Google Apps Scriptの読み方とは|GASと略される理由と基本の使い道


この記事のポイント
- ✓Google Apps Scriptの読み方は「グーグル・アップス・スクリプト」で
- ✓略してGAS(ガス)と呼ばれます
- ✓Googleの公式ドキュメントで確かめたできること
Google Apps Scriptの読み方は「グーグル・アップス・スクリプト」です。職場や解説記事では略して「GAS(ガス)」と呼ばれることがほとんどで、会話の中で「それ、ガスで自動化できますよ」と言われて、何のことか分からず調べた人も多いはずです。
この記事では、Google Apps Scriptの読み方と、GASと略される理由を最初に説明し、そのうえでGoogleの公式ドキュメントで確かめた「できること」と、初めて触るときの開き方、知っておきたい制限を順番に整理します。後半では、Googleフォームの回答の処理にGASを使う場面と、コードを書かずに回答の管理から返信までを1か所でできるフォームのサービスHalictにも触れます。
Google Apps Scriptの読み方と、GASと略される理由
Google Apps Scriptは、英語の3つの語からできた名前です。
| 表記 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| グーグル | 提供している会社の名前 | |
| Apps | アップス | アプリケーション(Gmailやスプレッドシートなどの道具)の複数形 |
| Script | スクリプト | 短いプログラム、手順を書いた台本 |
つなげると「グーグル・アップス・スクリプト」です。「アプリ・スクリプト」「アップ・スクリプト」と読まれることもありますが、Appsは複数形なので「アップス」が正確です。Googleの公式ドキュメントでは、単に「Apps Script」と書かれていることも多く、その場合は「アップス・スクリプト」と読みます。
GASは頭文字を取った略し方
GASは、Google Apps Scriptの3つの語の頭文字を並べた略し方です。読み方は「ガス」で、日本のエンジニアや事務の自動化に取り組む人の間で広く使われています。「ジー・エー・エス」と1文字ずつ読む人もいますが、会話では「ガス」が一般的です。
GASという略し方はGoogleが公式に決めたものではなく、使う人の間で広まった呼び方です。そのため、公式ドキュメントで調べものをするときは「GAS」ではなく「Apps Script」で検索したほうが、目的のページにたどり着きやすくなります。日本語の解説記事や質問サイトを探すときは「GAS」、公式の手順を確かめるときは「Apps Script」と使い分けると効率よく調べられます。
読み方を知っておくと困らない場面
読み方は小さなことに思えますが、仕事では意外と大事です。打ち合わせで「ガスで集計を回しています」と言われたときに、それがGoogle Apps Scriptのことだと分かれば、話についていけます。逆に、自分が説明する側になったとき、相手が知らない様子なら「Googleのサービスを自動で動かすための仕組みで、GASと略します」と一言添えると、話がすれ違いません。
インフラの現場でも、略語の取り違えは思わぬ手戻りを生みます。同じ「GAS」でも、文脈によっては別の意味で使われることがあるので、初めて一緒に仕事をする相手には、最初に一度だけ正式な名前で言っておくのが安全です。
GASと一緒に出てくる言葉の読み方
GASを調べ始めると、ほかにも読み方の分からない言葉がたくさん出てきます。よく出てくるものを、読み方と意味の組で整理しておきます。
| 表記 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| JavaScript | ジャバスクリプト | GASのコードを書くプログラミング言語 |
| Google Workspace | グーグル・ワークスペース | Gmail、カレンダー、ドライブなどGoogleの仕事向けの道具の総称 |
| Apps Script ダッシュボード | アップス・スクリプト・ダッシュボード | 自分が作ったスクリプトの一覧と実行の記録を見る画面 |
| トリガー | トリガー | スクリプトを自動で動かすきっかけ(時刻、フォームの送信など) |
| バインド | バインド | スクリプトを特定のファイルに結び付けること |
| スタンドアロン | スタンドアロン | 特定のファイルに結び付かない、単独のスクリプト |
| V8 ランタイム | ブイエイト・ランタイム | 今のGASでコードを動かしている仕組みの名前 |
| clasp | クラスプ | 自分のパソコンでGASのコードを書いて送るための道具 |
| ウェブアプリ | ウェブアプリ | GASで作って、URLから開けるようにした画面 |
| アドオン | アドオン | スプレッドシートなどに後から追加して使う機能 |
全部を最初から覚える必要はありません。公式ドキュメントや解説記事を読んでいて分からない言葉が出てきたら、この表に戻ってきてください。特に「トリガー」と「バインド」は、初めてGASを触るときに必ず出てくる言葉なので、意味だけは押さえておくと読み進めやすくなります。
V8ランタイムは、公式ドキュメントの目次にも「V8 ランタイムの概要」という項目があります。古い解説記事には、V8より前の仕組みを前提にしたコードが載っていることがあり、そのままでは動かないこともあります。解説記事を参考にするときは、書かれた時期を確かめ、なるべく新しいものを選ぶようにしましょう。
Google Apps Scriptとは何か
読み方が分かったところで、中身を見ていきます。Googleの公式ドキュメントは、Apps Scriptを次のように説明しています。
Apps Script は効率的なアプリケーション開発プラットフォームです。Google Workspace と連携するビジネス アプリケーションをすばやく簡単に作成できます。コードは最新の JavaScript で記述し、Gmail、Google カレンダー、Google ドライブなどの Google Workspace アプリケーション用の組み込みライブラリを利用できます。インストール作業は不要です。 出典: developers.google.com
難しい言葉が並んでいるので、日常の言葉に置き換えます。
- Google Workspaceとは、Gmail、Googleカレンダー、Googleドライブ、スプレッドシートなど、Googleの仕事向けの道具をまとめた呼び名のこと
- JavaScriptとは、Webページを動かすのに広く使われているプログラミング言語のこと
- 組み込みライブラリとは、Gmailでメールを送る、スプレッドシートのセルに書き込むといった操作を、短い命令で呼び出せるように用意された部品のこと
つまりGASは、「Googleの道具を、JavaScriptで書いた短いプログラムで自動で動かせる仕組み」です。公式ドキュメントには、ブラウザの中で動くコードの編集画面が用意されていて、スクリプトはGoogleドライブに保存され、Googleのサーバーで実行されるとも書かれています。自分のパソコンに何かを入れる必要がなく、Googleのアカウントがあればすぐに始められるのが大きな特徴です。
VBAやマクロとの違い
事務の自動化でよく比べられるのが、ExcelのVBA(マクロ)です。VBAは自分のパソコンに入ったExcelの中で動くのに対し、GASはGoogleのサーバーで動きます。そのため、パソコンの電源を切っていても、決まった時刻にGASを動かすことができます。
| 比べる点 | GAS | ExcelのVBA |
|---|---|---|
| 動く場所 | Googleのサーバー | 自分のパソコン |
| 言語 | JavaScript | VBA |
| 主な相手 | スプレッドシート、Gmail、フォームなど | Excel、Word、Outlookなど |
| パソコンの電源 | 切っていても時刻で動かせる | 開いている間だけ動く |
| 準備 | Googleのアカウントだけ | Excelが入ったパソコン |
どちらが優れているということではなく、普段の仕事でGoogleの道具を使っているならGAS、Excelが中心ならVBA、と考えるのが自然です。
もう1つの違いは、共有のしやすさです。GASはスプレッドシートと一緒にクラウドに保存されているので、ファイルを共有した相手も同じ仕組みを使えます。VBAはファイルの中にマクロとして保存され、ファイルを渡すと一緒に渡りますが、開く側のExcelの設定によってはマクロが無効になっていることがあります。複数の人で同じ仕組みを使いたい場合は、この違いも選ぶときの材料になります。どちらも、スプレッドシートやExcelの記録の機能で操作を記録し、そのコードを見ながら学ぶ方法が使えます。
Googleの公式ドキュメントで確かめた、GASでできること
公式ドキュメントの概要のページには、Apps Scriptでできることとして次のような項目が挙げられています。
- Googleドキュメント、スプレッドシート、フォームに、独自のメニューやダイアログ、サイドバーを追加する
- スプレッドシート用のカスタム関数とマクロを作る
- Webアプリを公開する
- カレンダー、ドライブ、Gmail、Googleマップなど、ほかのGoogleのサービスと連携する
- 軽いアドオンを作ってGoogle Workspace Marketplaceに公開する
これを仕事の場面に置き換えると、たとえば次のような使い方になります。
| 仕事の場面 | GASでやること |
|---|---|
| 毎週の数字の集計 | 決まった曜日の朝に、複数のシートから数字を集めて1枚にまとめる |
| フォームの回答の処理 | 回答が届いたら、内容に応じて担当者にメールを送る |
| 予定の登録 | スプレッドシートの一覧から、Googleカレンダーに予定をまとめて登録する |
| ファイルの整理 | ドライブの特定のフォルダにあるファイルの一覧を、シートに書き出す |
| 定型のメール | シートの宛先と本文から、決まった形のメールを送る |
ある解説記事では、広告代理店の事務スタッフが毎週金曜に3時間かけていたレポートの集計をGASにして、5分に短縮した事例が紹介されています。
広告代理店の事務スタッフが、毎週金曜3時間かけていたKPIレポート集計をGAS化し、毎週5分に短縮した事例を実際に支援しました。 出典: lion-ai.co.jp
時間の短縮の幅は作業によって大きく変わりますが、「毎週同じ手順を繰り返している作業」はGASに向いていることが多い、というのは現場の実感にも合います。
GASが向いていない作業もある
便利なGASですが、どんな作業にも向いているわけではありません。次のような作業は、GASで無理に自動にするより、別の方法を考えたほうがよい場合があります。
- 何十万行もあるデータを一度に処理する作業:1回6分の実行時間の制限に当たりやすい
- 大量のメールを一斉に送る作業:1日あたりの受信者数に上限がある
- 秒単位で正確な時刻に動かしたい作業:時刻で動かすトリガーには多少のばらつきがある
- Google以外のシステムが中心の作業:連携はできるが、作り込みの手間が大きくなる
- 作った人以外に直せる人がいない職場での重要な作業:止まったときに誰も対応できない
特に最後の点は、技術の問題ではなく体制の問題です。GASで作った仕組みが、いつの間にか仕事の要になっていて、作った人がいなくなったとたんに誰も手を付けられなくなる、という話は珍しくありません。重要な作業ほど、専用のサービスを使うか、直せる人を2人以上にしておくことを考えてください。
反対に、GASが特に力を発揮するのは、「Googleの道具の中で完結していて、件数がそれほど多くなく、毎日や毎週同じ手順を繰り返している作業」です。この条件に当てはまる作業を自分の仕事の中から探すと、最初に自動にする対象が見つかります。
スプレッドシートからGASを開く手順
GASを初めて触るなら、スプレッドシートから開くのがいちばん分かりやすい方法です。公式ドキュメントでは、スプレッドシートにひも付いたスクリプトの作り方を次のように説明しています。
- Googleスプレッドシートを開く
- メニューの「拡張機能」から「Apps Script」をクリックする
- コードの編集画面が開くので、関数を書いて保存する
- 画面上部の実行のボタンで関数を動かす
初めて実行するときは、そのスクリプトにスプレッドシートやGmailを操作してよいかの許可を求める画面が表示されます。自分で書いたスクリプトであれば内容を確かめたうえで許可します。人からもらったスクリプトの場合は、何をするものかが分からないまま許可しないでください。
最初に試す短いコード
動作を確かめるだけなら、次の短いコードで十分です。開いているシートのA1のセルに文字を書き込みます。
function writeHello() {
const sheet = SpreadsheetApp.getActiveSheet();
sheet.getRange('A1').setValue('こんにちは');
}
保存して実行し、シートのA1に「こんにちは」と表示されれば成功です。SpreadsheetAppは、スプレッドシートを操作するための組み込みの部品です。ここから、セルの範囲を広げたり、別のシートを読み込んだりと、少しずつ手を広げていきます。
スプレッドシートにひも付くスクリプトと、単独のスクリプト
公式ドキュメントでは、スプレッドシートやドキュメント、フォームから作ったスクリプトを、そのファイルに「バインドされた」スクリプトと呼んでいます。バインドとは、特定のファイルに結び付けられているという意味です。結び付いたファイルは「コンテナ」と呼ばれ、スクリプトはGoogleドライブの一覧には単独では表示されません。
一方、Googleドライブから単独で作るスクリプトは「スタンドアロン」と呼ばれます。特定のファイルに縛られないので、複数のスプレッドシートをまたいで処理したい場合に向いています。初めてのうちは、扱うファイルが1つに決まっているバインドの形から始めるほうが迷いません。
フォームの場合は、フォームの編集画面の右上にある「その他」のアイコンから「スクリプトエディタ」を選ぶと、フォームにひも付いたスクリプトを作れると公式ドキュメントに書かれています。
決まった時刻やフォームの送信で動かす「トリガー」
GASの便利さを実感しやすいのが「トリガー」です。トリガーとは、スクリプトを自動で動かすきっかけのことで、「毎朝9時に」「フォームに回答が届いたら」といった条件を設定できます。
公式ドキュメントでは、編集画面からトリガーを作る手順を次のように説明しています。
- Apps Scriptのプロジェクトを開く
- 左側の「トリガー」をクリックする
- 右下の「トリガーを追加」をクリックする
- 動かす関数と、きっかけの種類を選ぶ
- 「保存」をクリックする
時刻で動かすトリガーは「時間主導型」と呼ばれます。公式ドキュメントには、時刻は多少ばらつくことがあり、たとえば午前9時に設定すると、午前9時から10時の間のどこかで動くと書かれています。「9時ちょうどに送らなければならない」ような用途には向かないので注意してください。
また、トリガーで動いたスクリプトがエラーで止まっても、画面にエラーの表示は出ないとも書かれています。パソコンの前にいない時間に動くことが多いからです。動かし始めて最初の数日は、実行の記録を見て、きちんと動いているかを確かめる習慣を付けておきましょう。
知っておきたいGASの制限
GASは無料で使えますが、使い放題ではありません。公式ドキュメントの割り当てのページには、1日あたりの上限と、1回あたりの制限が一覧で載っています。主なものを抜き出すと次のとおりです。
| 項目 | 一般のアカウント(gmail.com など) | Google Workspaceのアカウント |
|---|---|---|
| スクリプトの実行時間 | 1回6分 | 1回6分 |
| カスタム関数の実行時間 | 1回30秒 | 1回30秒 |
| 1日あたりのメールの受信者数 | 100 | 1,500 |
| トリガーの合計実行時間 | 1日90分 | 1日6時間 |
| トリガーの数 | 1つのスクリプトにつき1人20 | 1つのスクリプトにつき1人20 |
公式ドキュメントは、これらの上限は予告なく変わることがあり、上限を超えるとスクリプトが止まると説明しています(Google サービスの割り当て)。数字は必ず公式のページで最新の値を確かめてください。
この中で、仕事でつまずきやすいのは次の2つです。
- 1回6分の実行時間:数千行のデータを1行ずつ処理すると、途中で時間切れになることがある
- 1日あたりのメールの受信者数:一般のアカウントでは100人までなので、案内メールの一斉送信には向かない
インフラの仕事でも、上限に当たって処理が途中で止まるのは、いちばん冷や汗をかく場面です。止まったことに気づかないまま、半分だけ送られたメールや、半分だけ書き換えられた表が残ると、元に戻すのに手間がかかります。GASで大事な処理を自動にするときは、件数が増えたときにどうなるかを最初に考えておくのが鉄則です。
うまく動かないときに確かめること
GASを書き始めると、思ったとおりに動かない場面に必ず出会います。慌てずに、次の順番で確かめていくと原因に近づけます。
実行の記録を見る
編集画面の左側には「実行数」という項目があり、スクリプトがいつ動いて、成功したか失敗したかの記録を見られます。トリガーで動かしたスクリプトも、ここに記録が残ります。失敗している場合は、記録を開くとエラーの内容と、何行目で止まったかが表示されます。
途中の値を書き出して確かめる
コードの中に console.log() という命令を入れると、その時点の値を実行の記録に書き出せます。たとえば、シートから読み込んだ値が思っていたものと違う、という原因は、途中の値を書き出してみるとすぐに分かることがあります。
許可が足りていない
スクリプトに新しい処理を加えると、Gmailの送信やドライブの読み込みなど、新しい許可が必要になることがあります。その場合は、手動で一度実行して、許可の画面で内容を確かめて許可します。トリガーで動かしているスクリプトは、許可が足りないと止まってしまうので、処理を変えたあとは一度手動で動かしておくのが安全です。
制限に当たっている
前の節で整理した実行時間やメールの上限に当たっている可能性もあります。処理する件数が少ないうちは動いていたのに、件数が増えてから止まるようになった場合は、上限を疑ってください。処理をいくつかに分ける、1日に処理する件数を絞る、といった対応が考えられます。
会社のアカウントで使えない
会社のGoogle Workspaceのアカウントでは、管理者の設定によって、GASの利用や外部へのメールの送信が制限されていることがあります。自分では解決できないので、社内の情報システムの担当者に相談してください。勝手に個人のアカウントで仕事のデータを扱うのは、情報の管理の面で問題になることがあります。
GASの仕組みを引き継ぐときに気をつけること
GASで作った仕組みは、作った人のアカウントで動いていることがほとんどです。作った人が異動したり退職したりしてアカウントが使えなくなると、トリガーで動いていた処理が止まることがあります。在宅で事務の仕事を受けていて、取引先のためにGASを作る場合も、同じことが起きます。
引き継ぎのときに確かめておきたいのは次の点です。
- スクリプトがどのファイルに結び付いているか(バインドかスタンドアロンか)
- どのアカウントでトリガーが設定されているか
- 何をきっかけに、何をする処理なのか(1行の説明でよい)
- 止まったときに、どこを見ればよいか(実行の記録の見方)
この4点を、スプレッドシートの別のシートや、共有のドキュメントに書いておくだけで、後任の人が困ることはずっと少なくなります。コードの中にも、関数ごとに何をするものかを1行のコメントで書いておきましょう。インフラの世界では「手順書のない仕組みは、ないのと同じ」とよく言われます。GASのような小さな仕組みでも、それは変わりません。
フォームの回答の処理にGASを使うときの考え方
GASの使い道で特に多いのが、Googleフォームの回答の処理です。回答が届いたら担当者にメールで知らせる、内容によって別のシートに振り分ける、回答者に受付のお礼を送る、といった処理を、フォームの送信をきっかけにしたトリガーで動かせます。
Googleフォームそのものは無料で、アンケートや申し込みの受付には十分な機能を持っています。回答はスプレッドシートにまとめて記録できるので、件数が少ないうちは、シートを見ながら手で対応すれば足ります。
困るのは、件数が増えてきたときです。誰がどの回答に対応したのか、返信は済んだのか、といった管理をスプレッドシートの列で手作業で回していると、抜けや二重の対応が起きやすくなります。それをGASで自動にしようとすると、担当の割り当て、状態の更新、返信の送信、送ったかどうかの記録と、作るものが一気に増えます。前の節で触れたメールの上限や、作った人が異動したあとに誰も直せなくなる問題も出てきます。
コードを書かずに回答の管理と返信をまとめるHalict
こうした「回答が届いたあとの管理」を、GASを書かずに済ませたい場合の選択肢がHalictです。公式サイトによると、Halictはフォームを作り、届いた回答を1件ずつ担当・ステージ・タグつきで管理し、同じ画面から返信まで送れるフォームのサービスです。返信の開封まで記録されます。
ほかにも、AIによるフォームの下書きの生成、1画面に1問ずつ表示する回答の画面、12種類の入力項目、自動返信、Googleスプレッドシートへの追記、Slack・Teams・Chatwork・Discordへの通知、ChatGPTやClaudeからの操作といった機能が公式サイトに載っています。料金のページでは、フリープランは1人で使う場合に0円で、フォームの数と回答の数は無制限、ステージの管理と自動返信も含まれています。スプレッドシートへの追記や外部への通知は有料のプランの機能で、金額は税抜の月額で書かれています。
GASは何でも作れる自由さが魅力で、自分で作って直せる人には心強い道具です。一方で、作った仕組みを誰が直すのかまで考えると、決まった用途には決まった形のサービスを使うほうが、長く安定して回ることもあります。自分たちの体制に合わせて選んでください。
Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
GASを学ぶときの進め方
GASを仕事で使えるようになるまでの進め方を、段階に分けて整理します。
- スプレッドシートから「拡張機能」→「Apps Script」を開き、セルに書き込む短いコードを動かす
- シートの値を読み込んで、別のセルに計算結果を書き込む
- 自分の普段の作業から、毎週同じ手順を繰り返しているものを1つ選び、それを自動にする
- 時刻やフォームの送信をきっかけにするトリガーを設定する
- 公式ドキュメントの割り当ての上限を読み、件数が増えたときの動きを確かめる
JavaScriptの文法を最初から全部覚える必要はありません。公式ドキュメントの概要のページには、5分以内に試せるクイックスタートも用意されています。目の前の作業を1つ自動にするところから始めると、必要な知識が自然に身に付きます。
最近は、AIに「こういう処理をするGASを書いて」と頼んでコードの下書きを作る人も増えています。ただし、出てきたコードが何をするのかを読めないまま実行するのは危険です。特にメールを送る処理や、データを書き換える処理は、テスト用のシートとテスト用の宛先で動きを確かめてから本番に使ってください。
在宅の仕事でGASが役立つ場面
在宅で事務やデータ入力の仕事を受けている人にとっても、GASは身近な道具です。たとえば、取引先から届く毎月の売上の表を決まった形に整える、問い合わせの一覧から対応の済んでいないものだけを抜き出す、といった作業は、GASで自動にできることがあります。
ただし、取引先のスプレッドシートにスクリプトを追加する場合は、必ず事前に相手の了解を取ってください。スクリプトはファイルの持ち主の権限で動き、データを書き換えたりメールを送ったりできます。相手が知らないうちに仕組みが動いていると、トラブルのもとになります。何をする処理なのかを説明し、止め方も一緒に伝えておくと安心です。
自動化の技術を仕事にしている人を見てきて分かること
@SOHO編集部が2004年から在宅ワークとフリーランスの仲介を続けてきた中で見てきた限りでは、GASのような身近な自動化の技術は、本業の傍らで身に付けた人が、そのまま仕事の幅を広げやすい分野です。大きなシステムを作れなくても、取引先の毎週の集計作業を自動にするだけで、相手にとっては大きな時間の節約になります。
運営を続ける中で見てきた範囲でも、長く依頼が続く人ほど、作って終わりにせず、相手が自分で直せるように説明を残しています。仲介を挟まない直接の取引では、こうした丁寧な引き継ぎがそのまま信頼になります。仲介の手数料が引かれない分、同じ予算でも受け取る金額は厚くなり、依頼する側も同じ予算でより多くを頼めます。手数料0%で直接取引できることは、小さな自動化の仕事を積み重ねるうえで大きな後押しになります。
業務の自動化や仕組みづくりの支援は、AIの業務活用とあわせて相談されることが増えています。その仕事の内容はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。GASからさらに踏み込んで、Webアプリや業務システムを作る仕事に進みたい人はアプリケーション開発のお仕事も参考になります。コードを書かずに業務の仕組みを作る道具との比べ方は中小企業のノーコード活用2026|kintone vs Power Apps vs Bubbleで詳しく扱っています。
読み方は「グーグル・アップス・スクリプト」、略して「ガス」。まずはスプレッドシートを1つ開いて、短いコードを動かしてみるところから始めてみてください。
よくある質問
Q. Google Apps Scriptは何と読みますか?
「グーグル・アップス・スクリプト」と読みます。略して「GAS(ガス)」と呼ばれることが多く、職場の会話や日本語の解説記事ではこちらが一般的です。Googleの公式ドキュメントでは「Apps Script(アップス・スクリプト)」と書かれていることが多いので、公式の手順を調べるときは「Apps Script」で検索すると目的のページを見つけやすくなります。
Q. GASは無料で使えますか?
Googleのアカウントがあれば無料で使えます。ただし、公式ドキュメントには1日あたりの上限と1回あたりの制限が載っていて、スクリプトの実行時間は1回6分、一般のアカウントでは1日に送れるメールの受信者数が100人までなどの決まりがあります。上限は予告なく変わることがあるので、使う前に公式の割り当てのページで最新の値を確かめてください。
Q. プログラミングの経験がなくてもGASは使えますか?
使えます。スプレッドシートの「拡張機能」から「Apps Script」を開き、セルに文字を書き込む短いコードから始めれば、少しずつ慣れていけます。最初からJavaScriptの文法を全部覚える必要はありません。毎週同じ手順を繰り返している作業を1つ選び、それを自動にすることを目標にすると、必要な知識が自然に身に付きます。
Q. GASとExcelのマクロはどう違いますか?
GASはGoogleのサーバーで動き、JavaScriptで書きます。ExcelのマクロはVBAという言語で書き、自分のパソコンのExcelの中で動きます。GASはパソコンの電源を切っていても決まった時刻に動かせるのが特徴です。普段の仕事でスプレッドシートやGmailを使っているならGAS、Excelが中心ならVBAと、使っている道具に合わせて選ぶのが自然です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却
会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







