人事の副業はどこで受けるか|採用支援や労務の仕事内容と向き不向き


この記事のポイント
- ✓研修や面談の4つに分け
- ✓向き不向きを整理します
- ✓社会保険労務士法や職業安定法で資格や許可が必要になる業務
人事の副業は、会社で採用や労務を担当してきた人が、その経験を小さな会社やスタートアップに提供する働き方です。人事の担当者を置く余裕のない会社は多く、「採用の進め方を整えてほしい」「面接の日程調整だけでも手伝ってほしい」という依頼は珍しくありません。一方で、人事の仕事の中には、資格や許可がないと報酬を得て行えない業務があります。ここを知らずに受けると、依頼主にも自分にも迷惑がかかります。
この記事では、人事の副業を4つの種類に分けて仕事の内容を整理し、どこで仕事を探すか、どんな人に向いているかを説明します。そのうえで、社会保険労務士法や職業安定法で決まっている業務の線引き、本業の就業規則や秘密の扱いなど、受ける前に確かめておきたい決まりを、条文と厚生労働省のガイドラインで確かめながら解説します。
人事の副業の需要が生まれる背景
人事の副業の依頼が生まれるのは、主に従業員が数人から数十人の会社です。この規模の会社では、社長や総務の担当者が採用も労務も兼ねていることが多く、専任の人事を雇うほどの仕事量はないものの、採用や制度づくりで専門の知識が欲しい場面がたびたび訪れます。
飲食店の経営の支援をしていると、この構図をよく目にします。店長が営業をしながらアルバイトの募集を出し、応募の電話を受け、面接をして、シフトを組む。人が辞めるたびに同じ作業が繰り返され、募集の文面も毎回その場で考えるので、応募が集まらない理由も分からないままです。ここに、採用の経験がある人が月に数時間関わるだけで、募集の文面が整い、面接の質問がそろい、採用の結果が記録として残るようになります。
厚生労働省は、副業や兼業について、企業が原則として認める方向で検討することを求めています。
裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である。 出典: mhlw.go.jp
この一文は、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」にあるものです。副業を認める会社が増えるにつれ、大きな会社で人事を経験した人が、本業を続けながら小さな会社を手伝う形が広がってきました。
人事の副業は4つの種類に分かれる
人事の副業の仕事は、内容によって次の4つに分けられます。
| 種類 | 主な仕事 | 必要な経験 | 資格や許可の注意 |
|---|---|---|---|
| 採用支援 | 募集の文面づくり、応募者との連絡、面接の同席、採用の計画 | 採用の実務 | 人材紹介には許可が必要 |
| 労務 | 勤怠の集計、入退社の事務の補助、規程の整理 | 労務の実務 | 手続きの書類の作成と提出の代行は社労士の業務 |
| 制度づくり | 評価制度、等級制度、研修の計画の設計 | 制度の設計や運用 | 個別の判断は専門家と連携 |
| 研修や面談 | 新人研修、管理職研修、社員との面談 | 研修の講師や面談の経験 | キャリアコンサルタントは名称独占の国家資格 |
副業として受けやすいのは、採用支援と制度づくりです。どちらも、本業で培った経験をそのまま生かせ、在宅で進められる作業が多いからです。労務の仕事は、後で説明するように、社会保険労務士の資格が必要な業務との線引きに気をつける必要があります。
採用支援の仕事内容
採用支援は、人事の副業の中でも依頼が多い分野です。具体的には次のような仕事があります。
募集の文面をつくる
求人サイトや自社のサイトに載せる募集の文面を作ります。仕事の内容、求める人物像、働く条件を、応募する人の目線で分かりやすく書き直す仕事です。文面を変えるだけで応募の数が変わることも多く、成果が見えやすい仕事です。
応募者との連絡と日程の調整
応募者への返信、面接の日程の調整、結果の連絡などを代わりに行います。返信が遅れると応募者が他の会社に流れるので、すばやい対応が求められます。
面接の設計と同席
面接で聞く質問をそろえ、評価の基準を作ります。オンラインの面接に同席して、評価の意見を伝えることもあります。
採用の計画と振り返り
いつまでに何人を採用するのか、どの方法で募集するのかを計画し、採用が終わった後に、応募の数や採用までの日数を振り返ります。
採用支援の仕事で求められるのは、採用の実務の経験と、応募者や依頼主とのやり取りを丁寧に進める力です。仕事を紹介するサービスの解説にも、次のように書かれています。
一般的に、人事案件に応募するにあたり、人事に関する専門的な知識やスキルが求められることが多いです。しかし、人事案件において、未経験であっても、他の業務で培ったスキルや経験を活かして、応募することは可能です。 出典: sokudan.work
同じ解説では、総務の経験がある人や、転職のエージェントなど人材業界の経験がある人が採用されることもあると紹介されています。
採用支援の1か月の流れの例
従業員20人ほどの会社から、事務職1人の採用の支援を月額で受けた場合の、1か月の流れの例を示します。
| 時期 | 作業 | 進め方 |
|---|---|---|
| 1週目 | 採用の条件と求める人物像を聞き取る | オンラインの打ち合わせ1回 |
| 1週目 | 募集の文面を書き直す | 在宅で作成し、依頼主が確認 |
| 2週目 | 面接の質問と評価の基準を作る | 在宅で作成し、打ち合わせで確認 |
| 2週目から4週目 | 応募者への返信と日程の調整 | 平日の決めた時間帯に対応 |
| 3週目から4週目 | 面接に同席し、評価の意見を伝える | オンラインで同席 |
| 4週目 | 応募の数や面接の結果を振り返る | 短い報告書を作成 |
この例では、打ち合わせと面接の同席を除くと、ほとんどの作業を在宅で、自分の都合のよい時間に進められます。一方、応募者への返信は、応募から時間が空くほど辞退が増えるので、毎日決まった時間に確認する習慣が欠かせません。
採用支援で気をつけたい職業安定法
採用支援の仕事を受けるときに必ず知っておきたいのが、職業安定法の決まりです。
職業安定法の第30条には、有料の職業紹介の事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならないと定められています。職業紹介とは、仕事を探している人と、人を雇いたい会社の間に立って、雇用の契約が結ばれるように取り持つことです。つまり、知り合いの候補者を会社に紹介して、採用が決まったら報酬を受け取る、という形の仕事は、許可がなければ行えません。
また、同じ法律の第36条には、委託募集についての決まりがあります。人を雇おうとする会社が、自社の社員以外の人に報酬を与えて労働者の募集をさせるときは、厚生労働大臣の許可が必要で、報酬を与えない場合は届出が必要と定められています。条文は、e-Govの職業安定法で読めます。
採用支援の副業の多くは、募集の文面づくりや日程の調整、面接の設計など、会社が自ら行う採用の作業を手伝う形です。ただ、仕事の内容によっては、委託募集や職業紹介に当たるかどうかの判断が必要になります。受ける仕事が法律のどの決まりに関わるのか、許可や届出が必要なのかは、依頼主と一緒に、都道府県労働局に確認してから始めるのが安全です。
労務の仕事内容と社会保険労務士法
労務の仕事は、勤怠の集計、給与の計算の補助、入社や退職の事務の補助、就業規則などの規程の整理などです。毎月決まった作業が発生するので、継続の依頼になりやすい分野です。
ただし、労務の仕事には、社会保険労務士でなければ報酬を得て行えない業務があります。社会保険労務士法の第27条には、次のように定められています。
社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。 出典: laws.e-gov.go.jp
第2条第1項の第1号から第2号には、労働や社会保険に関する法令に基づいて行政機関に提出する申請書や届出書を作ること、その提出の手続きを代わりに行うこと、法令に基づく帳簿書類を作ることなどが並んでいます。つまり、たとえば社会保険の加入や喪失の届出の書類を作って提出を代行することを、資格のない人が報酬を得て仕事として行うことはできません。条文には、他の法律に別段の定めがある場合と、政令で定める業務に付随して行う場合は除く、というただし書きもあります。
労務の副業を受けるときは、次のように線を引いておくと安全です。
・勤怠のデータの集計や、社内向けの資料の整理など、手続きの書類にあたらない作業を受ける
・行政への手続きの書類の作成や提出は、依頼主の会社が自ら行うか、社会保険労務士に依頼してもらう
・どこまでが資格の必要な業務に当たるか迷う作業は、受ける前に社会保険労務士に確認する
労務の仕事を本格的に続けたい人は、社会保険労務士の資格の取得も選択肢になります。試験の案内は、社会保険労務士試験オフィシャルサイトで確かめられます。
制度づくりの仕事内容
制度づくりは、評価制度、等級制度、研修の体系など、人事の仕組みそのものを設計する仕事です。会社が成長して従業員が増えてくると、「評価の基準がなく、昇給を社長の感覚で決めている」という状態に限界が来ます。そこで、人事制度の経験がある人に設計を依頼するのです。
制度づくりの副業は、次のような流れで進むことが多いです。
- 社長や管理職への聞き取りで、会社の考え方と課題を整理する
- 現在の給与や役割の状況を確かめる
- 評価の項目と基準、等級の区分の案を作る
- 社内への説明の資料を作る
- 導入後の運用を見て、見直しを手伝う
制度づくりは、数か月にわたる仕事になることが多く、1回の打ち合わせで終わる作業ではありません。在宅で資料を作り、月に1回か2回のオンラインの打ち合わせで方向を確かめる、という進め方が副業には向いています。
制度を作るときは、就業規則や賃金の規程との整合も必要です。就業規則の変更の届出のような手続きは、前の節で説明したように社会保険労務士の業務に当たるので、制度の設計を担い、手続きは社会保険労務士と連携する、という役割分担が一般的です。
研修や面談の仕事内容
新人研修や管理職研修の講師、社員との面談を担当する仕事もあります。研修の副業は、資料の作成を在宅で行い、研修の当日はオンラインか会場で講師を務める形が多いです。
社員とのキャリアの面談を行う場合、知っておきたいのがキャリアコンサルタントの資格です。キャリアコンサルタントは国家資格で、厚生労働省のページによると、キャリアコンサルタントになるには、キャリアコンサルタント名簿に登録する必要があります。登録の手数料は8,000円で、別に登録免許税9,000円がかかると案内されています。詳しくは厚生労働省のキャリアコンサルタントのページで確かめられます。
キャリアの面談そのものは資格がなくても行えますが、「キャリアコンサルタント」と名乗るには登録が必要です。名乗れることは、依頼主に専門性を示す材料になります。
研修の資料や面談の記録は、文章で整理する力が問われます。人事の仕事は、規程や通知、社内向けの案内など、文書を作る機会がとても多い分野です。文書の基本を体系的に学びたい人は、ビジネス文書検定で、目的に合った文書の書き方を確かめておくと役立ちます。
業種によって依頼の中身が変わる
人事の副業の依頼は、依頼主の業種によって中身が大きく変わります。自分の経験がどの業種に合うのかを知っておくと、仕事を探すときに的を絞れます。
飲食や小売など、アルバイトの採用が多い業種
人の出入りが多く、採用の数も多い業種です。依頼の中心は、募集の文面の改善、応募への返信の速さ、面接の手順の簡素化です。営業の時間中に店長が応募の電話を受けられず、採用の機会を逃している店は少なくありません。応募の受付から面接の予約までを整えるだけで、採用の結果が変わることがあります。
IT企業やスタートアップ
専門の職種の採用が中心です。エンジニアやデザイナーなど、求める技術がはっきりしている職種では、募集の文面に仕事の内容や使う技術を具体的に書くことが求められます。採用の計画づくりや、評価制度の整備の依頼も多い業種です。
介護や医療など、資格を持つ人の採用が多い業種
資格を持つ人の採用は競争が激しく、待遇や働き方の説明の分かりやすさが応募の数を左右します。シフトや夜勤の条件を、応募する人の目線で分かりやすく整理する仕事が求められます。
製造や建設など、現場の仕事が中心の業種
現場の仕事の魅力を、文章や写真で伝えることが課題になりやすい業種です。現場の社員への聞き取りから、仕事の流れや1日の様子を募集の文面に反映させる仕事があります。
どの業種でも共通するのは、大きな会社の採用の仕組みをそのまま持ち込むのではなく、依頼主の業種の事情に合わせて組み立て直すことです。業種の事情を知るために、最初の打ち合わせで現場の様子をよく聞くことが、良い仕事の出発点になります。
人事の副業の探し方
人事の副業を探す方法は、大きく次の3つです。
| 探し方 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 副業の仲介サービス | 企業の募集に応募する。人事の募集も多い | 初めて副業をする人 |
| クラウドソーシング | 募集の文面づくりなど、単発の作業が多い | 実績を作りたい人 |
| 知人や前職のつながり | 信頼関係があるので、継続の依頼になりやすい | 人脈がある人 |
最初の1件は、副業の仲介サービスやクラウドソーシングで探す人が多くいます。募集の文面の作成や、面接の質問づくりのような、範囲がはっきりした作業から始めると、依頼主との進め方に慣れることができます。
仲介サービスで募集を探すときは、募集の文面から、依頼主が何に困っているのかを読み取ります。「応募が少ない」のか、「応募はあるが良い人が採れない」のか、「採用してもすぐに辞めてしまう」のかで、必要な支援は違います。応募するときに、その困りごとに対して自分なら何から手をつけるかを短く書くと、ほかの応募者との違いが伝わります。面談では、依頼主の業種や規模で過去に似た経験があるかを聞かれることが多いので、答えを準備しておきます。
実績ができてくると、依頼主から別の会社を紹介されたり、前職の同僚から声がかかったりして、つながりから仕事が広がっていきます。人事の仕事は、会社の内情を扱うので、信頼できる人に任せたいという依頼主が多く、紹介で広がりやすい分野です。
採用の広報として、会社のブログや採用サイトの記事を書く仕事もあります。文章で報酬を得る仕事の単価の考え方は、Webライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップが参考になります。
最初の依頼を受けるまでの準備
人事の副業で最初の依頼を受けるには、自分に何ができるのかを、依頼主に伝わる形で示す必要があります。会社員として人事の仕事をしてきた人は、自分の経験を外の人に説明した経験が少ないことが多く、ここでつまずきがちです。
経験を「何を、どの規模で、どう変えたか」で書く
「採用を担当していました」では、依頼主には何ができるのかが伝わりません。「従業員50人の会社で、年間20人の中途採用を担当し、応募から内定までの日数を短くするために面接の回数を見直した」のように、何を、どの規模で、どう変えたのかを書きます。具体的な数字は、本業の会社の秘密に触れない範囲で示します。
受けられる仕事を絞って示す
人事の仕事は幅が広いので、「人事なら何でもできます」と書くと、かえって依頼主は判断に迷います。「募集の文面の改善と、面接の質問づくりを受けます」のように、受けられる仕事を2つか3つに絞って示すと、依頼主が依頼の内容を想像しやすくなります。
成果物の見本を用意する
募集の文面の改善の例、面接の評価シートのひな形など、実際の成果物の見本を用意します。本業で作ったものをそのまま使うことはできないので、架空の会社を想定して、見本用に作り直します。
稼働できる時間を正直に書く
本業がある人は、平日の日中に連絡を返せないことがあります。返信できる時間帯や、1週間に使える時間を最初に伝えておくと、依頼主との行き違いを防げます。
報酬の決め方
人事の副業の報酬は、仕事の種類によって決め方が変わります。主な決め方は次の3つです。
| 決め方 | 向いている仕事 | 注意点 |
|---|---|---|
| 時間あたりの報酬 | 面接の同席、日程の調整など、作業の量が読みにくい仕事 | 稼働の時間の記録と報告が必要 |
| 月額の固定 | 採用の運用の支援など、毎月続く仕事 | 作業の範囲を決めておかないと、仕事が膨らむ |
| 成果物ごとの報酬 | 募集の文面、評価制度の設計など、成果物がはっきりした仕事 | 修正の回数を決めておく |
報酬を決めるときは、まず自分が1か月に使える時間を決め、その時間で目指したい収入から逆算します。たとえば、1か月に20時間を使えて、時間あたり3,000円を目指すなら、1か月あたりの目標は6万円です。月額の固定で受ける場合は、この時間に収まる作業の範囲を、契約で決めておきます。
月額の固定で受けた仕事が膨らんでいくのは、人事の副業でよくある失敗です。最初は面接の日程の調整だけだったのに、いつの間にか応募者への合否の連絡や、入社の準備まで頼まれるようになる。作業が増えたら、範囲と報酬を見直す相談をすることが、仕事を長く続けるために欠かせません。
在宅での仕事の進め方
人事の副業の多くは、在宅で進められます。在宅で進めるときに大切なのは、依頼主の社内の人と、情報をどう共有するかです。
・連絡の場所を決める。メール、チャット、オンラインの打ち合わせのどれを使うのかを、最初に決めます
・資料の置き場所を決める。応募者の情報や評価の記録は、依頼主の会社が管理する保存先に置き、自分の端末には残さないようにします
・作業の記録を残す。何をいつ行ったかを記録しておくと、報酬の請求の根拠になり、依頼主への報告にも使えます
・定例の打ち合わせを持つ。週に1回か月に1回、短い打ち合わせで進み具合と次の作業を確かめます
応募者の個人の情報を扱う仕事では、とくに情報の扱いに注意が必要です。自宅の共有のパソコンで作業しない、画面を家族に見られない場所で作業する、といった基本を守ります。
人事の副業に向いている人、向いていない人
人事の副業に向いているのは、次のような人です。
・採用や労務の実務を、一通り自分で経験している
・依頼主の会社の事情に合わせて、やり方を変えられる
・秘密を守ることに慎重で、情報の扱いを徹底できる
・決まった時間に連絡を返せる。採用は返信の速さが結果に影響します
一方、次のような人には、人事の副業は負担が大きくなりがちです。
・本業が忙しく、平日の日中に連絡を返せない。応募者への連絡が遅れると、採用の機会を逃します
・大きな会社の仕組みをそのまま持ち込もうとする。小さな会社には、小さな会社に合った簡単な仕組みが必要です
・法律の線引きを気にせず、頼まれた作業を何でも引き受けてしまう
小さな会社の採用でよく見る失敗は、大きな会社のやり方をそのまま当てはめることです。飲食店のアルバイトの採用に、何段階もの面接や適性検査を持ち込むと、応募者は途中で離れていきます。人の出入りが激しい業種ほど、応募から採用までを短くすることが何より大切です。依頼主の業種と規模に合わせて、やり方を引き算できる人が、人事の副業で重宝されます。
本業との関係で確かめること
人事の副業を始める前に、本業の会社との関係で確かめておくべきことがあります。
就業規則で副業が認められているか
まず、本業の会社の就業規則で副業が認められているか、届出や許可が必要かを確かめます。厚生労働省のガイドラインでは、副業・兼業を禁止したり制限したりできる場合として、労務の提供に支障がある場合、企業の秘密が漏れる場合、会社の名誉や信用を傷つける場合、競業によって会社の利益を害する場合が挙げられています。
本業で知った情報を使わない
人事の担当者は、本業で社員の給与、評価、個人の事情、採用の候補者の情報など、とても機微な情報に触れています。こうした情報を副業で使うことは、本業の会社との約束に反するだけでなく、個人の情報の扱いとしても問題になります。副業の依頼主に、本業の会社の制度の資料をそのまま渡すようなことも避けます。
競合する会社の仕事を受けない
本業の会社と同じ業界で、採用の競合になる会社の仕事を受けると、競業として問題になることがあります。受ける前に、依頼主の業界と本業の会社の関係を確かめます。
依頼主との契約で秘密の扱いを決める
副業の依頼主の情報も、同じように守る必要があります。契約の段階で、秘密を守る範囲と、仕事が終わった後の資料の扱いを決めておきます。発注者がフリーランスに仕事を頼むときの決まりは、厚生労働省のフリーランスの取引に関するページにもまとめられています。
人事の副業で役立つ資格と学び
人事の副業は、資格がなくても始められる仕事が多くあります。ただ、仕事の幅を広げたり、依頼主に専門性を示したりするうえで、資格や学びが役立つ場面もあります。
| 資格 | 役立つ場面 | 特徴 |
|---|---|---|
| 社会保険労務士 | 労務の手続き、就業規則の作成 | 手続きの書類の作成と提出の代行を業として行える国家資格 |
| キャリアコンサルタント | 社員との面談、キャリアの研修 | 名簿への登録で名乗れる国家資格 |
| ビジネス文書の検定 | 募集の文面、規程、社内の案内 | 文書の書き方を体系的に学べる |
社会保険労務士は、労務の仕事を本格的に続けたい人にとって、受けられる仕事の範囲を大きく広げる資格です。試験の日程や受験の資格は、試験のオフィシャルサイトで毎年確かめます。
資格のほかに、人事の副業で役立つのは、労働に関する法律の改正の動きを追う習慣です。働き方に関する法律は、毎年のように改正があります。厚生労働省の発表を定期的に確かめ、依頼主の会社に影響がありそうな改正を知らせることができると、依頼主からの信頼が高まります。ただし、個別の会社への法律の当てはめの判断は、社会保険労務士や弁護士の領域です。改正の情報を伝えるときは、「専門家に確認することをおすすめします」と添えます。
また、採用の連絡や面接の日程の調整には、日程の調整の道具やチャットの道具を使うことが多くなっています。依頼主の会社が使っている道具に、すぐに慣れられることも、副業で重宝される力の1つです。
契約で決めておくこと
人事の副業は、会社の内情に深く関わる仕事なので、始める前に契約の内容を文章で決めておくことが大切です。決めておきたい項目は次のとおりです。
・業務の範囲。何をするのか、何をしないのかを具体的に書きます。行政への手続きのように、資格が必要な業務を含めないことも明記します
・稼働の時間と連絡の方法。1か月に何時間程度か、連絡を返せる時間帯はいつか
・報酬と支払いの時期。時間あたりか、月額か、成果物ごとか。請求の締め日と支払いの日
・秘密の扱い。知り得た情報を外に出さないこと、仕事が終わった後の資料の返却や削除の方法
・成果物の権利。作った募集の文面や評価制度の資料を、依頼主が自由に使えるか
・契約の終わり方。どちらかが契約を終えたいときに、何日前に伝えるか
とくに業務の範囲は、後から最も行き違いが起きやすい項目です。「採用の支援」とだけ書くと、依頼主は応募者への合否の連絡や入社の書類の準備まで含まれると考え、受ける側は募集の文面と面接の設計だけだと考える、ということが起こります。作業の一覧を箇条書きにして、含まれる作業と含まれない作業を両方書いておくと安心です。
契約書を自分で用意するのが難しい場合は、依頼主の用意した契約書をよく読み、分からない点は確かめてから署名します。契約の書面を整える作業は、人事の仕事の中でも文書の力が問われる部分です。
税金と確定申告の基本
人事の副業で収入を得たら、税金の申告が必要かどうかを確かめます。国税庁のタックスアンサー「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」には、給与以外の所得の合計が20万円を超える人は確定申告が必要だと書かれています。所得とは、副業の報酬から、仕事のために使った費用を引いた額のことです。詳しくは国税庁のタックスアンサーで確かめられます。
20万円の線は所得税の話で、住民税には同じ扱いがありません。所得税の申告が要らない場合でも、お住まいの市区町村への申告が必要になることがあります。また、副業を雇用の形で受ける場合と、業務委託の形で受ける場合とでは、税金の扱いが変わります。自分の副業がどちらに当たるのかを、契約の段階で確かめておきます。個別の扱いに迷う場合は、税務署に相談してください。
運営者として見てきた、人事の副業が続く人の共通点
在宅ワークの仲介を20年運営してきた中で、人事の経験を生かして副業を続けている人を数多く見てきました。長く続いている人に共通しているのは、作業を引き受けるだけでなく、依頼主の会社が自分たちで回せるように仕組みを残していることです。募集の文面のひな形、面接の質問の一覧、評価の記録の表。こうしたものを残していく人ほど、「次の段階もお願いしたい」と声がかかります。
もう1つは、依頼主と直接の関係を大切にしていることです。仲介の手数料が乗らない形で直接取引できると、同じ予算でも依頼主はより多くの時間を頼め、受ける側の手取りは厚くなります。人事のように信頼が前提の仕事ほど、この直接の関係が長続きの土台になります。
人事の知識に、業務の効率化の視点を加えると、仕事の幅はさらに広がります。採用の連絡や社内の手続きの流れを見直し、AIや業務のツールを取り入れる支援をする仕事は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で、仕事の内容と求められるスキルが紹介されています。
よくある質問
Q. 人事の副業にはどんな仕事がありますか?
主に、募集の文面づくりや面接の設計などの採用支援、勤怠の集計などの労務、評価制度などの制度づくり、研修や面談の4つです。在宅で進めやすく依頼も多いのは、採用支援と制度づくりです。労務の仕事は、社会保険労務士の資格が必要な業務との線引きに注意が必要です。
Q. 社労士の資格がなくても労務の副業はできますか?
できる作業はありますが、社会保険労務士法第27条により、労働や社会保険の法令に基づく届出書類の作成や提出の代行、法令に基づく帳簿書類の作成などを、資格のない人が報酬を得て業として行うことはできません。迷う作業は、受ける前に社会保険労務士に確認します。
Q. 知り合いを企業に紹介して報酬を受け取ってもよいですか?
採用が決まったら報酬を受け取る形で候補者を紹介することは、職業安定法の有料の職業紹介に当たり、厚生労働大臣の許可が必要です。報酬を与えて募集に従事させる委託募集にも、許可や届出の決まりがあります。受ける前に都道府県労働局に確認してください。
Q. 人事の副業で本業の会社との関係で気をつけることは?
就業規則で副業が認められているかを確かめ、本業で知った社員や候補者の情報を副業で使わないことが大切です。本業と採用で競合する会社の仕事は、競業として問題になることがあります。依頼主とは、秘密を守る範囲と資料の扱いを契約で決めておきます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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