「残業20時間以内」の求人は本当か|面接で実態を確かめる聞き方


この記事のポイント
- ✓求人の「残業20時間以内」は嘘なのかと不安な人に向けて
- ✓固定残業代や労働時間の数え方
- ✓面接で実態を確かめる質問
求人票に「残業月20時間以内」と書いてあったのに、入社してみたら月30時間、40時間と残業が続いている。あるいは、これから応募しようとしている求人に同じ言葉があって、本当なのか確かめたい。「残業20時間以内は嘘なのか」と調べている人の多くは、このどちらかの状況にいるはずです。
先に結論を書きます。「残業20時間以内」という表示は、それだけで嘘とは言えません。ただ、この数字が「誰の」「いつの」「何を含めた」時間なのかによって、実際に働く人が感じる残業の量は大きく変わります。会社全体の平均なのか、配属される部署の数字なのか。前年度の実績なのか、会社の目標なのか。始業前の準備や持ち帰りの仕事は入っているのか。この3つを面接で確かめれば、入社後のずれはかなり防げます。
この記事では、求人の残業時間の数字がどうつくられているのか、ずれが生まれる理由、面接で実態を確かめる聞き方、入社前に書面で確かめること、入社後に違っていたときの相談先を、厚生労働省の資料を確かめながら順に整理します。
月20時間の残業は、どのくらいの働き方か
まず、「月20時間」という数字が、毎日の働き方にするとどのくらいなのかを確かめておきましょう。
1か月の出勤日を20日とすると、月20時間の残業は1日あたり約1時間です。定時が18時の会社であれば、毎日19時ごろに退社するイメージになります。週の中で忙しい日に2時間、ほかの日はほとんど定時、という分かれ方をしていることもあります。
世の中の平均と比べてみましょう。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、2025年の一般労働者(パートタイム労働者を除く働き方の人)の所定外労働時間は、1か月あたり13.2時間でした。所定外労働時間とは、会社で決められた勤務時間の外に働いた時間のことで、早出、残業、休日出勤などを含みます。業種別に見ると、運輸業・郵便業の24.1時間、情報通信業の16.5時間のように業種によって差があり、医療・福祉は6.7時間でした。
所定外労働時間:早出、残業、臨時の呼出、休日出勤等の実労働時間数。 出典: mhlw.go.jp
この統計は、事業所が把握している労働時間を集計したものです。会社が記録していない残業は含まれていないことに注意が必要です。それでも、全体の平均が月13時間ほどであることを知っておくと、「月20時間以内」という表示が、業種によっては平均よりやや多めの水準だと分かります。
法律の上限とも比べておきます。労働基準法では、残業させるには労使の協定(36協定と呼ばれます)が必要で、その上限は原則として月45時間・年360時間です。月20時間は、この上限から見るとかなり手前の水準です。
つまり、月20時間という数字は、極端に少ない数字ではありません。その分、会社にとっても「実態に近い数字」として書きやすい水準でもあります。問題は、この数字がどのように集計されたものかという点です。
「残業20時間以内」が実態とずれる5つの理由
求人の数字と実際の残業がずれる理由は、大きく5つに分けられます。
1. 会社全体の平均を書いている
求人の残業時間は、会社全体の平均を書いていることがよくあります。会社全体の平均には、残業がほとんどない部署と、残業が多い部署の両方が含まれます。全体の平均が月20時間でも、配属される部署は月40時間ということは珍しくありません。
2. 1年の平均を書いている
1年間の平均で月20時間でも、忙しい時期と落ち着いた時期の差が大きい会社があります。決算期、年度末、繁忙期には月40時間を超え、閑散期はほぼゼロ、という形です。入社する時期が繁忙期と重なれば、最初の数か月は「20時間どころではない」と感じることになります。
3. 目標や上限の数字を書いている
「20時間以内」という書き方は、実績ではなく会社が目指している上限を表していることがあります。「20時間以内に収めるよう管理している」という意味なのか、「実際に20時間以内だった」という意味なのかで、受け取り方は大きく変わります。
4. 数えている時間の範囲が狭い
会社が残業として数えている時間と、実際に働いている時間がずれていることがあります。始業前の準備、終業後の片付け、昼休みの電話番、持ち帰りの仕事、参加が義務の研修などが、残業として記録されていないケースです。後で説明するように、これらは労働時間に当たることがあります。
5. 求人を出した後に状況が変わった
求人を出した時点では本当に月20時間以内だったのに、人が辞めて欠員が出た、取引先が増えた、といった理由で残業が増えることもあります。求人の数字が更新されていないまま、応募を受け付けている状態です。
この5つのうち、1から3は数字の読み方の問題、4は労働時間の数え方の問題、5は情報の古さの問題です。どれに当たるかによって、確かめるべき質問が変わります。
求人によくある書き方と、読み替え方
残業時間の書き方は、求人によってさまざまです。よく見かける書き方を取り上げて、どう読み替えればよいかを整理します。
「残業月20時間以内」は、上限なのか実績なのかが分からない書き方です。「以内」という言葉は、会社が目指している上限を表しているように読めます。前年度の実績なのか、会社が管理の目標にしている数字なのかを確かめましょう。
「月平均20時間」は、平均であることがはっきりしている書き方です。ただし、会社全体の平均なのか部署の平均なのか、何年度の数字なのかは分からないことがあります。平均である以上、多い月と少ない月があることを前提に読みます。
「残業月20時間程度(繁忙期は30時間程度)」のように、時期による差まで書かれている求人は、実態を説明しようとしている姿勢がうかがえます。面接では、繁忙期がいつなのかを確かめれば十分なことが多いでしょう。
「残業少なめ」「ほぼ定時退社」「残業ほぼなし」のように数字がない書き方は、判断の材料が少ない表示です。少なめが月5時間なのか20時間なのかは、書いた人の感覚によって変わります。数字で答えてもらえるよう、面接で必ず確かめます。
「固定残業代20時間分含む」とだけ書かれ、残業時間の実績が書かれていない求人もあります。この場合、20時間は「残業代として先に払っておく時間」であって、実際の残業時間を示しているわけではありません。実績が20時間より多いのか少ないのかは、別に聞く必要があります。
このように、同じ「20時間」という数字でも、書き方によって意味が変わります。数字だけを見て安心したり疑ったりせず、どの書き方なのかを見分けてから質問を考えると、面接で聞くべきことが絞れます。
求人の表示には法律のルールがある
求人を出す会社は、残業時間について何を書いてもよいわけではありません。職業安定法という法律で、求人の情報を出すときのルールが決められています。
厚生労働省は、求人の情報について次のように説明しています。
職業安定法では、インターネットやX等のSNSを含む広告等により、労働者の募集に関する情報等を提供するときは、虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならないこととされています。 出典: mhlw.go.jp
虚偽の表示とは事実と違うことを書くこと、誤解を生じさせる表示とは、書いてあることは間違っていなくても、ふつうに読む人が違う意味に受け取ってしまう書き方のことです。たとえば、ほとんどの部署で月40時間の残業があるのに、残業が少ない一部の部署だけを取り出して「残業20時間以内」と書くような表示は、誤解を生じさせる表示に当たる可能性があります。
さらに、令和4年10月の改正で、求人の情報を正確で最新の状態に保つことも求められるようになりました。厚生労働省の求人企業向けリーフレットでは、内容が変わったら速やかに求人を更新すること、いつの時点の情報かを明らかにすることが挙げられています。
また、厚生労働省のリーフレットに示された求人票の記載例では、時間外労働の欄に「あり(月平均20時間)」という書き方が使われています。この例のように、時間外労働の有無と、平均であることを明らかにした書き方が、誤解の少ない書き方だと言えます。「残業少なめ」「ほぼ定時」のように数字がない表示や、平均なのか上限なのか分からない表示は、面接で確かめる必要があります。
36協定と特別条項を手がかりにする
もう1つの手がかりが、36協定の中身です。先ほど書いたとおり、会社が残業をさせるには、働く人の代表との間で36協定を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。
厚生労働省の働き方改革の特設サイトでは、残業時間の上限は原則として月45時間・年360時間で、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできないと説明されています。特別の事情がある場合に限って、この原則を超える時間を定めることができ、これを「特別条項」と呼びます。特別条項を使う場合でも、年720時間以内、休日労働を含めて複数月の平均で80時間以内、単月で100時間未満といった上限があり、原則の月45時間を超えられるのは年に6か月までです。
求人票に36協定の特別条項の有無が書かれていることがあります。特別条項が「あり」の会社は、忙しい時期に月45時間を超える残業が起こりうる前提で協定を結んでいるということです。「残業20時間以内」と書かれていても、特別条項があるなら、繁忙期の実態を面接で確かめておくとよいでしょう。逆に、特別条項がないなら、少なくとも協定の上では月45時間を超える残業はさせられないことになります。
労働時間に当たる時間を知っておく
「残業20時間以内」の数字を正しく読むには、何が労働時間に当たるのかを知っておくことが大切です。会社が残業として数えていない時間の中に、法律の上では労働時間に当たるものが含まれていることがあるからです。
厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、労働時間を次のように説明しています。
労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる。 出典: mhlw.go.jp
使用者とは会社のこと、指揮命令下とは会社の指示を受けて動いている状態のことです。「明示又は黙示の指示」とは、はっきり命じられた場合だけでなく、そうせざるを得ない状況に置かれている場合も含むという意味です。
同じガイドラインでは、次のような時間を労働時間として扱わなければならないと書かれています。
・会社の指示で、仕事に必要な準備(決められた服装への着替えなど)や、仕事の後の片付け(清掃など)を職場で行った時間
・すぐに仕事に入れるよう待機している時間(いわゆる手待時間)
・参加が義務になっている研修や、会社の指示で行った業務に必要な学習の時間
たとえば、始業の30分前に来て朝礼の準備をするのが暗黙のルールになっている職場では、その30分が労働時間に当たる可能性があります。毎日30分なら、月20日で10時間です。求人の「残業20時間以内」が記録された残業だけの数字であれば、実際には月30時間近く働いている計算になります。
面接で残業時間を聞くときは、こうした時間が数字に含まれているかどうかも確かめましょう。
固定残業代がある求人の読み方
「残業20時間以内」の求人で特に気をつけたいのが、固定残業代とセットになっている場合です。
固定残業代とは、一定時間分の残業代を、残業の有無にかかわらず毎月の給与にあらかじめ含めて払う仕組みのことです。「月給25万円(固定残業代20時間分・3万円を含む)」のような書き方をします。
厚生労働省の指針では、固定残業代の仕組みを使う場合、固定残業代の計算方法(何時間分でいくらか)、固定残業代を除いた基本給の額、決めた時間を超えた分の残業代を追加で払うことを明示するよう求めています。
固定残業代が20時間分で、求人に「残業20時間以内」と書かれている場合は、2つのことが読み取れます。1つは、会社が少なくとも月20時間程度の残業を想定していることです。もう1つは、20時間を超えた分は追加で払われるはずだということです。
ここで確かめたいのは、次の点です。
・固定残業代が何時間分で、いくらなのか
・固定残業代を除いた基本給はいくらなのか
・20時間を超えたとき、超えた分の残業代は実際に払われているのか
・残業が20時間に満たない月も、固定残業代は全額払われるのか
労働基準法では、残業させた時間には、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金を払う必要があり、1か月の残業が60時間を超えた分は5割以上の割増になります。固定残業代を払っていても、決めた時間を超えた分の割増賃金を払わなくてよいことにはなりません。
働き方の仕組みによって残業の数え方が変わる求人
求人によっては、残業の数え方そのものが一般的な働き方と違う場合があります。これを知らずに「残業20時間以内」を読むと、入社後に戸惑うことになります。
1つ目は、管理監督者として扱われる場合です。管理監督者とは、労働基準法で労働時間や休日の決まりが当てはまらないとされている立場の人のことで、経営に近い立場で働き、それにふさわしい待遇を受けている人が対象です。肩書きが「店長」「マネージャー」であっても、実態がそうでなければ管理監督者には当たらないとされています。管理職の求人で残業時間が書かれている場合は、入社後に残業代の対象になるのかどうかを確かめましょう。
2つ目は、裁量労働制が使われている場合です。裁量労働制とは、仕事の進め方や時間の配分を働く人に任せる働き方で、実際に働いた時間にかかわらず、あらかじめ決めた時間を働いたものとみなす仕組みです。対象になる仕事の種類は法律で限られています。この働き方では、「残業20時間」という数字の意味が一般的な働き方とは違ってくるので、どの制度で働くのかを確かめることが大切です。
3つ目は、外回りの仕事などで、事業場外のみなし労働時間制が使われている場合です。会社の外で働いていて労働時間を把握しにくいときに、決められた時間を働いたものとみなす仕組みです。営業職の求人などで使われることがあります。
どの制度で働くのかは、労働条件通知書の労働時間の欄に書かれます。求人の残業時間を読むときは、まず自分がどの働き方の対象になるのかを確かめ、そのうえで数字の意味を考えましょう。制度の当てはめ方は事情によって変わるので、疑問があれば総合労働相談コーナーなどで相談してください。
面接で残業の実態を確かめる聞き方
ここからが本題です。面接で残業について聞くと印象が悪くなるのでは、と心配する人は多いと思います。企業の採用担当の側から見ると、残業について聞かれること自体を問題にするケースは多くありません。印象を左右するのは、聞き方です。
「残業はありますか」「残業は本当に20時間以内ですか」と一言で聞くと、働く意欲より条件ばかり気にしているように受け取られることがあります。一方で、仕事の進め方や1日の流れを理解したいという形で聞けば、入社後の働き方を真剣に考えている姿勢として伝わります。
次のような聞き方がおすすめです。
数字の中身を確かめる質問
・求人にある残業時間は、会社全体の平均でしょうか、それとも配属予定の部署の数字でしょうか
・その数字は、いつの期間の実績でしょうか
・同じ部署で、残業が多い月はどのくらいになりますか
1日の流れを確かめる質問
・配属予定の部署の方は、ふだん何時ごろに退社されていますか
・1日の仕事の流れを教えていただけますか。朝は何時ごろから準備を始める方が多いですか
・お客様からの連絡や会議が、定時の後に入ることはありますか
時期による波を確かめる質問
・1年の中で忙しい時期はいつごろで、その時期の働き方はどう変わりますか
・入社予定の時期は、忙しい時期と重なりますか
記録と支払いを確かめる質問
・勤務時間はどのように記録されていますか(タイムカード、パソコンの記録など)
・固定残業代の時間を超えたときは、どのように支払われていますか
最後の記録の方法は、意外と大切な質問です。厚生労働省のガイドラインでは、会社は始業と終業の時刻を確認して記録すること、原則としてタイムカードやICカード、パソコンの使用時間の記録など客観的な記録を基礎として確認することが求められています。記録の方法がはっきりしている会社ほど、残業時間の数字も実態に近いと考えられます。
面接の後半で「何か質問はありますか」と聞かれたときに、2つか3つに絞って聞くとよいでしょう。全部を一度に聞く必要はありません。聞きそびれたことは、内定後の条件確認の場で聞いても問題ありません。
答え方から読み取れるサイン
質問への答え方からも、実態を読み取る手がかりが得られます。
具体的な数字や場面で答えてくれる会社は、残業の実態を把握している可能性が高いと言えます。「部署の平均は月18時間ほどで、3月の決算期は30時間前後になります」「多くの人は19時ごろに退社しています」といった答えです。
反対に、次のような答えが続く場合は、もう一歩踏み込んで聞いてみる価値があります。
・「人によります」「本人次第です」とだけ答える
・「みんな頑張っています」「やる気があれば問題ありません」と、時間の話を避ける
・「求人に書いてあるとおりです」と、中身の説明がない
・記録の方法を聞いても、はっきりした答えがない
「人によります」と言われたら、「配属予定のチームでは、多い方と少ない方でどのくらいの幅がありますか」と聞き直してみましょう。答えにくそうにしているときは、無理に問い詰める必要はありません。その反応自体が、判断の材料になります。
可能であれば、職場見学や、配属予定の部署の社員と話す機会をお願いしてみるのも有効です。実際に働いている人の話や、夕方の職場の雰囲気から分かることは多くあります。
残業が増えやすい職場のサイン
面接や職場見学の場で、残業が増えやすい職場かどうかを見分けるサインもあります。どれか1つが当てはまるから悪い職場、ということではありませんが、複数が重なるときは、残業時間について一歩踏み込んで確かめてみましょう。
まず、募集の背景です。欠員による募集で、前任者の退職から時間が経っている場合は、その間の仕事をほかの人が分担していることがあります。入社後しばらくは、引き継ぎと日々の仕事が重なって残業が増えやすくなります。
次に、同じ求人が長い期間出ているかどうかです。何か月も同じ求人が掲載され続けている場合は、人が集まりにくい事情や、入社してもすぐ辞めてしまう事情があるかもしれません。面接で「この求人はいつから募集していますか」と聞いてみるのも1つの方法です。
そして、仕事の量を人の数で割ったときの釣り合いです。「少数精鋭」「一人ひとりの裁量が大きい」という言葉は、見方を変えれば、1人あたりの仕事量が多いということでもあります。チームの人数と担当している取引先や案件の数を聞くと、仕事量の目安がつかめます。
最後に、夕方の職場の様子です。職場見学ができる場合は、可能なら夕方の時間帯をお願いしてみましょう。定時を過ぎても多くの人が席に残っているか、帰る人が多いかで、日常の雰囲気が分かります。
内定後、入社前に書面で受け取るもの
内定が出たら、入社を承諾する前に労働条件通知書を受け取り、中身を確かめましょう。
労働基準法では、会社は労働契約を結ぶときに、働く人に労働条件を示さなければならず、給与や働く時間などの大事な項目は書面で渡すことが原則として義務になっています。厚生労働省の「確かめよう労働条件」というサイトによると、書面で示さなければならない事項には、始業と終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日などが含まれています。
労働条件通知書で確かめたいのは、次の点です。
・始業と終業の時刻、休憩時間
・所定労働時間を超える労働の有無
・給与の内訳(基本給、手当、固定残業代の時間数と金額)
・固定残業代の時間を超えた分の扱い
・休日と休暇
面接で聞いた残業の話と書面の内容が違っていたら、承諾する前に理由を聞きます。また、書面で示された労働条件が事実と違う場合、労働基準法第15条では、働く人はすぐに労働契約を解除できると定めています。この規定を使う場面に備える意味でも、書面は必ず受け取り、保存しておきましょう。
入社後に残業が多いと感じたときにすること
入社してから、聞いていたより残業が多いと感じることもあります。そのときは、次の順番で進めるのが安全です。
1つ目は、記録を残すことです。会社の勤怠の記録とは別に、自分でも出勤と退勤の時刻、休憩を取れたかどうか、始業前や終業後にした作業を毎日メモしておきます。スマートフォンのメモや手帳で構いません。パソコンの起動と終了の時刻、業務のメールを送った時刻も、働いていた時間の裏付けになります。給与明細も毎月保存しておきましょう。
2つ目は、社内で確かめることです。上司や人事の担当者に、面接で聞いていた残業の見込みと実態が違う点を、具体的な数字で伝えます。人の配置や仕事の割り振りで改善できることもあります。口頭だけでなく、メールで相談しておくと記録になります。
3つ目は、外部の窓口に相談することです。総合労働相談コーナーは、各都道府県の労働局や全国の労働基準監督署の中などに設けられている無料の窓口で、厚生労働省のページによると全国の378か所にあります。職場のトラブル全般について相談でき、労働基準法などに違反している疑いがあれば、指導の権限を持つ部署に取り次いでもらえます。
職場のトラブルに関するご相談や、解決のための情報提供をワンストップで行っています。 出典: mhlw.go.jp
ハローワークの求人で応募した場合は、「ハローワーク求人ホットライン」に申し出ることもできます。求人票と実際が違っていた場合に、担当のハローワークが事実を確認したうえで会社に是正指導を行う仕組みです。
残業代が払われていない場合は、労働基準監督署に相談できます。相談のときは、求人の画面の保存、労働条件通知書、給与明細、自分で付けた勤務時間の記録を持っていくと、話が早く進みます。
辞めるかどうかを決める前に整理しておきたいこと
残業が聞いていた話と違うと分かったとき、すぐに辞めたいと考える人もいると思います。その気持ちは自然なものですが、決める前に整理しておくと、次の仕事選びで同じことを繰り返しにくくなります。
まず、ずれの原因を書き出します。会社全体の平均と部署の差だったのか、繁忙期に入社したからなのか、準備や片付けの時間が数えられていなかったのか、欠員で一時的に仕事が増えているのか。原因によって、社内での異動や時期の経過で解決する場合もあれば、職場を変えないと解決しない場合もあります。
次に、残業代がきちんと払われているかを確かめます。給与明細の残業代の欄と、自分で付けた勤務時間の記録を見比べてみましょう。払われていない分があれば、辞める前でも辞めた後でも、窓口に相談できます。ただし、請求できる期間には期限があるので、気づいたら早めに相談するのが安全です。
そして、次の仕事に求める条件を言葉にします。「残業が月何時間までなら続けられるか」「繁忙期の波はどのくらいまでなら受け入れられるか」「定時に帰れる日が週に何日あればよいか」を具体的に決めておくと、次の面接で聞くべき質問がはっきりします。前の職場でのずれの経験は、次の職場を選ぶときの大切な判断材料になります。
体調に不安があるときは、働く時間の問題を1人で抱え込まず、医療機関や職場の産業医、相談窓口など、話を聞いてもらえる場所を早めに頼ってください。
応募する前に求人を見比べるためのチェック項目
最後に、応募の前に求人を見比べるときに使える項目を整理しておきます。
| 確かめる項目 | 求人で見るところ | 面接で聞くこと |
|---|---|---|
| 残業時間の範囲 | 平均か上限か、全社か部署か | 配属予定の部署の実績 |
| 集計の期間 | 前年度の実績か | 繁忙期の残業時間 |
| 固定残業代 | 時間数と金額、超過分の扱い | 超えた分が払われているか |
| 勤務時間の記録 | 記載があれば確認 | タイムカードなど記録の方法 |
| 始業前と終業後 | 就業時間の書き方 | 準備や片付けの時間の扱い |
| 休日出勤 | 休日の欄、年間休日 | 休日出勤の頻度と振替休日 |
同じ「残業20時間以内」でも、平均であることや集計の期間まで書いている求人と、数字だけが書かれている求人では、確かめなければならないことの量が違います。書かれている情報が細かい求人ほど、会社が条件の説明に手間をかけていると考えてよいでしょう。
運営者の視点から見た、働く時間の守り方
在宅ワークやフリーランスの仕事の仲介を長く見てきた立場から言えば、働く時間で後悔しない人は、数字そのものより「数字の中身」を確かめる習慣を持っています。求人の「20時間以内」を信じるか疑うかではなく、誰の、いつの、何を含めた数字なのかを、面接と書面で1つずつ確かめる。この手順を踏んだ人ほど、入社後に「話が違う」と感じることが少ないように見えます。
働く時間を自分で決めたいという理由で、会社員の仕事に加えて在宅の仕事を始める人や、業務委託の働き方を選ぶ人も増えています。業務委託の仕事では、仲介の手数料が少ない取引ほど、同じ報酬額でも手元に残る額は厚くなります。手数料0%で受発注できる仕組みを選ぶことは、時間あたりの報酬を守るうえで効き目の大きい選択です。
残業が少なく、成果で評価されやすい仕事に関心がある方は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、仕事の内容と求められる力を確かめておくとよいでしょう。システム開発の仕事を考えている方は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で職種ごとの収入の目安を確かめられます。手に職をつけて働き方の選択肢を広げたい方は、宅地建物取引士(宅建)のように、資格を生かせる仕事を調べてみるのも1つの方法です。
よくある質問
Q. 求人の「残業20時間以内」が実際と違ったら、法律違反になりますか?
職業安定法では、求人の情報を出すときに虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならないと定められています。実態が大きく違う場合は、このルールに反する可能性があります。ただし、平均や時期の違いで説明がつく場合もあります。求人の画面の保存と勤務時間の記録を用意して、総合労働相談コーナーに相談してください。
Q. 月20時間の残業は多いほうですか?
厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、2025年の一般労働者の所定外労働時間は1か月あたり13.2時間でした。業種によって差があり、運輸業・郵便業は24.1時間、医療・福祉は6.7時間です。月20時間は1日あたり約1時間で、法律の原則の上限である月45時間よりはかなり少ない水準です。
Q. 面接で残業について聞くと、不採用になりやすくなりますか?
聞き方を工夫すれば、心配する必要はあまりありません。「残業はありますか」と一言で聞くより、「配属予定の部署の方は何時ごろ退社されていますか」「忙しい時期はいつですか」のように、仕事の流れを理解したい形で聞くと、働き方を真剣に考えている姿勢として伝わります。
Q. 始業前の準備や朝礼の時間は、残業に含まれますか?
厚生労働省のガイドラインでは、会社の指示で行う準備や片付け、参加が義務の研修などは労働時間に当たると説明されています。決められた始業時刻より前に行う作業が会社の指示によるものであれば、その時間も労働時間として扱われる可能性があります。気になる場合は毎日の時刻を記録し、窓口で相談してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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