イラレの資格はどれを選ぶか、Illustrator試験の種類と在宅の仕事での使い道

@SOHO編集部
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イラレの資格はどれを選ぶか、Illustrator試験の種類と在宅の仕事での使い道

この記事のポイント

  • ✓サーティファイのIllustratorクリエイター能力認定試験と
  • ✓アドビ認定プロフェッショナルの2つが中心です
  • ✓在宅で受けられるかを主催団体の公表情報で比べ

イラレ(Adobe Illustrator)の資格を取ろうと調べ始めると、似た名前の試験がいくつも出てきて、どれを選べばよいか迷います。結論から書くと、イラレの操作を証明する資格は、サーティファイが主催する「Illustratorクリエイター能力認定試験」と、アドビが認定する「アドビ認定プロフェッショナル」の2つが中心です。前者は作品を1つ仕上げる実践的な試験で、在宅で受けられる回があります。後者はアドビ公認の国際資格で、全国の試験会場で受けます。この記事では、2つの試験の受験料、試験時間、合格基準、受け方を主催団体の公表情報で比べたうえで、在宅のデザインの仕事で資格がどう評価されるのか、資格を取った後に何を準備すれば案件につながるのかまで、順に整理します。

イラレの資格は国家資格ではなく民間の認定試験

最初に押さえておきたいのは、Illustratorの資格はどれも国家資格ではない、ということです。デザインの仕事をするのに法律で必要とされる資格はなく、資格がなくてもイラレを使った仕事はできます。

それでも資格を取る人が多いのは、イラレを使えることを第三者に示す手段として役立つからです。デザインの仕事に未経験から入る人は、実績がない段階で「どの程度使えるのか」を説明するのが難しく、資格がその代わりの物差しになります。企業の求人で「Illustratorが使える方」と書かれているとき、資格があれば、どの程度の操作ができるかを具体的に伝えられます。

イラレの操作を証明する主な試験は、次の2つです。

試験 主催・認定 特徴
Illustratorクリエイター能力認定試験 サーティファイ ソフトウェア活用能力認定委員会 指示に沿って1つの作品を作り上げる実践問題が中心。スタンダードとエキスパートの2つの級
アドビ認定プロフェッショナル(Illustrator) アドビ(国内の実施はオデッセイ コミュニケーションズ) アドビ公認の国際資格。選択問題と操作問題を組み合わせたCBT形式

CBTとは、試験会場のパソコンで問題を解く方式のことです。紙の試験と違い、会場ごとに受験日を選べるのが一般的です。

2つは目的が少しずつ違います。サーティファイの試験は「仕事の指示書どおりに作品を仕上げられるか」を見る作りで、実務に近い形式です。アドビ認定プロフェッショナルは、操作の知識に加えて、デザインの仕事で使う用語や著作権の基本まで範囲に入っていて、アドビ製品を使う人の共通の基礎を確かめる性格が強い試験です。

Illustratorクリエイター能力認定試験の受験料と形式

まず、サーティファイのIllustratorクリエイター能力認定試験から見ていきます。主催団体の公表情報によると、試験の目的は次のように説明されています。

ドキュメントデザイン技術に関する知識を有し、Illustrator ® を駆使して、 提示されたテーマ・素材から、仕様に従ってコンテンツを制作する能力を認定します。 出典: sikaku.gr.jp

試験はスタンダードとエキスパートの2つの級に分かれています。受験資格に学歴や年齢の制限はなく、どちらの級から受けてもかまいません。

項目 スタンダード エキスパート
認定の基準 作業指示書に基づいて、指示どおりの作業を正確に行える クライアントのニーズに合わせて、創造性の高いコンテンツを制作できる
第1部 実技問題 40分 知識・実技問題 50分
第2部 実践問題 90分 実践問題 90分
合格基準 実技65%以上かつ実践70%以上 知識・実技65%以上かつ実践70%以上
受験料(税込) 8,100円 9,100円

受験料は改定されることがあります。インターネット上には「スタンダード7,800円、エキスパート8,800円」と書いている情報も残っていますが、主催団体の現在の公表額はスタンダードが8,100円、エキスパートが9,100円です。申し込む前に必ず公式のページで確かめてください。

合格基準で見落とせないのは、第2部の実践問題で70%以上が必要な点です。第1部でどれだけ点を取っても、実践問題で作品を仕上げきれなければ合格できません。90分で1つの作品を指示どおりに仕上げる力が、この試験の中心にあります。

主催団体は、累計の受験者数が2026年3月31日時点で120,897名、2025年度の平均合格率が72.1%だと公表しています。合格率だけを見ると易しく見えますが、受験者の多くは学校や講座で対策をしてから受けています。独学の人は、公式のサンプル問題や問題集で、90分の実践問題を時間内に仕上げる練習をしてから臨むのが安全です。

在宅で受けられる公開試験と、会場で受ける随時試験

Illustratorクリエイター能力認定試験を個人で受ける方法は2つあります。

1つは「公開試験」です。サーティファイが直接運営する全国一斉の試験で、「リモートWebテスト」という方式で、自宅のパソコンから受験できます。主催団体は、2つのカメラと4つのAIで不正を監視する仕組みを使っていると説明しています。近くに試験会場がない人や、地方に住んでいる人にとっては、在宅で受けられるのは大きな利点です。

公開試験は年に2回ほどで、第9回は2026年7月5日に実施され、次の第10回は2027年1月24日に予定されています。第10回の申込期間は2026年11月10日から2027年1月10日まで、結果の発表は2027年2月17日です。スタンダードは午前、エキスパートは午後に始まるので、同じ日に両方を受けることもできます。

在宅で受けるときは、自分のパソコンにIllustratorが入っている必要があります。主催団体は対応するOSとバージョンを細かく指定していて、試験の前にAdobe Fontsから指定のフォントを有効にしておくことも求めています。パソコンのほかに、監視用のスマートフォンとスタンドも必要です。直前に慌てないよう、申込みの段階で環境の条件を確かめておきましょう。

もう1つは「随時試験」です。全国のパソコンスクールなど、認定を受けた会場で受験します。会場ごとに受験できる日程が違い、会場のパソコンを使えるので、自分のパソコンにIllustratorがない人でも受けられます。公開試験の日程が合わない人や、早く受けたい人に向いています。

アドビ認定プロフェッショナルの受験料と形式

もう1つの選択肢が、アドビ認定プロフェッショナルです。アドビが認定する資格で、国内ではオデッセイ コミュニケーションズが実施しています。IllustratorのほかにPhotoshopやPremiere Proなどの科目があり、イラレの科目は製品のバージョンごとに用意されています。2026年6月30日からは、Illustrator 2025の試験が始まりました。

Illustrator 2025の試験の概要は、アドビ認定プロフェッショナルの公式サイトで次のように公表されています。

項目 内容
問題数 30問前後
出題形式 選択、ドロップダウンリスト、クリック、ドラッグ&ドロップ、操作問題
試験の形態 試験会場のパソコンで受けるCBT形式
試験時間 50分
受験料(税込) 一般12,980円、学割9,680円
受験資格 年齢・国籍を問わず誰でも受験できる

受験料は一般で12,980円と、サーティファイの試験より高めです。学生は学割価格で受けられ、受験の当日に学生証を持参する必要があります。

出題範囲は5つの大きな項目に分かれていて、操作だけでなく「デザイン業界で働く」という項目が含まれているのが特徴です。デザインの目的や対象者に関する用語、フォントや素材を使うときの著作権や使用許可、デジタル画像の基本用語、デザインの基本原則などが問われます。仕事として依頼を受けるときに知っておきたい基礎が、試験範囲に組み込まれているわけです。

再受験にはルールがあります。同じ科目を2回目に受けるときは前回から1日(24時間)、3回目以降は5日間(120時間)あけなければなりません。試験は全国の試験会場で受け、受験日や申込みの方法は会場ごとに決められているので、近くの会場の案内を確認してください。

Photoshopの試験と組み合わせる

イラレの資格を調べている人の多くは、Photoshopの資格も気になっているはずです。サーティファイはIllustratorと同じ形式のPhotoshopクリエイター能力認定試験も実施していて、主催団体は「Illustratorクリエイター能力認定試験と同時に受験される方が多い試験」と紹介しています。受験料と試験時間もIllustratorと同じで、スタンダードが8,100円、エキスパートが9,100円です。

2つのソフトは役割が違います。Illustratorは、線や図形、文字を組み合わせてロゴやチラシ、図解を作るソフトです。拡大しても線がぼやけない「ベクター」という形式でデータを扱うので、印刷物やロゴに向いています。Photoshopは、写真の明るさを整えたり、不要なものを消したり、画像を合成したりするソフトで、写真を中心にした加工に向いています。

在宅のデザインの仕事では、両方を使う場面が多くあります。たとえば飲食店のチラシなら、料理の写真をPhotoshopで整え、それをIllustratorに取り込んで文字や図形と組み合わせて仕上げます。バナーやSNSの投稿画像でも、写真の加工と文字の配置の両方が求められます。片方しか使えないと、受けられる仕事の範囲が狭くなります。

どちらから取るかは、目指す仕事で決めるのが分かりやすいでしょう。ロゴ、名刺、チラシ、図解など、文字と図形が中心の仕事を目指すならIllustratorから。写真の加工や、写真を大きく使うバナーの仕事を目指すならPhotoshopから。どちらの試験も同じ形式なので、1つ目の試験で形式に慣れておくと、2つ目の準備が楽になります。

アドビ認定プロフェッショナルにもPhotoshopの科目があり、同じように選べます。2つのソフトの資格をそろえておくと、作品集と合わせて「写真の加工からレイアウトまで一人で仕上げられる」ことを示しやすくなります。

2つの試験はどちらを選ぶべきか

2つの試験の違いを、選ぶときの観点で並べ直します。

観点 Illustratorクリエイター能力認定試験 アドビ認定プロフェッショナル
受験料(税込) 8,100円(スタンダード)、9,100円(エキスパート) 12,980円(学割9,680円)
試験時間 130分から140分 50分
試験の中身 指示に沿って作品を仕上げる実践が中心 操作と、デザインの仕事の基礎知識
受け方 在宅の公開試験と、会場の随時試験 試験会場のCBT
向いている人 実務に近い形で作る力を示したい人 アドビ公認の資格を持ちたい人、学生

在宅のデザインの仕事を目指す人にとって、実務に近いのはサーティファイの試験です。指示書どおりに作品を仕上げる力は、発注者から渡された仕様に沿ってチラシやバナーを作る仕事にそのまま重なります。在宅で受けられる回があるのも、地方に住む人には利点です。

一方で、アドビ認定プロフェッショナルはアドビ公認の国際資格で、試験時間が短く、会場ごとに受験日を選べます。デザインの仕事で使う用語や著作権の基礎まで学べるので、未経験から仕事を始める人の最初の学習の目標としても使えます。

迷ったときは、「何のために取るか」で決めるのが確実です。在宅の仕事の応募で、作る力を示したいならサーティファイのスタンダードから。就職活動や社内での評価のために、名前の通った国際資格を持ちたいならアドビ認定プロフェッショナルから。時間と予算に余裕があれば、両方を取ることで、作る力と基礎知識の両方を示せます。

在宅のデザインの仕事で資格はどこまで評価されるか

ここからは、資格を取った後の話です。在宅でイラレを使う仕事には、チラシやポスター、名刺、バナー、ロゴ、図解、資料の清書など、さまざまな種類があります。こうした仕事で、資格はどの程度評価されるのでしょうか。

正直なところ、個人で受ける在宅のデザインの仕事では、資格よりも作品が見られます。発注者が知りたいのは、「この人に頼んだら、どんな仕上がりになるのか」です。資格はイラレの操作ができることの証明にはなりますが、仕上がりのデザインの良し悪しまでは示せません。

それでも資格が役立つ場面は、はっきりあります。1つは、実績がまだ少ない段階です。作品の数が少ないうちは、資格が「基本の操作は確実にできる」という裏づけになり、最初の仕事を受けるきっかけになります。もう1つは、企業から業務委託で継続の仕事を受けるときや、在宅勤務の求人に応募するときです。人事の担当者はデザインの専門家ではないことも多く、資格名と級は判断の材料として伝わりやすい情報です。

そして、試験の準備そのものが仕事の力になります。サーティファイの実践問題は、指示書を読み、素材を使い、決められた時間で作品を仕上げる形式です。これは、在宅の仕事で発注者の指示を正確に読み取り、納期までに仕上げる流れと同じです。アドビ認定プロフェッショナルの範囲にある著作権やライセンスの知識も、素材やフォントを扱う仕事で欠かせません。

在宅でイラレを使う仕事の種類

イラレを使う在宅の仕事にはどんな種類があり、それぞれでどんな操作が求められるのかを整理します。資格の学習でどの操作に力を入れるかを決める参考にしてください。

仕事の種類 主に使う操作 気をつけたい点
名刺・ショップカード 文字の配置、トンボ(裁ち落とし)の設定 印刷会社の入稿の条件に合わせる
チラシ・ポスター レイアウト、写真の配置、文字の組み方 情報の優先順位を見た目で伝える
バナー・SNSの画像 決められたサイズでの制作、書き出し 媒体ごとのサイズと容量の指定を守る
ロゴ パスの作成と編集、色の設計 小さく表示しても読める形にする
図解・資料の清書 図形、矢印、整列、文字の調整 手書きの下書きの意図を読み取る
手書きのトレース ペンツールでのパスの作成 元の線の特徴を残して整える

印刷物の仕事では、印刷会社にデータを渡す「入稿」の知識が欠かせません。仕上がりの大きさの外側まで背景を広げておく「塗り足し」や、文字をパスに変換する「アウトライン化」など、画面上ではきれいに見えても、印刷で失敗しないための作法があります。サーティファイのエキスパートやアドビ認定プロフェッショナルの範囲には、出力の形式に合わせたドキュメントの設定や書き出しが含まれていて、資格の学習でこうした作法の基礎を押さえられます。

Webの仕事では、画面の大きさや表示の形式に合わせた書き出しが中心になります。同じバナーでも、掲載する媒体ごとにサイズや容量の指定が違うので、指示書をよく読む力が求められます。

どの仕事も、最初から全部をこなせる必要はありません。資格の学習で基本の操作を固めたら、自分が得意な種類の仕事を1つか2つ決めて、その分野の作品を増やしていくほうが、仕事につながりやすくなります。

資格の次に用意したい作品集

資格を取ったら、次に用意したいのが作品集(ポートフォリオ)です。在宅のデザインの仕事に応募するとき、発注者はまず作品集を見て、頼むかどうかを判断します。

作品集を作るときのポイントは、作品の数より、見せ方です。チラシ、名刺、バナー、ロゴといった種類ごとに分け、それぞれに「どんな目的で、誰に向けて作ったか」を1行添えると、発注者は自分の依頼に近い作品を探しやすくなります。資格の試験で作った作品も、指示書の条件を書き添えれば、作品集に加えられる材料になります。

実際の仕事の実績がない段階では、架空の依頼を自分で設定して作品を作る方法もあります。たとえば「地域のパン屋の開店チラシ」「オンライン講座の告知バナー」のように、目的と対象者を決めてから作ると、仕事で求められる考え方の練習にもなります。架空の作品であることは、作品集の中で正直に書き添えてください。

作品集の作り方は、文章の仕事でもデザインの仕事でも考え方が共通しています。Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】では、誰に向けて何ができるかを最初に示す構成を紹介していて、デザインの作品集にもそのまま応用できます。

資格取得までの学習の進め方

イラレをほとんど触ったことがない状態から、資格の合格を目指す場合の学習の進め方を紹介します。

最初の段階では、基本の操作を一通り覚えます。図形を描く、パスを編集する、色を塗る、文字を入れる、レイヤーで整理する、といった操作です。アドビ認定プロフェッショナルの出題範囲にも、オブジェクトやパスの作成と変更、テキストの追加と変更、レイヤーの使い方が並んでいて、ここが土台になります。市販の入門書を1冊選び、最初から最後まで手を動かしながら進めるのが近道です。

次の段階では、作品を1つ仕上げる練習をします。名刺やチラシなど、身近な制作物を真似して作ってみると、操作を組み合わせる力がつきます。サーティファイの試験を受けるなら、公式のサンプル問題と問題集で、指示書を読んで作品を仕上げる練習を繰り返します。90分の実践問題を時間内に終えられるかを、実際に時間を計って確かめてください。

最後の段階では、苦手な操作をつぶします。サンプル問題を解いて時間がかかった操作、指示を読み違えた箇所を書き出し、そこだけを繰り返し練習します。試験では、操作が分かっていても、時間内に終わらなければ点になりません。よく使う操作のショートカットキーを覚えるだけでも、作業の速さは大きく変わります。

学ぶ場所としては、独学のほか、パソコンスクールや職業訓練もあります。ハローワークを通じて受けられる職業訓練には、デザインやWeb制作のコースが設けられていることがあり、条件を満たせば受講料の負担を抑えて学べます。受けられるかどうかや内容は地域によって違うので、住んでいる地域のハローワークで確かめてください。

合格した後の証明の見せ方

資格は取っただけでは相手に伝わりません。合格したことを、応募先や発注者にどう示すかも考えておきましょう。

サーティファイは、合格者に「オープンバッジ」と呼ばれるデジタルの認定証を無料で交付しています。オープンバッジは、資格の情報を画像とリンクで示せるデジタルの証明で、主催団体はメールの署名や履歴書、SNSでの共有に使えると説明しています。偽造や改ざんが難しい仕組みになっているため、相手が資格の真偽を確かめやすいのが利点です。

在宅の仕事の応募では、プロフィールや作品集に資格名と級を書くのが基本です。「Illustratorクリエイター能力認定試験 スタンダード合格」のように、試験名と級を正確に書きます。級の名前を省いたり、略称だけで書いたりすると、どの程度の力なのかが伝わりません。

資格と作品をつなげて見せるのも効果的です。たとえば「資格の学習で身につけた入稿の作法を使って、印刷用のチラシを制作しました」のように、作品の説明の中で資格が何に役立ったのかを一言添えると、発注者は資格を実務の力として受け取りやすくなります。

企業の在宅勤務の求人や、業務委託の継続の仕事に応募するときは、履歴書の資格の欄に合格した年月とともに書きます。デザインの専門家でない担当者にも伝わるよう、職務経歴書では「どのソフトで、どんな制作物を、どの程度作れるか」を具体的に書き添えると、資格の価値がより伝わります。

企業から仕事を受けるときに確かめること

イラレの仕事を企業から業務委託で受けるときは、作り始める前に、取引の条件を確かめておくことが大切です。

フリーランスとして仕事を受ける人を守るための法律、いわゆるフリーランス法では、企業が個人に仕事を頼むとき、報酬の額や支払期日などの条件を書面やメールで示すことが求められています。条件があいまいなまま作り始めると、修正の回数や納品後の支払いをめぐって行き違いが起きやすくなります。仕組みの全体は厚生労働省のフリーランス法の解説で確認できます。

デザインの仕事で特に確かめておきたいのは、次の点です。

確かめること 理由
報酬の額と支払期日 納品から支払いまでの期間を事前に知っておく
修正の回数と範囲 無制限の修正で作業時間がふくらむのを防ぐ
納品するデータの形式 印刷用か画面用か、元のデータも渡すのかを決める
使ってよい素材とフォント 素材やフォントの使用条件に合っているかを確かめる
完成したデザインの権利 発注者がどこまで使い、加工してよいかを決める

ロゴのように発注者が長く使うデザインでは、完成したデザインの権利の扱いが特に大切です。権利を一括して譲るのか、使い方を限って許すのかで、報酬の考え方も変わります。個別の判断が必要な場面では、専門家に相談してください。

Illustratorを使い続けるための費用と環境

資格を取って在宅の仕事を始めるには、自分のパソコンでIllustratorを使い続けられる環境が必要です。

Illustratorは、アドビの月額または年額の契約で使うソフトです。料金のプランは、Illustratorだけを使うもの、アドビのソフトを一括して使えるもの、学生や教職員向けのものなど複数あり、時期によって内容や価格が変わります。仕事で使うなら、契約の費用を毎月の経費として見込んでおく必要があります。最新の料金はアドビの公式サイトで確かめてください。

パソコンの性能も大切です。大きなポスターや、写真をたくさん使うチラシを作ると、処理が重くなることがあります。サーティファイの在宅試験でも対応するOSとバージョンが細かく決められていたように、ソフトの動作の条件はバージョンごとに変わります。仕事を始める前に、使うパソコンがIllustratorの動作の条件を満たしているかを確認しておきましょう。

フォントの扱いにも注意が要ります。Adobe Fontsのフォントは契約の範囲内で使えますが、それ以外のフォントは、商用で使ってよいかがフォントごとに決められています。チラシやロゴのように、発注者が商品や宣伝に使うデザインを作るときは、使ったフォントの使用条件を必ず確かめてください。アドビ認定プロフェッショナルの出題範囲に、フォントやコンテンツの使用に必要な著作権や許可、ライセンスの種類が入っているのは、こうした場面で迷わないためです。

試験の申込みから最初の仕事までの流れ

ここまでの内容を、実際の行動の順番に並べ直します。受験する試験の日程から逆算して、学習と作品づくりを並行させるのがこつです。

段階 やること 目安
1 受ける試験と級を決め、公式のサンプル問題を一度解く 最初の週
2 入門書で基本の操作を一通り覚える 1か月から2か月
3 問題集で、時間を計って実践問題を解く 試験の1か月前から
4 受験の申込みと、在宅受験なら環境の確認 申込期間内
5 受験と並行して、作品集の作品を作る 試験の前後
6 作品集と資格をそろえて、仕事に応募する 合格後

目安の期間は、イラレに触れた経験や、1日に使える時間によって大きく変わります。毎日少しずつでも手を動かすことが、何より確実な近道です。

サーティファイの公開試験を在宅で受けるなら、次の第10回は2027年1月24日で、申込みは2026年11月10日から2027年1月10日までです。秋から準備を始めれば、冬の試験に間に合わせる計画を立てられます。日程が合わない場合は、会場の随時試験や、会場ごとに受験日を選べるアドビ認定プロフェッショナルを選ぶ方法もあります。

最初の仕事は、得意な種類の小さな仕事から始めるのが安全です。名刺やバナーのように、短い期間で仕上がる仕事で経験を積み、発注者とのやりとりの流れに慣れてから、チラシやロゴのような大きな仕事に広げていくと、無理なく実績を積み重ねられます。

資格を在宅の仕事につなげるための考え方

イラレの資格は、在宅のデザインの仕事に入るための入口として役立ちます。ただし、資格だけで仕事が決まるわけではなく、作品集と、発注者の意図をくみ取って形にする力が合わさって、はじめて仕事につながります。

運営者として長く在宅の仕事の市場を見てきた限りでは、デザインの仕事で長く続く人は、操作の上手さよりも、発注者が言葉にしきれていない要望を引き出すのが上手な人だと感じます。「おしゃれな感じで」という依頼の裏に、「若い人に来てほしい」「高級感を出したい」といった目的がある。それを最初のやりとりで確かめられる人は、修正の回数が少なく済み、次の依頼にもつながりやすい傾向があります。

報酬の面では、同じ作業の量で手取りをどれだけ確保できるかが、在宅の仕事を続けられるかを左右します。依頼主と直接やりとりできる経路を持っておくと、間に入る手数料に左右されずに報酬を受け取れます。依頼主は同じ予算でより多くを頼め、作り手は手取りが厚くなる。この両方にとって得になる関係が、長い付き合いの土台になります。単価の上げ方の考え方は文章の仕事と共通する部分が多く、Webライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】で紹介している段階の踏み方は、デザインの単価を考えるときにも参考になります。

デザインの仕事は、広告や販売促進の仕事とも隣り合っています。バナーやチラシの仕事を受けるうちに、どんな言葉や配置なら反応が上がるのかを考える場面が増えていきます。デザインと近い分野の仕事の内容を知りたいときは、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のように、分野ごとの仕事内容と必要なスキルを整理したガイドが、次に身につける力を考える材料になります。

よくある質問

Q. イラレの資格はどれから取るのがよいですか?

在宅のデザインの仕事を目指すなら、指示書どおりに作品を仕上げる力を測るサーティファイのIllustratorクリエイター能力認定試験のスタンダードが入口として扱いやすいです。アドビ公認の国際資格を持ちたい人や学生は、アドビ認定プロフェッショナルも候補になります。目的に合わせて選んでください。

Q. 受験料はいくらですか?

主催団体の公表では、Illustratorクリエイター能力認定試験はスタンダード8,100円、エキスパート9,100円(いずれも税込)です。アドビ認定プロフェッショナルのIllustrator 2025は一般12,980円、学割9,680円(税込)です。金額は改定されることがあるので、申し込む前に公式のページで確かめてください。

Q. 自宅で受験できますか?

Illustratorクリエイター能力認定試験の公開試験は、リモートWebテストという方式で自宅のパソコンから受けられます。Illustratorのインストール、指定のフォントの有効化、監視用のスマートフォンとスタンドなどの準備が必要です。アドビ認定プロフェッショナルは試験会場のパソコンで受けるCBT形式です。

Q. 資格があれば在宅のデザインの仕事は受けられますか?

資格はイラレの操作ができることの証明になり、実績が少ない段階で最初の仕事を受けるきっかけになります。ただし個人で受ける在宅の仕事では、資格より作品集が重視されることが多いです。資格の学習と並行して、目的と対象者を決めた作品を作り、作品集を整えておくと仕事につながりやすくなります。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年5月18日最終更新:2026年10月2日
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