MECEとは|漏れなくダブりなく考えるコツと身近な例


この記事のポイント
- ✓MECEとは「漏れなくダブりなく」物事を分ける考え方です
- ✓ロジックツリーへの使い方
- ✓仕事の洗い出しやチームでの分担に活かす手順まで
MECEという言葉を会議や研修で聞いて、「漏れなくダブりなく、と言われても、実際にどう分ければいいのか分からない」と感じている人は多いはずです。MECEは、何かを分けて考えるときに、抜けている部分と重なっている部分をなくすための考え方で、覚えることは多くありません。この記事では、意味と分け方の型、身近な例と失敗例、仕事への使い方までを、手順に沿って説明します。仕事の洗い出しをチームで分担するときは、プロジェクト管理ツールのPinatecaのような道具で担当を見える形にする方法もあり、その場面も後半で紹介します。
MECEとは何か
MECEは「ミーシー」と読み、英語の Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive の頭文字を取った言葉です。セールスフォース・ジャパンの解説は、次のように定義しています。
MECE(ミーシー)とは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略語で、物事を重複や抜け漏れなく整理・分類することで、問題を明確にするための論理的思考法です。 出典: salesforce.com
Mutually Exclusive は「お互いに重ならない」、Collectively Exhaustive は「全部合わせると漏れがない」という意味です。日本語では「漏れなく、ダブりなく」と言い換えられることがほとんどです。
たとえば、ある商品の購入者を「10代」「20代」「30代」「40代」「50代以上」に分けた場合、年齢は1人に1つしかないので重なりはなく、全年齢を含んでいるので漏れもありません。これがMECEな分け方です。一方で「学生」「会社員」「主婦」に分けると、働きながら学ぶ人や、会社員で家事を担う人がどこに入るのか迷い(重なり)、自営業や無職の人がどこにも入りません(漏れ)。これがMECEでない分け方です。
MECEは、それ自体が答えを出してくれる道具ではありません。問題を分けて考えるときに、見落としと二重の手間を防ぐための「確かめ方」と考えると分かりやすくなります。
なぜMECEが仕事で求められるのか
MECEがよく求められる理由は、仕事の多くが「大きな問題を小さく分けて、1つずつ片付ける」形で進むからです。分けるときに漏れがあると、その部分は誰も手を付けないまま残り、あとで大きな問題になります。重なりがあると、同じ作業を2人がしてしまい、時間とお金が無駄になります。
具体的な場面で考えてみます。
- 売上が落ちた原因を探すとき: 原因の候補に漏れがあると、本当の原因を見落とす
- 仕事を複数人で分担するとき: 担当の範囲が重なると二重作業、漏れると誰もやらない作業が出る
- 報告書や企画書を書くとき: 論点に漏れがあると「あの点はどうなっているのか」と質問され、重なりがあると読みにくくなる
- 顧客を分類するとき: 重なりがあると同じ顧客に2回連絡し、漏れがあると誰にも連絡しない顧客が出る
もう1つの理由は、説明の分かりやすさです。「原因は3つあります。1つ目は、2つ目は、3つ目は」と話すとき、その3つがMECEになっていれば、聞き手は「ほかにはないのか」「1つ目と2つ目は同じではないのか」と迷わずに済みます。会議で話が噛み合わないとき、原因の多くは、参加者がそれぞれ別の分け方で話していることにあります。
MECEはコンサルタントや企画職だけのものではなく、事務、営業、制作、運営など、どの仕事にも出てくる考え方です。
MECEとロジカルシンキングの関係
MECEは、ロジカルシンキング(論理的に筋道を立てて考えること)の土台となる考え方として紹介されることがよくあります。
ロジカルシンキングでは、「結論」と、それを支える「理由」を組み立てます。このとき、理由に漏れがあると結論が弱くなり、理由が重なっていると、同じことを言い換えているだけになります。MECEは、この「理由の並べ方」を確かめるときに使われます。
たとえば、「この新しい仕組みを導入すべきだ」という結論を出すとします。理由として「作業時間が減る」「ミスが減る」「担当者の負担が軽くなる」を挙げたとします。一見よさそうですが、「作業時間が減る」と「担当者の負担が軽くなる」はかなり重なっています。また、費用の話が抜けています。これを「効果(時間とミスがどう変わるか)」「費用(導入と運用にいくらかかるか)」「危険(失敗したときの影響)」に分け直すと、判断に必要な論点がMECEに揃います。
HR大学の解説は、MECEの位置づけを次のように書いています。
MECEは、ものごとを構造化して考えやすくするためのツールです。決してMECEに分類することが目的ではありません。 出典: hrbrain.jp
完全にMECEな分け方を探すことに時間を使いすぎるより、判断に必要な論点が揃っているかを確かめる道具として使うのが、仕事での正しい使い方です。
MECEな分け方の4つの型
MECEに分けるときに、毎回ゼロから考える必要はありません。よく使われる分け方には型があり、次の4つを覚えておけば、多くの場面に対応できます。
- 足し算で分ける: 全体を、足すと元に戻る部分に分ける。例: 売上を「店舗の売上」と「通販の売上」に分ける。年齢を年代ごとに分ける
- 掛け算で分ける: 全体を、掛けると元に戻る要素に分ける。例: 売上を「客数」と「客単価」に分ける。客数をさらに「来店した人の数」と「買った人の割合」に分ける
- 順番で分ける: 時間の流れや作業の順に分ける。例: 「知る、比べる、買う、使う、また買う」。「企画、制作、確認、納品」
- 対になる言葉で分ける: 反対の意味を持つ言葉の組で分ける。例: 「社内と社外」「新規と既存」「できることとできないこと」
それぞれの型には向き不向きがあります。足し算の型は、全体の内訳を知りたいときに向いています。掛け算の型は、数字を伸ばすために「どこを動かせばよいか」を知りたいときに向いています。順番の型は、流れのどこで問題が起きているかを探すときに向いています。対になる言葉の型は、ざっくりと全体を2つに分けて、最初の見当を付けたいときに便利です。
迷ったときは、まず対になる言葉で2つに分け、それぞれを足し算や順番の型でさらに分けていく、という組み合わせが使いやすいです。
身近な例で見る、MECEな分け方とそうでない分け方
ここでは、身近な題材で、MECEでない分け方を直した前後を比べます。
1つ目は、家計の支出の分け方です。
- 直す前: 食費、日用品、ネット通販、子どもの費用
- 問題: ネット通販で食品や日用品を買うと、食費とネット通販のどちらにも入る(重なり)。家賃や光熱費、通信費がどこにも入らない(漏れ)
- 直した後: 決まって出ていくお金(家賃、光熱費、通信費、保険料)と、その都度出ていくお金(食費、日用品、娯楽、その他)に分ける。買った場所ではなく、使い道で分ける
ポイントは、「買った場所」と「使い道」という、2つの違う物差しを混ぜていたことです。物差しを1つに揃えるだけで、重なりが消えます。
2つ目は、問い合わせの分類です。
- 直す前: 料金の質問、不具合、急ぎの問い合わせ、その他
- 問題: 「急ぎ」は内容ではなく緊急度の話なので、料金の質問で急ぎのものがどちらに入るか迷う(重なり)
- 直した後: 内容(料金、使い方、不具合、契約、その他)と、緊急度(今日中、今週中、急がない)を別々の列にする
ここでも、内容と緊急度という2つの物差しが1つの列に混ざっていたのが原因でした。
3つ目は、仕事の担当の分け方です。
- 直す前: Aさんは資料作成、Bさんは顧客対応、Cさんは営業
- 問題: 営業の資料は誰が作るのか、営業中の顧客からの問い合わせは誰が答えるのかが曖昧
- 直した後: 顧客ごとに担当を決め、その顧客に関する資料も対応も担当者が持つ。あるいは作業の順番で分け、「見込み客の段階はCさん、契約後はBさん」とする
この例から分かるのは、MECEでない分け方の多くは、物差しが混ざっているか、境目の決まりがないかのどちらかだということです。
公的な分類に学ぶ、漏れのない分け方
MECEな分け方の手本として、国が作っている統計の分類があります。統計は、日本の中のすべての人や事業所を、重ならず漏れなく数える必要があるため、分類の作り方に工夫が詰まっています。
代表的なものが、総務省の日本標準産業分類です。総務省のページは、その目的を次のように説明しています。
日本標準産業分類は、統計を産業別に表示する場合の統計基準として、事業所において社会的な分業として行われる財及びサービスの生産又は提供に係るすべての経済活動を分類したものです。 出典: soumu.go.jp
「すべての経済活動を分類した」という部分が、漏れのなさを示しています。現行の分類は、令和5年(2023年)7月告示の第14回改定版で、令和6年4月1日から使われています。大きな分類から細かな分類へと階層になっていて、どの事業所もどこか1つに入るように、分類ごとに説明と境目の決まりが書かれています。
自分の仕事がどの分類に入るのかは、総務省のページから案内されている政府統計の総合窓口(e-Stat)の分類検索で、キーワードを入れて調べられます。実際に何件か検索してみると、似た仕事でも分類の説明によって入る場所が決まっていることが分かり、境目の決め方の参考になります。
ここから学べるのは、MECEに分けるには「名前を並べる」だけでは足りず、「どちらにも入りそうなものは、どちらに入れるか」という決まりを先に書いておく必要がある、ということです。仕事で問い合わせや作業を分類するときも、分類の名前と一緒に、迷ったときの決まりを1行ずつ書いておくと、担当者によって分け方がぶれなくなります。
また、多くの統計の表には「その他」や「分類不能」といった欄があります。これは手抜きではなく、どこにも入らないものを受け止めて漏れをなくすための工夫です。ただし、「その他」が大きくなりすぎたら、分け方そのものを見直す合図です。
MECEに分ける手順
MECEに分ける作業は、料理の手順のように、毎回同じ流れで進められます。ここでは、5つの手順で説明します。
- 目的を1文で書く: 何のために分けるのかを決める。「売上が落ちた原因を探すため」「問い合わせを担当者に振り分けるため」など。目的が違えば、正しい分け方も変わる
- 物差しを1つ決める: 年齢で分けるのか、地域で分けるのか、作業の順番で分けるのか。1つの段では1つの物差しだけを使う
- 分けてみる: 前に紹介した4つの型のどれかを使って、実際に分ける
- 漏れと重なりを確かめる: 具体的なものを10個ほど思い浮かべ、それぞれが必ず1つの箱に入るかを試す。2つの箱に入るものがあれば重なり、どこにも入らないものがあれば漏れ
- 必要ならもう一段分ける: 箱が大きすぎて扱いにくければ、その箱の中を別の物差しで分ける
手順4の「具体的なもので試す」が、最も大事な工程です。頭の中だけで考えると、分け方がきれいに見えてしまい、漏れに気づきません。実際の顧客の名前、実際の問い合わせ、実際の作業を当てはめてみると、どこに入れるか迷うものがすぐに見つかります。
手順2の「1段に1つの物差し」も、失敗を防ぐ大事な決まりです。前の章の例のように、MECEでない分け方の多くは、物差しが混ざっていることが原因です。
ロジックツリーでMECEを使う
MECEがよく使われる道具の1つが、ロジックツリーです。ロジックツリーとは、大きな問題を木の枝のように分けていき、原因や解決策を探すための図のことです。
たとえば「問い合わせへの返信が遅い」という問題を考えます。
- 1段目: 「問い合わせが届いてから担当が決まるまでが遅い」「担当が決まってから返信を書くまでが遅い」「書いてから送るまでが遅い」(順番の型)
- 2段目(担当が決まるまで): 「誰が振り分けるか決まっていない」「振り分ける人が忙しくて後回しになる」「どの担当に振るか迷う」
- 2段目(返信を書くまで): 「答えを調べるのに時間がかかる」「ほかの人の確認が必要」「書き方に迷う」
このように、1段目を順番で分け、2段目をそれぞれの段階の原因で分けると、どこに手を打てばよいかが見えてきます。ここで1段目がMECEになっていないと、たとえば「担当者のスキル不足」のような、どの段階にも関わる原因が複数の枝に重複して出てきて、話が整理できなくなります。
ロジックツリーを作るときのコツは、上の段ほど厳密にMECEにして、下の段は多少の重なりを許すことです。上の段で漏れがあると、その下の枝全体を見落とすことになりますが、下の段の小さな重なりは、話し合いの中で調整すれば済むからです。
掛け算の型で売上を分解する例
MECEの4つの型のうち、仕事で特に役に立つのが掛け算の型です。数字を伸ばしたいときに、「どこを動かせば効果が大きいか」が見えるからです。ここでは、通販で手作りの雑貨を売っている小さなお店を例に、売上を分解する手順を示します。数字は説明のための仮のものです。
1段目では、売上を「注文の数」と「1回の注文あたりの金額」に分けます。売上が月に30万円で、注文が100件なら、1回あたりの金額は3,000円です。
2段目では、注文の数を「お店のページを見た人の数」と「見た人のうち注文した人の割合」に分けます。ページを見た人が5,000人で、注文が100件なら、注文した人の割合は2%です。
3段目では、1回の注文あたりの金額を「1つの商品の値段」と「1回の注文で買う商品の数」に分けます。
ここまで分けると、売上を伸ばす方法が4つに整理されます。
- ページを見る人を増やす: 検索や紹介、SNSでの発信
- 見た人が注文する割合を上げる: 写真や説明の見直し、送料の見直し
- 商品の値段を上げる: 素材や手間に見合う値付け
- 1回で買う商品の数を増やす: 組み合わせの提案、まとめ買いの割引
この分け方は、掛けると元の売上に戻るので、漏れも重なりもありません。さらに、どこが弱いのかを数字で比べられるのが大きな利点です。たとえば、似た商品を扱うほかのお店と比べて、注文する割合が低いと分かれば、まずページの見直しから手を付けるべきだと判断できます。
掛け算の型を使うときの注意点は、それぞれの要素が独立して動かせるとは限らないことです。値段を上げると注文する割合が下がる、ということは普通に起こります。分解した後は、1つの要素を動かしたとき、ほかの要素にどう影響しそうかも合わせて考えます。
会議や報告でMECEを使う話し方
MECEは、考えるときだけでなく、話すときにも役立ちます。会議での報告や、上司への相談の場面で使える話し方を紹介します。
基本の形は、「結論、その理由の数、理由を1つずつ」の順番です。
- 結論: 「来月から問い合わせの受付時間を延ばすべきだと考えます」
- 理由の数: 「理由は3つあります」
- 理由: 「1つ目は顧客の声、2つ目は費用、3つ目は担当者の負担です」
ここで、理由の分け方がMECEになっていると、聞き手は話の全体像を最初につかめます。「顧客の声、費用、担当者の負担」は、顧客側の事情、会社側のお金の事情、会社側の人の事情に分かれていて、重なりが少なく、判断に必要な論点を広く押さえています。
報告のときに便利なのは、「できたこととできなかったこと」「分かったことと分からないこと」のような、対になる言葉の型です。特に「分からないこと」をはっきり言えると、聞き手は次に何を調べるべきかを判断できます。分からないことを隠すと、報告の漏れになります。
相談のときは、選択肢をMECEに並べることを意識します。「AとBのどちらがよいでしょうか」と聞くとき、実はCという選択肢や、「今は何もしない」という選択肢が抜けていることがあります。選択肢を出す前に、「ほかに取れる道はないか」「何もしない場合はどうなるか」を一度考えると、相談の質が上がります。
話すときのMECEは、厳密さより分かりやすさを優先してかまいません。3つ前後に絞り、それぞれに短い名前を付けると、聞き手の記憶に残りやすくなります。
MECEにこだわりすぎないための注意点
MECEは便利な考え方ですが、こだわりすぎると逆効果になることがあります。注意したい点を4つ挙げます。
1つ目は、完璧なMECEを探して手が止まることです。現実の物事は、きれいに分けられないことのほうが多くあります。8割がた漏れと重なりがなければ、まずは先に進み、実際に使いながら直していくほうが、仕事は早く進みます。
2つ目は、分け方が正しくても、目的に合っていないことです。たとえば顧客を年代で分けるのはMECEですが、買う理由が年代ではなく家族の人数で決まる商品なら、年代で分けても役に立ちません。MECEかどうかを確かめる前に、その分け方が目的に合っているかを確かめます。
3つ目は、「その他」に逃げることです。「その他」を作れば形式的には漏れがなくなりますが、「その他」に大事なものが入っていれば、見落としと同じです。「その他」の中身を一度は書き出して、大きなものがあれば独立した箱にします。
4つ目は、MECEを相手を責める道具にしてしまうことです。会議で「それはMECEじゃない」と指摘するだけでは、話は前に進みません。指摘するときは、「この2つは重なっているので、こう分けてはどうか」と、代わりの分け方を一緒に出すのが建設的です。
仕事の洗い出しにMECEを使う
MECEが最も役立つ場面の1つが、仕事の洗い出しです。新しい企画やイベント、引っ越しや業務の切り替えなど、やることが多い仕事ほど、漏れによる失敗が起きやすくなります。
仕事を洗い出すときは、まず順番の型で大きな段階に分けます。たとえば社内イベントなら「企画」「準備」「当日」「後片付けと振り返り」です。次に、それぞれの段階を、対になる言葉や足し算の型で分けます。準備なら「社内でやること」と「社外とやり取りすること」、あるいは「場所」「人」「物」「お金」「案内」に分けます。
ここで役に立つのが、「人、物、お金、情報、時間」のような、昔からよく使われる分け方の型です。どの仕事にも当てはまる型を1つ持っておくと、洗い出しの漏れが減ります。
洗い出しが終わったら、最後に「終わりの状態」から逆にたどって確かめます。イベントなら「当日、参加者が会場に着いてから帰るまで」を頭の中で順に歩いてみて、受付の名簿、案内の掲示、飲み物、忘れ物の対応など、途中で必要になるものが作業の一覧に入っているかを確かめます。前から順に洗い出すだけでは見落としやすい作業も、終わりの場面を具体的に思い浮かべると見つかります。前からと後ろからの2方向で確かめることが、漏れを減らす実用的なコツです。
洗い出した作業は、1つずつ「誰が」「いつまでに」を決めて、初めて動き出します。紙やホワイトボードに書き出しても、表計算ソフトの表にしてもかまいません。少人数で、作業の数が20から30程度なら、表計算ソフトに「作業」「担当」「期限」「状況」の4列を作るだけで十分に回ります。
洗い出した仕事をチームで分担するとき
作業の数が多い、関わる人が5人前後を超える、社外の人も一緒に動く、途中で質問や相談のやり取りが何度も発生する、といった場合は、表のセルにやり取りが書き込まれて追いにくくなりがちです。このようなときは、作業を1枚ずつのカードにして、担当と期限と話し合いを1か所にまとめられるプロジェクト管理ツールを使うと、漏れと重なりに気づきやすくなります。
候補の1つがPinatecaです。公式サイトによると、カンバン、ガント、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットが無料プランから使え、カードにコメントを付けたり、カスタムフィールドで項目を追加したりできます。5人までのチームなら期限なしで無料で、ボードは10個まで作れます。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランで、料金は1人あたり月額500円(年払いなら1人あたり月額400円、税抜)です。たとえば、MECEに分けた大きな段階(企画、準備、当日、振り返り)をカンバンの列や絞り込みの項目にして、作業をカードにすれば、どの段階に作業が偏っているか、担当が決まっていないカードはどれかを1画面で確かめられます。分け方そのものを考えるのは人の仕事で、Pinatecaは分けた結果を共有して進めるための道具です。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
MECEな分け方が最初から組み込まれた枠組み
ビジネスの分析でよく使われる枠組みの多くは、MECEな分け方があらかじめ組み込まれた「型」です。ゼロから分け方を考えなくても、目的に合う枠組みを選べば、漏れの少ない形で考え始められます。代表的なものを、何をどう分けているかという視点で整理します。
- 3C分析: 事業の環境を、顧客と市場、競合、自社の3つに分ける。自社の外と内、外の中を買う側と競う側、という対になる言葉の組み合わせ
- 4P: 売り方を、商品、価格、届け方、知らせ方の4つに分ける。顧客が商品を手に取るまでに関わる要素を足し算で分けた形
- PEST分析: 自社の外の大きな流れを、政治、経済、社会、技術の4つに分ける
- SWOT分析: 強み、弱み、機会、脅威の4つに分ける。内と外、よいことと悪いことという2つの対を掛け合わせた形
- 人、物、お金、情報: 会社の持っている資源を分けるときの昔からの型
これらの枠組みを使うときも、MECEの確かめ方はそのまま使えます。たとえばSWOT分析で「強み」に書いた項目が、実は外の環境の話(機会)だった、ということはよくあります。自社が変えられることか、変えられないことかで振り分けると、内と外の境目がはっきりします。
一方で、枠組みは万能ではありません。枠組みが想定していない要素が、自分の仕事では大きな意味を持つこともあります。たとえば個人で仕事を受ける人にとっては、「自分の時間と体力」が最も大きな制約になることがありますが、多くの枠組みには、それを書く欄がはっきりとはありません。枠組みを使った後に、「この表に書いていないことで、結果を大きく左右しそうなことはないか」と一度問い直すと、枠組みの漏れを補えます。
MECEを身につける練習の方法
MECEは、知識として覚えるより、練習で身につける考え方です。日常の中で手軽にできる練習を紹介します。
1つ目は、身近なものを3通りの物差しで分ける練習です。たとえば「自分の1週間の時間」を、「仕事、家事、休み、その他」「平日と休日」「1人の時間と誰かと過ごす時間」の3通りで分けてみます。どの分け方が何の目的に向いているかを考えると、物差しを選ぶ感覚が身につきます。
2つ目は、ニュースや記事の「理由は3つ」に突っ込みを入れる練習です。挙げられた3つの理由が重なっていないか、大事な理由が抜けていないかを考えます。人の分け方を批判的に読むと、自分で分けるときの癖にも気づきます。
3つ目は、自分の仕事の手順を書き出す練習です。毎日している作業を、始めから終わりまで順番に書き、抜けている手順がないかを確かめます。慣れている作業ほど、無意識にやっている手順が書き出しから漏れます。
4つ目は、書いたものを人に見てもらうことです。自分ではMECEだと思っていても、ほかの人から見ると重なりや漏れがあることはよくあります。「どこかに入れにくいものはありますか」と聞くと、具体的な指摘がもらえます。
MECEの考え方が活きる仕事
MECEの考え方は、分析や企画の仕事だけでなく、システムやアプリの開発、AIを使った業務の改善支援など、さまざまな業務委託の仕事で使われています。
たとえばAIコンサル・業務活用支援のお仕事では、企業の業務を洗い出してAIで置き換えられる部分を探すといった仕事の内容が紹介されています。業務を漏れなく洗い出す段階で、MECEの考え方がそのまま役立ちます。アプリケーション開発のお仕事でも、機能の一覧や画面の一覧を作るとき、テストの項目を洗い出すときに、漏れと重なりを確かめる作業が欠かせません。
分析や調査を専門とする仕事に関心があるなら、研究者の年収・単価相場で、調査や分析を担う職種の収入の目安を確かめることもできます。経営の分析を体系的に学びたい人には、中小企業診断士の資格ガイドも参考になります。
業務委託の現場で見えること
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた範囲では、仕事の依頼の行き違いの多くは、依頼の範囲が漏れなく書かれていないことから起きています。「ここまでやってくれると思っていた」「そこは頼まれていないと思っていた」という食い違いは、作業の範囲をMECEに書き出してから見積もりを出すだけで、かなり防げます。長く選ばれ続ける受注者ほど、最初の打ち合わせで「やること」と「やらないこと」を対にして確かめる傾向があります。
仲介者を挟まずに依頼する側と受ける側が直接やり取りできると、こうした範囲の確認が早く済みます。手数料0%で直接取引できる形なら、受ける側は手取りが厚くなり、依頼する側は同じ予算でより広い範囲を頼めます。範囲をはっきりさせることと、間に入る手数料をなくすことは、どちらも双方の無駄を減らすという点で同じ方向を向いています。業務の洗い出しや整理が得意な人は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のような分野の依頼内容を確かめ、自分の強みが活きる仕事を探してみてください。
よくある質問
Q. MECEの読み方と意味を教えてください?
MECEは「ミーシー」と読みます。英語の Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive の頭文字を取った言葉で、「お互いに重ならず、全部合わせると漏れがない」という意味です。日本語では「漏れなく、ダブりなく」と言い換えられることが多く、物事を分けて考えるときに見落としと二重の手間を防ぐための考え方として使われます。
Q. MECEに分けられたかどうかは、どう確かめればよいですか?
具体的なものを10個ほど思い浮かべ、それぞれが必ず1つの箱だけに入るかを試すのが確実です。2つの箱に入るものがあれば重なり、どこにも入らないものがあれば漏れがあります。頭の中で考えるだけでは分け方がきれいに見えてしまうので、実際の顧客や作業、問い合わせを当てはめて確かめてください。
Q. MECEに分けるのが苦手です。コツはありますか?
1つの段では1つの物差しだけを使うことが一番のコツです。年齢と職業、内容と緊急度のように、違う物差しを1つの列に混ぜると重なりが生まれます。また、足し算、掛け算、順番、対になる言葉という4つの型を覚えておくと、毎回ゼロから考えずに済みます。迷ったら、まず対になる言葉で2つに分けてみてください。
Q. 完全にMECEにできないときはどうすればよいですか?
現実の物事はきれいに分けられないことも多いので、8割がた漏れと重なりがなければ先に進んでかまいません。どこにも入らないものは「その他」で受け止め、その中身が大きくなったら分け方を見直します。どちらにも入りそうなものは、どちらに入れるかの決まりを1行書いておくと、担当者による分け方のぶれを防げます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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