IllustratorとPhotoshopの資格の選び方|在宅のデザイン案件で評価される場面


この記事のポイント
- ✓IllustratorとPhotoshopの資格を
- ✓サーティファイのクリエイター能力認定試験
- ✓アドビ認定プロフェッショナル
IllustratorとPhotoshopの資格を取れば、在宅でデザインの仕事を受けられるようになるのか。職業訓練やスクールを検討している人ほど、この疑問で足が止まります。結論から書くと、資格だけで案件が決まる場面は限られます。一方で、未経験の段階で「指示書どおりに正確に作業できる人か」を相手に伝える手段としては、資格はきちんと機能します。この記事では、代表的な3つの資格の受験料・試験時間・合格基準を公式ページで確かめたうえで、在宅の案件で評価される場面と評価されない場面を分けて整理します。
IllustratorとPhotoshopの資格は大きく3系統ある
IllustratorとPhotoshopの操作スキルを証明する資格は、運営元の違いで大きく3つに分かれます。民間の検定機関であるサーティファイが実施する「クリエイター能力認定試験」、アドビ社が認定し国内ではオデッセイコミュニケーションズが運営する「アドビ認定プロフェッショナル」、そして国家検定である「ウェブデザイン技能検定」です。最初の2つはソフトごとに科目が分かれ、3つ目はソフトではなくウェブ制作全体の知識と技能を問う試験です。
まず全体像を表で並べます。数字はいずれも2026年10月3日時点で各公式ページに載っている内容です。
| 資格 | 運営 | 対象ソフト | 受験料(税込) | 受け方 |
|---|---|---|---|---|
| Illustratorクリエイター能力認定試験 | サーティファイ | Illustrator | スタンダード8,100円/エキスパート9,100円 | 在宅のリモートWebテスト(公開試験)または認定会場(随時試験) |
| Photoshopクリエイター能力認定試験 | サーティファイ | Photoshop | スタンダード8,100円/エキスパート9,100円 | 同上 |
| アドビ認定プロフェッショナル | アドビ(国内運営はオデッセイコミュニケーションズ) | Photoshop、Illustrator、Premiere Pro など | 一般12,980円/学割9,680円 | 全国の試験会場でCBT |
| ウェブデザイン技能検定 | インターネットスキル認定普及協会(国家検定) | ソフト指定なし | 3級は学科6,000円+実技9,000円(非課税) | 指定の試験日に会場で受検 |
この表で押さえたいのは、「Illustratorの資格」「Photoshopの資格」と一口に言っても、測っているものが違うという点です。サーティファイの試験は、問題文の指示に従って1つの作品を作り上げる実践問題が中心です。アドビ認定プロフェッショナルは、選択問題と操作問題を組み合わせて、ソフトの機能をどこまで正しく理解しているかを幅広く確かめます。ウェブデザイン技能検定は、HTMLやCSS、アクセシビリティなどウェブ制作の知識が中心で、IllustratorやPhotoshopの操作そのものは主題ではありません。
在宅でDTPやバナー制作を受けたいのか、Webサイト制作まで広げたいのか、まず事務やSNS運用の延長で画像を扱えるようになりたいのか。目的によって選ぶべき資格が変わるので、次の節から1つずつ中身を見ていきます。
サーティファイのクリエイター能力認定試験は「作品を1つ仕上げる」試験
サーティファイのIllustratorクリエイター能力認定試験とPhotoshopクリエイター能力認定試験は、どちらもスタンダードとエキスパートの2つの級に分かれています。公式ページの認定基準では、スタンダードは「指示通りの作業を正確かつ合理的に行う事ができる」、エキスパートは「クライアントのニーズに対応した創造性の高いコンテンツ制作ができる」と書かれています。受験資格に学歴や年齢の制限はありません。
試験時間と合格基準は次のとおりです。
| 級 | 第1部 | 第2部 | 合格基準 | 受験料(税込) |
|---|---|---|---|---|
| スタンダード | 実技問題40分 | 実践問題90分 | 実技65%以上かつ実践70%以上 | 8,100円 |
| エキスパート | 知識・実技問題50分 | 実践問題90分 | 知識・実技65%以上かつ実践70%以上 | 9,100円 |
第2部の実践問題は90分で1テーマです。素材と仕様書を渡され、その条件どおりにチラシやWebパーツなどの作品を1つ完成させます。在宅のデザイン案件でよくある「この素材を使って、このサイズで、この文言を入れてください」という依頼の形に近く、ここが他の資格との一番の違いです。
公式ページに載っている実績は、Photoshopの累計受験者数が114,271名(2026年3月31日時点)、2025年度の平均合格率が73.0%です。Illustratorは累計受験者数120,897名、2025年度の平均合格率が72.1%です。合格率だけを見ると7割強が合格していますが、受験者の多くは専門学校や職業訓練の授業で対策をしてから受けているので、独学で手探りのまま受けると印象より手強く感じるはずです。
受け方は2つあります。1つは「公開試験」で、サーティファイが年に決まった日に実施する全国一斉試験です。自宅のパソコンで受ける「リモートWebテスト」という形式で、公式ページには「2つのカメラ」と「4つのAI」による不正監視を行うと書かれています。用意するのはインターネット接続、受験用のパソコン、スマートフォンとスマートフォンスタンド、静かな個室です。もう1つは「随時試験」で、パソコンスクールなどの認定会場で、会場が決めた日程に受けます。
公開試験の次の日程は、Illustratorが2027年1月24日(申込期間は2026年11月10日から2027年1月10日)、Photoshopが2027年2月7日(申込期間は2026年11月24日から2027年1月24日)です。スタンダードとエキスパートは同じ日に併願できます。合否は試験日から1か月後をめどに通知され、合格するとオープンバッジとデジタル認定証明書が発行されます。
スタンダードは10:00~12:00の間のお好きな時点から受験を開始してください。試験時間は130分間(第1部[実技問題]40分、第2部[実践問題]90分)で、第1部と第2部の間に最大10分間の休憩を挟んでいただけますので、試験終了は12:10~14:20の間となります。 出典: サーティファイ Photoshopクリエイター能力認定試験 試験日程・受験方法
注意したいのは、試験に使うソフトのバージョンとフォントです。Photoshopは2026(27.x)と2025(26.x)、Illustratorは2026(30.x)と2025(29.x)が対応バージョンとして載っています。さらに試験までに、Adobe Fontsから小塚明朝と小塚ゴシックの4種類を全ウェイトでアクティベートしておく必要があります。在宅で受けるなら、Creative Cloudの契約が切れていないか、フォントが有効になっているかを前日までに確かめておくのが安全です。
アドビ認定プロフェッショナルは「機能を正しく知っているか」を測る試験
アドビ認定プロフェッショナル(Adobe Certified Professional)は、アドビ社が認定する国際資格です。公式ページでは「エントリーレベルの認定資格」と位置づけられています。科目はアプリケーションごとに独立していて、Photoshopなら「Visual Design using Adobe Photoshop」、Illustratorなら「Graphic Design & Illustration using Adobe Illustrator」という名前で、2024版と2025版が用意されています。2026年6月30日からIllustrator 2025の試験が始まったことも公式のお知らせに出ています。
試験の中身は、PhotoshopもIllustratorも問題数30問前後、試験時間50分です。出題形式は選択形式、ドロップダウンリスト形式、クリック形式、ドラッグ&ドロップ形式、そして実際にアプリケーションを操作する操作問題が組み合わさっています。受験料は一般価格12,980円、学割価格9,680円です。合否は試験直後に画面に表示されます。
試験は、全国にある試験会場のコンピュータを使って解答するCBT形式で行われます。Adobe Creative Cloudに対応する試験(Photoshop, Illustrator, Premiere Pro)は、試験マシンにインストールされている実際のアプリケーションを使用します。 出典: アドビ認定プロフェッショナル 試験概要
出題範囲を見ると、ソフトの操作だけでなく「デザイン業界で働く」という大項目があり、デザイン制作の目的や対象者に関する用語、コンテンツやフォントの使用に必要な著作権・許可・ライセンスの種類を特定する問題が含まれます。在宅で受ける案件では、素材の利用許諾やフォントのライセンスでつまずく人が少なくないので、この部分を体系的に学べるのはこの資格の長所です。
もう1つの特徴は、2科目の組み合わせで上位の認定がつくことです。PhotoshopとIllustratorの両方に合格すると「Adobe Certified Professional in Visual Design」として認定されます。同じサーティポートIDで合格していれば、申請しなくても自動でデジタル認定証に反映されます。2科目のバージョンが違っていても認定されます。
再受験にはルールがあります。同じ科目を2回目に受けるときは前回から1日(24時間)、3回目以降は5日間(120時間)空ける必要があります。試験会場ごとに実施日と申込方法が違うので、受けたい会場に直接確認します。
サーティファイの試験と比べると、アドビ認定プロフェッショナルは試験時間が50分と短く、1つの作品を仕上げる長い実践問題がありません。その分、ソフトの機能を広く浅く確かめる性格が強い試験です。会社員が業務の一環で画像を扱う場合や、学生が就職活動で基本スキルを示したい場合に向いています。在宅で制作物を納品する仕事を目指すなら、この資格の勉強で機能の全体像を押さえ、実際の作品づくりは別に練習する、という組み合わせが現実的です。
ウェブデザイン技能検定はWeb制作まで広げたい人の国家検定
IllustratorとPhotoshopの資格を調べていると、ウェブデザイン技能検定が候補に上がることがあります。こちらは厚生労働省から指定を受けたインターネットスキル認定普及協会が実施する国家検定で、合格すると「ウェブデザイン技能士」を名乗れます。1級の合格者には厚生労働大臣から、2級と3級の合格者には協会の理事長から合格証書が発行されます。
ただし、この検定はIllustratorやPhotoshopの操作を問う試験ではありません。ウェブデザインに関する知識と技能、実務能力を学科と実技で確かめる試験で、HTMLやCSSを書く力が中心になります。バナーやチラシの制作だけを受けたい人には遠回りで、Webサイトの制作や更新の案件まで広げたい人に向いた資格です。
令和8年度の受検手数料(非課税)は次のとおりです。
| 等級 | 学科 | 実技 |
|---|---|---|
| 1級 | 8,000円 | 27,000円 |
| 2級 | 7,000円 | 17,500円 |
| 3級 | 6,000円 | 9,000円 |
3級は「ウェブの作成や運営に関する業務に従事している者及び従事しようとしている者」が受検できるので、未経験でも受けられます。2級は2年以上の実務経験か、3級の合格などが条件になります。試験日程は令和8年度で年4回あり、第3回は2026年11月29日、第4回は2027年2月21日です。第3回の受検申請は2026年9月30日から10月14日までと公式ページに載っています。
ウェブデザイン技能検定は、国家検定制度である技能検定制度の一つとして、厚生労働省より職業能力開発促進法第47条第1項の規定に基づき指定試験機関の指定を受け、特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会(以下、当協会)が実施するものです。 出典: ウェブデザイン技能検定
なお、3級の実技試験には23歳未満の人に向けた手数料の減免があります。試験を受ける年度の4月1日時点で23歳未満の場合、雇用保険に加入している在職者は4,500円、それ以外の人は6,800円になります。学生はこの「在職者以外」の側に入ります。
在宅のデザイン案件で資格が評価される場面
在宅のデザイン案件で、資格が実際に効いてくる場面は主に3つあります。
1つ目は、実績がまだ1件もない段階での応募です。クラウドソーシングや業務委託の募集では、依頼する側はプロフィールと提案文、そしてポートフォリオを見て判断します。実績欄が空のとき、「Illustratorクリエイター能力認定試験 エキスパート合格」と書いてあれば、少なくとも作業指示書を読んで、指定のサイズ・解像度・カラーモードでデータを作れる人だという最低限の安心材料になります。ぶっちゃけ、実績が10件ある人と競うと資格だけでは勝てません。ただ、実績0件どうしの比較なら差がつきます。
2つ目は、派遣やアルバイトでDTPオペレーターやデザインアシスタントの仕事を探すときです。こうした求人では、応募条件に「Illustrator・Photoshopの実務経験」と書かれていることが多く、未経験者は書類の段階で落ちやすくなります。このとき資格は、実務経験の代わりにはならないものの、操作スキルの客観的な目安として書類に書けます。職業訓練の修了と資格をセットで書くと、学んだ内容が具体的に伝わります。
3つ目は、事務や営業、SNS運用など本業の仕事の中で画像を扱う場面です。社内でチラシや資料の画像を作る担当を決めるとき、資格があると任されやすくなります。副業として在宅の仕事を始める前に、本業の中で制作の経験を積めるのは大きな利点です。
逆に、資格がほとんど評価されない場面もあります。デザイン事務所や制作会社から直接仕事を受ける段階になると、相手が見るのは作品の質と、納期と修正への対応の早さです。また、ロゴやキャラクターなど、表現の独自性が求められる仕事でも、資格の有無はまず問われません。資格はソフトを正しく使える証明であって、デザインの良し悪しを証明するものではないからです。
資格を取るメリットとデメリット
ここまでの内容を踏まえて、メリットとデメリットを整理します。
メリットとしては、次の4点が挙げられます。
・学ぶ範囲が決まるので、独学で何から手を付ければよいか迷わなくなる
・解像度、カラーモード、トンボと裁ち落としなど、現場で当たり前に使われる知識を体系的に覚えられる
・実績がない段階で、プロフィールや職務経歴書に書ける客観的な目安になる
・合格までの期限を決めることで、学習の締め切りが生まれる
特に2点目は見落とされがちです。在宅でチラシの案件を受けた人が、RGBのまま入稿して印刷所から差し戻される、塗り足しを付けずに納品して断裁で白い線が出る、といった失敗はよく聞きます。サーティファイのPhotoshopの出題範囲には、カラーモードの設定(グレースケール、RGB、CMYK)、画像解像度とスクリーン線数、トンボと裁ち落としの知識が明記されています。こうした「知らないと事故になる知識」を試験勉強の中で押さえられるのは、資格の実利です。
デメリットは次のとおりです。
・受験料と教材費がかかる(サーティファイなら1科目8,100円から、アドビ認定プロフェッショナルなら1科目12,980円)
・合格しても、それだけで案件の単価が上がるわけではない
・ソフトのバージョンが上がると、試験の対応バージョンも変わる
・試験対策に時間をかけすぎると、ポートフォリオ制作の時間が減る
4点目は実際によく起きます。資格を3つ、4つと増やしていくより、1つ取ったら作品づくりに時間を回したほうが、在宅の仕事にはつながりやすくなります。
目的別の選び方
ここまでの比較から、目的ごとの選び方をまとめます。
在宅でチラシ、バナー、名刺などの制作を受けたい人には、サーティファイのクリエイター能力認定試験が向いています。実践問題で1つの作品を仕上げる練習がそのまま仕事の練習になり、在宅で受験できるので地方に住んでいても受けやすいからです。最初はスタンダードで基本操作を固め、余力があればエキスパートに進みます。エキスパートでは知識問題も出るので、DTPとWebの基本知識をまとめて覚えられます。
会社員として本業の中で画像を扱う、または就職や転職でソフトの基本スキルを示したい人には、アドビ認定プロフェッショナルが向いています。アドビ社が認定する国際資格なので、外資系企業や海外との取引がある会社でも名前が通じやすく、PhotoshopとIllustratorの2科目合格で上位の認定も得られます。試験会場で受けるCBT形式なので、自宅の受験環境を整える手間がかかりません。
Webサイトの制作や運用まで仕事を広げたい人には、ウェブデザイン技能検定の3級から入る道があります。国家検定である点は書類上の強みになります。ただし、IllustratorとPhotoshopの操作は別に学ぶ必要があります。
迷ったときは、次の順で決めると失敗が少なくなります。
- 半年後にどんな仕事を受けていたいかを1文で書く(例: 飲食店のメニュー表と販促チラシを在宅で作る)
- その仕事に必要なソフトを決める(紙ものならIllustrator中心、写真加工やバナーならPhotoshop中心)
- そのソフトの資格を1つだけ選び、受験日を先に決める
- 合格したら、同じソフトで作品を3点作ってポートフォリオにする
学習の進め方と受験までの段取り
ここでは、未経験からサーティファイのスタンダードを受ける場合を例に、段取りを具体的に書きます。
最初にやることは、公式のサンプル問題を開くことです。サーティファイはPDF版と、本番と同じ形式で使える受験プログラム版のサンプル問題を公開しています。アドビ認定プロフェッショナルも公式サイトでサンプル問題を試せます。いきなり教材を買うより、まずサンプル問題を解いて、何が分からないかを確かめたほうが学習の無駄が減ります。
次に、公式テキストか問題集を1冊選びます。サーティファイは試験に対応した公式テキストと問題集を用意しており、問題集には本番と同じ環境で解ける模擬問題が載っています。出題範囲の表と照らし合わせて、選択範囲、レイヤー、色調補正、文字、パスとシェイプ、保存形式の順に進めると、Photoshopの基本は一通り押さえられます。
学習中に意識したいのは、操作を覚えることより、指示書を読む練習です。実践問題では「幅何ピクセル、解像度何ppi、この位置にこの文字を何ポイントで」といった細かい指定が並びます。指定を1つでも読み落とすと減点されるので、作業前に指示書の数字にすべて印を付け、作業後にもう一度照合する習慣をつけます。これは在宅の案件でもそのまま役に立ちます。依頼者の指示書を読み落として修正が増えるのは、在宅のデザイン仕事で最も多いトラブルの1つだからです。
同じ失敗は、ソフトウェア開発の現場でもよく起きます。仕様書の数字を1つ読み落としたまま実装を進め、レビューで丸ごと作り直しになる、という例です。原因の多くは能力ではなく、確認の手順がないことにあります。デザインでも開発でも、指示の数字を拾ってから手を動かす、という手順を体に覚えさせると、ミスの数は目に見えて減ります。
受験の段取りは、公開試験なら資格受付ONLINEでアカウントを作り、申込期間中に申し込みます。在宅で受けるリモートWebテストは、事前に操作体験ができます。当日に慌てないよう、カメラの位置、スマートフォンスタンド、部屋の明るさを前日までに試しておきます。随時試験なら、会場検索で近くの認定会場を探し、会場に日程と支払方法を問い合わせます。
学習費用を抑えたい人は、ハローワークの職業訓練を調べる価値があります。デザイン系のコースでは、IllustratorとPhotoshopの操作と資格の取得を目標にしたカリキュラムが組まれていることがあります。また、在職中の人は、厚生労働省の教育訓練給付金の対象になっている講座を選ぶと、受講費用の一部が支給される場合があります。対象講座かどうかと支給の条件は人によって違うので、厚生労働省の教育訓練給付金のページで制度を確かめたうえで、最寄りのハローワークに確認してください。
職業訓練と資格から在宅のDTPを目指す道は現実的か
30歳前後で職業訓練やスクールに通い、IllustratorとPhotoshopの資格を取って、まず派遣やアルバイトでDTPオペレーターの経験を積み、最終的に在宅のDTPデザイナーを目指す。この道筋を考える人は多く、質問サイトにも同じ相談が繰り返し寄せられています。
この道筋は、段階を分けて考えると現実的です。いきなり在宅で独立するのではなく、途中に「人の指示で手を動かす期間」を挟んでいる点が理にかなっています。DTPの現場では、文字の組み方、画像の配置、入稿データの作り方といった作業の型が決まっており、それを覚えるには実際の制作物を大量に触るのが一番の近道だからです。
一方で、つまずきやすい点も3つあります。
・訓練や資格の勉強が終わった時点で、作品が1点もないまま求人に応募してしまう
・派遣やアルバイトの職場で、決まった作業だけを繰り返し、デザインの判断を任される機会がない
・在宅に移る時期を決めず、何年もオペレーターの仕事を続けてしまう
対策としては、訓練中から作品を作り始めること、職場ではレイアウトの考え方や色の決め方を先輩に質問して吸収すること、そして「何年後に在宅の案件を何件受けている状態にするか」を最初に決めておくことです。資格は、この道筋の最初の一歩で「基礎は身につけた」と示す目印として使います。目印を立てたら、すぐ次の作品づくりに移る。この切り替えの早さが、在宅にたどり着けるかどうかを左右します。
資格とポートフォリオを組み合わせて応募する
資格は単体で出すより、ポートフォリオと組み合わせたときに効果が大きくなります。応募の場面で相手が知りたいのは、「この人に任せたら、指定どおりのデータが期限内に届くか」です。資格はその前半を、ポートフォリオは後半の質を示します。
ポートフォリオは、架空の依頼で作ったものでも構いません。ただし、架空であることは明記し、次の3点を作品ごとに書き添えます。
・想定した依頼内容(例: 地域のパン屋の新商品告知、A4片面、CMYK、塗り足し3mm)
・使ったソフトと工夫した点
・制作にかかった時間
制作時間を書くと、依頼する側は納期の見通しを立てやすくなります。資格の勉強で実践問題を90分で仕上げる練習をしていれば、「A4チラシ1枚を3時間で初稿」といった具体的な数字を書けるようになります。
もう1つ大事なのが、素材とフォントのライセンスです。ポートフォリオに有料の素材や、商用利用が認められていない素材を使うと、それだけで信用を失います。アドビ認定プロフェッショナルの出題範囲に著作権やライセンスの項目があるのはこのためで、資格の勉強を通じてこの感覚を身につけておくと、在宅の仕事を受けるときにも役立ちます。
応募文では、資格名を書くだけでなく、そこから何ができるのかを1文添えます。例えば「Photoshopクリエイター能力認定試験スタンダードに合格し、指定サイズ・解像度でのバナー作成と、Web用画像の書き出しができます」と書けば、資格名を知らない依頼者にも中身が伝わります。
市場データと内部の情報から考える、資格を仕事につなげる道筋
最後に、在宅のクリエイティブ系の仕事の全体像から、資格の位置づけを考えます。
デザインの仕事は単独で発注されるとは限りません。Webマーケティングの施策の中でバナーやLPの画像が必要になる、記事の制作と一緒に図解や見出し画像を求められる、といった形で、周辺の仕事とセットになることが多くあります。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事では、広告運用やSNS運用、AIを使った制作など、マーケティング周りの在宅の仕事の種類と始め方を整理しています。画像を作れる人がこの領域の仕事を1つ持っていると、受けられる案件の幅が広がります。
マーケティングの仕事と組み合わせるなら、アクセス解析の資格も相性がよい選択肢です。Googleアナリティクス認定資格では、Googleが提供する認定資格の内容と、解析の知識を仕事に生かす道筋をまとめています。バナーを作るだけでなく、どのバナーがクリックされたかを数字で説明できると、継続の依頼につながりやすくなります。
動画の編集まで広げたい人には、映像音響処理技術者資格の情報が参考になります。Photoshopで作ったサムネイル画像と動画編集を一緒に受けられると、動画制作の依頼で頼まれる範囲をまとめて引き受けられます。
文章の仕事との組み合わせも現実的です。著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、公的統計をもとにした書き手と編集者の収入の水準をまとめています。記事の執筆と図解の制作をまとめて受ける働き方は、在宅では珍しくありません。
フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見てきた限りでは、長く仕事が続く人ほど、資格の数より「この人に頼むと確認の手間が少ない」という評価を積み上げています。指示書を読み落とさない、入稿データの形式を最初に確認する、修正の範囲を事前にすり合わせる。どれも資格の勉強で身につく作業の型です。そして、仲介の手数料がかからない直接のやり取りでは、依頼者は同じ予算でより多くの制作を頼め、受け手は手取りが厚くなります。資格で最初の1件を取り、その1件で信頼を積み、次の依頼につなげる。この流れを作れるかどうかが、在宅のデザインの仕事を続けられるかどうかの分かれ目です。
資格の勉強が終わったら、次は実際の募集を見て、求められているソフトと作業の内容を確かめるのが近道です。ソフトウェア作成者の年収・単価相場では、制作系の仕事の中でも開発寄りの職種の収入水準を公的統計から整理しています。デザインからWeb制作、さらに開発へと仕事の幅を広げるときの目安として使ってください。
よくある質問
Q. IllustratorとPhotoshopの資格は独学でも取れますか?
独学でも受験できます。サーティファイのクリエイター能力認定試験もアドビ認定プロフェッショナルも、受験資格に学歴や年齢の制限はありません。まず公式サイトのサンプル問題を解いて分からない範囲を確かめ、公式テキストや問題集で出題範囲を一通り学ぶのが効率的です。サーティファイの実践問題は90分で作品を1つ仕上げるので、時間を計って制作する練習も欠かせません。
Q. サーティファイとアドビ認定プロフェッショナルはどちらがおすすめですか?
在宅でチラシやバナーを制作する仕事を目指すなら、作品を1つ仕上げる実践問題があるサーティファイが仕事の練習に近い試験です。自宅で受けられるリモートWebテストもあります。会社員として基本スキルを示したい場合や、国際的に通じる名前を重視する場合は、アドビ社が認定するアドビ認定プロフェッショナルが向いています。目的に合わせて1つを選びます。
Q. 受験料はいくらかかりますか?
2026年10月3日時点の公式ページでは、サーティファイのクリエイター能力認定試験がスタンダード8,100円、エキスパート9,100円(いずれも税込)です。アドビ認定プロフェッショナルは1科目あたり一般価格12,980円、学割価格9,680円(税込)です。ウェブデザイン技能検定の3級は学科6,000円と実技9,000円(非課税)です。料金は改定されることがあるので、申し込む前に公式ページで確かめてください。
Q. 資格があれば在宅のデザイン案件を受注できますか?
資格だけで受注が決まる場面は多くありません。実績がない段階で、指示書どおりに作業できることを示す材料としては役立ちますが、依頼する側が最も重視するのはポートフォリオです。資格の勉強で身につけた知識を使って作品を3点ほど作り、想定した依頼内容と制作時間を書き添えて応募すると、資格の効果が伝わりやすくなります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却
会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







