月次報告書の書き方|数字と課題を伝える構成と例


この記事のポイント
- ✓業務の月報と経営の月次報告の違い
- ✓目標と実績の差の書き方
- ✓課題と来月の行動の書き方
月次報告書を書くことになった人の多くは、「何を書けば合格なのか分からない」「毎月同じような文章になってしまう」「数字を並べたけれど、上司から『で、どうするの』と聞かれる」という悩みを抱えています。月次報告書は、1か月の結果を数字で示し、目標との差の理由を説明し、来月に何をするかを決めるための資料です。この記事では、業務の月報と経営の月次報告の違い、必ず入れる項目、結論から書く構成、差の要因と課題の書き方、そのまま使える例文、作成の手間を減らす工夫までを順に説明します。チームの来月の行動を担当と期限つきで追いかけたいときは、プロジェクト管理ツールのPinatecaを使う方法もあり、その使い方も後半で触れます。
月次報告書とは何か
月次報告書とは、1か月ごとに、仕事の結果と状況をまとめて報告する文書のことです。「月報」とも呼ばれます。会社によって形式はさまざまですが、大きく分けると2つの種類があります。
1つ目は、社員やチームが上司に提出する「業務の月報」です。その月にどんな仕事をして、どんな成果が出て、どんな課題があり、来月は何をするかを報告します。営業の担当者なら売上や商談の件数、カスタマー対応の担当者なら問い合わせの件数や対応の時間といった数字が中心になります。
2つ目は、会社の経営の状況をまとめる「経営の月次報告」です。月ごとに売上や費用や利益をまとめる「月次決算」の数字をもとに、経営者や役員、金融機関に向けて、会社の業績を報告します。経理や経営企画の担当者が作ることが多い資料です。
どちらの種類にも共通しているのは、年に1回の決算や評価を待たずに、1か月ごとに状況を確かめて手を打つための資料だということです。経理の代行を手がける会社の解説では、次のように説明されています。
月次報告書は、年に一度の決算を待たずに経営の実態を把握し、早期に手を打つための羅針盤です。作成の手間だけを見ると負担に感じられますが、放置した場合に失う機会損失のほうがはるかに大きいのが実情です。 出典: wheat-biz.com
自分が書くのがどちらの種類かによって、入れる項目や数字の細かさが変わります。最初に、読む人が誰で、その人が報告書を読んで何を決めたいのかを確かめておくと、何を書けばよいかがはっきりします。上司が知りたいのは部下の仕事の進み具合と困りごとかもしれませんし、経営者が知りたいのは今期の利益の見込みかもしれません。
月次報告書を書く目的
月次報告書を書く目的は、大きく3つあります。
1つ目は、状況を共有することです。上司やチームの仲間は、それぞれの仕事のすべてを毎日見ているわけではありません。月に1回、決まった形で状況を報告することで、誰がどの仕事をどこまで進めているかを、関係者全員が同じように理解できます。
2つ目は、早く手を打つことです。目標に届いていない数字や、問題が起きそうな兆しを月ごとに見つけられれば、手遅れになる前に対策を考えられます。年に1回の振り返りでは、問題に気づいたときにはもう取り返しがつかないこともあります。
3つ目は、振り返りと改善です。月次報告書を書くことは、書く人自身にとって、1か月の仕事を見直す機会になります。何がうまくいき、何がうまくいかなかったのかを言葉にすることで、来月の仕事のやり方を改善するきっかけになります。
この3つの目的のうち、どれを重く見るかは、読む人と会社によって違います。ただ、どの場合でも共通して言えるのは、月次報告書は「やったことの記録」ではなく「次に何をするかを決めるための材料」だということです。1か月にやった仕事を時間の順に並べるだけの報告書は、読む人にとって判断の材料になりません。結果と、その理由と、次の行動がつながって初めて、月次報告書は役に立つ資料になります。
月次報告書に必ず入れる項目
月次報告書に入れる項目は、会社の決まった形式があればそれに従います。決まった形式がない場合は、次の6つの項目を入れると、読む人が知りたいことがひと通りそろいます。
- 今月の要約(結論)
- 目標と実績の数字
- 目標との差の要因
- 今月の主な取り組みと成果
- 課題と、その対策
- 来月の目標と行動の予定
1番目の要約は、報告書の最初に、今月の結果を3行ほどで書くものです。忙しい上司や経営者は、最初の数行だけを読んで、詳しく読むかどうかを決めます。要約だけで、今月がうまくいったのかどうか、何が問題なのかが分かるように書きます。
2番目の数字は、目標と実績を並べて、その差を示します。数字だけでなく、前の月や前の年の同じ月と比べた変化も添えると、良くなっているのか悪くなっているのかが分かります。
3番目の差の要因は、なぜ目標に届いたのか、届かなかったのかの理由です。月次報告書の中で、読む人が一番知りたい部分でもあります。
4番目の取り組みと成果は、今月に何をして、どんな結果が出たかを書きます。ここでは、すべての仕事を並べるのではなく、結果に影響した主なものに絞ります。
5番目の課題と対策は、解決しなければならない問題と、その解決の方法を書きます。自分だけで解決できない課題があれば、上司に判断や協力を頼む内容もここに書きます。
6番目の来月の目標と行動は、来月に何を目指し、そのために何をするかを書きます。課題の対策とつながっていることが大事です。
結論から書く月次報告書の構成
月次報告書を読みやすくするには、結論から書くことが一番大事です。時間の順に書くと、最後まで読まないと何が言いたいのかが分かりません。
結論から書く構成は、次の流れになります。
- 最初に:今月の結果を一言で(目標を達成したか、しなかったか)
- 次に:その根拠になる数字
- 続いて:結果の理由
- そのあとに:課題と対策
- 最後に:来月の行動
たとえば、悪い例と良い例を比べてみます。
悪い例は次のような書き方です。
「今月は、月初に新しいお客様への提案の準備を進め、中旬には既存のお客様への訪問を行いました。下旬には展示会に参加し、多くの来場者と名刺交換をしました。売上は目標に届きませんでしたが、来月は頑張ります。」
良い例は次のような書き方です。
「今月の売上は目標に対して85%で、未達でした。主な理由は、大口の既存のお客様1社の発注が来月にずれ込んだためです。この発注は来月の上旬に確定する見込みで、来月は目標の110%を見込んでいます。一方で、新規のお客様の獲得が2か月続けて目標を下回っているため、来月は展示会で名刺交換をした方への連絡を優先します。」
良い例では、最初の1文で結果が分かり、次に理由が、その次に来月の見込みと対策が書かれています。読む人は、この数行だけで状況を理解し、必要なら追加の質問ができます。
結論から書くときのコツは、書き始める前に「今月を一言で言うと何か」を決めることです。「目標は未達だが、理由は時期のずれで、来月に取り戻せる」のように、一言にまとめてから書き始めると、報告書全体の筋が通ります。
数字の書き方と、目標との差の示し方
月次報告書の説得力は、数字の書き方で決まります。数字を書くときは、次の3つを意識します。
1つ目は、比べる相手を決めることです。数字は、それだけでは良いのか悪いのかが分かりません。目標、前の月、前の年の同じ月のどれかと比べて初めて意味を持ちます。一番大事なのは目標との比較で、その次に前の年の同じ月との比較です。季節によって数字が変わる仕事では、前の月と比べるより、前の年の同じ月と比べたほうが、本当の変化が分かります。
2つ目は、差を数字と割合の両方で示すことです。たとえば「売上は目標300万円に対して実績255万円で、差は45万円、達成率は85%」と書きます。金額の差だけでは大きさが伝わりにくく、割合だけでは実際の影響の大きさが伝わりにくいため、両方を書きます。
3つ目は、表にまとめることです。数字が多いときは、文章で書くより表にしたほうが、ひと目で比べられます。
| 項目 | 目標 | 実績 | 差 | 達成率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上 | 300万円 | 255万円 | マイナス45万円 | 85% |
| 新規の契約 | 5件 | 3件 | マイナス2件 | 60% |
| 商談の件数 | 40件 | 42件 | プラス2件 | 105% |
表の中で、目標に届かなかった項目に色を付けたり、印を付けたりすると、どこに注目すべきかが分かりやすくなります。
経営の月次報告では、売上だけでなく、利益や費用、手元の現金の動きも報告します。毎月の数字を締めて報告する「月次決算」について、中小機構の中小企業向けの相談サイトでは、次のように説明されています。
月次決算で入手した最新の経営数値を読める(業績検討)、使える(管理会計)、話せる(外部報告)、見通せる(経営計画)ようになった会社は、間違いなく金融機関から評価され、会社の信用力がアップします。 出典: J-Net21 月次決算の考え方と導入方法
ここで言う管理会計とは、税金の申告のためではなく、社内で経営の判断をするために数字をまとめることです。経営の月次報告書は、この管理会計の数字を、読む人に伝わる形に整えたものだと考えると、何を載せるべきかが見えてきます。売上、粗利(売上から原価を引いた利益)、営業利益、手元の現金の4つを毎月同じ形で並べ、目標と前の年の同じ月と比べるのが、最初の形として扱いやすい構成です。
読む人に合わせて書き方を変える
同じ1か月の結果でも、誰が読むかによって、強調すべき点が変わります。月次報告書を書く前に、読む人が何を決めるためにこの報告書を読むのかを考えておくと、書く内容に迷いません。
直属の上司が読む場合は、仕事の進み具合と困りごとが中心になります。上司は、部下の仕事が予定通り進んでいるか、手助けが必要なところはないかを知りたいと考えています。そのため、課題と対策の部分を詳しく書き、自分では解決できないことは「お願いしたいこと」としてはっきり書きます。
経営者や役員が読む場合は、会社全体の数字への影響が中心になります。細かい作業の内容よりも、売上や利益にどれだけの影響があったか、来月以降の見込みはどうか、を短く書きます。読む時間が限られているため、要約と数字の表だけで状況が分かるようにしておくことが大事です。
金融機関が読む場合は、会社が安定して利益を出せているか、借りたお金を返せる見込みがあるかが中心になります。売上や利益の推移に加えて、手元の現金や借入の状況を、数か月分の流れで示します。悪い数字があるときは、その理由と対策を合わせて示すことで、会社が状況をつかんで手を打っていることが伝わります。
社外の取引先に業務の報告をする場合は、依頼された仕事がどこまで進み、約束した成果が出ているかが中心になります。社内の事情や細かい数字よりも、相手が支払っている費用に見合う成果が出ているかが伝わるように書きます。
読む人が複数いる場合は、最初に全員に共通する要約を書き、そのあとに読む人ごとに必要な詳しい内容を章に分けて書くと、それぞれが必要なところだけを読めます。
グラフを使うときのコツ
数字の変化を伝えるときは、表に加えてグラフを使うと、ひと目で傾向が分かります。ただし、グラフの選び方を間違えると、かえって分かりにくくなります。
月ごとの変化を見せたいときは、折れ線グラフを使います。売上や問い合わせの件数が、12か月の間にどう動いたかを示すのに向いています。目標の線を同じグラフに引いておくと、どの月に目標を下回ったかがすぐに分かります。
項目ごとの大きさを比べたいときは、棒グラフを使います。商品ごとの売上や、担当者ごとの契約の件数を並べるのに向いています。並べる順番は、大きい順にすると比べやすくなります。
全体の中の割合を示したいときは、円グラフや帯グラフを使います。ただし、項目が5つを超えると読みにくくなるため、小さな項目は「その他」にまとめます。
グラフを入れるときに気をつけたいのは、1つのグラフで伝えることを1つに絞ることです。1つのグラフに多くの線や色を詰め込むと、何を見ればよいかが分からなくなります。グラフの近くに「売上は3か月続けて目標を上回っている」のように、そのグラフから読み取ってほしいことを1文で書き添えると、読む人が迷いません。
差の要因と課題を書くコツ
目標との差の要因を書くときに一番大事なのは、事実と、自分の考えを分けて書くことです。「お客様の反応が悪かった」は感想で、「提案した10社のうち、7社から予算の都合で来期に見送りたいと返事があった」は事実です。読む人は事実をもとに判断したいので、まず事実を書き、そのあとに「来期の予算の時期に合わせて、提案の時期を早める必要があると考えます」のように考えを書きます。
要因を書くときは、次の2つに分けると整理しやすくなります。
- 一時的な要因:時期のずれ、特別な出来事、天候など、来月には元に戻る見込みのもの
- 続いている要因:お客様の減少、競合の増加、仕組みの問題など、手を打たないと続くもの
一時的な要因であれば、来月の見込みを書けば十分です。続いている要因であれば、対策を書く必要があります。この区別があると、読む人は「放っておいてよい問題」と「手を打つべき問題」をすぐに見分けられます。
課題を書くときは、「何が問題か」だけでなく、「どうすれば解決するか」と「誰の協力が必要か」まで書きます。「人手が足りない」だけでは、読む人は何をすればよいか分かりません。「問い合わせの件数が先月より2割伸び、対応が平均で1日遅れている。来月から、よくある質問への回答のひな形を作って対応の時間を短くする。それでも足りない場合は、繁忙期の2か月間、応援の人を1人お願いしたい」と書けば、上司は判断できます。
もう1つ大事なのは、悪い結果も隠さずに書くことです。目標に届かなかったことを、言い訳のように長く書いたり、ほかの良い数字で目立たなくしたりすると、読む人の信頼を失います。悪い結果ほど、最初に、短く、はっきり書き、そのあとに理由と対策を書くのが、信頼される月次報告書の書き方です。
そのまま使える月次報告書の例文
ここでは、業務の月報と経営の月次報告、新しく配属された人の月報の3つの例文を紹介します。自分の仕事に合わせて、数字と内容を入れ替えて使ってください。
業務の月報の例文(カスタマー対応)
【今月の要約】 今月の問い合わせの件数は320件で、前月より15%伸びました。回答までの平均の時間は1.5日で、目標の1日以内に届きませんでした。来月はよくある質問への回答のひな形を整え、平均1日以内に戻します。
【目標と実績】 問い合わせの件数:320件(前月278件) 回答までの平均の時間:1.5日(目標1日以内) お客様の満足度の調査:4.2点(目標4.0点以上)
【差の要因】 新しいサービスの開始に伴い、使い方の問い合わせが前月の2倍になりました。同じ内容の質問が多く、毎回一から回答を書いていたため、時間がかかりました。
【課題と対策】 使い方の問い合わせのうち、上位10個の質問への回答のひな形を作ります。あわせて、サービスの案内ページに説明を書き加えることを、担当の部署に提案します。
【来月の目標と行動】 回答までの平均の時間を1日以内に戻します。回答のひな形は来月の第1週までに作り、第2週から使い始めます。
経営の月次報告の例文
【今月の要約】 今月の売上は1,200万円で、予算の96%でした。営業利益は80万円で、予算を20万円下回りました。原材料の値上がりにより、売上に対する原価の割合が前年同月より3ポイント高くなったことが主な要因です。
【課題と対策】 原価の割合の上昇は来月以降も続く見込みです。仕入先との価格の交渉と、販売価格の見直しの検討を、来月中に始めます。
【資金繰り】 月末の手元の現金は、月の売上の1.8か月分で、当面の支払いに問題はありません。
新しく配属された人の業務の月報の例文
【今月の要約】 配属から1か月で、受注の処理の手順を一通り覚え、今月の後半からは1人で1日20件の処理ができるようになりました。来月は処理の件数を1日30件に伸ばし、入力の間違いを月3件以内に抑えることを目指します。
【課題】 入力の間違いが今月は8件ありました。そのうち6件は、商品の番号の読み違いでした。
【対策と来月の行動】 入力のあとに、商品の番号だけをもう一度読み上げて確かめる手順を加えます。間違えやすい番号の一覧を作り、処理の画面の横に表示しておきます。
経験の浅いうちは、成果の数字が小さくても、何ができるようになったかと、何につまずいているかを具体的に書くことが大事です。上司は、その内容を見て、教える内容や任せる仕事を決めます。
3つの例文に共通しているのは、要約の段階で結果と理由と来月の方針が分かることです。どの例文も、要約、数字、要因、課題、対策、来月の行動という同じ並びで書かれているので、読む人は毎月同じ場所を見れば必要な情報にたどり着けます。例文の数字はあくまで例なので、自分の仕事の実際の数字に置き換えて使ってください。
フリーランスが取引先に出す月次の報告
会社員だけでなく、業務委託で仕事を受けているフリーランスも、取引先に月ごとの報告を出すことがあります。毎月決まった作業を請け負っている場合や、時間単位で報酬を受け取っている場合は、月次の報告が、その月の請求の根拠にもなります。
取引先に出す月次の報告には、次の項目を入れます。
- 対象の期間と、契約の名前
- その月に行った作業の一覧と、それぞれの成果物
- かかった時間(時間単位の契約の場合)
- 約束した目標に対する進み具合
- 気づいた課題と、提案
- 来月の作業の予定
社内の月報と違うのは、取引先が知りたいのは「支払った費用に見合う成果が出ているか」だという点です。作業の一覧を並べるだけでなく、「記事を8本納品し、そのうち3本が検索の上位に表示されている」のように、作業の結果として何が起きたかを書くと、仕事の価値が伝わります。
課題や提案を書くことも、取引を長く続けるうえで大事です。言われた作業をこなすだけでなく、「来月はこの作業の順番を変えると、確認の時間が短くなります」のような提案を毎月1つ添えると、取引先にとって相談しやすい相手になります。
時間単位で報酬を受け取っている場合は、作業の時間の記録を毎日残しておくことが欠かせません。月末にまとめて思い出そうとすると、時間の記録が不正確になり、請求の金額に自信が持てなくなります。
提出する前の点検リスト
月次報告書を書き終えたら、提出する前に次の点を確かめます。
- 要約だけを読んで、今月の結果と来月の方針が分かるか
- 数字は元のデータと合っているか(とくに合計と割合)
- 目標、前の月、前の年の同じ月のどれと比べているかが書かれているか
- 差の要因が、感想ではなく事実で書かれているか
- 課題に対して、対策と期限が書かれているか
- 来月の行動が、課題の対策とつながっているか
- 先月の報告書で約束した行動の結果に触れているか
- 誤字や、社名や人名の間違いがないか
とくに見落としやすいのが、先月の約束の結果です。先月に「来月はこうします」と書いたことが、今月の報告書で触れられていないと、読む人は「あの件はどうなったのか」と思います。先月の報告書を横に開いて、来月の行動の欄を1つずつ確かめるのを習慣にすると、報告に月ごとのつながりが生まれます。
数字の確認では、表の合計を電卓でもう一度計算する、割合の分母が正しいかを確かめる、といった基本の確認が大事です。数字の間違いが1つでも見つかると、報告書全体の信頼が下がってしまいます。
月次報告書でよくある失敗
月次報告書を書き慣れていないうちは、同じような失敗をしがちです。よくある失敗を知っておけば、書き終えたあとに自分の報告書を見直すときの目印になります。
1つ目の失敗は、やったことを時間の順に並べるだけで終わることです。「1日に〇〇、5日に〇〇」と書いていくと、書く側は1か月を振り返った気持ちになりますが、読む側には何が大事なのかが伝わりません。やったことは、結果に影響した主なものに絞り、結果と理由のつながりが分かるように書きます。
2つ目の失敗は、数字が多すぎることです。手元にある数字を全部載せると、どの数字が大事なのかが分からなくなります。毎月必ず載せる数字を3つから5つに絞り、それ以外は、特に変化があったときだけ載せるようにします。
3つ目の失敗は、「頑張ります」「注意します」で終わる対策です。これは対策ではなく決意です。対策には、「何を」「いつまでに」「どうやって」を入れます。「来月の第2週までに、提案書のひな形を作り直す」と書けば、翌月にできたかどうかを確かめられます。
4つ目の失敗は、良い結果の理由を書かないことです。目標を達成したときは、理由を書かずに済ませてしまいがちです。しかし、なぜうまくいったのかが分かれば、そのやり方をほかの人やほかの仕事にも広げられます。うまくいった理由も、うまくいかなかった理由と同じように書きます。
5つ目の失敗は、提出が遅れることです。月次報告書は、早く出すほど価値があります。月末から2週間もたってから出された報告書では、手を打つのが遅れてしまいます。完璧を目指して遅れるより、決めた日に出し、足りない点は翌月に直すほうが、読む人の役に立ちます。
月次報告書の作成の手間を減らす工夫
月次報告書は毎月書くものなので、書くたびに一から作っていると、それだけで大きな時間がかかります。作成の手間を減らすには、次の工夫が効きます。
- 報告書のひな形を1つに決め、毎月同じ形で書く
- 数字は、元のデータから自動で集計される表を作っておく
- 月の途中で、気づいたことや出来事を短くメモしておく
- 報告書を書く日を、月初の何営業日目と決めておく
とくに効くのが、月の途中でメモを残しておくことです。月末になってから1か月を振り返ろうとしても、月初の出来事は思い出せません。「〇日、大口のお客様から発注が来月にずれると連絡」のように、日付と出来事を1行で残しておけば、報告書の差の要因の部分は、そのメモを並べ直すだけで書けます。
数字の集計は、元のデータを貼り付けると自動で計算される表を、表計算のソフトで作っておくと、毎月の作業が数字の貼り付けだけになります。前の月や前の年の同じ月の数字も同じ表にまとめておけば、比較も自動でできます。
チームの月次報告と来月の行動を共有する方法
チームのリーダーが、メンバーそれぞれの月報をまとめてチームの月次報告書を作る場合は、メンバーから情報を集める作業に時間がかかります。誰の報告がまだ届いていないか、報告書に書いた来月の行動がその後どうなっているか、を追いかけるのも手間です。
数人のチームであれば、スプレッドシートに「担当」「来月の行動」「期限」「状況」の列を作り、月次報告書に書いた来月の行動を1行ずつ書き写すだけでも管理できます。翌月の報告書を書くときに、この表を見れば、先月に約束した行動が実際にできたかどうかを確かめられます。
複数人で担当と期限と進み具合を共有したい場面では、プロジェクト管理ツールを使う方法もあります。その選択肢の1つがPinatecaです。公式サイトによると、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットが、無料プランから使えます。月次報告書に書いた来月の行動を1つずつカードにして担当と締切を付ければ、カンバンで進み具合を、カレンダーで予定を、チームの全員が同じ画面で確かめられます。カードごとのコメントに、途中の出来事や結果を残しておけば、翌月の報告書で差の要因を書くときの材料にもなります。
公式の料金ページによると、5人までのチームなら期限なしで無料で、ボードは10個まで、クレジットカードの登録は要りません。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランになり、料金は1人あたり月額500円(税抜、年払いなら1人あたり月額400円)です。業務委託のメンバーがいる場合は、追加のオプションの稼働タイムシートで、担当者別・案件別・作業別の集計や、稼働報告書と業務完了報告書の印刷ができると案内されています(1人あたり月額980円、年払いなら月額780円、税抜)。ただし、Pinatecaは月次報告書の文章を作る道具ではありません。報告書は文書のソフトや表計算のソフトで作り、報告書に書いた行動の実行の管理をPinatecaで行う、という使い分けになります。
Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
独自の視点から見た、報告が上手な人の強み
在宅ワークとフリーランスの仲介を長く見てきた運営者の立場から言うと、仕事が長く続く人ほど、報告が短く、正確で、次の行動まで書かれています。在宅の仕事では、発注する側が作業の様子を直接見ることができないため、報告がそのまま仕事の進み具合を知る唯一の手段になります。「今週は何をして、どこまで進み、来週は何をするか」が数行で分かる報告をくれる人は、それだけで安心して仕事を任せられる相手になります。
月次報告書を書く力は、業務の改善やシステムの導入を支援する仕事でも重く見られます。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、企業の業務の状況を整理し、改善を提案して、その結果を報告する仕事の中身が紹介されています。経営の数字を読み解いて助言する専門家を目指す人には、国家資格の中小企業診断士の資格ガイドが、試験の内容と資格を生かせる仕事の範囲をまとめています。
フリーランスとして報告書の作成や業務の支援を受ける場合、手取りの厚さは働き方を左右します。仲介の手数料が高いと、同じ報酬でも受け取る金額が減ります。手数料0%で直接取引できる形であれば、発注する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。毎月の丁寧な報告で信頼を積み重ねた人ほど、こうした直接の取引で長く仕事を続けています。月次報告書は、社内の評価のためだけでなく、どんな働き方をしても通用する、信頼を形にする技術です。
よくある質問
Q. 月次報告書には何を書けばよいですか?
会社に決まった形式がなければ、今月の要約、目標と実績の数字、目標との差の要因、主な取り組みと成果、課題と対策、来月の目標と行動の6つを入れると、読む人が知りたいことがそろいます。とくに大事なのは要約で、最初の3行ほどで今月がうまくいったのか、何が問題なのか、来月どうするのかが分かるように書きます。
Q. 月次報告書を毎月同じような内容にしないコツはありますか?
月の途中で、気づいたことや出来事を日付と一緒に1行ずつメモしておくことです。月末に振り返るだけでは、毎月同じような書き方になりがちです。メモがあれば、差の要因や課題をその月の具体的な出来事で書けます。また、先月の報告書に書いた来月の行動が実際にできたかを確かめて書くと、報告に月ごとのつながりが生まれます。
Q. 目標に届かなかったとき、月次報告書にはどう書けばよいですか?
悪い結果ほど、最初に短くはっきり書くのが基本です。そのうえで、時期のずれなど一時的な要因か、手を打たないと続く要因かを分けて理由を書き、一時的なら来月の見込みを、続く要因なら具体的な対策を書きます。言い訳を長く書いたり、ほかの良い数字で目立たなくしたりすると、読む人の信頼を失うので避けます。
Q. 業務の月報と経営の月次報告は何が違いますか?
業務の月報は、社員やチームが上司に、その月の仕事の結果と課題と来月の予定を報告するものです。経営の月次報告は、月次決算の売上や費用や利益をもとに、経営者や役員、金融機関に会社の業績を報告するもので、経理や経営企画の担当者が作ることが多い資料です。どちらも、結果と理由と次の行動をつなげて書く点は共通しています。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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