求人の「残業少なめ」が本当かを見分けるには|面接と求人票で確かめる点

渡辺 さくら
渡辺 さくら
求人の「残業少なめ」が本当かを見分けるには|面接と求人票で確かめる点

この記事のポイント

  • ✓求人の「残業少なめ」が嘘ではないかと不安な人に向けて
  • ✓求人票の時間外労働の欄と固定残業代の読み方
  • ✓法律が定める残業の上限

求人に「残業少なめ」と書いてあったから応募したのに、入社してみたら毎日のように遅くまで残っている。面接では「残業はほとんどないですよ」と言われたのに、話が違う。求人の「残業少なめ」は嘘なのではないか、と不安になって検索した人も多いはずです。

先に結論を書くと、「残業少なめ」という言葉には、法律で決まった基準がありません。そのため、言葉の印象だけで判断すると、実態とのずれが起きやすくなります。見分けるために頼りになるのは、言葉ではなく数字です。求人票の時間外労働の欄に書かれた月平均の時間、固定残業代の時間数、そして面接と入社前の書面で確かめた具体的な数字。この記事では、求人の「残業少なめ」が本当かどうかを見分けるために、求人票と面接で確かめる点を、厚生労働省の資料と法律の条文で確かめた内容をもとに整理します。特定の会社や求人サイトを批判するのではなく、求人を読む側が自分を守るための知識として読んでください。

「残業少なめ」という言葉に、決まった基準はない

まず知っておきたいのは、「残業少なめ」「残業ほぼなし」「定時で帰れる」といった言葉に、法律で決まった定義がないということです。月に10時間を少なめと感じる人もいれば、20時間でも少なめと書く会社もあります。前の職場が月に60時間を超えていた人にとっては、月20時間でも十分に少なく感じられるでしょう。

この言葉の幅が、求人の印象と実態のずれを生む大きな原因です。会社の側は、業界の平均と比べて「少なめ」と書いているつもりでも、応募する側が「ほとんど残業はない」と受け取れば、入社後に「嘘だった」と感じることになります。

一方で、求人の情報についての法律のルールははっきりしています。職業安定法という、仕事の紹介や労働者の募集のルールを定めた法律には、求人の情報について「虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならない」と定められています。事実と違うことを書くことだけでなく、読む人が誤解するような書き方も禁じているという意味です。また、募集する会社は、出した情報を正確かつ最新の内容に保たなければならないとも書かれています。

つまり、「残業少なめ」と書くこと自体は禁じられていませんが、実態が大きく違うのに誤解を招く書き方をしていれば、法律の考え方からは外れることになります。読む側としては、言葉の印象ではなく、その裏付けとなる数字が書かれているかどうかを見ることが、見分けの第一歩です。

求人票に書くべき残業の情報

では、求人票には残業についてどんな情報が書かれているべきなのでしょうか。厚生労働省が求職者に向けて出しているリーフレットには、会社が最低限示さなければならない労働条件の記載例が載っています。時間外労働と賃金の欄には、次のような書き方が示されています。

あり(月平均20時間) 裁量労働制を採用している場合は、以下のような記載が必要です。 例:企画業務型裁量労働制により、●時間働いたものとみなされます。 出典: mhlw.go.jp

このリーフレットからは、時間外労働の欄には、残業の有無と、ある場合は月平均の時間を書くのが基本の形だと分かります。また、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ決めた時間を働いたものとみなす裁量労働制を採用している場合は、その旨と、何時間働いたものとみなすのかを書く必要があるとされています。

同じリーフレットには、固定残業代についての記載例も載っています。固定残業代とは、実際の残業の有無にかかわらず、一定の時間分の残業代としてあらかじめ支払われる手当のことです。固定残業代を採用する場合は、次の3つを書く必要があると示されています。

・基本給の額(固定残業代の手当を除いた額) ・固定残業代の手当の名前と、何時間分の残業代としていくらを支払うか ・その時間を超えた残業の分は、割増賃金を追加で支払うこと

ここで注目したいのは、固定残業代の時間数です。求人に「残業少なめ」と書かれていても、固定残業代が月30時間分や45時間分で設定されていれば、会社がその程度の残業を見込んでいる可能性があります。固定残業代の時間数は、会社が想定している残業の目安を読み取る手がかりになります。

法律が決めている残業の上限

残業時間が多いか少ないかを判断するには、法律が決めている上限を知っておくと役に立ちます。労働基準法という、働く条件の最低限のルールを定めた法律では、会社が残業をさせるには、働く人の代表との間で協定を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。この協定は、根拠になっている条文の番号から36協定(さぶろくきょうてい)と呼ばれます。

36協定で決められる残業の時間には、法律で上限があります。労働基準法の条文で確かめた上限は、次のとおりです。

区分 上限
原則の上限 1か月45時間、1年360時間
臨時的な特別な事情がある場合の1年の上限 720時間
臨時的な特別な事情がある場合の1か月の上限 休日の労働を含めて100時間未満
2〜6か月の平均 休日の労働を含めて1か月あたり80時間以内
1か月45時間を超えられる月数 1年に6か月まで

(1年単位の変形労働時間制で、対象期間が3か月を超える場合は、原則の上限が1か月42時間、1年320時間になります。)

この表から分かるのは、残業の原則の上限は1か月45時間だということです。特別な事情がある場合でも、1か月45時間を超えられるのは1年のうち6か月までと決められています。

この上限を目安にすると、求人票の数字の重みが分かってきます。たとえば、月平均20時間であれば、1日あたりにすると1時間程度です。月平均40時間であれば、原則の上限に近い水準で、1日あたり2時間前後になります。「残業少なめ」と書かれた求人の時間外労働の欄が月平均30時間や40時間であれば、言葉の印象とはかなり違うと考えるべきでしょう。

あわせて知っておきたいのが、残業代の割増の率です。労働基準法では、残業の時間については通常の賃金の2割5分以上の割増賃金を支払うことになっており、1か月の残業が60時間を超えた場合は、その超えた時間について5割以上の割増になると定められています。

残業代の計算の例

割増の率を知っておくと、給与明細の残業代が正しいかを自分で確かめられます。たとえば、1時間あたりの賃金が1,500円の人の場合、通常の残業1時間あたりの残業代は、2割5分の割増で1,875円以上になります。1か月の残業が60時間を超えた分は、5割の割増で1時間あたり2,250円以上です。

1時間あたりの賃金は、月給制の場合、基本給などを1か月の平均の所定労働時間で割って求めます。家族手当や通勤手当など、法律で割増の計算に含めないとされている手当もあるため、細かな計算に迷ったら、給与明細を持って相談窓口で確かめると確実です。固定残業代がある場合は、その時間数を超えた分について、この計算で求めた残業代が追加で支払われているかを見ます。

「残業少なめ」が実態と違って感じられる理由

求人に書かれた残業の時間と、入社後に感じる残業の多さがずれる理由は、1つではありません。意図的にうそを書いている場合だけでなく、次のような理由でずれが生まれることがよくあります。

会社全体の平均で書かれている

求人票の月平均の残業時間は、会社全体や職種全体の平均で書かれていることがあります。部署によって忙しさが大きく違う会社では、平均が月15時間でも、配属された部署は月40時間ということも起こります。

繁忙期と閑散期の差が大きい

年度末や決算期、季節によって仕事量が大きく変わる業種では、平均の数字だけでは実態が見えません。年間の平均が月20時間でも、繁忙期の数か月は月50時間を超え、閑散期はほとんど残業がない、という形になっていることがあります。

記録されない時間がある

始業前の準備、終業後の片付け、昼休みの電話番、自宅への仕事の持ち帰りなど、残業として記録されない時間があると、記録上の残業時間と、実際に感じる拘束時間がずれます。ハローワークインターネットサービスも、求人票と実際が違う例として「始業の30分前に出社するように言われた」というケースを挙げています。

固定残業代の範囲内として扱われている

固定残業代がある会社では、その時間数の範囲内の残業は、追加の残業代が発生しないため、会社の側が「残業代が増えていない」という意味で少なめと捉えていることがあります。働く側から見れば、残業の時間そのものは発生しています。

管理職や裁量労働制として扱われている

労働基準法では、監督や管理の地位にある人などについては、労働時間や休日に関する規定が適用されないとされています。また、裁量労働制では、実際に働いた時間ではなく、決められた時間を働いたものとみなします。これらの扱いになると、残業時間が記録上は少なく見えることがあります。ただし、肩書きが管理職であっても、実際の権限や待遇によっては法律上の管理監督者にあたらない場合もあるため、扱いに疑問があれば相談窓口で確かめてください。

どの理由であっても、求人を読む側ができることは同じです。平均の数字だけでなく、配属先、繁忙期、記録の仕方、固定残業代の時間数まで確かめること。これが、ずれを小さくするための基本になります。

求人票で確かめる点

求人票を読むときに、残業の実態を見分けるために確かめたい点を整理します。

時間外労働の欄に、月平均の時間が書かれているか

「あり」とだけ書かれていて時間数がない場合や、「少なめ」「ほぼなし」のような言葉だけの場合は、面接で必ず数字を確かめます。時間数が書かれていれば、先に紹介した上限と比べて、どの程度の水準かを判断します。

固定残業代の時間数と、超えた分の扱い

賃金の欄に固定残業代が含まれている場合は、何時間分なのか、超えた分は追加で支払われるのかを確かめます。基本給の額が分からない書き方になっている場合は、月給の総額だけで判断しないようにします。

就業時間と休憩時間

始業と終業の時刻、休憩の時間を確かめます。シフト制や変形労働時間制の場合は、1日の労働時間が日によって変わるため、残業の考え方も変わります。どの制度で働くことになるのかを確かめておきます。

年間休日の数と休日の書き方

残業の多さは、休日の少なさとセットで現れることがよくあります。年間休日の数と、「週休2日制」なのか「完全週休2日制」なのかを確かめます。休日出勤がある場合は、その頻度も面接で聞いておきます。

求人の更新日と募集の頻度

同じ職種の求人が短い間隔で繰り返し出ている場合は、人の入れ替わりが多い可能性も考えられます。それだけで判断はできませんが、面接で募集の理由を聞くきっかけになります。

残業に関する求人の言葉を、どう読むか

求人には、残業について印象を伝えるさまざまな言葉が使われます。どれも、それだけで良い悪いを決められるものではありません。言葉の意味と、確かめるべき数字を組み合わせて読むことが大切です。

・「残業ほぼなし」「残業少なめ」:基準のない言葉です。時間外労働の欄の月平均の時間と照らし合わせます。欄に数字がなければ、面接で配属先の実績を聞きます。 ・「定時退社推奨」「ノー残業デーあり」:会社が残業を減らす取り組みをしていることを示す言葉です。ただし、推奨や特定の曜日の取り組みは、残業が少ないことの保証ではありません。取り組みを始めた時期と、その後の残業時間の変化を聞いてみると、実効性が見えてきます。 ・「月平均〇時間(前年度実績)」:数字の根拠が示されている書き方です。いつの時点の実績か、会社全体か部署ごとかを確かめます。 ・「みなし残業代含む」「固定残業代〇時間分含む」:固定残業代の時間数が、会社の見込む残業の目安になります。超えた分の扱いも確かめます。 ・「残業代全額支給」:記録された残業に対して残業代を支払うという意味です。残業がないという意味ではないため、残業時間そのものは別に確かめます。 ・「繁忙期を除き残業少なめ」:繁忙期の時期と長さ、その時期の残業時間を聞きます。年間の平均だけでは分からない部分です。

このように、言葉ごとに確かめる数字は違います。印象のよい言葉が並んでいても、裏付けとなる数字が書かれていない求人は、面接で確かめる項目が多い求人だと考えておくと、入社後のずれを防げます。

応募する前に、公的な情報で調べる

求人票だけでは分からない職場の実態を、応募する前に調べる方法もあります。

職場情報総合サイト「しょくばらぼ」

厚生労働省が運営する職場情報総合サイト「しょくばらぼ」は、勤務実態などの働き方や採用状況に関する企業の職場情報を検索・比較できるサイトです。公式サイトによると、2026年10月1日時点で152,380件の企業が掲載されています。気になる会社が掲載されていれば、会社自身が公表している働き方の情報を、ほかの会社と並べて比べられます。

新卒の募集では、職場の情報を求めることができる

若者の雇用を進めるための法律(青少年の雇用の促進等に関する法律)では、卒業見込みの人を対象にした募集をする会社は、青少年の募集や採用の状況、職業能力の開発や向上、職場への定着の促進に関する取り組みの状況などの情報を提供するよう努めなければならないとされています。さらに、応募した人や応募しようとしている人から求められた場合には、こうした情報を提供しなければならないと定められています。新卒で就職先を探している人は、この仕組みを使って、会社に情報の提供を求めることができます。

会社の採用ページや公開している情報

会社のホームページの採用ページや、働き方に関する取り組みを紹介するページに、残業の時間や有給休暇の取得の状況が書かれていることがあります。求人票の数字と一致しているかを照らし合わせると、情報の確からしさを判断する材料になります。

インターネット上の口コミも参考にはなりますが、書いた人の部署や時期、立場によって内容が大きく違うため、それだけで判断しないようにします。公的な情報や会社が公表している数字を土台にして、口コミは「面接で聞くべき点」を見つけるために使うのがよい使い方です。

職業紹介の会社を通す場合に頼めること

転職の際に、職業紹介の会社(いわゆる転職エージェント)を通して応募する人も多いでしょう。職業安定法では、求人を申し込む会社は職業紹介事業者に対しても労働条件を示さなければならず、職業紹介事業者も、紹介する求職者に対して仕事の内容や賃金、労働時間などの労働条件を示さなければならないとされています。また、職業紹介事業者は、求人の情報をうその表示や誤解を招く表示にしてはならず、正確かつ最新の内容に保つための措置を講じることが求められています。

紹介の会社を通す場合は、担当者に「配属予定の部署の残業の実績を、会社に確かめてもらえますか」と頼むことができます。自分では聞きにくい質問も、担当者を通せば確かめやすくなります。担当者から聞いた内容も、日付と担当者の名前とあわせてメモに残しておきます。

ただし、担当者から聞いた話と、会社から示される労働条件の書面が違うこともあります。最終的に基準になるのは、会社から受け取る労働条件の書面です。担当者の説明だけで判断せず、内定後の書面で必ず確かめましょう。

面接で確かめること

求人票と公的な情報で下調べをしたら、面接で具体的に確かめます。残業について聞くことは、働く人として当然のことです。聞き方を工夫すれば、相手も答えやすくなります。聞き方の例を挙げます。

・「求人票に残業は月平均〇時間とありましたが、配属予定の部署では、最近の実績はどれくらいでしょうか」 ・「1年の中で忙しい時期はいつ頃で、その時期の残業はどれくらいになりますか」 ・「固定残業代は何時間分で、それを超えた分はどのように支払われますか」 ・「残業はどのように申請して、どのように記録されていますか」 ・「始業前の準備や、終業後の片付けの時間は、勤務時間に含まれますか」 ・「休日出勤はどれくらいの頻度でありますか。その場合、代わりの休みは取れますか」

ポイントは、「残業はありますか」という聞き方ではなく、数字で答えてもらえる聞き方をすることです。「ありますか」と聞くと「あまりないですよ」という答えになりがちですが、「最近の実績は月に何時間くらいですか」と聞けば、具体的な数字が返ってきやすくなります。

面接の場で答えてもらった内容は、その日のうちにメモに残しておきます。日付、面接した人の名前、聞いた内容と答えを書いておけば、あとで実態が違ったときの記録になります。答えがあいまいだったり、話をそらされたりした場合は、それ自体が判断の材料になります。

可能であれば、職場を見学させてもらうのも有効です。夕方以降の時間帯に職場の様子を見られれば、定時を過ぎてもどれくらいの人が残っているかが分かります。面接の時間を夕方に設定してもらうのも、一つの工夫です。

面接で聞きにくいときの工夫

面接の場で残業について聞くことに、どうしても抵抗がある人もいるでしょう。その場合は、聞くタイミングを工夫する方法があります。面接の最後に「何か質問はありますか」と聞かれたときに、仕事の進め方の質問とあわせて「チームの皆さんは、普段何時ごろに仕事を終えていますか」と聞けば、自然な流れで実態をつかめます。

また、選考の途中で現場の社員と話す機会を設けてもらえる会社もあります。現場の社員は、日々の働き方を具体的に話してくれることが多く、面接官とは違う角度の情報が得られます。内定後の条件の確認の場で聞く、という方法もあります。どのタイミングでも、聞いた内容をメモに残しておくことは忘れないようにしましょう。

内定から入社までに、書面で確かめる

内定が出たら、入社する前に労働条件を書面で受け取ります。労働基準法では、会社は労働契約を結ぶときに、賃金や労働時間などの条件を示さなければならず、大事な条件は書面などの決められた方法で示すことになっています。一般には「労働条件通知書」や「雇用契約書」という名前で渡されます。

受け取ったら、残業に関係する次の項目を、求人票と面接のメモに照らし合わせます。

項目 確かめるポイント
始業・終業の時刻 求人票と同じか
休憩時間 実際に休める時間として書かれているか
所定時間外労働の有無 「あり」の場合、どの程度か
賃金の内訳 基本給、固定残業代の時間数と額、超えた分の扱い
休日 年間休日の数、週休の形
労働時間の制度 変形労働時間制や裁量労働制の適用があるか

違いが見つかったら、入社前に会社に確かめます。職業安定法では、求人票などで示した労働条件を変える場合には、契約を結ぶ前にその変更の内容を示さなければならないとされています。説明のないまま条件が変わっていたら、その場で理由を聞き、納得できなければ入社を考え直す選択肢もあります。

内定後に、条件を確かめるための面談の場を設けてもらえることもあります。この場では、面接のときよりも踏み込んだ質問がしやすくなります。配属部署の残業の実績や、繁忙期の働き方について、改めて具体的な数字で確かめておきましょう。

残業の少ない職場を見分ける、数字以外の手がかり

残業時間の数字に加えて、職場の仕組みからも、残業が少なく済む職場かどうかを推し量ることができます。面接や職場見学の際に、次のような点を意識して見てみてください。

・人員の体制:欠員が出たときに、誰がその分の仕事をカバーするのか。補充の採用がすぐに行われているか。少ない人数でぎりぎり回している職場は、一人が休むだけで残業が増えやすくなります。 ・仕事の締め切りの決まり方:取引先の都合で締め切りが急に決まることが多いのか、社内で計画を立てて進められるのか。急な依頼が多い職場は、残業の時間が読みにくくなります。 ・勤務時間の記録の仕方:パソコンのログやICカードで客観的に記録しているのか、自己申告だけなのか。客観的な方法で記録している職場であれば、記録上の残業時間と実態のずれは生じにくくなります。 ・休みの取りやすさ:有給休暇をどれくらい取れているか。休みを取りやすい職場は、仕事の分担や引き継ぎの仕組みが整っていることが多く、残業も一部の人に偏りにくくなります。

これらの点は、求人票には書かれていないことがほとんどです。だからこそ、面接や見学の場で質問し、自分の目で確かめることに意味があります。

入社してから、残業が多いと気づいたら

入社してから「残業少なめ」が実態と違うと気づいた場合も、取れる行動はあります。

勤務時間を自分でも記録する

まず、自分の出勤と退勤の時刻を、毎日記録しておきます。会社のタイムカードや勤怠の記録とは別に、手帳やスマートフォンに書き留めておくと、会社の記録と食い違いがあったときの材料になります。始業前の準備や、持ち帰った仕事の時間も、あわせて記録しておきます。

記録をつけるときは、「何時に職場に着いたか」「何時にパソコンを立ち上げたか」「何時に仕事を終えて職場を出たか」を分けて書いておくと、始業前の準備や終業後の片付けにかかった時間も見えてきます。あわせて、その日に残業が必要になった理由(急な依頼、会議の延長、人手不足など)を一言添えておくと、残業が一時的なものか、職場の仕組みから来る恒常的なものかを判断する材料になります。1か月分たまったら、合計の時間を求人票の月平均の数字と比べてみましょう。

36協定の内容を確かめる

労働基準法では、会社は36協定の内容を、職場の見やすい場所への掲示や書面の交付などの方法で、働く人に周知しなければならないと定められています。自分の職場で、残業の上限が何時間と決められているかを確かめることができます。協定で決めた時間を超えて残業させることは、法律の上限とは別に、協定にも反することになります。

残業代が正しく支払われているかを確かめる

給与明細の残業代の欄を見て、記録した残業時間と合っているかを確かめます。固定残業代がある場合は、その時間数を超えた分が追加で支払われているかを見ます。1か月の残業が60時間を超えた月は、超えた時間について5割以上の割増になっているかも確かめます。

相談窓口に相談する

残業の時間や残業代について疑問があれば、公的な相談窓口に相談できます。

・総合労働相談コーナー:各都道府県の労働局や全国の労働基準監督署の中などに設けられた窓口で、あらゆる労働問題の相談を予約不要・無料で受け付けています。法律に違反する疑いがある場合は、労働基準監督署などに取り次いでもらえます。 ・労働条件相談ほっとライン:厚生労働省の委託事業で、フリーダイヤル0120-811-610で受け付けています。平日は午後5時から午後10時、土日・祝日は午前9時から午後9時に対応しており、違法な残業や賃金の不払いについて相談できます。匿名でも相談できますが、この窓口から会社への指導はできません。 ・ハローワーク求人ホットライン:ハローワークの求人票と実際が違っていた場合の申し出の窓口です。電話番号は03-6858-8609(求職者・就業者専用)で、担当のハローワークが事実を確認したうえで会社に是正の指導を行います。 ・労働基準監督署:残業代の不払いや、上限を超える残業など、法律違反の疑いが強い場合の相談先です。

相談するときは、求人票の控え、面接のメモ、労働条件通知書、給与明細、自分でつけた勤務時間の記録をそろえておくと、話がスムーズに進みます。

体調の変化を見過ごさない

残業が続いて体調がすぐれない、眠れない日が続く、といった変化を感じたら、無理を続けず、医療機関や職場の産業医、相談窓口に早めに相談してください。残業の時間の問題は、記録をそろえてからでも相談できますが、体調は後回しにしないことが大切です。

求人を数字で読む力は、働き方を選ぶ力になる

求人の「残業少なめ」を言葉ではなく数字で読む力は、会社員として働く場合だけでなく、業務委託やフリーランスとして仕事を受ける場合にも役立ちます。業務委託の募集でも「作業時間は少なめ」「スキマ時間でできる」といった言葉が使われることがありますが、実際の作業量は、納品物の量、修正の回数、やりとりの頻度で大きく変わります。引き受ける前に、作業の範囲と量を具体的な数字で確かめ、文字で残しておく。この手順は、面接で残業の実績を数字で聞くのとまったく同じです。

条件を確かめるやりとりを正確な文章で残す力は、どんな働き方でも役に立ちます。ビジネスの文書を正しく読み書きする力を測る資格としてビジネス文書検定があり、確認のメールや依頼の文面に自信をつけたい人の学び直しにも使えます。書く仕事や編集の仕事に関心がある場合は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、収入の目安を公的な統計で確かめられます。

在宅ワークの仲介を長く運営してきた立場から見ると、働き方で後悔しにくい人は、最初の段階で「どれくらいの時間がかかる仕事か」を相手と数字で共有しています。反対に、「少なめ」「すぐ終わる」といった言葉だけで引き受けた人ほど、あとで想定を大きく超える作業に追われがちです。中間の手数料が乗らない直接の取引であれば、確かめた条件がそのまま手取りと働く時間に反映されるため、数字で確かめる習慣がそのまま自分の時間を守る力になります。

求人の情報に紛れ込む怪しい誘いへの備えや、情報の安全を守る側の仕事については、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で紹介しています。「残業少なめ」という言葉を見かけたら、その裏付けとなる数字を求人票で探し、面接で具体的に確かめ、入社前に書面で照らし合わせる。この3つの段階を踏めば、言葉の印象に振り回されずに、自分に合った職場を選べるはずです。

よくある質問

Q. 求人の「残業少なめ」が実態と違うのは違法ですか?

「残業少なめ」という言葉に法律上の基準はなく、書くこと自体は禁じられていません。ただし、職業安定法は求人でうそや誤解を招く表示をすることを禁じており、実態と大きく違う書き方は法律の考え方から外れます。個別のケースが違反にあたるかどうかは事情で変わるため、記録をそろえて総合労働相談コーナーなどで確かめてください。

Q. 残業は月何時間までなら法律上問題ありませんか?

労働基準法では、36協定で決められる残業の原則の上限は1か月45時間、1年360時間です。臨時的な特別な事情がある場合でも、1年720時間以内、1か月100時間未満(休日の労働を含む)、2〜6か月の平均80時間以内(休日の労働を含む)で、1か月45時間を超えられるのは1年に6か月までと定められています。

Q. 面接で残業について聞くと、やる気がないと思われませんか?

残業について確かめるのは、働く人として当然のことです。「残業はありますか」ではなく、「配属予定の部署の最近の実績は月に何時間くらいですか」「忙しい時期はいつ頃ですか」のように、具体的な数字で答えてもらえる聞き方をすると、前向きな確認として受け取られやすくなります。答えはその日のうちにメモに残しておきましょう。

Q. 固定残業代がある求人は避けたほうがよいですか?

固定残業代があること自体が問題なのではありません。大切なのは、基本給の額、何時間分の残業代としていくら支払うか、その時間を超えた分を追加で支払うこと、の3つが示されているかです。厚生労働省のリーフレットでも、この3つを書く必要があるとされています。時間数が多い場合は、会社が見込んでいる残業の目安として面接で確かめてください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年9月30日最終更新:2026年10月4日
渡辺 さくら

この記事を書いた人

渡辺 さくら@SOHO編集部

フリーランス編集者・コンテンツディレクター

出版社で編集者として10年間勤務した後、フリーランスに独立。教育訓練・キャリア系の記事執筆に加え、コンテンツ戦略の設計も手がけています。

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