医療通訳会社に登録して働くには|求められる語学力と仕事の流れ


この記事のポイント
- ✓医療通訳会社に登録して働きたい人向けに
- ✓通訳会社の種類と働き方の違い
- ✓厚生労働省の基準に沿った語学力の目安
医療通訳会社に登録して働きたい。けれど、どのくらいの語学力があれば登録できるのか、登録したあとどんな流れで仕事が来るのかが分からない。この記事は、そうした人に向けて書いています。
先に結論です。医療通訳には国家資格がありません。そのため、通訳会社ごとに登録の条件は違います。ただし、多くの養成機関や通訳会社が目安にしている基準があります。厚生労働省が公開している「医療通訳育成カリキュラム基準」です。この基準では、対象言語でCEFRのB2以上が目安とされ、研修は合計75時間以上と決められています。
語学力の目安、語学以外に求められること、登録までの流れ、仕事の流れ、登録先の比べ方の順に整理します。
医療通訳の需要を数字で確かめる
まず、仕事の需要があるのかを数字で確かめます。
出入国在留管理庁の在留外国人統計によると、令和7年末の在留外国人数は412万5,395人です。日本の総人口に占める割合は3.35パーセントです。国籍・地域別では中国が最も多く、全体の22.6パーセントを占めます。以下、ベトナム、韓国、フィリピン、ネパールの順です。都道府県別では東京都が全体の19.4パーセントで、大阪府、愛知県、神奈川県、埼玉県と続きます。
| 項目 | 数字(令和7年末) |
|---|---|
| 在留外国人数 | 412万5,395人 |
| 総人口に占める割合 | 3.35パーセント |
| 最も多い国籍・地域 | 中国(全体の22.6パーセント) |
| 最も多い都道府県 | 東京都(全体の19.4パーセント) |
| 20歳代と30歳代の割合 | 全体の57.2パーセント |
出典は出入国在留管理庁の在留外国人統計 結果の概要です。
日本に住む外国人だけでなく、観光などで訪れた人が旅行中に受診する場面もあります。国も対策を進めています。厚生労働省は、医療機関が通訳者を配置するための補助事業や、夜間・休日のワンストップ窓口、希少言語に対応した遠隔通訳サービスを実施しています。希少言語とは、話す人が少なく、通訳会社が常時対応しにくい言語のことです。
ぶっちゃけ、需要があるのは英語と中国語だけではありません。ベトナム語、ネパール語、タガログ語など、在留者が多いのに通訳者が少ない言語ほど、登録者が求められています。自分の言語の組み合わせが、どの地域で、どの程度求められているかを先に確かめておくと、登録先を選びやすくなります。
医療通訳会社の種類と働き方の違い
医療通訳会社と一口に言っても、仕事の受け方はいくつかに分かれます。働き方ごとに整理します。
| 働き方 | 仕事の内容 | 契約の形 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 派遣型(対面) | 依頼のあった病院へ出向いて通訳する | 業務委託が多い | 移動できる範囲に病院が多い人 |
| 遠隔型(電話・ビデオ) | 自宅などから電話やビデオで通訳する | 業務委託が多い | 在宅で働きたい人、希少言語の話者 |
| 院内通訳 | 病院に雇われ、院内で通訳する | 雇用 | 決まった時間に勤務できる人 |
| 翻訳併用型 | 通訳に加え、問診票や説明文の翻訳も受ける | 業務委託 | 書く仕事も得意な人 |
ここ数年で広がっているのが遠隔型です。電話やビデオを使うので、通訳者は病院に行く必要がありません。病院側にとっても、1つの言語のために通訳者を雇う必要がなく、必要なときだけ使えます。
遠隔通訳を提供する会社のサイトには、導入した病院の声として次のような記載があります。
同伴者通訳のリスクを経験し、プロによる医療通訳の必要性を痛感。院内通訳と電話通訳のコンビネーションで患者の待ち時間も短縮 出典: mediphone.jp
同伴者通訳とは、患者の家族や知人が通訳をすることです。医療の言葉に慣れていない人が通訳すると、症状や薬の説明が正しく伝わらないおそれがあります。だからこそ、訓練を受けた通訳者が求められています。
在宅で働きたい人には遠隔型が合います。ただし、電話では表情や身ぶりが見えません。声だけで状況をつかむ力がより強く求められます。
会社への登録とは別に、自治体や国際交流協会が医療通訳のボランティアを募集している地域もあります。ボランティアは謝礼や交通費の支給にとどまることが多く、仕事として収入を得る形とは性格が違います。ただ、実際の医療機関での経験を積める機会になり、通訳会社の登録試験で経験を問われたときに話せる材料にもなります。カリキュラム基準でも、研修後の実務実習の場として医療機関での実習が望ましいとされています。最初から会社に登録するか、地域の活動で経験を積んでから登録するかは、自分の語学力と経験の量を見て決めるとよいでしょう。どちらの道を選ぶ場合も、秘密を守ることと、話されたとおりに訳すことの重さは変わりません。
求められる語学力の目安
医療通訳会社に登録するとき、最初に問われるのが語学力です。国家資格がないため、各社が独自の基準を設けています。ここでは、多くの養成機関が使っている厚生労働省の「医療通訳育成カリキュラム基準」を目安として紹介します。
この基準は、研修を受けるための条件として次のように定めています。
対象言語において CEFR:B2 以上が目安(過去5年以内に B2 に相当する資格の取得)。但し、日本語は日本語能力検定 N1、中国語は HSK5級・中国語検定2級以上とする。 出典: mhlw.go.jp
CEFRとは、ヨーロッパで作られた語学力の共通の物差しで、A1からC2までの6段階があります。B2は、上から3番目の段階です。基準では、母語を話す人と緊張せずに自然にやりとりできること、健康についての話題を理解できること、相手の意見に応えて自分の意見を詳しく説明できること、を条件に挙げています。
| 言語 | 基準に書かれた目安 |
|---|---|
| 対象言語全般 | CEFRのB2以上(過去5年以内にB2相当の資格を取得) |
| 日本語 | 日本語能力試験N1 |
| 中国語 | HSK5級、または中国語検定2級以上 |
| 母語 | 大学入学に相当する語学力と、高校卒業程度の知識 |
見落としやすいのが、母語の条件です。医療通訳は、日本語から外国語に訳すだけでなく、外国語から日本語にも訳します。母語の語彙が少ないと、医師の説明を患者に分かる言葉で伝えられません。母語で高等教育を受けていない人については、試験などで力を確かめることとされています。
もう1つ、年齢の条件として原則20歳以上と書かれています。
語学力以外に求められる知識と倫理
語学力が基準に達していても、それだけでは医療通訳は務まりません。カリキュラム基準は、医療通訳者に必要なものを「知識」「能力と技能」「倫理」の3つに分けています。
知識
- 母語と対象言語の両方で、医療・保健分野の基礎知識と関連用語を理解していること
- 日本の医療制度の基礎知識があること
- 健康や医療に関わる文化的・社会的な違いを理解していること
日本の医療制度の知識は、意外と抜けやすい部分です。たとえば、保険証の扱い、自己負担の割合、紹介状の意味、処方せんを薬局に持っていく流れなどです。患者の国では当たり前でない仕組みを、通訳者が言葉を補って伝える場面は少なくありません。
能力と技能
対話型の逐次通訳ができることが求められます。逐次通訳とは、話し手が区切りながら話し、その区切りごとに訳す方法です。診察の場面は、ほぼすべてこの形です。ほかに、異文化コミュニケーションの技能、状況に応じた事前準備、自分の通訳を振り返って力を保つことも挙げられています。
倫理
倫理の項目には、次のような内容が並びます。
- 話し手の意図を正確に理解し、忠実に訳す
- すべての通訳利用者に中立・公平な態度を取る
- 職務上知り得た秘密を守り、プライバシーに配慮する
- 自分の専門的・言語的な能力の限界を自覚し、適切に判断する
秘密を守ることは、とくに重く見られます。病気の情報は、個人情報保護法で「要配慮個人情報」とされています。要配慮個人情報とは、病歴など、不当な差別や偏見につながらないよう特に慎重に扱う必要がある個人情報のことです。条文はe-Govの個人情報の保護に関する法律で確認できます。通訳会社は、登録時に秘密保持の誓約を求めるのが一般的です。
「能力の限界を自覚する」も大事です。分からない言葉が出たとき、推測で訳さずに確認を求める。これができない通訳者は、病院からも通訳会社からも信頼されません。
医療通訳会社に登録するまでの流れ
登録までの一般的な流れを、順番に示します。会社によって順番や中身は違うので、応募先の案内を必ず確かめてください。
ステップ1:研修や講座で基礎を固める
カリキュラム基準では、研修は合計50単位以上、1単位90分なので75時間以上とされています。内訳は次のとおりです。
| 分野 | 単位(時間) | 主な中身 |
|---|---|---|
| 通訳理論と技術 | 20単位(30時間)以上 | 医療通訳理論、ノートテイキング、逐次通訳演習、通訳実技 |
| 倫理とコミュニケーション | 10単位(15時間)以上 | 職業倫理、異文化コミュニケーション |
| 医療通訳に必要な知識 | 20単位(30時間)以上 | 人体の仕組み、病気、検査、医療制度 |
ノートテイキングとは、話を聞きながら要点を書き留める技術です。研修後には、実務実習として20単位(30時間)以上を行うことができると定められています。
ステップ2:認定試験で力を証明する
国家資格はありませんが、民間の認定試験があります。一般財団法人日本医療教育財団は、厚生労働省のカリキュラム基準に沿った「医療通訳技能認定試験」を実施しています。「専門」と「基礎」の2種類があり、合格者には「医療通訳専門技能者」「医療通訳基礎技能者」の称号が与えられます。
2026年度の日程は、財団の案内によると次のとおりです。
| 区分 | 1次試験 | 申込受付期間 |
|---|---|---|
| 基礎 | 2026年10月24日(土) | 2026年8月24日から9月24日まで(受付終了) |
| 専門 | 2026年11月14日(土) | 2026年9月14日から10月14日まで |
2次試験は、基礎が2027年1月23日、専門が2027年2月13日です。会場は東京と大阪です。詳しくは日本医療教育財団の医療通訳技能認定試験のページで確認できます。
ステップ3:通訳会社の登録試験と面接
通訳会社に応募すると、多くの場合、書類選考、語学のテスト、模擬通訳、面接があります。模擬通訳では、医師役と患者役のやりとりを訳す形が多く、正確さに加えて、聞き返し方や話し方の落ち着きも見られます。
ステップ4:登録後の研修とトライアル
登録が決まったあとも、会社独自の研修や、先輩通訳者の同席、短い案件からの開始といった段階を踏むことがあります。いきなり手術の説明のような重い場面を任されることは、通常ありません。
依頼から報告までの仕事の流れ
登録後、実際の仕事はどう進むのか。派遣型の対面通訳を例に、依頼から報告までを示します。
| 段階 | やること |
|---|---|
| 1. 依頼の受付 | 通訳会社から日時、病院、診療科、言語の連絡が来る |
| 2. 事前準備 | 診療科に関係する用語を調べ、用語集を見直す |
| 3. 当日の受付 | 病院の担当者に挨拶し、通訳の範囲を確認する |
| 4. 通訳 | 医師と患者の間で逐次通訳をする |
| 5. 終了の確認 | 通訳した内容に不明点が残っていないかを確かめる |
| 6. 報告 | 通訳会社に時間と内容の概要を報告する |
遠隔型の場合は、2から5を電話やビデオでつないで行います。待機する時間帯を決め、その時間は電話に出られるようにしておく形が多いです。
事前準備のコツ
カリキュラム基準でも、用語集の作成が研修の修了条件になっています。現場で慌てないために、診療科ごとに次の3つを用意しておくのが基本です。
- よく出る病名と症状の言い方(母語と対象言語の両方)
- よく行う検査の名前と、検査の前に患者に伝える注意
- よく出る薬の種類と、飲み方の説明
通訳中に気を付けること
医療通訳の基本は、話し手が言ったことを付け加えたり削ったりせずに訳すことです。医師が専門用語を使ったら、勝手に言い換えず、必要なら医師に分かりやすい言葉での説明を頼みます。患者が通訳者に直接相談してきても、通訳者は助言をしません。医師に伝えるかどうかを患者に確かめ、伝えるべきことは訳します。
ありがちな失敗が、患者の話を要約してしまうことです。患者が長く話すと、要点だけを訳したくなります。しかし、要約の過程で、医師が診断に使う手がかりが落ちることがあります。話が長いときは、途中で区切ってもらうよう頼むのが正しい対応です。
診療科ごとに準備しておきたい知識
医療通訳会社から来る依頼は、診療科によって求められる準備が大きく違います。登録したばかりの頃は、どの科の依頼が来ても慌てないように、科ごとの特徴を頭に入れておくと安心です。ここでは、通訳者として知っておきたい場面の違いを整理します。診断や治療の中身を判断するのは医師であり、通訳者の役割はあくまで正確に伝えることだという前提は変わりません。
内科は、依頼の件数が多い診療科です。発熱、せき、腹痛、頭痛など、症状の訴えが中心になります。痛みの種類を表す言葉は言語ごとに細かく分かれていて、「ズキズキ」「チクチク」「重い感じ」といった日本語の言い方を、患者の母語でどう聞き取り、どう日本語に戻すかが通訳の腕の見せどころです。症状がいつから、どのくらいの頻度で、どんなときに強くなるかを医師が尋ねるので、時間や頻度を表す表現は両方の言語で即座に出てくるようにしておきます。
小児科では、話す相手が子ども本人ではなく親になることがほとんどです。子どもの体重や月齢、予防接種の記録、母子健康手帳の読み方など、日本独自の仕組みが話題に上ります。患者の国の予防接種の制度と日本の制度は違うため、医師が確認したい項目が親に伝わりにくい場面があります。
産婦人科は、妊婦健診、出産、産後の手続きなど、長い期間にわたって同じ患者の通訳をすることがある分野です。妊娠の週数の数え方や、出産に関わる公的な手続きの説明が入ることもあり、医療だけでなく制度の言葉にも慣れておく必要があります。
救急の場面は、時間の余裕がありません。電話による遠隔通訳で呼ばれることも多く、短い言葉で正確に聞き取る力が求められます。アレルギーや持病、飲んでいる薬といった、治療の判断に直結する情報を漏れなく伝えることが最優先になります。
精神科や心療内科では、患者の言葉の選び方そのものが診察の手がかりになります。言い回しを整えたり、話の順番を入れ替えたりすると、医師が受け取る情報が変わってしまいます。ほかの科以上に、話されたとおりに訳すことが求められます。
どの科でも共通するのは、分からない言葉が出たら推測せずに確認することです。科ごとの用語集を作り、案件のたびに更新していくと、自分だけの道具が育っていきます。
遠隔通訳で在宅から働くときの環境づくり
医療通訳会社に登録する人の中には、電話やビデオによる遠隔通訳で、自宅から働きたいと考える人も多いはずです。遠隔通訳は移動の時間がかからない一方で、自宅ならではの注意点があります。
1つめは、音の環境です。医療の会話では、聞き間違いがそのまま誤解につながります。家族の声、テレビの音、外の車の音が入らない部屋を確保し、マイク付きのヘッドセットを使うのが基本です。通訳会社によっては、通訳に使う機器や回線の条件を指定していることがあるので、登録時に確かめます。
2つめは、秘密の守り方です。在宅で通訳していると、同じ家にいる家族に患者の話が聞こえてしまうおそれがあります。患者の病気の話は、先ほど触れたとおり特に慎重に扱うべき情報です。ドアを閉められる部屋を使う、通訳中は家族に入ってこないよう伝えておく、メモは通訳が終わったら決められた方法で処分する、といった決まりを自分の中で作っておきます。
3つめは、待機の時間の過ごし方です。遠隔通訳では、決まった時間帯に待機し、依頼が来たらすぐに出る形が多くなります。待機中に別の作業をしていても、呼び出しにすぐ応じられることが条件です。料理の途中や外出先では受けられないので、待機の時間は通訳に集中できる時間として確保します。
4つめは、体調と気持ちの管理です。カリキュラム基準は、医療通訳者の能力として、感染予防と体調、メンタルの管理を挙げています。在宅の遠隔通訳では感染の心配は小さくなりますが、重い病気の告知や、救急の緊迫した場面に立ち会うことは変わりません。通訳が終わったあとに気持ちを切り替える方法を持っておくことも、長く続けるための準備です。
医療通訳を目指す人がつまずきやすい点
医療通訳会社への登録を目指す人が、つまずきやすい点を挙げておきます。どれも、事前に知っていれば避けられるものです。
最も多いのは、語学の資格だけで応募してしまうことです。語学の試験で高い点を取っていても、医療の場面での逐次通訳は別の技能です。話を聞きながら要点を書き留め、区切りごとに正確に訳す練習をしていないと、模擬通訳の段階で力を出し切れません。応募の前に、医療の会話の音声を使って、聞いて、書き留めて、訳す練習を繰り返しておくことをすすめます。
次に多いのが、医療用語を単語帳のように丸暗記しようとすることです。病名を覚えても、体のどこで何が起きているのかが分かっていないと、医師の説明を患者に分かる言葉で伝えられません。人体の仕組みの基礎から学び、用語をその中に位置付けていくほうが、結果として早く身に付きます。厚生労働省は、医療通訳のテキストや人体器官図、単語集も公開しています。
3つめは、日本の医療制度の知識の不足です。患者の国では、薬は病院で直接もらうのが当たり前かもしれません。日本では処方せんを受け取り、薬局で薬を受け取るのが一般的です。こうした違いを知らないと、患者が次に何をすればよいかが伝わりません。
4つめは、仕事の量の見込みを立てないことです。業務委託で登録する場合、依頼の数は言語や地域、時期によって変わります。登録しただけで毎週決まった量の依頼が来るとは限りません。最初の1年は、ほかの仕事と組み合わせながら、自分の言語でどのくらいの依頼が来るかを確かめる期間と考えておくと、気持ちにも生活にも無理がありません。
登録前に確認しておきたい働き方の手続き
医療通訳会社に業務委託で登録する場合、働き方としては個人事業主になります。病院に雇われる院内通訳とは、税金や保険の手続きが違います。
業務委託で報酬を受け取るなら、毎年の確定申告で所得を申告します。会社員が副業として受ける場合でも、給与以外の所得が1年で20万円を超えると確定申告が必要です。住民税は、20万円以下でも申告が必要とされています。事業として本格的に始めるなら、税務署に開業届を出します。提出の期限は、開業した年の分の確定申告の期限までです。
通訳に使うヘッドセットや辞書、研修の受講料、通訳会社に向かう交通費などは、事業のための支出として経費になりうるものです。どこまで経費にできるかは使い方によって変わるので、領収書を保存し、事業で使った割合を記録しておきます。判断に迷うものは税務署に確認してください。
院内通訳として病院に雇われる場合は、勤務時間などの条件によって、健康保険や厚生年金、雇用保険に加入します。業務委託と雇用のどちらが自分に合うかは、収入の安定と働く時間の自由度のどちらを重く見るかで決まります。
医療通訳会社を比べるときのポイント
登録先の候補が複数あるとき、何で比べればよいか。発注する病院や企業の側から見た比べ方として、通訳会社を比較するサイトは次のように書いています。
医療通訳会社選びで失敗しないためには、「医療分野の専門性」「対応言語・体制」「守秘義務・品質管理」の3点を基準に比較することが重要です。 出典: imitsu.jp
これは病院が会社を選ぶときの視点ですが、登録する通訳者にとっても役に立ちます。発注者から選ばれている会社ほど、仕事が安定して回ってくるからです。通訳者の側から見たポイントを整理します。
| 比べるポイント | 確かめること |
|---|---|
| 医療分野の専門性 | 医療通訳の研修があるか、医療の案件が中心か |
| 対応言語と体制 | 自分の言語の依頼がどの程度あるか、遠隔型があるか |
| 守秘と品質の管理 | 秘密保持の誓約、通訳後の振り返りの仕組みがあるか |
| 契約の条件 | 報酬の決め方、支払日、キャンセル時の扱い、交通費 |
| 支援 | 困ったときに相談できる担当者がいるか |
契約の条件は書面で確かめる
業務委託で登録する場合、フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が関わってきます。フリーランス法とは、個人で仕事を受ける人と発注する事業者の取引を公正にするための法律です。発注する事業者は、仕事の内容や報酬額、支払期日などを書面やメールで示す必要があります。支払期日は、仕事を受け取った日から60日以内のできるだけ短い期間で決める決まりです。
厚生労働省の解説はフリーランス・事業者間取引適正化等法のページにまとまっています。登録時の契約書で、報酬の単位(1時間ごとか、1件ごとか)、待機時間の扱い、直前のキャンセルの扱いを確かめておくと、後で困りません。
通訳会社の担当者から信頼される報告のしかた
医療通訳会社に登録して働き始めると、通訳そのものと同じくらい評価に響くのが、通訳後の報告です。担当者は複数の通訳者と病院の間を調整していて、報告の早さと分かりやすさで、次にどの通訳者へ依頼するかを判断しています。
報告に書くのは、通訳した日時と時間、病院と診療科、通訳の形(対面か遠隔か)、そして特記事項です。特記事項には、聞き取れずに確認を求めた場面、患者が強い不安を示した場面、次回の受診予定など、担当者や次の通訳者が知っておくべきことを書きます。患者の病気の中身を細かく書く必要はなく、通訳会社が決めた様式と範囲を守ります。
報告は、通訳が終わった当日のうちに出すのが基本です。記憶が新しいうちに書けば、内容も正確になります。翌日以降にまとめて出す習慣が付くと、担当者は病院への説明が遅れ、困ることになります。
もう1つ大切なのが、断るときの連絡です。体調が悪い、予定が重なったなど、受けられない理由があるときは、分かった時点ですぐに連絡します。直前の取り消しは病院と患者の両方に影響するため、早めの連絡が信頼を守ります。
自分の言語の需要を確かめる方法
登録先を決める前に、自分の言語の組み合わせがどの程度求められているかを確かめておくと、応募先を絞り込めます。
手がかりの1つは、在留外国人の国籍と地域の統計です。住んでいる地域にどの国籍の人が多いかが分かれば、その地域の病院で求められやすい言語の見当がつきます。都道府県の国際交流協会や、県が委託している遠隔医療通訳の案内も参考になります。たとえば茨城県は、県内の医療機関と薬局向けに32言語の遠隔医療通訳を無料で提供していると案内しています。対応言語の一覧を見ると、どの言語の需要が想定されているかが分かります。
もう1つは、通訳会社の募集の状況です。多くの会社は、募集中の言語を採用ページに載せています。複数の会社で同じ言語が募集されていれば、その言語の通訳者が不足していると考えられます。
公的な講座で経験を積む道
すでに通訳の経験がある人には、国の講座で学び直す機会もあります。厚生労働省は、2026年11月に開講する「通訳養成講座」の受講者を募集しています。観光から医療まで一貫して通訳できる人材を育てることが目的です。
募集要項の主な内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 医療通訳か観光通訳の経験者で、令和6年度と令和7年度を通じて10件以上の通訳実務経験がある人 |
| 言語 | 日本語と、中国語または英語をビジネスレベルで使える人 |
| 定員 | 50名 |
| 受講料 | 無料(実地講座の交通費・宿泊費は自己負担) |
| 日程 | オンライン講座3回と、東京23区内での実地研修(11月23日) |
| 申込期限 | 2026年10月9日 |
詳細は厚生労働省の通訳養成講座の募集ページで確認できます。医療通訳と観光通訳の役割分担を学ぶ内容で、基礎的な内容は対象外とされています。これから学び始める人向けではない点に注意してください。
医療通訳の仕事を長く続けるための視点
フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、通訳の仕事を長く続けている人には共通点があります。1回ごとの通訳の正確さに加えて、報告や連絡が早く、通訳会社の担当者から「この人なら安心して任せられる」と思われていることです。依頼は、そうした信頼が積み上がった人から順に回っていきます。
運営者として見てきた限りでは、通訳や翻訳の仕事は、仲介が何段も挟まるほど受け手の手取りが薄くなります。仲介手数料のかからない直接の取引であれば、依頼者は同じ予算でより多くの時間を頼め、受け手の手取りも厚くなります。手数料0%で直接取引できる場は、医療機関の外での翻訳や資料作成の仕事を探すときにも選択肢になります。
医療通訳の経験は、ほかの仕事にもつながります。問診票や説明文の翻訳、外国人向けの案内文の作成は、書く仕事の領域です。書く仕事の報酬水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認できます。報告書や案内文の書き方を基礎から整えたい人には、ビジネス文書検定の内容が参考になります。
最近は、病院が多言語の自動翻訳アプリや遠隔通訳の仕組みを導入する動きも進んでいます。こうした仕組みを現場に合わせて設計し、使い方を支援する仕事もあります。業務へのAIや仕組みの導入を手伝う仕事の内容はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。
医療通訳会社への登録は、語学力の証明がスタートラインです。そのうえで、医療の知識、倫理、そして報告や連絡の丁寧さを積み上げることが、仕事を安定して受け続けるための現実的な道です。
よくある質問
Q. 医療通訳会社に登録するのに資格は必要ですか?
医療通訳には国家資格がなく、登録の条件は通訳会社ごとに違います。多くの養成機関や会社は、厚生労働省の医療通訳育成カリキュラム基準を目安にしており、対象言語でCEFRのB2以上、日本語なら日本語能力試験N1などが示されています。民間の認定試験に合格していると、力を示す材料になります。
Q. 在宅で医療通訳の仕事はできますか?
電話やビデオを使う遠隔通訳なら、自宅から仕事を受けられます。病院に出向く必要がなく、希少言語の話者は特に求められています。ただし、表情や身ぶりが見えないため、声だけで状況をつかむ力が必要です。待機する時間帯は電話に出られる静かな環境を用意し、秘密を守れる場所で通訳します。
Q. 医療通訳の研修はどのくらいの時間がかかりますか?
厚生労働省のカリキュラム基準では、研修は合計50単位以上、1単位90分なので75時間以上とされています。内訳は通訳理論と技術が30時間以上、倫理とコミュニケーションが15時間以上、医療の知識が30時間以上です。研修後に30時間以上の実務実習を行うこともできると定められています。
Q. 登録する通訳会社はどう選べばよいですか?
医療の案件が中心か、自分の言語の依頼がどの程度あるか、秘密保持や通訳後の振り返りの仕組みがあるかを確かめます。業務委託の場合は、報酬の単位、支払日、待機時間や直前のキャンセルの扱いを書面で確認します。困ったときに相談できる担当者がいるかも、長く続けるうえで大切です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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