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人事評価シートの作り方|評価項目と書き方

@SOHO編集部
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人事評価シートの作り方|評価項目と書き方

この記事のポイント

  • ✓人事評価シートの作り方を
  • ✓自己評価と上司評価の書き方
  • ✓面談での使い方まで順番に解説

人事評価シートとは、社員一人ひとりの仕事ぶりを、決めておいた項目と基準に沿って記録し、評価の理由を本人と共有するための用紙のことです。小さな会社では、社長の感覚で給与や役割を決めてきたところも多く、いざシートを作ろうとすると「何を項目にすればよいのか」「どう書けば納得してもらえるのか」で手が止まります。この記事では、人事評価シートの作り方を、評価項目の選び方から評価の段階の決め方、自己評価と上司評価の書き方、面談での使い方まで順番に説明します。厚生労働省が無料で公開している職業能力評価シートを土台にする方法も紹介します。

人事評価シートとは何か

人事評価シートは、評価をする人の頭の中にある判断を、紙やファイルの上に書き出すための道具です。書き出すことで、評価を受ける人も、ほかの評価者も、同じ基準で仕事ぶりを見られるようになります。

シートを作る目的

人事評価シートを作る目的は、大きく分けて3つあります。

  • 処遇を決める根拠にする。昇給や賞与、昇格を決めるときに、なぜその結果になったかを説明できる
  • 育成の方向を示す。次の評価までに何ができるようになればよいかを、本人と上司で共有できる
  • 会社の方針を伝える。どんな行動や成果を大切にしているかが、評価項目を通じて社員に伝わる

どれを一番の目的にするかで、シートの作りは変わります。処遇を決めることが中心なら点数をはっきり付ける形が向いており、育成が中心なら項目ごとのコメントを厚くする形が向いています。最初にこの目的を決めておくと、項目選びで迷いにくくなります。

納得感がシートの出来を決める

評価の結果そのものよりも、結果に納得できるかどうかが、社員のやる気を左右します。人事コンサルティング会社の解説では、シートの役割を次のように説明しています。

人事評価シートを作成し、評価項目や基準を事前に明示しておくことで、従業員は「どこを目指して努力すればよいか」を理解できます。評価結果の開示時にも、シートに基づいて具体的な事実と照らし合わせながら説明を受けられるため、たとえ評価が低かったとしても、その理由に納得しやすくなります。 出典: ogs-consulting.co.jp

ここで大切なのは「事前に明示しておく」という部分です。評価の時期になってから項目を見せるのではなく、期の初めにシートを配り、何を見られるのかを社員が先に知っている状態にします。

人事評価シートの基本の構成

人事評価シートの形は会社によってさまざまですが、多くは同じ部品の組み合わせでできています。まず全体の構成を押さえてから、中身を作っていきます。

シートに入れる部品

一般的な人事評価シートには、次の部品が並びます。

部品 書く内容
基本情報 氏名、所属、役職や等級、評価の期間、評価者の名前
評価項目 成果、能力、行動などの項目と、その説明
評価の基準 各項目を何段階で、どんな状態なら何点とするか
本人の記入欄 自己評価の点数と、その理由や具体的な事実
評価者の記入欄 上司評価の点数と、その理由、次の期への助言
総合評価 項目ごとの点数を合計または重み付けした結果
面談の記録 面談の日付、話し合った内容、次の期の目標

最初から全部の部品をそろえる必要はありません。小さな会社なら、基本情報、評価項目と基準、本人と上司の記入欄の3つがあれば運用を始められます。

業績と行動の2つの柱

評価項目の中身は、大きく業績の評価と行動の評価に分かれます。人事の専門サイトでは、この構成を次のように説明しています。

一般的な人事評価シートは、業績系(目標管理など)と行動系(能力評価基準・行動評価基準・コンピテンシーなどに基づく評価など)で構成されます。 出典: jinjibu.jp

業績の評価とは、期の初めに決めた目標をどこまで達成できたかを見る評価のことです。売上や件数のように数字で測れるものが中心になります。行動の評価とは、成果につながる仕事の進め方ができているかを見る評価のことです。報告や相談ができているか、期限を守っているかといった、日々の働き方を見ます。コンピテンシーとは、仕事で成果を上げている人に共通する行動の特徴のことで、行動の評価の項目を作るときの考え方として使われます。

業績だけで評価すると、たまたま担当した顧客が大きかった人が有利になります。行動だけで評価すると、結果を出した人が報われません。両方を組み合わせるのが基本です。

目標管理シートとの違い

人事評価シートと似たものに、目標管理シートがあります。目標管理とは、期の初めに本人と上司で目標を決め、期の終わりにどこまで達成できたかを振り返る仕組みのことです。目標管理シートは、そのための目標と結果を書く用紙です。

用紙 主に書くこと 見るもの
目標管理シート 本人ごとの目標、達成の基準、期の終わりの結果 業績の評価
人事評価シート 全員に共通の項目と基準、業績と行動の点数、総合評価 業績と行動の両方

目標管理シートは、人によって目標が違うので、同じ職種の人どうしでも中身がそろいません。人事評価シートは、共通の項目と基準で全員を見るので、比べやすいのが特徴です。多くの会社では、目標管理シートの結果を人事評価シートの業績の欄に書き写し、行動の評価と合わせて総合評価を出す形で、2つを組み合わせて使っています。小さな会社で用紙を増やしたくない場合は、人事評価シートの中に目標と結果を書く欄を設け、1枚で済ませても構いません。

評価項目の選び方

評価項目は、人事評価シートの中で最も大切な部分です。項目が仕事の実態と合っていないと、どれだけ丁寧に書いても評価に納得してもらえません。

項目を選ぶ手順

評価項目は、次の順番で選ぶと作りやすくなります。

  1. 対象の職種で、実際にしている仕事を書き出す
  2. その中で、成果に大きく関わる仕事を5つから8つほど選ぶ
  3. 選んだ仕事ごとに、できている状態を1文で書く
  4. 会社として大切にしたい行動を2つか3つ加える
  5. 全部で10項目前後に収まっているかを確かめる

項目が多すぎると、評価者が一つひとつを丁寧に見られなくなります。1人あたり10項目前後を目安にし、それを超える場合は似た項目をまとめます。

職種ごとに項目を分ける

営業と経理では、成果の出し方がまったく違います。同じ項目で評価すると、どちらかの職種に不公平な結果になりがちです。共通の項目と職種ごとの項目を分けて作ると、無理がありません。

区分 項目の例
全社共通 報告・連絡・相談、期限の順守、周りとの協力、会社の決まりの順守
営業 新規の顧客の開拓、提案の質、受注の件数、既存の顧客との関係づくり
事務・経理 処理の正確さ、締め切りの順守、手順の改善、ほかの部署からの問い合わせへの対応
制作・技術 品質、納期、技術の習得、後輩への指導

小さな会社で職種が1つか2つしかない場合は、全社共通の項目と、その職種の項目だけで足ります。

項目の書き方

項目の説明は、誰が読んでも同じ行動を思い浮かべられる言葉で書きます。「積極性」「責任感」のような抽象的な言葉だけでは、評価者によって受け取り方が変わります。

  • よくない例:積極性がある
  • よい例:担当外の仕事でも、気づいた問題を上司に報告し、解決の案を1つ以上添えている

よい例のように、目に見える行動で書くと、評価者は実際にその行動があったかどうかで判断できます。評価を受ける側も、何をすればよいかが分かります。

評価の段階と基準の決め方

項目が決まったら、各項目を何段階で評価するかと、それぞれの段階がどんな状態かを決めます。ここが曖昧だと、同じ仕事ぶりでも評価者によって点数が変わります。

何段階にするか

評価の段階は、3段階か5段階がよく使われます。

段階の数 向いている場面 気をつけること
3段階 評価に慣れていない会社、項目が多いシート 差が付きにくく、処遇に結び付けにくい
5段階 処遇に反映させたい会社、評価者が慣れている会社 真ん中の3に評価が集まりやすい

初めて評価の仕組みを作る小さな会社なら、3段階から始めるのが無理のない選び方です。運用に慣れてから、5段階に広げることもできます。

段階ごとの状態を文章で書く

段階を決めたら、それぞれの段階がどんな状態かを文章で書きます。厚生労働省の職業能力評価シートでは、次の3段階の基準が使われています。

○:一人でできている(下位者に教えることができるレベルを含む) △:ほぼ一人でできている(一部、上位者・周囲の助けが必要なレベル) ×:できていない(常に上位者・周囲の助けが必要なレベル) 出典: 厚生労働省 キャリアマップ、職業能力評価シート 導入・活用マニュアル(事務系職種)

このマニュアルでは、業務上その項目に当てはまらない場合は「-」として評価の対象から外すことも示されています。人の助けがどれだけ要るかで段階を分けているので、職種が違っても同じ物差しで判断しやすいのが特徴です。

5段階にする場合も、考え方は同じです。「期待を大きく上回った」「期待を上回った」「期待どおり」「期待をやや下回った」「期待を下回った」のように段階の名前を付け、項目ごとに「期待どおり」の状態を具体的に書いておきます。真ん中の状態が具体的なら、上下の段階も判断しやすくなります。

重み付けを決める

項目によって、会社にとっての大切さは違います。そのため、総合評価を出すときに項目ごとの重みを決めておきます。たとえば営業職なら業績の項目を60%、行動の項目を40%にする、といった決め方です。若手は行動の比重を高くし、管理職は業績の比重を高くする会社もあります。重みは評価の期の初めに本人へ伝えておきます。

厚生労働省の職業能力評価シートを土台にする

一から項目を作るのが難しい場合は、厚生労働省が公開している職業能力評価シートを土台にする方法があります。無料でダウンロードでき、自社の仕事に合わせて手直しして使えます。

職業能力評価基準とは

職業能力評価シートの元になっているのが、職業能力評価基準です。厚生労働省は次のように説明しています。

「職業能力評価基準」とは、仕事をこなすために必要な「知識」と「技術・技能」に加えて、「成果につながる職務行動例(職務遂行能力)」を、業種別、職種・職務別に整理したものです。 出典: 厚生労働省 職業能力評価基準

同じページによると、業種をまたいで使える事務系の職種のほか、ものづくりからサービス業まで幅広い業種の基準が作られており、策定された業種は56業種にのぼります。業界内の標準的な基準なので、各企業で手直しして使うことが前提になっています。

職業能力評価シートの使い方

職業能力評価シートは、この基準を簡単にしたチェック形式の用紙です。厚生労働省の案内では、使うと自分や部下の能力がどのレベルにあるのか、次のレベルに上がるには何が足りないのかを具体的に把握できるとしています。事務系の職種のほか16業種について、シートと、使い方を説明した導入・活用マニュアルがそろっています。

マニュアルに書かれている進め方は、次の4つの段取りです。

  1. 評価を受ける人の職種とレベルを決め、どのシートを使うかを決める
  2. 本人が自己評価をする
  3. 上司が同じ基準で評価する
  4. 上司がコメントを書き、面談で評価の違いを話し合う

マニュアルでは、本人と上司の評価が食い違った項目、特に本人の評価が上司より高い項目を、面談で説明することが勧められています。食い違いそのものが、話し合うきっかけになるという考え方です。

自社向けに手直しするときのコツ

ダウンロードしたシートは、項目の数が多く、言葉も硬めです。そのまま使うより、次のように手直しすると現場で使いやすくなります。

  • 自社でしていない仕事の項目を削る
  • 社内で使っている言葉に言い換える(「顧客」を「お客様」、「起票」を「伝票の作成」など)
  • 自社で特に大切な仕事の項目を足す
  • 1人あたりの項目が多すぎる場合は、似たものをまとめる

手直しの作業は、実際にその仕事をしている社員に見てもらいながら進めると、現場の実態に合った項目になります。

自己評価の書き方

人事評価シートの多くには、本人が自分の仕事ぶりを書く自己評価の欄があります。評価を受ける側にとっては、自分の頑張りを伝えられる大切な欄です。

事実と数字で書く

自己評価は、気持ちではなく事実で書きます。「頑張りました」「努力しました」だけでは、上司は何を評価すればよいか分かりません。何を、どれだけ、どうしたかを書きます。

  • よくない例:お客様対応を頑張りました
  • よい例:問い合わせへの返信を、受け付けた日のうちに返す決まりを自分で作り、期間中の約300件のうち9割以上を当日中に返信しました

数字が出せない仕事でも、「いつ」「何を」「その結果どうなったか」を書けば、事実として伝わります。

できなかったことも書く

自己評価では、できたことだけでなく、できなかったことと、その理由も書きます。できなかったことを隠すより、原因と次の期の対策を自分で書いたほうが、上司からの信頼につながります。

自己評価の欄は、次の3つの順番で書くと整理しやすくなります。

  1. 期の初めの目標と、その結果
  2. 結果につながった行動、またはうまくいかなかった原因
  3. 次の期に取り組むこと

点数の付け方

自己評価の点数は、評価の基準の文章と照らし合わせて付けます。迷ったときは、厳しめの段階を選び、理由の欄で補足する方法がおすすめです。低めに付けた点数を上司が上げる形になれば、面談も前向きに進みやすくなります。逆に、すべての項目に最高の点数を付けると、上司との食い違いが大きくなり、話し合いが難しくなります。

評価者が書くときの注意

評価をする上司の側にも、書き方の決まりがあります。評価者によって書き方がばらばらだと、シートを作っても公平な評価になりません。

評価の理由を必ず書く

点数だけを付けて理由を書かないと、評価を受けた人は何を直せばよいか分かりません。点数ごとに、その判断の元になった出来事を1つか2つ書きます。

  • よくない例:協調性に欠ける
  • よい例:繁忙期の3月に、ほかの担当者の締め切りが重なった際、自分の担当外を理由に応援の依頼を断ったことが2回あった

具体的な出来事を書くと、評価を受けた人も受け止めやすく、次の期に何を変えればよいかが分かります。

評価がぶれる原因を知っておく

人が人を評価するときには、無意識のうちに判断がずれることがあります。代表的なものを知っておくと、自分の評価を見直すきっかけになります。

ずれの名前 起きること 防ぎ方
ハロー効果 1つの目立つ長所や短所に引きずられて、ほかの項目まで同じ方向に評価する 項目ごとに、その項目の出来事だけを思い出して付ける
中心化傾向 差を付けるのを避けて、真ん中の点数ばかり付ける 段階ごとの状態の文章と照らし合わせる
寛大化傾向 全体を甘く評価する 期待どおりの状態を具体的に決めておく
期末誤差 評価の直前の出来事だけで判断する 期の途中に出来事を記録しておく
対比誤差 自分を基準にして、得意な分野は厳しく、苦手な分野は甘く評価する 評価の基準の文章を基準にする

ハロー効果とは、目立つ特徴に引きずられてほかの面まで同じように見てしまうことです。中心化傾向とは、無難な真ん中の評価に集まってしまうことです。どちらも、評価の基準を文章で具体的に決めておくことで防ぎやすくなります。

期の途中で記録を残す

評価のずれを防ぐ最も確かな方法は、期の途中から出来事を記録しておくことです。評価の時期になってから半年分を思い出そうとすると、どうしても最近の出来事に引きずられます。月に1回、部下ごとに気づいた出来事を2行か3行メモしておくだけで、評価の理由が書きやすくなります。

職種別の記入例

書き方の決まりが分かっても、実際の欄に何を書けばよいかは職種によって違います。ここでは、営業、事務、制作の3つの職種について、項目と基準、本人と上司の記入の例を示します。数字や出来事は例なので、自社の仕事に合わせて置き換えてください。

営業職の記入例

項目は「既存の顧客との関係づくり」、期待どおりの状態は「担当する顧客全員に、四半期に1回以上の訪問か面談をしている」とします。

  • 本人の記入:担当の28社のうち26社に、四半期ごとの面談をしました。残りの2社は先方の担当者の異動が重なり、日程を組めませんでした。次の期は異動の時期を先に聞き、早めに日程を押さえます
  • 上司の記入:面談の記録が毎回共有されており、追加の受注につながった案件が2件ありました。未実施の2社は、先方の事情を早めに報告してくれたため、対応を一緒に考えられました。評価は期待どおりとします

事務職の記入例

項目は「処理の正確さ」、期待どおりの状態は「月末の締めの処理で、差し戻しが月に1件以内に収まっている」とします。

  • 本人の記入:請求書の発行で、宛名と金額の確認を2回に分ける手順に変えました。半年間の差し戻しは合計2件で、どちらも先方の住所変更の連絡が遅れたものでした
  • 上司の記入:手順を自分で見直し、ほかの担当者にも共有してくれた点を評価します。住所変更のような外の要因による差し戻しを減らすため、次の期は取引先の情報を定期的に確かめる仕組みづくりを期待します。評価は期待を上回ったとします

制作職の記入例

項目は「納期の順守」、期待どおりの状態は「社内の締め切りを守り、遅れる場合は締め切りの3日前までに相談している」とします。

  • 本人の記入:担当した12件のうち11件を社内の締め切りまでに納めました。1件は修正の依頼が重なって1日遅れましたが、前日の夕方の相談になってしまいました
  • 上司の記入:全体の納期の守り方は安定しています。遅れた1件は、相談が前日になったため、ほかの担当者への引き継ぎが間に合いませんでした。次の期は3日前の相談を徹底してほしいと考えます。評価は期待どおりとします

3つの例に共通するのは、本人も上司も、期待どおりの状態の文章と照らし合わせて、具体的な数字と出来事で書いている点です。この形をひな形として配っておくと、初めて評価をする社員でも書きやすくなります。

評価の年間の流れ

人事評価シートは、1年の中で決まった時期に使います。流れを先に決めて社員に知らせておくと、評価の時期に慌てずに済みます。半年ごとに評価する場合の流れは、次のとおりです。

時期 すること
期の初め シートを配り、項目と基準、重みを説明する。本人と上司で目標を決める
期の途中 上司が月に1回、出来事を記録する。3か月ほどたったところで短い面談を行い、進み具合を確かめる
期の終わり 本人が自己評価を書き、上司が評価を書く。評価者同士で点数のすり合わせを行う
評価の後 面談で結果を伝え、次の期の目標を決める。処遇への反映を行う

期の途中の短い面談は、省かれがちですが効果の大きい場面です。期の終わりになって初めて「実は目標がずれていた」と分かるのを防げます。10分から15分ほどの立ち話に近い形でも構いません。

面談での人事評価シートの使い方

人事評価シートは、書いて終わりではありません。面談で本人と話し合うことで、初めて育成の道具として役に立ちます。

面談の前に準備すること

面談の前に、上司は次の準備をしておきます。

  • 本人の自己評価と自分の評価を並べ、食い違っている項目に印を付ける
  • 食い違いの理由になる出来事を、記録から拾い出しておく
  • 次の期に期待することを1つか2つに絞っておく

面談の時間は、1人あたり30分から1時間ほどを目安に、落ち着いて話せる場所で取ります。

面談の進め方

面談では、上司が話す時間よりも、本人が話す時間を長くするのがコツです。次の順番で進めると、話がまとまりやすくなります。

  1. 期間中の働きに対するお礼を伝える
  2. 本人に自己評価の内容を説明してもらう
  3. 評価が一致している項目を確認する
  4. 食い違っている項目について、互いの理由を話し合う
  5. 次の期の目標と、上司が手伝えることを決める

食い違っている項目では、どちらが正しいかを決めるより、なぜ見え方が違ったのかを確かめます。上司が知らなかった努力が分かることもあれば、本人が気づいていなかった課題が見えることもあります。

厳しい評価を伝えるとき

期待を下回った評価を伝える場面では、人柄ではなく行動と結果について話します。「あなたはだらしない」ではなく、「締め切りに遅れた案件が3件あり、そのうち2件は事前の相談がなかった」のように、シートに書いた出来事をそのまま伝えます。そのうえで、次の期にどうなっていれば期待どおりになるかを具体的に示し、上司として手伝えることを一緒に決めます。評価が低い理由と、上がるための道筋の両方が見えると、本人は受け止めやすくなります。

面談の内容を記録する

面談で決めたことは、シートの面談の記録の欄に書いておきます。次の期の面談では、この記録を最初に読み返し、決めたことができたかを確かめるところから始めます。記録があると、評価が期ごとにつながり、育成の流れが見えるようになります。

Excelやスプレッドシートで作るときの工夫

小さな会社では、専用のシステムを入れずに、ExcelやGoogleスプレッドシートで人事評価シートを作ることがほとんどです。表計算ソフトで作るなら、次の工夫をしておくと運用が楽になります。

1人1シートで作る

評価を受ける人ごとにシートを分け、同じ形で並べます。ひな形のシートを1つ作っておき、それを人数分コピーして使うと、形がそろいます。ファイル名やシート名には、評価の期と氏名を入れておきます。

入力の間違いを防ぐ

点数の欄には、決めた段階の数字や記号しか入らないようにしておきます。Excelでは「データの入力規則」、Googleスプレッドシートでは「データの入力規則」の機能を使うと、選択肢の中から選んで入力する形にできます。選択肢にない値が入らないので、集計の間違いを防げます。

自動で合計を出す

項目ごとの点数と重みから、総合評価を自動で出せるようにしておきます。たとえば点数がC列、重みがD列に並んでいるなら、SUMPRODUCT関数を使って「=SUMPRODUCT(C2:C11,D2:D11)」と書けば、点数と重みを掛け合わせた合計が1つのセルに出ます。SUMPRODUCT関数とは、2つの範囲の数字を行ごとに掛け合わせ、その合計を出す関数のことです。

厚生労働省のマニュアルでも、○を2点、△を1点、×を0点として点数に置き換え、項目ごとや部署ごとの平均点を出す集計の方法が紹介されています。全社で点数の低い項目が分かれば、研修の計画を見直す手がかりになります。

閲覧できる人を絞る

人事評価シートには、給与や処遇に関わる情報が入ります。ファイルの共有範囲は、本人と評価者、人事の担当者だけに絞ります。共有のフォルダに保存したまま誰でも開ける状態にしないよう、アクセスの権限を確かめておきます。

過去の期のシートは、期ごとのフォルダに分けて保存しておきます。評価の推移を見返せるようにしておくと、昇格を考えるときや、異動で上司が替わったときの引き継ぎに役立ちます。新しい上司は、前の上司のコメントと面談の記録を読めば、その社員がこれまで何に取り組んできたかをつかめます。保存しておく期間や、退職した社員のシートの扱いは、個人情報の扱いの決まりと合わせて社内で決めておきます。

運用を続けるための見直し

人事評価シートは、一度作れば終わりではありません。運用しながら、現場に合わない部分を直していきます。

1年ごとに項目を見直す

仕事の中身は年々変わります。1年に1回、評価がひととおり終わったところで、項目と基準を見直します。見直すときは、次の点を確かめます。

  • 全員が同じ点数になっている項目はないか(差が出ない項目は基準が曖昧な可能性がある)
  • 評価者によって点数の付け方が大きく違う項目はないか
  • いまの仕事に合わなくなった項目はないか
  • 新しく始めた仕事で、項目に入っていないものはないか

評価者同士で目線を合わせる

評価者が複数いる会社では、評価の前に評価者同士で集まり、同じ仕事ぶりにどの点数を付けるかをすり合わせる場を作ります。厚生労働省のマニュアルでも、○△×のそれぞれの段階のとらえ方に個人差が出やすいことが指摘されており、具体的な行動の例を出し合って基準をそろえる進め方が紹介されています。年に1回でもこの場を設けると、評価者による差が小さくなります。

評価と処遇のつながりを示す

評価の結果が昇給や賞与にどうつながるのかが分からないと、社員はシートを書く意味を感じにくくなります。「総合評価が何点以上なら昇給の幅がどうなるか」といった対応の表を作り、社員に示しておきます。金額まで細かく示せない場合でも、評価と処遇の関係の考え方だけは伝えておきます。

評価の仕組みづくりを外の専門家と進める

人事評価シートを作り始めると、等級の決め方や給与の表との結び付け方など、シートだけでは決められない課題が出てきます。社内だけで進めるのが難しいときは、外の専門家の力を借りる方法もあります。

中小企業の経営全体の診断と助言を行う専門家に、中小企業診断士がいます。人事評価の仕組みを、経営の方針や事業の計画と合わせて考えたい場合の相談先の1つです。評価の集計や面談の記録を効率よく進めたい場合は、業務にAIを取り入れる支援をする仕事もあります。どんな支援が受けられるかは、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。

運営者として見てきたこと

在宅ワークとフリーランスの仲介を長く続けてきた運営者として見てきた限りでは、社外の人と長く仕事を続けている会社ほど、依頼の初めに「何ができていれば合格か」を文章で伝えています。社員の評価でも外部への依頼でも、基準を先に示し、事実で振り返り、次に期待することを伝えるという流れは同じです。人事評価シートを作ることは、評価の手続きを整えるだけでなく、一緒に働く人に期待を言葉で伝える習慣を社内に根づかせることにつながります。

よくある質問

Q. 人事評価シートの評価項目はいくつくらいがよいですか?

1人あたり10項目前後が目安です。項目が多すぎると、評価者が一つひとつを丁寧に見られなくなり、評価の理由も書きにくくなります。全社共通の項目を3つから4つ、職種ごとの項目を5つから6つほど選び、似た項目はまとめます。運用しながら、差が出ない項目や仕事に合わなくなった項目を1年ごとに見直します。

Q. 評価は3段階と5段階のどちらがよいですか?

初めて評価の仕組みを作る小さな会社なら、3段階から始めるのが無理のない選び方です。3段階は判断しやすい反面、差が付きにくいという面があります。処遇に細かく反映させたい場合は5段階が向いていますが、真ん中の点数に集まりやすくなります。どちらの場合も、段階ごとの状態を文章で具体的に書いておくことが大切です。

Q. 人事評価シートのひな形は無料で手に入りますか?

厚生労働省が、職業能力評価基準をもとにした職業能力評価シートを無料で公開しています。事務系の職種のほか16業種について、シートと導入・活用マニュアルがダウンロードできます。業界の標準的な内容なので、自社でしていない仕事の項目を削り、社内の言葉に言い換えるなど、手直ししてから使います。

Q. 自己評価と上司の評価が大きく違うときはどうすればよいですか?

面談で、どちらが正しいかを決める前に、なぜ見え方が違ったのかを互いに説明し合います。上司は評価の理由になった具体的な出来事を示し、本人は自己評価の根拠を話します。上司が知らなかった努力が分かることもあります。話し合った内容と次の期の目標は、シートの面談の記録の欄に残しておきます。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月2日最終更新:2026年10月26日
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