議事録のひな形はどこで手に入るか|公的な様式の探し方

前田 壮一
前田 壮一
議事録のひな形はどこで手に入るか|公的な様式の探し方

この記事のポイント

  • 株主総会議事録雛形をどこで手に入れるかを整理しました
  • 法務局が無料で公開している記載例の場所
  • 会社法と法務省令が定める記載事項

株主総会議事録雛形を探して検索すると、士業事務所や書式サイトのページが大量に並ぶ。無料のものもあるが、会員登録が要る、内容が古い、そもそもどの場面用のひな形なのか書かれていない、といった事情でなかなか目的に届かない。

実は、いちばん確かなひな形は国が無料で公開している。法務局が登記の申請書様式と一緒に出している記載例のPDFのなかに、株主総会議事録の文例がそのまま入っている。しかも更新日が明記されていて、直近の法改正が反映されている。

この記事では、その場所と中身を先に示したうえで、法律が議事録に何を書けと定めているのか、押印は要るのか、作らないとどうなるのかを順番に確かめていく。有料のひな形を買う必要があるのは、公開されている記載例に該当する場面がないときだけだ。

結論。法務局の記載例が、ひな形としてはいちばん確か

置いてある場所は1か所だ。法務局の商業・法人登記の申請書様式というページに、株式会社、特例有限会社、持分会社、NPO法人、一般社団法人といった法人の種類ごとに、登記の場面別の様式が並んでいる。

このページの株式会社の欄を見ると、設立、役員変更、商号・目的の変更、本店移転、解散・清算結了といった場面ごとに、次の3つが用意されている。

記載例のPDF。申請書の書き方と、添付する書面の文例が載っている。ここに議事録の文例が入る ・申請書様式のWord。そのまま打ち込んで使える ・申請書様式のPDF。印刷して手書きする場合に使う

議事録のひな形を探している人が欲しいものは、1つ目の記載例PDFのなかにある。申請書の記載例が終わったあとのページに「株主総会議事録」という見出しが立ち、実際の文例が丸ごと載っている。文例の冒頭には「一例です。会社の実情に合わせて作成してください」という注記が添えられていて、そのまま流用することも、自社の事情に合わせて組み替えることも想定されている。

記載例に載っている議事録の中身

役員の全員が重任した場合の記載例を開くと、議事録の文例はこうした構成になっている。

・表題(第○回定時株主総会議事録) ・開催した日時と場所 ・株主の総数 ・発行済株式の総数(自己株式がある場合はその数も) ・議決権を行使することができる株主の数と、その議決権の数 ・出席株主数(委任状による者を含む)と、出席株主の議決権の数 ・出席取締役の氏名(議長を兼ねる人、議事録を作成した人が分かるように書く) ・出席監査役の氏名 ・議長が議事に入る旨の宣言 ・議案ごとの、付議した内容と決議の結果 ・被選任者が就任を承諾した旨

注記も細かい。たとえば、被選任者が席上で就任を承諾し、その旨が議事録に書かれている場合には、申請書に別途就任承諾書を添付する必要がないとされている。この場合、申請書には「就任承諾書は、株主総会議事録の記載を援用する。」と書く。書類を1枚減らせる書き方が、記載例のなかで説明されている。

こうした細部は、市販のひな形には書かれていないことがある。ひな形の形だけをまねて、援用の記載を落としてしまうと、添付書類が足りないという扱いになる。

更新日が付いていることの意味

様式の名前の後ろに【R8.5.11更新】【R8.8.14更新】のような日付が入っている。これは、法令の改正や運用の変更を反映して様式を更新した日だ。

書式サイトのひな形には、いつ時点の内容なのかが書かれていないものが少なくない。会社法や商業登記規則が変わると、添付書類や登記すべき事項の書き方が変わる。古いひな形を使って作った議事録が、そのままでは登記に使えないという事故が起きるのはここが原因だ。更新日が明記されていることは、それだけで選ぶ理由になる。

登記に使う議事録と、使わない議事録は分けて考える

株主総会の議事録には2つの役割がある。ここを混ぜると、探す場所を間違える。

登記に添付する議事録。役員を変える、商号を変える、本店を移す、目的を変える。こうした登記事項を株主総会で決めた場合、その決議があったことを示す書面として議事録を添える。この場面のひな形は法務局の記載例にある。場面別に分かれているので、自分がやる登記と同じ項目を探せばよい。

登記に使わない議事録。決算を承認した、役員報酬の総額を決めた、といった決議は登記事項ではない。この場合、議事録は会社の記録として作り、本店に備え置く。法務局の記載例には該当するものがないことがあるので、記載事項の定めを見ながら自分で組むことになる。

後者の場合でも、法務局の記載例は土台として使える。開催日時、株主数、議決権数、出席者、議案と結果という骨組みは共通だからだ。議案の部分だけを自社の内容に差し替えれば形になる。

場面別に、どの記載例を開けばよいか

法務局のページは項目が多いので、自分の用件に当たる場所を先に決めておくと迷わない。株式会社の主な場面を並べる。

やりたいこと 探す様式
会社を作る(ひとりで、取締役会を置かない) 株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない会社の発起設立)
役員の任期が切れて、同じ人を選び直す 株式会社役員変更登記申請書(役員の全員が重任)。取締役会を置くかどうか、代表取締役をどう選ぶかで3種類に分かれる
誰かが辞めて、新しい取締役が就任した 株式会社役員変更登記申請書(辞任等により新たな役員(取締役)が就任した場合)
役員の住所が変わった 株式会社役員変更登記申請書(住所移転)
役員の氏名が変わった 株式会社役員変更登記申請書(氏名変更)
商号を変える 株式会社変更登記申請書(商号の変更)
事業の目的を変える 株式会社変更登記申請書(目的の変更)
本店を移す 株式会社本店移転登記申請書。同じ登記所の管轄内か管轄外かで2種類
会社をたたむ 株式会社解散及び清算人選任登記申請書、株式会社清算結了登記申請書
取締役会や監査役を置く定めをやめる 株式会社変更登記申請書(取締役会設置会社の定めの廃止、監査役設置会社の定めの廃止など)
増資する 株式会社変更登記申請書(募集株式発行)

重任の様式が3種類に分かれているのは、代表取締役の選び方が会社によって違うからだ。取締役会で選ぶ会社、株主総会で選ぶ会社、取締役の互選で選ぶ会社。どれに当たるかは自社の定款を見れば分かる。ここを間違えると、添付する書面の組み合わせが変わってしまう。

なお、代表取締役の就任による変更登記については、添付書面の一覧だけをまとめたPDFも別に用意されている。何を揃えればよいかを確認するときは、そちらを先に開くと早い。

定時と臨時で、ひな形は変わるか

株主総会には、事業年度ごとに開く定時株主総会と、必要に応じて開く臨時株主総会がある。議事録の記載事項は同じで、法務省令の6項目は共通だ。

違うのは表題と、議案の中身になる。法務局の記載例では「第○回定時株主総会議事録」という表題が使われている。臨時であれば「臨時株主総会議事録」と書く。回数を付けるかどうかは会社の慣習による部分で、法令が求めているものではない。

定時株主総会の議案には、決算の承認が入ることが多い。記載例では第1号議案として決算報告書の承認が置かれ、監査役が書類を調査して正確かつ適当であることを認めた旨を報告し、総会が承認可決したという流れになっている。承認の対象として、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表の4つが並んでいる。

役員の任期満了に伴う改選は、定時株主総会の議案として扱われるのが通例だ。記載例では、任期満了で退任することになるので改選が必要である旨を議長が述べ、選任方法を諮り、指名した者について可否を諮って可決するという順序で書かれている。

臨時株主総会は、商号の変更、目的の変更、本店の移転といった単発の用件で開く。議案が1つか2つなので、議事録も短くなる。

会社を作るときの議事録は、名前が違う

設立の場面で少しややこしいのが、株主総会ではなく創立総会という会議が出てくる点だ。

発起設立、つまり発起人だけが株式を引き受けて会社を作る形では、創立総会は開かない。ひとりで会社を作る場合はこちらに当たるので、創立総会の議事録は登場しない。

一方、募集設立、つまり発起人以外からも出資を集める形では創立総会を開く。会社法81条は、創立総会の議事についても法務省令で定めるところにより議事録を作成しなければならないと定め、創立総会の日から10年間、発起人が定めた場所(会社の成立後は本店)に備え置くこととしている。設立時株主、会社の成立後はその株主および債権者が、閲覧または謄写を請求できる点も株主総会と同じ形だ。

こちらも会社法976条8号の対象に含まれているので、備え置きを怠れば過料の定めがかかる。設立の記載例は発起設立と募集設立で分かれているので、自分がどちらなのかを先に確認したい。

電子データで作って保存する場合

会社法施行規則72条2項は、株主総会の議事録を書面または電磁的記録のどちらかで作成しなければならないと定めている。紙で作らなければならないという決まりはない。

電磁的記録で作る場合に押さえておく点が3つある。

閲覧の請求に応じられるようにしておく。株主や債権者から請求があったとき、電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものを見せることになる。パソコンの奥に置いたまま取り出せない状態では、請求に応じられない。

支店の備え置きの例外に使える。議事録が電磁的記録で作られていて、支店でも閲覧の請求に応じられる措置をとっている場合は、支店に写しを置かなくてよいという定めがある。支店を持つ会社にとっては、紙の写しを送る手間が消える。

登記に使う場合は紙にする必要がある。登記の申請書に添付するのは書面なので、電子データで作った議事録を印刷して押印することになる。オンラインで登記を申請する場合は電子署名を使う方法もあるが、押印証明書の添付が絡む場面では紙で進めるほうが単純だ。

取締役会の議事録を電磁的記録で作る場合は、会社法369条4項により、法務省令で定める署名または記名押印に代わる措置をとる必要がある。株主総会の議事録には署名の義務がないので、この措置も要らない。ここでも扱いが分かれる。

議事録に何を書くかは、法務省令が決めている

会社法318条1項は、株主総会の議事については法務省令で定めるところにより議事録を作成しなければならないと定めている。その法務省令が会社法施行規則で、72条に記載事項が並んでいる。

書面か電磁的記録のどちらかで作ることとされ、内容として必要なものは次のとおりだ。

  1. 株主総会が開催された日時と場所。その場所にいない取締役や監査役、株主が出席した場合は、その出席の方法も含める
  2. 株主総会の議事の経過の要領と、その結果
  3. 一定の規定により述べられた意見または発言があるときは、その内容の概要
  4. 株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人の氏名または名称
  5. 議長が存するときは、議長の氏名
  6. 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

1つ目の「出席の方法」は、オンラインで参加した人がいる場合に書く部分だ。会議室にいなかった人がどうやって参加したのかを残しておく。

2つ目の「議事の経過の要領」は、発言を一語一句書き起こす必要はない。何を付議して、どう議論して、どう決まったかが分かる程度で足りるという趣旨で「要領」という言葉が使われている。市販のひな形が定型的な文章になっているのは、この要領をどう書けばよいかの型が実務で固まっているためだ。

6つ目の議事録作成者の氏名は、忘れやすい。法務局の記載例では「出席取締役 ○○○○(議長兼議事録作成者)」という書き方で、議長と作成者を1行にまとめている。条文そのものはe-Gov法令検索の会社法施行規則で読める。

作らない、置かないと罰則がある

会社法318条の2項以降は、作ったあとの扱いを定めている。

株式会社は、株主総会の日から十年間、前項の議事録をその本店に備え置かなければならない。 株式会社は、株主総会の日から五年間、第一項の議事録の写しをその支店に備え置かなければならない。 出典: laws.e-gov.go.jp

本店は10年、支店は写しを5年。支店については、議事録が電磁的記録で作られていて、支店でも閲覧の請求に応じられる措置をとっている場合は備え置かなくてよいという例外がある。支店がない会社には関係のない話だ。

そして、備え置かなかった場合の定めがある。会社法976条は、取締役などが列挙された行為に該当する場合に100万円以下の過料に処すると定めており、その8号に318条2項と3項の違反が含まれている。帳簿または書類、電磁的記録を備え置かなかったときが対象だ。

過料は刑罰ではないが、支払いを命じられるお金であることは変わらない。ひとりで経営している会社でも、議事録を作って置いておく義務が消えるわけではない。

株主と債権者はいつでも見られる

318条4項は、株主および債権者が会社の営業時間内であればいつでも、議事録の閲覧または謄写を請求できると定めている。書面なら書面かその写しの閲覧か謄写、電磁的記録なら法務省令で定める方法で表示したものの閲覧か謄写だ。

親会社の株主などについては、権利を行使するため必要があるときに、裁判所の許可を得て同じ請求ができるとされている。

つまり議事録は、社内の記録という位置づけでありながら、外部の人に見せることを前提に作る書面でもある。取引先や金融機関から会社の意思決定の記録を求められる場面があるのは、この仕組みがあるからだ。

株主総会の議事録に押印は必要か

いちばん質問が多いところだ。結論から書くと、株主総会の議事録について、会社法は署名や押印を義務づけていない。

比べると分かりやすい。取締役会の議事録については、会社法369条3項が、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役および監査役はこれに署名し、または記名押印しなければならないと定めている。同じことを株主総会について定めた条文はない。

したがって、法律の要求としては、株主総会の議事録に印鑑を押さなくても議事録として成立する。

ただし、登記のときに押印が要る場面がある

ここが落とし穴だ。商業登記規則61条6項は、代表取締役や代表執行役の就任による変更の登記の申請書について、次の場合に応じた印鑑の市町村長作成の証明書を添付しなければならないとしている。

・株主総会または種類株主総会の決議によって代表取締役を定めた場合 … 議長および出席した取締役が議事録に押印した印鑑 ・取締役の互選によって代表取締役を定めた場合 … 取締役が互選を証する書面に押印した印鑑 ・取締役会の決議によって代表取締役または代表執行役を選定した場合 … 出席した取締役および監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑

ただし、その印鑑と、変更前の代表取締役が登記所に提出している印鑑が同一であるときは添付しなくてよいという例外が付いている。

つまり、株主総会で代表取締役を選んで登記する場合、議事録に議長と出席取締役が押印していないと、その印鑑についての証明書を添えられない。法律上の義務はないのに、登記の場面では押印が前提になっているという二段構えになっている。

ひな形をそのまま使って押印欄を省いてしまい、登記の窓口で止まるのはこのパターンだ。登記に使う議事録なら、押印しておくのが安全だ。条文はe-Gov法令検索の商業登記規則で確認できる。

取締役会の議事録は、備え置きの起点も違う

取締役会を置いている会社なら、取締役会の議事録も作る。株主総会とは扱いが3点違う。

署名または記名押印の義務がある。出席した取締役および監査役が対象だ。電磁的記録で作る場合は、法務省令で定める署名または記名押印に代わる措置をとることとされている。

備え置きは本店に10年。会社法371条1項が、取締役会の日から10年間、議事録などを本店に備え置くことを定めている。支店についての定めは株主総会と違って置かれていない。

閲覧の請求の条件が厳しい。株主は権利を行使するため必要があるときに請求できるが、監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社では、裁判所の許可を得ることが必要になる。債権者も、役員や執行役の責任を追及するため必要があるときに、裁判所の許可を得て請求できるという形だ。

株主総会の議事録が「いつでも見られる」のに対して、取締役会の議事録には一段のハードルがある。中身の性質が違うという整理になっている。

会議をやらずに決めた場合の議事録

小さな会社でよくあるのが、株主が代表者1人で、実際に集まって会議を開いていないという状態だ。会社法319条は、この場合の道筋を用意している。

取締役や株主が株主総会の目的である事項について提案をし、その提案について議決権を行使できる株主の全員が書面または電磁的記録によって同意の意思表示をしたときは、その提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされる。実務では決議の省略、またはみなし決議と呼ばれる。

このとき作る記録は、通常の議事録と記載事項が違う。会社法施行規則72条4項1号は、決議があったものとみなされた場合の記載事項を次の4つとしている。

  1. 株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
  2. その事項の提案をした者の氏名または名称
  3. 株主総会の決議があったものとみなされた日
  4. 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

開催日時や場所、出席者、議事の経過は書かない。会議を開いていないのだから当然だ。ところが市販のひな形をそのまま使って、開いていない会議の日時と場所を書いてしまう例がある。実態と合わない記録を残すことになるので、決議の省略を使うなら、専用の形で作るべきだ。

なお、決議の省略で登記する場合も、株主リストの添付は必要になる。法務省は、登記事項につき株主総会決議を省略する場合にも株主リストの添付が必要だと明記している。

議事録と一緒に要る「株主リスト」

登記に議事録を添える場面では、もう1枚の書類がほぼセットで必要になる。株主リストだ。

法務省の案内によると、平成28年10月1日以降の株式会社などの登記の申請では、次の2つの場合に株主リストが必要になる。

・登記すべき事項につき株主総会の決議(種類株主総会の決議)を要する場合 ・登記すべき事項につき株主全員の同意(種類株主全員の同意)を要する場合

書く対象は、議決権数の上位10名の株主と、議決権割合が3分の2に達するまでの株主の、いずれか少ないほうだ。記載するのは、株主の氏名または名称、住所、株式数、議決権数、議決権数割合の5点で、これらを代表者が証明する形になる。

株主全員の同意を要する場合は、株主全員について氏名または名称、住所、株式数、議決権数の4点を書き、代表者が証明する。

株主が1人だけの会社なら、上位10名も3分の2も自分だけなので、1行で足りる。それでも添付は必要だ。書式例と記載例は法務省の株主リストの案内ページから手に入る。議事録のひな形だけ用意して株主リストを忘れると、登記が止まる。

ひな形を使うときにやりがちな間違い

実務で見かける失敗を並べておく。

日付が合わない。議事録の開催日が、登記すべき事項に書いた「原因年月日」と食い違っている。役員の任期が切れる日と総会の日の関係を確認する ・出席取締役の人数が足りない。決議の成立要件を満たしていない人数しか書かれていない ・議事録作成者の氏名がない。法務省令が求める6項目のうち、いちばん落ちやすい ・押印を省いた。登記に使う場合、代表取締役の選定に関わる議事録では押印が前提になる ・決議の省略なのに会議を開いた形で書いた。実態と記録が合わない ・古いひな形を使った。添付書類の要件が変わっていることに気づかない ・株主リストを忘れた。議事録だけで足りると思ってしまう ・備え置きをしていない。作ったあとファイルに綴じずに放置している。10年の保存義務がある

どれも、法務局の記載例と注記を最後まで読めば防げるものだ。

英語版の様式もある

見落とされがちだが、法務局の申請書様式のページには、一部の登記について英語版の記載例と様式が用意されている。役員変更の登記などで、英語版のPDFとWordが並んでいる。

海外の親会社や出資者に説明する必要がある場合、この英語版が土台になる。翻訳を外注する前に、公的な英語版があるかどうかを確認しておくと費用を抑えられる。

書類を扱う仕事の市場から見た、ひな形の探し方

20年この市場を見てきた立場から言えば、書類仕事でつまずく人と進む人の違いは、知識の量ではなく「一次資料に当たる習慣があるか」に集約される。議事録のひな形は分かりやすい例だ。検索の上位には解説記事が並ぶが、そこに書かれている内容の正しさを確かめる先は、結局のところ法務局の様式と法令の条文になる。解説記事は入口として便利だが、最後に開く場所を知っているかどうかで、作った書類が通るかどうかが変わる。

運営者として見てきた限りでは、この習慣は業務委託の仕事でも効いてくる。契約書の条項、発注書の記載事項、報酬の支払期日。どれも法令や公的な指針に元があるので、そこを自分で開ける人は交渉の場で強い。逆に、伝聞の知識だけで進めると、あとから条件を押し戻される。

もう1つ、額面と手取りの話をしておきたい。同じ金額の仕事でも、間に入る事業者の取る分が乗らない取引では、依頼する側は同じ予算でより多く頼めるし、受ける側は同じ仕事で手元に残る額が増える。手数料0%の直接取引が効くのは、金額の大小より、書類や条件を自分で確かめて対等に話せる関係を作りやすいからだ。

書類を扱う力を仕事にしていくなら、まず型を固めておくと早い。ビジネス文書検定は、社内外の文書の構成や敬語の使い方を体系的に扱う検定で、議事録の記載要領のような硬い文章を読み解く負荷を下げてくれる。法務の知識そのものではないが、公的な様式に向き合う時間を短くする効果がある。

書く仕事として報酬の相場を知りたいなら著述家,記者,編集者の年収・単価相場にまとまっている。文字単価と月あたりの本数から年間の見込みを作れるので、書類作成の代行を受ける場合の値付けの参考になる。

技術寄りの領域で契約書や仕様書を扱うなら、案件の形を先に見ておくとよい。アプリケーション開発のお仕事には、どの工程が外部に出やすいか、どういう単位で発注されるかが整理されている。契約の単位が分かれば、議事録や覚書を作る場面も読めるようになる。

技術的な裏付けを資格で示す方向ならCCNA(シスコ技術者認定)のような分野別の認定が使える。書類仕事とは離れるが、法人として提案する場面で、会社の実力を示す材料になる。

最後に1つ。この記事に書いた記載事項、年数、過料の額は、すべて法令の条文と法務局・法務省の公開ページから取ったものだ。ただし、自分の会社の機関設計でどの条文が適用されるか、その決議に株主リストが必要かといった判断は、会社の形と決める内容によって変わる。登記に使う議事録なら、提出前に管轄の登記所に電話で確認しておくのが確実だ。窓口で止まって出直すより、確認の1本のほうが早い。

よくある質問

Q. 株主総会議事録雛形はどこで無料で手に入りますか?

法務局の「商業・法人登記の申請書様式」のページです。設立や役員変更などの場面別に記載例のPDFが公開されていて、そのなかに株主総会議事録の文例が丸ごと載っています。様式名に更新日が入っているため、いつ時点の内容かも分かります。申請書のWordも同じ場所からダウンロードできます。

Q. 株主総会の議事録に押印は必要ですか?

会社法は株主総会の議事録について署名や押印を義務づけていません。ただし株主総会の決議で代表取締役を定めて登記する場合は、商業登記規則により、議長および出席した取締役が議事録に押印した印鑑についての市町村長作成の証明書を添える扱いになります。登記に使う議事録は押印しておくのが安全です。

Q. 議事録を作らなかったり保存しなかったりすると、どうなりますか?

株主総会の議事録は、総会の日から10年間本店に、写しを5年間支店に備え置く義務があります。これに違反して備え置かなかった場合、取締役などは100万円以下の過料に処せられる定めがあります。株主と債権者は営業時間内であればいつでも閲覧や謄写を請求できるため、作って保管しておく必要があります。

Q. 会議を開かずに書面で決めた場合も議事録は必要ですか?

必要ですが、記載する内容が通常の議事録とは違います。決議があったものとみなされた事項の内容、提案をした者の氏名、決議があったものとみなされた日、議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名の4点です。開催日時や出席者は書きません。登記に使う場合は株主リストの添付も必要になります。

この記事について

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編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月1日最終更新:2026年9月19日
前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一@SOHO編集部

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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