公務員に許される副業の種類|家業や執筆など許可の取り方 2026

丸山 桃子
丸山 桃子
公務員に許される副業の種類|家業や執筆など許可の取り方 2026

この記事のポイント

  • ✓公務員ができる副業は全面禁止ではなく
  • ✓国家公務員法と地方公務員法の条文
  • ✓2026年4月から広がった自営兼業の承認範囲

「公務員ができる副業」で検索する人の多くは、稼ぎ方のアイデアを探しているのではなく、境界線を知りたいのだと思います。どこまでが許され、どこからが処分の対象になるのか。上司に切り出す前に、自分で判断できる材料が欲しい。ところが検索すると「原則禁止」と「解禁された」が同じ画面に並び、かえって分からなくなります。

結論を先に書きます。公務員の副業は、法律で全面的に禁じられているわけではありません。条文が定めているのは「任命権者の許可を得ずにやってはいけない」という許可制です。そして2026年4月から、国家公務員の自営兼業について、承認できる事業の範囲が正式に広がりました。地方公務員についても、2025年6月に総務省が各自治体へ通知を出し、許可基準を作り直す動きが続いています。

この記事では、条文と公的な通知、それに実際に公表されている自治体の許可基準だけを材料に、許可が不要なもの、許可を取れば通りやすいもの、通りにくいもの、そして申請書に何を書くのかを整理します。数字の出どころはすべて官公庁の公表資料です。

公務員の副業は全面禁止ではない。条文が定めているのは許可制

まず根拠になる条文を押さえます。国家公務員と地方公務員で建て付けが違うので、自分がどちらなのかを最初に確認してください。

国家公務員の場合、国家公務員法第103条が「営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員等を兼ねること」と「自ら営利企業を営むこと」を制限しています。いわゆる自営兼業はここに入ります。さらに同法第104条が、報酬を得て他の事業や事務に従事する場合の許可を求めています。執筆や講演で原稿料や謝金を受け取るケースは、こちらの話です。

地方公務員の場合は、地方公務員法第38条第1項にまとまっています。総務省が2025年6月11日に各都道府県知事などへ出した通知(総行公第72号)は、この条文が対象にしている行為を次の3つに整理しています。

  • 営利企業の役員等の地位を兼ねること
  • 自ら営利企業を営むこと
  • 報酬を得ていかなる事業又は事務に従事すること

ポイントは、3つのどれも「してはいけない」ではなく「任命権者の許可を受けなければならない」と書かれていることです。つまり許可が下りれば適法にできます。逆に言えば、内容が無害でも許可を取らずにやれば手続き違反になり、地方公務員法第29条の懲戒処分の対象になり得ます。実務で処分が出ているのは、活動内容そのものが悪質だったケースよりも、無許可のまま続けていたケースが目立ちます。

同じ通知は、許可の判断で確認すべき基本的な原則として3点を挙げています。この3つが、実質的な判断軸です。

  1. 職務遂行上、能率の低下を来すおそれがないこと(公務能率の確保)
  2. 相反する利害関係を生じるおそれがなく、かつ、その他職務の公正を妨げるおそれがないこと(職務の公正の確保)
  3. 職員及び職務の品位を損ねるおそれがないこと(職員の品位の保持)

逆算すると、許可が通るかどうかは「業種」で決まらないことが分かります。同じウェブデザインでも、自分の所属課が発注や許認可で関わる相手から請ける形なら2番で引っかかります。夜遅くまで作業する前提なら1番で引っかかります。書類に書くべきことも、この3点に答える形になります。

なお、副業の許可とは別に、職務専念義務(地方公務員法第35条)、信用失墜行為の禁止(同第33条)、秘密を守る義務(同第34条)は常にかかっています。勤務時間内に副業のメールを返す、職務で知った情報を副業側で使う、といった行為は、許可の有無とは無関係に問題になります。

2026年4月からの自営兼業の見直しで、認められる事業が広がった

ここが2026年に入って一番大きく動いた部分です。人事院は2025年12月19日に「自営兼業制度の見直しについて」を公表し、新しい制度を2026年4月1日から施行しました。

人事院は、今般、国家公務員の自営兼業制度について、新たに「職員の有する知識・技能をいかした事業」及び「社会貢献に資する事業」を承認可能とするなどの見直しを行いました。新たな制度は、令和8年4月1日から施行します。 出典: jinji.go.jp

見直し前、国家公務員が承認を得て自営できる事業は、不動産等の賃貸、太陽光電気の販売、そして家業を継承した場合の農業等に限られていました。つまり「親の田畑を引き継いだ」「相続したアパートがある」といった受け身のものが中心で、自分の技能を元手に何かを始める道は用意されていませんでした。

新制度で加わったのは次の2つです。人事院が示した事業イメージまで含めて書きます。

区分 事業イメージ
職員の有する知識・技能をいかした事業 ハンドメイド品の販売、スポーツや芸術の教室 など
社会貢献に資する事業 地域振興イベントの主催、高齢者対象の買物代行 など

そして承認基準として、事業内容の確認(所得税法第229条に規定する開業届を提出して行うこと、事業の目的・業務内容・営業日や時間・収入の予定年額などを書いた事業計画書等を作成して行うこと)と、利害関係や職務への支障がないことが示されました。ここは後ろの申請の節でもう一度触れます。

同時に、以前から承認対象だった不動産賃貸と太陽光電気の販売について、承認が必要になる規模の線引きも動きました。手続きを軽くする方向の見直しです。

事業 見直し前に承認が必要だった規模 2026年4月以降
不動産等賃貸 10室以上、または賃料年額500万円以上 10室以上かつ床面積600㎡以上、または賃料年額1,000万円以上
太陽光電気の販売 定格出力10kW以上 定格出力50kW以上

つまり賃料年額が500万円から999万円の範囲、太陽光の定格出力が10kWから49kWの範囲は、2026年4月以降は承認不要の扱いに変わりました。相続でアパートを引き継いだ人や、実家の屋根に載せた設備をそのまま持っている人は、自分の規模がどちらなのかを一度数え直しておくと安心です。

この見直しの前段には、人事院が実施した職員アンケートがあります。公表資料では、今後兼業を行いたいと思う職員が3割を超え、その内容として自分の趣味や特技をいかした活動、社会貢献につながる活動が上位を占めたと整理されています。制度が趣味や特技の方向に広がったのは、この結果を受けたものです。

ひとつ注意点を書きます。この人事院の制度は国家公務員のものです。地方公務員に自動で適用されるわけではありません。ただし各自治体は国の基準を参考に許可基準を作ることが多く、実際に見直しの流れは地方にも波及しています。千葉県は2026年3月30日に職員の兼業許可基準の見直しを発表し、2026年4月1日以降に開始する兼業から運用を始めました。新たに認める活動として、知識や技能をいかした個人事業(書道教室の経営、ハンドメイド作品の販売など)、公益に資する個人事業(地域振興イベントの主催、高齢者の買物代行など)を挙げています。国の見直しと並びを合わせた内容です。

許可が不要なものと必要なものの境界線

「これは許可がいるのか」で迷いやすいものを整理します。ここは自治体や府省の基準で細部が違うので、最終的には自分の職場の基準を読むのが正解です。ただ考え方の筋は共通しています。

許可の対象は「営利企業を営む」か「報酬を得て事業又は事務に従事する」かです。この2つに当たらなければ、そもそも許可の枠外です。

許可の枠外と扱われることが多いもの。

  • 株式や投資信託、国債などの金融資産の運用。値上がり益や配当は事業ではなく資産運用です。デイトレードのように事業的な規模と態様になると別の評価になり得るため、頻度と規模には目を配ってください
  • 個人型確定拠出年金やつみたて投資のような、制度に沿った長期の資産形成
  • 自分が使わなくなった私物をフリーマーケットアプリで売る行為。ただし仕入れて売る形に変わった瞬間に、それは物品販売業です
  • 不動産賃貸や太陽光発電のうち、規模が基準に届かないもの(国家公務員は前節の表の線引き)
  • 報酬を受け取らない地域活動やボランティア

許可が必要になるもの。

  • 原稿料、謝金、講師料を受け取る執筆や講演。単発でも報酬を受け取る以上、原則として対象です
  • 家族が経営する会社や商店を手伝って報酬を受け取る場合
  • 教室やハンドメイド販売のように、自分で事業として営むもの
  • 営利企業の従業員として働く形。国家公務員は原則認められていませんが、地方公務員は一律禁止ではありません。この点は次節で詳しく書きます
  • 家業の農業を継いだ場合など、規模によって自営と評価されるもの

判断に迷ったら、金銭の受け取りがあるかどうかと、継続性があるかどうかを先に確認してください。この2つが揃っているなら、まず許可が必要だという前提で人事担当に相談するのが安全です。「無許可で始めて、後から許可を取る」は最も不利な順序です。事後の許可で違反が消えるわけではありません。

許可が通りやすい副業の具体例

総務省が通知に添えた「兼業許可基準を設定する際のポイント」には、実際の自治体の運用例が並んでいます。そこから読み取れる、通りやすい類型を書きます。

執筆と講演、講師。職務上の専門性をいかした活動として、大学での講演や学術誌への執筆は、複数の自治体の基準で明示的に例示されています。専門職として積み上げた知識をそのまま出せる形なので、利害関係の説明もしやすい。土木、保健、税務、統計、防災のような領域は、外部から書き手として求められる場面が実際にあります。文章で仕事を受ける世界の相場感を知りたい人は、職種別の単価を集めた著述家,記者,編集者の年収・単価相場が参考になります。公的機関の資料をもとに、原稿や編集の仕事がどのくらいの値段で動いているかを職種単位で確認できます。

スポーツ指導、文化活動の指導。地域クラブのスポーツ指導は、公益に資する活動として例示されている定番です。指導者資格を持っている人、選手経験がある人は、地元の需要と結びつきやすい。

農林業や地域の担い手。有害鳥獣の駆除、農作業の手伝いは、人手不足が深刻な地域ほど歓迎されます。和歌山県紀美野町は、町民と作業をしながら意見交換できることや農業の実情を知ることが住民サービスの向上につながるという効果を挙げています。

知識や技能をいかした個人事業。2026年4月に国家公務員で承認可能になった類型で、千葉県も同時期に対象へ加えました。書道教室の経営、ハンドメイド作品の販売、イベントでのピアノ演奏、パソコン教室の講師などが例示されています。趣味の延長が正面から認められるようになったのは、この数年で一番大きな変化です。

社会課題の解決に資する営利企業等での勤務。ここは地方公務員に特有の余地です。総務省の通知は、国家公務員では原則認められていない営利企業の従業員との兼業について、地方公務員は一律に禁止するのではなく、基本的原則を満たす場合には各任命権者の判断で認めることが可能だと明記しました。長野県は、営利企業であってもその活動が副次的に広く不特定多数の利益の増進に寄与すること、従事者数が不足しており社会的な需要が高いこと(民間の就業を阻害しないこと)を条件に認めています。千葉県は人手不足が生じている地域のバス運転手を例に挙げています。

不動産賃貸と太陽光電気の販売。相続や家業の承継で持つことになった資産の運用です。規模の線引きは前節の表のとおりで、超える場合は承認や許可を取れば続けられます。管理を賃貸管理会社に委ねて自分は経営判断だけを行う形が、職務への支障を説明しやすい組み方です。

制度を早い時期に整えた例として知られる兵庫県神戸市の地域貢献応援制度では、職員から「報酬を伴う活動を躊躇していたが、制度ができて安心して活動できている」という声が、市民団体からは「報酬を渡せるので市職員でも誘いやすくなった」という声が寄せられたと報告されています。基準が公表されることの効き目は、職員側だけでなく地域側にも出ています。

認められにくい副業と、断られる理由

逆に通りにくいものを、理由つきで並べます。理由が分かれば、形を変えて通す道も見えます。

自分の所属が許認可、補助金交付、監査、指導、契約で関わる相手からの仕事。これは職務の公正の確保に正面から当たります。秋田県は、職員が職務として携わるこれらの事務を通じた関係がないかを個別に判断していると公表しています。岐阜県岐阜市は、所属部署の業務と兼業先の関係性について、必要に応じて所属長や本人へ聞き取りをすると説明しています。同じ仕事でも、相手を変えるか、担当替えの後に申請するかで結論が変わり得ます。

深夜や早朝にかかる働き方。熊本県天草市は、兼業時間数の上限内であっても兼業を行う時間が深夜に及ぶ場合は許可しない取扱いにしています。翌日の公務に影響することが目に見えているからです。

転売やアフィリエイトのような、品位と利害の説明が難しいもの。禁止と書かれているわけではありませんが、仕入れて売る行為は物品販売業として自営に当たり得ますし、記事で商品を勧める形は、公務員の肩書きとの関係で説明が難しくなります。品位の保持という3番目の原則が効いてくる領域です。

連鎖販売取引や、勧誘が業務の中心にある仕事。職場の人間関係に持ち込まれるリスクが高く、信用失墜行為の禁止に触れやすい。

家族名義にして自分が実質的に運営する形。名義だけ替えても、実際に経営判断や日々の業務を自分がしていれば自営と評価され得ます。隠したという事実が加わるため、露見したときの不利は無許可より大きくなります。

時間が読めない受託開発や、納期が固定されている案件。内容が問題なくても、公務が繁忙期に入ったときに納期を守れず、結果として1番目の原則に反する運用になります。総務省の通知も、繁忙期には時間外勤務も含めた勤務状況に目配りするよう求めています。

断られたときに落胆して終わらせないでください。断られた理由が利害関係なら相手を変える、時間なら量を減らす、品位なら形式を変える。この置き換えで通ったケースは実際にあります。

時間と報酬の目安。どこまでなら公務に支障がないと見られるか

判断基準のうち、最も具体的な数字が出ているのが時間です。国家公務員については、平成31年3月28日付け閣人人第225号で兼業時間数の上限の目途が示されており、週8時間または1箇月30時間を超えるとき、勤務時間が割り振られた日において1日3時間を超えるときは、原則として許可しない扱いです。

地方でもこの数字が事実上の標準になっています。秋田県は「1週間あたり8時間かつ1か月あたり30時間を超えないこと」「勤務時間が割り振られた日において1日3時間を超えないこと」「勤務時間が割り振られた日の勤務時間外または週休日であること」を許可基準に書いています。千葉県は2026年4月からの見直しで、それまでの年104時間という枠を、週8時間または1か月30時間以内、勤務時間が割り振られた日は1日3時間以内という形に組み替えました。年単位の枠だと月ごとの偏りが見えないため、月と日で抑える設計に変えたということです。

月30時間という枠は、副業の設計に直接効きます。週末に2日、1日3時間ずつで月24時間ほど。ここに入る仕事の形を選ばないと、そもそも申請が通りません。月に何十時間もかかる受託開発は現実的でなく、単発で完結する講師、原稿、指導のほうが枠に収まります。

報酬額については、具体的な金額の全国一律の基準はありません。総務省の通知は、一律に具体的な報酬額を定めるのではなく「社会通念上相当と認められる程度を超えない額」等とすることが考えられるとしています。同種の事例における報酬額を参考にし、公務員としての地位を利用した不適正な額になっていないかという観点で個別に判断する、という組み立てです。

ただし、自治体が独自に目安を書いている例はあります。福島県いわき市の許可基準は、報酬が社会通念上相当と認められる程度を超えない額であることを求め、その基準として所得額年額20万円という数字を示しています。この20万円は、後で触れる確定申告の分かれ目とも重なるので、覚えやすい数字だと思います。

自分の職場の上限が分からない場合の調べ方を書きます。総務省の調査によれば、兼業許可に係る基準を庁内外に公表している自治体は都道府県と市区町村のうち56%で、前回調査から21ポイント増えました。半数を超えたので、まず自治体のウェブサイトで「兼業 許可基準」を検索してください。出てこなければ庁内の規程集、それでも見つからなければ人事担当に問い合わせる順番です。

許可申請の進め方と、申請書に書くこと

申請の実務です。書式は職場ごとに違いますが、審査側が見る項目はほぼ共通しています。人事院が新制度で示した承認基準がそのまま参考になります。

事業内容を書類で確定させる。人事院の基準は、所得税法第229条に規定する開業届を提出して行うこと、そして事業計画書等を作成して行うことを求めています。事業計画書に書く項目として挙げられているのは、事業の目的、業務内容、営業日と営業時間、収入の予定年額です。ここが曖昧だと審査ができません。「ハンドメイド品をネットで売りたい」ではなく、「何を、どこで、いつ、いくらの見込みで」まで落とします。

利害関係がないことを自分から説明する。審査側は、あなたの職務と兼業先の間に相反する利害関係がないかを確認します。総務省の通知は、この確認の単位(組織レベル、部レベル、課レベルなど)に一律の基準を設けず、個別具体的に判断する必要があるとしています。過剰に制限しないための配慮です。申請者側としては、兼業先の相手が自分の課の許認可や契約の相手ではないことを、先に書いてしまうのが早い。

時間の使い方を具体的に書く。曜日と時間帯まで書きます。勤務時間が割り振られた日の勤務時間外か週休日であること、深夜に及ばないことが分かるように書くと、審査が止まりません。

有効期間と、その後の報告を前提にする。総務省の通知は、許可に一定の有効期間を設定し、兼業先の業務内容の報告を受けるなど実態把握を定期的に行うべきものとしています。実際の調査では、許可の有効期間を2年超としている団体が677団体、1年以下が404団体という分布でした。期間が切れる前に更新する前提で予定を立ててください。

人事異動があったら出し直す。これを見落とす人が多い。許可は職務との関係を考慮して与えられるものなので、人事異動等で職務と兼業先の関係に変化が生じた場合は、有効期間内であっても再度の許可手続が必要になります。調査では、人事異動が生じた場合に再度許可手続を行っている団体が260、行っていない団体が892と分かれていました。自分の職場がどちらの運用でも、異動したら念のため人事に確認するのが安全です。

契約の形にも一言。外部から仕事を受けるなら、口約束ではなく書面で条件を残してください。業務範囲、納期、報酬、支払期日を書いておくことは、公務側への説明材料にもなります。発注書や契約書に何を書くべきかはフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストにチェックリストの形でまとまっています。支払いが滞ったときの動き方は未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】が、費用の目安から手続きの順序まで説明しています。

資格職の人は、同じ「本業に制約がある立場での副業」という構図で書かれた会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】も参考になります。所属先の規程と職業上の守秘義務を両方守りながら仕事を選ぶ考え方は、公務員の兼業とよく似ています。

許可が出たあとの税金と手続き

許可が出たら終わりではありません。税の手続きは自分でやることになります。

給与のほかに所得があり、その所得が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。ここで注意したいのは、20万円以下なら何もしなくていいわけではないという点です。所得税の確定申告が不要なだけで、住民税の申告は別に必要になります。市区町村の窓口か、自治体のウェブサイトで手続きを確認してください。所得税の一般的な考え方と手続きは国税庁のサイト(https://www.nta.go.jp/ )にまとまっています。

自営として事業を始めるなら、開業届の提出が前提になります。人事院の新しい承認基準が開業届の提出を明記したことで、「趣味の延長だから届け出はいらない」という整理はできなくなりました。届け出を出すことは、事業として真面目にやっている証拠にもなります。

経費と売上の記録は、最初の月から付けてください。後からまとめて作ると、ほぼ間に合いません。売上と経費を月ごとに記録するだけでも、確定申告の作業は半分以下になります。

住民税の徴収方法についても触れます。給与から住民税を引かれている場合、副業分の所得も合算されて職場に通知が届くのが通常です。許可を取っているなら隠す必要はありませんが、許可の範囲を超えた活動をしていれば、ここで見えます。制度の上で正面から許可を取るほうが、結果として気が楽です。

公務員の経験が値段になる領域と、市場からの考察

最後に、市場側から見た話を書きます。公務員の副業を「収入の足し」として見ると、月30時間の枠では大きな金額になりません。それでも制度が広がっているのは、収入以外の価値があるからです。

働きたいという意向自体は、はっきり存在します。

1つ目は、若手・中堅層における「キャリア自律」への渇望と、組織の硬直性が生むギャップである。今回の調査では、副業を行っていない20代男性職員の33.0%、30代男性職員の32.1%が「副業を行いたい」と回答している(図表7)。これは、男性若手・中堅層の約3人に1人が、組織の外での経験や成長を潜在的に求めていることを意味する。 出典: rc.persol-group.co.jp

需要側の話もします。在宅で発注される仕事の中で、公務員の経歴が素直に値段になるのは、正確さと手続きの理解が要る領域です。補助金や助成金の申請書のチェック、公的な様式に合わせた文書の作成、条例や規程を読んで要件を整理する作業。こうした仕事は、民間のライターやデザイナーが苦手にしている部分で、発注側は毎回困っています。文書の型を扱う力そのものを証明したいなら、ビジネス文書検定のような資格の体系を見ておくと、何が評価されるのかが具体的に分かります。

情報システムの担当をしている人なら、庁内システムの調達や仕様書作成の経験が、そのまま外部で通じます。ネットワークの基礎を体系的に押さえていることを示すCCNA(シスコ技術者認定)は、こうした領域で説明の手間を省いてくれる資格です。生成AIの導入を庁内で検討した経験がある人は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で、どんな相談が実際に外部へ出されているかを見ておくと、自分の経験のどこに値段が付くのか見当がつきます。

20年この市場を見てきた立場から言えば、長く続く人ほど、単発の作業を数えるのではなく「この人に任せると楽だ」という関係づくりに時間を使っています。公務員の副業は時間の上限があるので、案件を積み増す戦い方ができません。だからこそ、少ない時間で確実に喜ばれる形を先に決めて、同じ相手と続けるほうが向いています。年に数回の講師、季刊の連載、決まった時期の申請支援。枠が小さいことは、実は相手に合わせた働き方の練習になります。

もうひとつ、運営者として見てきた限りではっきり言えることがあります。仲介の中間マージンが乗らない直接の取引は、同じ予算でも依頼者はより多く頼めますし、受け手は手取りが厚くなります。手数料0%の強みは、金額の大小の話ではなく、手元に残る質の話です。月30時間しか使えない立場なら、1時間あたりの手取りがそのまま効いてきます。公務の許可を取って始めるなら、その1時間がどこへ消えているかを最初に確かめてください。

制度の側は、確実に開いてきています。総務省の通知は、兼業が許可制とされている趣旨を前提としつつ、各自治体が「地方公務員制度創設時の考え方に立ち返り、地域の実情に即した許可基準となるよう、更なる環境整備を図っていただきたい」と求めました。許可基準を設定している自治体は都道府県と市区町村のうち64%まで増え、前回調査から25ポイント上がっています。あなたの職場に基準がまだなければ、それは「できない」ではなく「まだ書かれていない」という状態です。人事担当に尋ねること自体が、基準づくりを前に進めます。

よくある質問

Q. 公務員の副業は許可を取らずに始めてもよいのですか?

報酬を受け取る活動や自ら事業を営む活動は、国家公務員法第103条と第104条、地方公務員法第38条第1項により、任命権者の許可や承認が必要です。無許可のまま続けると、内容が無害でも手続き違反として懲戒処分の対象になり得ます。迷ったら始める前に人事担当へ相談してください。

Q. 副業に使える時間の上限はどれくらいですか?

国家公務員では週8時間または1か月30時間、勤務時間が割り振られた日は1日3時間が目途として示されています。地方でもこの数字を許可基準に採り入れる自治体が増えており、千葉県は2026年4月からこの形に切り替えました。上限内でも深夜に及ぶ場合は許可しない自治体もあります。

Q. 株の売買やつみたて投資も許可が必要ですか?

金融資産の運用は事業ではなく資産運用として扱われるため、通常は許可の対象外です。ただし頻度や規模が事業的な態様になる場合は評価が変わり得ます。不動産賃貸は規模で線引きされ、国家公務員は2026年4月から10室以上かつ床面積600㎡以上、または賃料年額1,000万円以上が承認の対象です。

Q. 趣味のハンドメイド販売や教室は認められますか?

国家公務員は2026年4月から、知識や技能をいかした事業として承認の対象になりました。千葉県のように同時期に同じ類型を加えた自治体もあります。申請には開業届の提出と、事業の目的、業務内容、営業日や時間、収入の予定年額を書いた事業計画書が求められます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年2月18日最終更新:2026年9月20日
丸山 桃子

この記事を書いた人

丸山 桃子@SOHO編集部

アパレルEC運営支援・SNSコンサル

アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。

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