ガントチャートをスプレッドシートのテンプレートで作る手順と限界


この記事のポイント
- ✓ガントチャートをGoogleスプレッドシートのテンプレートで作りたい人向けに
- ✓自分で使い回せるテンプレートの列の組み方
- ✓条件付き書式とSPARKLINEで横棒を描く手順
ガントチャートは、Googleスプレッドシートで無料で作れます。一度テンプレートとして形を整えておけば、次のプロジェクトではコピーして日付とタスクを入れ替えるだけで、すぐに工程表ができあがります。ネット上に配布されているテンプレートを使う方法もありますが、自分の仕事に合わせた列を持つテンプレートを1つ作っておくと、長く使い回せます。
この記事では、スプレッドシートでガントチャートのテンプレートを作る手順を、列の組み方、条件付き書式で横棒を描く方法、SPARKLINE関数を使う方法の順に説明します。そのうえで、Googleが用意している「タイムラインビュー」の利用条件と、スプレッドシートの運用が苦しくなる場面、そのときの代わりの道具の選び方までを整理します。
ガントチャートとは何か、スプレッドシートで作る理由
ガントチャートとは、縦にタスク(やること)を並べ、横に日付を並べて、それぞれのタスクを行う期間を横棒で表した工程表のことです。どの作業がいつ始まりいつ終わるのか、どの作業が重なっているのかが一目でわかるため、建設、製造、システム開発、イベントの準備など、さまざまな現場で使われています。
農業の現場にたとえると、作付け計画に近いものです。畑ごとに、耕す、種をまく、定植する、追肥する、収穫する、という作業を時期で並べていく表は、そのままガントチャートの形をしています。作業が重なる時期や、人手が足りなくなる週が、横棒の重なりで見えてきます。
スプレッドシートで作る理由は、主に3つあります。1つ目は、追加の費用がかからないことです。Googleアカウントがあれば、誰でも無料で使えます。2つ目は、共有が簡単なことです。リンクを送るだけで、相手はブラウザで同じ表を見られ、編集の権限も細かく設定できます。3つ目は、自由に作り替えられることです。列を足したり、色を変えたり、集計の式を入れたりと、自分の仕事に合わせた形に整えられます。
一方で、専用のプロジェクト管理ツールのように、タスクごとにコメントを残したり、期限が近づいたら担当者に通知したりする仕組みは、スプレッドシートには最初から備わっていません。この差が、後で説明する「限界」につながります。
配布テンプレートと自作テンプレートの違い
「ガントチャート スプレッドシート テンプレート」で調べると、個人や企業が配布しているテンプレートがたくさん見つかります。配布テンプレートを使うか、自分で作るかは、次の違いを知ってから決めると失敗しにくくなります。
配布テンプレートの良い点は、すぐに使い始められることです。日付の列や色分けの設定が済んでいるため、タスク名と日付を入れるだけで横棒が表示されます。進捗率の列や、今日の日付に線を引く設定まで入っているものもあります。
一方で、注意したい点もあります。まず、複雑な数式が入っているテンプレートは、列を1つ足しただけで表示が崩れることがあります。どの式が何をしているのかがわからないと、直すのに時間がかかります。また、配布元によっては、ファイルをコピーする前に会員登録を求められたり、利用の条件が決められていたりします。業務で使う場合は、利用条件を確かめてから使ってください。
自作テンプレートの良い点は、中身を全部理解しているため、直すのも作り替えるのも自分でできることです。この記事で紹介する作り方は、使う機能が条件付き書式と簡単な関数だけなので、スプレッドシートの基本操作ができれば30分ほどで形になります。一度作ったファイルをテンプレートとして保存しておけば、次からは配布テンプレートと同じように使い回せます。
迷ったら、まず配布テンプレートを1つ触ってみて、どんな列があると便利かをつかみ、そのうえで自分用のテンプレートを作る、という順番がおすすめです。
表を作る前に、タスクを洗い出す
テンプレートの形を整える前に、やっておきたいのがタスクの洗い出しです。ガントチャートが役に立たなくなる原因の多くは、表の作り方ではなく、タスクの粒度がそろっていないことにあります。
洗い出しは、大きな段階から細かい作業へと分けていく順番で進めます。たとえば、補助金を使って農業用のセンサーを入れるプロジェクトなら、まず「計画」「申請」「導入」「運用開始」の4つの段階に分けます。次に、それぞれの段階を、1人が数日から1週間ほどで終えられる作業に分けます。「申請」なら、「公募要領を読む」「見積もりを取り寄せる」「事業計画を書く」「役場に事前相談する」「申請書を提出する」のようになります。
このように、大きな段階から作業へと木の枝のように分けていく方法を、WBS(作業分解構成図)と呼びます。難しく聞こえますが、やっていることは「やることを、1人で終えられる大きさまで小さく分ける」だけです。
分け方の目安は、1つの作業が1日未満から2週間以内に収まることです。1日未満の作業まで細かく書くと、行が増えすぎて表が見にくくなります。逆に、1か月かかる作業をひとまとめにすると、途中で遅れていても横棒の上では見えません。迷ったら、「この作業が終わったと、誰が見てもわかるか」で判断します。「事業計画を書く」は終わりがはっきりしていますが、「準備する」は終わりがあいまいです。
洗い出したタスクは、まず紙やメモに箇条書きで並べ、段階ごとにまとまっているかを確かめてから、スプレッドシートに写します。最初から表に打ち込み始めると、列や色の設定に気を取られて、タスクの抜けに気づきにくくなります。
テンプレートの列の組み方
使い回せるテンプレートにするために、最初に列の構成を決めます。左側にタスクの情報、右側に日付のマス目を並べる形が基本です。
| 列 | 入れる内容 | 例 |
|---|---|---|
| A列 | 番号 | 1、2、3 |
| B列 | タスク名 | 現地の聞き取り |
| C列 | 担当者 | 担当者の名前 |
| D列 | 開始日 | 2026/10/12 |
| E列 | 終了日 | 2026/10/16 |
| F列 | 日数 | 5 |
| G列 | 進捗 | 未着手、作業中、完了 |
| H列から右 | 日付のマス目 | 1日1列 |
日数の列には、開始日と終了日から自動で計算する式を入れておくと便利です。土日を除いた営業日で数えたいなら =NETWORKDAYS(D3,E3) 、暦の日数で数えたいなら =E3-D3+1 を使います。祝日を除きたい場合は、別のシートに祝日の一覧を作り、NETWORKDAYSの3つ目の引数にその範囲を指定します。
進捗の列は、手入力ではなくプルダウンにしておくと、表記のゆれを防げます。セルを選んで「挿入」から「プルダウン」を選び、「未着手」「作業中」「完了」の3つを登録します。後で条件付き書式で色を変えるときに、表記がそろっていることが大事になります。
日付のマス目は、H2セルにプロジェクトの開始日を入れ、I2セルに =H2+1 と入れて右へコピーしていく形にします。こうしておくと、H2の日付を書き換えるだけで、すべての日付がずれて、別のプロジェクトにそのまま使い回せます。日付の列は幅を狭くし、表示形式を「日」だけにすると、1画面に1か月から2か月分を並べられます。
条件付き書式で横棒を描く手順
次に、日付のマス目のうち、各タスクの期間にあたるマスに色を付けます。ここで使うのが条件付き書式です。条件付き書式とは、決めた条件に当てはまるセルだけ、文字や背景の色を自動で変える機能のことです。Googleのヘルプでは、次のように説明されています。
条件付き書式を設定して、特定の条件(例: 特定の単語や数字を含む)を満たすセル、行、列のテキストや背景色を変更することができます。 出典: support.google.com
手順は次のとおりです。
- 日付のマス目全体(例: H3からBQ50まで)を選択します
- メニューの「表示形式」から「条件付き書式」を開きます
- 「セルの書式設定の条件」で「カスタム数式」を選びます
- 数式の欄に
=AND(H$2>=$D3,H$2<=$E3)と入力します - 「書式設定のスタイル」で塗りつぶしの色を選び、「完了」を押します
数式の中の $ の付け方が大事です。 H$2 は「日付の行は2行目に固定し、列は動かす」、 $D3 と $E3 は「開始日と終了日の列は固定し、行は動かす」という意味です。これで、マス目のそれぞれのセルが「自分の列の日付が、その行のタスクの開始日から終了日の間に入っているか」を判定し、入っていれば色が付きます。
このルールに、色分けのルールを重ねると見やすくなります。たとえば、進捗が「完了」のタスクは灰色にしたいときは、同じ範囲に =AND(H$2>=$D3,H$2<=$E3,$G3="完了") のルールを作り、灰色を選びます。条件付き書式は上にあるルールが優先されるので、完了のルールを上に並べ替えてください。
土日に薄い色を付けたいときは =WEEKDAY(H$2,2)>5 、今日の列に色を付けたいときは =H$2=TODAY() のルールを足します。今日の列が目立つと、どのタスクが遅れているかがすぐにわかります。
実際に、農家さん向けの補助金の申請を手伝っていたとき、この表で申請書の作成、見積もりの取り寄せ、役場との事前相談を並べたことがあります。見積もりの取り寄せが業者の都合で1週間ずれたとき、終了日を書き換えるだけで横棒が伸び、締め切りに間に合うかどうかがその場で確かめられました。紙の工程表では、こうはいきません。
SPARKLINE関数で横棒を描く方法
もう1つの方法が、SPARKLINE関数を使って、1つのセルの中に横棒を描く方法です。日付のマス目を作らなくてよいので、シートがすっきりします。
たとえば、H3セルに次の式を入れると、プロジェクト全体の期間に対して、そのタスクの位置と長さを横棒で表示できます。
=SPARKLINE({D3-MIN($D$3:$D$50),E3-D3+1},{"charttype","bar";"color1","white";"color2","#4a86e8";"max",MAX($E$3:$E$50)-MIN($D$3:$D$50)+1})
この式は、1本の棒を2つに分けて描いています。前半の白い部分がプロジェクトの開始日からそのタスクが始まるまでの日数、後半の色の付いた部分がそのタスクの日数です。白い部分は背景と同じ色なので見えず、結果として、タスクの期間だけが横棒として浮かび上がります。
この方法の良い点は、列の幅を広げるだけで横棒の見え方を調整でき、日付のマス目を何十列も用意しなくて済むことです。一方で、日付の目盛りが表示されないため、「何月何日から何月何日まで」を正確に読み取るには向きません。全体の流れをざっくり見せたい報告用の表にはSPARKLINE、日々の進行管理には条件付き書式、と使い分けるのがおすすめです。
テンプレートとして保存し、使い回す
形ができたら、テンプレートとして使い回せるように整えます。
まず、入力済みのタスクと日付を消して、空の状態のファイルを作ります。ファイル名は「ガントチャート_テンプレート」のように、ひと目でわかる名前にします。次のプロジェクトでは、このファイルを開き、「ファイル」から「コピーを作成」を選んで複製してから使います。元のファイルを直接書き換えないように、テンプレートのファイルは閲覧のみの権限にしておくと安心です。
Google Workspaceを使っている組織では、組織のテンプレートギャラリーにファイルを登録して、メンバーが新しいファイルを作るときに選べるようにする方法もあります。個人の無料アカウントでは、コピーして使う方法が手軽です。
テンプレートに入れておくと便利なものも挙げておきます。
・シートの上部に、プロジェクト名、全体の期間、最終の納期を書く欄
・祝日の一覧を入れた別のシート
・進捗のプルダウンと、それに合わせた色分けのルール
・今日の列に色を付けるルール
・タスクの数を数える式と、完了したタスクの割合を出す式
完了の割合は =COUNTIF(G3:G50,"完了")/COUNTA(B3:B50) で計算できます。表の上部に表示しておくと、関係者が開いたときに全体の進み具合がすぐにわかります。
共有と権限の設定で、表が壊れるのを防ぐ
スプレッドシートのガントチャートは、関係者と共有してはじめて役に立ちます。ただ、誰でも自由に編集できる状態にしておくと、うっかり数式を消されたり、列を動かされたりして、表が崩れることがあります。共有の前に、次の設定をしておくと安心です。
1つ目は、共有の権限を相手ごとに分けることです。スプレッドシートの共有では、相手ごとに「閲覧者」「閲覧者(コメント可)」「編集者」を選べます。進捗を更新する担当者だけを編集者にし、発注者や上司のように状況を見るだけの人は閲覧者か、コメントだけできる権限にします。
2つ目は、数式の入った範囲を保護することです。「データ」メニューの「シートと範囲を保護」から、日付の行や、日数・完了の割合を計算する列を保護しておくと、編集者でも誤って書き換えられなくなります。担当者が触るのは、タスク名、開始日、終了日、進捗の列だけ、という形にしておくのが理想です。
3つ目は、変更履歴の使い方を共有しておくことです。「ファイル」メニューの「変更履歴」から、いつ誰がどこを変えたのかを確かめられ、必要なら以前の版に戻すこともできます。表が崩れたときに慌てないよう、関係者に場所だけ伝えておくとよいでしょう。
4つ目は、リンクの公開範囲です。「リンクを知っている全員」に公開すると、URLが転送されたときに、関係のない人にも見えてしまいます。社外の人と共有するときは、相手のメールアドレスを指定して共有するほうが安全です。
進捗を更新し続けるための運用のルール
ガントチャートは、作ったときがいちばん正確で、更新されなければ日に日に現実とずれていきます。表を作ることより、更新を続けることのほうがずっと難しいのが実情です。続けるためのルールを、最初に決めておきます。
まず、更新する日と人を決めます。「毎週月曜日の朝に、各担当者が自分のタスクの進捗と日付を直す」のように、曜日と担当をはっきりさせると、更新が抜けにくくなります。毎日の更新を求めると負担が大きく、続かないことが多いです。
次に、日付を変えるときの決まりを作ります。終了日を延ばすときは、セルにコメントで理由を残す、と決めておくと、後から「なぜ遅れたのか」を振り返れます。理由が残っていないと、同じ遅れを次のプロジェクトでも繰り返しがちです。
また、最初に立てた予定を残しておくことも大事です。テンプレートに「当初の開始日」「当初の終了日」の列を足し、最初の予定はそこに書いたまま動かさないようにします。実際の日付と並べて見ると、どの段階で予定がずれやすいのかがわかり、次の計画の精度が上がります。
最後に、週に1回、表を見ながら関係者と5分だけ話す時間を作ります。表を共有するだけでは、相手が開いて見ているとは限りません。短い打ち合わせで「今週遅れているのはこれ」と確認するだけで、表が生きた道具になります。打ち合わせでは、遅れているタスクだけでなく、来週に始まる予定のタスクも一緒に見ておくと、準備の抜けに早めに気づけます。
Excelのテンプレートとの違い
ガントチャートのテンプレートは、Excel向けのものも多く配布されています。どちらを使うか迷う人に向けて、違いを整理しておきます。
Excelの良い点は、条件付き書式や関数の種類が多く、細かい作り込みがしやすいことです。会社で配られているパソコンにExcelが入っていて、社内のファイルサーバーで管理している職場なら、Excelのほうがなじみやすいでしょう。
スプレッドシートの良い点は、ブラウザで開けて、同じファイルを複数の人が同時に編集できることです。ファイルをメールで送り合う必要がなく、「最新版はどれか」で迷うこともありません。スマートフォンのアプリからも確認できます。
この記事で紹介した条件付き書式の数式は、Excelでもほぼ同じ形で使えます。どちらかで作ったテンプレートを、もう一方に移すことも難しくありません。社外の人と共有する機会が多いならスプレッドシート、社内で完結し、細かい作り込みが必要ならExcel、という分け方が目安になります。
タイムラインビューは誰でも使えるわけではない
Googleスプレッドシートには、ガントチャートに近い表示を自動で作る「タイムラインビュー」という機能もあります。タスク名、開始日、終了日の列がある表を選び、メニューの「挿入」から「タイムライン」を選ぶと、タスクがカードの形で時間の軸に並びます。
ただし、Googleのヘルプでは、この機能を使えるのはGoogle Workspaceの対象のエディションに限られると案内されています。
以下の Workspace エディションでタイムライン ビューを使用できます。 出典: support.google.com
2026年10月5日時点のヘルプでは、Business Starter、Business Standard、Business Plus、Enterprise系、Education系、Essentials、Frontlineが並んでいます。個人で作った無料のGoogleアカウントは、この一覧に入っていません。また、タイムラインを作るには、日付の形式になっている列が1つ以上必要で、日付を数式で作っている場合も、出力が日付の値になっている必要があります。
Google Workspaceの料金は、公式の料金ページで、年間プランの場合、Business Starterが1ユーザーあたり月額800円(税別)、Business Standardが月額1,600円(税別)と案内されています。もともと会社のメールや共有ドライブのためにWorkspaceを契約しているなら、追加の費用なしでタイムラインビューを試せます。一方、ガントチャートのためだけにWorkspaceを契約するのは、遠回りになることが多いです。
テンプレートを作るときによくある失敗
テンプレートを作り始めた人がつまずきやすい点を、あらかじめ挙げておきます。
1つ目は、日付が文字列として入っていることです。「10/12」と入力したつもりでも、セルの表示形式が「書式なしテキスト」になっていると、日付ではなく文字として扱われ、条件付き書式の判定も日数の計算も働きません。日付を入れる列は、先に表示形式を「日付」にしておきます。ほかのファイルから貼り付けたときにも起こりやすいので、横棒が出ないときはまずここを確かめます。
2つ目は、マス目の範囲が足りなくなることです。プロジェクトが延びて、日付のマス目の右端を越えると、その先の横棒は表示されません。テンプレートを作るときは、想定より1か月から2か月ほど長くマス目を用意しておくと安心です。
3つ目は、行を足したときに条件付き書式の範囲から外れることです。表の一番下に行を足すと、その行が条件付き書式の適用範囲に入っていないことがあります。最初から50行、100行と余裕を持って範囲を指定しておくか、行を足すときは表の途中に挿入するようにすると、範囲が自動で広がります。
4つ目は、色を使いすぎることです。担当者ごと、段階ごと、進捗ごとに色を変えると、どの色が何を表すのかがわからなくなります。色の意味は3つから4つまでにとどめ、シートの上部に凡例を書いておきます。
5つ目は、1つのシートに何でも詰め込むことです。タスクの一覧、工程表、費用の集計、議事録を同じシートに並べると、表がどんどん横に長くなります。工程表のシートは工程表だけにし、ほかの情報は別のシートに分けるほうが、長く使えるテンプレートになります。
スプレッドシートの運用が苦しくなる場面
ここまでの方法で、小さなプロジェクトのガントチャートは十分に回せます。ただし、次のような場面では、スプレッドシートの運用が苦しくなってきます。
1つ目は、タスクの数が増えたときです。タスクが100行、200行と増えると、条件付き書式の計算が重くなり、スクロールや入力がもたつくことがあります。また、どのタスクがどの段階の一部なのかが、行の並びだけではわかりにくくなります。
2つ目は、タスクの前後関係が多いときです。「Aが終わらないとBを始められない」という関係があっても、スプレッドシートではAの終了日を変えたときにBの開始日が自動でずれる仕組みを、式で作り込む必要があります。関係が多くなるほど、式が複雑になり、誰も直せない表になりがちです。
3つ目は、複数の人が同時に更新するときです。スプレッドシートは同時編集ができますが、誰がいつどのタスクの日付を変えたのかは、変更履歴を開かないとわかりません。日付が変わったことを担当者に知らせる仕組みもないため、「表は直したけれど、伝え忘れた」ということが起こります。
4つ目は、タスクごとのやり取りを残したいときです。「この作業はなぜ遅れているのか」「先方から何と言われたのか」といった情報を、スプレッドシートではセルのメモやコメントに残すことになり、後から探しにくくなります。
5つ目は、複数のプロジェクトを並行して見たいときです。プロジェクトごとにファイルを分けると、全体で誰がどの週に忙しいのかを見るためには、別に集計の表を作る必要があります。
これらの場面に当てはまるようになったら、テンプレートを作り込み続けるより、ガントチャートを最初から備えた道具に移るほうが、結果として手間が少なくなります。
代わりの道具を選ぶときに確かめること
スプレッドシートから道具を移すときは、次の点を確かめると選びやすくなります。
・ガントチャートが無料の範囲で使えるか、有料のプランからか
・カンバンやカレンダーなど、ほかの見え方に切り替えられるか
・タスクごとにコメントや添付ファイルを残せるか
・期限や担当の変更を、担当者に通知できるか
・無料で使える人数と、プロジェクト(ボード)の数
・外部の協力者を招いたときに、人数や料金にどう数えられるか
特に、ガントチャートが無料の範囲に入っているかどうかは、道具によって大きく違います。カンバン(カードを列から列へ動かす見え方)は無料でも、工程表のような見え方は有料のプランからという道具も少なくありません。料金表の金額だけで判断せず、自分が使いたい見え方がどのプランから使えるのかを、公式の料金ページで確かめてください。
移るときの進め方にも触れておきます。いきなり全部のプロジェクトを移すのではなく、次に始まる小さなプロジェクトを1つだけ新しい道具で管理してみて、1か月ほど使い心地を確かめるのが安全です。その間、進行中のプロジェクトはスプレッドシートのまま続けます。新しい道具に慣れてから残りを移せば、途中で混乱することがありません。また、スプレッドシートで作ったタスクの一覧は、移したあとも記録として残しておくと、過去の予定と実績を見比べたいときに役立ちます。道具を変えても、タスクの洗い出し方や更新のルールはそのまま使えるので、スプレッドシートで身につけた運用は無駄になりません。
無料から試せる選択肢
ガントチャートを無料の範囲で使える道具を探すときの候補の1つに、プロジェクト管理ツールのPinatecaがあります。
公式の料金ページによると、Pinatecaのフリープランは5人まで、ボード10個まで、期限なしで無料で、クレジットカードの登録も不要です。カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストを含む8種類のボードと、チャット、カードへのコメント、受信箱、カスタムフィールド、権限ロールまで、無料プランから使えると案内されています。ファイル容量は1GBです。
6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランになり、料金は1人あたり月額500円(年払いなら1人あたり月額400円、税抜)で、人数とボードの上限がなくなります。機能はフリープランと同じで、閲覧だけのゲストは人数に数えない決まりです。業務委託の稼働時間を記録するタイムシートは、1人あたり月額980円(年払いなら月額780円、税抜)の追加のオプションとして案内されています。
一方で、スプレッドシートのように関数で自由に集計したり、表の形を作り替えたりすることは、専用の道具では難しくなります。数字の集計が中心ならスプレッドシート、タスクのやり取りと工程の共有が中心なら専用の道具、と役割で分ける考え方もあります。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
工程表を作る力は、地方の仕事でも求められている
最後に、ガントチャートを作る力が、在宅で受ける仕事とどうつながるのかを見ておきます。
地方の農家や小さな事業者を回っていると、補助金の申請や設備の導入を進めたいのに、何から手を付けてよいかわからない、という声をよく聞きます。こうした相談では、まず工程表を1枚作り、「いつまでに何を決めればよいか」を見える形にするだけで、話が大きく前に進みます。工程表は、ITに詳しくない相手と予定をそろえるための、共通の言葉のような役割を果たします。
20年この市場を見てきた立場から言えば、長く仕事が続く人ほど、相手が一目で状況をつかめる資料を出すのが上手です。工程表を共有しながら進める人は、発注者から見て「任せると楽な相手」になります。また、仲介の手数料が乗らない直接の取引では、発注者と受け手が同じ工程表を見て直接やり取りできるため、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなる、双方にとって得のある形が成り立ちやすくなります。
業務の流れを整理し、工程表に落とし込む考え方は、経営の資格とも重なります。中小企業診断士は、企業の経営課題を診断して助言する国家資格で、計画を立てて進み具合を管理する力が試験の内容にも含まれています。
在宅で働く環境を整える費用については、テレワーク 助成金 2026で、事業者がテレワークの環境を整えるときに使える助成金の考え方を紹介しています。従業員を雇っている事業者が道具の費用を負担する場合は、使える制度がないかを先に確かめておくと安心です。
システム開発の現場では、工程表の作成と管理そのものが仕事の一部です。ソフトウェア作成者の年収・単価相場では、開発の仕事の年収の水準を、厚生労働省の統計をもとに確かめられます。在宅で受けられる開発の案件の種類は、アプリケーション開発のお仕事で紹介しています。
業務の流れを整える支援の仕事では、スプレッドシートの工程表を作ったり、専用の道具への移行を手伝ったりする依頼も増えています。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、こうした業務改善の仕事の内容と、在宅で受けるときの進め方を紹介しています。テンプレートを1つ作り、運用の限界まで理解しておくことは、こうした仕事でもそのまま強みになります。
よくある質問
Q. スプレッドシートのガントチャートは無料で作れますか?
作れます。Googleアカウントがあれば、条件付き書式で日付のマス目に色を付ける方法や、SPARKLINE関数で横棒を描く方法は、追加の費用なしで使えます。一方、メニューから自動で工程表を作るタイムラインビューは、Googleのヘルプで対象がGoogle Workspaceのエディションに限られています。
Q. 配布されているテンプレートを使うときの注意点は?
複雑な数式が入っているものは、列を足しただけで表示が崩れることがあり、直すのに時間がかかります。配布元によっては、コピーの前に会員登録が必要だったり、利用の条件が決められていたりします。業務で使う場合は利用条件を確かめ、中身を理解できる範囲のテンプレートを選ぶと安心です。
Q. 条件付き書式で横棒が表示されないときは?
数式の中の「$」の付け方を確かめてください。日付の行は行番号を、開始日と終了日の列は列記号を固定する必要があります。また、開始日と終了日が文字列として入力されていると判定できません。セルの表示形式が日付になっているか、日付の値として入っているかも確かめてください。
Q. スプレッドシートから専用の道具に移る目安は?
タスクが100行を超えて動作が重くなったとき、作業の前後関係が多く日付の変更を自動で反映したいとき、複数の人が同時に更新して変更を知らせる仕組みが必要になったときが目安です。移る先を選ぶときは、ガントチャートが無料の範囲で使えるかを公式の料金ページで確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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