母子生活支援施設を辞めたいと思ったとき|出ていく前に切り分けておくこと


この記事のポイント
- ✓母子生活支援施設を辞めたいと感じたときに
- ✓職場の構造の3つに切り分けて整理します
- ✓辞める前にやっておくこと
母子生活支援施設を辞めたい。そう思いながら、まだ誰にも言えずにいる方が、この記事を読んでくださっているのだと思います。
このご相談、本当に多いんです。そして相談に来られる方のほとんどが、こうおっしゃいます。「支援の仕事自体は嫌いじゃないんです」。
だからこそ苦しいんですよね。嫌いなら辞めればいい。でも、好きなのに続けられない。その矛盾を抱えたまま毎日出勤している。
結論から先にお伝えします。辞めたい気持ちを「辞めるか、続けるか」の二択で考えると、たいてい判断を誤ります。まず必要なのは、何がつらいのかを切り分けることです。体なのか、支援なのか、職場なのか。この3つは対処法がまったく違います。切り分けずに転職すると、同じつらさを次の職場でもう一度やることになります。大丈夫ですよ。順番に整理していきましょう。
「辞めたい」を、まず3つに切り分ける
母子生活支援施設で働く方から届く「辞めたい」は、中身を聞いていくと、おおむね次の3つに分かれます。
1つ目は、体が限界に来ている場合です。宿直や夜勤が続いて睡眠が削られている。休日も呼び出しがある。腰や膝に負担が来ている。この場合、気持ちの問題ではありません。体が先に音を上げているので、休むか、働き方を変えるかしか道がありません。
2つ目は、支援がうまくいかないことがつらい場合です。何年も関わった世帯が、退所後に元の状況に戻ってしまった。子どもの前で親を責めるわけにもいかず、かといって黙って見ているのもつらい。自分がやっていることに意味があるのか分からなくなる。これは支援職に特有の消耗で、体を休めても回復しません。
3つ目は、職場の構造に問題がある場合です。人が足りない。判断を1人で背負わされる。相談できる先輩がいない。あるいは、職員間の関係そのものが苦しい。この場合、あなたの資質や覚悟の問題ではまったくありません。環境を変えるのが正解です。
紙に書き出してみてください。ここ1か月で「もう無理だ」と思った瞬間を、思い出せるだけ書く。そしてそれぞれに、体、支援、職場のどれかの印をつける。
印が偏っていたら、そこが本体です。3つに散らばっているなら、順番に手をつけます。体が一番上、次が職場、最後が支援です。この順番には理由があって、体が回復しないと職場の問題を冷静に見られないし、職場が整わないと支援の苦しさを1人で抱えることになるからです。
切り分け1、体が限界に来ているとき
母子生活支援施設は24時間365日、人が生活している場所です。
日中の業務が終わってから宿直に入り、翌朝そのまま日勤に入る。この形が残っている施設は少なくありません。月に4回から6回の宿直が入ると、週のうち1日か2日は睡眠が分断されます。
これが半年、1年と続くと、体は確実に削れます。眠れない、食べられない、朝起きたときにすでに疲れている。この状態を「自分が弱いから」と考える方が本当に多いのですが、違います。睡眠が分断される勤務を続ければ、誰でもこうなります。
まず確認してほしいのは、次の3つです。
1つ、直近3か月の宿直回数を数える。頭の中ではなく、シフト表を見て数えてください。
2つ、有給休暇の残日数と、直近1年で実際に取れた日数を確認する。制度上あるのに使えていないなら、そこが問題です。
3つ、夜間に呼び出された回数を思い出す。宿直明けが休みになっているか、それとも日勤が続いているか。
そのうえで、体の症状が出ているなら、我慢しないで医療機関にかかってください。眠れない状態が2週間以上続いている、食欲が落ちた、朝に動悸がする。こうしたサインが出ているときは、転職活動より先に休養です。
判断は、休んでからにしましょう。疲れきった状態で決めた進路は、後から見ると極端に振れていることが多いんです。
体の負担を減らす方法は、辞めること以外にもあります。宿直を減らす相談、日勤のみのポジションへの変更、同じ法人内の他施設への異動。言い出しにくいと感じるかもしれませんが、人手不足の職場ほど、辞められるより条件を変えるほうを選びます。
切り分け2、支援がうまくいかないことがつらいとき
これが一番、外から分かってもらいにくい種類のつらさです。
母子生活支援施設に入所してくる世帯の背景には、深刻な事情があります。東京都の調査をもとにした整理では、入所理由の内訳が次のように示されています。
地域や施設の特性などによる違いもありますが、施設数がもっとも多い東京都の「母子生活支援施設の状況」によると、令和3年時点の入所理由は住宅困難が1位(約40%)、夫などの暴力が2位(約30%)、経済的困窮が3位(約10%)となっています。 出典: hoiku.mynavi.jp
住宅の問題、暴力、お金。どれも、職員が1人で解決できるものではありません。
にもかかわらず、日々関わっているのは職員です。母親の話を聞き、子どもの様子を見て、関係機関に連絡する。その積み重ねの先で、退所した世帯が元のパートナーのもとへ戻る。あるいは、就労が続かず生活が崩れる。
そのとき、多くの職員がこう考えます。自分の関わり方が足りなかったのではないか。
心理の分野では、支援者が相手のつらさに触れ続けることで、自分も傷ついていく現象が知られています。二次的な受傷と呼ばれるものです。難しい言葉に聞こえますが、要するに、人の痛みを受け止め続ければ、受け止めた側にも痛みが溜まるということです。
これは共感力が高い人ほど起きやすい。つまり、この仕事に向いている人ほど消耗しやすいという、やっかいな構造になっています。
対処の入口は、1人で抱えないことです。具体的には、次の3つを試してみてください。
1つ、ケース検討会で「うまくいっていない」と言葉にする。成功例だけを共有する場になっている職場では勇気が要りますが、言った瞬間に楽になることがあります。
2つ、自分が担当した世帯の「できるようになったこと」を、時系列で書き出す。病院の予約を自分で取れるようになった、子どもの登校が週3日から4日に増えた。結果だけを見ていると見えないものが、経過を並べると見えます。
3つ、施設の外に話せる相手を持つ。同じ職種の集まり、スーパービジョン、産業医、カウンセリング。守秘義務の範囲内で話せる場所を1つ確保しておくと、抱え込みが減ります。
利用者の側から見た景色も、ときどき思い出してください。ある施設の利用者の声として、こんな言葉が紹介されています。
母子生活支援施設なのでルールはありますが、そのおかげで毎日安心して生活することができていると感じています。子どももヴェインテのスタッフの方と話すのが好きで、いつも保育中や施設行事、勉強時間の話を家に帰ってきてから楽しそうに報告してくれます。子どもの成長を一緒に見守ってくれる存在があることにとても救われています。 出典: veinte.jp
職員が「何もできなかった」と感じている期間にも、子どもにとっては、話を聞いてくれる大人がそこにいたという事実が残ります。成果として測れないだけで、無だったわけではありません。
切り分け3、職場の構造に問題があるとき
ここは、あなたが変わっても解決しない領域です。はっきり分けて考えてください。
次のうち2つ以上に当てはまるなら、構造の問題だと考えていいと思います。
・担当世帯について、支援方針を1人で決めている。検討する場がない
・宿直中に判断が必要な事態が起きても、連絡していい相手が決まっていない
・退職者が続いていて、常に新人が入っては辞めている
・記録や手続きの様式が整っておらず、個人のやり方に任されている
・言いにくいことを言うと、態度で返される空気がある
母子生活支援施設は職員数が10人前後という規模の施設も多く、人間関係が濃くなりがちです。合わない人がいても、逃げ場がありません。
そのうえ、扱う情報が重い。入所世帯の安全に直結する情報を扱うので、職場の外に持ち出して相談することもできない。この閉じた構造が、しんどさを何倍にもします。
こういう相談を受けたとき、私がまずお伝えするのは、記録を残してくださいということです。
いつ、誰が、どういう場面で、何と言ったか。日付とともに手元に書いておく。それをすぐに誰かへ提出する必要はありません。ただ、後から「気のせいだったかもしれない」と自分を疑わないために要ります。
そして、施設の中で相談できる先が本当にないのかを確認してみてください。法人本部の人事担当、労働組合、自治体の指導監査の窓口、都道府県の福祉人材センター。施設長が話を聞いてくれない場合でも、外に窓口があります。
ハラスメントに当たる言動が続いている場合は、我慢する必要はまったくありません。職場に相談窓口がなければ、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに無料で相談できます。相談したことを理由に不利益な扱いを受けることは、法律で禁じられています。
「辞めたい」が来やすい時期には、波があります
もう1つ、知っておくと少し楽になることをお伝えします。この職場では、辞めたい気持ちが強くなる時期に、ある程度の型があります。
最初の波は、入職して3か月から半年のあたりです。生活の場に入っていく仕事の距離感がつかめず、どこまで踏み込んでいいのか分からない。研修で習ったことと、現場で起きていることが違う。この時期の苦しさは、慣れの問題であることが多いです。半年を越えると、同じ場面でも判断ができるようになります。
2つ目の波は、担当を持って1年から2年たったころです。関わりが深くなり、世帯の事情も見えてきた。それでも状況が良くならない。むしろ、見えるようになったぶん、できていないことが目につく。この時期の苦しさは、成長したからこそ来るものです。何も見えていなければ、悩みようがありません。
3つ目の波は、担当していた世帯が退所した直後です。長く関わった世帯が出ていくと、達成感と同時に、大きな空白が来ます。特に、退所後の生活が心配な形での退所だと、しばらく引きずります。この時期に辞めたくなる方は多いのですが、感情の波の最中に進路を決めるのはおすすめしません。1か月置いてから、もう一度考えてみてください。
4つ目の波は、職員の入れ替わりが起きたときです。頼りにしていた先輩が辞める。同期が辞める。人が減れば1人あたりの負担が増えますし、何より「あの人も辞めたのだから」という気持ちが動きます。ここは、負担が実際に増えているのか、気持ちが揺れているだけなのかを分けて見てください。前者なら業務量の相談、後者なら少し時間を置く。対処が違います。
波があると知っているだけで、渦中にいるときの見え方が変わります。今つらいのがどの波なのかを確かめてみてください。
辞める前に、必ずやっておきたい3つのこと
辞める決断をしたとしても、順番があります。ここを飛ばすと、後で困るのはご自身です。
1つ目は、担当世帯の記録を整えることです。
あなたが辞めた後も、その世帯の生活は続きます。次の担当者が読んで、経過が分かる状態にしておく。特に、関係機関とのやり取りの経緯、手続きの進行状況、係争が絡む案件の現状は、頭の中にしかない情報が多いものです。それを書き出す作業には、想像以上に時間がかかります。退職の意思を伝えてから始めるのでは間に合いません。
2つ目は、担当している母子への伝え方を決めることです。
これが、この職場を辞めるときに最も難しい部分です。入所している方の多くは、大人に見捨てられた経験を抱えています。担当職員が辞めることは、その経験を上書きする出来事になりかねません。
いつ、誰から、どういう言葉で伝えるか。単独で判断せず、施設長や次の担当者と相談して決めてください。急に姿を消す形だけは避ける。これが最低限の線です。
3つ目は、次の生活の見通しを立てることです。
退職後すぐに次の職場が決まっていない場合、失業給付の手続きが必要になります。自己都合退職の場合、給付が始まるまでに待期期間と給付制限期間があります。この期間をどう暮らすかを先に考えておく。
また、健康保険をどうするかも決めておきましょう。任意継続にするか、国民健康保険に切り替えるか。任意継続には手続きの期限があるので、退職前に確認しておくと慌てずに済みます。
引き継ぎ書に何を書けば、次の担当者が困らないか
記録を整えると言われても、何をどこまで書けばいいのか分からない。そういう声をよくいただきます。
母子生活支援施設の引き継ぎが難しいのは、世帯ごとに経緯が長く、その多くが職員の頭の中にしかないからです。書式が決まっていない施設も多い。ですから、次の項目を自分で立てて書いてしまうのが早いです。
1つ目は、入所に至った経緯と現在地です。いつ、どこから、どういう経路で入所したのか。当初の課題は何で、今はどこまで進んだのか。ここを時系列で1ページにまとめておくと、次の担当者が最初の面談で困りません。
2つ目は、関係機関の一覧と担当者名です。福祉事務所のケースワーカー、児童相談所の担当者、学校の担任と養護教諭、病院、法律相談の窓口。誰が窓口で、直近いつ、何について話したか。電話番号だけのリストでは役に立ちません。関係の温度も含めて書いてください。
3つ目は、進行中の手続きと期限です。児童扶養手当の現況届、保育所の申込み、転校の手続き、住まい探しの進捗。期限があるものは、締切日を明記します。ここが抜けると、引き継いだ直後に期限切れが起きます。
4つ目は、安全に関わる取り決めです。外部からの問い合わせにどう答えるか、学校や病院とどんな情報の取り扱いを約束しているか。ここは施設の規程に沿った形で、口伝ではなく文書に残します。
5つ目は、本人の希望と、言葉にされていない傾向です。この母親は電話より対面のほうが話す、この子は人が多い場面で固まる、といった観察です。評価ではなく、観察として書く。「協力的でない」ではなく「予定の変更が前日に伝わると混乱することが多い」と書けば、次の人が使えます。
書きながら、自分がこの世帯とどう関わってきたのかが整理されていきます。これは辞める準備であると同時に、自分がやってきたことを確認する作業でもあります。引き継ぎ書を書き終えた後に「思ったより関われていた」と気づく方は、けっこう多いんです。
辞める時期は、どう選ぶと無理がないか
時期の選び方にも、この職場ならではの事情があります。
まず年度です。多くの施設は年度単位で職員体制を組み、子どもたちの学校生活も年度で動きます。3月末での退職は、引き継ぎの区切りとして最も自然です。
ただし、退職の意思表示はもっと早く必要です。就業規則で1か月前までと定めている施設が多いのですが、担当世帯の引き継ぎを考えると、2か月から3か月前に伝えるのが現実的です。
次に、担当世帯の状況です。退所が近い世帯を担当している場合、退所まで見届けてから辞めるほうが、本人にとっても自分にとっても納得がいきます。逆に、入所したばかりの世帯を担当しているなら、関係が深くなる前に交代したほうが混乱が少ない。
そして、ご自身の体調です。休職という選択肢を先に検討してください。体調を崩している状態で退職すると、療養と転職活動が重なって苦しくなります。健康保険の傷病手当金は、一定の要件を満たせば在職中から受け取れます。まず休んで、回復してから辞めるかどうかを決める。この順番のほうが、選択肢が減りません。
有給休暇の残日数も確認しましょう。退職時にまとめて消化する形が一般的ですが、引き継ぎとの兼ね合いがあるので、早めに相談しておくと調整しやすくなります。
経験が通じる場所は、思っているより広い
母子生活支援施設を辞めるとき、多くの方が「特殊な職場だったから、経験が活かせないのでは」と心配されます。
そんなことはありません。むしろ逆です。
この職場で身につく技術を分解してみましょう。生活全体を見る力。制度を組み合わせて使う力。安全確保の判断。関係機関との調整。記録を法的に耐える形で書く力。本人が決めるのを待つ姿勢。
このうち1つでも欲しい職場は、たくさんあります。
児童養護施設や乳児院では、子どもの生活支援と家族支援の経験がそのまま通じます。婦人保護の分野、配偶者暴力相談支援センター、女性相談支援の窓口では、DV対応の経験が直接活きます。
生活困窮者自立支援の相談窓口も接続先です。住まい、就労、家計、子どもの学習支援。母子生活支援施設で扱ってきた領域とほぼ重なります。
自治体の会計年度任用職員として、母子・父子自立支援員や家庭児童相談員の募集が出ることもあります。勤務時間が日中に固定されているので、宿直から離れたい方には現実的な選択肢です。
スクールソーシャルワーカーも、社会福祉士や精神保健福祉士を持っている方なら視野に入ります。子どもの背景にある家庭の事情を読み取る力は、学校現場で強く求められています。
保育の分野に移る方もいます。同じ保育士資格でも、保育所と入所施設では働き方が変わります。日中の勤務が中心になり、宿直がなくなるのは大きな違いです。保育士として働く場合の全国的な収入水準は保育士の年収・単価相場で確認できます。今の待遇と比べてみると、転職の判断材料が増えます。
介護分野へ移る方も一定数います。対人支援の基礎は共通していて、資格の取得ルートも整っています。水準を知っておきたい方は介護職員の年収・単価相場を見ておくと、施設系の福祉職の相場感がつかめます。
宿直がある生活の中で、転職活動をどう進めるか
在職中に次を探す場合、この職場ならではの制約があります。
第1に、面接の時間が取りにくい。宿直明けの日に面接を入れると、頭が回りません。判断力が落ちた状態で条件の説明を聞いて、後から「そんな話だったのか」となる。宿直明けと夜勤明けの日は、面接に使わないと決めてしまうほうが安全です。
第2に、応募先に在職中であることを知られたくない場面があります。福祉の世界は地域内で横のつながりが強く、同じ自治体の中では施設同士が顔見知りです。応募の事実が伝わることを避けたいなら、そのことを応募先に最初に伝えてください。配慮してもらえます。
第3に、求人が年度に連動します。福祉施設の募集は、年度替わりの前後に増えます。自治体の会計年度任用職員は、募集時期がほぼ決まっていて、年明けから2月ごろに翌年度分の公募が出ることが多い。今すぐ辞めたい気持ちがあっても、募集の波に合わせたほうが選択肢が増えます。
進め方としては、次の順番をおすすめしています。
まず、求人を見るだけの期間を2週間ほど作る。応募はしません。どんな職種があって、どんな条件が並んでいるかを眺めるだけ。これだけで気持ちが落ち着く方がかなりいます。逃げ道があると分かると、今の職場での消耗が減るからです。
次に、条件を3つに絞る。夜勤の有無、通勤時間、年収の下限。全部を満たす求人はまず出てきませんから、どれを優先するかを先に決めておく。
そのうえで応募します。福祉分野は、都道府県の福祉人材センターが無料の紹介を行っていて、施設の内部事情を知っている職員がいることもあります。民間の紹介会社と併用すると、情報の幅が広がります。
面接で、この経験をどう説明するか
もう1つよくいただくのが、面接での説明の仕方についてのご相談です。
母子生活支援施設の業務は、外から見て分かりにくい。保育所なら「保育をしていました」で通じますが、この施設の仕事を一言で説明するのは難しいんです。
説明の型をお伝えします。何をしたかではなく、何を扱ったかから入ってください。
「生活の場で、母親と子どもの両方を対象に支援していました。具体的には、就労や家計、子どもの学校生活、関係機関との調整を担当し、自立支援計画の作成と見直しに関わっていました」
この形なら、児童分野でも、女性支援分野でも、生活困窮分野でも、面接官が自分の現場に置き換えて聞けます。
次に、扱ってきた難しさを1つだけ具体的に話す。ここで大事なのは、成功談にしないことです。「うまくいかなかったケースをどう扱ったか」を語れる人のほうが、対人支援の現場では信頼されます。結果ではなく、判断の過程を話してください。誰に相談したか、どの時点で方針を変えたか。
退職理由を聞かれたときは、前の職場の批判にしないこと。これは鉄則です。「宿直を含む勤務が続く中で、支援の質を保つのが難しくなった」「日中の時間帯に集中して関われる形で続けたい」。事実を、前向きな形で言い換えるだけで印象が変わります。
そして、聞く側に回ってください。夜間体制、1人が担当する件数、検討会の頻度、退職者の状況。今の職場で消耗した原因が構造にあるなら、同じ構造の職場を選ばないための質問です。答え方が曖昧な職場は、同じことが起きます。
辞めずに、働き方だけを変える道もあります
最後に、辞める以外の選択肢も並べておきます。
1つ目は、同じ施設で勤務形態を変えることです。常勤から非常勤へ、宿直ありから日勤のみへ。収入は下がりますが、続けられる形に変えることで、支援の関係を切らずに済みます。人手が足りない施設ほど、この相談は通りやすいと感じています。
2つ目は、同じ法人の別の事業所に移ることです。児童養護施設、保育所、子育て支援センターなどを併設している法人であれば、人事異動の希望として出せます。職場が変われば人間関係もリセットされます。
3つ目は、別の母子生活支援施設に移ることです。同じ名称の施設でも、規模、運営主体、建物の形、夜間体制はまったく違います。定員10世帯未満の小規模施設と20世帯を超える施設では、職員1人が背負う範囲が変わります。今の職場で消耗した理由が構造にあるなら、条件の違う施設で続けられる可能性は十分にあります。
4つ目は、休職です。繰り返しになりますが、体調を崩している方には、これを最初に検討してほしい。辞めるという決断は、いつでもできます。急いで決めなくていいんです。
私がお話を伺ってきた中で、「あのとき辞めなくてよかった」とおっしゃる方には共通点があります。辞めたい気持ちを我慢したのではなく、原因を切り分けて、変えられる部分だけを変えた方たちです。逆に、切り分けないまま勢いで辞めた方は、次の職場で同じ壁にぶつかっていることが多い。
これから先の働き方を、長い目で組み立てる
20年この市場を見てきた立場から言えば、対人支援の仕事を長く続けている人は、収入と経験の入口を1つに絞っていません。
現場に軸足を置きながら、自分のペースで進められる仕事を組み合わせている方が、この数年で確実に増えました。理由は単純で、夜間勤務を伴う働き方を60代まで同じ強度で続けるのは難しいからです。
運営者として見てきた限りでは、長く続く人は、目立つ成果を出す人ではありません。「この人に相談すると整理がつく」と言われる関係を、少しずつ積み上げている人です。それは施設の中でも、外の仕事でも変わりません。
中間に業者が入らない直接のやり取りは、同じ予算でも依頼する側は多く頼め、受ける側は手取りが厚くなります。文章を書く、相談に乗る、記録を整える。母子生活支援施設で日常的にやってきたことは、そのまま仕事になる種類の技術です。
特に、母親の就労支援に関わってきた経験は、そのまま専門領域になります。履歴書の書き方から面接の準備、就職後の定着まで伴走する仕事は、国家資格として体系化されています。位置づけや受験の要件はキャリアコンサルタントにまとまっています。
どういう相談が実際に発生しているのか、どんな進め方が求められるのかを先に知りたい方は職場・転職・キャリア相談のお仕事を見ておくと、現場で培った力がどこに接続するかが具体的に見えてきます。
辞めたいと思っていること自体は、悪いことでも弱いことでもありません。むしろ、ここまで真剣に関わってきた証拠です。
大丈夫ですよ。まず切り分けて、体を休めて、それから決めましょう。急いで決めなければならない理由は、たぶん今のあなたにはありません。
よくある質問
Q. 辞めたい理由がうまく言葉にできません。どうすればいいですか?
ここ1か月で「もう無理だ」と感じた場面を、思い出せるだけ書き出してみてください。そのうえで、それぞれに体、支援、職場のどれが原因かの印をつけます。印が偏っていれば、そこが本体です。3つに散らばっている場合は、体、職場、支援の順に手をつけると整理しやすくなります。
Q. 退職の意思は、どのくらい前に伝えるべきですか?
就業規則では1か月前と定めている施設が多いのですが、担当世帯の引き継ぎを考えると2か月から3か月前が現実的です。母子生活支援施設は世帯ごとの担当制で、関係機関とのやり取りの経緯が個人の頭の中にあることが多いためです。年度末での退職が、子どもの学校生活の区切りとも合います。
Q. 担当している母子には、どう伝えればいいですか?
単独で判断せず、施設長や次の担当者と相談して、いつ誰からどう伝えるかを決めてください。入所している方の多くは大人に見捨てられた経験を抱えているため、急に姿を消す形は避けます。引き継ぎ期間を設けて、次の担当者と一緒に会う機会を作ると、関係の断絶を和らげられます。
Q. 母子生活支援施設の経験は、他の職場で評価されますか?
評価されます。児童養護施設、配偶者暴力相談支援センター、女性相談支援の窓口、生活困窮者自立支援の相談窓口、スクールソーシャルワーカーなどで直接活きます。自治体の会計年度任用職員として母子・父子自立支援員や家庭児童相談員の募集が出ることもあり、これらは日中勤務が中心で宿直がありません。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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