障害者グループホームを辞めたいと思ったとき|出ていく前に切り分けておくこと


この記事のポイント
- ✓障害者グループホーム辞めたいと感じたとき
- ✓何がつらいのかを切り分ける手順をまとめました
- ✓1人勤務・宿直・世話人配置といったグループホーム固有の構造から
「障害者グループホームを辞めたい」と検索したとき、出てくる記事の多くは「介護職の離職率は高い」「人間関係が原因の1位」といった話で終わっています。でも、あなたが今つらいのは、介護職一般の話ではないはずです。夜、建物のなかで自分ひとりだけが職員という状態で、利用者さんの部屋からの物音に耳を澄ませている。その状況が他の職場と何が違うのか、誰も説明してくれない。これ、知らない人が本当に多いんです。
私は行政書士として労働契約や事業所の運営基準に関する相談を受けてきましたが、グループホームからの相談は、他の福祉の現場とは質が違います。「仕事がきつい」ではなく「この働き方が法律上どうなっているのか分からない」という不安が核にあることが多い。宿直なのか夜勤なのか、手当がいくらなのか、休憩は取れていることになっているのか。ここが曖昧なまま数年働いて、限界が来たところで検索している人が本当に多いんです。
この記事では、辞めるか続けるかを決める前に、あなたが感じている「しんどさ」を分解します。グループホームという場所の構造から来るもの、その事業所固有の運営から来るもの、そしてあなた個人の適性から来るもの。この3つは対処法がまったく違います。混ぜたまま転職すると、次の職場でも同じところで詰まります。
グループホームの「辞めたい」は、他の職場の辞めたいと構造が違う
障害者グループホームは、正式には共同生活援助といいます。障害のある人が数名で暮らす住居に、世話人や生活支援員が入って生活を支える仕組みです。ここで大事なのは、施設ではなく「住まい」だという点です。利用者さんにとっては自宅であり、職員はその自宅に入っていく立場になります。
この一点が、働き方のすべてを決めています。入所施設や通所事業所なら、職員は複数人がフロアにいて、何かあれば声をかけ合えます。グループホームは違います。定員が4名から7名程度の小さな住居が多く、その時間帯に配置されている職員は1人というのが標準です。つまり、判断も対応も記録も、その場にいる1人が全部背負う。
グループホームの離職は、単に「給料が安いから」「きつい仕事だから」で片づけられるものではありません。入所施設や通所事業所とは違う、グループホームならではの構造的な事情が背景にあります。本記事では、20年以上にわたり自ら障害福祉の現場を運営してきた代表の経験をもとに、Engood合同会社が、グループホームの職員が辞める理由と、現場で実際に効いた定着の打ち手を整理します。 出典: engoodgk.co.jp
つまり、あなたが感じている孤立感は、性格の問題でも経験不足でもありません。1人で回すことを前提に人員配置基準が組まれている以上、構造的に発生するものなんです。ここを「自分が弱いから」と受け取っている人がとても多い。まずそれを外してください。
もうひとつ、グループホームには「生活の時間に合わせる」という特徴があります。利用者さんは日中、就労継続支援や生活介護といった別の事業所に通っていることが多い。そのため職員の勤務は朝と夕方以降に集中します。世の中の就業時間とずれるので、友人や家族と生活リズムが合わなくなる。この「社会から切り離される感覚」は、夜勤のある病院や入所施設とはまた別の種類です。病院の夜勤は同じ夜勤者が複数いますが、グループホームの夜は本当にひとりです。
そして、住まいであるがゆえに、支援の線引きが曖昧になります。掃除、洗濯、買い物の同行、通院の付き添い、お金の管理の助言、近隣とのトラブル対応。どこまでが仕事でどこからがお節介なのか、マニュアルに書ききれません。ここで良心的な人ほど自分の時間を削っていきます。私が相談を受けるなかでも、「制度上やらなくていいこと」を延々とやり続けて燃え尽きた人が何人もいました。
辞めたいと思ったとき、まずこの構造を知っておいてください。あなたが今つらいことのうち、かなりの部分は「グループホームという業態そのもの」から来ています。これは事業所を変えても完全には消えません。逆に言えば、業態を変えれば消えるものでもあります。この見極めが、次の一歩を決めます。
1日がどう動くのか、他の職場と並べて確認する
グループホームの1日は、他の福祉の現場とまったく違うリズムで動きます。ここを言語化しておくと、自分がどの時間帯でつらくなっているのかが見えてきます。
朝は早い事業所で6時前後から動きます。起床の声かけ、服薬の確認、朝食の準備と片付け、身支度の手伝い、そして日中の通所先へ送り出す。ここまでを2時間から3時間で回します。利用者さんによっては起きられない、着替えが進まない、朝から不安が強いといったことが起きますが、送迎の時間は決まっているので、待つ余裕がありません。この朝の時間帯が一番きついという声はとても多いです。
日中は、多くの利用者さんが外に出ています。この時間に職員が何をしているかというと、記録の作成、買い出し、通院の同行、関係機関との連絡、居室や共用部の清掃、そして次の食事の仕込みです。事業所によってはこの時間帯に職員を置かず、常勤が事務作業に充てることもあります。一方、日中サービス支援型という類型のグループホームでは、重度の方や高齢の方が日中も住居にいるため、日中も支援が必要です。同じ「グループホーム」という名前でも、ここで働き方がまったく変わります。
夕方から夜が本番です。利用者さんが帰宅してくる時間に合わせて出勤し、夕食の準備、入浴の支援、服薬、金銭の受け渡し、翌日の準備、そして就寝までの見守り。この間に、人間関係のトラブル、体調の急変、気持ちの波、外出したがる方への対応が重なります。1人で回している時間帯に2つの対応が同時に起きると、どちらかを待たせるしかありません。この「待たせている」という感覚が、じわじわ効いてきます。
夜は宿直か夜勤かで性質が変わります。宿直は本来、常態としてほとんど労働がない前提の勤務で、労働基準監督署の許可を取ったうえで断続的な業務に就く形です。夜勤は通常の労働時間として扱われます。ところが現場では、宿直として配置されているのに夜間に何度も起こされて実質的に働いている、という状態が起きがちです。つまり、宿直手当しか出ていないのに労働している時間がある。ここは労働時間の扱いとして明確に問題になり得る部分です。※自分のケースが該当しそうなら、労働基準監督署または労働問題に詳しい弁護士への相談をおすすめします。
比較のために書いておくと、入所施設の夜勤は職員が複数配置され、フロアごとに分担があります。訪問介護は1件ごとに訪問して終われば移動します。通所介護は日中だけで夜がありません。グループホームは、少人数の生活の場を、少人数の職員が、朝と夜に集中して支える。この形は他にあまりありません。だからこそ、合う人には深く合いますし、合わない人には他の職場より早く限界が来ます。
自分がどの時間帯でつらいのかを紙に書き出してみてください。朝なのか、夜なのか、日中の事務なのか、それとも特定の利用者さんへの対応なのか。これが分かると、次の項で説明する「事業所を変えれば解決すること」と「業態を変えないと解決しないこと」の切り分けができます。
人員体制と加算の仕組みを知ると、職場の事情が見える
しんどさの原因を「人が足りない」で止めてしまうと、そこから先に進めません。なぜ人が足りないのかは、報酬の仕組みでかなりの部分が説明できます。ここを知っておくと、今の事業所が改善しうるのか、それとも構造的に無理なのかが判断できます。
グループホームの人員配置には、世話人と生活支援員という区分があります。世話人は食事や掃除、金銭管理の助言といった日常生活の支援を担当し、生活支援員は入浴や排せつといった身体介護を含む支援を担当します。世話人の配置は利用者の人数に対する比率で決まり、6対1、5対1、4対1と手厚くなるほど報酬単価が上がる仕組みです。つまり、あなたの職場が何対1で運営されているかによって、1人あたりの負担がまったく違います。
そしてサービス管理責任者、現場では略してサビ管と呼ばれる役割があります。個別支援計画の作成、モニタリング、関係機関との調整を担う要の職種です。ここが機能しているかどうかで、現場の消耗度が大きく変わります。計画がきちんと更新され、支援の方針が共有されていれば、職員は迷わずに動けます。逆に、サビ管が名前だけで実務に入っていない事業所では、支援の方針がその日の担当者の判断に委ねられ、利用者さんにも職員にも混乱が生じます。
夜間については、夜間支援等体制加算という仕組みがあります。夜間に職員を配置している事業所が算定できるもので、配置人数や対象となる利用者数に応じて区分が分かれています。ここで見るべきなのは、あなたの職場がこの加算を取っているかどうか、そして取っているのに夜勤手当が極端に低くないか、という点です。加算が入っているのに手当が出ていないなら、それは事業所の配分の問題であって、制度の問題ではありません。
もうひとつ、2018年に日中サービス支援型という類型が加わりました。重度の障害がある方や高齢の方が日中も住居で過ごせるようにしたもので、常時の支援体制が求められます。求人票に「日中支援型」と書かれていたら、夜間も含めた常時の体制が前提になっていると読んでください。働き方が大きく違うので、従来型のグループホームからの転職では想像と違うということが起こります。
給与については、参考になる数字があります。高齢者向けの認知症対応型共同生活介護、いわゆる高齢者グループホームのデータですが、共同生活の場を少人数で支えるという構造は共通しています。
グループホームの介護職員のなかには、求められるスキルや仕事の大変さに対して、給与が見合っていないと感じ、転職を考える方もいるようです。厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.129)」によると、介護職員等処遇改善加算を取得しているグループホーム(認知症対応型共同生活介護事業所)で常勤で働いている介護職員の平均給与は30万2,010円です。これは、介護職員全体の平均給与(常勤33万8,200円)と比較すると、低い傾向にあります。職員によっては、不平等に感じることがあるでしょう。 出典: job.kiracare.jp
平均で3万6,190円の差があるということです。つまり、責任の重さと給与が釣り合っていないと感じるのは、あなたの感覚がずれているからではありません。データ上もそうなっています。処遇改善に関する加算は制度として用意されていますので、自分の給与明細にその分が反映されているかは確認する価値があります。加算を取得している事業所であれば、賃金改善の実績を書類として整えているはずです。
ここまで読んで「うちは加算も取っていないし、サビ管も機能していない」と思ったなら、それは事業所固有の問題です。事業所を変えれば改善する可能性があります。逆に「加算も取っているし体制も整っているのに、それでもつらい」なら、業態そのものが合っていない可能性を検討してください。
辞めたい理由を5つに切り分けてみる
漠然と「もう無理」と感じている状態から抜け出すには、書き出して分けるしかありません。私が相談を受けるときも、まずここから始めます。グループホームで辞めたくなる理由は、おおむね次の5つに整理できます。
1つ目は、1人勤務による孤立と判断の重さです。利用者さんの体調が急変したとき、パニックになったとき、他の利用者さんとぶつかったとき、判断するのはその場の1人です。オンコールで管理者に連絡できる体制があればまだ救われますが、繋がらない、あるいは連絡しづらい空気があると、抱え込むことになります。この孤立は、事業所が体制を整えれば軽減できます。オンコールの当番表、判断基準の文書化、記録の共有。これらが整っている事業所は実在します。
2つ目は、利用者さんとの距離の取り方です。住まいですから、関係が濃くなります。特定の利用者さんから強い依存を向けられる、逆に強い拒否を向けられる、暴言や暴力を受ける。こうしたことは実際に起きます。ここで必要なのは、個人の技量ではなくチームでの共有です。1人で抱えている限り、いつか折れます。支援会議やケース検討の場があるかどうかが分かれ目になります。
3つ目は、給与と手当の問題です。前の項で見たとおり、グループホームの給与水準は介護職全体の平均を下回る傾向があります。加えて、宿直手当が極端に低い、みなし残業が含まれていて実質の時給が低い、といったケースがあります。これは計算すれば分かります。月給から固定残業代を引き、実労働時間で割ってみてください。最低賃金を下回っていたら、それは是正されるべき状態です。
4つ目は、管理者やサビ管との関係、そして法人の方針です。小さな事業所ほど、管理者との相性がそのまま働きやすさになります。支援方針が個人の価値観で決まっていて、根拠を聞いても答えが返ってこない。記録を求められるが、何のための記録か説明がない。こうした状態は、事業所を変えることでしか解決しません。
5つ目は、制度と現実の板挟みです。支給決定された時間のなかでしか支援できない、家族の意向と本人の意向が食い違う、成年後見の関係で判断が止まる。こうした構造的な制約に、現場の職員が矢面に立たされます。これは業界全体の課題であり、個人で解決できるものではありません。ただ、ここで苦しんでいる人は支援の質を真剣に考えている人でもあります。
5つのうち、どれが自分の中心にあるかを決めてください。1つ目と2つ目と4つ目は、事業所を変えることで改善する可能性が高い。3つ目は計算して交渉する余地がある。5つ目は業態や職種を変える検討に入ります。全部が重なっているなら、一度離れることを考えてもいいと思います。ただし、離れ方には順番があります。
出ていく前に、必ずやっておくこと
辞めると決めたあとでも、その前でも、やっておくと後で効くことがあります。感情が高ぶっているときほど、この順番を守ってください。
まず記録です。勤務した日時、始業と終業の実際の時刻、休憩を実際に取れたかどうか、宿直中に起きて対応した時刻と内容。これをメモしておいてください。スマートフォンのメモでも手帳でも構いません。未払いの残業代や宿直中の労働時間が問題になったとき、証拠になるのはこの記録です。タイムカードは事業所が保管していますが、退職後に開示を求めるのは手間がかかります。自分の手元に残しておくのが確実です。
次に、就業規則と雇用契約書を確認してください。固定残業代の有無と時間数、宿直手当の額、夜勤手当の額、有給休暇の残日数、退職の申し出は何日前かという規定。この5点です。民法では期間の定めのない雇用契約は2週間前の申し出で終了できますが、就業規則で1か月前と定めている事業所が多く、実務上はそれに合わせたほうが円満に進みます。つまり、就業規則の記載が民法より長くても、いきなり争点にする必要はないということです。
そして、退職の意思を伝える前に有給休暇の残日数を確認してください。退職時にまとめて消化する形になることが多いのですが、人員配置基準がある事業所では「代わりがいないから休ませられない」と言われることがあります。有給休暇の時季変更権は事業の正常な運営を妨げる場合に限られ、退職日以降に変更することはできません。つまり、退職日までに消化できる日数分については、原則として取得できます。
第三者に相談する先も知っておいてください。労働条件に関することなら各都道府県の労働局にある総合労働相談コーナー、賃金の未払いなら労働基準監督署です。障害福祉サービスの運営そのものに疑問があるなら、事業所を指定している市区町村または都道府県の障害福祉担当課が窓口になります。虐待が疑われる事案であれば、市区町村に設置されている障害者虐待防止センターへの通報が制度として定められています。※通報したことを理由に不利益な取り扱いを受けることは法律で禁止されています。
制度や相談先の一次情報は、厚生労働省のサイトから辿るのが確実です。障害福祉サービスの運営基準や報酬の告示は厚生労働省で公開されていますので、自分の事業所の類型や加算について調べるときに使ってください。人から聞いた話ではなく、根拠のある情報で判断したほうが、交渉するときも転職するときも強くなれます。
最後に、辞めると決める前に一度だけ試してほしいことがあります。シフトの組み方の相談です。朝がつらいなら夜中心に、夜がつらいなら朝と日中に。小規模な事業所ほど融通が利く場合があります。言わずに辞めた人が「言えば変わったかもしれない」と後から言うのを、何度も聞いてきました。法律はあなたの味方ですが、その前に交渉という手段があることも覚えておいてください。
求人票のどこを見れば、次の職場の実態が分かるか
次を探すとき、求人票の読み方を変えてください。グループホームの求人には、この業態特有の見るべき箇所があります。ここを外すと、同じ理由でまた辞めることになります。
第一に、宿直か夜勤かを確認します。「宿直あり」と書かれていたら、1回あたりの手当額を必ず聞いてください。宿直手当が1回1,000円台の求人は実在します。夜間に何度も対応が発生する事業所でこの金額なら、時間あたりの対価としては明らかに低い。「夜勤」と書かれている場合は労働時間として扱われるので、時給換算で計算できます。
第二に、月給の内訳です。基本給と諸手当の区分、固定残業代が何時間分含まれているか。ここが明示されていない求人は、面接で必ず確認してください。実際に、こういう相談があります。
ソーシャルネットインクルーという障害者グループホームの面接に行きました。給与が高めだったからです。 でも実際お話を聞いてみると、2か月は保険なし、賞与は支給されない、月給は高めだが、みなし残業込みの金額。夜勤手当は一回につき1,000円!!とのことですべて込み込みの給与なんだとわかりました。求人にはいいこと書いてありますが釣リ求人なんだなと思いました。面接の合否を聞く前に辞退しても良いですよね? 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
念のため書いておくと、合否を聞く前に辞退することは何の問題もありません。労働契約は双方の合意で成立するものなので、応募者側がいつ辞退しても自由です。それから、入社から2か月は社会保険なしという説明は、正しくないことが多い。適用事業所に常用的に使用される人は、原則として資格取得の日から被保険者になります。試用期間中だからという理由だけで加入を遅らせることは認められません。加入要件については日本年金機構の説明が分かりやすいです。
第三に、住居の数と職員数です。「複数のホームを兼務」と書かれている場合、移動が発生します。移動時間が労働時間に含まれるのか、車は貸与されるのか、ガソリン代は出るのか。ここを確認しないと、実質の拘束時間が想定より長くなります。
第四に、類型です。介護サービス包括型、外部サービス利用型、日中サービス支援型のどれか。外部サービス利用型は身体介護を外部の居宅介護事業所に委託する形なので、職員が担う範囲が変わります。日中サービス支援型は前述のとおり常時の体制が必要です。求人票に書かれていなければ、面接で聞いてください。
第五に、サビ管の配置と支援会議の頻度です。「サービス管理責任者が常勤で在籍しているか」「個別支援計画の見直しはどの頻度か」「ケース検討の場はあるか」。この3つを聞くと、その事業所が支援をチームで回しているか、個人任せにしているかが分かります。答えが曖昧な事業所は、入ってからも曖昧です。
第六に、離職率と平均勤続年数です。直接聞きにくければ「今のスタッフの方は、だいたいどのくらい勤めていますか」と尋ねれば自然です。ここで即答できない、あるいは「最近入れ替わりがあって」と濁されるなら、理由を掘り下げたほうがいい。
同じ資格でも、職場が変わると任される範囲が変わる
福祉の資格は職場を選べるのが強みです。介護福祉士や介護職員初任者研修、実務者研修といった資格は、グループホーム以外の現場でも通用します。ただし、同じ資格でも職場によって求められる動き方がまったく違います。ここを理解しておくと、次の選択が的確になります。
入所施設、たとえば障害者支援施設や特別養護老人ホームでは、職員が複数で動きます。フロアに数名が配置され、分担して回すため、1人で判断する場面は減ります。その代わり、人数が多い分だけ標準化された手順があり、個別の裁量は小さくなります。「決まったやり方のなかで確実に回す」ことが得意な人には合います。グループホームで1人の重さに参っていた人が、入所施設に移って楽になったという例は多いです。
生活介護事業所や就労継続支援事業所は、日中のみの勤務です。夜勤も宿直もありません。生活リズムが安定するのが最大の利点です。生活介護は重度の方への身体介護が中心、就労継続支援は作業支援と工賃の管理が中心になります。就労支援では、支援そのものより企業との調整や作業の段取りに時間を使うので、事務やコミュニケーションの適性が効いてきます。
訪問介護は、1件ごとに訪問して決められた時間で決められた支援を行います。利用者さんとの関係は1対1ですが、時間が区切られているので、生活の全部を背負う感覚はありません。移動が多く、天候や交通の影響を受けます。直行直帰ができる事業所なら、通勤の負担が減ります。
放課後等デイサービスや児童発達支援は、対象が子どもに変わります。夕方が繁忙になりますが、夜間はありません。保護者対応が加わるのが特徴です。
こうして並べてみると、「障害福祉に関わりたい気持ちはあるが、夜と1人勤務がつらい」という人には、日中の事業所という選択肢があることが分かります。グループホームを辞めることと、福祉から離れることは、別の話です。ここを混同して「もう福祉は無理だ」と結論を出してしまう人が多いのですが、業態を変えるだけで続けられたケースをたくさん見てきました。
一方で、生活を支えること自体が自分に合っていないと感じるなら、それは正直に認めていいと思います。人の生活の内側に入る仕事は、向き不向きが確実にあります。合わないまま続けることは、あなたにとっても利用者さんにとっても良い結果になりません。
資格の位置づけを整理したい場合、資格ごとの内容や取得ルートをまとめた資格ガイドのような情報も役に立ちます。このページはビジネス文書検定について、出題範囲や実務での使いどころを解説したもので、福祉の現場から事務や相談支援の方向に軸足を移したい人が、書類作成の基礎を整理するのに使えます。支援計画や記録の書き方に苦手意識がある人にとっては、文書の型を学ぶだけで負担が変わることがあります。
働き方そのものを組み替えるという選択肢
ここからは少し視野を広げます。辞めたい理由が「夜勤がつらい」「通勤がつらい」「人間関係で消耗する」といった働き方そのものにあるなら、雇用される形以外の選択肢も検討の対象になります。
20年この市場を見てきた立場から言えば、福祉の現場から在宅の仕事へ移る人には、共通する強みがあります。記録を毎日書いてきたので、文章を書くことへの抵抗が少ない。関係機関と調整してきたので、相手の状況を踏まえて連絡する力がある。そして、決められた手順を守りながら例外に対応する判断力がある。これらは、在宅の業務委託の仕事でそのまま評価される能力です。
たとえば、記録や報告書を書いてきた経験は、文章を扱う仕事と接続します。文章を書く仕事の報酬水準を知っておきたいなら、著述家,記者,編集者の年収・単価相場が参考になります。このページは公的統計をもとに、文章に関わる職種の年収帯や案件単価の分布をまとめたもので、副業として始めた場合にどの程度の収入になるかの見当がつきます。福祉の現場を知っている人が書く医療や介護の記事は、実は需要があります。制度の名前と現場の実態の両方が分かる書き手は多くないからです。
事務や調整の経験を活かすなら、業務支援の方向もあります。企業が業務の一部を外部に委託する動きは広がっていて、その入口をまとめたのがAIコンサル・業務活用支援のお仕事です。このページは、業務の流れを整理して改善する仕事の内容と、必要になるスキルの範囲を解説しています。福祉の現場で「この手順、無駄が多い」と感じてきた人の目線は、この分野で通用します。
もう少し技術寄りに進みたいなら、ソフトウェア作成者の年収・単価相場を見てください。開発職の年収帯と、経験年数による単価の変化がまとめられています。未経験からいきなりここを目指すのは現実的ではありませんが、数年かけて移る前提なら道はあります。土台としてネットワークの基礎を固めたい場合は、CCNA(シスコ技術者認定)の解説が、試験範囲と学習期間の目安を整理しています。
在宅で働く場合、打ち合わせはオンラインが基本になります。使うツールの違いを事前に押さえておくと立ち上がりが早いので、Zoom・Teams・Google Meetを比較|フリーランスの打ち合わせに最適なのは?【2026年版】にも目を通しておくといいでしょう。それぞれの無料枠や録画機能、相手側の負担の違いがまとまっています。
ここで強調しておきたいのは、金額の話ではなく構造の話です。雇用されて働く場合、あなたの労働に対して法人の運営費や管理費が乗ります。直接取引の場合、中間に入る手数料の分だけ手取りが厚くなります。運営者として見てきた限りでは、この差は「たくさん稼げる」という話ではなく、「同じ仕事量で手元に残る額が違う」という話です。依頼する側も、同じ予算でより多く頼めるようになる。手数料0%の仕組みが意味を持つのは、この双方向の部分です。
ただし、雇用の安定を手放すことにもなります。社会保険、有給休暇、雇用保険。これらは業務委託にはありません。だから、いきなり辞めて独立することは勧めません。在職中に少しずつ試して、収入の柱が1本できてから考える。この順番を守ってください。
出ていくか残るかを、最後にどう決めるか
ここまで、構造の話、体制の話、切り分けの話、準備の話、次の選択肢の話をしてきました。最後に、決め方の話をします。
判断の材料は3つです。1つ目、今のつらさは事業所を変えれば消えるか。夜勤の回数、1人勤務の時間、サビ管の機能、給与の内訳。これらは事業所によって差があります。差があるものは、変えれば改善します。2つ目、業態を変えれば消えるか。夜そのものがつらい、生活の場に入ることがつらいなら、日中の事業所や訪問系に移るという手があります。3つ目、それでも残るものがあるか。福祉の仕事そのものに向いていないと感じるなら、無理に続ける理由はありません。
この3つに答えを書いてみて、1つ目でほとんど説明がつくなら、転職先の選び方を丁寧にやれば解決します。2つ目まで来ているなら、業態を変える転職を考えてください。3つ目まで来ているなら、時間をかけて別の道を準備する段階です。
私が相談を受けてきたなかで、後悔が残るのは決まって「何も記録せずに、感情のまま辞めた」ケースです。未払いがあっても証明できない。次の面接で「なぜ辞めたのか」を聞かれても、感情の言葉しか出てこない。その結果、似た条件の職場をまた選んでしまう。逆に、つらさを分解して言語化できた人は、面接でも冷静に条件を確認できますし、入ってから「思っていたのと違う」が起きにくくなります。
それから、心身の状態が限界に近いなら、切り分けより先に休んでください。判断力が落ちているときに人生の選択をするのは危険です。傷病手当金という制度があり、健康保険の被保険者が病気やけがで働けない場合に、一定の要件のもとで支給されます。制度の詳細は加入している健康保険組合または厚生労働省の案内で確認できます。※心身の不調がある場合は、まず医療機関を受診してください。
グループホームという場所は、うまく回っているときは本当にいい仕事です。利用者さんが自分の暮らしを作っていく過程に、毎日立ち会える。入所施設でも通所事業所でも見られない変化が見えます。それを知っているからこそ、体制の不備で潰れてしまう人がいるのが惜しい。あなたが辞めたいと思っているのは、支援そのものではなく、支援できない状況かもしれません。
切り分けてください。何がつらいのか、それは変えられるものなのか。そのうえで残ると決めるなら、それは逃げなかったのではなく、選んだということです。出ていくと決めるなら、それも同じく選択です。どちらを選んでも、記録と条件の確認だけは済ませておいてください。法律はあなたの味方ですが、味方になるための材料は、あなた自身が用意する必要があります。
よくある質問
Q. 障害者グループホームの夜勤と宿直は何が違いますか?
宿直は常態としてほとんど労働がない前提の勤務で、労働基準監督署の許可を受けて行われ、手当は1回いくらという形が一般的です。夜勤は通常の労働時間として扱われ、時間外や深夜の割増賃金の対象になります。宿直として配置されているのに夜間の対応が頻繁に発生している場合、労働時間の扱いが問題になり得るため、対応した時刻と内容を記録しておいてください。
Q. 辞める前に確認しておくべき書類は何ですか?
雇用契約書と就業規則の2点です。固定残業代の有無と時間数、宿直手当と夜勤手当の額、有給休暇の残日数、退職の申し出期限を確認します。あわせて、実際の始業終業時刻と休憩の取得状況を自分の手元にメモしておいてください。未払い賃金が争点になったとき、退職後に事業所から記録を出してもらうのは手間がかかります。
Q. 求人票で「みなし残業込み」と書かれていたら避けるべきですか?
避ける必要はありませんが、何時間分がいくらで含まれているかを必ず確認してください。月給から固定残業代を引いた金額を所定労働時間で割ると、実質の時給が出ます。その金額が地域の最低賃金を下回っていないか、同じ地域の他の求人と比べて妥当かで判断します。時間数が明示されていない求人は、面接で質問してください。
Q. グループホームを辞めたら、福祉の仕事は続けられませんか?
続けられます。生活介護や就労継続支援といった日中のみの事業所、訪問介護、放課後等デイサービスなど、夜勤や宿直のない職場は多くあります。介護福祉士や初任者研修といった資格はそのまま活きます。つらさの原因が夜間の1人勤務や生活の場に入ることにあるなら、業態を変えるだけで働き続けられるケースは珍しくありません。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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