移動介護の仕事に必要な資格|同行援護・行動援護・全身性の研修の違い

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移動介護の仕事に必要な資格|同行援護・行動援護・全身性の研修の違い

この記事のポイント

  • ✓同行援護従業者養成研修
  • ✓行動援護従業者養成研修
  • ✓全身性・知的・精神の移動支援の研修に分けて整理します

移動介護の資格を調べると、「同行援護従業者養成研修」「行動援護従業者養成研修」「全身性障害者移動介護従業者養成研修」と、長い名前の研修がいくつも出てきます。どれも障害のある人の外出に付き添う仕事のための研修ですが、付き添う相手の障害の種類、時間数、受講の条件、実務経験の要否がそれぞれ違います。どれから取ればいいのか分からないまま、スクールの案内を何枚も見比べている人も多いはずです。

先に結論を書くと、移動介護の資格は国家資格ではなく、付き添う相手の障害の種類ごとに用意された研修です。視覚障害のある人には同行援護従業者養成研修、車いすを使う人など全身性障害のある人には全身性の移動支援の研修、知的障害のある人には知的障害の移動支援の研修を受けます。この3つは介護の経験がなくても受講できます。行動援護だけは、研修に加えて知的障害や精神障害のある人への支援の実務経験が必要です。

この記事では、それぞれの研修の対象、時間数と科目、受講の条件、介護職員初任者研修との関係、費用と助成、取る順番までを、厚生労働省と自治体の資料に沿って整理します。

移動介護の資格とは何か

移動介護とは、障害のある人の外出に付き添い、移動の介助や外出先での手助けをする支援のことです。かつての支援費制度では「移動介護」という名前のサービスがあり、いまでもヘルパーの研修の名前や求人票にこの言葉が残っています。

現在の制度では、移動介護に当たる支援は次の3つに分かれています。

  1. 同行援護(視覚障害のある人の外出を支援する国の障害福祉サービス)
  2. 行動援護(知的障害や精神障害により行動上著しい困難がある人を支援する国の障害福祉サービス)
  3. 移動支援(市区町村が地域の事情に合わせて行う事業)

厚生労働省の地域生活支援事業の実施要綱にも、移動支援の委託先として「これまで支援費制度で移動介護のサービス提供を行っている指定事業者」を活用するよう書かれており、移動介護が移動支援に引き継がれたことが分かります。

それぞれの支援に入るために必要なのが、障害の種類ごとの研修です。研修を修了すると修了証が交付され、それが事業所で働くときの「資格」として扱われます。介護福祉士のような国家試験はなく、決められた時間の講義と演習に出席し、修了の評価を受ければ取得できます。

移動介護の資格の全体像

まず、主な研修を1つの表に整理します。

研修の名前 付き添う主な相手 時間数の目安 受講の条件 働くときの実務経験
同行援護従業者養成研修(一般課程) 視覚障害のある人 国の基準で28時間(大阪府は30時間) 特になし 不要
同行援護従業者養成研修(応用課程) 同上(サービス提供責任者向け) 6時間 一般課程の修了 サービス提供責任者には別の要件あり
全身性の移動支援の研修 車いすを使う人など全身性障害のある人 大阪府20時間、千葉県16時間など 特になし 不要
知的障害の移動支援の研修 知的障害のある人 大阪府19時間 特になし 不要
精神障害の移動支援の研修 精神障害のある人 大阪府14時間 特になし 不要
行動援護従業者養成研修 行動上著しい困難がある知的障害・精神障害のある人 神奈川県24時間 特になし 知的障害・精神障害のある人への支援の実務経験が必要

同行援護と行動援護の研修は、国が基準を示し、都道府県が指定した事業者が実施します。移動支援の研修は、都道府県や市区町村がそれぞれ要綱を作って実施しています。同じ「全身性」の研修でも、地域によって時間数や科目が違うのはこのためです。

同行援護従業者養成研修

令和7年4月から新しいカリキュラムに

同行援護従業者養成研修は、視覚障害のある人の外出に付き添うための研修です。厚生労働省が社会保障審議会の障害者部会に出した資料によると、同行援護の質を高めるため、令和7年4月から新しいカリキュラムで研修が行われています。一般課程は従来の20時間から28時間に、応用課程は12時間から6時間に変わりました。

新しい一般課程の科目と時間は、次のとおりです。

区分 科目 時間
講義 外出保障 1
講義 視覚障害の理解と疾病(2科目) 1.5
講義 視覚障害者(児)の心理 1
講義 視覚障害者(児)福祉の制度とサービス 1.5
講義 同行援護の制度 1
講義 同行援護従業者の実際と職業倫理 2.5
講義・演習 情報提供 2
講義・演習 代筆・代読(2科目) 1.5
演習 誘導の基本技術(2科目) 7
演習 誘導の応用技術(場面別・街歩き、2科目) 5
演習 交通機関の利用 4

演習が全体の半分近くを占めているのが特徴です。アイマスクをつけて誘導される側を体験し、階段、狭い通路、ドアの通過、電車やバスの乗り降りを、受講者同士で繰り返し練習します。街を実際に歩く演習もあります。

都道府県は、国の基準に時間を上乗せしてカリキュラムを組むことがあります。たとえば大阪府の実施要領では、一般課程が計30時間、応用課程が計6時間です。盲ろう者向け通訳・介助員の養成研修を修了した人は、一般課程の一部の科目が免除され、国の基準では19時間で修了できます。

応用課程とサービス提供責任者

応用課程は、主にサービス提供責任者を目指す人のための課程です。サービス提供責任者とは、利用者ごとの同行援護計画を作り、ヘルパーの派遣を調整し、ヘルパーへの技術指導を行う役割のことです。応用課程では、サービス提供責任者の業務、さまざまな利用者への対応、個別支援計画と他機関との連携、業務上のリスクマネジメント、従業者研修の実施、同行援護の実務上の留意点を、各1時間で学びます。

同行援護のサービス提供責任者になるには、これまで、介護福祉士や実務者研修修了者などであることに加えて、応用課程を修了していることが求められてきました。厚生労働省は令和6年10月の障害者部会で、令和7年4月から、一般課程を修了して3年以上視覚障害のある人の介護等の業務に従事し、応用課程を修了した人も、サービス提供責任者になれるよう要件を改める案を示しています。視覚障害のある人の支援を専門に続けてきた人が、介護の国家資格がなくても、経験を積めばサービス提供責任者を目指せる道が開かれたということです。

行動援護従業者養成研修

研修と実務経験の両方が必要

行動援護は、知的障害や精神障害により、自分を傷つける、物を壊す、急に走り出すといった行動が出やすく、常に支援が必要な人を対象にしたサービスです。厚生労働省の説明では、対象は障害支援区分が区分3以上で、行動に関する12の調査項目の合計が10点以上の人です。障害支援区分とは、どのくらいの支援が必要かを6段階で示す国の物差しのことです。

行動援護のヘルパーには、行動援護従業者養成研修の修了に加えて、知的障害や精神障害のある人への直接の支援の実務経験が求められます。厚生労働省の障害者部会の資料の要件表では、行動援護従業者養成研修の修了者がヘルパーとして働くには1年の実務経験、サービス提供責任者になるには3年の実務経験が必要とされています。

神奈川県の案内では、行動援護従業者養成研修の時間は24時間で、目的は次のように説明されています。

知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する障害者等であって常時介護を要するものにつき、当該障害者等の特性の理解や評価、支援シートの作成及び居宅内や外出時における危険を伴う行動を予防又は回避するために必要な援護等に関する知識及び技術を習得する。 出典: 神奈川県「居宅介護従業者等の養成研修事業指定について」

支援シートとは、利用者の特性や、不安になりやすい場面、落ち着くための関わり方を整理した記録のことです。行動援護の研修では、行動の背景を理解し、問題が起きる前に環境を整える考え方を学びます。

強度行動障害支援者養成研修との関係

行動援護の研修と並んでよく出てくるのが、強度行動障害支援者養成研修です。基礎研修と実践研修の2段階に分かれていて、グループホームや入所施設など、訪問系以外の現場で働く職員も多く受講しています。大阪市の移動支援の資格要件の表では、「行動援護従業者養成研修課程修了者又は強度行動障害支援者養成研修(実践課程)修了者」が1つの区分としてまとめられています。

介護福祉士のみなし措置は令和9年3月まで

介護福祉士や実務者研修修了者などを、行動援護の研修を修了した人とみなして働けるようにする経過措置があります。厚生労働省の令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要では、この経過措置を令和9年3月31日まで延長し、その後廃止するとしています。介護の資格で行動援護に入っている人は、期限までに行動援護従業者養成研修か強度行動障害支援者養成研修を修了しておく必要があります。

全身性・知的・精神の移動支援の研修

障害の種類ごとに課程が分かれる

移動支援の研修は、一般に「ガイドヘルパー養成研修」と呼ばれ、障害の種類ごとに課程が分かれています。大阪府の移動支援従業者養成研修の実施要領では、次の3つの課程が定められています。

課程 時間数 講義 演習・実習
全身性障がい課程 20時間 11時間 演習9時間
知的障がい課程 19時間 11時間 実習8時間
精神障がい課程 14時間 共通科目6時間と障害別の科目 障害別の演習など

どの課程も、最初の6時間は共通科目で、障害者福祉の制度と移動支援事業、移動支援従業者の業務と職業倫理、障害者の人権を学びます。そのあとに、障害の種類ごとの理解、心理、移動介助の知識を学び、最後に演習や実習を行います。

全身性の課程で学ぶこと

全身性の課程は、車いすを使う人や、手足に重い障害がある人の外出を支えるための研修です。大阪府の要領では、演習の中で、床と車いすの間やベッドと車いすの間の移乗、2人で介助する場合の方法、食事や衣服の着脱や排せつの介助、車いすや電動車いすの構造と機能を学びます。交通機関の利用の演習では、実際の公共交通機関を使い、平地や階段での移動、エレベーターの利用、駅の改札、電車やバスの乗り降り、買い物までを練習します。

千葉県の実施要綱では、全身性の課程は講義12時間と演習4時間の合計16時間です。同じ全身性の研修でも、都道府県によって時間数と科目の配分が違うことが分かります。

知的障害の課程で学ぶこと

知的障害の課程では、知的障害の理解、本人と家族の心理、援助の視点と心構えを学び、コミュニケーションの実習と外出介助の実習を行います。大阪府の要領では、外出介助の実習で、一緒に歩くこと、電車やバスの利用、買い物、レジャー施設や図書館・美術館などの公共施設の利用、食事、トイレの利用までを、実際の街で体験します。知的障害のある当事者を交えた演習の形で行うことも認められています。

介護職員初任者研修との関係

介護職員初任者研修や介護福祉士の資格を持っている人の中には、「介護の資格があるのだから、移動介護の研修は要らないのでは」と考える人がいます。答えは、付き添う相手の障害の種類と、働く自治体によって変わります。

大阪市は、移動支援に従事するヘルパーの資格要件を、障害の種類ごとの表で公開しています。この表では、居宅介護職員初任者研修課程の修了者が担当できるのは、知的障害と精神障害のある人の移動支援です。視覚障害のある人と全身性障害のある人の移動支援は担当できない扱いです。介護福祉士、介護福祉士実務者研修の修了者、看護師・准看護師も、この表では初任者研修の修了者と同じ扱いとされています。

視覚障害のある人を担当するには、同行援護従業者養成研修や視覚障害者の移動支援の課程が、全身性障害のある人を担当するには、全身性の移動支援の課程や重度訪問介護従業者養成研修の追加課程などが必要です。

反対に、移動支援の研修を受ける条件として、介護職員初任者研修以上の資格を求める自治体もあります。研修事業者のコラムは、次のように注意を促しています。

ガイドヘルパーを取得する場合、基本的に他の資格や実務経験などは必要ありません。しかし、市区町村によっては介護職員初任者研修以上の資格保有が必須の場合があります。 出典: i.sikatoru.com

研修を申し込む前に、働きたい市区町村の要件表を、市区町村のホームページか、働きたい事業所で確かめてください。

受講料と期間、助成の制度

受講料の目安

研修の受講料は、研修事業者と課程によって違います。研修事業者の案内では、ガイドヘルパーの研修について次のような目安が示されています。

ガイドヘルパー(移動介護従事者)の費用と受講期間は市区町村やスクールによって異なりますが、平均の受講費用は2万円~5万円、平均受講期間は2日~です。 出典: i.sikatoru.com

テキスト代や実習費が別にかかる研修事業者もあるので、受講料だけでなく総額で比べてください。同行援護の一般課程は、新しいカリキュラムで時間が長くなった分、4日前後の日程で組まれることが多くなっています。

自治体の受講料助成

ヘルパーの数を確保するため、受講料を助成している自治体があります。たとえば横浜市は、令和8年度のガイドヘルパー等養成研修受講料助成事業で、次の研修を対象にしています。

  1. 全身性障害者ガイドヘルパー養成研修
  2. 知的障害者ガイドヘルパー養成研修
  3. 同行援護従業者養成研修(一般課程)
  4. 行動援護従業者養成研修
  5. 喀痰吸引等研修(令和8年4月1日以降)

助成額は受講料のうち上限2万5千円までで、研修修了後1年以内に申請すること、横浜市内の事業所で3か月以上働いていること、修了した研修に対応する障害の種類の利用者に1回以上サービスを提供したことなどが条件です。同行援護の応用課程と強度行動障害支援者養成研修は対象外とされています。住んでいる市区町村の障害福祉の担当課に、同じような制度があるかを問い合わせてみてください。

事業所が費用を負担する場合

人手が足りない事業所では、採用後に研修費を負担する代わりに、一定期間働くことを条件にしているところがあります。費用を抑えたいなら、先に事業所に応募し、採用後に研修を受ける順番も検討する価値があります。ただし、事業所が受講料を負担した場合、横浜市のような自治体の助成は受けられないことが多いので、どちらを使うかは事前に確かめてください。

申し込みから修了証を受け取るまでの流れ

研修を受けると決めたら、次の流れで進みます。

  1. 都道府県が公開している研修事業者の一覧や開講予定から、日程と会場の合う研修を探す
  2. 研修事業者に申し込む。本人確認書類の提出を求められるのが一般的
  3. 受講料を支払い、テキストを受け取る
  4. 講義と演習に出席する。演習では実際に街を歩いたり、交通機関を使ったりする
  5. 修了の評価を受ける(筆記の確認や、演習での技術の確認など)
  6. 修了証を受け取る

大阪府の移動支援の実施要領では、研修事業者は修了者の台帳を永年保存し、出席簿の原本や本人確認書類の写しを5年間保存することとされています。修了したことは研修事業者の側にも記録が残るので、修了証を紛失したときは、研修事業者に再発行の手続きを問い合わせることができます。

演習の日は、歩きやすい靴と動きやすい服装で参加します。全身性の課程では、受講者同士で車いすに乗ったり、抱きかかえたりする演習があります。同行援護の課程では、アイマスクをつけて誘導される側を体験します。見えない状態で階段を下りる、電車に乗るといった体験は、利用者がどれほど誘導する人を頼りにしているかを、体で理解できる機会です。

修了証は、事業所に登録するときや求人に応募するときに提出します。原本は大切に保管し、提出にはコピーを使うのが一般的です。複数の課程を修了したら、修了証をまとめて保管しておくと、新しい事業所に登録するときに手間がかかりません。

修了証はほかの地域でも使えるか

引っ越しや、住まいとは別の市区町村の事業所で働くことを考えている人にとって、修了証がほかの地域でも使えるかは気になる点です。

同行援護と行動援護の研修は、国が基準を示した研修で、都道府県が指定した事業者が実施しています。国の障害福祉サービスの要件として定められた研修なので、修了証は一般に全国で通用します。

移動支援の研修は、扱いが少し違います。移動支援は市区町村の事業で、ヘルパーの要件も市区町村が決めています。厚生労働省の移動支援事業実施要領でも、サービスを提供する人は「サービスを提供するに相応しい者として実施主体が認めた者」とされています。ほかの都道府県で修了したガイドヘルパーの研修を、働きたい市区町村がそのまま認めるかどうかは、その市区町村の要件次第です。大阪市の要件表には、移動支援従業者養成研修の修了者に加えて「同研修に相当するものとして都道府県知事が認める研修を修了した者」という区分があり、ほかの研修を認める余地が設けられていることが分かります。引っ越しの予定がある人は、転居先の市区町村や事業所に、手元の修了証で働けるかを先に確かめてください。

研修で学ぶことと、現場で求められること

研修を修了すれば、制度の上ではヘルパーとして働けます。ただ、研修の時間は長くても30時間ほどで、現場で求められることのすべてを身につけられるわけではありません。研修と現場の差を知っておくと、働き始めてからの戸惑いを減らせます。

研修で学ぶのは、主に基本の型です。視覚障害のある人を誘導するときの立ち位置、階段の上り下りの声かけ、車いすで段差を越える方法、知的障害のある人に見通しを伝える方法などを、受講者同士の演習で身につけます。

現場では、この型を利用者一人ひとりに合わせて調整する力が求められます。同じ視覚障害でも、まったく見えない人と、明るさは分かる人では、必要な情報の伝え方が違います。同じ車いすでも、手動か電動か、体をどれくらい自分で支えられるかで、介助の方法が変わります。知的障害のある人では、好きな話題や苦手な音、落ち着くための習慣など、その人を知ることが支援の土台になります。

この差を埋めるのが、働き始めの同行研修です。多くの事業所では、新しいヘルパーが1人で担当する前に、先輩ヘルパーと一緒に利用者の外出に付き添う期間を設けています。この期間に、利用者ごとの細かな配慮を教わり、記録の書き方や、事業所への連絡のルールも身につけます。同行研修の回数や、その時間に給与が出るかは事業所によって違うので、応募の段階で確かめておくと安心です。

研修事業者の探し方と、選ぶときの視点

研修は、都道府県が指定した事業者が実施しています。研修事業者の一覧や開講予定は、都道府県のホームページで公開されていることが多くあります。大阪府は研修事業者の一覧と、令和8年度の開講予定一覧を課程ごとに公開しています。神奈川県も、同行援護・重度訪問介護・行動援護の従業者養成研修の開講予定一覧を公開しています。

研修事業者を選ぶときは、次の点を比べると選びやすくなります。

  1. 日程(平日コースか土日コースか、連続した日程か)
  2. 会場までの通いやすさ(演習で街を歩く科目は、会場周辺で行うことが多い)
  3. 受講料の総額(テキスト代、実習費を含む)
  4. 欠席したときの補講の扱い
  5. 修了後に仕事を紹介してくれるか

研修は欠席すると修了できないため、日程が仕事や家庭の予定と重ならないことが何より大切です。演習の科目を欠席すると、補講を受けるまで修了証が交付されません。

移動介護の資格を取る順番

ここまでの内容をもとに、未経験から始める人の取る順番を整理します。

未経験から始める場合

まずは、同行援護の一般課程か、全身性または知的障害の移動支援の課程のうち、1つを選んで受けます。どれを選ぶかは、次の2つで決めると迷いません。

  1. 自分が付き添いたい相手(視覚障害、車いすを使う人、知的障害)
  2. 働きたい地域で依頼が多いのに、担当できる人が足りていない障害の種類

体の介助に不安がある人は、体を支える場面が比較的少ない同行援護や知的障害の課程から始め、慣れてから全身性の課程を追加する進め方もあります。

働きたい地域で依頼が多い障害の種類は、地域の事業所に電話で問い合わせると教えてもらえることが多くあります。「研修を受けてから応募したいと考えているが、どの課程の人が足りていないか」と聞けば、事業所にとっても採用につながる話なので、具体的に答えてもらいやすくなります。2つか3つの事業所に聞いて答えがそろえば、その課程から受けるのが近道です。

経験を積んだあとに広げる

1つの研修で働き始めたら、依頼の状況を見ながら課程を追加します。複数の課程を修了していると、事業所は担当を割り当てやすくなり、働ける時間が安定しやすくなります。知的障害や精神障害のある人の支援で経験を積んだら、行動援護従業者養成研修を受けて、行動援護にも入れるようにする道があります。行動援護は専門性が高い分、事業所から頼りにされる存在になれます。

介護の資格を持っている場合

介護職員初任者研修や介護福祉士を持っている人は、すでに担当できる範囲があるかを、働きたい自治体の要件表で確かめます。担当できない障害の種類があれば、その課程だけを追加で受けます。介護の資格を持っていると、研修の一部の科目が免除される場合もあります。

サービス提供責任者へのキャリアの道

ヘルパーとして経験を積んだあとのキャリアとして、サービス提供責任者があります。サービス提供責任者は、利用者や家族と面談して支援の計画を作り、ヘルパーの派遣を調整し、ヘルパーに技術を教える役割で、事業所の中心となる存在です。常勤の職員として配置されることが多く、収入も安定しやすくなります。

同行援護のサービス提供責任者になるには、厚生労働省の障害者部会の資料によると、次のいずれかを満たす必要があります。

  1. 介護福祉士、実務者研修修了者などで、同行援護従業者養成研修の応用課程を修了した人
  2. 居宅介護職員初任者研修を修了して3年以上介護等の業務に従事し、応用課程を修了した人
  3. 国立障害者リハビリテーションセンター学院の視覚障害学科を修了した人など

これに、先に触れた、一般課程を修了して3年以上視覚障害のある人の介護等に従事し、応用課程を修了した人を加える改正の案が示されています。

行動援護のサービス提供責任者には、同じ資料の要件表で、行動援護従業者養成研修の修了者なら3年の実務経験が求められています。いずれも、研修だけでなく現場での経験の長さが条件になっている点が共通しています。ヘルパーとして働き始めた時点から、自分がどの障害の種類の支援を何年続けてきたかを記録しておくと、将来の要件の確認に役立ちます。

資格を生かして働くときに知っておきたいこと

研修を修了したら、障害福祉サービスの事業所に登録ヘルパーとして登録するか、常勤の職員として就職するのが一般的です。登録ヘルパーは、依頼が入った外出だけを担当する働き方で、平日の昼間に本業がある人が週末だけ働くこともできます。

同行援護と行動援護は国の障害福祉サービスで、厚生労働省の「福祉・介護職員等処遇改善加算」の対象です。処遇改善加算とは、福祉や介護で働く人の賃金を上げるために、事業所に上乗せして支払われる報酬のことです。厚生労働省の令和6年度報酬改定の概要では、この加算の対象サービスとして同行援護や行動援護が並んでいますが、市区町村の事業である移動支援は含まれていません。どの研修を持っているかで担当できるサービスが変わり、それが時給にも影響する場合があることは、知っておいて損はありません。

雇われて働く場合の時給は、地域別最低賃金を下回ってはいけません。厚生労働省の一覧によると、令和8年度の地域別最低賃金は東京都が1,280円、大阪府が1,231円で、いずれも令和8年10月1日に発効しています。求人票を見るときは、時給だけでなく、利用者の家から家への移動時間や、待機時間に給与が出るかも確かめてください。

運営者の視点で見る、資格の生かし方と働き方の組み合わせ

在宅ワークや業務委託の市場を長く見てきた運営者の視点から言えば、移動介護の資格は「短い研修で入口に立てて、経験に応じて広げていける」資格です。1つの研修で働き始め、依頼の状況を見て課程を追加していく人ほど、仕事が途切れにくくなります。資格を一度にたくさん取るより、働きながら必要なものを足していく順番のほうが、費用と時間の両面で無理がありません。

外出の依頼は週末や夕方に集まりやすいため、平日の日中に在宅でできる仕事を組み合わせる人もいます。組み合わせるときに意識したいのは、手取りの厚さです。仲介を挟まず直接取引できる在宅の仕事なら、同じ予算で依頼する側はより多くを頼めて、受ける側の手取りは厚くなります。福祉の報酬は公的に決まっていて自分で動かしにくい分、もう一方の仕事で条件を自分で交渉できることが、生活全体の安定につながります。

移動介護の仕事では、支援のたびに記録を書きます。事実を正確に、短く、次の担当者に伝わる形で書く力は、文書の書き方を体系的に学べるビジネス文書検定の内容と重なります。空いた時間に在宅で書く仕事を組み合わせたい人は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で書く仕事の収入の目安を確かめられます。事業所の記録や事務の効率化に関心が出てきたら、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で、業務にAIを取り入れる支援の仕事にどんなものがあるかを確認できます。

移動介護の資格は、どれを取るかより、誰に付き添いたいかから考えると選びやすくなります。働きたい地域の要件表を確かめ、付き添いたい相手に合った研修を1つ選んで申し込むところから始めてください。

よくある質問

Q. 移動介護の資格は国家資格ですか?

国家資格ではありません。同行援護従業者養成研修や、移動支援のガイドヘルパー養成研修などの研修を修了し、修了証を受け取ることで、事業所で働くときの資格として扱われます。試験はなく、決められた時間の講義と演習に出席して修了の評価を受ければ取得できます。演習を欠席すると補講が必要になります。

Q. 同行援護従業者養成研修は何時間ですか?

令和7年4月から新しいカリキュラムになり、国の基準では一般課程が28時間、応用課程が6時間です。都道府県によっては時間を上乗せしていて、大阪府では一般課程が30時間です。インターネットには一般課程20時間、応用課程12時間という古い情報も残っているので、受講前に都道府県や研修事業者の案内で確かめてください。

Q. 行動援護の研修は未経験でも受けられますか?

研修そのものは受講できますが、行動援護のヘルパーとして働くには、研修の修了に加えて、知的障害や精神障害のある人への直接の支援の実務経験が必要です。未経験の人は、まず知的障害の移動支援などで経験を積み、そのあとで行動援護に入る順番が一般的です。必要な経験の長さは事業所で確かめてください。

Q. 介護職員初任者研修を持っていれば移動介護の研修は不要ですか?

自治体と障害の種類によります。大阪市の要件表では、初任者研修の修了者は知的障害と精神障害のある人の移動支援は担当できますが、視覚障害や全身性障害のある人の移動支援は担当できません。担当したい障害の種類に合わせて、同行援護や全身性の課程を追加で受ける必要があるか、働きたい自治体の要件表で確かめてください。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年3月1日最終更新:2026年10月6日
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