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美容室のカルテ|書く項目と管理の仕方

@SOHO編集部
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美容室のカルテ|書く項目と管理の仕方

この記事のポイント

  • ✓美容室のカルテに書く項目
  • ✓薬剤とアレルギーの記録の仕方
  • ✓他のスタッフが読んでも再現できる書き方

美容室のカルテは、お客様一人ひとりの髪の状態、施術の内容、使った薬剤、会話で分かった好みを記録しておく顧客ごとの記録です。「前回と同じカラーで」と言われたのに配合が分からない、担当が休んだ日に別のスタッフが何も知らずに施術してしまった、という困りごとの多くは、カルテの書き方と管理の仕方で防げます。結論から言うと、カルテは「次に誰が読んでも同じ施術を再現できるか」を基準に書き、薬剤とアレルギーの記録だけは省かずに残すことが大切です。この記事では、書く項目、書き方のコツ、紙と電子カルテの違いと選び方、個人情報としての管理の仕方までを順に説明します。初回のカウンセリングの内容をWebフォームで集めて記録する方法として、受付から対応までを1つの画面で管理できるフォームのHalictも後半で紹介します。

美容室のカルテとは何か

美容室のカルテとは、来店したお客様ごとに、施術の内容と髪や頭皮の状態、会話の中で分かったことを記録したものです。病院のカルテと同じ名前で呼ばれていますが、法律で書き方や保存の年数が決められた書類ではなく、店が自分たちのために作る記録です。そのため、何を書くか、どこまで細かく書くかは店ごとに違います。

カルテを書く目的は、大きく分けて3つあります。

  • 施術を再現するため。前回のカラーの配合、パーマの薬剤と時間、カットの長さを記録しておけば、同じ仕上がりを再び作れる
  • 事故を防ぐため。薬剤で頭皮に異常が出たことがある、皮膚が弱い、といった情報を残しておけば、同じ薬剤を使わずに済む
  • 関係を深めるため。前回の会話の内容や好みを覚えていると、お客様は「自分のことを分かってくれている」と感じる

1つ目と2つ目は、担当者が替わったときに特に効きます。人気のスタイリストが辞めたり、休んだりした日に、別のスタッフがカルテを読んで同じ施術ができれば、お客様は店から離れにくくなります。逆にカルテが担当者の頭の中にしかないと、担当者が辞めたときにお客様も一緒に離れてしまいがちです。

3つ目は売上にも関わります。前回「来月は少し明るくしたい」と話していたことを覚えていれば、次の来店で提案できます。お客様の側から見ると、毎回同じ説明を繰り返さずに済むことは、通い続ける理由になります。カルテは、技術の記録であると同時に、お客様との関係の記録でもあります。

カルテに書く項目

カルテに書く項目は、大きく5つの種類に分けられます。全部を毎回細かく書く必要はありませんが、初回にそろえておく項目と、来店ごとに書き足す項目を分けておくと続けやすくなります。

種類 主な項目 書くタイミング
基本情報 名前、ふりがな、連絡先、生年月日、初回来店日、来店のきっかけ 初回
髪と頭皮の状態 髪の太さ、量、くせ、ダメージ、頭皮の状態、生えぐせ 初回、変化があったとき
施術の記録 日付、担当者、メニュー、薬剤と配合、放置時間、カットの長さ、料金 毎回
好みと会話 なりたいイメージ、嫌いなスタイル、仕事や生活の事情、話した話題 毎回
注意事項 薬剤で異常が出た経験、皮膚の弱さ、施術中に気をつけること 初回、分かったとき

基本情報の「来店のきっかけ」は、集客の効果を確かめるのに役立ちます。紹介、検索、予約サイト、通りがかり、など分けて記録しておけば、どの経路から来たお客様が通い続けているかが分かります。

髪と頭皮の状態は、施術を決める土台になります。同じ「明るめのカラー」でも、髪が細くダメージがある人と、太くて健康な人では、薬剤の選び方も放置時間も変わります。初回に記録したあとも、季節や年齢で変わるので、変化があれば書き足します。

施術の記録は、カルテの中心です。日付と担当者、メニュー、料金のほか、カラーなら薬剤の名前と配合の比率、放置時間、パーマならロッドの太さと薬剤、時間を記録します。カットは「肩につく長さ」のような言葉に加えて、何センチ切ったかを数字で残すと再現しやすくなります。

好みと会話は、関係づくりのための項目です。「前髪は眉にかからない長さが好き」「仕事柄、明るすぎる色は避けたい」といった施術に直結する好みに加えて、旅行の予定や家族の話など、次の来店のきっかけになる話題を短く残しておきます。ただし、本人が聞かれたくないような私生活の詳しい事情まで書き込む必要はありません。

薬剤とアレルギーの記録は特に丁寧に

カルテの項目の中で、最も省いてはいけないのが、薬剤で異常が出た経験と、皮膚の状態に関する記録です。毛染めによる皮膚のトラブルは毎年起きていて、消費者庁の消費者安全調査委員会は、毛染めによる皮膚障害について調査し、報告書を出しています。

その報告書に添えられた意見では、理容師と美容師に対して、施術のときに次のことを行うよう、関係団体を通じて継続して伝えることを求めています。

顧客が過去に毛染めで異常を感じた経験の有無や、施術当日の顧客の肌の健康状態等、酸化染毛剤の使用に適することを確認する。 酸化染毛剤を用いた施術が適さない顧客に対しては、リスクを丁寧に説明するとともに、酸化染毛剤以外のヘアカラーリング剤(例えば染毛料等)を用いた施術等の代替案を提案すること等により、酸化染毛剤を使用しない。 出典: caa.go.jp

ここで言う酸化染毛剤とは、髪の内部まで染めて色を長く持たせる、一般的なヘアカラーの薬剤のことです。同じ報告書の概要では、消費者庁の事故情報データバンクに、毛染めによる皮膚障害の事例が毎年度200件程度登録されていると書かれています。

この確認の結果を残す場所が、カルテです。具体的には、次のことを記録しておきます。

  • 過去に毛染めでかゆみ、赤み、腫れなどの異常を感じたことがあるか
  • 施術の当日に、頭皮に傷や湿疹がないか
  • 異常が出たことがある場合、どの薬剤のときか、どんな症状だったか
  • 酸化染毛剤を使わない施術を選んだ場合、その理由と使った薬剤

カルテに書いておけば、担当者が替わっても、同じ薬剤を誤って使う事故を防げます。注意事項はカルテの表紙や最初の画面など、施術の前に必ず目に入る場所に書くのが基本です。紙のカルテなら赤字や色付きのシール、電子カルテなら注意の欄や印を使います。

なお、皮膚の症状が出たときの判断は医療の領域です。カルテに記録するのは、お客様から聞いた事実と、店で行った施術の内容にとどめ、症状について店の側で原因を決めつけないようにします。症状が出たと相談を受けたら、皮膚科の受診をすすめるのが基本です。

他のスタッフが読んでも再現できる書き方

カルテは、書いた本人だけが読めればよいものではありません。担当者が休んだ日や、担当が替わったときに、別のスタッフが読んで同じ施術ができるかどうかが、カルテの価値を決めます。

再現できる書き方のコツを挙げます。

  1. 感覚の言葉より数字で書く。「少し明るめ」ではなく、薬剤の色番号と配合の比率、放置時間を書く
  2. 店の中で通じる略語は、一覧表にしてそろえる。人によって略し方が違うと、読む人が迷う
  3. 結果も書く。「予定より赤みが出た」「次は放置時間を5分短く」のように、仕上がりと反省を残す
  4. 写真を残す。仕上がりの正面と横と後ろを撮っておくと、言葉で書くより伝わる
  5. お客様の言葉はそのまま書く。「ふんわり」「軽く」はお客様ごとに意味が違うので、言われた言葉と、実際にしたことを並べて書く

3つ目の結果と反省は、特に大切です。施術の内容だけを書いておくと、次回も同じ配合で同じ失敗を繰り返すことがあります。「仕上がりはお客様も満足。ただし根元が少し暗かった」と書いておけば、次回に直せます。

4つ目の写真は、撮る前に本人の了承を得ます。カルテ用の写真は施術の記録のためのもので、店のSNSや広告に使うなら、それとは別に使い方を説明して了承をもらう必要があります。記録用の写真と宣伝用の写真を、保存する場所から分けておくと、取り違えを防げます。

5つ目について、お客様の「いつもの感じで」は、担当者にとっては分かっていても、別のスタッフには伝わりません。「いつもの感じ」が何を指すのか、毎回のカルテから読み取れるように書いておきます。

書く時間をどう取るかも課題です。施術が立て込んでいると、カルテを書くのが後回しになり、閉店後に思い出しながら書くことになります。会計のときに要点だけをその場で書き、細かい部分は営業の合間に書き足す、という2段階にすると抜けが減ります。

カルテの記入例(初回と2回目)

書く項目が分かっても、実際にどの程度の細かさで書けばよいかは迷うところです。ここでは、カラーとカットで来店したお客様を例に、初回と2回目の記入例を紹介します。名前や数字は例として置き換えて読んでください。

初回の記入例です。

  • 来店日と担当:10月5日、担当は〇〇(アシスタントは△△)
  • 来店のきっかけ:知人の紹介
  • 髪の状態:髪は細め、量はふつう、毛先に以前のカラーのダメージあり。右の前髪に生えぐせ
  • 頭皮の状態:当日、傷や赤みはなし
  • 毛染めでの異常:これまでなしと本人から聞き取り
  • 希望:仕事で目立たない範囲で明るくしたい。前髪は眉にかからない長さ
  • 施術:カット(全体で3センチ、前髪は眉の上1センチ)、カラー(薬剤の色番号と配合の比率、放置時間20分)
  • 仕上がり:本人は満足。根元がやや暗く見えたため、次回は根元の放置時間を延ばす
  • 会話:年末に旅行の予定あり。朝はドライヤーに時間をかけられない
  • 次回の提案:12月の旅行前の来店で、少し明るめの色を提案する

2回目の記入例です。

  • 来店日と担当:12月7日、担当は〇〇
  • 前回からの変化:毛先のダメージは前回より落ち着いている
  • 当日の確認:頭皮に傷や赤みなし。前回の施術のあと、かゆみなどの異常はなかったと本人から聞き取り
  • 施術:カラーは前回より1段階明るい色番号に変更、根元は放置時間を5分延ばした
  • 仕上がり:根元と毛先の色がそろった。本人は旅行に間に合って喜んでいた
  • 次回の提案:春は少し落ち着いた色に戻したいと話していた

2回目の記入例で、前回の反省(根元が暗い)を受けて施術を変え、その結果を書いている点に注目してください。カルテは1回ずつ独立した記録ではなく、前回の続きとして書くことで、施術の精度が上がっていきます。当日の確認の欄は、毎回同じ質問をして記録します。前回問題がなかったから今回も大丈夫、とは限らないためです。

紙のカルテと電子カルテの違い

カルテの形には、紙と電子の2つがあります。電子カルテとは、カルテをパソコンやタブレット、スマートフォンの画面で記録して管理する仕組みのことです。それぞれの特徴を並べます。

比べる点 紙のカルテ 電子カルテ
始めやすさ 用紙を用意すればすぐ始められる 道具を選び、使い方を覚える必要がある
費用 用紙とファイルの費用だけ 月額の利用料がかかるものが多い
探しやすさ 名前順に並べても、探すのに時間がかかる 名前や電話番号で検索できる
写真 印刷して貼る必要がある 撮った写真をそのまま保存できる
共有 1冊を回して読む 複数の端末で同時に見られる
紛失と盗難 置き忘れや持ち出しに注意が要る 端末の紛失やパスワードの管理に注意が要る
予約や会計との連携 できない 予約や会計と一体になったものがある

紙のカルテの良さは、すぐに始められることと、書く自由さです。手書きで髪型の絵を描いたり、矢印を引いたりしやすく、パソコンが苦手なスタッフでも使えます。開業したばかりで来店数が少ないうちは、紙で十分という店も少なくありません。

一方で、お客様が増えると、紙のカルテは探す手間が増えます。予約の電話を受けたときにカルテを見ながら話したい、ということもできません。複数の店舗で同じお客様を担当する場合も、紙では共有できません。

電子カルテの良さは、探しやすさと共有のしやすさです。名前の一部や電話番号ですぐに呼び出せ、写真と一緒に過去の施術を時系列で見られます。予約の仕組みと一体になったものなら、予約が入った時点でそのお客様のカルテを開けます。

ただし、電子カルテには月額の費用がかかるものが多く、店の規模によっては負担になります。また、すべてのスタッフが使いこなせなければ、結局記録が残らないことになります。紙から電子へ移るときは、過去の紙のカルテをどこまで入力し直すかも決めておく必要があります。全部を入力し直すのは大変なので、直近1年に来店したお客様だけを移し、それ以前の紙は別に保管する、という店もあります。

紙のカルテを作るときの用紙の作り方

紙のカルテを使う場合、市販の用紙を買う方法と、店で用紙を作る方法があります。市販の用紙は項目がそろっていて手軽ですが、店のメニューに合わない欄があったり、書きたい欄が足りなかったりすることがあります。店で作るなら、表計算ソフトや文書作成ソフトで、A4かB5の大きさの用紙を作るのが一般的です。

用紙は、表面と裏面で役割を分けると使いやすくなります。

  • 表面:基本情報、髪と頭皮の状態、注意事項。初回に書き、変化があったときだけ書き直す
  • 裏面:施術の記録の表。日付、担当、メニュー、薬剤と配合、時間、仕上がりと次回の提案を1行ずつ書く

注意事項の欄は、表面の一番上に、他の欄より目立つ形で設けます。施術の前にカルテを手に取ったとき、最初に目に入る場所だからです。注意事項がない場合も「なし」と書いておくと、確認を忘れたのか、問題がなかったのかを区別できます。

裏面の施術の記録は、1行の高さを十分に取っておきます。欄が狭いと、配合や時間を書ききれず、結局余白に書き込むことになって読みにくくなります。1枚の裏面で10回分程度の来店を書けるようにしておき、埋まったら2枚目を同じファイルに綴じます。

カルテを並べる順番も決めておきます。名前の五十音順が一般的ですが、同じ名字のお客様が多い地域では、ふりがなと電話番号の下4けたを表紙に書いておくと探しやすくなります。紙のカルテは持ち出しや置き忘れが起きやすいため、営業中も施術の場に出しっぱなしにせず、使い終わったらすぐ棚に戻す決まりをつくります。

電子カルテを選ぶときのポイント

電子カルテには、予約や会計、売上の分析まで一体になった「まとめて管理する型」と、カルテの記録に絞った「カルテに特化した型」があります。どちらが合うかは、今どんな道具を使っていて、何に困っているかで変わります。

選ぶときに確かめたいポイントは次の6つです。

  1. 今使っている予約の仕組みとつながるか。予約サイトや予約システムを使っているなら、連携できるかを確かめる
  2. 使う端末に合っているか。受付のパソコンで使うのか、施術の場でタブレットを使うのか
  3. 写真の保存の上限と、保存できる期間はどれくらいか
  4. 費用はいくらか。月額の利用料のほか、初期費用、店舗やスタッフの数による料金の違いを確かめる
  5. データを書き出せるか。別の道具に乗り換えるとき、カルテのデータを持ち出せるか
  6. 個人情報を守る仕組みがあるか。スタッフごとのログイン、見られる範囲の制限、操作の記録など

5つ目は見落とされがちですが、長く使うほど大切になります。カルテは何年分も積み重なる記録なので、乗り換えるときにデータを持ち出せないと、過去の記録を手放すことになります。表計算ソフトで開ける形で書き出せるかを、契約の前に確かめておきます。

口コミを参考にするときは、自分の店と同じくらいの規模、同じような業態の店の声を探します。スタッフが数人の店と、数十人の店では、便利に感じる機能が違うからです。無料の試用期間があるなら、実際に数日分のカルテを入力してみて、施術の合間に書けるかどうかを確かめるのが確実です。

料金は改定されることがあるので、比べるときは各サービスの公式の料金ページで、その時点の金額を確かめます。

初回のカウンセリングをWebフォームで集める方法

カルテの中でも、初回のカウンセリングの内容は、毎回同じ質問を紙に書いてもらう店が多い項目です。来店してから記入してもらうと、待ち時間が延び、施術の開始が遅れます。予約の時点でWebフォームを送り、来店前に答えてもらっておく方法を取る店も増えています。

Webフォームで集めるときは、次の質問を入れておくと、カルテの基本情報と注意事項がそろいます。

  • 名前、ふりがな、連絡先
  • 今回の希望(カット、カラー、パーマなど)となりたいイメージ
  • 過去に毛染めやパーマで異常を感じたことがあるか
  • 頭皮や肌で気になることがあるか
  • 施術中に気をつけてほしいこと(首の角度、座っていられる時間など)
  • 来店のきっかけ

フォームの冒頭には、答えてもらった内容を何に使うかを書いておきます。「いただいた内容は、施術の内容を決めるためと、カルテとして記録するために使います」のように、使い道をはっきり示すことが、後で説明する個人情報の扱いの上でも大切です。

ここで、GoogleフォームやMicrosoft Formsのような無料のフォームでも回答は集められます。ただ、集めた回答は表に並ぶだけなので、誰が確認したか、カルテに移したか、来店前に確認の連絡をしたかは、別の表に手で書き込むことになります。予約が多い店では、この管理が抜けやすくなります。

回答を集めたあとの対応まで1か所で管理したい場合の候補の1つがHalictです。公式サイトによると、フォームの数と回答の数はどのプランでも無制限で、届いた回答の一件ごとに担当者と状況(ステージ)を付けて管理できます。回答を一覧で見るか、ステージごとのボードで見るかを選べ、メモや担当者の割り当て、メールの送信が時系列で残ります。メールアドレスをもとに、同じ人が複数のフォームに答えても1人としてまとめて表示されるので、2回目以降の来店前アンケートも同じお客様の記録として見られます。回答はCSVで書き出せるので、店で使っている電子カルテや表計算ソフトに取り込むこともできます。

料金はメンバー1人までのフリープランが0円で、自動返信やCSVの書き出しも使えます。メンバー3人までのスタータープランは月額2,980円、10人までのチームプランは月額7,800円です(いずれも税抜)。なお、Halictはフォームと受付後の対応を管理する道具で、予約の受付や施術の記録をする電子カルテではありません。カルテそのものは、紙か電子カルテで管理し、初回の聞き取りを集める入口として使う形になります。Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

カルテは個人情報として管理する

カルテには、名前や連絡先に加えて、髪や頭皮の状態、会話の内容など、お客様の個人情報がたくさん書かれています。個人情報保護法は、事業のために個人情報のデータベースを使う事業者に、取り扱いのルールを守ることを求めています。規模の小さな美容室でも、お客様のカルテを名前順に並べて管理していれば、この法律のルールが関わります。

カルテの管理で押さえておきたい点は、次の5つです。

  1. 使い道を伝える。お客様から直接書いてもらう用紙やフォームで集めるときは、あらかじめ使い道を示す
  2. 安全に保管する。紙は鍵のかかる棚に、電子カルテはスタッフごとのログインとパスワードで守る
  3. 必要な人だけが見る。施術に関わるスタッフ以外が見られないようにする
  4. 要らなくなったら消す。長く来店のないお客様の記録を、いつまで残すかを店で決めておく
  5. 持病や皮膚の病気の情報は特に慎重に扱う

見落とされがちなのが、スタッフ個人のスマートフォンの扱いです。仕上がりの写真をスタッフ個人のスマートフォンで撮り、そのまま本人の端末に保存していると、スタッフが辞めたあとも写真が手元に残ってしまいます。カルテ用の写真は店の端末で撮るか、個人の端末で撮った場合もその日のうちに店のカルテに移して端末から削除する、という決まりを作っておきます。お客様と個人のSNSでつながってやり取りする場合も、店として認める範囲を決めておくと、トラブルを防げます。

5つ目について、個人情報保護法は、病歴などを「要配慮個人情報」と呼び、特に慎重な扱いを求めています。要配慮個人情報とは、本人が不当な差別や不利益を受けないよう、取り扱いに特に配慮が要る個人情報のことです。法律では、この情報を取得するときは、原則としてあらかじめ本人の同意を得ることになっています。お客様が持病や皮膚の病気について話してくれたときは、施術の安全のために記録してよいか、一言確かめてから書くのが確実です。

4つ目の消去について、法律は事業者に、個人データを利用する必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努めることを求めています。カルテの保存の年数を一律に決めた決まりはないので、「最後の来店から5年たったら処分する」のように、店で期限を決めておきます。紙のカルテを処分するときは、シュレッダーにかけるか、溶かして処分する業者に頼みます。

万が一、カルテの記録が外に漏れた場合は、内容によっては個人情報保護委員会への報告と、本人への通知が必要になります。報告が必要になる場面には、要配慮個人情報が含まれる場合などがあります。詳しくは個人情報保護委員会の漏えい等の対応のページで確かめられます。また、個人情報保護法は令和8年7月に改正法が公布され、細かなルールは個人情報保護委員会で整えられている途中です。ルールは変わることがあるので、条文はe-Govの個人情報保護法で、運用の詳しいところは個人情報保護委員会の案内で確かめてください。個別の判断に迷うときは、専門家に相談するのが確実です。

開業前に決めておきたいカルテの決まり

これから開業する場合や、スタッフが増えてきた場合は、カルテの決まりを最初に文章にしておくと、あとで書き方がばらばらになるのを防げます。決めておきたいのは次の6つです。

  1. 何を必ず書くか。施術の記録と注意事項は毎回必須、会話の記録は任意、のように必須の項目を決める
  2. 誰が書くか。担当のスタイリストが書くのか、アシスタントが下書きするのか
  3. いつ書くか。会計のときに要点を書き、その日のうちに仕上げる、など期限を決める
  4. どこに保管するか。紙なら棚の場所、電子ならどの端末からログインするか
  5. 誰が見られるか。アルバイトや研修中のスタッフがどこまで見られるか
  6. いつ処分するか。最後の来店から何年で処分するか、処分の方法は何か

この6つを1枚の紙にまとめ、新しいスタッフが入ったときに読んでもらいます。決まりが文章になっていれば、教える人によって説明が変わることもありません。

決まりは一度作って終わりではなく、半年か1年に1回見直します。メニューが増えたら書く項目も見直し、使われていない欄は外します。カルテの用紙や画面が実際の施術に合っていれば、スタッフは書くことを負担に感じにくくなります。

カルテを活かす店の運用

カルテは、書いて保管するだけでは役に立ちません。日々の営業の中で読む場面を決めておくことで、初めて効果が出ます。

カルテを活かす運用の例を挙げます。

  • 前日か当日の朝に、翌日来店するお客様のカルテを読む。前回の施術と注意事項、話した話題を確かめておく
  • 施術の前に、注意事項を担当者とアシスタントで声に出して確かめる。薬剤を扱うスタッフにも伝わるようにする
  • 次回の提案を書いておく。「次はハイライトを入れたいと話していた」と書いておけば、次の来店で提案できる
  • 担当が替わるときは、カルテを一緒に読みながら引き継ぐ。カルテに書ききれていない好みを口頭で補う
  • 来店の間隔を見る。いつも2か月ごとに来るお客様が3か月来ていなければ、案内の連絡を考えるきっかけになる

最後の来店の間隔は、電子カルテなら自動で一覧にできるものもありますが、紙でも月に1回、カルテを見直して確かめることはできます。ただし、案内のメールや手紙を送るときは、送ってよいかをお客様に確かめてから送ります。カルテに連絡先が書いてあっても、宣伝の連絡を受け取ることに同意しているとは限りません。

スタッフ同士でカルテの書き方を見せ合う機会をつくるのも効果があります。上手な人のカルテを読むと、何を書けば再現できるのかが具体的に分かります。月に1回、ミーティングで1枚ずつカルテを読み合うだけでも、店全体の書き方がそろってきます。

カルテと顧客管理の知識が生きる仕事

カルテの整え方は、美容室の中だけの話ではありません。店の業務を見直し、記録の仕組みを整える力は、外から店を支える仕事でも求められています。

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、個人店や小さなサロンほど、予約の管理、顧客の記録、SNSの発信を1人で抱えていて、仕組みづくりを外部の人に頼みたいという相談が少なくありません。現場の事情を分かったうえで、紙の記録を電子に移したり、フォームを整えたりできる人は重宝されます。仲介の中間マージンが乗らない、手数料0%で直接取引できる関係なら、店側は限られた予算で多くを頼め、受ける側は手取りを厚く保てます。

たとえばAIコンサル・業務活用支援のお仕事では、店の業務を聞き取り、記録や予約の管理にAIやツールをどう使うかを提案します。予約や顧客管理の仕組みを作る側に回るなら、アプリケーション開発のお仕事が近い仕事です。店の集客や発信を支えるなら、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事も選択肢になります。

店の内装や設備にお金をかける時期なら、美容室・サロン向け補助金2026年版|設備投資・内装リフォームに使える制度で、使える補助金の仕組みを紹介しています。小さな事業者の経営を支える立場を目指すなら、中小企業診断士の資格も道の1つです。

カルテは、お客様が「また来たい」と思う理由を、店の記録として残すものです。まずは今のカルテを1枚手に取り、別のスタッフが読んで同じ施術ができるかどうかを確かめるところから始めてみてください。

よくある質問

Q. 美容室のカルテはどのくらいの期間保存すればよいですか?

美容室の顧客カルテについて、保存の年数を一律に決めた法律の決まりはありません。個人情報保護法は、利用する必要がなくなった個人データを遅滞なく消去するよう努めることを求めているため、「最後の来店から5年」のように店で期限を決めて運用するのが一般的です。会計の帳簿など税務の書類は別の決まりがあるので、カルテとは分けて保管します。

Q. カルテは紙と電子のどちらがよいですか?

来店数が少なく、スタッフも少ない店なら、すぐに始められて費用もかからない紙で十分な場合があります。お客様が増えて探す手間が増えた、複数の端末で見たい、写真をまとめて保存したい、予約と連携したい、という場合は電子カルテが向いています。迷うときは、無料の試用期間がある電子カルテで数日分を入力して比べるのが確実です。

Q. お客様にカルテを見せてほしいと言われたらどうすればよいですか?

個人情報保護法では、本人は事業者に対して、自分の個人データの開示を求めることができます。お客様から求められたら、本人であることを確かめたうえで、記録の内容を伝えるのが基本です。スタッフの個人的なメモのような書き方をしていると見せにくくなるため、普段から本人に見られても困らない書き方をしておくことが大切です。

Q. カルテに書かないほうがよいことはありますか?

施術に関係のない私生活の詳しい事情や、お客様の見た目や性格についての主観的な評価は書かないほうが安全です。持病や皮膚の病気など、施術の安全に関わる情報は、記録してよいかを本人に確かめてから書きます。書いた内容はお客様本人から開示を求められることもあるため、事実と施術の内容を中心に、誰が読んでも失礼にならない言葉で書きます。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月19日最終更新:2026年10月26日
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