軽バンで始める副業の中身と、車を用意する前に知っておくこと


この記事のポイント
- ✓軽バンで副業を始めたい人向けに
- ✓軽バンでできる仕事の種類
- ✓荷物を運んで報酬を得るのに必要な運輸支局への届出と黒ナンバー
軽バンで副業を始めたいと考えている人が、最初に知っておくべきことがあります。それは、自分の軽バンで他人の荷物を運んで報酬を受け取るには、運輸支局への届出が必要で、ナンバープレートも事業用(いわゆる黒ナンバー)に変えなければならないということです。さらに2024年の法改正(令和6年法律第23号)で、四輪の軽自動車で荷物を運ぶ事業者に、安全管理者の選任と講習の受講が求められるようになり、業務の記録も義務になっています。
この記事では、軽バンでできる副業の種類と、車を用意する前に確かめておくべき手続き、安全のための義務、車の手に入れ方、保険、契約、税金を、国土交通省のページと法令をもとに順に整理します。結論を先に書くと、軽バンの副業の中心は荷物を運ぶ軽貨物の仕事で、始めるには貨物軽自動車運送事業の届出、事業用のナンバー、事業用の任意保険、貨物軽自動車安全管理者の講習がそろっている必要があります。車を買うのは、これらを確かめたあとで十分です。
軽バンでできる副業の種類
軽バンを使った副業は、大きく分けて3つの形があります。
| 形 | 仕事の例 | 必要になる主な手続き |
|---|---|---|
| 荷物を運ぶ | 宅配の荷物の配達、企業の決まった配送、急ぎの単発の配送 | 貨物軽自動車運送事業の届出、事業用のナンバー |
| 物を売る | 食品や雑貨の移動販売 | 扱う品によって、保健所の許可や自治体の手続き |
| 作業に使う | 出張の作業の道具を運ぶ(自分の道具を運ぶだけの場合) | 作業の内容による |
検索で「軽バン 副業」と調べる人の多くが考えているのは、1つ目の荷物を運ぶ仕事です。この記事でも、荷物を運ぶ軽貨物の仕事を中心に説明します。
2つ目の移動販売は、軽バンを店舗のように使う働き方です。食品を扱う場合は、地域の保健所の営業許可が必要になることがあり、扱う品や調理の有無によって手続きが変わります。地域によって扱いが違うので、始める前に保健所と自治体の窓口に確かめます。
3つ目は、自分の仕事の道具を運ぶために軽バンを使う形です。たとえば出張で家具の組み立てをする人が、自分の工具を積んで移動するだけなら、荷物を運ぶ事業にはあたりません。ただし、作業のついでに依頼主の荷物を有料で運ぶと、荷物を運ぶ事業にあたる可能性があります。線引きに迷う場合は、運輸支局に相談します。
インフラの仕事で言えば、どのサービスを動かすかを決める前に、そのサービスに必要な権限と設定を洗い出すのと同じです。軽バンも、何に使うかを先に決めないと、必要な手続きが決まりません。
荷物を運ぶ仕事の3つの形
軽バンで荷物を運ぶ仕事にも、いくつかの形があります。副業として受けやすいかどうかは、形によって大きく違います。
| 形 | 仕事の中身 | 副業との相性 |
|---|---|---|
| 宅配 | 個人の家に荷物を届ける。1日に多くの件数を回る | 時間帯を選べる仕事なら合わせやすいが、再配達や不在への対応がある |
| 企業の決まった配送 | 毎日決まった時間に、決まった先へ荷物を運ぶ | 平日の日中が多く、本業と重なりやすい |
| 単発の配送 | 急ぎの荷物を1件ずつ運ぶ。依頼があるときだけ受ける | 空いた時間に受けやすいが、件数は依頼の量に左右される |
会社員が副業として受けるなら、土日や平日の夜など、本業と重ならない時間に受けられる形を選ぶことになります。企業の決まった配送は、毎日同じ時間に入ることを求められることが多く、本業がある人には合わせにくい形です。
単発の配送は、受けたいときだけ受けられる自由さがある一方、依頼が少ない日は収入がほとんど出ません。宅配は、件数が多い分、1件ごとの報酬は小さく、件数をこなす段取りの力が収入を左右します。
自分の空き時間がどの形に合うかを先に考え、その形の仕事を受ける先を探す、という順番で進めると、車を用意したあとに仕事が見つからないという事態を防げます。
1日の流れの例
土日に宅配の仕事を受ける場合を例に、1日の流れを描いてみます。
朝は、運転の前に車の日常点検をします。道路運送車両法では、事業用の自動車の使用者は、1日1回、運行を始める前に、灯火やブレーキなどを点検しなければならないとされています。点検が済んだら、荷物を受け取る拠点へ向かいます。
拠点では、その日に届ける荷物を受け取り、届け先の順番を考えながら荷台に積みます。積み方の工夫で、届け先に着いてから荷物を探す時間が大きく変わります。
配達の途中では、業務の記録に必要な、出発と到着の時刻、休憩をとった時刻と場所を残していきます。スマートフォンのアプリや紙の記録表など、自分が続けやすい方法を選びます。
すべての荷物を届けたら、持ち戻った荷物があれば拠点に返し、その日の記録を整えて終わります。帰宅後は、走った距離や燃料代を帳簿につけておくと、月末にまとめて計算する手間が減ります。
荷物を運ぶには届出と事業用のナンバーが要る
他人の荷物を軽自動車で運び、その対価を受け取る仕事は、法律上「貨物軽自動車運送事業」にあたります。貨物自動車運送事業法第36条は、この事業を始めようとする人は、営業所の名称と位置、事業用自動車の概要などを国土交通大臣に届け出なければならないと定めています。届出の窓口は、地域の運輸支局です。条文は e-Gov法令検索の貨物自動車運送事業法 で確かめられます。
届出をすると、軽自動車検査協会で車のナンバーを事業用に変える手続きに進みます。事業用の軽自動車のナンバーは黒地に黄色の文字で、一般に「黒ナンバー」と呼ばれます。自家用の黄色いナンバーのまま、有料で他人の荷物を運ぶことはできません。
ここで注意したいのは、届出は「許可」ではないという点です。一般の運送会社がトラックで事業をするには国土交通大臣の許可が必要ですが、軽自動車で荷物を運ぶ場合は届出で始められます。手続きが比較的簡単なことが、軽バンの副業が始めやすいと言われる理由の一つです。ただし、届出で始められるからといって、守るべきことが少ないわけではありません。次の節で説明する安全の義務は、届出をした事業者すべてにかかわります。
届出の前に決めておくこと
届出では、営業所の位置や、事業に使う車の概要を書きます。副業として自宅を営業所にする場合は、車を止める場所(車庫)が確保できるかも確かめておきます。賃貸の駐車場を使う場合は、事業用の車を止めてよいかを貸主に確かめます。
届け出た内容が変わるとき
貨物自動車運送事業法第36条は、届出をした事業者が、届け出た事項を変更しようとするときも届け出なければならないとしています。たとえば、引っ越しで営業所の位置が変わる、事業に使う車を買い替える、といった場合です。車を増やしたり替えたりするときは、ナンバーの手続きとあわせて、運輸支局に変更の届出が必要になるかを確かめます。
副業をやめるときも、事業用のナンバーのまま車を置いておくと、事業用の保険料や手続きが残ります。やめると決めたら、運輸支局と軽自動車検査協会で必要な手続きを確かめ、車をどうするか(自家用に戻す、手放す)を決めます。始めるときだけでなく、変えるとき、やめるときの手続きまで頭に入れておくと、副業を身軽に続けられます。
法改正で求められる安全管理者と業務の記録
軽貨物の仕事を始める人が見落としやすいのが、安全のための義務です。2024年に成立した法改正(令和6年法律第23号)で、四輪の軽自動車で荷物を運ぶ事業者には、貨物軽自動車安全管理者の選任などが求められるようになりました。国土交通省は、次のように案内しています。
貨物軽自動車運送事業者は、営業所ごとに、貨物軽自動車安全管理者を選任する必要があります。貨物軽自動車安全管理者になるためには、事前の講習受講と2年ごとの定期講習の受講が必要となりますので、本ページに記載されている国土交通省が登録した機関において受講するようお願いします。 出典: 国土交通省 登録貨物軽自動車安全管理者講習機関の一覧
副業で1人で始める場合は、自分自身が安全管理者になるのが一般的です。法律では、届出のあと速やかに、営業所ごとに1人の貨物軽自動車安全管理者を選ぶこととされていて、選ぶ日の前2年以内に、国の登録を受けた機関の講習を修了している必要があります。選んだら運輸支局に届け出ます。講習を行う登録機関は国土交通省のページに一覧があり、eラーニングで受けられる機関もあります。
業務の記録と事故の記録
貨物自動車運送事業輸送安全規則は、四輪以上の軽自動車で荷物を運ぶ事業者に、運転の業務を記録させ、その記録を1年間保存することを求めています。記録する項目は、運転した人の氏名、車を識別できる番号、業務の開始と終了の地点と日時、主な経過地点、走った距離、休憩をとった地点と日時などです。
同じ規則には、運転者ごとの台帳の作成や、運転者への指導と監督の記録なども定められています。副業で1人で運ぶ場合でも、事業者として求められることは変わりません。条文は e-Gov法令検索の貨物自動車運送事業輸送安全規則 で読めます。
インフラの運用では、障害が起きたときに何が起きたかを追えるよう、ログを残すことが基本です。軽貨物の業務の記録も同じで、事故やトラブルが起きたときに、いつどこを走っていたかを示す材料になります。毎日の記録を習慣にしておくと、後から慌てずに済みます。
車を用意する前に確かめる5つのこと
軽バンの副業で一番大きな出費は、車です。車を買ってから「思っていた仕事がなかった」と気づくと、手元に車とローンだけが残ります。車を用意する前に、次の5つを確かめておきます。
- 運びたい荷物と仕事の形(宅配か、企業の決まった配送か、単発の配送か)
- その仕事を、副業の空き時間で受けられるか(土日だけ、平日の夜だけで成り立つか)
- 仕事を受ける先(運送会社や配送のサービスなど)が求める車の条件
- 黒ナンバーの車で入れる事業用の任意保険の保険料
- 安全管理者の講習を受ける時間と費用
特に3つ目は大切です。仕事を受ける先によっては、車の大きさや荷室の形、年式などに条件をつけていることがあります。条件に合わない車を買ってしまうと、その仕事は受けられません。
4つ目の任意保険も、見落としやすい費用です。事業用の車の保険は、自家用の車の保険と条件が違い、保険料も変わります。車を決める前に、保険会社や代理店で見積もりを取っておくと、毎月の固定の費用が見えてきます。
車を手に入れる方法を比べる
軽バンを手に入れる方法は、大きく分けて、買う、リースで借りる、短期で借りる、の3つです。
| 方法 | 向いている人 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 新車・中古車を買う | 長く続けると決めている人 | 初期の費用が大きい。仕事が合わなかったときに車が残る |
| リースで借りる | 初期の費用を抑えたい人 | 契約の期間の途中で解約すると費用がかかることがある |
| 短期で借りる | まず試してみたい人 | 黒ナンバーで借りられるか、事業に使ってよいかを確かめる |
副業として始めるなら、いきなり買うより、まず短い期間で試せる方法から始めるほうが、失敗したときの損を小さくできます。仕事が自分に合うか、空き時間で十分な件数を受けられるかを確かめてから、買うかどうかを決めます。
ローンで車を買う場合は、毎月の返済の額と、副業で得られる見込みの収入を並べて考えます。副業の収入は、天候や荷物の量、本業の忙しさで上下します。収入が少ない月でも返済が続けられるかを確かめておきます。
仕事を受ける形と契約
軽貨物の副業の多くは、運送会社や配送のサービスから業務委託で仕事を受ける形です。業務委託とは、雇われるのではなく、個人事業主として仕事を請け負う形のことです。
業務委託で仕事を受ける個人を守る法律として、フリーランス・事業者間取引適正化等法が2024年11月1日に施行されています。厚生労働省は、この法律で、個人で働くフリーランスに業務委託を行う発注事業者に、取引条件の明示、給付を受け取った日から原則60日以内の報酬の支払い、ハラスメント対策の体制整備などが義務づけられると説明しています。
契約の前に、次の点を書面で確かめます。
・1件または1日あたりの報酬と、その計算の方法 ・燃料代、高速道路の料金、駐車場の料金を誰が負担するか ・荷物の破損や紛失があったときの責任の範囲 ・事故を起こしたときの扱い ・報酬の締め日と支払日 ・契約を終えるときの手続き
報酬の額だけを見て決めると、燃料代や駐車場の料金を自分で負担する条件で、手元に残る額が思ったより少なくなることがあります。
収支の見通しを立てる
軽バンの副業の収支は、売上から、車と仕事にかかる費用を差し引いて考えます。費用には、次のようなものがあります。
・車の購入費やリース料、ローンの返済 ・燃料代 ・事業用の任意保険の保険料 ・車検や点検、タイヤなどの消耗品 ・駐車場代、高速道路の料金 ・安全管理者の講習の費用 ・携帯電話の通信料など
これらは、仕事の量に関係なくかかる固定の費用と、走った距離に応じて増える費用に分けられます。副業で受けられる仕事の量が少ないうちは、固定の費用の負担が重く感じられます。月にどれくらいの件数を受ければ固定の費用をまかなえるかを、始める前に計算しておくと、続けるかどうかの判断がしやすくなります。
インフラの案件の見積もりでも、月額の固定の費用と、使った量で増える費用を分けて考えます。軽バンの副業も同じ考え方で、固定の費用をどこまで下げられるかが、手元に残る額を左右します。
車の点検と日々の管理
事業用の軽バンは、自家用の車より長い距離を走り、乗り降りや積み下ろしの回数も多くなります。車の状態を保つことが、安全にも、収入にもつながります。
前の節で触れたように、事業用の自動車は1日1回、運行を始める前に日常点検をする必要があります。灯火の点灯、ブレーキの効き、タイヤの空気圧と溝の深さ、エンジンオイルや冷却水の量などを目で見て確かめます。点検の項目を紙に書いて車に積んでおくと、毎朝の確認を漏らさずにできます。
道路運送車両法では、事業用の自動車は、決められた期間ごとに定期の点検もしなければならないとされています。点検や車検の時期を帳簿や予定表に書いておき、仕事の予定と重ならないように整備の日を確保します。
タイヤやブレーキの部品は、走った距離に応じてすり減ります。こうした消耗品の交換の費用も、収支の見通しに入れておきます。
荷物の扱いとお客様への対応
荷物を運ぶ仕事は、運転だけで終わりません。荷物を丁寧に扱うこと、届け先のお客様に気持ちよく受け取ってもらうことが、仕事を続けるうえで欠かせません。
荷物の扱いでは、「こわれもの」「天地無用」などの表示を守り、重い荷物を下に、軽い荷物を上に積みます。雨の日は、荷物が濡れないよう、積み下ろしのときに気を配ります。
届け先では、あいさつと本人の確認を丁寧に行います。不在のときの対応や、置き配の扱いは、仕事を受ける先のルールに従います。お客様から苦情を受けたときは、その場で言い争わず、内容を記録して、仕事を受ける先に報告します。
こうした対応の積み重ねが、仕事を受ける先からの評価につながり、条件のよい仕事を任されることにもつながります。
移動販売を考える場合
軽バンを使った副業には、荷物を運ぶ仕事のほかに、移動販売もあります。軽バンの荷室を売り場として使い、イベントや決まった場所で品物を売る働き方です。
移動販売で食品を扱う場合は、地域の保健所の営業許可が必要になることがあります。調理をするかどうか、どんな食品を扱うかで、必要な許可や車の設備が変わります。調理をして売るには、車に流しや給水のタンクなどの設備が求められることが一般的で、軽バンを改造する費用もかかります。
移動販売では、売る場所の確保も課題です。道路での販売には警察の許可が関係することがあり、私有地やイベントの会場で売る場合は、持ち主や主催者の了承が要ります。地域や扱う品で手続きが変わるため、始める前に保健所、警察署、自治体の窓口に確かめます。
荷物を運ぶ仕事と比べると、移動販売は準備の手間と費用がかかる一方、自分で値段や品ぞろえを決められる自由があります。どちらを選ぶかは、自分が何をしたいかで決めます。
事故とけがへの備え
軽バンの副業で最も避けたいのは、事故です。荷物を早く届けようと急いだり、本業のあとで疲れたまま運転したりすると、事故の危険が高まります。
事業として運転する以上、事故を起こしたときの責任は、事業者である自分が負います。事業用の任意保険に入り、対人・対物の補償の額を十分にしておきます。荷物の破損や紛失に備える保険が必要かどうかも、仕事を受ける先との契約の内容を見て決めます。
業務委託で働く個人事業主は、雇われて働く人と違い、原則として労災保険の対象になりません。けがで働けなくなったときの収入の保障を、どう備えるかも考えておきます。
運転の前には、体調を確かめ、睡眠が足りていない日は無理をしません。積み込みや荷下ろしでは、重い荷物で腰を痛めないよう、膝を曲げて体に近づけてから持ち上げます。
仕事を受ける先を選ぶときのポイント
軽貨物の仕事を受ける先には、運送会社、配送の仕事を仲介する会社、配送のサービスを運営する会社などがあります。どこから仕事を受けるかで、働き方も手元に残る額も変わります。選ぶときは、次の点を見ます。
1つ目は、契約の中身が書面で示されるかどうかです。報酬の額と計算の方法、費用の負担、事故のときの扱い、支払日が書かれているかを確かめます。説明が口頭だけで、書面を出し渋る相手は避けます。
2つ目は、報酬から差し引かれるものです。仲介の手数料、車や機材の貸し出しの費用、保険の費用などが報酬から差し引かれる形の契約もあります。差し引かれたあとの額で比べます。
3つ目は、副業の時間に合う仕事を出しているかどうかです。土日だけ、夜だけで受けられる仕事があるかを、契約の前に聞いておきます。
4つ目は、安全への姿勢です。事故や体調不良のときの連絡の仕組みがある、無理な件数を押しつけない、といった点は、長く安心して働けるかどうかにかかわります。
最初の数か月は学ぶ期間と考え、1つの相手に頼りすぎず、条件を見比べながら続ける先を決めていくと、失敗が少なくなります。
慌てないための準備
インフラの仕事で冷や汗をかくのは、たいてい「想定していなかったこと」が起きたときです。軽バンの副業でも、準備の差がそのまま当日の余裕の差になります。
渋滞や道の工事で予定より遅れることは、毎日のように起こります。時間に余裕のある計画を立て、遅れそうなときは早めに連絡します。初めての地域を回るときは、前日に地図で道を確かめておきます。
車の故障やパンクに備えて、ロードサービスの連絡先を控えておきます。事業用の任意保険に付いているかどうかも確かめます。スマートフォンの電池が切れると、地図も連絡も使えなくなるので、車の中で充電できるようにしておきます。
体調が悪い日に無理をしないことも、準備のうちです。代わりに受けてもらえる仲間や、休むときの連絡の方法を決めておくと、いざというときに慌てずに済みます。
家族と話しておくこと
軽バンの副業は、家族の生活にもかかわります。始める前に、家族と次のことを話しておきます。
・副業をする時間帯と、家族と過ごす時間の分け方 ・車の購入やリースの費用と、家計への影響 ・事故やけがのときの備え(保険の内容) ・自宅を営業所にする場合の、車の置き場所や荷物の扱い
土日に副業をすると、家族と過ごす時間が減ります。家族の理解があるかどうかで、続けられるかどうかが変わります。
税金と開業の手続き
軽貨物の副業は、個人事業として行うのが一般的です。事業を始めたら、税務署に開業の届出を出します。開業届の提出の期限は、開業した年分の確定申告の期限までです。
副業の所得がある会社員は、給与以外の所得の合計額が20万円を超えると、確定申告が必要になります。国税庁のタックスアンサーにも、給与を1か所から受けていて、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人は確定申告が必要と書かれています。所得とは、売上から経費を差し引いた額のことです。
青色申告を選ぶと、帳簿のつけ方に応じて、原則55万円、電子帳簿の保存やe-Taxでの申告をすると65万円の特別控除を受けられます。毎日の業務の記録と、燃料代や保険料の領収書を整理しておくと、帳簿づけが楽になります。
税金の扱いは、所得の額やほかの所得の状況で変わります。迷うところは、税務署や国税庁のタックスアンサーで確かめてください。
副業として続けるための時間の使い方
軽バンの副業は、本業との両立が続けられるかどうかで、成否が分かれます。
1つ目は、受ける時間を決めることです。土日だけ、平日の夜の数時間だけ、と最初に決めておき、それを超えて受けないようにします。荷物の量が多い時期に受けすぎると、本業に疲れが出ます。
2つ目は、休む日を決めることです。本業と副業で毎日働く状態が続くと、運転の集中力が落ちます。副業をしない日を週に1日は確保します。
3つ目は、記録を見返すことです。業務の記録には、走った距離や時間が残ります。1件あたりにかかった時間と、手元に残った額を見比べると、続ける価値があるかを判断できます。
会社員が副業として始める場合の会社への確認や住民税の扱いは、勤め先の就業規則と自治体の案内で確かめます。
向いている人、つまずきやすい点
向いているのは、運転が好きで、道を覚えるのが得意な人、1人で黙々と作業を進めるのが苦にならない人、時間を決めて自分を管理できる人です。
つまずきやすい点は3つあります。
1つ目は、車を先に用意してしまうことです。仕事の条件や保険料、安全管理者の講習を確かめる前に車を買うと、使えない車とローンが残ることがあります。
2つ目は、費用を甘く見積もることです。燃料代、保険料、駐車場代、車の消耗は、毎月確実にかかります。売上だけを見て始めると、手元に残る額の少なさに驚くことになります。
3つ目は、安全の義務を知らずに始めることです。安全管理者の選任と講習、業務の記録は、届出をした事業者に求められることです。始めてから知ると、慌てて対応することになります。
始めるまでの手順を並べる
ここまでの内容を、始めるまでの順番に並べ直します。
- 運びたい荷物と仕事の形を決め、仕事を受ける先の条件を確かめる
- 会社員なら、勤め先の就業規則で副業が認められているかを確かめる
- 車を止める場所を確保し、事業用の任意保険の見積もりを取る
- 車を手に入れる方法(買う、リース、短期で借りる)を決める
- 運輸支局に貨物軽自動車運送事業の届出をする
- 軽自動車検査協会でナンバーを事業用に変える
- 貨物軽自動車安全管理者の講習を受け、選任して届け出る
- 業務の記録の付け方を決める
- 業務委託の契約の内容を書面で確かめ、仕事を始める
- 税務署に開業の届出を出し、帳簿をつけ始める
順番の中で大切なのは、1から3を車の用意より先に済ませることです。
働き方のデータから見えること
軽バンの副業は、自分の車と時間を使って、案件ごとに報酬を得る働き方です。業務委託で仕事を受け、契約の条件を確かめ、費用を自分で管理する点は、在宅で仕事を受けるフリーランスの働き方と変わりません。
フリーランス・在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から言えば、長く続いている人ほど、売上より手元に残る額を見ています。軽バンの副業なら燃料代や保険料、在宅の仕事なら手数料や道具の費用です。仲介の手数料がかからない直接の取引なら、同じ予算で依頼する側は多く頼め、受ける側の手取りも厚くなります。
体を使う副業と並べて、場所を選ばずにできる仕事の幅を知っておくと、副業の選択肢が広がります。たとえば、ITのインフラの仕事を目指すなら、ネットワークの基礎を学べるCCNA(シスコ技術者認定)が、最初の目標としてよく選ばれます。配送の記録や業務の管理を仕組みにする仕事は、アプリケーション開発のお仕事の一つとして依頼されることがあります。業務の効率化を支援する仕事の範囲はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。
軽バンの副業は、届出、ナンバー、保険、安全管理者の講習、業務の記録という入り口の手続きを知ってから始めれば、空いた時間を収入に変えられる働き方です。車を用意するのは、その確認が済んでからにしてください。
よくある質問
Q. 自分の軽バンで荷物を運ぶ副業に届出は必要ですか?
他人の荷物を軽自動車で運んで報酬を受け取る場合は、貨物自動車運送事業法により、貨物軽自動車運送事業の届出を運輸支局に出す必要があります。届出のあと、軽自動車検査協会でナンバーを事業用(黒ナンバー)に変えます。自家用のナンバーのまま有料で他人の荷物を運ぶことはできません。
Q. 貨物軽自動車安全管理者とは何ですか?
四輪の軽自動車で荷物を運ぶ事業者が、営業所ごとに選ぶ安全の責任者です。2024年の法改正で設けられた仕組みです。選ぶ日の前2年以内に国の登録を受けた機関の講習を修了している必要があり、2年ごとの定期講習もあります。副業で1人で始める場合は、自分が安全管理者になるのが一般的です。
Q. 軽バンは買う前に何を確かめればよいですか?
運びたい荷物と仕事の形、仕事を受ける先が求める車の条件、事業用の任意保険の保険料、車を止める場所、安全管理者の講習を受ける時間と費用を先に確かめます。仕事が合うか分からないうちは、短期で借りるなど試せる方法から始めると、合わなかったときの損を小さくできます。
Q. 軽バンの副業で確定申告は必要ですか?
会社員の場合、給与以外の所得(売上から経費を差し引いた額)の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。個人事業として始めたら、開業した年分の確定申告の期限までに開業届を出します。青色申告を選ぶと特別控除を受けられる場合があります。扱いは所得の状況で変わるため、税務署で確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
岡田 隆志@SOHO編集部
PMO→フリーランスプロジェクトマネージャー
大手SIerでPMOとして15年間、数多くのプロジェクトを管理。PMP、G検定、応用情報技術者を保有。フリーランスPMとして活動しながら、IT資格のキャリア戦略を発信しています。
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