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IE手法とは|作業を測って改善する方法と種類

@SOHO編集部
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IE手法とは|作業を測って改善する方法と種類

この記事のポイント

  • ✓方法研究と作業測定の2つの柱
  • ✓工程分析・動作研究・稼働分析・ラインバランシング・時間研究・ワークサンプリングなどの種類
  • ✓現場で進める手順と注意点まで解説します

IE手法について調べている人の多くは、「現場の改善を任されたが、何から測ればよいか分からない」「工程分析や時間研究という言葉は聞いたことがあるが、違いが分からない」という悩みを抱えています。IE手法は、作業や工程を細かく分けて、時間と動きを測り、ムダな部分を見つけて改善するための方法の集まりです。この記事では、IEの意味と考え方、方法研究と作業測定という2つの柱、それぞれに含まれる代表的な手法、標準時間の求め方、現場で進める手順、使うときの注意点までを順に説明します。改善の作業を担当と期限つきで進めたいときは、プロジェクト管理ツールのPinatecaを使う方法もあり、その使い方も後半で触れます。

IEとは何か

IEとは、Industrial Engineering(インダストリアル・エンジニアリング)の頭文字を取った言葉で、日本語では「経営工学」や「生産工学」と訳されます。人、もの、設備、情報、お金といった仕事に必要な要素を、どう組み合わせれば最も効率よく成果を出せるかを、科学的に考える学問と技術のことです。

測定機器の会社の解説では、IEを次のように紹介しています。

IE(Industrial Engineering)はその一種で、およそ1世紀前に提唱された改善手法です。人や物の動きを科学的な手法で細かく分析することで、現場に隠れるムリ・ムダ・ムラを明確にし、改善していきます。 出典: keyence.co.jp

ここに出てくる「ムリ・ムダ・ムラ」は、改善の現場でよく使われる言葉です。ムリは、人や設備に能力以上の負担がかかっている状態、ムダは、成果につながらない作業や時間、ムラは、日や人によって作業の量ややり方がばらついている状態のことです。IEは、この3つを、勘や経験ではなく、測った数字にもとづいて見つけ出すことに特徴があります。

IEの考え方の始まりは、20世紀の初めごろのアメリカにさかのぼります。作業を細かく分けて時間を測り、最も効率のよいやり方を決めて、それを標準にする、という考え方が生まれ、工場の生産性を大きく高めました。その後、作業者の動きを細かく分析する研究も進み、いまのIE手法の土台になっています。

IEは、もともと工場の生産現場で発達した考え方ですが、いまでは物流の倉庫、病院、飲食店、事務の仕事など、さまざまな職場で使われています。「作業を分けて、測って、ムダを見つけて、直す」という考え方は、どんな仕事にも当てはまるからです。

IE手法の2つの柱

IE手法は数多くありますが、大きく分けると「方法研究」と「作業測定」の2つの柱にまとめられます。

方法研究とは、仕事のやり方そのものを分析して、より良いやり方を見つけるための手法です。「どんな順番で」「どんな動きで」「どこで」作業しているかを調べ、ムダな工程や動きを見つけて取り除きます。工程分析や動作研究が、この方法研究に含まれます。

作業測定とは、作業にかかる時間を測って、作業の標準になる時間を決めるための手法です。「1つの作業に何分かかるか」「1日のうち、実際に作業している時間はどれくらいか」を数字でつかみます。時間研究やワークサンプリングが、この作業測定に含まれます。

2つの柱は、別々に使うのではなく、組み合わせて使います。一般的な流れは、まず方法研究でやり方を見直し、ムダを取り除いた新しいやり方を決め、そのやり方で作業測定を行って標準の時間を決める、という順番です。やり方を見直す前に時間を測っても、ムダを含んだやり方の時間を標準にしてしまうことになるため、順番が大事です。

方法研究と作業測定の結果は、工程の改善だけでなく、生産の計画、人の配置、原価の計算、作業者の教育にも使われます。標準の時間が分かれば、1日に何個作れるか、何人の作業者が必要か、1個あたりの人件費はいくらか、といった計算ができるようになるためです。

方法研究の代表的な手法

方法研究には、分析する対象の細かさによって、いくつかの手法があります。大きな流れから細かい動きへ、順に見ていきます。

工程分析

工程分析とは、製品ができあがるまでの流れ、または作業者が行う作業の流れを、工程ごとに分けて記録し、分析する手法です。工程は、次の4つの種類に分けて記録するのが一般的です。

  • 加工:材料の形や性質を変える工程
  • 運搬:材料や製品をある場所から別の場所に移す工程
  • 検査:数や品質を確かめる工程
  • 停滞:材料や製品が、加工も運搬も検査もされずに止まっている状態

工程分析では、それぞれの工程の時間と、運搬の距離も記録します。記録してみると、加工の時間はわずかで、運搬と停滞に多くの時間がかかっていることがよくあります。運搬と停滞は、製品の価値を高めない工程なので、減らすことが改善の目標になります。

工程分析には、製品の流れを追う「製品工程分析」と、作業者の動きの流れを追う「作業者工程分析」があります。製品工程分析は、材料が製品になるまでにどこを通るかを見るのに、作業者工程分析は、作業者が1日の中でどんな作業をしているかを見るのに向いています。

動作研究

動作研究とは、作業者の手や体の動きを細かく分けて分析し、ムダな動きを取り除く手法です。たとえば、部品を組み立てる作業を「手を伸ばす」「つかむ」「運ぶ」「組み合わせる」「放す」といった基本の動きに分けて、それぞれの動きが必要かどうかを調べます。

動作研究から生まれた考え方に「動作経済の原則」があります。疲れにくく、ムダの少ない動きをするための原則で、次のような内容が含まれます。

  • 両手を同時に、左右対称に動かす
  • 動きの範囲をできるだけ小さくする
  • 道具や部品は、使う順番に、手の届きやすい場所に並べる
  • 探す、選ぶ、迷うといった動きをなくす
  • 重いものは、体の近くで扱う

これらの原則は、工場の組み立ての作業だけでなく、事務の作業にも当てはまります。よく使う書類を机の手の届く場所に並べる、パソコンの操作をショートカットキーで短くする、といった工夫も、動作経済の原則にもとづく改善です。

稼働分析

稼働分析とは、作業者や機械が、時間のうちどれくらい実際に仕事をしているか(稼働しているか)を調べる手法です。作業者の時間を「主体の作業」「準備や後片付けの作業」「手待ち(仕事がなくて待っている時間)」「休憩」などに分けて、それぞれの割合を出します。

手待ちの割合が大きい作業者がいれば、仕事の割り振りを見直す余地があります。機械の稼働の割合が低ければ、段取りの時間や、材料を待っている時間が長い可能性があります。

連合作業分析とラインバランシング

連合作業分析とは、複数の作業者、または作業者と機械が一緒に作業をするときに、それぞれが作業している時間と待っている時間を、時間の流れに沿って並べて分析する手法です。たとえば、作業者が機械に材料をセットしてから、機械が加工している間、作業者は何をしているかを調べます。その間に作業者が別の作業をできれば、全体の効率が上がります。

ラインバランシングとは、流れ作業のラインで、各工程の作業の時間をそろえる手法です。流れ作業では、一番時間がかかる工程の速さが、ライン全体の速さになります。工程ごとの作業の時間を測り、作業を工程の間で移し替えて時間をそろえると、待ち時間が減り、ライン全体の生産性が上がります。

工程分析の記録表の作り方

工程分析を始めるときに迷うのが、記録の仕方です。最初は、専用の記号や用紙を使わなくても、表計算のソフトで次のような表を作れば十分です。ここでは、架空の部品の組み立ての作業を例にします。

番号 工程の内容 種類 時間 運搬の距離
1 部品を倉庫から作業台へ運ぶ 運搬 3分 30メートル
2 作業台の横で順番を待つ 停滞 20分 なし
3 部品を組み立てる 加工 5分 なし
4 検査台へ運ぶ 運搬 1分 10メートル
5 検査の順番を待つ 停滞 15分 なし
6 外観と寸法を確かめる 検査 2分 なし

この表を作ってみると、合計46分のうち、加工は5分しかなく、停滞が35分を占めていることが分かります。改善の対象は、組み立ての速さではなく、2番と5番の待ちの時間だと見えてきます。

記録するときのコツは、細かすぎず、粗すぎない単位で工程を分けることです。最初は、1つの工程が数分から数十分になるくらいの単位で分けると、全体の流れがつかみやすくなります。全体の中で時間がかかっている工程が分かったら、その工程だけをさらに細かく分けて、動作研究や時間研究で調べます。

記録は、実際に現場で作業を見ながら取ります。手順書や作業者の話だけをもとに記録すると、実際には行われている待ちや運搬が抜け落ちてしまいます。1回の観察で終わらせず、時間帯や担当者を変えて何回か記録すると、ばらつきも見えてきます。

作業測定の代表的な手法

作業測定には、作業の時間を測る方法によって、いくつかの手法があります。

時間研究

時間研究とは、ストップウォッチやビデオを使って、作業の時間を直接測る手法です。作業をいくつかの要素に分けて、それぞれの要素の時間を何回も測り、平均の時間を出します。

時間研究で大事なのは、測る作業を細かい要素に分けることと、何回も測ることです。1回だけ測ると、たまたま早かったり遅かったりした時間を標準にしてしまいます。また、測られている作業者が普段と違う速さで作業することもあるため、作業者の速さが標準と比べてどうかを評価して、時間を補正することがあります。

PTS法

PTS法とは、作業を基本の動きに分け、あらかじめ決められている動きごとの時間を組み合わせて、作業の時間を求める手法です。PTSは Predetermined Time Standards(あらかじめ決められた時間の基準)の略です。実際に作業を測らなくても時間を見積もれるため、新しい作業を設計する段階で使われます。

生産管理の解説を載せている会社のサイトでは、この特徴を次のように説明しています。

この手法は、実際の作業が始まる前に、工程設計の段階で作業の所要時間を見積もるのに適しています。特に繰り返し行われる作業や大量生産において、効率性や生産性の向上を図る際に有効です。 出典: daiko-xtech.co.jp

ワークサンプリング

ワークサンプリングとは、作業者や機械の状態を、決めた時刻にその瞬間だけ観察して記録し、その記録の数から、作業の割合を推定する手法です。たとえば、1日の中で決めた時刻に何十回も観察し、「作業している」「準備している」「待っている」のどれだったかを記録します。観察の回数が多ければ、それぞれの状態の割合を、かなり正確に推定できます。

ワークサンプリングの良いところは、作業者に付きっきりで測る必要がなく、複数の作業者を同時に調べられることです。稼働分析を行うときによく使われます。観察の時刻は、作業者に前もって知らせず、ばらばらの時刻に決めるのがコツです。決まった時刻に観察すると、その時刻に合わせて作業の様子が変わってしまい、普段の姿が分からなくなるためです。

実績の資料を使う方法

過去の作業の記録や日報から、作業の時間を集計する方法もあります。手間はかかりませんが、記録の正確さに左右されるため、ほかの手法と組み合わせて使うのが一般的です。

標準時間の求め方

作業測定の目的の1つが、標準時間を決めることです。標準時間とは、決められたやり方と設備で、その仕事に慣れた作業者が、普通の速さで作業したときにかかる時間のことです。

標準時間は、一般に次のように求めます。

  1. 時間研究などで、作業そのものにかかる時間(正味時間)を測る
  2. 疲れや、手洗いに行く時間、作業の準備など、作業に付きものの遅れを「余裕」として見積もる
  3. 正味時間に、余裕の分を加えて、標準時間とする

計算の式で表すと、「標準時間=正味時間×(1+余裕率)」という形がよく使われます。余裕率とは、正味時間に対して、余裕の時間がどれくらいの割合かを表した数字です。たとえば、正味時間が10分で、余裕率を10%と見積もった場合、標準時間は11分になります。

余裕率の決め方は、作業の内容や職場の環境によって変わります。重いものを扱う作業や、暑い場所での作業では、疲れの分の余裕を大きく取ります。決めた余裕率が実態と合っているかは、標準時間で計画を立てて、実際の作業と比べることで確かめます。

標準時間は、生産の計画、人の配置、原価の計算、作業者の評価など、さまざまな場面で使われます。そのため、一度決めたら終わりではなく、作業のやり方や設備が変わったら、測り直して見直す必要があります。

IE手法を取り入れるメリット

IE手法を職場に取り入れると、次のようなメリットがあります。

1つ目は、改善の対象を数字で決められることです。「なんとなく遅い気がする」ではなく、「この工程で1日に合計2時間の待ちが発生している」と数字で示せるため、どこから手を付けるべきかがはっきりします。関係者の間で意見が分かれたときも、測った数字をもとに話し合えます。

2つ目は、改善の効果を示せることです。改善の前と後で同じ方法で測れば、どれだけ時間が縮んだか、どれだけ生産量が伸びたかを数字で示せます。効果が見えると、職場の協力を得やすくなり、次の改善にもつながります。

3つ目は、作業のやり方をそろえられることです。標準のやり方と標準時間が決まると、作業者によるばらつきが減り、新しく入った人にも同じやり方を教えられます。仕事が特定の人に張り付いている状態をなくすことにもつながります。

4つ目は、計画の精度が上がることです。標準時間が分かれば、1日に何個作れるか、何人が必要か、いつまでに終わるかを、根拠のある数字で計画できます。お客様への納期の約束も、自信を持ってできるようになります。

5つ目は、働く人の負担を減らせることです。ムダな動きや運搬、無理な姿勢を減らすことは、作業者の疲れやけがの危険を減らすことにもつながります。IEは生産性を上げるための手法であると同時に、働きやすい職場を作るための手法でもあります。

一方で、測ることに手間がかかる、作業者の協力が欠かせない、といった面もあります。最初から職場全体で取り組むより、1つの作業で小さく試し、効果を示してから広げると、手間と反発の両方を抑えられます。

IE手法を現場で進める手順

IE手法を現場で使うときは、次の6つの手順で進めると、効果が出やすくなります。

  1. 改善の対象を決める:生産性が低い、ミスが多い、時間がかかる、といった困りごとのある作業を選ぶ
  2. いまのやり方を記録する:工程分析や動作研究で、作業の流れと動きを記録する
  3. 時間を測る:時間研究やワークサンプリングで、作業の時間と、待ちの時間を測る
  4. ムダを見つけて、改善の案を出す:記録と測定の結果から、取り除ける工程や動きを探す
  5. 新しいやり方を試し、標準にする:改善の案を試し、効果があれば手順書にまとめる
  6. 効果を確かめて、繰り返す:改善の前後で時間や生産量を比べ、次の改善につなげる

4番目の改善の案を出すときには、「なくせないか」「まとめられないか」「順番を入れ替えられないか」「簡単にできないか」の4つの視点で考えると、案が出やすくなります。この4つは、頭文字を取って ECRS(イクルス)と呼ばれ、なくすことが一番効果が大きく、簡単にすることが一番小さい、という順番になっています。

5番目の手順で、新しいやり方を手順書にまとめておくことも大事です。改善したやり方が、担当者が替わったときに伝わらなければ、元のやり方に戻ってしまいます。手順書には、作業の順番だけでなく、なぜそのやり方にしたのかという理由も書いておくと、後から見直すときに役立ちます。

事務や販売の仕事でIE手法を使う例

IE手法は工場のものと思われがちですが、事務や販売の仕事でもそのまま使えます。いくつかの例を紹介します。

事務の仕事では、作業者工程分析が役に立ちます。たとえば、請求書を作る作業を、「データを探す」「金額を確かめる」「入力する」「印刷する」「封筒に入れる」「上司の確認を待つ」のように分けて、それぞれの時間を記録します。記録してみると、「データを探す」と「上司の確認を待つ」に多くの時間がかかっていることがよくあります。データの保存の場所を決める、確認の決まりを見直す、といった改善につながります。

販売の仕事では、稼働分析とワークサンプリングが役に立ちます。店員の1日の時間を「接客」「品出し」「レジ」「事務」「待ち」に分けて観察すると、お客様が多い時間帯に品出しをしていて、接客の手が足りていない、といったことが分かります。品出しの時間帯をずらすだけで、接客の時間を確保できます。

倉庫の仕事では、工程分析と動作研究が役に立ちます。商品を棚から取り出すピッキングの作業で、作業者が歩いている距離を記録すると、よく出る商品が奥の棚に置かれていて、長い距離を歩いている、といったことが分かります。よく出る商品を手前の棚に移すだけで、歩く距離と時間を大きく減らせます。

どの職場でも共通しているのは、測ってみて初めて、ムダの場所が分かるということです。「この作業が遅いはずだ」という思い込みではなく、記録と数字にもとづいて改善の対象を決めることが、IE手法の一番の強みです。

IEとほかの改善の手法との違い

職場の改善の手法には、IEのほかにもいくつかの有名なものがあります。違いを知っておくと、目的に合った手法を選びやすくなります。

QC(品質管理)の手法は、製品の品質のばらつきや不良を減らすことに重きを置いた手法です。データを集めてグラフや図で整理し、不良の原因を探します。IEが時間と動きを測るのに対して、QCは品質のデータを測る、という違いがあります。

5S は、整理、整頓、清掃、清潔、しつけの5つの頭文字を取った活動で、職場の環境を整えることを目的にしています。道具を探す時間をなくす、通路をふさがない、といった効果があり、IEの改善の土台になります。5Sができていない職場でIE手法を使っても、まず探す時間や片付ける時間ばかりが目立ってしまうため、5Sを先に進めることがよくあります。

生産の方式として知られる考え方の中には、必要なものを、必要なときに、必要な量だけ作ることを目指すものがあります。作りすぎや在庫をムダとして減らし、工程の流れを整える考え方で、IEの工程分析や稼働分析の結果を生かす場面が多くあります。

これらの手法は、どれか1つを選ぶものではなく、組み合わせて使うものです。時間と動きのムダを減らしたいならIE、品質のばらつきを減らしたいならQC、職場の環境を整えたいなら5S、と目的に応じて使い分け、必要に応じて組み合わせます。

IE手法を学ぶ方法

IE手法を学ぶ方法は、大きく分けて3つあります。

1つ目は、本で学ぶ方法です。IEの入門書は、工程分析や時間研究の考え方を、図や例とともに説明しているものが多く、全体の考え方をつかむのに向いています。最初は、特定の手法の専門書よりも、IE全体を広く扱った入門書を1冊選ぶのがおすすめです。

2つ目は、研修や講座で学ぶ方法です。改善の支援を行う団体や、都道府県の産業の支援機関などが、IEや現場の改善に関する研修を開いていることがあります。研修では、実際に模擬の作業を測って改善する演習を行うことが多く、本だけでは分かりにくい測り方のコツを身に付けられます。研修の内容と日程、費用は主催者ごとに違うため、受けるときは主催者の公式の案内で確かめてください。

3つ目は、自分の職場で小さく試す方法です。本で学んだ工程分析を、自分の仕事の1つの作業に当てはめてみるだけでも、多くの気づきが得られます。最初から完璧な分析を目指すのではなく、表に作業の流れと時間を書き出すところから始めます。

学ぶ順番としては、工程分析から始めるのがおすすめです。工程分析は、特別な道具がなくても、紙と時計があればすぐに始められ、仕事全体の流れとムダの場所をつかむのに向いています。工程分析で時間がかかっている工程が分かったら、その工程について動作研究や時間研究を学び、細かく分析する、という順番で進めると、学んだことをすぐに仕事に生かせます。

どの方法で学ぶ場合も、学んだ手法を実際の仕事で使ってみることが一番の練習になります。1つの作業を改善して効果が出ると、IEの考え方が自分のものになり、ほかの作業にも応用できるようになります。

IE手法を使うときの注意点

IE手法は強力な道具ですが、使い方を間違えると、現場の反発を招いたり、かえって効率が下がったりします。使うときに気をつけたい点を挙げます。

1つ目は、作業者を責めるために使わないことです。時間を測られると、作業者は「遅いと責められるのではないか」と身構えます。測る目的が、作業者を評価することではなく、仕事のやり方を良くすることだと、最初にきちんと伝えることが大事です。中小機構の中小企業向けの相談サイトでも、ムダを見つけるには、まず現場の要素をはっきり定義することが必要だとしています。

ムダを発見するためには、現場に存在するものについて明確に定義する必要があります。生産現場は大きく分けると「ヒト」「機械」「モノ」の3つの要素から成り立っているといえます。 出典: J-Net21 製造現場での「ムダ」取り

人だけでなく、機械やモノの面からもムダを探すことで、作業者だけに改善の負担をかけない進め方ができます。

2つ目は、作業者の意見を聞くことです。測った数字だけでは、なぜその作業に時間がかかっているのかは分かりません。現場で作業をしている人は、どこがやりにくいか、どこでミスが起きやすいかをよく知っています。改善の案を出すときは、作業者と一緒に考えると、現場に合った案が出て、新しいやり方も定着しやすくなります。

3つ目は、測ることが目的にならないようにすることです。細かく測ることに時間をかけすぎて、改善に手が回らなくなることがあります。測る細かさは、改善の目的に合わせて決めます。大まかな改善の対象を見つける段階では、ワークサンプリングのような手軽な方法で十分です。

4つ目は、品質と安全を犠牲にしないことです。作業の時間を短くすることだけを目標にすると、確認の手順を省いたり、無理な姿勢で作業させたりすることになりかねません。改善の案は、品質と安全に問題がないかを確かめてから試します。

改善の作業を担当と期限つきで進める方法

IE手法で改善の案が見つかっても、日々の生産に追われて、改善の作業が後回しになることがよくあります。改善を確実に進めるには、改善の作業そのものを、普段の仕事と同じように「担当」と「期限」を付けて管理します。

数人のチームであれば、スプレッドシートに「改善の案」「対象の工程」「担当」「期限」「状況」「改善前の時間」「改善後の時間」の列を作るだけでも管理できます。改善の前後の時間を同じ表に記録しておけば、効果も一目で分かります。

複数人で担当と期限と進み具合を共有したい場面では、プロジェクト管理ツールを使う方法もあります。その選択肢の1つがPinatecaです。公式サイトによると、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットが、無料プランから使え、カードに見積の工数や優先度などの項目を自由に追加できるカスタムフィールドも無料プランに含まれています。改善の案を1つずつカードにして担当と締切を付け、カスタムフィールドに改善前と改善後の時間を入れておけば、カンバンで進み具合を、リストで効果の一覧を、チームの全員が同じ画面で確かめられます。

公式の料金ページによると、5人までのチームなら期限なしで無料で、ボードは10個まで、クレジットカードの登録は要りません。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランになり、料金は1人あたり月額500円(税抜、年払いなら1人あたり月額400円)です。Pinatecaは作業の時間を自動で測ったり、工程分析の図を作ったりする道具ではありません。分析と測定は紙やストップウォッチや表計算で行い、そこから出た改善の作業の分担と進み具合の共有にPinatecaを使う、という使い分けになります。

Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

独自の視点から見た、IEの考え方が活きる仕事

在宅ワークとフリーランスの仲介を長く見てきた運営者の立場から言うと、仕事が長く続く人ほど、自分の作業の時間を把握しています。1本の記事を書くのに何時間かかるか、1枚のデザインを仕上げるのにどの作業に時間がかかっているかを知っている人は、見積もりが正確で、納期の約束を守れます。これは、IEの作業測定の考え方を、自分の仕事に当てはめているのと同じです。作業を分けて測る習慣は、会社の現場だけでなく、個人で仕事を受ける人にとっても強い武器になります。

IEの考え方を仕事にする道もあります。企業の業務の流れを分析し、改善やツールの導入を提案する仕事は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で、どのような依頼があり、どう進めるかが紹介されています。作業の記録や集計を自動にするシステムを作る側に回りたい人には、アプリケーション開発のお仕事があります。経営と生産の改善を体系的に学びたい人には、国家資格の中小企業診断士の資格ガイドが、試験の内容と資格を生かせる仕事の範囲をまとめています。

フリーランスとして改善の支援を受けるときは、手取りの厚さも大事です。仲介の手数料が高いと、同じ報酬でも受け取る金額が減ります。手数料0%で直接取引できる形であれば、発注する側は同じ予算でより多くの改善を頼め、受ける側は手取りが厚くなります。ムダを減らして双方の得を大きくするという点で、直接取引の考え方はIEの考え方とよく似ています。

よくある質問

Q. IE手法とは何ですか?

IE手法とは、作業や工程を細かく分けて、時間と動きを測り、ムリ・ムダ・ムラを見つけて改善するための方法の集まりです。IEは Industrial Engineering の略で、経営工学や生産工学と訳されます。もともと工場の生産現場で発達しましたが、いまでは物流の倉庫や病院、飲食店、事務の仕事など、さまざまな職場で使われています。

Q. 方法研究と作業測定は何が違いますか?

方法研究は、作業の順番や動きなど仕事のやり方そのものを分析して、より良いやり方を見つける手法で、工程分析や動作研究が含まれます。作業測定は、作業にかかる時間を測って標準の時間を決める手法で、時間研究やワークサンプリングが含まれます。一般には、方法研究でやり方を見直してから、新しいやり方で作業測定を行う順番で使います。

Q. 標準時間はどうやって求めますか?

決められたやり方で慣れた作業者が普通の速さで作業したときの、作業そのものにかかる時間(正味時間)を時間研究などで測り、疲れや準備など作業に付きものの遅れを余裕として加えて求めます。計算では「標準時間=正味時間×(1+余裕率)」の形がよく使われます。余裕率は作業の内容や環境で変わるため、実際の作業と比べて見直します。

Q. IE手法を使うときに気をつけることは何ですか?

作業者を責めるために使わないことが一番大事です。測る目的が仕事のやり方を良くすることだと最初に伝え、作業者の意見を聞きながら改善の案を考えます。また、細かく測ること自体が目的にならないようにし、時間を短くするために品質や安全を犠牲にしないことも大切です。人だけでなく機械やモノの面からもムダを探します。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年2月8日最終更新:2026年10月27日
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