公務員の兼業許可の取り方|申請の流れと認められる範囲 2026


この記事のポイント
- ✓公務員兼業許可の仕組みを条文から整理しました
- ✓許可が必要な3つの類型
- ✓申請書の書き方と提出の流れ
結論から書きます。公務員の兼業は、禁止されているのではなく許可制です。ここを取り違えると、取れる許可を諦めることになります。
公務員兼業許可は、任命権者や所轄庁の長に申請して判断を受ける手続きです。判断の対象になるのは、あなたがやりたい活動の中身と、それが公務に与える影響です。つまり、活動の設計次第で結論が変わります。
この記事では、どの条文が根拠になっているのか、許可が必要な行為と必要ない行為の区分、審査で見られている観点、申請書に何を書くか、そして許可を得たあとに何をするかを順に整理します。制度の運用は職場ごとに差がありますが、骨組みは共通しています。
兼業許可という制度の骨組み
まず、どの法律が効いているのかを確認します。身分によって変わるので、自分に当たるものを押さえてください。
国家公務員の場合
国家公務員法第103条第1項が、営利を目的とする私企業の役員等を兼ねること、および自ら営利企業を営むことを禁じています。そして同条第2項が、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合はこの禁止を適用しないと定めています。この承認の手続きを定めているのが人事院規則14-8です。
もうひとつ、第104条があります。報酬を得て事業または事務に従事する場合には、内閣総理大臣および所轄庁の長の許可が必要という規定です。
この2つは対象が違います。第103条は企業の役員を兼ねる、または自分で営利企業を営む場合。第104条は報酬を得て何らかの事業や事務に従事する場合。どちらに当たるかで手続きが変わるので、自分の活動がどちらなのかを最初に判断します。
地方公務員の場合
地方公務員法第38条第1項が該当します。任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員等を兼ねること、自ら営利企業を営むこと、報酬を得て事業または事務に従事することができないと定めています。
国の制度と違って、地方の場合は3つの類型がひとつの条文にまとまっています。そして許可の権限は任命権者にあります。市役所の職員なら市長、教育委員会の職員なら教育委員会、警察官なら警察本部長といった形です。
教員の場合はもう1本ある
公立学校の教員は地方公務員ですが、教育公務員特例法第17条という別の規定も関わります。教育に関する他の職を兼ねること、または教育に関する他の事業や事務に従事することについて、本務の遂行に支障がないと任命権者が認める場合には、給与を受けて、または受けないでその職を兼ねることができるという規定です。
つまり、教育関連の活動については別の枠組みが用意されています。塾や予備校での指導、教育関係の団体での役職などを考えている教員は、こちらの条文も確認してください。
同時に効いている義務を忘れない
第38条の許可を得ても、他の義務は消えません。職務専念義務は地方公務員法第35条、信用失墜行為の禁止は第33条、秘密を守る義務は第34条です。国家公務員法にも第101条、第99条、第100条として対応する規定があります。
許可の審査でこれらの義務との関係が問われるのは、許可が出たあとにも守る前提だからです。ここを理解していると、申請書に何を書くべきかが見えてきます。
許可が必要な行為と、必要ない行為
線引きが分かりにくいところなので、類型ごとに整理します。
許可が必要になる3つの類型
1つめは、営利企業の役員等を兼ねる場合です。株式会社の取締役、監査役、相談役、顧問、評議員などが対象になります。自分で会社を設立して代表になる場合も当然含まれます。
2つめは、自ら営利企業を営む場合です。個人事業として商売を行う形が該当します。物品の販売、飲食業、不動産の賃貸業、ネットを使った事業などです。開業届を出すような形は、ここに当たると考えるのが安全です。
3つめは、報酬を得て事業または事務に従事する場合です。企業に雇われてアルバイトをする、団体の職員として働く、継続的に業務委託を受ける、といった形が該当します。報酬の額は問いません。少額でも「報酬を得て従事する」ことに変わりはないからです。
原則として許可が要らないとされる行為
資産の運用は、労働の提供ではないため、原則として許可の対象外と扱われています。株式や投資信託の売買、預貯金の利息、保険の満期金などです。ただし勤務時間中に売買を繰り返せば職務専念義務の問題になりますし、職務上知り得た情報を使えば別の問題が生じます。
無報酬の活動も、報酬を得る要件を満たさないため第38条の3つめの類型には当たりません。ただし役員等を兼ねる場合は、報酬の有無にかかわらず1つめの類型に当たりうるので注意してください。町内会やPTAの役員のような地域活動は、実務上問題視されない扱いが一般的です。
自宅の不要品を処分する行為も、事業ではありません。生活で使っていたものを整理して売るのは営利企業を営むことに当たりません。
規模で判断が変わる領域
不動産の賃貸と太陽光発電は、規模によって扱いが変わります。国家公務員については、人事院の運用の中で数量の基準が示されており、独立家屋であれば5棟以上、独立家屋以外の建物であれば10室以上、土地の賃貸であれば契約件数10件以上、賃貸料収入であれば年額500万円以上といった水準が「自営に当たる」目安として扱われてきました。多くの自治体もこの考え方を参考にしています。
相続で賃貸物件を引き継いだ、といったやむを得ない事情がある場合は、許可が出やすい類型です。事情を説明して申請すれば足りることが多いので、放置せずに相談してください。
審査で見られている3つの観点
申請が通るか通らないかは、次の3点で決まります。ここを意識して申請書を書くかどうかで、結果がはっきり変わります。
1つめ、公務に支障がないか
いちばん重く見られます。具体的には、活動する時間帯が勤務時間と重なっていないか、活動の量が休息を奪うほどでないか、緊急の呼び出しに応じられる状態を保てるかです。
平日の昼間に活動が必要な形は、この観点で説明が難しくなります。逆に、平日の夜と休日に完結する形、時間帯を自分で決められる形は説明しやすいです。災害対応や当番のある職場では、その日程と衝突しないことも示す必要があります。
2つめ、職務の公正さに疑いが生じないか
活動の相手が、自分の職務上の利害関係者でないことが求められます。許認可を担当している部署の職員が、その許認可を受ける事業者から報酬を得る形は通りません。契約や入札に関わる部署も同じです。
ここは形式的な話ではなく、市民から見て疑いを持たれないかという観点です。直接の担当でなくても、同じ所属が所管している相手なら慎重に判断されます。申請書には、相手先と自分の職務に利害関係がないことを明記します。
3つめ、信用を失わせるおそれがないか
活動の内容が公務員の信用にふさわしいかを見られます。判断が分かれやすいのは、個人の意見を発信する活動、特定の商品を宣伝する活動、公的な立場を連想させる形で名前を出す活動です。
判断を自分で下すのではなく、申請の段階で「職名や所属は出さない」「政治的な内容は扱わない」といった条件を自分から書いておくと、審査する側が判断しやすくなります。条件を付けて申請するのは不利ではありません。むしろ通りやすくなります。
申請の流れを時系列で追う
書式は職場ごとに違いますが、流れは概ね共通しています。
段階1、職場の規程を読む
イントラネットや人事担当のページに、兼業の取扱要領や許可基準、様式が置かれていることが増えました。まずこれを探します。許可が不要な行為の例示があれば、それが自分の職場の判断基準です。
段階2、人事担当に制度として照会する
活動の内容を決める前に、制度の質問として確認します。「この種の活動は許可の対象になるか」「様式はどれを使うか」「提出から結論までどのくらいかかるか」の3点です。
処理に要する期間は特に重要です。申請から結論まで1か月以上かかる職場もあります。活動の開始日を先に決めてしまうと、許可が出る前に始めることになりかねません。
段階3、申請書を作る
次の節で項目ごとに説明します。相手先から業務の内容が書かれた依頼書や契約書の案をもらえるなら、添付資料として付けると審査が速く進みます。
段階4、所属長の確認を経て提出する
多くの職場では、直属の所属長の確認を経て人事担当に回る流れです。所属長は勤務の実態を知っている立場なので、活動時間と勤務の関係について最初に質問を受けます。ここで答えられるよう準備しておきます。
段階5、結論を受け取り、条件を確認する
許可が出る場合、条件が付くことがあります。期間の上限、報酬額の上限、活動時間の制限、職名を出さないこと、年度ごとに報告することなどです。この条件は守る義務があります。読み流さず、手元に残してください。
不許可になった場合も、理由を確認する価値があります。活動の設計を変えれば通る場合があるからです。時間帯を変える、相手先を変える、報酬の形を変える、といった調整で結論が変わることは実際にあります。
申請書に何を書くか
項目ごとに、何を書けば審査する側が判断できるのかを整理します。
兼業先の名称と所在地、事業内容。法人なら登記上の名称を正確に書きます。個人からの依頼なら、その旨と依頼者の属性を書きます。
従事する業務の内容。ここがいちばん大事です。「執筆」ではなく「月2本、教育関係の専門誌に寄稿する原稿の執筆」のように、量と種類まで書きます。抽象的に書くと、審査する側は最悪の形を想定して判断します。
従事する期間。開始日と終了日、または年度単位の期間を書きます。期間を区切ると通りやすくなります。
従事する日時と場所。曜日と時間帯を具体的に書きます。「土日および平日の19時以降」「自宅」のように。勤務時間と重ならないことが読み取れる形にします。
報酬の有無と見込み額。無報酬なら無報酬と書きます。報酬があるなら、1件あたりの額と年間の見込み額を書きます。ここを小さく見せようとすると、後で実態と食い違ったときに不利になります。
公務との関係。自分の職務と兼業先に利害関係がないことを明記します。あるなら隠さず書いて、その影響を避ける方法を添えます。
公務への影響がないと考える理由。勤務時間外に完結すること、休息を確保できること、緊急の連絡に応じられることを書きます。
書類の作成に不安がある方は、ビジネス文書検定の学習範囲が参考になります。照会文や申請文の構成、根拠の示し方の型が整理されているので、何を先に書くかの判断が楽になります。
認められる範囲は広がってきている
制度の運用は固定されていません。ここ数年、許可基準を明確にして公表する動きが続いています。
総務省は社会貢献活動に関する兼業の取扱いについて通知を出し、許可基準の明確化と公表を自治体に促してきました。その結果、基準を文書で示す自治体が増えています。
総務省の令和6年度調査では、地方公務員の兼業許可件数は約4万1千件と横ばいで推移している。一方で、社会貢献活動に関する兼業は増加傾向にある。また、許可基準を明文化する自治体も増えており、副業をめぐる運用は徐々に整理されつつある。 出典: jichitai.works
許可件数の総数が横ばいでも、社会貢献に関わる兼業が増えているという内訳は重要です。どの類型が通りやすいかを示しているからです。
実際に基準を見直した例として、千葉県の取り組みがあります。
職員による自律的なキャリア形成や自己実現のニーズの高まり、また、高齢化・人口減少など近年の社会情勢の変化を踏まえ、公務外の活動への従事を希望する職員が活動しやすい環境を整備するため、公務能率の確保や職務の公正確保、職員の品位保持は前提とした上で、兼業可能な活動の拡大など、兼業に係る許可基準の見直しを行います。 出典: pref.chiba.lg.jp
この文章で注目したいのは、拡大の前提として「公務能率の確保」「職務の公正確保」「品位保持」の3つが挙げられている点です。先に整理した審査の3観点と一致します。つまり、この3つを満たす設計にすれば、範囲が広がった部分に乗れるということです。
神戸市が平成29年4月に地域貢献応援制度を設けたのも、この流れの先行例です。地域の課題解決に関わる活動について、報酬を得る形も含めて制度として認める枠組みでした。同種の制度を持つ自治体が続いています。
自分の職場に該当する制度があるかどうかは、人事担当に聞けば分かります。制度があるなら、一般の兼業許可より手続きが整理されている場合が多いので、そちらを使ったほうが早いです。
許可が認められやすい活動の類型
申請を検討する段階で、どの方向なら通りやすいのかを知っておくと設計が変わります。傾向として認められやすい類型を挙げます。
地域貢献と社会貢献に関わる活動
いちばん通りやすい領域です。NPOの運営に関わる、地域のスポーツ指導を担う、伝統行事の運営を手伝う、災害対応のボランティア組織に参加する。こうした活動は、公務の趣旨と方向が一致しているため理解を得やすいです。
報酬があっても、実費や謝金の水準であれば問題にされにくい傾向があります。自治体が制度として枠組みを用意している場合は、その制度に乗るのがいちばん早い道です。
執筆と講演
継続的な受注でなければ、単発の原稿や講演は認められてきた領域です。専門誌への寄稿、研修での講師、学会での発表に伴う謝金などです。
ただし、公務で知った情報を使わないこと、職名や所属を出さないこと、内容が政治的でないことが条件になります。継続的に受注する形になれば、報酬を得て事業に従事する類型として許可が必要になると考えるのが安全です。文章を扱う仕事の報酬水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で職種単位に整理していますので、年間の見込み額を書く前に相場を把握しておくとよいでしょう。
教育と指導
教員については教育公務員特例法第17条の枠組みがあります。教員以外でも、自分の専門に関わる講座の講師、資格試験の指導、学生向けの指導などは理解を得やすい領域です。
技術系の知識を持っている方であれば、ネットワークや情報処理の認定資格を足がかりに、研修の講師として関わる道もあります。資格が必須というわけではありませんが、指導する立場に立つときの説明材料になります。
家業の継承と相続に伴う管理
親の事業を継がなければならない、相続で賃貸物件を引き継いだ、といった事情は、やむを得ない類型として扱われます。放置して無許可の状態になるほうが問題なので、事情を説明して早めに申請してください。
認められにくい類型
逆に、通りにくいのは次のような形です。平日の昼間に稼働が必要な活動。在庫を抱えて反復継続する物品の売買。職務上の利害関係者からの受注。公の立場を連想させる形で個人の意見を発信する活動。報酬の規模が本業の給与と釣り合わないほど大きい活動。
これらに当たる場合は、活動の設計そのものを見直したほうが早く進みます。
許可を得たあとに必要なこと
許可は取りっぱなしにはできません。ここを忘れて問題になる例があります。
内容が変わったら届け出る。報酬額が当初の見込みを大きく超えた、業務の内容が変わった、活動する時間帯が変わった。こうした変更は届け出が必要です。当初の許可は当初の内容に対して出ているからです。
期間が切れたら更新する。期間を区切って許可を得た場合、延長するなら改めて手続きが必要です。切れたまま続けていれば無許可の状態になります。
年度ごとの報告に応じる。報告を条件としている職場があります。活動の実績と報酬額を報告する形です。記録を残しておかないと、年度末に困ります。
税の手続きを済ませる。報酬を得たなら、確定申告が必要になる場合があります。給与を受け取っている方は、給与以外の所得が20万円を超えると申告が必要です。判断の対象は売上ではなく経費を引いた所得です。金額の要件は改正されることがあるので、申告する年の基準を国税庁の案内で確認してください。
契約の条件を文字で残す。業務委託で報酬を得る形なら、契約の条件を書面で残しておくことが自分を守ります。取引条件に何を書くべきかはフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストに必要項目を整理しました。報酬が支払われない事態に備える手順は未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】にまとめています。
なお、専門資格を持つ方が本業との線をどう引いているかは会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】が参考になります。守秘義務と利害関係の整理は、公務員の兼業でも考え方が共通しています。
非常勤や会計年度任用職員の場合
常勤職員とは扱いが違う部分があるので、別に整理します。ここは誤解が多い領域です。
適用される規定が異なる
会計年度任用職員や臨時的任用職員も地方公務員ですが、地方公務員法の規定のうち適用されるものと適用されないものがあります。営利企業への従事等の制限についても、勤務の形態によって扱いが変わる部分があります。
パートタイムの会計年度任用職員については、第38条の適用が及ばないとされる場合があります。ただし、これは自治体の条例と規則の定めによって変わるため、一律に「非常勤だから自由」とは言えません。自分の任用の根拠を確認したうえで、人事担当に照会してください。
一方で、職務専念義務、信用失墜行為の禁止、秘密を守る義務は、勤務の形態にかかわらず職務にある間は効いています。兼業が許される場合でも、この3つは守る必要があります。
実務上の確認事項
非常勤で働きながら別の収入を得る場合、確認しておきたいのは次の点です。
勤務時間が重複しないか。複数の職場で働く場合、社会保険の加入要件が問題になる場合があります。加入の要件は勤務時間と日数で判定されるため、両方の勤務先の状況を合わせて確認する必要があります。
職場への届け出が必要かどうか。許可が不要な場合でも、届け出を求める運用をしている職場があります。手続きの有無を確認しておいてください。
税の扱いも整理しておきます。複数の勤務先から給与を受け取る場合、年末調整は1か所でしか行えないため、確定申告が必要になる場面があります。
任期付職員と定年前再任用の職員
任期付職員として採用されている場合も、根拠となる法律と条例を確認する必要があります。専門的な知識を活かすために任期を定めて採用される形では、採用の条件の中に兼業の取扱いが書かれていることがあります。採用時の書類を見直してみてください。
定年前再任用短時間勤務の職員についても、勤務時間が短いことを前提に兼業の扱いが整理されている自治体があります。該当する方は、職場の規程を確認する価値があります。
よくあるつまずき
実務で見かける失敗を挙げます。どれも事前に避けられるものです。
始めてから申請する。いちばん多い順序の間違いです。許可は事前に受けるものです。始めてしまった状態で申請すると、その期間についての説明が必要になります。
報酬を低く書く。見込みが外れることは誰にでもありますが、最初から実態と違う額を書くと後で重い問題になります。幅で書いて構いません。
業務内容を抽象的に書く。「コンサルティング」だけでは審査できません。何を、誰に、どのくらいの頻度で提供するのかを書きます。
職名を使ってしまう。活動の中で自分の所属や職名を出すことは、信用の観点から問題になりやすい部分です。出さないと決めておくほうが安全です。
副業先で公務の情報に触れる。秘密を守る義務は許可とは無関係に効いています。職務上知った情報は、どんな形でも外に出せません。
20年この市場を見てきた立場からの観察
運営者として見てきた限りでは、公務員の方が兼業を考えるときに最初につまずくのは規則ではなく、「自分に何ができるか」の棚卸しです。
長く行政の現場にいた方は、自分の技能を当たり前のものとして扱いがちです。しかし外から見ると、制度を正確に読む力、手順を文書に落とす力、複数の関係者の合意を作る力は、そのまま需要のある技能です。企業が外部に出したい業務の中身を見ると、こうした整理の仕事が相当な割合を占めています。たとえばAI・マーケティング・セキュリティのお仕事やアプリケーション開発のお仕事のような職種ガイドを読むと、技術そのものを作る役割の隣に、要件を整理し手順書に落とす役割が必ず並んでいることが分かります。報酬水準の目安はソフトウェア作成者の年収・単価相場のような職種単位の相場で把握できます。
もうひとつ、20年この市場を見てきた立場から言えることがあります。長く続く方は、単発の作業を数えるのではなく「この人に任せると楽だ」という関係づくりに時間を使っています。連絡が早い、確認の粒度が適切、期限の前に状況を伝える。行政の現場で身につくこうした段取りは、外の仕事でとても評価されます。技能を新しく買う必要はなく、既にある段取りの力を持ち出せば足りる場合が多いのです。
額面と手取りの話も書いておきます。兼業で得られる報酬は、仲介の手数料が引かれるかどうかで手元に残る額が変わります。手数料0%の直接取引なら、依頼する側は同じ予算でより多く頼めますし、受ける側の手取りは厚くなります。どちらかが損をする構造ではありません。兼業は許可の範囲で量を抑える形になることが多いので、限られた時間に対して手元に残る割合が厚いかどうかは、続けられるかどうかに直接効いてきます。運営者として見てきて、ここを軽く見た方が途中で止まる例を何度も見ました。
最後に順序の話をもう一度。制度の解釈を検索で確定させないでください。あなたの職場の人事担当が答えを持っています。聞くこと自体は不利になりません。むしろ、聞いた記録があることが後々あなたを守ります。
よくある質問
Q. 公務員の兼業は許可を取れば自由にできますか?
自由にはなりません。許可は申請した内容に対して出るもので、条件が付くことも多いです。業務内容、時間帯、報酬額、期間が変わったときは改めて届け出が必要です。また職務専念義務、信用失墜行為の禁止、秘密を守る義務は許可とは無関係に効き続けます。許可は免除ではなく範囲の確定と考えてください。
Q. 申請から結論が出るまでどのくらいかかりますか?
職場によって差がありますが、所属長の確認を経て人事担当が審査する流れのため、1か月以上かかる例もあります。活動の開始日を先に決めてしまうと、許可が出る前に始めることになりかねません。相手先と日程を約束する前に、処理に要する期間を人事担当に確認しておくことをおすすめします。
Q. 株式投資や不動産の賃貸も許可が必要ですか?
株式や投資信託の売買は労働の提供ではないため、原則として許可の対象外です。不動産の賃貸は規模で判断が変わります。国家公務員については独立家屋5棟以上、賃貸料収入が年額500万円以上といった水準が自営の目安として扱われてきました。相続で引き継いだ場合は事情を説明して申請すれば足りることが多いです。
Q. 申請が不許可になったらもう諦めるしかないのですか?
理由を確認する価値があります。活動の時間帯を変える、相手先を変える、報酬の形を変える、期間を区切るといった調整で結論が変わることは実際にあります。不許可の理由はほとんどの場合、公務への支障、職務の公正さ、信用のいずれかに関わるものです。その懸念を解く設計に直して再度相談してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
丸山 桃子@SOHO編集部
アパレルEC運営支援・SNSコンサル
アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。
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