未経験から完全在宅のデザイナーを目指すとき、学ぶ順番と最初の仕事の取り方

@SOHO編集部
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未経験から完全在宅のデザイナーを目指すとき、学ぶ順番と最初の仕事の取り方

この記事のポイント

  • ✓未経験から完全在宅のデザイナーを目指す人に向けて
  • ✓作品集の順に学ぶ道筋を説明します
  • ✓未経験歓迎の求人の読み方

未経験から完全在宅のデザイナーを目指したい。そう考えて求人サイトを開くと、「未経験歓迎」「フルリモート」と書かれたデザイナーの求人がいくつも並んでいます。一方で、在宅ワークの案件を探すと、実績のある人が優先される募集ばかりに見えて、何から始めればよいのか分からなくなる人も多いはずです。

未経験から完全在宅のデザイナーになることは、できない話ではありません。ただし、学ぶ順番を間違えると時間とお金を使っても仕事につながらず、最初の仕事の取り方を間違えると、安い単価の作業から抜け出せなくなります。この記事では、完全在宅のデザイナーの求人の実情、学ぶ順番、作品集の作り方、最初の仕事の取り方、契約で確かめる点、注意したい詐欺までを順に説明します。

完全在宅のデザイナーには2つの働き方がある

完全在宅のデザイナーには、会社に雇われて在宅で働く形と、業務委託で仕事を受けて自宅で働く形があります。求人を探すときも、学ぶ内容を決めるときも、どちらを目指すかで道筋が変わります。

会社に雇われる形では、正社員や契約社員、アルバイトとして、会社の決めた時間に自宅で働きます。給与は毎月決まった額で、社会保険や有給休暇もあります。仕事は上司や先輩から割り振られ、分からないことは社内の人に聞けます。未経験歓迎の求人の多くは、入社後の研修を前提にしています。

業務委託の形では、個人の事業者として、会社や個人から仕事を受けます。働く時間や場所は自分で決められますが、報酬は仕事の量と単価で決まり、毎月の収入は安定しません。仕事の進め方を教えてくれる人はいないことが多く、自分で調べて仕上げる力が求められます。

厚生労働省は、業務委託で自宅などから仕事をする働き方を「自営型テレワーク」と呼び、次のように説明しています。

自営型テレワークとは、注文者から委託を受け、情報通信機器を活用して主として自宅又は自宅に準じた自ら選択した場所において、成果物の作成又は役務の提供を行う就労をいいます。 出典: mhlw.go.jp

未経験の人にとって、最初から業務委託だけで生活できるだけの仕事を得るのは簡単ではありません。会社に雇われて在宅で働きながら経験を積み、のちに業務委託に移る人もいれば、本業を続けながら業務委託の小さな仕事で実績を作る人もいます。どちらの道を選ぶかを決めてから、次の節の学ぶ順番に進みます。

デザイナーの仕事の種類と、在宅でできる範囲

デザイナーと一口に言っても、仕事の種類はさまざまです。在宅で受けやすい仕事と、受けにくい仕事があります。

Webデザイン

企業や店舗のWebサイトの見た目を作る仕事です。ページの配置、色、文字、画像の使い方を決め、デザインの案を作ります。Webサイトの制作は打ち合わせから納品まですべてオンラインで進められるため、在宅で働くデザイナーが多い分野です。

バナーや広告の画像

Webサイトや広告に表示される画像を作る仕事です。1枚ずつ作るため作業の単位が小さく、未経験の人が最初に受けやすい仕事の1つです。決められたサイズと文言で、目に留まりやすい画像を作る力が求められます。

SNSの投稿画像

企業や店舗のSNSに投稿する画像を作る仕事です。毎月決まった本数を作る形が多く、継続的な仕事になりやすい特徴があります。

UIデザイン

アプリやWebサービスの画面を設計する仕事です。ボタンの配置や画面の流れなど、使いやすさを考えて設計します。専門性が高く、未経験からいきなり在宅で受けるのは難しい分野です。

印刷物のデザイン

チラシ、名刺、パンフレットなどのデザインです。データの作成は在宅でできますが、印刷の仕組みや入稿の決まりを知っている必要があります。

資料のデザイン

企業の提案資料や説明資料を、見やすく整える仕事です。プレゼンテーション用のソフトを使うことが多く、デザインの基本と資料作りの経験があれば始めやすい分野です。

未経験の人が最初に目指しやすいのは、バナーやSNSの投稿画像、資料のデザインです。作業の単位が小さく、作品集に並べやすく、短い期間で仕上げられます。Webデザインは、HTMLとCSSの知識を加えると、受けられる仕事の幅が大きく広がります。

未経験から完全在宅が難しいと言われる理由

未経験から完全在宅のデザイナーを目指すとき、壁になりやすい点を先に知っておきます。

1つ目は、教わる機会が少ないことです。出社して働くデザイナーは、先輩の作業を横で見たり、作ったものにその場で意見をもらったりしながら腕を上げます。在宅では、そうした機会が減ります。会社に雇われる場合でも、未経験の人には最初の数か月だけ出社を求める会社があるのは、このためです。

2つ目は、依頼主が実績を重視することです。業務委託の仕事では、依頼主は応募者の腕前を作品集で判断します。会ったこともない相手に仕事を任せるため、過去の作品が唯一の判断材料になります。実績がないと、選ばれる機会が限られます。

3つ目は、やり取りの力が求められることです。在宅の仕事では、依頼主の意図を文章で正しく読み取り、自分の考えを文章で説明する必要があります。デザインの腕前があっても、やり取りでつまずくと修正が増え、次の依頼につながりません。

これらの壁は、学ぶ順番と、最初の仕事の選び方で乗り越えられます。次の節から、学ぶ順番を4つの段階に分けて説明します。

学ぶ順番1:デザインの基本を身につける

最初に学ぶのは、ソフトの使い方ではなく、デザインの基本の考え方です。ソフトの操作は後からいくらでも覚えられますが、基本の考え方がないと、どれだけ操作を覚えても見やすいデザインは作れません。

デザインの基本として、まず押さえたいのは次の4つです。

  1. 余白:要素と要素の間を空けることで、見る人の目が迷わなくなる
  2. 文字:文字の大きさ、太さ、行の間隔で、情報の重要度を伝える
  3. 色:使う色の数を絞り、意味を持たせて使い分ける
  4. 配置:要素の端をそろえ、関係のあるものを近くに並べる

この4つを学ぶには、デザインの基本を解説した入門書を1冊読み、身の回りの広告やWebサイトを観察するのが効果的です。気に入ったデザインを見つけたら、なぜ見やすいのかを4つの点から説明してみます。説明できるようになると、自分で作るときにも同じ考え方を使えるようになります。

この段階で大切なのは、上手な人のデザインを真似して作ってみることです。既存のバナーや広告を見本にして、同じものを自分で作り直します。見本と並べると、余白の取り方や文字の大きさの違いがはっきり分かります。真似して作ったものは練習にとどめ、作品集には載せません。

学ぶ順番2:デザインの道具を1つ使えるようにする

デザインの基本の考え方をつかんだら、道具の使い方を覚えます。道具は最初から多くを覚えようとせず、1つを使いこなすことを目指します。

在宅のデザインの仕事でよく使われる道具には、Webやアプリの画面のデザインに向いた道具、写真の加工に向いた道具、図形やロゴの作成に向いた道具などがあります。求人や案件の募集を見ると、どの道具が使えることを条件にしているかが分かるので、目指す仕事の募集で多く挙がっている道具から始めるのが効率的です。

道具の料金の体系は、無料で始められるものから月額の契約が必要なものまでさまざまで、改定もあります。料金は各社の公式ページで確かめ、まずは無料の範囲や体験版で操作に慣れてから契約を判断します。

道具を覚える段階では、学んだ操作を使って小さな作品を毎日1つ作ることを目標にします。バナー1枚、SNSの投稿画像1枚といった小さな単位なら、1日1時間でも続けられます。1か月続けると30点の作品ができ、その中から良いものを作品集の候補にできます。

学ぶ順番3:HTMLとCSSの基本を知る

Webデザインの仕事を目指すなら、HTMLとCSSの基本を学びます。HTMLはWebページの文章や画像の構造を決める言葉、CSSは色や配置などの見た目を決める言葉です。

デザイナーがHTMLとCSSを書けると、次のような利点があります。

  • 自分のデザインがWebページとして実現できるかを判断できる
  • コーディング(デザインをHTMLとCSSに書き起こす作業)を担当する人とのやり取りが円滑になる
  • デザインとコーディングをまとめて受けられ、仕事の幅と単価が上がる

最初から複雑なWebサイトを作る必要はありません。1ページだけの自己紹介のページを、HTMLとCSSで作ることから始めます。スマートフォンでもパソコンでも見やすく表示されるように作れると、Webデザインの仕事で求められる基本は押さえられます。

HTMLとCSSの学習は、無料で学べる教材も多くあります。ただし、情報の古い教材もあるため、公開された時期を確かめて、新しい教材を選びます。

学ぶ順番4:作品集を作る

未経験から在宅のデザイナーになるうえで、最も大切なのが作品集(ポートフォリオ)です。依頼主や採用の担当者は、作品集を見て腕前を判断します。

作品集に載せるもの

作品集には、5点から10点程度の作品を載せます。数より質が大切で、自信のない作品を載せると全体の印象が下がります。目指す仕事に合わせて、バナー、SNSの投稿画像、Webページのデザインなどを組み合わせます。

架空の依頼で作品を作る

実際の依頼がない段階では、架空の依頼を自分で設定して作品を作ります。たとえば「地域のパン屋が新商品を告知するバナー」「歯科医院の予約を増やすためのWebページ」のように、依頼主、目的、見る人を具体的に決めます。作品集では、架空の依頼であることを明記します。

作品ごとに説明を添える

作品ごとに、目的、見る人、工夫した点、かかった時間を添えます。依頼主は、出来上がったデザインだけでなく、どのように考えて作ったかを見ています。工夫した点を言葉で説明できると、依頼主とのやり取りの力も伝わります。説明の文章を整えるには、社外向けの文書の書き方を学べるビジネス文書検定のような検定も参考になります。

作品集を公開する場所

作品集は、自分のWebサイトや作品集の公開サービスで公開します。HTMLとCSSを学んだなら、自分で作ったWebサイトに作品を載せること自体が、Webデザインの腕前の証明になります。

働きながら学ぶときの1週間の進め方

未経験からデザイナーを目指す人の多くは、今の仕事や家事、子育てを続けながら学びます。限られた時間で進めるには、1週間の中で何をするかを決めておくと迷いが減ります。

1週間の進め方の例を挙げます。平日は1日1時間、休日は1日3時間を学習に当てる場合です。

  • 月曜日と火曜日:基本の考え方や道具の操作を、教材で1つずつ学ぶ
  • 水曜日と木曜日:学んだことを使って、小さな作品を1つずつ作る
  • 金曜日:その週に作った作品を見直し、気になった点を書き出す
  • 土曜日:作品集に載せる作品を1つ、時間をかけて仕上げる
  • 日曜日:その週の振り返りと、次の週の予定を決める

大切なのは、学ぶ日と作る日を分けることです。教材を読むだけで1週間が終わると、知識は増えても手が動くようにはなりません。反対に、作るだけで新しいことを学ばないと、同じ作り方の繰り返しになります。

作品を作るときは、作業にかかった時間を記録しておきます。最初は1枚のバナーに3時間かかっていたものが、1か月後に1時間で作れるようになれば、それが上達の目安になります。この記録は、のちに仕事の見積もりを出すときの根拠にもなります。

疲れている日は、新しいことを学ぶより、上手なデザインを観察する日に切り替えます。通勤の電車の中や家事の合間に、街の広告やスマートフォンで見たWebサイトを眺め、なぜ見やすいのかを考えるだけでも学習になります。続けることを最優先にして、学習が途切れないようにします。

デザインの腕前を示す資格

デザイナーの仕事は、資格がなくても始められます。依頼主が見るのは作品集で、資格の有無で仕事が決まることは多くありません。それでも、未経験の人が学んだ内容を客観的に示す手段として、資格を目標にする方法があります。

国の技能検定の中には、ウェブデザインの職種があります。技能検定は、働くうえで必要な技能の習得の程度を評価する国家検定で、厚生労働省の案内によると、令和8年3月3日時点で133職種の試験があります。合格すると技能士と名乗ることができます。制度の概要は厚生労働省の技能検定制度のページで確かめられます。ウェブデザインの技能検定は指定試験機関が実施しており、受検の資格や試験の日程は実施機関の案内で確かめます。

資格の勉強には、デザインの仕事で求められる知識を、決まった範囲で体系的に学べる利点があります。独学で学ぶと知識に偏りが出やすいため、試験の範囲を学習の地図として使う考え方です。ただし、資格を取ることが目的になって、作品を作る時間が減っては本末転倒です。作品集づくりを中心に置き、資格はその補助として考えます。

依頼主とのやり取りで気をつけること

在宅のデザイナーは、依頼主と顔を合わせずに仕事を進めることがほとんどです。やり取りの質が、仕事の出来と次の依頼を左右します。

依頼の目的を最初に確かめる

依頼を受けたら、作り始める前に目的を確かめます。そのデザインを誰に見せたいのか、見た人に何をしてほしいのか、いつまでに必要なのか。目的が分からないまま作り始めると、出来上がってから大きな修正が入ります。

途中で一度見せる

完成させてから見せるのではなく、方向性が決まった段階で一度見せます。大まかな配置や色の案を見せて、方向が合っているかを確かめてから仕上げると、修正の量が大きく減ります。

修正の依頼を言葉にして返す

依頼主から「もう少し明るく」「なんとなく違う」といった修正の依頼が来たら、具体的に何を変えるかを言葉にして確かめます。「背景の色を薄い黄色に変え、見出しの文字を大きくする、という理解でよろしいでしょうか」と返すと、行き違いが防げます。

返信の時間を決めて伝える

在宅で働いていると、いつでも返信できると思われがちです。返信できる時間帯を最初に伝え、その時間内は早めに返信します。返信の速さと丁寧さは、デザインの腕前と同じくらい、依頼主の評価に影響します。

独学とスクールの選び方

デザインを学ぶ方法には、独学とスクールがあります。どちらにも利点と注意点があります。

独学の利点は、費用を抑えられることと、自分の都合で進められることです。入門書や無料の教材を使えば、費用をかけずに基本を学べます。一方で、作ったものに意見をもらう機会がなく、自分の弱点に気づきにくい面があります。

スクールの利点は、学ぶ順番が整理されていることと、講師から作品に意見をもらえることです。卒業後の仕事探しを支援するスクールもあります。一方で、費用は数十万円になることもあり、受講しただけで仕事が得られるわけではありません。

スクールを選ぶときは、講座が厚生労働大臣の指定する教育訓練の対象かどうかも確かめます。対象の講座なら、雇用保険の加入期間などの条件を満たす人は、教育訓練給付金として費用の一部の支給を受けられます。厚生労働省の案内では、一般教育訓練の場合、教育訓練経費の20%(上限10万円)が修了後に支給されます。対象の講座や条件は、厚生労働省の教育訓練給付金のページとハローワークで確かめます。

独学で基本を学び、作品に意見をもらいたくなった段階でスクールの短い講座を使う、という組み合わせも考えられます。

未経験歓迎の求人を読むときの注意点

会社に雇われて在宅で働く道を選ぶ場合、未経験歓迎のデザイナーの求人を読むときに確かめたい点があります。

  1. 在宅の範囲:「フルリモート」でも、研修の期間は出社が必要な場合がある。研修の期間と場所を確かめる
  2. 仕事の中身:デザインの仕事か、デザインの補助や画像の加工が中心か。最初に任される仕事を確かめる
  3. 研修の内容:研修の期間、内容、研修中の給与
  4. 雇用の形:正社員か契約社員か、試用期間の長さ
  5. 道具の貸与:パソコンやデザインの道具の契約を会社が用意するか

未経験歓迎の求人の中には、デザインの仕事ではなく、データの入力や画像の切り抜きなどの補助作業が中心のものもあります。それ自体は悪いことではなく、実務の流れを知る機会になりますが、デザインの仕事に進める道があるかを面接で確かめておきます。

デザイナーとして雇われた場合の給与の水準は、デザイナーの年収・単価相場で職種ごとのデータを確かめられます。求人の給与が相場と大きく離れている場合は、仕事の中身や条件を詳しく確かめます。

業務委託で最初の仕事を取る方法

業務委託で最初の仕事を取るには、いくつかの方法があります。

在宅ワークの仲介サイトやクラウドソーシングで探す

在宅ワークの仲介サイトやクラウドソーシングのサイトには、バナーやSNSの投稿画像、資料のデザインなど、小さな単位の仕事が多く掲載されています。最初は、作品集の作品と同じ種類の仕事に応募すると、腕前を判断してもらいやすくなります。

応募の文章では、依頼の内容をよく読んだうえで、どのように作るかの考えを短く書きます。誰にでも送れる定型の文章より、その依頼に合わせて書いた文章のほうが選ばれやすくなります。

知人の依頼を受ける

知人の店や事業のチラシ、名刺、SNSの画像を作る仕事は、最初の実績として大切です。無料で引き受けるより、少額でも報酬を決めて受けるほうが、依頼主も遠慮なく意見を言えて、仕事としての経験になります。作品集に載せてよいかも、最初に確かめておきます。

制作会社の外注の募集に応募する

Webサイトの制作会社が、デザインやバナー制作の外注先を募集していることがあります。制作会社の仕事は、指示書が整っていることが多く、未経験の人でも進め方を学びやすい面があります。

契約の前に確かめること

業務委託で仕事を受けるときは、契約の内容を事前に確かめます。厚生労働省の自営型テレワークのガイドラインは、仕事を注文する人に、契約の条件を文書で明示することなどを求めています。

確かめる項目は次のとおりです。

  1. 作るものの内容と数:サイズ、点数、形式
  2. 報酬の額と支払いの期日
  3. 納期と、途中で確認する時期
  4. 修正の回数と範囲
  5. 素材の提供:写真や文章は依頼主が用意するか
  6. 権利の扱い:完成したデザインの権利が誰のものになるか、作品集に載せてよいか

特に4の修正の回数は、未経験の人ほど決めずに受けてしまいがちです。修正の回数に上限がないと、何度も作り直すことになり、時給に直すと極端に安くなります。

令和6年11月1日に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法では、個人で働くフリーランスに業務を頼む事業者に、取引条件の明示や、原則として成果物を受け取った日から60日以内の報酬の支払いなどが義務づけられています。条件をメールなどの文章で残しておくことが、自分を守ることにつながります。

単価の考え方と、安い仕事から抜け出す方法

未経験の人が最初に受ける仕事は、どうしても単価が低くなりがちです。最初の数件は実績を作るためと割り切ることも必要ですが、いつまでも同じ単価で受け続けると、時間に見合わない働き方から抜け出せなくなります。

単価を上げるために、次の順番で取り組みます。

  1. 作業時間を測る:1件あたり何時間かかったかを記録し、時給に直して確かめる
  2. 作業を速くする:よく使う配置や色の組み合わせをひな形にして、作業時間を短くする
  3. 継続の依頼を増やす:同じ依頼主から続けて仕事を受けると、説明の手間が減り、時間あたりの報酬が上がる
  4. 受ける仕事を変える:バナーだけでなく、Webページのデザインやコーディングまで受けられるようにする

Webデザインの仕事で収入を組み立てる道筋は、Webデザイナー 年収のリアル:30代フリーランスが語る稼ぎ方とキャリアパスでも紹介されています。デザインの腕前に加えて、提案や進行の力が単価を左右することが分かります。

業務委託で受けるときの税金と保険

業務委託でデザインの仕事を受けるようになると、税金と保険の手続きを自分で行う必要が出てきます。会社に雇われて働くときとの違いを知っておきます。

会社に雇われている人が、副業として業務委託のデザインの仕事を受ける場合、給与以外の所得が年間20万円を超えると、所得税の確定申告が必要です。ここでいう所得は、報酬から仕事に使った経費を引いた額です。20万円以下で確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別に必要になります。

業務委託だけで働く場合は、1年の所得を自分で計算して確定申告をします。デザインの道具の利用料、パソコン、通信費のうち仕事に使った部分などは、経費として扱える可能性があります。何が経費になるかは、仕事との関係や使い方で判断が分かれるため、税務署や税理士に確かめます。日ごろから、受け取った報酬と使った経費の記録をつけ、領収書や請求書を保存しておくことが、申告の手間を減らします。

会社の健康保険や厚生年金に入っていない人は、国民健康保険と国民年金に加入し、保険料を自分で納めます。業務委託の報酬を考えるときは、これらの保険料や税金を払った後に手元に残る額で判断します。報酬の額面だけを見て会社員の給与と比べると、実際より多く見えてしまいます。

デザインの報酬は、所得税の源泉徴収の対象になる報酬に含まれるため、依頼主によっては所得税が差し引かれて支払われます。差し引かれた額は、確定申告で精算されます。請求書を出すときに、源泉徴収をする前提の金額かどうかを依頼主と確かめ、受け取った明細を保存しておきます。

開業届を出して事業として続けるか、副業の範囲にとどめるかも、収入の見通しが立った段階で考えます。青色申告を選ぶと、帳簿の付け方に応じた控除を受けられる場合がありますが、承認の申請が必要です。手続きと期限は国税庁の案内で確かめます。

在宅でデザインの仕事をする環境

完全在宅のデザイナーとして働くには、自宅の作業環境を整えます。

パソコンは、デザインの道具が快適に動く性能のものを選びます。道具ごとに推奨される性能が公式に示されているので、購入の前に確かめます。画面は、色を正しく確かめるためにも、ある程度の大きさと表示の品質があるものが望ましいです。

作ったデータは、パソコンが故障したときに備えて、外付けの記録装置やオンラインの保存場所にも保存しておきます。依頼主から預かった素材も、決めた場所に整理して保存し、納品後の扱いを依頼主と取り決めておきます。

在宅の仕事では、始まりと終わりの時間を決めることも大切です。デザインは終わりの見えにくい作業で、いくらでも手を加えられます。作業の時間を区切り、決めた時間で仕上げる習慣をつけると、時給も上がり、生活との区切りもつけやすくなります。

未経験者を狙った詐欺に注意する

在宅のデザイナーを目指す未経験の人を狙った詐欺もあります。次のような誘いには注意します。

  • 高額な講座を受ければ、仕事を必ず紹介すると約束する
  • 仕事を始める前に、登録料や教材費の支払いを求める
  • 「誰でも短期間で高収入」のような言葉で勧誘する
  • 個人のSNSのメッセージで、知らない相手から仕事を持ちかけられる

正規の求人や業務委託の仕事で、働く側が仕事を始める前にお金を払うことは、通常はありません。講座の受講を勧められた場合は、契約の前に内容と解約の条件を書面で確かめ、すぐに決めないことが大切です。不審に思ったら、消費生活センターに相談します。

AIの道具とデザイナーの仕事

画像を作るAIの道具が広がり、デザインの仕事の中身も変わりつつあります。簡単な画像やデザインの案は、AIを使うと短い時間で作れるようになりました。

この変化は、未経験の人にとって不利なことばかりではありません。AIが作った案を、目的に合わせて整え、仕上げる力は、デザインの基本を身につけた人にしかありません。依頼主の意図を読み取り、AIの道具を使い分けて効率よく仕上げられるデザイナーは、これからも求められます。

AIとマーケティングの仕事が重なる分野の全体像は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で確かめられます。デザインの腕前に、広告や集客の知識を組み合わせると、受けられる仕事の幅がさらに広がります。なお、AIの道具で作った画像を仕事で使う場合は、その道具の利用規約で商用の利用が認められているかを確かめ、依頼主にもAIを使ったことを伝えておきます。

在宅ワークの仲介を続けてきた運営者として見てきたこと

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、未経験から在宅のデザインの仕事に入って長く続く人は、最初の数件を丁寧に仕上げることに力を注いでいます。単価の低い仕事でも、納期を守り、修正の依頼に気持ちよく応え、仕上げたあとに一言の報告を添える。そうした積み重ねが、同じ依頼主からの次の依頼や紹介につながっています。

もう1つ見えてくるのは、依頼主と直接やり取りできる仕事ほど、受ける側の成長が早いということです。依頼主の意図をその場で確かめられ、作ったものへの意見を直接聞けるため、次の仕事に生かせます。仲介の手数料が引かれない直接の取引なら、同じ予算でも受ける側の手取りは厚くなり、依頼主は浮いた分で追加の作業を頼めます。未経験から完全在宅のデザイナーを目指すなら、学ぶ順番を守って基本を固め、小さな仕事を丁寧に積み上げていくことが、遠回りに見えて最も確かな道です。

よくある質問

Q. 未経験からでも完全在宅のデザイナーになれますか?

なれる可能性はありますが、学ぶ順番と最初の仕事の選び方が大切です。デザインの基本、道具の操作、必要ならHTMLとCSS、作品集の順に準備し、バナーやSNSの投稿画像など小さな仕事から実績を作ります。会社に雇われる場合は、未経験歓迎の求人でも研修の期間は出社が必要なことがあるため、条件を確かめて応募してください。

Q. デザインの勉強はどのくらいの期間が必要ですか?

学ぶ時間や目指す仕事によって大きく変わります。毎日1時間ほど作品を作り続け、作品集に載せられる作品が5点から10点そろうことが、仕事に応募できる目安になります。期間で区切るより、作品集の完成を目標にして進めるほうが、仕事につながりやすくなります。

Q. デザインのスクールに通う必要はありますか?

必ず必要というわけではありません。独学でも入門書や無料の教材で基本は学べます。作品に意見をもらいたい、学ぶ順番を整理してほしい場合はスクールが役立ちます。厚生労働大臣の指定を受けた講座なら、条件を満たす人は教育訓練給付金を受けられることがあるので、受講前にハローワークで確かめてください。

Q. 最初の仕事の単価が低いのですが、どうすれば上げられますか?

まず1件あたりの作業時間を測って時給に直し、現状を把握します。そのうえで、よく使う配置をひな形にして作業を速くする、同じ依頼主から続けて仕事を受ける、Webページのデザインやコーディングまで受けられるようにする、といった方法で時間あたりの報酬を上げていきます。修正の回数を契約で決めておくことも大切です。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年10月12日最終更新:2026年10月16日
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