくくなります。週に1回、短い時間でも仕事以外の話をする場を作ると、相談のしやすさが変わります。

教える担当と進み具合を共有する方法

新人が1人なら、教育係の頭の中や手帳で進み具合を管理しても回ります。新人が複数人いる、教える人が部署をまたいで何人もいる、という状況になると、誰がいつ何を教えるのか、どこまで進んだのかを共有する仕組みが必要になります。

最初の一歩は、表計算ソフトの表で十分です。行に教える項目、列に新人の名前を並べ、教えた日と教えた人を書き込んでいけば、進み具合がひと目で分かります。紙のチェック表を教育係と新人で1枚ずつ持つ方法もあります。

ただ、教える人が増えると、表の更新が追いつかなくなったり、誰が最新の表を持っているのか分からなくなったりします。そうした場面で使える候補の1つが、プロジェクト管理ツールのPinateca(ピナテカ)です。公式サイトによると、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットが無料のプランから使え、カードごとにコメントを付けたり、カスタムフィールドで項目を追加したりできます。たとえば新人ごとにボードを作り、「初日」「1週間」「1か月」「3か月」の列に教える項目をカードとして並べ、カードに担当の教育係と期限を付けておけば、どこまで進んだか、どこで止まっているかを1画面で確かめられます。ガントチャートのボードにすれば、教える予定の期間を横に並べて、教育係の予定の重なりも見られます。料金は、公式の料金ページによると5人までのチームなら期限なしで無料で、ボードは10個まで作れます。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランで、1人あたり月額500円(年払いなら1人あたり月額400円、税抜)です。マニュアルの文書そのものを作る道具ではないため、マニュアルは文書として作り、教える予定と進み具合の共有にPinatecaを使う、という使い分けになります。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

マニュアルを更新し続ける仕組み

マニュアルは、作った時点から古くなり始めます。システムの画面が変わった、手順が変わった、担当の部署が変わった、ということは毎年のように起こります。古いマニュアルは、ないよりも害になることがあります。新人は書かれているとおりに作業し、間違った手順を覚えてしまうからです。

更新を続けるために、次の3つを決めておきます。

1つ目は、更新の担当です。マニュアル全体の担当を1人決め、項目ごとに内容を確かめる人も決めます。業務の手順は、その業務をいちばんよく知っている人が確かめるのが確実です。

2つ目は、更新の時期です。新人が入る前の月に必ず見直す、システムの入れ替えがあったらその月のうちに直す、というように、見直すきっかけを決めます。

3つ目は、版の管理です。表紙や最初のページに、いつ誰が何を直したかを書いておきます。紙で配っている場合は、古い版を回収して新しい版と入れ替えます。電子の場合は、ファイル名に日付を入れるか、更新の記録を残せる仕組みを使います。

新人に直してもらうのも、よい方法です。新人は、マニュアルを初めて読む立場なので、分かりにくい説明や、実際の手順との違いにいちばん気づきやすい人です。3か月の振り返りのときに「マニュアルで分かりにくかったところ」を聞き、その意見をもとに次の版を直せば、マニュアルは年ごとに読みやすくなっていきます。

よくある失敗と直し方

新人教育マニュアルで、よく見かける失敗を挙げます。

1つ目は、分厚すぎることです。100ページを超えるマニュアルを初日に渡されても、新人は読み切れません。最初の1週間で使う部分を薄い冊子にし、残りは必要になったときに読む資料として分けます。

2つ目は、書き手しか分からない言葉で書かれていることです。社内の略語や、ベテランの感覚で書かれた「適宜」「いい感じに」のような言葉は、新人には判断できません。数字や具体的な基準で書きます。

3つ目は、マニュアルを渡して終わりにすることです。読むだけで仕事を覚えられる人はいません。OJTと組み合わせ、やってみたあとの振り返りまでを教育の流れに組み込みます。

4つ目は、新人のつまずきをマニュアルに戻さないことです。毎年同じところで新人がつまずいているなら、マニュアルの書き方に原因がある可能性が高いと考えます。

5つ目は、教育係を決めていないことです。「みんなで教える」形は、結局誰も責任を持たない状態になりがちです。主な教育係と代わりの人を、名前で決めておきます。

6つ目は、マニュアルの保存先が分からないことです。作ったマニュアルが誰かのパソコンの中にしかない、共有フォルダの奥深くにあって探せない、という状態では使われません。新人が初日に開ける場所に保存し、その場所を初日の案内に書いておきます。

小さな会社と外の力の借り方

在宅ワークとフリーランスの仲介に長く関わってきた運営者として見てきた限りでは、社員が数人から十数人の会社ほど、新人教育マニュアルの必要を感じながらも、作る時間が取れずに後回しにしています。日々の業務を回している人が、そのまま教える人と書く人を兼ねているからです。こうした会社では、業務の手順を知っている人が話した内容を、外部のライターや業務の整理を得意とする人に文書にしてもらう、という分担が現実的です。手順の中身は社内の人が決め、書き起こしと読みやすさの調整を外の人に任せれば、社内の負担は大きく減ります。

採用そのものに踏み切れるかどうかが課題なら、一定期間試しに雇ってから本採用を決める仕組みについて、トライアル雇用助成金 2026で制度の概要を確かめておくと、教育の計画と採用の計画を一緒に考えられます。人の育て方を含めた経営の課題を外の専門家と整理したいなら、経営の診断と助言を行う国家資格の中小企業診断士に相談する方法もあります。

よくある質問

Q. 新人教育マニュアルは何ページくらいが適当ですか?

決まった基準はありませんが、最初の1週間で使う部分は数十ページ以内の薄い冊子にするのが目安です。全体を1冊にまとめると、新人は必要なところを探せなくなります。基本の部分と、必要になったときに読む資料とに分けて作ります。

Q. 新人教育マニュアルは誰が作るのがよいですか?

全体の構成と更新の担当は1人に決め、業務の手順はその業務をいちばんよく知っている人が書くか確かめるのが確実です。書くのが苦手な場合は、話した内容を別の人に文書にしてもらう分担もできます。作ったあとは新人に読んでもらい、分かりにくい点を直します。

Q. 雇い入れ時の安全衛生教育は事務職にも必要ですか?

労働安全衛生法は、労働者を雇い入れたときに、その業務に関する安全や衛生の教育を行うよう定めています。事務の仕事でも、パソコン作業の負担や災害のときの避難などは教える中身になります。何をどこまで教えるかは業務によって変わるため、迷うときは労働基準監督署に相談します。

Q. マニュアルはどのくらいの頻度で見直せばよいですか?

新人が入る前の月に見直すことと、システムや手順が変わったときにすぐ直すことを決めておくのが目安です。表紙に更新の日付と内容を書いておくと、古い版との違いが分かります。新人に分かりにくかった点を聞き、次の版に反映させます。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月25日最終更新:2026年10月28日
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