デイサービスを辞めたいと思ったとき|出ていく前に切り分けておくこと


この記事のポイント
- ✓デイサービスを辞めたいと感じたときに
- ✓その原因が事業所なのか
- ✓通所介護という業態なのか
「デイサービス、辞めたい」
この言葉を検索窓に打ち込んだとき、多くの方は、もう答えが出ているわけではありません。辞めたい気持ちと、辞めていいのかという迷いが、同じ重さで並んでいる状態です。
大丈夫ですよ。まず、その気持ちを否定しないでください。そのうえで、この記事では1つだけお願いしたいことがあります。出ていく前に、「何が嫌なのか」を切り分けてほしいのです。デイサービスという業態が合わないのか、いまの事業所が合わないのか、介護という仕事そのものが合わないのか。この3つは全部違います。切り分けないまま次に移ると、同じつらさを繰り返すことがあるからです。
その気持ちは、あなたの弱さではありません
こういう相談が、本当によくあります。
デイサービスで働いています。まだ、働き初めて4ヶ月なんですが早くも辞めたいです。仕事の内容は好きなんですが、職場の人間関係が辛くてたまりません。直接、いじめを受けてるとかはないとは思うんですが(もしかしたら、私が気づかないだけでいじめられてるのかな??)いつも、スタッフ同士でいつも誰かの悪口を言っていて、自分も言われてるんだなぁ。と感じます。よし、辞めようと決意するものの4ヶ月しか働いてなくて次の施設で雇って貰えるか心配です。アドバイス頂けたら嬉しいです。職場・人間関係411いいね!コメントするみんなのコメント0件しゅうちゃま 出典: community.minnanokaigo.com
この投稿に411件の共感が集まっているという事実が、すべてを語っています。同じ状況にいる人が、それだけいるということです。
そして、これは感覚の問題ではありません。データにもはっきり出ています。
「きつい」「辞めたい」という気持ちは、あなた個人の弱さではありません。介護労働安定センターの調査でも、労働条件などの悩み・不安・不満として「人手が足りない」が49.9%、「仕事内容のわりに賃金が低い」が37.5%、「身体的負担が大きい」が29.3%と、多くの職員が同じ壁に直面していることが示されています。従業員が「不足」と感じる事業所は合計64.7%にのぼり、人手不足はあなたの職場だけの問題ではありません。 出典: kaigo-c.jp
人手が足りないと感じている人が49.9%。約半分です。
つまり、あなたが感じている「回らない」という感覚は、あなたの手際が悪いから起きているのではありません。64.7%の事業所が人員不足を自覚している状況で、その不足分を現場の人が体で埋めている。それが今の構造です。
ここをまず受け止めてください。自分を責める段階を飛ばして、次の切り分けに進んでいただきたいんです。
辞めたいのは、どの層なのか
心理学の言葉に「問題の外在化」というものがあります。難しく聞こえますが、要は「自分の性格の問題」と思っていたことを、いったん自分の外に出して、対象として眺めてみるということです。
デイサービスで辞めたいと感じるとき、原因はだいたいこの4つの層のどれかにあります。
1つ目は、この事業所という層です。管理者の言い方、特定の先輩との関係、シフトの組み方、記録のやり方。これらは事業所を変えれば変わります。
2つ目は、デイサービスという業態の層です。送迎、レクリエーション、日中に集中する入浴介助、稼働率のプレッシャー。これは事業所を変えても付いてきます。デイサービスである限り、形を変えて必ずあります。
3つ目は、介護という仕事の層です。人の体に触れること、排泄に関わること、死に立ち会うこと。これは特養に移っても訪問に移っても変わりません。
4つ目は、あなた自身の状態の層です。眠れているか、食べられているか、休日に回復しているか。ここが崩れていると、1つ目から3つ目のすべてが何倍にも重く感じられます。
この4層のうち、どこが一番重いのかを見極めてから動く。これだけで、次の選択の精度が変わります。
判断のヒントを1つお伝えします。「休日に、仕事のことを考えない時間があるか」を思い出してみてください。まったくないなら、4つ目の層が先に来ています。その場合は、転職先を探すより先に、休むことと受診を優先してください。これは逃げではなく、順番の問題です。
もう1つのヒントは、「つらさがいつ始まったか」です。
入職したときからずっと同じつらさがあるなら、業態か仕事そのものの層を疑います。ある時期から急につらくなったなら、事業所の層か自分の状態の層です。管理者が替わった、仲の良かった同僚が辞めた、利用者が増えて送迎ルートが変わった、家庭で介護や子育ての負担が増えた。こうした変化のあとに気持ちが崩れたなら、原因はデイサービスという仕事ではなく、その変化のほうにあります。
こういう相談もよくあります。「最初の1年は楽しかったのに、急に朝起きられなくなった」と。話を聞いていくと、ちょうどその頃に家族の入院が重なっていた、ということが少なくありません。職場の問題だと思って転職しても、家庭の負担が変わらなければ、次の職場でも同じように疲れてしまいます。いつから、を思い出すだけで、見える景色が変わることがあるんです。
デイサービスの1日は、朝と夕方に山が来る
業態の層を考えるために、デイサービスの中で1日がどう動いているかを、もう一度並べてみます。自分がどの時間帯でいちばん消耗しているかを思い浮かべながら読んでみてください。
| 時間の例 | 主な動き |
|---|---|
| 8:00〜8:30 | 出勤、朝礼、送迎表とその日の利用者の確認、車の点検 |
| 8:30〜9:45 | 迎えの送迎、自宅での体調確認と乗車介助 |
| 9:45〜10:15 | 到着、バイタル測定、お茶、連絡帳の確認 |
| 10:15〜12:00 | 入浴介助(午前に集中)、体操、個別機能訓練 |
| 12:00〜13:00 | 昼食の配膳と介助、服薬確認、口腔ケア |
| 13:00〜14:00 | 利用者の休憩、職員は交代で休憩 |
| 14:00〜15:00 | レクリエーション、機能訓練 |
| 15:00〜15:45 | おやつ、帰りの準備、連絡帳の記入 |
| 15:45〜17:00 | 送りの送迎、自宅での引き継ぎ |
| 17:00〜17:30 | 記録、片付け、翌日の準備、申し送り |
この表を見ると、デイサービスの山がどこにあるかが分かります。朝の送迎から入浴までの約3時間と、おやつから送りまでの約2時間です。特養のように1日を通して波が来るのではなく、決まった時間に一気に押し寄せる。この「時間に追われる感覚」が、デイサービス特有の疲れ方を生みます。
人員の基準も、この動き方を前提に組まれています。介護職員は、利用者が15人までなら1人以上、それを超えると5人増えるごとに1人を加える、というのが基本の考え方です。ほかに生活相談員、看護職員、機能訓練指導員の配置が決められています。ただし、基準は「最低限」です。送迎に2〜3人が出ている時間帯は、事業所に残る職員がぐっと減ります。朝の送迎中に、残った職員だけで先に到着した利用者を見ている。その時間の心細さを感じている方は多いはずです。
もう1つの特徴は、職種の境目があいまいになりやすいことです。生活相談員が送迎の運転をし、看護職員が入浴介助に入り、介護職員がレクリエーションの司会をする。小さな事業所ほど、1人が何役も担います。「介護の仕事がしたかったのに、運転と司会ばかりしている」と感じるなら、それは事業所の問題というより、デイサービスの人員の組み方から来ているものです。
自分がつらいのは朝の山か、夕方の山か、それとも山と山の間の時間なのか。時間帯で考えると、業態の層なのか事業所の層なのかが見分けやすくなります。
デイサービスにしかない負担が、確かに3つあります
2つ目の層、つまり「デイサービスだから起きること」を具体的に挙げます。ここが自分のつらさの中心なら、同じ業態への転職は解決になりません。
1つ目は送迎です。これがデイサービス最大の固有負担だと、私は見ています。
朝、決められた時刻に利用者宅に着き、玄関から車まで介助して、次の家に向かう。道が渋滞すれば全体が遅れます。ご家族が準備できていなければ待ちます。そして帰りも同じことを繰り返します。
送迎には、介護とは種類の違う緊張があります。交通事故の責任、時間厳守のプレッシャー、そして車内での利用者の安全確認。運転が苦手な方にとっては、1日の始まりと終わりに最も重い業務が置かれているということになります。
2つ目はレクリエーションです。
体操、歌、季節の行事、手工芸。これを企画して、司会をして、盛り上げる。介護の資格を取ったときに習っていない技能が、毎日求められます。
人前で話すのが苦手な方、場を仕切るのが苦手な方にとって、これは相当な負担です。しかも「レクが盛り上がらなかった」という評価が、そのまま自分の能力への評価のように感じられてしまう。ここでつまずいている方は少なくありません。
3つ目は稼働率です。
デイサービスは、利用者が来なければ収入が立ちません。定員30人の事業所に20人しか来なければ、その日の売上は3分の2です。だから事業所は稼働率を気にします。
そのプレッシャーが、現場にも下りてきます。「休まないよう声かけを」「ご家族に満足していただけるように」。利用者に選ばれる立場だという意識が、常に職員に求められる。特養のように入所待ちがある施設とは、まったく空気が違います。
この3つが自分のつらさの中心なら、移るべきは別のデイサービスではありません。入所系や訪問系を検討するほうが、筋が通っています。
給料が低いと感じるのには、構造的な理由があります
「仕事内容のわりに賃金が低い」と答えた人が37.5%という数字を先に見ました。デイサービスの場合、これは感覚ではなく事実です。
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.129)」によると、デイサービスで働く介護職員の平均給与は294,440円。介護職員全体の平均給与338,200円なので、デイサービスは職員全体の平均給与より4万円ほど収入が低い結果です。もし仕事に辛さや大変さがあれば、「給料が仕事内容に見合わない」「働きが報われない」と感じてしまうかもしれません。 出典: job.kiracare.jp
月4万円の差です。年間にすると48万円になります。
なぜこうなるのか。理由ははっきりしています。夜勤がないからです。
特養や老健では、夜勤手当が1回5,000円から8,000円程度つきます。月4回入れば2万円から3万2,000円です。ここに深夜割増が加わります。この分がまるごと乗らないのが、デイサービスの給与水準です。
ここを理解しておくと、判断が楽になります。
「日勤のみで土日休みという条件と、月4万円を交換している」。そう捉え直して、自分にとってその交換が割に合っているかを考えてみてください。
生活のリズムが安定することに大きな価値を感じているなら、それは損な取引ではありません。逆に、体力に自信があって収入を優先したいなら、夜勤のある職場に移ることが最短の解決になります。
もう1つ、確認していただきたいことがあります。介護職員等処遇改善加算が、どう配分されているかです。2024年6月に加算が一本化され、事業所は取得した加算を職員に配分することになっています。基本給に組み込む事業所、月次手当で出す事業所、賞与にまとめる事業所があり、やり方は法人ごとに違います。
給与明細に「処遇改善手当」という項目がないなら、基本給か賞与に組み込まれているはずです。どの形で反映されているのかは、事務担当者に聞いて構いません。これは聞いてよい質問です。
人間関係がつらいとき、まず整えること
冒頭の投稿にあった「スタッフ同士でいつも誰かの悪口を言っている」という状況。これはデイサービスで特に起きやすい構造があります。
職員数が少ないからです。
30人規模のデイサービスなら、日中いる職員は6人から8人程度。特養の100人規模の職員集団とは違い、逃げ場がありません。合わない人がいても、フロアを変わることも、部署を移ることもできない。この密度の高さが、関係のこじれを増幅させます。
こういうとき、私がカウンセリングでお伝えしているのは、順番です。
最初にやるのは、事実と解釈を分けることです。「悪口を言われている気がする」というのは解釈です。「Aさんが別の職員と話していて、こちらを見て黙った」というのが事実です。
この2つをノートに分けて書いてみてください。1日の終わりに5分で構いません。左に事実、右に自分の解釈。
これを2週間続けると、ほとんどの方が「思っていたより事実は少ない」ことに気づきます。つらさの大部分は、事実そのものではなく、その事実をどう読んだかから来ている。これは弱さではなく、人間の脳の仕組みです。疲れているときほど、悪いほうに読む力が強くなります。
それでも事実として不当な扱いがあるなら、話は別です。人格を否定する言葉、無視、必要な情報を渡さない。これらは職場のハラスメントにあたる可能性があります。
そのときは、日時と内容と目撃者をメモに残してください。そして管理者に相談する。管理者が当事者なら、法人の本部か、都道府県の労働局の総合労働相談コーナーが窓口になります。相談は無料です。
※心身の不調が出ている場合は、産業医や心療内科の受診を先にしてください。診断書があると、休職や配置転換の相談がしやすくなります。
3週間だけ、記録をつけてみてください
辞めるかどうかを決める前に、ひとつだけ試していただきたい方法があります。
3週間、毎日の終わりに3行だけ書くというものです。
1行目、今日いちばんつらかった場面。 2行目、それは4つの層のどれか(事業所・業態・介護・自分の状態)。 3行目、今日少しでもよかったこと。
たったこれだけです。時間にして3分もかかりません。
なぜ3週間かというと、シフト勤務の場合、1週間では偏りが出るからです。3週間あれば、忙しい日も落ち着いた日も、苦手な人と組む日も組まない日も、ひととおり回ります。
3週間後に読み返すと、2行目に同じ層ばかりが並んでいることが見えてきます。そこが本当の原因です。
実際にこの方法を試した方から、「事業所の問題だと思っていたけれど、書き出してみたら全部が送迎の時間帯に集中していた」という報告をいただいたことがあります。その方は同じ法人の入所施設に異動を申し出て、辞めずに済みました。
3行目の「よかったこと」は、必ず入れてください。つらいときは、脳が悪い記憶だけを拾うようになります。意識して良い場面を探す時間を作らないと、判断が偏ります。
書き方の例も置いておきますね。
1行目「朝の送迎で渋滞し、到着が20分遅れて、入浴の順番が全部ずれた」。 2行目「業態(送迎)」。 3行目「Bさんが、今日のお風呂は気持ちよかったと言ってくれた」。
このくらい短くて大丈夫です。きれいな文章にする必要はありません。
私自身、会社を辞めるかどうか迷っていた時期に、同じような記録をつけたことがあります。書き始めた頃は「全部がつらい」と思っていたのに、読み返すと、つらい場面の多くが月曜の午前中に集中していました。原因は仕事全体ではなく、週の始まりの会議の進め方だったんです。記録は、気持ちを否定するためのものではありません。気持ちの中にある、形のあるものを見つけるための道具です。
辞めると決めたときの、手続きの順番
切り分けた結果、やはり辞めるという結論になったら、順番を守ると後がずっと楽になります。
最初にやるのは、有給休暇の残日数の確認です。給与明細か勤怠システムで分かります。
次に、就業規則で退職の申し出期限を確認します。民法上は期間の定めのない雇用なら申し出から2週間で退職できますが、就業規則では1ヶ月前と定めている事業所が多いです。円満に終えたいなら、就業規則に合わせるほうが無難です。
そのうえで、退職日を先に決めます。有給の残日数を逆算して、最終出勤日と退職日を分けて設定してください。有給消化を含めた日程を最初に示すと、あとから調整でもめにくくなります。
伝える相手は、直属の上司か管理者です。同僚に先に話すのは避けてください。話が先に回ると、本人が伝える前に管理者の耳に入り、関係がこじれます。
デイサービスの場合、退職の時期にも少し配慮があるとスムーズです。送迎表やレクリエーションの担当は、月単位で組まれていることが多いからです。月の途中より、翌月のシフトが組まれる前に伝えるほうが、事業所も調整しやすく、引き止めや気まずさも小さくなります。担当している利用者の申し送りは、最終出勤日までに書面で残しておきましょう。
理由は、詳しく話す必要はありません。「一身上の都合」で法的には十分です。ただ、引き止めが強い職場では、次が決まっていると伝えるほうが話が早く終わります。
離職票は、退職後に事業所から交付されます。失業給付の手続きに必要です。自己都合退職でも、心身の不調や、家族の介護、あるいは労働条件が求人と著しく違ったといった事情があれば、特定理由離職者として給付制限が短くなる場合があります。判断するのはハローワークなので、事情があるなら必ず窓口で相談してください。
そして在職中に転職活動をするかどうか。ここは体調次第です。動ける状態なら在職中のほうが有利ですが、限界が近いなら先に辞めて構いません。4ヶ月で辞めたら次が見つからないのでは、という心配については、介護業界の人手不足の状況を考えれば、短期離職1回で門前払いになることはまずありません。大丈夫ですよ。
次の職場を選ぶとき、求人票のどこを見るか
同じことを繰り返さないために、求人票の読み方を変えてください。
給与欄より先に見るべき項目が4つあります。
1つ目は、送迎業務の有無と範囲です。「送迎あり」としか書かれていない場合、運転まで含むのか添乗のみなのかを必ず確認します。普通自動車免許が応募条件に入っているなら、運転する前提です。
2つ目は、定員と1日の平均利用者数です。定員40人の大規模型と、定員15人の地域密着型では、1日の動き方がまったく違います。大規模型は分業が進んでいて、地域密着型は1人が何役も担います。
3つ目は、求人の掲載期間です。同じ事業所の求人が半年以上出続けているなら、退職補充を繰り返している可能性があります。求人サイトで事業所名を検索すれば、履歴が分かります。
4つ目は、見学の受け入れです。見学を断る事業所は、見せたくない何かがあると考えていい。見学では、職員が利用者をどう呼んでいるか、職員同士がどんな声のトーンで話しているかを見てください。30分もいれば、その職場の空気は伝わります。
面接では、こう聞いてみてください。「直近1年で何人辞めましたか」。数字を正直に答えて理由まで説明する管理者と、言葉を濁す管理者では、入ったあとの情報の開かれ方がまるで違います。
切り分けの結果によって、見るべき求人も変わります。
・送迎がつらかった方は、送迎を専任のドライバーに任せている事業所か、送迎のない入所系や、訪問入浴などの別のサービスを探す ・レクリエーションがつらかった方は、機能訓練を中心にした短時間型のデイサービスや、レクの企画を担当制にしている事業所を探す ・稼働率のプレッシャーがつらかった方は、特養などの入所系を検討する ・収入を上げたい方は、夜勤のある職場を候補に入れる ・人間関係がつらかった方は、同じデイサービスでも規模の大きい事業所や、法人内で異動の仕組みがある職場を探す
「何が嫌だったか」を1行で言えるようになると、求人票の読み方そのものが変わります。条件の良さに目を奪われず、自分がつまずいた場所を避けられるようになるんです。
20年この市場を見てきた立場からの観察
運営者としてフリーランスと在宅ワークの市場を20年見てきた立場から言えば、職場を変えて本当に楽になった人と、また同じところでつまずいた人の差は、辞める理由を1行で言えるかどうかにありました。「人間関係が悪かった」で止まっている人は繰り返します。「送迎の時間帯に判断を1人で背負うのがつらかった」まで言語化できた人は、次の選択を間違えません。
もう1つ、長く続いている方に共通しているのは、収入の柱を1本にしていないことです。介護の仕事を続けながら、在宅でできる仕事を小さく持っている。すると、職場で理不尽なことが起きても「ここしかない」と思わずに済みます。この心の余白が、結果的に本業のパフォーマンスも守ります。
中間業者を挟まない直接取引の仕事は、同じ予算でも依頼する側はより多く頼めて、受ける側の手取りが厚くなります。介護の現場で身につけた「状況を正確に書く」力は、そのまま文章の仕事に転用できます。
記録や報告の書き方を整理し直すことも、どの働き方でも役に立ちます。連絡帳もケース記録も、事実と評価を分けて書くという原則の上にあります。先ほどお伝えした「事実と解釈を分ける」練習と、実は同じことをしています。
辞めるかどうかを決める前に、今の給与が介護職全体の中でどのあたりにあるのかを確かめておくと、判断の材料が増えます。介護職員の年収・単価相場で統計上の年収帯を見ておけば、転職で条件が上がる余地があるのか、今の職場の問題なのかを切り分けやすくなります。
在宅の仕事を持つと、打ち合わせがオンラインになります。サービス担当者会議をオンラインで行う事業所も増えました。ツールごとの違いを整理したZoom・Teams・Google Meetを比較|フリーランスの打ち合わせに最適なのは?【2026年版】を読んでおくと、事業所から設定を頼まれたときに落ち着いて対応できます。
最後に、もう一度お伝えします。辞めたいと思うことは、あなたが弱いからではありません。49.9%の人が人手不足を感じている業界で、その穴を毎日埋めているのですから、疲れて当然です。ただ、出ていく前に4つの層のどこが一番重いかだけは切り分けてください。3行の記録を3週間。それだけで、次の一歩の精度が変わります。あなたは一人ではありません。
よくある質問
Q. 入職4ヶ月で辞めたら、次の職場は見つかりませんか?
見つかります。介護労働安定センターの調査では従業員が不足と感じている事業所が64.7%にのぼり、採用側は経験年数より働ける意思を重視する状況です。面接では前職を否定せず、「送迎の負担が想定と違った」のように具体的な事実で説明すれば、短期離職は大きな不利になりません。
Q. デイサービスの給料が低いのは事業所のせいですか?
事業所固有の問題とは限りません。デイサービスの介護職員の平均給与は294,440円で、介護職員全体の338,200円より約4万円低い水準です。最大の理由は夜勤手当が乗らないことにあります。収入を優先するなら、夜勤のある入所系への転職が最短の解決になります。
Q. 人間関係がつらいとき、まず何をすればいいですか?
1日の終わりに5分、事実と自分の解釈を左右に分けてノートに書いてください。2週間続けると、つらさの多くが事実そのものではなく読み方から来ていると気づけます。人格否定や無視など明確な事実があるなら、日時と内容を記録し、管理者か労働局の総合労働相談コーナーに相談してください。
Q. 辞めると決めたら、何から手をつけますか?
最初に有給休暇の残日数を確認し、次に就業規則で退職の申し出期限を調べます。多くは1ヶ月前です。有給を逆算して最終出勤日と退職日を分けて決め、直属の上司にまとめて伝えてください。同僚に先に話すと関係がこじれます。離職票は失業給付の手続きに必要なので必ず受け取ります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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