イラレとフォトショを使う在宅の仕事|受けられる案件と求められる操作の水準


この記事のポイント
- ✓イラレ(Illustrator)とフォトショ(Photoshop)を使う在宅の仕事にはどんな案件があるのかを
- ✓バナー・画像加工・チラシ・ロゴ・入稿データ作成などの種類ごとに整理しました
- ✓案件ごとに求められる操作の水準
イラレ(Adobe Illustrator)とフォトショ(Adobe Photoshop)を使える人が、在宅で受けられる仕事は少なくありません。Web サイトのバナー、商品写真の加工、チラシやパンフレット、ロゴ、SNS に載せる画像など、企業や個人の事業者が日々必要とする画像の多くは、この2つのソフトで作られています。ただし、「イラレとフォトショが使えます」と言っても、どの操作がどの水準でできるかによって、受けられる仕事は大きく変わります。この記事では、イラレとフォトショを使う在宅の仕事を案件の種類ごとに整理し、それぞれで求められる操作の水準、働き方の違い、契約で確かめること、仕事を得るための作品集の作り方までを順番に説明します。
イラレとフォトショ、それぞれの役割
在宅の仕事を考える前に、2つのソフトの役割の違いを押さえておきます。求人や案件の募集文で「イラレ・フォトショ必須」と並べて書かれることが多いのは、仕事の中で両方を使い分ける場面が多いからです。
フォトショ(Photoshop)は、写真のような、細かい点の集まりでできた画像を扱うソフトです。写真の明るさや色を整える、不要なものを消す、人物や商品を背景から切り抜く、複数の写真を組み合わせる、といった作業が得意です。点の集まりでできた画像は、拡大すると粗くなるため、作るときに使う場面の大きさに合わせた解像度で作る必要があります。
イラレ(Illustrator)は、線や形を数式で表す画像を扱うソフトです。ロゴ、図形、イラスト、文字を中心にしたデザインが得意で、どれだけ拡大しても線が粗くなりません。名刺からポスターまで、同じデータを大きさを変えて使えるため、印刷物のデザインやロゴの制作で中心になるソフトです。
実際の仕事では、写真の加工はフォトショで行い、加工した写真をイラレに取り込んで、文字や図形と組み合わせてチラシを仕上げる、といった使い分けをします。Web のバナーのように、フォトショだけで仕上げる仕事もあれば、ロゴのようにイラレだけで仕上げる仕事もあります。
在宅で受けられる案件の種類
イラレとフォトショを使う在宅の仕事を、案件の種類ごとに整理します。
写真の加工と切り抜き
ネットショップの商品写真の背景を白く抜く、写り込んだ不要なものを消す、明るさや色を整える、といった仕事です。主にフォトショを使います。1枚ごとの作業は短いことが多いものの、数十枚から数百枚をまとめて依頼されることがあり、正確さと速さの両方が求められます。デザインの経験が少ない人でも、切り抜きと色調の補正が正確にできれば受けやすい仕事です。
Web のバナーと SNS の画像
Web サイトや広告に使うバナー、Instagram や X に載せる画像を作る仕事です。主にフォトショを使い、文字の配置にイラレを使うこともあります。決められた大きさの中で、伝えたいことを一目で分かるように配置する力が求められます。広告のバナーでは、同じ内容で大きさや色違いのものを何種類も作ることがよくあります。
チラシ、パンフレット、名刺などの印刷物
印刷して配るものをデザインする仕事です。主にイラレを使い、写真の加工にフォトショを使います。印刷物は、画面で見る画像とは違う決まりがあり、印刷の会社に渡すデータを正しく作れるかどうかが、仕事を任せてもらえるかの分かれ目になります。
ロゴとアイコン
会社や店、サービスの顔になるマークを作る仕事です。主にイラレを使います。デザインの発想の力に加えて、依頼する人の考えを聞き取り、形に落とし込む力が求められます。デザインの経験と作品の実績が重視される仕事です。
印刷用のデータの作成と修正
他の人が作ったデザインを、印刷の会社に渡せる形に整える仕事や、既にあるチラシの文字や写真を差し替える仕事です。主にイラレを使います。ゼロからデザインする力より、データを正確に扱う力が求められるため、デザインの発想に自信がない人でも、イラレの操作に慣れていれば受けやすい仕事です。
資料や画像の差し替え、更新
Web サイトの画像の差し替え、季節ごとのキャンペーンのバナーの文字の変更、既にあるパンフレットの数字の更新など、既存のデータを直す仕事です。既存のデータの作りを読み取り、崩さずに直す力が求められます。
案件の種類と、使うソフト、求められる力を整理すると次のとおりです。
| 案件の種類 | 主に使うソフト | 特に求められる力 |
|---|---|---|
| 写真の加工と切り抜き | フォトショ | 正確さと速さ |
| Web のバナーと SNS の画像 | フォトショ(イラレ) | 伝えたいことを一目で見せる配置 |
| チラシ・パンフレット・名刺 | イラレ(フォトショ) | 印刷の決まりに沿ったデータの作成 |
| ロゴとアイコン | イラレ | 聞き取りと発想、作品の実績 |
| 印刷用のデータの作成と修正 | イラレ | データを正確に扱う力 |
| 既存の画像や資料の更新 | 両方 | 既存のデータの作りを読み取る力 |
案件ごとに求められる操作の水準
「イラレとフォトショが使える」の中身を、仕事で求められる操作に分けて整理します。応募や提案の前に、自分がどこまでできるかを確かめる目安にしてください。
フォトショで求められる操作
- 選択範囲を作り、人物や商品を背景から切り抜く(髪の毛のような細かい部分まで)
- パスを使って、商品の輪郭を正確に切り抜く
- レイヤーとレイヤーマスクを使い、元の画像を壊さずに加工する
- 明るさ、コントラスト、色合いを、調整レイヤーで整える
- 不要なものを消し、自然に周りとなじませる
- 使う場面に合わせて、画像の大きさと解像度を決め、適した形式で書き出す
写真の加工の仕事では1から5が、バナーの仕事では3と4と6に加えて、文字の配置と装飾が求められます。特に6の書き出しは見落とされやすく、Web に使う画像を重いファイルのまま納品したり、印刷に使う画像を Web 向けの解像度で作ったりすると、作り直しになります。
イラレで求められる操作
- ペンツールで、思いどおりの曲線や図形を描く
- 文字の大きさ、字間、行間を整え、読みやすく配置する
- 色を、画面向けの色(RGB)と印刷向けの色(CMYK)で使い分ける
- 印刷で切り落とされる部分を考えて、仕上がりの線(トンボ)と塗り足しを付ける
- 文字をアウトライン化する(文字を図形に変え、相手の環境に同じ書体が無くても崩れないようにする)
- 画像を正しく配置し、印刷の会社が求める形式でデータを保存する
印刷物の仕事では3から6が必須です。印刷の決まりに沿っていないデータは、印刷の会社から差し戻されるか、色やはみ出しの不具合が出たまま印刷されてしまいます。ロゴの仕事では1と2が中心になります。
仕事として通用する水準の目安
仕事として受けられる水準かどうかは、「指示を受けてから、調べずに作業を進められるか」で判断できます。毎回操作の方法を検索しながらでは、作業に時間がかかり、納期を守れません。上に挙げた操作を、手順を見ずにできるようになっていれば、写真の加工やデータの修正の仕事から受け始められます。ゼロからデザインする仕事は、操作に加えて、配置や配色の考え方を身につけ、作品として見せられるものを作ってから挑むのが現実的です。
雇用と業務委託、働き方の違い
イラレとフォトショを使う在宅の仕事には、雇用されて働く形と、業務委託で仕事を受ける形があります。
雇用されて働く形
デザイン会社や一般の企業に、正社員、契約社員、派遣社員、パートとして雇われ、在宅で働く形です。求人の中には、完全に在宅のものもあれば、週に何日かは出社し、残りを在宅で働くものもあります。決まった時間働いて給与を受け取るので、収入が安定します。会社がパソコンやソフトの契約を用意することもあります。企業の中のデザイナー(インハウスデザイナー)として、自社の広告や Web サイト、商品のパッケージのデザインを担当する仕事もこの形です。
業務委託で仕事を受ける形
フリーランスや副業として、企業や個人から1件ごとに仕事を受ける形です。働く時間や場所を自分で決められる一方、仕事を自分で探し、パソコンやソフトの費用を自分で負担します。報酬は、1件ごと、1枚ごと、あるいは時間ごとに決められます。
デザインの仕事の相場は、デザイナーの年収・単価相場で確かめられます。Web デザインの分野でフリーランスとして働く人の収入の考え方は、Webデザイナー 年収のリアル:30代フリーランスが語る稼ぎ方とキャリアパスが参考になります。
業務委託の契約で確かめること
業務委託で仕事を受けるときは、仕事を始める前に条件を確かめておくことが大切です。2024年11月に施行されたフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)では、仕事を頼む側に、条件をはっきり示すことを求めています。法律の第3条は次のように定めています。
業務委託事業者は、特定受託事業者に対し業務委託をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより、特定受託事業者の給付の内容、報酬の額、支払期日その他の事項を、書面又は電磁的方法(中略)により特定受託事業者に対し明示しなければならない。 出典: laws.e-gov.go.jp
分かりやすく言えば、フリーランスに仕事を頼む側は、頼んだらすぐに、何を作ってもらうか、報酬はいくらか、いつ支払うかなどを、書面やメールで示さなければならない、という決まりです。また第4条では、一定の条件を満たす依頼者について、報酬の支払期日を、成果物を受け取った日から60日以内のできる限り短い期間で定めることを求めています。フリーランス法のあらましは、厚生労働省のフリーランス法の解説ページで確かめられます。
デザインの仕事では、これに加えて次の点を確かめておきます。
- 修正は何回まで報酬に含まれるか。それを超えたときの扱い
- 納品するデータの形式(イラレのデータか、画像か、PDF か)
- 作ったデザインの著作権を依頼者に譲るのか、自分に残すのか
- 作ったものを、自分の作品集に載せてよいか
- 写真や書体を自分で用意する場合、その費用は誰が負担するか
特に著作権の扱いは、後でもめやすい点です。著作権とは、作品を作った人が持つ、その作品の使い方を決める権利のことです。ロゴのように依頼者がずっと使うものは、著作権を依頼者に譲る契約にすることが多くあります。著作権の基本は、e-Gov の著作権法で条文を確かめられます。作品集に載せたい場合は、契約の段階で「制作の実績として公開してよいか」を確かめておきます。
修正の回数を決めずに仕事を受けると、何度も修正を求められ、作業の時間が報酬に見合わなくなることがあります。最初の打ち合わせで、修正の回数と、大きな方針の変更は別の扱いにすることを決めておくと、双方が安心して仕事を進められます。
1件の仕事の流れ
業務委託でバナーやチラシの仕事を受けるときの、依頼から納品までの流れを説明します。雇用されて働く場合も、社内の依頼の受け方はおおむね同じです。
1. 依頼の内容を聞き取る
まず、何を、何のために、誰に向けて作るのかを聞き取ります。バナーなら、載せる場所と大きさ、伝えたいこと、入れる文字、使う写真、希望の色や雰囲気、締め切りです。チラシなら、印刷の大きさと紙の種類、印刷の会社、配る相手も確かめます。依頼者が言葉にできていない要望は、似た雰囲気の見本を見せてもらうと、方向をそろえやすくなります。
2. 見積もりと条件を示す
聞き取った内容をもとに、報酬の額、納期、修正の回数、納品の形式を示します。依頼者が了承したら、その内容をメールや契約書の形で残します。口頭だけで進めると、後から「言った」「言わない」のもめごとになります。
3. ラフを作って方向を確かめる
いきなり完成品を作らず、大まかな配置を示したラフを作って、方向が合っているかを確かめます。ラフは、手書きの図でも、簡単に配置しただけの画像でも構いません。この段階で方向がずれていることに気づけば、作り直しの手間が小さく済みます。
4. 作り込み、確認を受ける
方向が決まったら、写真の加工、文字の配置、色の調整を進めて、完成に近い形にします。依頼者に見てもらい、修正の指示を受けます。修正の指示は、1回ごとにまとめてもらうよう頼むと、何度も小さな修正が続くことを防げます。
5. 納品する
修正が終わったら、決めておいた形式でデータを書き出して納品します。印刷物なら、印刷の会社が求める形式で、文字のアウトライン化、塗り足し、画像の配置を確かめてから渡します。納品のときに、ファイルの名前、形式、大きさを一覧にして添えると、依頼者が受け取ったデータを確かめやすくなります。
6. 請求する
納品が済んだら、決めておいた額を請求します。請求書には、作ったもの、金額、振込先、支払いの期日を書きます。インボイス制度に登録している場合は、登録番号も書きます。
見積もりと報酬の決め方
業務委託で仕事を受け始めたばかりの人が迷うのが、見積もりの出し方です。報酬は、作業にかかる時間と、作るものの価値の両方から考えます。
まず、作業にかかる時間を見積もります。聞き取り、ラフ、作り込み、修正、納品までを合わせた時間です。初めての種類の仕事は、思ったより時間がかかることが多いので、少し多めに見積もります。
次に、1時間あたりにいくらで働きたいかを決め、時間を掛けて報酬の出発点にします。ここに、使う写真や書体の費用、ソフトの契約の費用の一部などを加えます。
そのうえで、作るものの価値を考えます。ロゴのように依頼者が長く使い続けるものは、作業の時間が短くても、その価値に見合う報酬を求めてよい仕事です。反対に、同じ形のバナーの色違いを何種類も作る仕事は、1枚あたりの作業が短くなるので、まとめての報酬で考えます。
見積もりを出すときは、何が含まれ、何が含まれないかを書き分けます。修正の回数、写真の加工の有無、納品の形式、著作権の扱いが含まれる範囲を明らかにしておくと、後から追加の作業が出たときに、別の報酬として相談しやすくなります。安すぎる報酬で仕事を受け続けると、作業の時間に見合わなくなり、仕事の質を保てなくなります。
よくある失敗と防ぎ方
イラレとフォトショの在宅の仕事で、受け始めの人がつまずきやすい失敗と、その防ぎ方を挙げます。
1つ目は、色の失敗です。画面向けの色(RGB)で作ったデータをそのまま印刷に回すと、画面で見たより色がくすんで印刷されることがあります。印刷物は、最初から印刷向けの色(CMYK)で作り、画面の色と印刷の色の違いを依頼者にも伝えておきます。
2つ目は、文字の失敗です。イラレのデータを、文字のアウトライン化をせずに渡すと、相手のパソコンに同じ書体が無い場合に、別の書体に置き換わって崩れます。印刷に回すデータは、アウトライン化したものと、文字を直せる元のデータの2つを分けて保存しておきます。
3つ目は、解像度の失敗です。Web 向けの小さな画像を、印刷物に使うと、粗く印刷されます。依頼者から写真を受け取ったら、使う大きさに対して解像度が足りているかを最初に確かめ、足りない場合は早めに伝えます。
4つ目は、誤字と数字の誤りです。デザインがどれだけ美しくても、電話番号や価格、日付が間違っていれば、そのチラシは使えません。納品の前に、文字と数字を依頼者の原稿と1つずつ照らし合わせます。
5つ目は、データの取り違えです。複数の案件を並行して進めると、別の依頼者のデータを送ってしまう事故が起きることがあります。案件ごとにフォルダを分け、ファイルの名前に依頼者名と日付を入れて管理します。
どの失敗も、納品の前の確認の一覧を作っておけば防げます。色、文字、解像度、誤字、ファイルの名前の5つを、納品のたびに確かめる習慣を付けておくと、依頼者からの信頼が積み上がります。
画像生成の AI との付き合い方
画像を自動で作る AI が広がり、イラレとフォトショの仕事にも影響が出ています。背景の生成や、不要なものを消す作業のように、これまで手間がかかった作業を AI で短くできる場面が増えました。
仕事で AI を使うときは、依頼者との約束を先に確かめます。依頼者によっては、AI で作った画像を使ってほしくない、使う場合は伝えてほしい、と考えていることがあります。また、AI で作った画像の権利の扱いや、使ってよい範囲は、使う AI の利用の決まりによって違います。仕事で使う前に、その決まりを確かめておきます。
AI が得意な作業が広がるほど、依頼者の要望を聞き取って形にする力、仕上がりの細部を整える力、印刷や Web の決まりに沿ってデータを正しく仕上げる力の価値は、むしろ高くなります。AI を作業の道具の1つとして使いこなしながら、人にしかできない部分を自分の強みにしていく考え方が大切です。
在宅で仕事をするための環境
イラレとフォトショの仕事を在宅で行うには、次の環境が必要です。
パソコン
イラレとフォトショは、パソコンの性能を多く使うソフトです。特にフォトショで大きな写真を何枚も重ねて加工すると、メモリが少ないパソコンでは動きが遅くなります。Adobe は、ソフトごとに動作に必要な環境を公表しているので、パソコンを選ぶ前に、使うソフトの必要な環境を確かめます。デザインの仕事では、Mac と Windows のどちらも使われていますが、依頼者や勤め先とデータをやり取りするときに、書体や表示の違いが出ないかを確かめておくと安心です。
ソフトの契約
イラレとフォトショは、Adobe の Creative Cloud という月額や年額の契約で使うのが一般的です。単体のソフトだけを契約する方法と、複数のソフトをまとめて使える契約があり、料金は契約の種類と支払い方で変わります。料金は改定されることがあるので、契約の前に Adobe の公式の料金のページで確かめます。業務委託で仕事を受けるなら、この契約の費用は自分で負担する経費になります。
モニター
色を扱う仕事では、モニターの色の表示が大切です。ノートパソコンの画面だけでは、色が正しく見えていないことがあります。印刷物の仕事を受けるなら、色の表示が安定したモニターを使い、印刷した見本と画面の色を見比べる習慣を付けておくと、色の失敗を防げます。
書体
デザインに使う書体(フォント)には、商用の利用が認められているものと、そうでないものがあります。仕事で使う書体は、商用の利用が認められていることを確かめてから使います。Creative Cloud の契約に含まれる書体の使い方にも決まりがあるので、使う前に条件を確かめます。
データの保管と受け渡し
依頼者から預かった写真やロゴのデータ、作った作品のデータは、外に漏れないように保管します。パソコンが壊れたときに備えて、外付けのディスクやクラウドの保管場所に控えを取っておきます。大きなデータの受け渡しには、依頼者が指定するファイル共有の方法を使います。
操作を仕事の水準に近づける練習の進め方
操作は覚えたものの、仕事として通用するか自信がない人は、実際の仕事に近い課題を自分で設定して練習します。1か月で取り組める練習の例を示します。
1週目は、フォトショの切り抜きと補正です。手持ちの写真から、形の違う物を10点選び、背景を白く抜き、明るさと色をそろえます。髪の毛や透明な物のように切り抜きの難しい題材も混ぜます。1点ごとにかかった時間を記録し、週の終わりに同じ作業をもう一度行って、時間が短くなったかを確かめます。
2週目は、バナーです。架空の店のセールを題材に、Web 広告でよく使われる大きさのバナーを数種類作ります。同じ内容で大きさの違うものを作ると、配置の組み替えの練習になります。文字の量を減らし、伝えたいことが一目で分かるかを、他の人に見てもらって確かめます。
3週目は、イラレの印刷物です。架空の店の名刺とチラシを作ります。印刷向けの色で作り、トンボと塗り足しを付け、文字をアウトライン化した入稿用のデータと、文字を直せる元のデータを分けて保存します。可能なら、実際に印刷の会社に少ない部数で注文してみると、画面と印刷の違いや、入稿の手順を体で覚えられます。
4週目は、既存のデータの修正です。1週目から3週目に作ったデータを、別の日に見直し、文字の差し替えや写真の入れ替えを行います。自分が作ったデータでも、時間を置くと作りを忘れていることに気づきます。レイヤーの名前を付ける、使わないデータを消しておく、といった整理の大切さが分かり、他の人が読み取りやすいデータの作り方が身につきます。
この1か月の練習で作ったものは、そのまま作品集の材料になります。練習の記録に残した作業の時間は、仕事の見積もりを出すときの目安にもなります。
仕事を得るための作品集の作り方
イラレとフォトショの仕事では、作品集(ポートフォリオ)が最も大きな判断の材料になります。依頼する人は、資格より、実際に何を作れるかを見て決めるからです。
作品集を作るときは、次の点を意識します。
- 受けたい仕事の種類に合わせた作品を入れる。バナーの仕事を受けたいならバナーを、印刷物の仕事を受けたいならチラシや名刺を中心に並べる
- 1つの作品ごとに、目的、使ったソフト、自分が担当した範囲、かかった時間を書く
- 写真の加工なら、加工する前と後を並べて見せる
- 架空の依頼を自分で設定して作った作品は、そのことを明記する
- 作品の数より質を優先し、自信のある5点から10点ほどに絞る
実際の仕事の実績がまだ無い人は、身近な店や団体のチラシを想定して作る、既にあるバナーを自分ならどう作るかを考えて作り直す、といった形で作品を作ります。その場合も、実在する企業のロゴや商品を勝手に使わず、架空の店や商品で作ります。
作品集は、Web の上に公開して URL で渡せる形にしておくと、応募や提案のたびに送りやすくなります。作品の説明文は、短く分かりやすく書きます。仕事を依頼する人とのやり取りは文章が中心なので、ビジネス文書検定で文書の基本を身につけておくと、作品の説明や見積もりのメールが書きやすくなります。
未経験から仕事を受けるまでの道筋
イラレとフォトショをこれから仕事にしたい人は、次の順番で進めると、無理なく仕事につなげられます。
最初は、操作を覚える段階です。この記事で挙げた操作を、教材や公式の使い方の案内を見ながら1つずつ練習します。練習の題材は、自分の写真や、自分で考えた架空の店のチラシで十分です。
次に、作品を作る段階です。受けたい仕事の種類を1つか2つに絞り、その種類の作品を作ります。完成したら、作品集にまとめます。
その次は、小さな仕事を受ける段階です。写真の加工や、既存のデータの修正のように、ゼロからデザインしない仕事から始めると、依頼者とのやり取りや、納品の流れを経験できます。小さな仕事でも、納期を守り、指示どおりに仕上げることを積み重ねると、次の仕事を任せてもらえるようになります。
最後に、仕事の幅を広げる段階です。バナーから印刷物へ、印刷物からロゴへ、と受けられる仕事の種類を広げていきます。Web 広告や SNS の運用の知識を身につけると、画像を作るだけでなく、その画像がどれだけ見られたかまで考えた提案ができるようになります。マーケティングの仕事の中身は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で確かめられます。
会社員が副業として始める場合は、勤め先の就業規則で副業がどう扱われているかを先に確かめます。業務委託の収入は、給与以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要になるのが一般的です。扱いは個々の事情で変わるので、迷うときは税務署の窓口で確かめてください。
在宅の仕事の市場から見えること
在宅ワークの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、イラレとフォトショの仕事を長く続けている人は、デザインの腕の良さだけでなく、依頼者が説明しきれていない要望をくみ取り、確かめる力を持っている人が多い傾向があります。「なんとなく明るい感じで」という依頼に対して、見本を2つ3つ出して方向を確かめる、修正の回数や納品の形式を最初に決めておく、といった一手間が、作り直しを減らし、次の依頼につながっています。
もう1つの傾向は、作業の正確さで信頼を得ている人が多いことです。切り抜きの細かさ、印刷用のデータの正しさ、納期の確かさは、目立たない部分ですが、依頼者が「次もこの人に頼もう」と思う一番の理由になります。
仲介する側から見ると、手数料のかからない直接の取引では、依頼する側は同じ予算でより多くの作業を頼め、受ける側は手元に残る額が厚くなります。手数料0%で直接やり取りできる場を使えば、作品集を見てもらいながら、自分に合った仕事の種類と条件で依頼者と話し合えます。まずは得意な操作を1つ決め、その操作を生かせる仕事から始めてください。
よくある質問
Q. イラレとフォトショはどの程度使えれば在宅の仕事を受けられますか?
指示を受けてから、操作の方法を調べずに作業を進められるかが目安です。フォトショなら切り抜き、レイヤーマスク、色調の補正、適切な書き出し、イラレならペンツール、文字の配置、色の使い分け、トンボや塗り足し、アウトライン化などを、手順を見ずにできれば、写真の加工やデータの修正の仕事から受け始められます。
Q. デザインの経験がなくても受けやすい仕事はありますか?
商品写真の切り抜きや明るさの補正、既にあるチラシの文字や写真の差し替え、印刷用のデータの修正などは、ゼロからデザインする力より操作の正確さが求められるため、デザインの経験が少ない人でも受けやすい仕事です。こうした仕事で納品の流れを経験してから、バナーや印刷物のデザインに広げていくと無理がありません。
Q. 業務委託でデザインの仕事を受けるときに契約で確かめることは何ですか?
作るものの内容、報酬の額、支払期日に加えて、修正が何回まで報酬に含まれるか、納品するデータの形式、著作権を依頼者に譲るかどうか、作品集に載せてよいか、写真や書体の費用の負担を確かめます。フリーランス法では、依頼する側が報酬の額や支払期日などを書面やメールで示すことが求められています。
Q. 在宅でデザインの仕事をするにはどんな費用がかかりますか?
主な費用は、パソコン、イラレとフォトショを使うためのAdobeのCreative Cloudの契約、色を確かめるためのモニター、データの控えを取る保管場所などです。Creative Cloudの料金は契約の種類と支払い方で変わり、改定されることもあるため、契約の前にAdobeの公式の料金のページで確かめてください。業務委託なら、これらは自分で負担する経費になります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却
会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







